JP4635844B2 - 乳化安定剤および乳飲料 - Google Patents

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Description

本発明は乳化安定剤および乳飲料に関する。
近年、消費者の嗜好を反映してコーヒー豆本来の味を強調したコーヒー飲料が数多く製造、販売されているが、乳成分含有コーヒー飲料においては、保存時における乳成分の分離が従来より問題となっている。すなわち、乳成分含有コーヒー飲料においては、長時間の保存と共に上部に乳成分が浮上する。この現象はミルクコーヒー等ではよく知られているが、時間の経過と共に浮上した乳成分は、凝集、合一して、所謂ネックリングの状態へと至る。この場合、再分散性は悪くなり、再分散後も乳成分の塊が上部に浮遊した状態となる。
特に最近では、缶入り飲料に代わり、PETボトル入り飲料が普及してきているため、乳成分の乳化安定性がより重要視されている。これは、PETボトルは透明容器なので消費者はコーヒーの外観を見ることが出来、PETボトル飲料において乳成分の分離が起こった場合には、消費者に不快な印象を与え、商品価値が低下したり、クレームの原因につながる可能性があるためである。
更に、最近では、焙煎コーヒー豆量が多く、様々な焙煎度の豆を使用したPETボトル入り飲料が増えつつあるが、焙煎が深いコーヒー豆の抽出液と乳成分とを含むコーヒー飲料では、乳成分の浮上が速くなることが知られている。
自動販売機で加温下に長時間保存した場合でも、良好な乳化安定性と風味を維持するミルクコーヒーを製造するために、構成脂肪酸がパルミチン酸を主体とし且つモノエステル含有量が高いHLB10以上のショ糖脂肪酸エステルと構成脂肪酸がステアリン酸を主体とするHLB10未満のショ糖脂肪酸エステルとを組み合わせて添加する方法が知られている(特許文献1)。
また、PETボトル入りの乳飲料における長期間の乳化安定性を維持するために、構成脂肪酸がパルミチン酸を主体とし且つモノエステル含有量が高いHLB10以上のショ糖脂肪酸エステルと20重量%塩化ナトリウム水溶液中1重量%濃度で測定した曇点が90℃以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルとを組み合わせて添加する方法が知られている(特許文献2)。
また、乳成分含有飲料をレトルト殺菌した後に高温条件下で長期間保存した場合の耐熱性芽胞菌の発芽や増殖を抑制するため、更には、内容物の乳化安定性を維持するために、ジグリセリン脂肪酸モノエステルと、HLB3〜16のポリグリセリン脂肪酸エステル、HLB3〜16のショ糖脂肪酸エステル等を添加する方法が知られている(特許文献3)。
特開平7−289164号公報 特開2000−333599号公報 特開平10−165151号公報
従来の技術では、焙煎コーヒー豆量が多く焙煎が深いミルクコーヒーにおいて、乳化安定性が充分満足のいくものは得られていない。そこで、焙煎コーヒー豆量が多い場合や、焙煎が深いコーヒー豆を使用した場合でも、乳成分の浮上が抑制され、長期間保存しても凝集が起こらないコーヒー飲料の開発が望まれている。
そこで、本発明者は、鋭意検討した結果、乳飲料に特定の乳化安定剤を配合した場合に、乳成分の浮上が抑制され、乳化安定性が良好になることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の第1の要旨は、平均重合度が2〜5のポリグリセリンの脂肪酸エステルであって、モノエステル含有量が50重量%以上であるポリグリセリン脂肪酸エステル(A)、平均重合度が8〜20のポリグリセリンの脂肪酸エステルであって、20重量%塩化ナトリウム水溶液中1重量%濃度で測定した曇点が80℃以上であるポリグリセリン脂肪酸エステル(B)及び有機酸モノグリセリド(C)を含有し、該ポリグリセリン脂肪酸エステル(A)と該ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)の含有割合が、(A)/(B)=0.8〜5であり、該有機酸モノグリセリド(C)と該ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)の含有割合が、(C)/(B)=0.1〜10であることを特徴とする乳化安定剤に存する。そして、本発明の第2の要旨は、上記の乳化安定剤を含有することを特徴とする乳飲料に存する。
本発明の乳飲料は、特定の乳化安定剤を添加することにより、加熱殺菌後の乳成分の浮上を抑制することが出来、更に、長期間保存後の乳化安定性も良好である。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の乳化安定剤は、平均重合度が2〜5のポリグリセリンの脂肪酸エステルであって、モノエステル含有量が50重量%以上であるポリグリセリン脂肪酸エステル(A)、平均重合度が8〜20のポリグリセリンの脂肪酸エステルであって、20重量%塩化ナトリウム水溶液中1重量%濃度で測定した曇点が80℃以上であるポリグリセリン脂肪酸エステル(B)及び有機酸モノグリセリド(C)を含有し、該ポリグリセリン脂肪酸エステル(A)と該ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)の含有割合が、(A)/(B)=0.8〜5であり、該有機酸モノグリセリド(C)と該ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)の含有割合が、(C)/(B)=0.1〜10である
本発明で使用するポリグリセリン脂肪酸エステル(A)は、平均重合度が2〜5のポリグリセリンの脂肪酸エステルであり、そのポリグリセリンとして、例えば、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン等が挙げられるが、中で、ジグリセリンが好ましい。また、ポリグリセリン脂肪酸エステル(A)は、モノエステル含有量が50重量%以上であるが、70重量%以上であることが好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステル(A)の構成脂肪酸の炭素数は、通常8〜22、好ましくは10〜22、更に好ましくは14〜18である。構成脂肪酸は、飽和または不飽和の何れでもよいが、好ましくは飽和脂肪酸である。具体的には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸などが例示されるが、中でもパルミチン酸が好ましい。構成脂肪酸は2種以上組み合わせて使用してもよい。モノエステル含有量が70重量%以上であり且つパルミチン酸を主成分(好ましくは80重量%以上)とするものは、高温芽胞菌の増殖を抑制する効果が高くて好ましい。
本発明で使用するポリグリセリン脂肪酸エステル(B)は、平均重合度が8〜20のポリグリセリンの脂肪酸エステルであり、平均重合度が8〜12のポリグリセリンが好ましい。また、ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)を構成する脂肪酸の具体例としては、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸などの炭素数14〜22の飽和または不飽和の脂肪酸が挙げられる。その中でも、炭素数14〜18の脂肪酸が好ましく、飽和脂肪酸が好ましい。特にミリスチン酸を主成分とするものが好ましい。
また、ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)は、20重量%塩化ナトリウム水溶液中1重量%で測定した曇点が80℃以上であるものであり、同条件で測定した曇点が90℃以上である高親水性のポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。
上記の様な曇点を有するポリグリセリン脂肪酸エステルは、通常、ポリグリセリンに対する脂肪酸の使用比率を小さくし、アルカリ触媒存在下に、180〜260℃の温度で反応させることにより得られる。ポリグリセリン脂肪酸エステルに対する脂肪酸の使用比率は、通常2モル倍以下である。アルカリ金属触媒としては、K2 CO3 、KOH、Na2 CO3 、NaOH等が使用され、その使用割合はポリグリセリンに対して5×10-7〜1モル倍である。
曇点が90℃以上のポリグリセリン脂肪酸エステルは、通常、アルカリ触媒の量を減じ(ポリグリセリンに対して5×10-7〜0.1モル倍)、2段階反応で後半の温度を高める方法、例えば、反応温度180〜260℃でのエステル化反応後に、更に反応温度を10〜50℃上昇させて1〜4時間反応させる方法で得ることが出来る(特開平7−145104号公報参照)。
ポリグリセリン脂肪酸エステル(以下、「PoGE」と略することがある)の分析には、これまで種々の化学的分析方法が使用されてきた。例えば、エステル化度や残存脂肪酸量を把握するため、酸価、ケン化価、水酸基価がしばしば使用されてきた。また、石鹸や残存触媒量を知るための灰分の分析などによる評価方法も使用されてきた。
しかし、PoGEの原料のポリグリセリン(以下、「PoG」と略することがある)は、グリセリンの重縮合物であり、精製が困難であるため、重合度分布を有し、直鎖状重合体ばかりでなく分岐重合体や環状重合体などを含む。従って、そのエステル体であるPoGEは、PoG骨格が異なる種々のエステル化度のPoGEと未反応PoGとを含む組成物となる。更に、PoGEには、エステル化反応に使用されるアルカリ触媒と原料の脂肪酸との反応で生ずる副生成物の石鹸が含まれることがある。更に、エステル化反応が不十分な場合、化学量論量を超えた脂肪酸が過剰に使われた場合などには、未反応の脂肪酸が含まれることもある。
この様に、PoGEは複雑な混合物であるために、従来の化学分析では、PoGEの総合的特性を特定することが困難である。例えば、PoGEの平均エステル化度が近似または同じであっても、乳化安定性などの物性が格段に異なることもあり、平均エステル化度、未反応PoG量などの様に、従来の化学的分析手法による物性値のみでは物性を十分に把握できず、物性評価方法において不都合が生じている。そこで、近年、ポリグリセリン脂肪酸エステル組成物の総合的特性を規定するため、「曇点」が採用されている。
一般に、曇点は、エチレンオキシドより誘導された非イオン界面活性剤水溶液が温度の上昇により2相に分離し不均質となる現象の起こる温度として定義され、ポリオキシエチレン系界面活性剤の物性評価方法として良く知られている(油脂用語辞典:日本油化学協会編(幸書房))。曇点は、ポリグリセリン脂肪酸エステルの構造・組成に敏感であり、脂肪酸石鹸を反映するため、親水性の程度や組成の違いをより正確に識別することが出来、しかも、簡便に測定できる。従って、曇点は、ポリグリセリン脂肪酸エステル組成物の特徴を代表する物性として最も優れており、ポリグリセリン脂肪酸エステル組成物においては、曇点はHLB(親水性と疎水性のバランス)等よりも有用な指標になる。
ポリグリセリンは、多数の水酸基を持つために、ポリオキシエチレン系の界面活性剤と比較すると、全般的に曇点が高く、水の沸点を超えることもある。その様な場合、適当な塩水溶液を使用することにより、測定を容易化することが出来る(特開平9−157386号公報)。通常、親水性が高いほど曇点は高くなり、エステル化率が同じであってもモノエステル含有量が多いほど曇点は高くなる。
曇点の測定は、通常、1〜30重量%の塩化ナトリウム又は硫酸ナトリウム水溶液にポリグリセリン脂肪酸エステルを溶解した後に行う。その際の条件は、対象となる試料の溶解性により異なるが、本発明の場合、ポリグリセリン脂肪酸エステルを1重量%となる様に20重量%塩化ナトリウム水溶液に分散し、加熱しながら攪拌し、均一な水溶液とする。そして、得られたポリグリセリン脂肪酸エステル均一水溶液を、0℃以上100℃以下の任意の温度で2〜5℃刻みに振とう攪拌・静置し、ポリグリセリン脂肪酸エステルが油状またはゲル状の様に分離し、不均一水溶液となった状態を測定する。この不均一状態を「曇点」と呼び、本発明ではその温度を求める。上記の測定温度範囲を定めた理由は次の通りである。すなわち、0℃未満では氷の融点以下、100℃を超える場合は水の沸点以上になるため、正確な曇点測定が困難となる。
本発明の乳化安定剤に使用される有機酸モノグリセリド(C)は、グリセリンに脂肪酸と多価カルボン酸が結合したものである。脂肪酸の具体例としては、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸などの炭素数8〜22の飽和または不飽和の脂肪酸が挙げられるが、飲料中で使用する場合は風味の点からステアリン酸を主成分とするものが好ましい。また、多価カルボン酸としては、例えばコハク酸、クエン酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸、リンゴ酸、アジピン酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸などが挙げられるが、中でも通常食品用途に使用されるコハク酸、クエン酸、ジアセチル酒石酸を好ましく用いることができ、特にコハク酸が好ましい。なお、多価カルボン酸の部分塩若しくは完全塩は、保存中にエステル部分が分解する恐れがあること、および食品用途に使用できない可能性があることなどから使用するのは好ましくない。
このような有機酸モノグリセリドは水への分散性に優れていないが、アルカリ金属塩などの無機塩により中和することで炭素数の長い脂肪酸モノグリセリドも加熱攪拌により簡単に水に分散することが可能となる。この場合、有機酸モノグリセリドを予め中和せず、有機酸モノグリセリドと炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムのようなアルカリ金属塩を粉体の状態で混合し、この混合物を水と混合することが有機酸モノグリセリドの分解を押さえることからも好ましい。
本発明の乳化安定剤における各成分の含有割合は次の通りである。すなわち、ポリグリセリン脂肪酸エステル(A)とポリグリセリン脂肪酸エステル(B)との含有割合は、(A)/(B)=0.8〜5であるのが好ましく、1〜2であるのが特に好ましい。また、有機モノグリセリド(C)の含有割合は、(C)/(B)=0.01〜1であるのが好ましく、0.1〜10であるのが特に好ましい。
本発明で使用する乳飲料としては、ミルクコーヒー、ミルクティー等が挙げられるが、特にミルクコーヒーが好ましい。本発明の乳飲料で使用するコーヒー豆は、特に限定されず、2種類以上のコーヒー豆を混合して使用してもよい。通常、焙煎されたコーヒー豆が使用される。焙煎の方法としては、直火式焙煎機、熱風式焙煎機などの装置を使用し、200〜300℃の温度で目標のL値になるまで加熱を行う。
L値はコーヒー豆の焙煎の程度を表すために使用される指標である。L値はコーヒー焙煎豆の明度を色差計で測定した値であり、黒をL値0で、白をL値100で表す。従って、コーヒー焙煎豆の焙煎が深いほど焙煎豆の色は黒っぽくなるため、L値は低い値となり、コーヒー飲料の苦みが強くなる。逆に、焙煎が浅いほどL値は高い値となり、酸味が強くなる。通常、コーヒー飲料の製造には、L値が15〜35の焙煎度のコーヒー豆が使用される。L値が15未満の場合はコーヒー飲料の苦みが強くなり過ぎ、L値が35を超える場合は酸味が強くなり過ぎる。
コーヒー抽出液は次の様にして得られる。先ず、コーヒーミル等を使用し、焙煎されたコーヒー豆を所定の粒度となる様に粉砕する。次いで、熱水で抽出する。具体的には、通常、90〜98℃の熱水中に粉砕したコーヒー豆を投入し、10分間ほど攪拌後、濾過により不溶分を取り除く。
本発明の乳飲料において、乳飲料に含まれるコーヒー抽出液の含有量は、生豆換算の値として、通常5〜10重量%、好ましくは5〜7重量%である。コーヒー抽出液の含有量が生豆換算で5重量%未満の場合には、本発明の乳化安定剤を使用しても乳成分の浮上の抑制が不十分となる場合がある。また、コーヒー抽出液の含有量が生豆換算で10重量%を超える場合には、コーヒーの苦みが強すぎてミルクコーヒーとして好ましくない。
本発明の乳飲料に使用する乳成分としては、牛乳、全脂粉乳、スキンミルクパウダー、フレッシュクリーム等が挙げられる。また、乳成分は、脱脂粉乳などの蛋白質とバターやミルクオイル等の乳脂とを個別に加えて調製してもよい。中でも、牛乳は、粉乳よりも口当たりの滑らかさを損なわないために好適である。乳飲料中の乳成分の含有量は、通常、牛乳換算値として10〜60重量%であるが、本発明の乳飲料では15〜30重量%であるのが好ましい。
本発明の乳飲料には、その他の乳化安定剤、砂糖、香料、ビタミン等の公知の配合剤を加えてもよい。その他の乳化安定剤として、レシチン、リゾレシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等を例示できる。
本発明の乳飲料は次の様にして調製することが出来る。すなわち、コーヒーや紅茶抽出液と砂糖および牛乳などの乳成分を混合した後、予め調製した乳化安定剤の水溶液を混合し、更に、pH調整剤(重曹など)を加えてpHを調整した後にホモジナイザーを使用して均質化処理を行なう。
乳飲料の調製の際、乳飲料に加えるその他の成分を乳化安定剤に含有させてもよく、また、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びモノエステル含有量が50重量%以上のジグリセリン脂肪酸エステルは、それぞれ、個別に他の成分と混合してもよい。
本発明の乳飲料に対する乳化安定剤の含有量は通常0.05〜0.3重量%である。また、乳化安定剤を構成する成分の乳飲料中の濃度は次の通りである。すなわち、ポリグリセリン脂肪酸エステル(A)の含有量は0.03〜0.1重量%、ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)の含有量は0.01〜0.1重量%、有機酸モノグリセリド(C)の含有量は0.001〜0.1重量%であるのがそれぞれ好ましい。
pH調整の際、炭酸水素ナトリウムの添加量が多すぎると、炭酸水素ナトリウムの加熱臭が生じ、コーヒー本来の香りが変化する。従って、ミルクコーヒーのpHは、通常5.0〜7.0、好ましくは6.0〜6.7である。
上述の様にして調製された乳飲料には加熱殺菌が施される。殺菌方法は、レトルト殺菌、UHT殺菌の何れでもよいが、UHT殺菌が好ましい。本発明で使用するUHT殺菌は、殺菌温度130〜150℃で、121℃の殺菌価(Fo)が10〜50に相当する様な超高温殺菌である。UHT殺菌は、飲料に直接蒸気を吹き込むスチームインジェクション式、飲料を水蒸気中に噴射して加熱するスチームインフュージョン式などの直接加熱方式、プレートやチューブ等の表面熱交換器を使用する間接加熱方式など公知の方法で行うことが出来る。好ましい装置はプレート式殺菌装置である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、以下の諸例で使用した評価方法は次の通りである。
(1)メジアン粒径(μm)
ミルクコーヒーを40℃で4週間保存し、HORIBA社製「LA−920」によりメジアン粒径(粒径の出現頻度の合計が50%となる粒径)を測定する。
(2)オイルオフ
ミルクコーヒーを40℃で4週間保存し、乳化破壊により液面に油滴が発生するオイルオフを以下の基準により評価した。
○ :オイルオフが観察されない。
△ :僅かなオイルオフが観察される。
× :明らかなオイルオフが観察される。
××:オイルの凝集(粒)が観察される。
(3)クリームオフ量
ミルクコーヒーを40℃で4週間保存し、液面に形成されたミルクリングの厚さを計測し、以下の基準により評価した。
◎:2mm未満。
○:2mm以上3mm未満。
△:3mm以上4mm未満。
×:4mm以上。
(4)静菌試験
ミルクコーヒーをTDTチューブに2mlずつ分注し、これらに耐熱性芽胞菌であるMoorella thermoaceticaを103 cfu/ml接種後、チューブを溶封した。TDTチューブは、各試験区につき5本ずつ調製し、菌無接種区をブランクとして各試験区につき3本ずつ準備した。これらを55℃の恒温器にて6週間保存し、変敗の有無を検査した。変敗の有無は保存後のミルクコーヒー液のpH低下および目視により確認した。
実施例1、2
乳化安定剤として、表1に記載の各成分から成る乳化安定剤を使用し、以下の処方でミルクコーヒーを調製した。なお、表1において、乳化安定剤の各成分の比率は、乳飲料中の濃度(重量ppm)として示されている。
先ず、L値20の焙煎コーヒー豆(コロンビアEX)0.6kgを95℃の脱塩水7.8kgで抽出し、コーヒー抽出液を得た。そして、コーヒー抽出液5.25kgに、牛乳2.0kg、グラニュー糖0.5kg、以下の要領で調製した乳化安定剤水溶液1.0kgを加え、更に脱塩水1.25kgを加え、全量を10kgとした。この溶液に重曹を加えて殺菌後のpHが6.6となる様に調整した。
上記の乳化安定剤水溶液は、表1に記載の各成分を使用し、50℃の脱塩水に表1に記載された濃度となる様に計算された量の各成分を溶解して調製した。
次いで、高圧ホモジナイザーを使用し、60〜70℃の温度で150kg/50kgの圧力で均質化後、プレート式UHT殺菌装置(日阪製作所製「STS−100」)により、殺菌温度137℃、殺菌時間(ホールド時間)60秒の条件で殺菌し(Fo=40)、無菌状態で100mlの耐熱ガラス瓶に充填し、ミルクコーヒーを得た。評価結果を表2に示す。
比較例1〜5
実施例1において、表1に記載の乳化安定剤を使用した以外は、実施例1と同様に行った。評価結果を表2に示す。
Figure 0004635844
Figure 0004635844

Claims (9)

  1. 平均重合度が2〜5のポリグリセリンの脂肪酸エステルであって、モノエステル含有量が50重量%以上であるポリグリセリン脂肪酸エステル(A)、
    平均重合度が8〜20のポリグリセリンの脂肪酸エステルであって、20重量%塩化ナトリウム水溶液中1重量%濃度で測定した曇点が80℃以上であるポリグリセリン脂肪酸エステル(B)
    及び有機酸モノグリセリド(C)を含有し、
    該ポリグリセリン脂肪酸エステル(A)と該ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)の含有割合が、(A)/(B)=0.8〜5であり、
    該有機酸モノグリセリド(C)と該ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)の含有割合が、(C)/(B)=0.1〜10である
    ことを特徴とする乳化安定剤。
  2. 有機酸モノグリセリド(C)がコハク酸モノグリセリドである請求項1に記載の乳化安定剤。
  3. 請求項1または2に記載の乳化安定剤を含有することを特徴とする乳飲料。
  4. 乳飲料に対する乳化安定剤の含有量が0.05〜0.3重量%である請求項3に記載の乳飲料。
  5. 乳飲料に対して、ポリグリセリン脂肪酸エステル(A)の含有量が0.03〜0.1重量%、ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)の含有量が0.01〜0.1重量%、有機酸モノグリセリド(C)の含有量が0.001〜0.1重量%である請求項3又は4に記載の乳飲料。
  6. 乳飲料がUHT殺菌されたものである請求項3乃至5のいずれかに記載の乳飲料。
  7. 乳飲料がミルクコーヒーである請求項3乃至6のいずれかに記載の乳飲料。
  8. 乳飲料に含有されるコーヒー抽出液がL値15〜35の焙煎度のコーヒー豆より抽出されたものである請求項7に記載の乳飲料。
  9. 乳飲料に含有されるコーヒー抽出液の含有量が生豆換算で5〜10重量%である請求項7又は8に記載の乳飲料。
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