JP4751800B2 - 麺用水分散性ほぐれ剤 - Google Patents
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Description
例えば、食用油脂にグリセリンおよびポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチンおよびエタノールを配合した水溶性油脂調製物を使用する方法(特許文献1参照)、油脂にポリグリセリン脂肪酸エステル、大豆レシチンおよび酵素分解レシチンを配合した油脂組成物を使用する方法(特許文献2参照)が提案されている。しかし、これらの方法で使用される組成物は、油脂を含有しているため、水に分散させた際、濁りが生じ、麺喫食時にスープやめんつゆが濁る、スープの風味を損なうなどの問題がある。
その他、多糖類およびポリグリセリンを含有する品質改良剤を使用する方法(特許文献3参照)が提案されているが、本方法で使用される組成物は、スープやかけつゆへの濁りは小さいものの、水に分散しにくく工業的利用を考えると手間がかかる課題がある。
(1) (a)糖類またはアルコール、(b)ポリグリセリン脂肪酸エステル、ならびに(c)レシチンおよび/またはグリセリン有機酸脂肪酸エステルを含有し、食用油脂を含有しないことを特徴とする麺用水分散性ほぐれ剤、
(2) ポリグリセリン脂肪酸エステルがジグリセリン脂肪酸エステルおよび/またはトリグリセリン脂肪酸エステルであることを特徴とする(1)に記載の麺用水分散性ほぐれ剤、
(3) ポリグリセリン脂肪酸エステル100質量%中、モノエステル体の含有量が50質量%以上であることを特徴とする(1)または(2)に記載の麺用水分散性ほぐれ剤、
(4) グリセリン有機酸脂肪酸エステルがグリセリンクエン酸脂肪酸エステルである(1)に記載の麺用水分散性ほぐれ剤、
(5) 糖類が糖アルコールおよび/または単糖類であることを特徴とする(1)に記載の麺用水分散性ほぐれ剤、および
(6) (1)〜(5)のいずれかに記載の麺用水分散性ほぐれ剤を用いて製造した麺類、
に関する。
また、該水分散性麺用ほぐれ剤を水分散液として浸漬、噴霧または塗布する方法では、その濃度が0.5質量%以上、好ましくは2〜30質量%となるように水分散液を調製し、それを使用するとよい。水分散液の使用量は、その濃度を勘案して適宜調整すると良い。
攪拌機、温度計、ガス吹込管および水分離器を取り付けた反応釜にグリセリン20kgを仕込み、触媒として水酸化ナトリウム20w/v%水溶液100mLを加え、窒素ガス気流中250℃で4時間グリセリン縮合反応を行った。
得られた反応生成物を90℃まで冷却し、リン酸(85質量%)約20gを添加して中和した後ろ過し、ろ液を160℃、400Paの条件下で減圧蒸留してグリセリンを除き、続いて200℃、20Paの高真空条件下で分子蒸留し、ジグリセリンを主成分とする留分約3.7kgを除き、更に、240℃、20Paの高真空条件下で分子蒸留し、グリセリン1質量%、ジグリセリン4質量%、トリグリセリン88質量%、テトラグリセリン3質量%、環状ポリグリセリン4質量%を含む留分約1.5kgを得た。次に、該留分に活性炭を1質量%加え、減圧下にて脱色処理した後ろ過して、トリグリセリン混合物を得た。得られたトリグリセリン混合物の水酸基価は約1164で、その平均重合度は約3.0であった。
撹拌機、温度計、ガス吹込管および水分離器を取り付けた1Lの四つ口フラスコに、上記トリグリセリン混合物240g(約1.0モル)、およびオレイン酸(商品名:PM 810−RB、ミヨシ油脂社製)270g(約0.96モル)を仕込み、触媒として水酸化ナトリウム10w/v%溶液10mLを加え、窒素ガス気流中240℃で、酸価12以下となるまで、約2時間エステル化反応を行わせた。得られた反応混合物を約150℃まで冷却し、リン酸(85質量%)2gを添加して触媒を中和し、その温度で約1時間放置し、分離した未反応のトリグリセリン約40gを除去し、トリグリセリンオレイン酸エステル(モノエステル体含有量約42質量%)約440gを得た。
尚、モノエステル体の測定はHPLC(高速液体クロマトグラフィー)で行った。分析条件を以下に示す。
装置 高速液体クロマトグラフ(型式:LC−10AS、島津製作所社製)
検出器 RI検出器(型式:RID−6A、島津製作所社製)
カラム GPCカラム(型式:SHODEX KF−802、昭和電工社製)
2本連結
温度 40℃
移動相 THF
流量 1.0mL/min
検液注入量 15μL
1リットル容ビーカーに還元澱粉糖化物(商品名:アマミール、東和化成工業社製;ソルビトール含量:約50%)465gを仕込み、レシチン(商品名:日清レシチンDX、日清オイリオ社製)10g、ジグリセリンオレイン酸エステル(商品名:ポエムDO−100V、理研ビタミン社製、モノエステル体含有量:約80質量%)25gを約70℃で加熱溶解後、還元澱粉糖化物に加えた。
ついで約80℃にて攪拌機(商品名:T.Kホモミクサー、特殊機化工業社製)で10000rpm、10分攪拌し、麺用水分散性ほぐれ剤(実施例品1)約500gを得た。
1リットル容ビーカーに果糖液糖(商品名:L−95、日本食品化工社製)460gを仕込み、レシチン(商品名:日清レシチンDX、日清オイリオ社製)15g、ジグリセリンオレイン酸エステル(商品名:ポエムDO−100V、理研ビタミン社製)25gを約70℃で加熱溶解後、還元澱粉糖化物に加えた。
ついで約80℃にて攪拌機(商品名:T.Kホモミクサー、特殊機化工業社製)で10000rpm、10分攪拌し、麺用水分散性ほぐれ剤(実施例品2)約500gを得た。
1リットル容ビーカーにグリセリン(ミヨシ油脂社製)465gを仕込み、レシチン(商品名:日清レシチンDX、日清オイリオ社製)25g、ジグリセリンオレイン酸エステル(商品名:ポエムDO−100V、理研ビタミン社製)10gを約70℃で加熱溶解後、還元澱粉糖化物に加えた。
ついで約80℃にて攪拌機(商品名:T.Kホモミクサー、特殊機化工業社製)で10000rpm、10分攪拌し、麺用水分散性ほぐれ剤(実施例品3)約500gを得た。
1リットル容ビーカーに還元澱粉糖化物(商品名:アマミール、東和化成工業社製)450gを仕込み、グリセリンクエン酸オレイン酸エステル(商品名:ポエムK−37V、理研ビタミン社製)25g、ジグリセリンオレイン酸エステル(商品名:ポエムDO−100V、理研ビタミン社製)25gを約70℃で加熱溶解後、還元澱粉糖化物に加えた。
ついで約80℃にて攪拌機(商品名:T.Kホモミクサー、特殊機化工業社製)で10000rpm、10分攪拌し、麺用水分散性ほぐれ剤(実施例品4)約500gを得た。
1リットル容ビーカーに還元澱粉糖化物(商品名:アマミール、東和化成工業社製)435gを仕込み、レシチン(商品名:日清レシチンDX、日清オイリオ社製)15g、ジグリセリンオレイン酸エステル(商品名:ポエムDO−100V、理研ビタミン社製)25g、グリセリンクエン酸オレイン酸エステル(商品名:ポエムK−37V、理研ビタミン社製)25gを約70℃で加熱溶解後、還元澱粉糖化物に加えた。
ついで約80℃にて攪拌機(商品名:T.Kホモミクサー、特殊機化工業社製)で10000rpm、10分攪拌し、麺用水分散性ほぐれ剤(実施例品5)約500gを得た。
1リットル容ビーカーに還元澱粉糖化物(商品名:アマミール、東和化成工業社製)465gを仕込み、レシチン(商品名:日清レシチンDX、日清オイリオ社製)10g、製造例で得られたトリグリセリンオレイン酸エステル(モノエステル体含有量約80質量%)25gを約70℃で加熱溶解後、還元澱粉糖化物に加えた。
ついで約80℃にて攪拌機(商品名:T.Kホモミクサー、特殊機化工業社製)で10000rpm、10分攪拌し、麺用水分散性ほぐれ剤(実施例品6)約500gを得た。
菜種油に186gにレシチン(商品名:日清レシチンDX、日清オイリオ社製)2g、ジグリセリンオレイン酸エステル(商品名:ポエムDO−100V、理研ビタミン社製)4g、エタノール8gを溶解し油脂調製物(比較例品1)約200gを得た。
水194gに酸化澱粉(商品名:MS#6100、日本食品化工社製)2g、プルラン(林原商事社製)2g、ジグリセリンオレイン酸エステル(商品名:ポエムDO−100V、理研ビタミン社製)2gを約70℃で加熱攪拌を行い、糖−乳化剤調製物(比較例品2)約200gを得た。
1リットル容ビーカーに還元澱粉糖化物(商品名:アマミール、東和化成工業社製)475gを仕込み、ジグリセリンオレイン酸エステル(商品名:ポエムDO−100V、理研ビタミン社製)25gを約70℃で加熱溶解後、還元澱粉糖化物に加えた。
ついで約80℃にて攪拌機(商品名:T.Kホモミクサー、特殊機化工業社製)で10000rpm、10分攪拌し、麺用水分散性ほぐれ剤(比較例品3)約500gを得た。ここでの比較品4は粘度が高くハンドリングを考えた場合、好ましい性状では無かった。
1リットル容ビーカーに還元澱粉糖化物(商品名:アマミール、東和化成工業社製)475gを仕込み、レシチン(商品名:日清レシチンDX、日清オイリオ社製)25gを約70℃で加熱溶解後、還元澱粉糖化物に加えた。
ついで約80℃にて攪拌機(商品名:T.Kホモミクサー、特殊機化工業社製)で10000rpm、10分攪拌し、麺用水分散性ほぐれ剤(比較例品4)約500gを得た。
100ミリリットル容ビーカーにレシチン(商品名:日清レシチンDX、日清オイリオ社製)10g、ジグリセリンオレイン酸エステル(商品名:ポエムDO−100V、理研ビタミン社製)25gを約70℃で加熱溶解し、麺用水分散性ほぐれ剤(比較例品5)35gを得た。
実施例1〜6で得られた麺用水分散性ほぐれ剤(実施例品1〜6)、または比較例1〜5で得られた調製物もしくは麺用水分散性ほぐれ剤(比較例品1〜5)を用いて、(1)室温下での水分散性を評価すると共に、下記方法によりノンフライ麺を製造し、該ノンフライ麺につき、(2)ほぐれ性および(3)スープの透明性を評価した。
[ノンフライ麺の製造]
(本発明の実施例品1〜6を用いるノンフライ麺の製造)
準強力粉(商品名:特ナンバーワン、日清製粉社製)700g、タピオカ澱粉(商品名:さくら、松谷化学社製)300gに粉末かんすい2g、食塩12g、水400gを配合し、ミキサーで10分混捏後、圧延、切出し(切刃#22丸、麺線厚み1mm)を行い得られた麺を蒸し器で10分間蒸し蒸し麺を得た。麺用水溶性ほぐれ剤(実施例品1〜6)1gを水20mlに分散した溶液を蒸した麺83gに均一に噴霧した。その後、熱風乾燥機により95℃で10分間、110℃で10分間乾燥しノンフライ麺を得た。
例1
実施例1同様に蒸し麺を作製後、油脂調製物(比較例品1)2gを水20mlに分散した溶液を蒸した麺83gに均一に噴霧した。その後、熱風乾燥機により95℃で10分間、110℃で10分間乾燥しノンフライ麺を得た。
実施例1と同様に蒸し麺を作製後、糖−乳化剤調製物(比較例品2)5gを蒸した麺83gに均一に噴霧した。その後、熱風乾燥機により95℃で10分間、110℃で10分間乾燥しノンフライ麺を得た。
実施例1と同様に蒸し麺を作製後、麺用水溶性ほぐれ剤(比較例品3)1gを水20mlに分散した溶液を蒸した麺83gに均一に噴霧した。その後、熱風乾燥機により95℃で10分間、110℃で10分間乾燥しノンフライ麺を得た。
実施例1と同様に蒸し麺を作製後、麺用水溶性ほぐれ剤(比較例品4)1gを水20mlに分散した溶液を蒸した麺83gに均一に噴霧した。その後、熱風乾燥機により95℃で10分間、110℃で10分間乾燥しノンフライ麺を得た。
実施例1と同様に蒸し麺を作製後、麺用水溶性ほぐれ剤(比較例品5)0.07gを水20mlに分散した溶液を蒸した麺83gに均一に噴霧した。その後、熱風乾燥機により95℃で10分間、110℃で10分間乾燥しノンフライ麺を得た。
(1)室温下での水分散性評価
実施例1〜6と比較例1〜5の麺用水分散性ほぐれ剤の室温下での水分散性を評価した。
各種調製物の室温下での水への分散性は、水98gに対して麺用水分散性ほぐれ剤(実施例品1〜6と比較例品1〜5)2gを添加し、水に分散する様子を以下に示す評価基準をもとに評価した。
◎:スパチュラで数回攪拌した際、調製物が分散する。
○:スパチュラで数回攪拌した際、調製物は完全には分散しない。
△:スパチュラで数回攪拌した際、調製物は分散するが、すぐに二層に分離する。
×:スパチュラで長時間攪拌しても、溶け残りがある。
ほぐれ性については実施例品1〜6と比較例品1〜5を用いて得られたノンフライ麺に、熱湯350gを注ぎ、蓋をして4分間放置した後、箸で麺をほぐし、麺を持ち上げた際、塊がなくなるまでほぐれる時間を測定し、以下に示す5段階で評価した。
5:ほぐれるまでの時間が10秒以下
4:ほぐれるまでの時間が11〜20秒
3:ほぐれるまでの時間が21〜30秒
2:ほぐれるまでの時間が31〜40秒
1:ほぐれるまでの時間が41秒以上
スープの透明感については、実施例品1〜6と比較例品1〜5を用いて得られたノンフライ麺に、熱湯350gを注ぎ、蓋をして4分間放置した後、麺を除き、2時間室温に放置した後、分光光度計(型式:U−3310、日立ハイテクノロジーズ社製)にて透過率の測定を行った。なお、評価は以下に示す基準にて評価した。
◎:透過率が75%以上
○:透過率が70%以上75%未満
△:透過率が65%以上70%未満
×:透過率が65%未満
結果は、下記表1の通りである。
製造例で得られた麺用水分散性ほぐれ剤(実施例品1)、または実施例4で得られた麺用水分散性ほぐれ剤(比較例品4)を用いて、割子そばを製造し、得られた割子そばの(1)ほぐれ性および(2)めんつゆの濁り度合を評価した。
尚、麺用水分散性ほぐれ剤を用いることなく製造した割子そばを、コントロールとした。
[割子そばの製造]
(本発明の実施例品1を用いた割子そばの製造)
強力粉(商品名:オーション、日清製粉社製)500g、そば粉(商品名:金寿 月、日穀製粉社製)300g、澱粉(商品名:あさがお、松谷化学社製)200g、グルテン(商品名:エマソフトEX−550、理研ビタミン社製)40g、乾燥卵白(商品名:リケンランパクR、理研ビタミン社製)10g、塩15g、水320gを配合し、ミキサーで10分混捏後、圧延、切出し(切刃#20角、麺線厚み1.5mm)を行い得られた麺100gを2分30秒茹で上げ、流水で約30秒水洗し、水切りし、水切り麺を得た。製造例1で得られた麺用水分散性ほぐれ剤(実施例品1)1gを水5gに分散後、水切り麺に均一に噴霧し、容器に入れ割子そばを得た。
水切り麺の作製は実施例品1を用いた場合と同様に行い、比較例4で得られた麺用水分散性ほぐれ剤(比較例品4)1gを水5gに分散後、水切り麺に均一に噴霧し、容器に入れ割子そばを得た。
水切り麺の作製は実施例品1を用いた場合と同様に行い、水切り麺に水5gを均一に噴霧後、容器に入れ割子そばを得た。
上記実施例品1および比較例品4により得られた割子そば、ならびにコントロールの割子そばを5℃で2日間保存後、めんつゆ35mlをかけ、その際のほぐれ性、および、めんつゆの濁りの評価を行った。
ほぐれ性については、割子そばにめんつゆをかけた後、箸で麺を動かし、麺線が1本ずつに離れるまでの時間を測定した。
めんつゆの濁りについては、上記ほぐれ性の評価後、めんつゆの濁り度合いを5人のパネラーの評点をもとに評価した。なお、評価は以下に示す5段階で評価し、平均値を評価値とした。
5:極めて良好(めんつゆが透明である)
4:良好(めんつゆが僅かに濁っている)
3:ほぼ良好(めんつゆが濁りが濁っている)
2:不良(めんつゆの濁りが大きい)
1:極めて不良(めんつゆが著しく濁っている)
結果は、下記表2の通りである。
Claims (4)
- (a)糖アルコールおよび単糖類からなる群から選ばれる1以上またはアルコール、(b)ジグリセリン脂肪酸エステルおよび/またはトリグリセリン脂肪酸エステル、および(c)グリセリンクエン酸脂肪酸エステルを含有し、食用油脂を含有しないことを特徴とする麺用水分散性ほぐれ剤。
- さらに、(d)レシチンを含有することを特徴とする請求項1記載の麺用水分散性ほぐれ剤。
- (b)ジグリセリン脂肪酸エステルまたはトリグリセリン脂肪酸エステル100質量%中、モノエステル体の含有量が50質量%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の麺用水分散性ほぐれ剤。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の麺用水分散性ほぐれ剤を用いて製造した麺類。
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