JP2004242670A - 乳化安定剤およびこれを含有する乳飲料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 乳飲料に植物性タンパク質(好ましくは植物性タンパク質とショ糖脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステル)を含有させることにより、乳化安定性に優れた乳飲料が得られる。上記の植物性タンパク質としては大豆タンパク質が好ましく、上記のショ糖脂肪酸エステルとしては、HLBが10以上のものが好ましく、ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては所定の条件で測定した曇点が80℃以上のものが好ましい。また、動物性タンパク質を併用することができ、この場合、動物性タンパク質としては牛乳由来のタンパク質が好ましい。
【選択図】 なし
Description
特に最近では、缶入り飲料に代わり、PETボトル入り飲料が普及してきているため、乳成分の乳化安定性がより重要視されている。これは、PETボトルは透明容器なので消費者は乳飲料の外観を見ることができ、PETボトル飲料において乳成分の分離が起こった場合には、消費者に不快な印象を与え、商品価値が低下したり、クレームの原因につながる可能性があるためである。
添加する方法(特許文献2参照)などが知られている。
そこで、乳成分の浮上が抑制され、長期間保存しても凝集が起こらない乳飲料の開発が望まれていた。
本発明の第1の要旨は、植物性タンパク質を含有することを特徴とするpH5〜7の乳飲料用乳化安定剤に存する。
本発明の第3の要旨は、ポリグリセリン脂肪酸エステル及び植物性タンパク質を含有する乳化安定剤に存する。
本発明の第4の要旨は、上記第1の要旨に係る乳化安定剤を0.001〜0.1重量%含有することを特徴とするpH5〜7の乳飲料に存する。
本発明の第6の要旨は、上記第3の要旨に係る乳化安定剤を含有することを特徴とする乳飲料に存する。
。
本発明の乳化安定剤は、植物性タンパク質を含有するものであり、pH5〜7の乳飲料に好ましく用いることが出来る。
また、植物性タンパク質に、ショ糖脂肪酸エステルまたはポリグリセリン脂肪酸エステルを併用することにより、乳飲料の乳化安定性をより一層向上させることが出来る。更に、植物性タンパク質に、ショ糖脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルを併用することにより、乳飲料の乳化安定性をより一層向上させることができる。植物性タンパク質と、ショ糖脂肪酸エステルまたは/及びポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する乳化安定剤は、pH5〜7の乳飲料に好ましく用いることが出来るが、それ以外の乳飲料にも用いることができる。
[タンパク質]
タンパク質は動物性タンパク質と植物性タンパク質に大別される。動物性タンパク質としては、卵由来の卵黄、卵白、全卵、及びこれらより分離されたオボアルブミン、コンアルブミン、オボムコイド、オボグロブリンなどや牛乳由来の脱脂粉乳、乳清タンパク、バターミルクパウダー及びこれらより分離されたカゼイン類、β-ラクトグロブリン、α-ラクトアルブミン、血清アルブミン、免疫グロブリンなどを挙げることが出来る。一方、植物性タンパク質としては、大豆由来の脱脂大豆粉、濃縮大豆タンパク、分離大豆タンパク、抽出大豆タンパクなど及びこれらより分離された7Sグロブリン、11Sグロブリンなどを挙げることができる。本発明では植物性タンパク質を用いることにより、乳化安定性が向上する。植物性タンパク質としては、大豆タンパク質が好ましい。さらに、動物性タンパク質と植物性タンパク質を併用することにより、両者の相乗効果が発現され、乳化安定性が一層向上することから、最も好ましく用いることができる。動物性タンパク質とし
ては、牛乳由来の乳タンパク質を用いるのが好ましい。
植物性タンパク質の乳飲料への添加量は、通常0.001〜0.1重量%である。添加量が多すぎると風香味に悪影響を及ぼしたり、沈殿が増加する。一方、少なすぎると、乳化安定性が低下する。
[ショ糖脂肪酸エステル]
ショ糖脂肪酸エステルとしては、モノエステル含量は通常50重量%以上であり、構成脂肪酸としてはミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸などの炭素数14〜22の飽和または不飽和の脂肪酸が挙げられる。その中でも、抗菌性の点から、構成脂肪酸の70重量%以上がパルミチン酸またはステアリン酸のものが好ましく、モノエステル含量が70重量%以上であり、構成脂肪酸の80重量%以上がパルミチン酸であるショ糖脂肪酸エステルが最も好ましい。このようなショ糖脂肪酸エステルのHLBは、通常10以上であり、好ましくは15以上であり、更に好ましくは16以上である。また、通常22以下であり、好ましくは18以下である。HLBが低すぎると乳化安定性が低くなる。ショ糖脂肪酸エステルの乳飲料への添加量としては、0.03〜0.1重量%が好ましい。添加量が多すぎると乳飲料の苦味が増すため好ましくなく、少なすぎると乳脂肪への吸着量が不足するため乳化安定性が低くなる。
[ポリグリセリン脂肪酸エステル]
ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の具体例としては、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸などの炭素数14〜22の飽和または不飽和の脂肪酸が挙げられ、特にミリスチン酸を主成分とするものが好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンの平均重合度は、通常2〜20、好ましくは4〜12である。ポリグリセリンの平均重合度が大きすぎると大部分が水中に分散し、乳脂肪への吸着量が少なくなるため乳化安定性が低くなり、小さすぎると水中に分散する量が少なくなるために乳化安定性が低くなる。
しかし、ポリグリセリン脂肪酸エステルの原料のポリグリセリンは、グリセリンの重縮合物であり、精製が困難であるため、重合度分布を有し、直鎖状重合体ばかりでなく分岐状重合体や環状重合体等を含む。従って、そのエステル体であるポリグリセリン脂肪酸エステルは、ポリグリセリン骨格が異なる種々のエステル化度のポリグリセリン脂肪酸エステルと未反応ポリグリセリンを含む組成物となる。さらにポリグリセリン脂肪酸エステルには、エステル化反応に使用されるアルカリ触媒と原料の脂肪酸との反応で生ずる副生成物の石鹸や、エステル化反応が不十分な場合及び化学量論量を越えた脂肪酸が過剰に使われた場合等には未反応の脂肪酸が含まれることもある。
分析では、ポリグリセリン脂肪酸エステルの総合的特性を特定することが困難であった。例えばポリグリセリン脂肪酸エステルの平均エステル化度が近似又は同じであっても、乳化安定性等の物性が格段に異なることもあり、平均エステル化度や未反応ポリグリセリン等従来の化学的分析手法のみでは物性を十分に把握できず、物性評価方法において不都合が生じていた。そこで、ポリグリセリン脂肪酸エステル組成物の総合的特性規定として、近年、「曇点」が採用されている。
本発明の乳化安定剤において、植物性タンパク質/ポリグリセリン脂肪酸エステルの重量比は、通常99/1〜1/99であるが、乳成分の浮上抑制の効果の観点から、好ましくは1/0.01〜2である。ショ糖脂肪酸エステル/ポリグリセリン脂肪酸エステルとの比率は、通常1/0.5〜1、好ましくは1/1である。
本発明の乳化安定剤は、水溶液の状態でもよいが、粉末状の製剤であることが好ましい。粉末状の製剤は、通常、各成分を粉末状態で混合して均一化するか、または各成分を水
に添加して水溶液としたものを乾燥することにより調製される。粉末状の製剤としての乳化安定剤中に含まれるショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、植物性タンパク質の合計の含有率は、通常50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%、さらに好ましくは90〜100重量%である。含有率が低すぎると乳化安定性が低下する。
[乳飲料の調製方法]
本発明の乳化安定剤を含有してなる乳飲料は、乳成分である乳脂肪、乳タンパク質を含有する飲料であって、具体的には、ミルクコーヒー、カフェオレ、ミルク紅茶等が挙げられる。
0〜50に相当する超高温殺菌である。UHT殺菌は飲料に直接水蒸気を吹き込むスチームインジェクション式や飲料を水蒸気中に噴射して加熱するスチームインフュージョン式などの直接加熱方式、プレートやチューブなど表面熱交換器を用いる間接加熱方式など公知の方法で行うことができ、例えばプレート式殺菌装置を用いることができる。
本発明の乳化安定剤の乳飲料への添加量は、通常、0.04〜0.3重量%である。添加量が多すぎると風香味に悪影響を及ぼし、少なすぎると乳脂肪への吸着量が不足するため乳化安定性が低くなる。
限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、「比」、「%」及び「部」はいずれも重量比、重量%および重量部を表す。
[実施例1〜2]
L値26の焙煎コーヒー豆((株)ユニカフェ製「コロンビアEX」)0.65kgを95℃の脱塩水6.5kgで抽出し、コーヒー抽出液を得た。コーヒー抽出液6kg、牛乳0.8kg、グラニュー糖0.5kg、及び表−1に記載の乳化安定剤を脱塩水に50℃で溶解して調製した水溶液を加えて全量を10kgとした。この溶液に重曹を加えて殺菌後のpHが6.6となるように調整し、これを高圧ホモジナイザーを用いて60〜70℃の温度で150kg/50kgの圧力で均質化後、100mlのガラス耐熱瓶に充填し、レトルト殺菌機(アルプ(株)RK3030)により殺菌温度121℃、殺菌時間40分の条件で殺菌し(F0=40)、冷却することによりミルクコーヒーを得た。
[比較例1]
実施例1において、タンパク質を併用しない以外は、実施例1〜2と同様に行った。評価結果を表−1に示す。
[比較例2]
実施例1において、植物性タンパク質(大豆タンパク質)を併用しない以外は、実施例1と同様に行った。評価結果を表−1に示す。
なお、表−1における乳化安定性は以下のように評価した。
光源を一定時間間隔でサンプル管の上下方向にスキャンすることにより、サンプルからの後方散乱光を検出し、測定時間に対して後方散乱光強度の変化率を観測することにより、クリームオフの状態を把握することができる。サンプル管上部の測定により、クリームオフ量の情報が得られる。時間とともに後方散乱光強度の変化率が正に大きくなるほどクリームオフ量が多く、乳化安定性は劣る。そこで、乳成分浮上速度(測定時間と後方散乱光強度の変化率をプロットして得られる直線の傾き)を算出し、表−1における乳化安定性を次のように評価した。
◎:乳成分浮上速度が10dB(%)/day未満
○:乳成分浮上速度が10dB(%)/day以上〜11dB(%)/day未満
△:乳成分浮上速度が11dB(%)/day以上〜12dB(%)/day未満
×:乳成分浮上速度が12dB(%)/day以上
dB(%)は後方散乱光強度の変化率であるdeltaBackscatteringの略
Claims (12)
- 植物性タンパク質を含有することを特徴とするpH5〜7の乳飲料用乳化安定剤。
- ショ糖脂肪酸エステル及び植物性タンパク質を含有することを特徴とする乳化安定剤。
- ポリグリセリン脂肪酸エステル及び植物性タンパク質を含有することを特徴とする乳化
安定剤。 - ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する請求項2に記載の乳化安定剤。
- ショ糖脂肪酸エステルのHLBが10以上である請求項2又は4に記載の乳化安定剤。
- 動物性タンパク質を含有する請求項1〜3の何れかに記載の乳化安定剤。
- ポリグリセリン脂肪酸エステルが20重量%塩化ナトリウム水溶液中1重量%濃度で測
定した曇点が80℃以上のものである請求項3又は4に記載の乳化安定剤。 - 植物性タンパク質が大豆タンパク質である請求項1〜3の何れかに記載の乳化安定剤。
- 動物性タンパク質が牛乳由来のタンパク質である請求項6に記載の乳化安定剤。
- 請求項1に記載の乳化安定剤を0.001〜0.1重量%含有することを特徴とするp
H5〜7の乳飲料。 - 請求項2に記載の乳化安定剤を含有することを特徴とする乳飲料。
- 請求項3に記載の乳化安定剤を含有することを特徴とする乳飲料。
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