JP4318392B2 - 乳化安定剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、飲料用乳化安定剤およびそれを含有する飲料に関するものである。詳しくは水分散性に優れた乳化安定剤、および該乳化安定剤を含有し加熱殺菌を施した際の熱安定性および長期間の保存安定性に優れた飲料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的に乳飲料は長期保存のために加熱殺菌処理を経て製造されるが、生残する耐熱性の強い高温芽胞菌の増殖による変敗を防止するために蔗糖脂肪酸エステルを添加することが広く行われている。また、保存中における乳化破壊による脂肪の遊離や蛋白質の凝集の発生を抑制し乳化安定性を長期間保持するために、ポリグリセリン脂肪酸エステルと有機酸モノグリセリドを併用する方法が提案されている(特開平6−121640号公報)。
【0003】
一方、有機酸モノグリセリドはマーガリン、スプレッド、アイスクリーム、バタークリーム、ホイップクリームなどのO/WまたはW/O乳化物に乳化剤として、パン、麺類、ケーキなどの蛋白質、澱粉を主体とした食品の物性改良剤として、さらにはミルクコーヒー、ミルクティーなどの乳飲料に対しても乳化安定剤として使用されている。その使用方法としては、ホイップクリーム、マーガリンなど油含量が比較的多い乳化物に対しては油に溶解する、また蛋白質、澱粉系の食品に対しては有機酸モノグリセリドを原料とともに混合し生地を調製するものである。このように、有機酸モノグリセリドは水よりもむしろ油によく分散、溶解する性質がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、通常飲料はマーガリンやホイップクリームと比較すると油含量が僅かであるため、有機酸モノグリセリドを飲料用途に使用する場合には、溶解性の点から乳化剤助剤として少量添加されるのが一般的である。このため、有機酸モノグリセリドが本当に飲料中に均一に分散しているのか疑問であった。
また、有機酸モノグリセリドの添加量を増大する場合、例えば乳飲料を調製する際に、砂糖、牛乳、コーヒー抽出液等と有機酸モノグリセリドとの混合において、有機酸モノグリセリドが完全に分散、溶解せずに「ままこ」の状態になってしまうことから飲料中に均一に分散しにくい欠点があった。また、このような「ままこ」が存在する状態で飲料を均質化した場合、均質化圧力が急激に上昇するなど工程上の問題点が生じていた。
【0005】
有機酸モノグリセリドの水分散性、作業性を改善するために蛋白質、セルロースなどと混合する方法(特開平9−206045号公報)があるが、水分散性、作業性が向上したとしても、飲料などに使用した場合に共存する物質が悪影響を与える可能性がある。
有機酸モノグリセリドの水分散性を向上させるために、予め有機酸モノグリセリドを無機塩により部分的にまたは完全に中和して使用する方法(特許第2732918号)もあるが、この方法では有機酸モノグリセリドが保存中に分解する恐れがあるため中和してすぐに使用する必要があった。また、予め中和した有機酸モノグリセリドは灰分の量が食品添加物の規格値を超えるために、食品用途には使用できなかった。
有機酸モノグリセリドが飲料において乳化剤としての機能を発現するためには、飲料中で均一に分散しなければならないが、上記のような問題点が存在するため、その添加量に制限があること、予め中和したものは飲料には使用できないことなどの不具合を解決する必要があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような問題点を解決すべく本発明者らは鋭意検討した結果、有機酸モノグリセリドを予め中和せず、有機酸モノグリセリドと無機酸のアルカリ金属塩の粉体混合物を水と混合することにより有機酸モノグリセリドの水分散性を向上させ、飲料の乳化安定性を長時間持続できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、下記一般式(1)で表される有機酸モノグリセリドと無機酸のアルカリ金属塩の粉体混合物を含有する乳化安定剤、及びこれにショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有した乳化安定剤に存する。
【0007】
【化2】
Figure 0004318392
【0008】
(式中のR1CO−は脂肪酸残基、R2は2つ以上のカルボキシル基を有する多
価カルボン酸から1個のカルボキシル基を除いた残基を表す。)
本発明の第二の要旨は、前記乳化安定剤より調製された、有機酸モノグリセリドのアルカリ金属塩、ショ糖脂肪酸エステル、及びポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する飲料に存する。
本発明の第三の要旨は、前記乳化安定剤より調製された、有機酸モノグリセリドのアルカリ金属塩、ショ糖脂肪酸エステル、及びポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する乳化安定剤水溶液に存する。
本発明の第四の要旨は、有機酸モノグリセリド、無機酸のアルカリ金属塩、ショ糖脂肪酸エステル、及びポリグリセリン脂肪酸エステルを水と混合することから成る乳化安定剤水溶液の製造方法に存する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、前記一般式(1)で表される有機酸モノグリセリド及び無機酸のアルカリ金属塩の粉体混合物を含有する乳化安定剤に関するものである。
【0010】
本発明の乳化安定剤に使用される有機酸モノグリセリドは前記一般式(1)で表され、式中、R1CO−は脂肪酸残基である。脂肪酸の具体例としては、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸などの炭素数8〜22の飽和または不飽和の脂肪酸が挙げられる。飲料中で使用する場合は風味の点からステアリン酸を主成分とするものが好ましい。
2は2つ以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸から1個のカルボキシル基を除いた残基(少なくとも1つのカルボキシル基を有する残基)である。当該残基の炭素数は一般に3〜5である。この多価カルボン酸としては、例えばコハク酸、クエン酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸、リンゴ酸、アジピン酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸などが挙げられるが、中でも通常食品用途に使用されるコハク酸、クエン酸、ジアセチル酒石酸を好ましく用いることができ、特にコハク酸が好ましい。
なお、R2が予め多価カルボン酸の部分塩若しくは完全塩になったものは、保存中にエステル部分が分解する恐れがあること、および食品用途に使用できない可能性があることなどから使用するのは好ましくない。
【0011】
本発明に用いられる有機酸モノグリセリドは、一般的にはクエン酸やコハク酸などの酸無水物と脂肪酸の炭素数が8〜22の脂肪酸モノグリセリドを反応させることにより得られる。反応は通常、無溶媒条件下で行われ、例えば無水コハク酸と脂肪酸の炭素数が18の脂肪酸モノグリセリドの反応では、温度120℃前後において90分程度で反応が完了する。このとき、脂肪酸モノグリセリドが完全に融解してから酸無水物を添加するのが好ましい。また、酸無水物と脂肪酸モノグリセリドの比率は重量比で1/1〜2/1がよく、酸無水物が少ない場合は未反応の脂肪酸モノグリセリドが多量に存在し、一方酸無水物が多すぎると脂肪酸モノグリセリドに有機酸が2分子結合したものや他のエステル化など多数の副反応がおこることから好ましくない。
脂肪酸モノグリセリドとしては、脂肪酸の炭素数が同じものを使用しても炭素数が異なるものを複数混合したものを用いてもよい。また、有機酸の酸無水物も同一の有機酸から得られる酸無水物を使用しても複数の有機酸から得られる酸無水物を用いてもよい。さらに、反応中は生成物の着色、臭気を防止するために、反応器内を不活性ガスで置換するのが好ましい。
得られた酸無水物と脂肪酸モノグリセリドとの反応混合物は、有機酸モノグリセリドの他に有機酸、未反応モノグリセリド、ジグリセリド、その他オリゴマーを有している。このような混合物をそのまま用いても構わないが、有機酸モノグリセリドの純度を高めるために、市販されている蒸留有機酸モノグリセリドを使用することが好ましい。
【0012】
上記方法で得られた前記一般式(1)で表される有機酸モノグリセリドを水中で加熱攪拌した場合、脂肪酸の炭素数が短いものは溶解したかのように見えるが、よく見ると水中で油滴を形成して分散しており、まもなくすると油滴が水面に浮上、合一して油が分離したような状態が観察される。脂肪酸の炭素数が長くなるにつれて、この現象は顕著になり、例えば脂肪酸の炭素数18の有機酸モノグリセリドの場合は沸騰水中に投入しても全く分散せず、水面に浮かんだままであり、室温まで冷却すると水面でゲル状となる。
しかし、無機酸のアルカリ金属塩により中和することで脂肪酸の炭素数が長い脂肪酸モノグリセリドも加熱攪拌により簡単に水に分散することが可能となる。この場合、有機酸モノグリセリドを予め中和せず、有機酸モノグリセリドとアルカリ金属塩を粉体の状態で混合し、この混合物を水と混合する方法が、有機酸モノグリセリドの分解を押さえることからも好ましい。
【0013】
本発明の乳化安定剤に含有されるアルカリ金属塩は、無機酸のアルカリ金属塩であり、例えば炭酸水素カリウム、炭酸カリウムなどのような炭酸または重炭酸のカリウム塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムのような炭酸又は重炭酸のナトリウム塩を用いることができるが、中でも炭酸カリウムは、有機酸モノグリセリド水溶液の粘度を低下させることが出来るので、好ましい。
アルカリ金属塩は有機酸モノグリセリドに対して当量中和できる量だけ添加するのが好ましく、添加量が少なすぎる場合は有機酸モノグリセリドのカルボン酸部分のイオン化が不十分であるために水中で上手く分散せず、添加量が多すぎる場合は、水中に分散した時に系全体のpHに悪影響をおよぼすことがある。
【0014】
本発明の乳化安定剤には、抗菌剤としてショ糖脂肪酸エステルを併用することが好ましい。ショ糖脂肪酸エステルとしては、モノエステル含量が50重量%以上であり、構成脂肪酸の70重量%以上がパルミチン酸またはステアリン酸のものが好ましく、特に、抗菌性を有する乳化剤として広く利用されている、モノエステル含量が70重量%以上であり、構成脂肪酸の80重量%以上がパルミチン酸であるショ糖脂肪酸エステルが最も好ましい。
本発明の乳化安定剤には、乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを併用することが好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステルはポリグリセリンと脂肪酸との反応により得られるエステル化率の異なる種々のエステル体と未反応ポリグリセリンの混合物であり、20重量%塩化ナトリウム水溶液中1重量%で測定した曇点範囲が80℃以上で残存ポリグリセリンの量が70重量%以下であるものが好ましい。このような曇点範囲を有するポリグリセリン脂肪酸エステル組成物を得るためにはポリグリセリンに対して脂肪酸の仕込比率を小さくし、アルカリ触媒存在下に、180〜260℃の温度で反応させることにより得られる。一般に、仕込み比率は脂肪酸がポリグリセンに対して2モル倍以下であり、アルカリ金属触媒はK2CO3,KOH,Na2CO3,NaOHなどをポリグリセリンに対して5x101-7〜1モル倍用いる。
【0015】
さらに曇点範囲が高い、例えば20重量%塩化ナトリウム水溶液中1重量%で測定した曇点範囲が90℃以上のものを得るためには通常、アルカリ触媒の量を減じ(例えば、K2CO3,KOH,Na2CO3,NaOHなど、ポリグリセリンに対して5×101-7〜0.1モル倍用いる)て、2段階反応で後半の温度を高める方法、例えば、反応温度180〜260℃でのエステル化反応後に、さらに反応温度を10〜50℃上昇させて1〜4時間反応させる方法を用いることができる。(特開平7−145104号公報参照)。
【0016】
曇点測定法としては、通常、1〜30重量%の塩化ナトリウム又は硫酸ナトリウム水溶液にポリグリセリン脂肪酸エステルを溶解した後、測定する必要があり、その条件は対象となる試料の溶解性により異なるが、本発明の測定法について説明する。本発明の場合、先ず、ポリグリセリン脂肪酸エステルを1重量%となるように20重量%塩化ナトリウム水溶液に分散し、加熱しながら攪拌し、均一な水溶液とする。そして得られたポリグリセリン脂肪酸エステル均一水溶液を、0℃以上100℃以下の任意の温度で2〜5℃刻みに振とう攪拌・静置し、ポリグリセリン脂肪酸エステルが油状あるいはゲル状の如く分離し、不均一水溶液となった状態を測定する。この不均一状態を「曇点」と呼び、本発明ではその温度を求める。0℃未満では氷の融点以下、100℃を越えると水の沸点以上となるために、正確な水溶液状態の観察が難しく曇点測定が困難となるので好ましくない。
ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の具体例としては、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸などの炭素数14〜22の飽和または不飽和の脂肪酸が挙げられ、特にステアリン酸を主成分とするものが好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンの重合度としては、通常は平均重合度が2〜20、好ましくは平均重合度が4〜12である。
【0017】
本発明の乳化安定剤は、好ましくは、有機酸モノグリセリド、無機酸のアルカリ金属塩、ショ糖脂肪酸エステル、及びポリグリセリン脂肪酸エステルの4成分からなるが、その混合順序は特に限定されず、これらを一度に混合することが工程上都合がよい。この場合は、混合粉体の均一性を保つために、有機酸モノグリセリド、アルカリ金属塩、ショ糖脂肪酸エステル、及びポリグリセリン脂肪酸エステルの粒径、嵩密度などを揃えるのが好ましい。
本発明の乳化安定剤における有機酸モノグリセリド、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルの配合比は、一般に、1〜100:30〜100:10〜100(重量比)であり、アルカリ金属塩は有機酸モノグリセリドを中和できる量である。
本発明の乳化安定剤は、直接飲料に添加することも出来るが、一般的には、この乳化安定剤を水と混合して乳化安定剤水溶液とし、これを飲料に添加する。
乳化安定剤水溶液の製造法としては、例えば、有機酸モノグリセリド、アルカリ金属塩、ショ糖脂肪酸エステル、及びポリグリセリン脂肪酸エステルの4成分を一度に混合して乳化安定剤を製造し、これに水を添加し、50〜60℃で攪拌することが工程上都合がよい。
【0018】
しかし、有機酸モノグリセリドを速やかに水中に分散させるために、ショ糖脂肪酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エステルの混合物を予め水に溶解または分散させ、続いてこれに有機酸モノグリセリドとアルカリ金属塩の粉体混合物を加えて乳化安定剤水溶液を作ることがより好ましい。
また、アルカリ金属塩を予め水に溶解しておき、この水溶液に有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及び蔗糖脂肪酸エステルを添加してもよい。
また、本発明の乳化安定剤水溶液中への各成分量の添加量は、有機酸モノグリセリドは0.001〜0.1重量%、アルカリ金属塩は有機酸モノグリセリドを当量中和できる量、ショ糖脂肪酸エステルは0.03〜0.1重量%、ポリグリセリン脂肪酸エステルは0.01〜0.1重量%である場合が飲料殺菌後の乳化安定性を長期間保つことから好ましい。
【0019】
尚、本発明においては、有機酸モノグリセリドを水に分散させ乳化安定剤の水溶液を調製するにあたり、アルカリ金属塩を同時に混合し、水中で有機酸モノグリセリドをアルカリ金属塩と反応させ、有機酸モノグリセリドのアルカリ金属塩とすることが特徴である。従って、有機酸モノグリセリド、アルカリ金属塩、ショ糖脂肪酸エステル、及びポリグリセリン脂肪酸エステルの4成分を含有する乳化安定剤を水と混合すると、有機酸モノグリセリドのアルカリ金属塩、ショ糖脂肪酸エステル、及びポリグリセリン脂肪酸エステルの3成分を含有する水溶液になる。
【0020】
本発明の乳化安定剤を添加する飲料としては、牛乳、ミルクコーヒー、ミルクティー、豆乳など乳成分である乳脂肪、乳蛋白質を含有するものである。乳成分としては、牛乳、全脂粉乳、スキンミルクパウダー、フレッシュクリーム等が挙げられるが、脱脂粉乳などの蛋白質とバターやミルクオイル等の乳脂とを個別に加えて調整してもよい。乳成分の含量は、牛乳換算で5〜60重量%、好ましくは10〜25重量%である。乳飲料のpHとしては、通常、5.5〜7.0の中性または弱酸性であることが好ましい。勿論、この他、砂糖、香料、ビタミンなどの公知の配合剤や本発明の乳化安定剤以外の乳化剤、安定剤を加えてもよい。
【0021】
本発明の乳化安定剤を添加した飲料は、殺菌処理、特にUHT殺菌のような殺菌温度130〜150℃で121℃の殺菌価(F0)が10〜50に相当するような超高温殺菌を施しても殺菌直後の乳化物の耐熱性が高く、さらに長期間の乳化安定性を保持することができる。このため、通常121℃、20〜40分でレトルト殺菌される缶飲料はもちろんのこと、UHT殺菌後に無菌充填されるPETボトル用飲料なども含まれる。
飲料中の本発明の乳化安定剤の添加量は、一般に0.01〜0.5重量%、好ましくは0.03〜0.3重量%である。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、比、%および部はいずれも重量比、重量%および重量部を表す。
【0023】
[実施例1、2]<コハク酸モノグリセリドの水分散性の評価>
コハク酸モノグリセリド(理研ビタミン(株)製、商品名;ポエムBー10)と炭酸カリウムの粉体混合物の水分散性を目視による判定で評価した。評価試験は、コハク酸モノグリセリド91重量部と炭酸カリウム9重量部を粉体混合し、この粉体混合物を1%または3%となるように水中に投入し、20℃から60℃まで10℃毎に攪拌しながら水中に均一に分散するまでの時間を測定した。なお、各温度に到達後、30分間その温度を保持しながら攪拌を続け、さらに10℃上昇させた。また、水分散性の評価基準は以下の通りである。評価結果を表1に示した。
【0024】
水分散性の評価基準
◎:1分以内に分散
○:5分以内に分散
△:10分以内に分散
×:20分以内に分散
××:分散せず
【0025】
[比較例1、2]
コハク酸モノグリセリドにアルカリ金属塩を加えず、コハク酸モノグリセリドのみを水に投入した以外は実施例1、2と同様に行った。その結果を表1に示す。
【0026】
[比較例3、4]
コハク酸モノグリセリドを予め1規定水酸化ナトリウム水溶液で中和してコハク酸モノグリセリドのナトリウム塩とした後、これを凍結乾燥して粉末化したものを水中に投入した以外は実施例1、2と同様に水分散性の評価を行った。評価結果を表1に示した。
【0027】
【表1】
Figure 0004318392
【0028】
表1の結果より、有機酸モノグリセリドと共にアルカリ金属塩を水に添加すると、有機酸モノグリセリドのみを水に添加する場合と比較し、有機酸モノグリセリドの水分散性が向上するのみならず、予め中和した有機酸モノグリセリドのアルカリ金属塩を水に添加するよりも水分散性が向上したことが解る。
[実施例3]<飲料の乳化安定性評価>
コハク酸モノグリセリド30重量部、炭酸カリウム3重量部、デカグリセリン脂肪酸エステル34重量部、及びショ糖パルミチン酸エステル33重量部を混合して乳化安定剤を調製し、このうち1.5gに脱塩水を加え、50℃で攪拌して乳化安定剤水溶液を調製した。
次に焙煎コーヒー豆40gを95℃の脱塩水400gで抽出し、コーヒー抽出液を得た。
コーヒー抽出液313g、牛乳375g、グラニュー糖84g、及び先に製造した乳化安定剤水溶液を加えて全量を1500gとした。この溶液に重曹を加えてpHを6.8に調整し、これを高圧ホモジナイザーを用いて60〜70℃の温度で150kg/50kgの圧力で均質化後、プレート式UHT殺菌装置により殺菌温度137℃、殺菌時間(ホールド時間)60秒の条件で殺菌し、無菌状態で30g試験管に採取し冷却することによりミルクコーヒーを得た。
次に、得られたミルクコーヒーを40℃で3ヶ月間保存し、再分散後にFormalAction社製、TurbiscanMA2000によりクリームオフ量を測定した。評価結果を表2に示した。
【0029】
<TurbiscanMA2000によるクリームオフ量の測定>
光源を一定時間間隔でサンプル管の上下方向にスキャンすることにより、サンプルからの後方散乱光を検出し、測定時間に対して後方散乱光強度の変化率を観測することにより、クリームオフの状態を把握することができる。サンプル管上部の測定により、クリームオフ量の情報が得られる。時間とともに後方散乱光強度の変化率が正に大きくなるほどクリームオフ量が多く、乳化安定性は劣る。そこで、表2における乳化安定性(クリーミング)を次のように評価した。
【0030】
◎:600 分での後方散乱光強度の変化率が3%未満
○:600 分での後方散乱光強度の変化率が3%以上4%未満
△:600 分での後方散乱光強度の変化率が4%以上
【0031】
[比較例5]
乳化安定剤に炭酸カリウムを含有させず、コハク酸モノグリセリド、デカグリセリンステアリン酸エステル、及びショ糖パルミチン酸エステルからなる乳化安定剤を使用した以外は実施例3と同様に行った。その結果を表2に示す。
【0032】
[比較例6]
コハク酸モノグリセリド33重量部を予め1N水酸化ナトリウム水溶液により当量中和してコハク酸モノグリセリドのナトリウム塩とし、これを凍結乾燥した。これとデカグリセリン脂肪酸エステル34重量部、ショ糖脂肪酸エステル33重量部を混合して乳化安定剤を調整した。それ以外は、実施例3と同様に行った。その結果を表2に示す。
【0033】
【表2】
Figure 0004318392
【0034】
【発明の効果】
本発明により、有機酸モノグリセリドの水分散性が改良され、且つ加熱殺菌を施しても長期間の乳化安定性を保持することができる飲料が提供される。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で表される有機酸モノグリセリド及び炭酸又は重炭酸のアルカリ金属塩の粉体混合物を含有する乳化安定剤であって、前記炭酸又は重炭酸のアルカリ金属塩は前記有機酸モノグリセリドに対して当量中和できる量が配合されることを特徴とする乳化安定剤。
    Figure 0004318392
    (式中のR1CO−は脂肪酸残基、R2は2つ以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸から1個のカルボキシル基を除いた残基を表す。)
  2. 一般式(1)のR1CO−が炭素数8〜22の脂肪酸残基であり、R2が炭素数3〜5の残基である請求項1に記載の乳化安定剤。
  3. ショ糖脂肪酸エステルを含有する請求項1または2に記載の乳化安定剤。
  4. ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する請求項1乃至3のいずれかに記載の乳化安定剤
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