JP4634263B2 - マグネシアカーボンれんが - Google Patents

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本発明は、溶融金属容器等に適用されるマグネシアカーボンれんがに関するものである。
従来より転炉、電気炉、取鍋、真空脱ガス炉等の溶融金属容器には主にマグネシアカーボンれんがが使用されている。通常、このマグネシアカーボンれんがは、マグネシアと鱗状黒鉛とを主体とする耐火原料配合物にフェノール樹脂等の有機バインダーを添加し、200〜300℃で熱処理することで製造される。このマグネシアカーボンれんがはマグネシアを主成分とすることで耐食性に優れ、鱗状黒鉛を含有することで優れた耐熱衝撃性、耐スラグ性が得られる。なお、バインダーとしては鱗状黒鉛に対して濡れ性に優れしかも炭化収率が高いフェノール樹脂等の有機バインダーが一般的に使用されている。
また、Al、Mg、Ca、Siなどの金属あるいはそれらを組み合わせた合金、SiC、BCなどの炭化物、さらには硼化金属化合物が耐火原料配合物に添加されることが一般的である。これらは、使用時における耐火物中の炭素の酸化防止を図り、さらにはれんが中にセラミックボンドを形成することにより、れんがの緻密性を維持するために添加される。
しかしながら、マグネシアカーボンれんがは、例えば転炉やRH等の精錬容器で適用されるが、長寿命化のネックの一つにスラグによるれんがの侵食がある。これは、マグネシアカーボンれんが中の黒鉛が、スラグ中の酸化鉄によって酸化されるためである。さらに、この黒鉛は、熱伝導率が高いために溶融金属の温度低下による熱損失を招き、また、溶鋼中に溶解することで鋼製品の品質を低下させるいわゆるカーボンピックアップを生じる欠点がある。
この意味から、炭素含有れんが中の炭素含有量、特に黒鉛の含有量は、耐熱衝撃性を低下させない範囲で極力少なくすることが望ましい。
マグネシアカーボンれんがには、炭素原料として鱗状黒鉛及びフェノール樹脂が主に使用され、ピッチ、カーボンブラック、あるいはコークス等が補助的に使用されている。そして、このマグネシアカーボンれんがの炭素含有量をさらに低減するための手段として、メソフェーズピッチ、膨張黒鉛、黒鉛化カーボンブラック等の特定の炭素原料を使用することが最近多く報告されている。これらはいずれも炭素原料である黒鉛を減少することによって生じる耐熱衝撃性の低下を補う目的で使用される。
例えば特許文献1では、膨張黒鉛を使用することでマグネシアなどの熱膨張・収縮を吸収し耐熱衝撃性を向上することができるとされ、実施例には膨張黒鉛を5質量%使用したマグネシアカーボンれんがが記載されている。膨張黒鉛の使用により、確かに耐熱衝撃性向上効果が得られるが、一般的な転炉の炉壁等の用途としては受熱後の緻密性を欠くため耐食性面で問題があり適用され難い。
また、ピッチを利用する方法も多く研究されており、例えば特許文献2では、特定の有機バインダーとβ−レジンが10質量%以上のピッチを併用使用することが開示されている。このピッチは、耐火物の被熱過程において、組織中に分散されたピッチが溶融軟化して周辺組織中に拡大し、微細な空隙に侵入し、骨材粒子表面及び骨材粒子間に拡散、侵入してピッチ被膜を形成する。その結果、高温での骨材粒子どうしの過焼結を抑制することで、耐熱衝撃性が向上するとされている。
また、特許文献3では、メソフェーズピッチを使用した鱗状黒鉛を含有しないマグネシアカーボンれんがが開示されている。メソフェーズピッチを使用するとカーボンファイバーを生成するために耐熱衝撃性が向上することが記載されている。
しかしながら、これらの低カーボンタイプのマグネシアカーボンれんがは、実炉でも使用され実績も出ているが、従来の黒鉛を多く使用したマグネシアカーボンれんがと比較するとまだ耐熱衝撃性に劣っており、より適用範囲を拡大するためにはさらなる改善が要望されている。
また、特許文献2あるいは特許文献3では粉末ピッチが使用されている。これらの粉末ピッチは加熱されると液化して耐火物の組織中に浸透するが、ピッチが液体として組織中に完全に分散することは不可能でピッチは不連続に存在する。また、ピッチを粉末で使用する場合には、加熱によってピッチが液化した後、ピッチが存在していた部分が空隙として残る。この空隙は数十ミクロンもあるため耐食性が低下する原因となる。したがって、粉末ピッチを使用する場合にはれんが組織の細部までピッチが均一に分散できないため、その機能が十分発揮されていないことも問題と考えられる。
一方、ピッチを熱処理した耐火物に含浸する方法も一般的に知られている。例えばスライディングノズルプレートにおいては、耐酸化性や耐摩耗性を向上させるためにピッチを含浸することが一般的に行われている。ところが、マグネシアカーボンれんがにおいてはピッチを含浸する方法は過去試みられてはいるが、一部の高温で焼成したマグネシアカーボンれんがで実用化されているのみである。
その例として特許文献4には、マグネシアカーボンれんがの成形体を1200℃で熱処理した後、ピッチを含浸し焼成する操作を2回以上繰り返す方法が記載されている。そして、焼成によって結合剤(有機バインダー)が炭化するためにクリープ変形を防止することができると記載されている。また、耐火物組織が緻密化して耐食性の改善を図ることができると記載されている。また、耐火骨材中に占める10μm以下の耐火原料粒子を5〜15質量%とすることで耐食性が向上するとされている。このため、特に羽口周辺のように著しい溶鋼攪拌と熱応力を受ける使用条件に適しているとされている。
しかしながら、マグネシアカーボンれんがの大部分の用途である内張りれんがにおいて、ピッチを含浸したマグネシアカーボンれんがは含浸しないれんがと比較して耐用性に大差がないため実用化されていないのが現状である。この理由としては、マグネシアカーボンれんがのカーボンの酸化を抑制するために酸化防止材として金属粉末を添加した場合、この金属粉末が上記熱処理によって、炭化物あるいは酸化物に変化してしまい、期待した酸化防止機能が有効に働かないことが一因と考えられる。
そこで、金属が変化しない温度領域で熱処理した後でタールやピッチを含浸する方法もかなり以前に提案されており、例えば特許文献5には、マグネシアカーボンれんがを500〜1000℃で熱処理した後で、タールピッチを含浸することが記載されている。そして、この方法によって、使用中の膨張収縮による目地開きを抑制し、溶鋼及びスラグの侵入や内部亀裂を防止し、また、結合剤(有機バインダー)の分解による気孔率の増大をも阻止できると記載されている。さらに、耐消化性及び熱間強度を高めるため水分を含有するキャスタブル等との組み合わせ使用も可能であると記載されている。
しかしながら、この方法で得られるマグネシアカーボンれんがは、確かに前記のメリットは得られるが、特に黒鉛が15質量%以下の低カーボン領域に適用しようとすると、耐熱衝撃性が悪くタールやピッチの効果が十分得られない問題があった。そこで本発明者がこの方法により転炉用のマグネシアカーボンれんがを熱処理してピッチを含浸し、試験片を切り出して物理的性質を確認したところ、れんがの中心部においてはピッチの含浸が不足しおり、含浸しないれんがと大差ない物理的性質であった。
特開平5−301772号公報 特開平11−322405号公報 特開2005−139062号公報 特開平9−328378号公報 特開昭58−15072号公報
本発明が解決しようとする課題は、低温で熱処理してタール又はピッチを含浸する低カーボンタイプのマグネシアカーボンれんがにおいて、タール又はピッチを中心部及び細部まで均一に含浸させるようにし、耐熱衝撃性及び耐食性に優れるマグネシアカーボンれんがを提供することにある。
通常、マグネシアカーボンれんがにおいてタール又はピッチの含浸量を増やすためには気孔率を高くすることが考えられる。気孔率を高くするためには成形圧を下げて充填性を下げたり、充填性の低い粒度構成にすること等が考えられるが、単に気孔率を上昇させると耐食性が低下する問題がある。そこで、本発明者は、耐食性の低下を抑制しつつタール又はピッチをより中心部や細部まで均一に含浸させるために、マグネシア系原料中に特定の粒径以下の超微粉を含まないかあるいは制限することに着目し、その超微粉の粒径と使用量の物性に与える影響について実験を重ね検討した。その結果、10μm以下の超微粉を使用しないかあるいは5質量%以下の使用であれば、タール又はピッチが中心部まで浸透し、しかも耐食性の低下はほとんどないことがわかった。さらに、耐スポーリング性の向上効果が極めて高いことを今回新たに知見した。
すなわち、本発明のマグネシアカーボンれんがの一態様は、耐火原料配合物がマグネシア系原料90〜99質量%と金属粉0.1〜10質量%とからなり、しかもこのマグネシア系原料中の粒径10μm超〜500μmの粒子が耐火原料配合物の20〜50質量%であり、かつ、粒径10μm以下の粒子が耐火原料配合物の0〜5質量%以下であり、そしてこの耐火原料配合物に有機バインダーを加えて混練成形し、300〜800℃で熱処理した後、タール又はピッチを含浸したことを特徴とするものである。
また、本発明のマグネシアカーボンれんがの他の態様は、耐火原料配合物がマグネシア系原料83〜98質量%と金属粉0.1〜10質量%と鱗状黒鉛1〜15質量%とからなり、しかもこのマグネシア系原料中の粒径10μm超〜500μmの粒子が耐火原料配合物の20〜50質量%であり、かつ、粒径10μm以下の粒子が耐火原料配合物の0〜5質量%以下であり、そしてこの耐火原料配合物に有機バインダーを加えて混練成形し、300〜800℃で熱処理した後、タール又はピッチを含浸したことを特徴とするものである。
マグネシア系原料中で制限すべき超微粉の粒径の上限値は、耐用性の面から10μmとしている。10μmより大きな粒径にした場合には、タール又はピッチの含浸量は増えるが、マトリックス部が粗になるため耐食性が急激に悪化する。一方、10μm以下の超微粉は耐食性を向上させる効果があるため、耐火原料配合物に占める割合で5質量%以下であれば使用可能である。5質量%を超える場合には、タール又はピッチが中心部や細部まで浸透されにくい。
また、本発明のマグネシアカーボンれんがは、鱗状黒鉛量を少なくしても耐スポーリング性の低下が極めて小さい。例えば従来、鱗状黒鉛を15質量%を超えて使用したマグネシアカーボンれんがと本発明の鱗状黒鉛10質量%前後のものと耐スポーリング性について比較すると同等クラスになる。これは、本発明では10μm以下の超微粉の使用を制限することによって、タール又はピッチがマトリックス部の微細な隙間まで均一に連続して浸透することによる。このため、受熱によるマグネシア粒同士の焼結が組織全体で細部までしかも均一に抑制されるので、耐スポーリング性が飛躍的に向上すると考えられる。
さらに、マグネシア系原料中の粒径10μm超〜500μmの耐火原料は、耐食性及び耐スポーリング性の面から、耐火原料配合物に占める割合で20〜50質量%含有させることが必要である。20質量%未満では耐食性が低下し、50質量%を超えるとタール又はピッチの含浸が不十分となるため耐スポーリング性が低下する。
タール又はピッチを含浸する前のれんがの熱処理温度は、タール又はピッチの含浸量を多く、しかも耐スポーリング性に優れたボンドを形成する点から300〜800℃とする。300℃未満では有機バインダーの分解が不十分で密閉気孔がれんがに残存し、開放気孔が十分形成されないため、タール又はピッチが中心まで含浸されにくい。
さらに、含浸する前のれんがの熱処理温度は、タール又はピッチと有機バインダー起因の複合カーボンボンドを生成する点からは450〜800℃がより好ましい。れんが中の有機バインダーは加熱されると、低温で溶剤が蒸発し、500℃前後から高分子樹脂の分解がより活発になり、1200℃前後で炭素化する。熱処理温度が450〜800℃の範囲では、まだ有機バインダーはポーラスで結合組織が不十分な状態になっている。このポーラスな状態でタール又はピッチを含浸することで、タール又はピッチが有機バインダー中に浸透し、その後、加熱されることでタール又はピッチと有機バインダーが物理的に絡み合った複合カーボンボンドを生成することができる。この複合カーボンボンドは、ガラス質のカーボンボンドに対してフレキシビリティが高く、高強度でかつ低弾性つまり耐スポーリング性に優れるれんがとすることができる。
本発明では、微細な耐火原料の隙間までタールやピッチが浸透するため、ミクロな組織でもこの複合カーボンボンドが得られことがポイントになっていると思われる。つまり、前述の酸化物原料の過焼結防止と、この複合ボンド形成がミクロな組織まで均一になされるためその効果が相乗的に得られ、極めて耐スポーリング性が高いマグネシアカーボンれんがが得られると推定する。
本発明のマグネシアカーボンれんがは、鱗状黒鉛を全く含有しなくても、含浸されたタール又はピッチがマトリックスの組織の隅々まで浸透して3次元的に広がるため、耐スポーリング性が従来の鱗状黒鉛を含有しないマグネシアカーボンれんがに対して格段に優れる。そして、鱗状黒鉛を含有しない場合、低熱伝導率でカーボンピックアップがほとんどなく、しかも耐酸化性に優れるマグネシアカーボンれんがとなる。したがって、RH等の真空脱ガス用あるいはVOD等の耐火物としてより適している。
一方、耐スポーリング性をより重視する用途には鱗状黒鉛を15質量%以下、より好ましくは10質量%未満で適宜添加することができる。15質量%を超えて添加すると成形時の鱗状黒鉛配向の影響により、れんがマトリックスの細部までタール又はピッチが含浸されなくなる。このように、鱗状黒鉛を含有することでより耐熱衝撃性に優れるので、転炉や電気炉、あるいはRH等で、従来汎用されている黒鉛量の多いマグネシアカーボンれんがに替わり使用することができる。
以上説明した本発明のマグネシアカーボンれんがは、鱗状黒鉛を含有しないかかあるいは15質量%以下で含有するので、炭素含有率が低いことが特徴である。このため、耐酸化性に優れ、低熱伝導率でしかもカーボンピックアップの問題が少ないマグネシアカーボンれんがとして、従来のマグネシアカーボンれんがの代わりに使用することができる。さらに、マグネシアカーボンれんが中の炭素含有率を10質量%以下、より好ましくは5質量%未満に抑えることで、例えばRH等の2次精錬用れんがとしても、よりカーボンピックアップが少なくしかも耐スポーリング性に優れたれんがとなる。
本発明のマグネシアカーボンれんがはタール又はピッチに含浸後、1400℃で還元焼成した後の見掛け気孔率が10%以下であることが好ましい。つまり、耐火物として緻密な組織でありしかも中心部までタール又はピッチが含浸されたマグネシアカーボンれんがにおいて、その見掛け気孔率が10%以下の場合に耐食性が非常に優れたものとなる。本発明では、タールやピッチが組織の中心部や細部まで均一に浸透し、このタールやピッチは加熱によって炭化するが、同時に一部が分解するために、炭化がほぼ終わる温度以上で耐火物の組織状態を特定する必要がある。そのため1400℃で還元焼成した後に特定することとした。
本発明のマグネシアカーボンれんがは、低カーボンタイプでありながら緻密で耐食性に優れ、かつ、耐スポーリング性にも優れることから、耐用性に優れる。したがって、例えば溶融金属容器の内張りれんがとして使用するとその耐用性が向上する。また、黒鉛を含有しないか含有量が少ないため、低熱伝導率となり省エネルギー効果があり、カーボンピックアップが少ないため鋼の品質が向上する。
本発明のマグネシア系原料とは、マグネシア原料のみ、あるいはマグネシア原料(マグネシア分)を90質量%以上含有する耐火原料の混合物のことである。マグネシア原料とは、通常マグネシアカーボンれんがに使用されるマグネシアクリンカーであれば問題なく使用することができる。そして、マグネシア系原料が混合物の場合、マグネシア原料以外の残部は、粉末ピッチ、コークス、カーボンブラック、メソフェーズカーボン、人造黒鉛、アルミナ、シリカ、ジルコニア、ジルコン、酸化カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、硼化物、あるいはフリット等のうち1種又は2種以上を10質量%以下で使用することができる。
さらに、マグネシア系原料としては、マグネシア原料を60〜95質量%と、スピネル(MgO・Al)、ドロマイト、あるいはマグネシアクロムのうち1種又は2種以上を4〜30質量%との混合物でもよく、さらに、粉末ピッチ、コークス、カーボンブラック、メソフェーズカーボン、人造黒鉛、アルミナ、シリカ、ジルコニア、ジルコン、酸化カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、硼化物、あるいはフリット等のうち1種又は2種以上を必要に応じて10質量%以下で使用した混合物でも良い。
そして、マグネシア系原料は、鱗状黒鉛を使用しない場合には、マグネシアカーボンれんがとして十分な耐食性となるように90〜99質量%使用する。また、鱗状黒鉛を15質量%以下で使用する場合には、マグネシア系原料は83〜98質量%使用する。
鱗状黒鉛は耐スポーリング性を付与するために使用され、耐火物用として一般的に市販されているものであれば問題なく使用することが可能である。また、鱗状黒鉛として膨張性黒鉛を使用することも可能である。
膨張性黒鉛とは、鱗状黒鉛の一種であるが、鱗状黒鉛に化学処理を施して膨張させた原料であって、薄肉黒鉛あるいは薄厚黒鉛等といくつか種類あるが、本発明においてはいずれも使用可能である。
金属粉は、通常マグネシアカーボンれんがに使用されているものであれば特に問題なく使用することができる。例えば、Al、Mg、Ca、Si、Bのうち一種又は二種以上の金属、さらにそれらの合金の一種以上を使用することができる。金属粉は使用時の耐酸化性を付与するために0.1〜10質量%、より好ましくは1〜5質量%使用する。10質量%を超えると使用時の耐食性が低下してしまう。
有機バインダーは、加圧成形及び熱処理によって取り扱いに十分な強度を発現するためと、加熱によってカーボンボンドを生成させるために使用する。有機バインダーとしては熱硬化性有機樹脂がより好ましく、例えば、フェノール樹脂、フラン樹脂等の1種又は2種以上を液状で使用することができ、各種変性フェノール樹脂等も適用可能である。また、有機バインダー中にタールやピッチ等を含ませることもできる。
そして耐火原料配合物に有機バインダーを添加して混練し、成形後熱処理する。熱処理は、れんが中のカーボンの酸化を極力抑制するという観点から酸素が少ない雰囲気あるいは非酸化雰囲気で300〜800℃で行う。
熱処理後は、一般的な方法でタール又はピッチを含浸する。含浸する方法は、加熱したタール又はピッチ中へれんがを浸漬、保持する。含浸するタール又はピッチをれんが内部あるいはマトリックスの細部まで浸透させるために高圧下でタール又はピッチ中へ浸漬することも有効である。
タール又はピッチに含浸後、1400℃で還元焼成した後の見掛け気孔率を10%以下にするためには、上記条件において、例えば耐火原料配合物の粒度構成を適切にして高圧で成形することで緻密な成形体を製造したり、あるいは熱処理後高圧下で含浸し、含浸作業中のタールやピッチの温度や粘性調整を行う等の公知な方法において適正な製造条件を選択する。
表1〜表に実施例及び比較例を示す。
Figure 0004634263
Figure 0004634263
Figure 0004634263
各表の配合物を混練し、真空フリクションプレスで縦150mm、横150mm、長さ810mmのれんがを成形し、それぞれ各表に示す温度で熱処理した。熱処理は非酸化雰囲気中で行った。熱処理後れんがを、200℃に加熱したタール中に15気圧×6h保持し含浸を行った。含浸終了後、れんがの中央部からそれぞれの試験片を切り出して試験に供した。使用したマグネシア系原料(マグネシアクリンカー)は純度98.5%クラスの電融マグネシア、炭素原料には純度98%クラスの天然鱗状黒鉛、又はこれを化学処理により体積膨張させた膨張性黒鉛を使用した。有機バインダーとしてのフェノール樹脂は、耐火物用に一般に市販されているものを使用したが、エチレングリコール及びフェノールを主成分とする溶媒で粘度調整したものである。
作製したれんがについて見掛け気孔率をJIS−R2205に従い測定した。また、含浸したタールがれんが内部まで浸透したかの判断は含浸後れんが表面部と内部との見掛け気孔率差が0.3%以内であるか否かで判断した。すなわち見掛け気孔率差が0.3%以内であるとれんが内部までタールが浸透していると判断し、0.3%を超えた場合、れんが内部まで十分に浸透していないと判断した。
熱間曲げ強さはJIS−R2656の測定方法に従い測定した。また、回転侵食法による溶損寸法により耐食性を評価した。侵食材としてC/S=3、T.Fe=20質量%の転炉スラグを用い、1700℃で4時間侵食させた。そして鱗状黒鉛を9%質量、Al粉を3質量%添加した不焼成である比較例7の溶損量を100とする指数で表した。
耐スポーリング性は切り出したれんがサンプルを1650℃の溶銑に浸漬する操作を5回繰り返し、試験後の切断面に発生する亀裂程度により比較評価した。さらに、総合評価として、比較例7を3として総合評価に優れるものを評価5として5段階評価を行った。
炭素含有率の測定方法は、タール含浸後にJIS−R2011に従い測定した。
実施例1、実施例2、実施例5、及び比較例2〜4については、マグネシア系原料中の粒径10μm以下の割合の影響を比較調査したものである。表1及び表2において、粒径10μm以下の使用量が多くなるに従って、1400℃還元焼成後の見掛け気孔率が上昇し、しかも耐スポーリング性が低下傾向にあることがわかる。そして、粒径10μm以下の割合が7質量%以上になると、れんが内部含浸程度が急に悪くなっている。つまり、比較例2〜4はタールがれんがの組織の細部まで十分浸透していないことがわかる。このことから、粒径10μm以下の使用量は5質量%以下が好ましい。
実施例3は、黒鉛を使用していない例であるが、鱗状黒鉛を3質量%使用した実施例4とほぼ同等な性能を有している。さらに、これらの2つの実施例は、従来のタール又はピッチを含浸しなくて鱗状黒鉛を15質量%使用したタイプである比較例8と比較するとほぼ同程度の耐スポーリング性を有している。さらに、実施例1、2、及び5は鱗状黒鉛の含有量が6質量%であるが、鱗状黒鉛の添加量が17質量%の比較例5とほぼ同等の耐スポーリング性を有している。これらの実験結果が示すように本発明ではタール又はピッチを含浸することで耐スポーリング性が格段に向上する。これらの結果から、タール又はピッチが耐火物組織中で極めて微細な隙間まで均一に連続して浸透することで、ミクロな領域で有機バインダーとタール又はピッチが複合した結合組織が生成し、フレキシブルな結合組織を形成すると同時に酸化物粒子の過焼結を防止するという相乗効果によって、黒鉛を大幅に減らしても耐スポーリング性が非常に優れる組織となったと推定される。
表3に示す例は、マグネシア系原料として電融マグネシア以外の原料を併用使用した場合とマグネシア系原料中の粒径10μm超〜500μmの割合が異なる場合であるが、いずれも本発明の範囲内であり、れんが内部含浸程度も良好で物性も良好である。
本発明のマグネシアカーボンれんがは、転炉、電気炉、取鍋、真空脱ガス炉等の溶融金属容器に適用可能である。

Claims (3)

  1. 耐火原料配合物がマグネシア系原料90〜99質量%と金属粉0.1〜10質量%とからなり、しかもこのマグネシア系原料中の粒径10μm超〜500μmの粒子が耐火原料配合物の20〜50質量%であり、かつ、粒径10μm以下の粒子が耐火原料配合物の0〜5質量%以下であり、そしてこの耐火原料配合物に有機バインダーを加えて混練成形し、300〜800℃で熱処理した後、タール又はピッチを含浸したことを特徴とするマグネシアカーボンれんが。
  2. 耐火原料配合物がマグネシア系原料83〜98質量%と金属粉0.1〜10質量%と鱗状黒鉛1〜15質量%とからなり、しかもこのマグネシア系原料中の粒径10μm超〜500μmの粒子が耐火原料配合物の20〜50質量%であり、かつ、粒径10μm以下の粒子が耐火原料配合物の0〜5質量%以下であり、そしてこの耐火原料配合物に有機バインダーを加えて混練成形し、300〜800℃で熱処理した後、タール又はピッチを含浸したことを特徴とするマグネシアカーボンれんが。
  3. タール又はピッチに含浸後、1400℃で還元焼成した後の見掛け気孔率が10%以下である請求項1又は2に記載のマグネシアカーボンれんが。
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