JP6538584B2 - ガス吹き込みノズル用耐火物の製造方法 - Google Patents

ガス吹き込みノズル用耐火物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、転炉や電気炉などにおいて、精錬効率や合金歩留まりの向上を目的として炉底などから溶湯内にガスを吹込むためのガス吹き込みノズル用の耐火物であって、炭素含有耐火物にガス吹込み用の金属細管が1本以上埋設されたガス吹き込みノズル用耐火物の製造方法に関する。
転炉や電気炉などでは、精錬効率や合金歩留まりの向上を目的として、炉底から撹拌ガス(通常、窒素やArなどの不活性ガス)や精錬ガスを溶湯内に吹込む、いわゆる底吹きが行われる。この底吹きの方式としては、(1)内管から脱炭を目的とした酸素を、外管から溶鋼接触部位の冷却を目的とした炭化水素ガス(プロパンなど)をそれぞれ吹込む二重管方式、(2)金属管と煉瓦の隙間にスリット状の開孔を設け、その開孔から不活性ガスを吹込む方式(スリット方式)、(3)カーボン含有煉瓦に複数本(数本〜数百本)の金属細管を埋設し、煉瓦の底部からガス導入管とガス溜まりを介して不活性ガスを金属細管に供給し、この金属細管から不活性ガスを吹込む方式、などがある。
これらのうち(1)、(2)の方式では、羽口用煉瓦を予め定法により製造し、二重管やスリットを形成する金属管の設置部分を加工したり、2分割ないし4分割とすることで金属管を設置する空間を形成し、施工時にはガスを吹き込む金属管を予めセットし、その周囲に羽口用煉瓦を施工するのが一般的である。
一方、(3)の方式で用いられるガス吹き込み用プラグ(ノズル)は、マルチプル・ホール・プラグ(以下、MHPという)と呼ばれる。例えば、特許文献1では、このMHPでは1〜20倍のガス流量(0.01〜0.20Nm/min)が制御可能とされている。このため、MHPは二重管方式やスリット方式に比べて採用が容易である。
MHPは、ガス溜まりに接続された複数本の金属細管がマグネシア−カーボン煉瓦などのカーボン含有耐火物に埋め込まれた構造であるため、その製造は、二重管方式やスリット方式のノズルとは異なり、以下のような方法が採られる。
すなわち、マグネシア原料などの骨材に鱗状黒鉛などの炭素源、ピッチや金属種、フェノール樹脂などのバインダーを加えた原料を、分散性能の高いハイスピードミキサーなどの混練手段を用いて混練し、金属細管を埋設する炭素含有耐火物を構成すべき混練物を得る。そして、この混練物の上に金属細管を敷設しながら積層状に金属細管を埋設した上で、プレス機により所定の圧力で成形を行い、その後、所定の乾燥を行う方法(金属細管は、その後、ガス溜まり用の部材に溶接で接合する)、或いは、予めガス溜まり用の部材に金属細管を溶接で接合しておき、その周囲の混練物を充填した上で、プレス機により所定の圧力で成形を行い、その後、所定の乾燥を行う方法、などによりMHPが製造される。
底吹きノズルは炉壁などの耐火物に比べて損傷量(損耗量)が大きく、炉寿命を左右する重要な部材であるため、従来、損傷抑制のための様々な提案がなされており、MHPについても、例えば、以下のような改善が提案されている。
特許文献2では、MHPのガス吹込みノズル部分と周囲羽口を一体化させ、目地部からの先行溶損、磨耗の低減が図られている。しかし、MHPの損傷は、金属細管が埋め込まれた部分でも起こるため、この技術はあまり有効な対策とはなり得ない。
また、MHPの損傷要因の一つとして、耐火物内に埋設した金属細管の浸炭による低融点化(金属細管の先行損傷)が挙げられる。その対策として、以下のような提案がなされている。
特許文献3には、マグカーボンなどの炭素含有耐火物に埋設されたステンレス製の金属細管の浸炭を抑制するために、金属細管表面に溶射によって酸化物層を形成することが提案されている。しかし、転炉などのように長期間使用される精錬炉(例えば2ヶ月〜半年の使用期間)では、酸化物層の膜厚が十分ではなく、浸炭抑制効果が小さいという問題がある。
また、特許文献4には、金属細管の浸炭を抑制するために、金属細管と炭素含有耐火物と間に耐火性焼結体を配設することが提案されている。しかし、この技術は、浸炭の抑制効果は認められるものの、多数本の金属細管を埋設するノズルでは、金属細管の間隔が狭いため耐火性焼結体を配設することが困難であり、実用化は難しい。
特開昭59−31810号公報 特開昭63−24008号公報 特開2000−212634号公報 特開2003−231912号公報 特開昭58−15072号公報 特許第3201678号公報
以上のように、炭素含有耐火物に金属細管を埋設するタイプのガス吹きノズル(MHPなど)では、耐用性を高めるために耐火物材質や構造について種々検討がなされているが、十分な改善効果が得られていないのが現状である。
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、炭素含有耐火物にガス吹込み用の金属細管が1本以上埋設されたガス吹き込みノズル用耐火物の製造方法であって、ガス吹き込みノズルの耐用性を向上させることができるガス吹き込みノズル用耐火物の製造方法を提供することにある。
転炉や電気炉で用いられるMHPの損傷の原因については、これまで、金属細管から勢いよくガスが吹き込まれることから、ノズル稼働面近傍での溶鋼流による溶損、磨耗が主体と考えられてきた。特許文献2の対策はこの考え方に立つものである。また、浸炭などにより金属細管が先に消耗することで、損傷が大きくなるとの考え方もあり、特許文献3や特許文献4のような手法で金属細管への浸炭を防止してきた。一方、吹錬時は不活性ガスを勢いよく吹き込むために耐火物が冷却され、吹錬時と非吹錬時の間の温度差によってスポーリング損傷するのではないかという考え方、さらには、炭素含有耐火物は600℃付近で強度が最低になるので、その部分で稼働面に亀裂が入り、損傷するのではないか、などのような様々な考え方があり、結論が出ていなかった。その結果、十分な対策が行われず、上記のように必ずしも満足する耐用性が得られていないのが現状である。
そこで、本発明者らは、MHPの真の損傷原因を探るため、実炉で使用された使用後品(MHP)を回収し、ノズル稼働面近傍の耐火物組織について詳細に調査した。その結果、稼働面から深さ10〜20mm程度の耐火物内部で500〜600℃という非常に大きな温度変化が発生していることが判明し、さらにこの部位に稼働面と平行な亀裂を確認することができた。このような実炉使用後品の稼動面近傍の詳細な調査を重ねた結果から、MHPの損傷形態は、溶損や磨耗による損傷ではなく、稼働面近傍で生じている急激な温度勾配に起因した熱衝撃による損傷が主体であるとの結論が得られた。
これまで耐熱衝撃性の考え方としては、ノズルの母材となる炭素含有耐火物そのものに亀裂を発生させないことを目的とし、材質の低弾性率化や低熱膨張化、高強度化を図るための改善が行われてきた。しかしながら、上記のように稼働面の非常に狭い範囲で急激な温度変化が生じるような条件下では、亀裂の発生自体を止めることは困難である。そこで、本発明者らは、亀裂が発生したとしても亀裂が伸展し難くすることで改善できないか検討を進め、炭素含有耐火物の破壊エネルギーについて着目した。
耐火物の破壊エネルギーは、亀裂が伸展して新しい表面が形成される際、その表面形成に必要なエネルギーとして定義される。耐火物に熱応力がかかり一定量の弾性エネルギーが蓄えられて、そのエネルギーによって亀裂が生成されるとすると、破壊エネルギーが大きいほど、亀裂が伸展しにくいことになる。
従来、耐火物の破壊エネルギーを向上させる方法は様々検討されていて、例えば、炭素長繊維を添加することで破壊エネルギーが向上することが知られている。しかし、炭素長繊維を添加すると炭素含有耐火物の充填性が悪くなるという欠点があるため、現状では実用化されていない。そこで、比較的簡便に破壊エネルギーを向上させることができる方法について検討した。その結果、耐火物を非酸化条件で焼成した後、有機物を含浸する方法(以下、「非酸化焼成・有機物含浸」という場合がある)が破壊エネルギーの向上に有効であることを見出し、さらにその最適な条件を検討した。
従来、主に炉の内張り用耐火物の耐食性や耐熱スポーリング性などの改善を目的として、耐火物を非酸化焼成・有機物含浸する技術が知られている。例えば、特許文献5では、金属Al粉末を添加したマグカーボン煉瓦を500〜1000℃の非酸化性雰囲気下で焼成加熱し、その後、炭化収率25%以上の有機物を煉瓦気孔内に含浸させる処理を行い、熱間強度の向上とともに耐食性の向上を図っている。また、特許文献6では、仮焼無煙炭を0.5〜10重量%添加したマグカーボン煉瓦を600〜1500℃の還元雰囲気下で焼成することで、耐スラグ侵食性及び弾性率の低減による耐熱スポーリング性の改善が図られるとしている。この特許文献6では、耐スポーリング性の指標として、1400℃還元焼成後の弾性率で評価しており、弾性率が1.2×10MPa以下であることが重要であるとしている。さらに、還元焼成後にタールを含浸してもよく、この含浸により気孔の密封、強度アップ、耐消化性の向上が図られると説明されているが、実施例は記載されていない。
以上のように、耐火物を非酸化焼成・有機物含浸する従来技術は、主に炉の内張り用耐火物の耐食性や耐熱スポーリング性の改善を目的としたものであり、本発明が狙いとする破壊エネルギー向上による亀裂の伸展抑制効果については、全く知られていない。また、ガス吹込み用の金属細管が埋設されたガス吹き込みノズル用耐火物を製造するのに、非酸化焼成・有機物含浸技術を適用した例も知られていない。
ここで、炭素含有耐火物を非酸化焼成・有機物含浸することにより破壊エネルギーが増大する理由は必ずしも明確ではないが、以下のように考えられる。
炭素含有耐火物(煉瓦)は、一般にフェノール樹脂などをバインダーとして製造される。フェノール樹脂は、高温で熱分解され、一部が残炭し、炭素含有耐火物の結合材として機能する。しかし、その結合の程度は大きくなく、亀裂が発生すると容易に伸展するため破壊エネルギーはあまり大きくない。これに対して、非酸化焼成した後に有機物を含浸させた場合、有機物が耐火物の内部まで均等に拡散して浸透し、耐火物内のマトリックス部分や鱗状黒鉛の層間などに有機物が入り込む。これらの有機物は、ノズル使用時に加熱されることによって分解し、炭素結合が形成される。その結果、鱗状黒鉛などの炭素材料と耐火性骨材の間に緩い結合が生じ、結合の程度が高まる。その結果、亀裂が発生しても容易に伸展しにくくなる。加えて、緩い結合が生じたために適度な応力によって上述した有機物由来の炭素結合が引き剥がされ、炭素長繊維を添加した場合と同様に煉瓦組織間の架橋として働く、所謂、引き抜き性の向上効果が得られ、その結果として破壊エネルギーが増大する。
一方、MHPの課題としては、特許文献3、4に示すように金属細管からガス吹きをする際に発生する金属細管への浸炭現象がある。金属細管への浸炭は、耐火物(煉瓦)に含まれる炭素源が実機稼働時の高温下で金属細管内に浸入することにより生じるものであり、この浸炭により金属細管が低融点化し、ノズル損傷量を増大させることが知られている。本発明では、ガス吹き込みノズル用耐火物を製造する際に、金属細管が埋設された炭素含有耐火物を非酸化焼成・有機物含浸することにより破壊エネルギーを効果的に増大させ得ることを見出したものであるが、その非酸化焼成においても、熱処理条件によっては炭素含有耐火物由来の炭素成分が金属細管内に浸入し、浸炭に伴う細管の低融点化が起こることが判った。そこで、金属細管が埋設された炭素含有耐火物の非酸化焼成において、金属細管の浸炭による低融点化を防止するために、非酸化焼成条件(焼成温度、焼成時間)、さらには非酸化焼成後の金属細管の炭素含有量などについて詳細な検討を行い、金属細管の低融点化を抑制できる実用化可能な最適条件を見出した。
以上のように、MHP用の金属細管が埋設された炭素含有耐火物について、非酸化焼成・有機物含浸技術を用いて金属細管の周囲を形成する耐火物の破壊エネルギーを向上させることで、MHPの稼働面付近に発生する亀裂の伸展を抑制することができ、MHPの寿命を大きく向上させることができること、さらに、MHPの製造過程における金属細管へ浸炭を抑制することで、より高寿命とすることが可能となることを見出した。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
[1]炭素含有耐火物にガス吹込み用の金属細管が1本以上埋設されたガス吹き込みノズル用耐火物の製造方法において、金属細管が埋設された炭素含有耐火物を非酸化焼成した後、該炭素含有耐火物に、残炭率が30質量%以上の有機物を含浸させる含浸処理を施すことを特徴とするガス吹き込みノズル用耐火物の製造方法。
[2]上記[1]の製造方法において、非酸化焼成を焼成温度400〜1500℃、焼成時間1〜20時間で行うことを特徴とするガス吹き込みノズル用耐火物の製造方法。
[3]上記[2]の製造方法において、非酸化焼成を焼成温度800〜1200℃で行うことを特徴とするガス吹き込みノズル用耐火物の製造方法。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの製造方法において、製造されたガス吹き込みノズル用耐火物を構成する炭素含有耐火物の破壊エネルギーが120J/m以上であることを特徴とするガス吹き込みノズル用耐火物の製造方法。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかの製造方法において、製造されたガス吹き込みノズル用耐火物を構成する炭素含有耐火物の気孔率が3%以下であることを特徴とするガス吹き込みノズル用耐火物の製造方法。
[6]上記[1]〜[5]のいずれかの製造方法において、非酸化焼成後における金属細管の炭素含有量を2.0質量%以下とすることを特徴とするガス吹き込みノズル用耐火物の製造方法。
[7]上記[1]〜[6]のいずれかの製造方法において、含浸処理において炭素含有耐火物に含浸させる有機物が、コールタールピッチ、フェノール樹脂、フラン樹脂の中から選ばれる1種以上であることを特徴とするガス吹き込みノズル用耐火物の製造方法。
[8]炭素含有耐火物にガス吹込み用の金属細管が1本以上埋設されたガス吹き込みノズル用耐火物であって、炭素含有耐火物の破壊エネルギーが120J/m以上であることを特徴とするガス吹き込みノズル用耐火物。
[9]上記[8]のガス吹き込みノズル用耐火物において、炭素含有耐火物の気孔率が3%以下であることを特徴とするガス吹き込みノズル用耐火物。
[10]上記[8]又は[9]のガス吹き込みノズル用耐火物において、金属細管の炭素含有量が2.0質量%以下であることを特徴とするガス吹き込みノズル用耐火物。
[11]上記[8]〜[10]のいずれかのガス吹き込みノズル用耐火物を備えることを特徴とするガス吹き込みノズル。
本発明の製造方法によれば、金属細管が埋設された炭素含有耐火物の破壊エネルギーが高く、ノズル稼働面付近における急激な温度勾配によって発生する亀裂の伸展が抑制されるガス吹き込みノズル用耐火物を製造することができ、このガス吹き込みノズル用耐火物を用いることにより、ガス吹き込みノズルの寿命を大きく向上させることができる。
さらに、非酸化焼成条件(焼成温度、焼成時間)、非酸化焼成後の金属細管の炭素含有量などを最適化することにより、金属細管への浸炭を抑えることで金属細管の融点の低下を防止することができ、ガス吹き込みノズルの寿命をさらに向上させることができる。
本発明は、炭素含有耐火物にガス吹込み用の金属細管が1本以上埋設されたガス吹き込みノズル用耐火物の製造方法であり、金属細管が埋設された炭素含有耐火物を非酸化焼成し(非酸化焼成工程)、次いで、この炭素含有耐火物に残炭率が30質量%以上の有機物を含浸させる含浸処理を施す(含浸処理工程)ものである。
以下の説明において、炭素含有耐火物に金属細管が数十本以上埋設されたガス吹き込みノズルを、説明の便宜上「MHP」という場合がある。
なお、本発明の製造方法で用いられる炭素含有耐火物の材質(原料)や成形方法、金属細管の材質や本数、金属細管を炭素含有耐火物に埋め込む方法などについては、後に詳しく述べる。
本発明において、非酸化焼成・有機物含浸される対象物は、金属細管が埋設された炭素含有耐火物であるが、ガス吹き込みノズルがガス溜まりを有するタイプの場合には、対象物は金属細管が埋設されただけの炭素含有耐火物でもよいし、金属細管が埋設されるとともに、この金属細管にガス溜まり用の部材の全部又は一部が接合された炭素含有耐火物でもよい。
本発明では、炭素含有耐火物を非酸化焼成した後、有機物の含浸処理を施すが、非酸化焼成しないと有機物の含浸ができない。基本的に炭素含有耐火物(煉瓦)は焼成工程を経ないで得られる不焼成耐火物であり、バインダーの硬化に伴い耐火物の気孔率は数%と非常に低く、不焼成品のままでは有機物を耐火物全体に含浸させることは困難である。そのため、有機物を含浸させるためには、事前に非酸化焼成が必要になる。さらに、非酸化焼成では、耐火物全体を熱処理することで、バインダーなどに由来する炭素成分が結合材として均質に生成するため、実機稼働時の受熱により耐火物組織が変化する不焼成品に対して均質な耐火物組織を得つつ、有機物を容易に含浸させることが可能となる。
炭素含有耐火物の非酸化焼成での焼成温度(熱処理温度)は400℃以上1500℃以下が好ましい。焼成温度は400℃未満では、バインダー(通常、フェノール樹脂などの樹脂)の熱分解が十分に起こらず、非酸化焼成後の含浸処理において有機物の含浸が不十分となり、破壊エネルギーが十分に向上しない恐れがある。一方、焼成温度が1500℃を超えると、埋め込まれた金属細管が溶融したり、閉塞したりして、ガス吹き込みノズルとしてのガス吹き機能が失われる恐れがある。
また、非酸化焼成後の含浸処理において有機物をより効果的に含浸させるには、焼成温度は800℃以上が好ましい。一方、焼成温度が1200℃を超えると、炭素含有耐火物由来の炭素成分の金属細管への浸炭により金属細管の低融点化を招く恐れがある。したがって、このような観点からは、焼成温度は1200℃以下、より望ましくは1100℃以下が好ましい。
非酸化焼成の焼成時間(保持時間)は、1〜20時間とすることが好ましい。焼成時間が1時間未満では、ノズル全体の熱処理が不十分となりやすい。一方、焼成時間が20時間を超えると、焼成温度が1200℃を超える場合と同様に金属細管への浸炭が発生し、金属細管の低融点化を招く恐れがある。このような観点からより好ましい焼成時間は3〜15時間である。
本発明において炭素含有耐火物の焼成を非酸化焼成とするのは、炭素含有耐火物が本来有する耐熱スポーリング性や耐スラグ浸透性などの特性が損なわれないようにするためである。すなわち、炭素含有耐火物が含有する炭素が著しく減少するような焼成条件、例えば、酸化性の雰囲気下で高温・長時間加熱するような条件で焼成すると、炭素含有耐火物中の炭素が酸化消失し、炭素含有耐火物が有する耐熱スポーリング性や耐スラグ浸透性などの特性が失われてしまう。そこで、上記特性などが失われないように、非酸化性の条件で焼成するのである。
非酸化焼成の条件は、炭素含有耐火物中に含まれる鱗状黒鉛などの炭素が実質的に消失しないような条件であれば特に制限はなく、例えば、還元焼成、還元雰囲気下での焼成、非酸化性雰囲気下での焼成、酸化雰囲気下での短時間焼成などが適用できる。
非酸化焼成の実施方法には特に制限はなく、常法で実施すればよい。例えば、焼成炉内に装入する台車上に煉瓦を組合せた鞘や金属製の容器を設置し、その内部に還元焼成する炭素含有耐火物(金属細管が埋設された炭素含有耐火物)をセットする。その後、炭素含有耐火物の周囲にコークスなどの炭素源を入れた後、上部に蓋をかけ、外気を遮蔽しながら、所定の温度、時間にて還元焼成(熱処理)を実施する。
また、焼成雰囲気をNXガスなどのように可燃性のガスを含んだ還元性雰囲気とした還元雰囲気焼成や、焼成雰囲気を窒素やアルゴンのような不活性ガス、或いは非酸化性ガス雰囲気とした非酸化性雰囲気焼成とすることもできる。還元雰囲気焼成や非酸化性雰囲気焼成の場合、鞘や金属容器は不要とすることができる。
さらに、酸化雰囲気下の焼成であっても、短時間焼成とし、焼成後、表面に形成された脱炭層を除去し、耐火物内部の脱炭されていない部分を使用することもできる。この方法では、炭素含有耐火物の表面は酸化状態となるが、表面の酸化に伴いその部分が保護層として働き、耐火物内部は非酸化条件で焼成することができるので、耐火物内部については実質的に非酸化焼成と見なせる。また、事前に炭素含有耐火物表面に酸化防止用のグレーズを塗布するなどの方法も採用可能である。
ただし、上記方法のなかでは、還元焼成、還元雰囲気下での焼成、非酸化性雰囲気下での焼成がより好ましい。酸化雰囲気下の焼成では、表面の脱炭層を除去する必要があるため、経済的ではない。
非酸化焼成後の金属細管(炭素含有耐火物に埋設された金属細管)の炭素含有量は2.0質量%以下であることが好ましい。金属細管の炭素含有量が2.0質量%を超えると、金属細管の融点が低下するため、ノズル先端部の稼働面付近で金属細管が溶融する恐れがあり、ノズル自体の耐用性が低下する。また、以上の観点から、より好ましい金属細管の炭素含有量は1.0質量%以下である。非酸化焼成後の金属細管の炭素含有量を1.0質量%以下に留め、有機物を含浸した炭素含有耐火物を備えたMHPを250t転炉底吹きノズルとしてテスト使用したところ、従来品と比較して30%程度の損耗量低減が確認できた。
非酸化焼成後の金属細管の炭素含有量を2.0質量%以下とする方法としては、例えば、(i)非酸化焼成温度を低めにし、非酸化焼成時間を過度に長くしないこと、具体的には、非酸化焼成温度を1200℃以下とし、非酸化焼成時間を20時間以下とすること、(ii)金属細管の表面にガス透過性のないコーティング膜を塗布し、浸炭を抑えること、などが挙げられるが、特に(i)の方法が有効である。
以上のような非酸化焼成工程を経た炭素含有耐火物に対して、有機物を含浸させる含浸処理を施す。
有機物の含浸処理において、含浸する有機物の残炭率は30質量%以上とする。この有機物の残炭率は、JIS K6910(フェノール樹脂試験方法)に記載の固定炭素測定法に基づいて測定されるものである。含浸する有機物の残炭率が30質量%未満では、残炭による耐火物組織強化の効果が小さく好ましくない。この観点から、より好ましい残炭率は35質量%以上である。
含浸する有機物としては、コールタールピッチ(加熱溶解物)、フェノール樹脂(液状樹脂)、フラン樹脂(液状樹脂)などが挙げられ、これらの1種以上を用いることができるが、そのなかでも、特にコールタールピッチが好ましい。コールタールピッチは、熱分解後の炭素が結晶化しやすいため、より破壊エネルギーの向上に寄与するためである。これに対して、フェノール樹脂は熱分解後の炭素が結晶化しにくく、グラッシーなカーボンとなりやすいため、破壊エネルギーの向上効果はコールタールピッチに比べて相対的に低い。
有機物の含浸方法は特に制限はないが、一旦真空に減圧した後、加圧下で有機物を含浸させることが好ましい。例えば、真空圧100Torr以下に減圧した後、加圧力5kgf/cm以上で2時間以上保持して有機物を含浸させる。真空圧が高いと、耐火物内に残留した気泡により、加圧時に耐火物内部まで均質に有機物を含浸させることができなくなる場合がある。このため減圧する場合の真空圧は、100Torr以下、より望ましくは60Torr以下が好ましい。また、減圧後の加圧力が低い、或いは加圧保持時間が短いと、耐火物内に有機物を十分に含浸させることができない恐れがある。このため、減圧後の加圧力は5kgf/cm以上、より望ましくは10kgf/cm以上とし、加圧保持時間は2時間以上、より望ましくは4時間以上とすることが好ましい。これらの含浸条件を満たすことにより、炭素含有耐火物内に有機物が均質に浸透し、上述したような原理による炭素含有耐火物の破壊エネルギーの向上効果が特に効果的に得られる。
以上のように炭素含有耐火物を所定の真空圧に減圧した後、所定の加圧力に保持して有機物の含浸処理を行う設備としては、スライドプレートなどで有機物を含浸する際に用いる一般的な含浸処理設備が使用できる。また、含浸後は炭素含有耐火物内に残留する揮発分を除去するために、200℃程度の乾燥処理を実施してもよい。
本発明法で製造されるガス吹き込みノズル用耐火物は、炭素含有耐火物の破壊エネルギーが120J/m以上であることが好ましい。破壊エネルギーが120J/m未満では、従来の不焼耐火物との差は小さく、ガス吹き込みノズルの寿命向上効果は小さい。すなわち、炭素含有耐火物の破壊エネルギーが120J/m以上であることにより、ノズル稼働面付近における急激な温度勾配によって発生する亀裂の伸展を特に有効に抑制することが可能となり、ガス吹き込みノズルの寿命を大きく向上させることができる。また、炭素含有耐火物のより好ましい破壊エネルギーは150J/m以上である。
破壊エネルギーは、三点曲げ試験法を用いて測定する。すなわち、25×25×140mmの試験片に対して800℃の不活性雰囲気中で100mmスパンの三点曲げ試験を行い、0.1mm/minの速度で試験片に曲げ荷重を加えて応力・歪み曲線を求め、この応力・歪み曲線のなす面積から破壊エネルギーを得る。
同一材質の炭素含有耐火物であって、成形後、通常の乾燥処理までを実施した試料、乾燥処理後にさらに非酸化焼成した試料、乾燥処理後に本発明条件で非酸化焼成・有機物含浸した試料について破壊エネルギーを比較したところ、破壊エネルギーはそれぞれ85J/m、62J/m、160J/mであった。このように非酸化焼成・有機物含浸することによって、破壊エネルギーは効果的に増大する。
なお、耐火物の破壊エネルギーを高める方法としては、さきに述べたように炭素繊維(炭素長繊維)を添加する方法があるが、炭素繊維の添加は破壊エネルギーの増大には有効であるものの、炭素繊維と耐火物のなじみが非常に悪く、気孔率の非常に高い、ポーラスな組織となってしまう。このため炭素繊維を添加した材質では、耐食性などの低下が大きく、実用化は困難である。これに対して、非酸化焼成・有機物含浸は、耐火物組織の緻密性を保持しつつ破壊エネルギーを高めることができるので好ましい。
また、本発明法で製造されるガス吹き込みノズル用耐火物は、炭素含有耐火物の気孔率が3%以下であることが好ましい。この気孔率は、有機物含浸量の指標であり、気孔率が大きければ含浸量が少なく、気孔率が小さければ含浸量が多いことを意味する。有機物含浸量が少なく炭素含有耐火物の気孔率が3%を超えると、有機物含浸による効果が小さくなって、耐火物組織を強化し、靭性を向上させる効果が小さくなり、破壊エネルギーも120J/m以上を確保することが難しくなる。炭素含有耐火物のより好ましい気孔率は1.5%以下である。
次に、本発明の製造方法で用いられる炭素含有耐火物の材質(原料)や成形方法、金属細管の材質や本数、金属細管を炭素含有耐火物に埋め込む方法などについて説明する。
炭素含有耐火物の原料は、一般に骨材、炭素源、その他の添加材料及びバインダーなどからなる。
骨材としては、マグネシア、アルミナ、ドロマイト、ジルコニア、クロミア、スピネル(アルミナ−マグネシア、クロミア−マグネシア)などが挙げられ、これらの1種以上を用いることができるが、これらのなかでも、溶融金属や溶融スラグに対する耐食性の点からは、マグネシアが特に好ましい。
炭素源は特には限定されず、鱗状黒鉛、土壌黒鉛、石油系ピッチ、カーボンブラックなど一般的に使用されるものが適用でき、これらの1種以上を用いることができる。炭素含有耐火物中での炭素源の配合量は特には限定されないが、一般には10〜25質量%程度が適当である。
他の材料として、例えば、金属Al、金属Si、Al−Mg合金などの金属種、SiC、BCなどの炭化物などが挙げられるが、これらに限定されない。
バインダーには、フェノール樹脂、液状ピッチなど、一般的に定形耐火物のバインダーとして適用できるものが使用できる。
金属細管は、通常、内径が1〜5mm程度、管厚が0.5〜4mm程度の金属管である。金属細管の材質は特には限定されないが、融点が1300℃以上の金属材料を用いることが好ましい。例えば、鉄、クロム、コバルト、ニッケルの1種以上を含む金属材料(金属又は合金)が挙げられ、なかでも特に、ステンレス鋼(フェライト系、マルテンサイト系、オーステナイト系)や普通鋼などが一般的である。
炭素含有耐火物に埋設する金属細管の本数は特に制限はなく、1本〜複数本とする。金属細管の本数は、使用する金属細管の内径と、必要とされるガス吹き込み量で決められる。一般の転炉用のMHPでは、通常、60〜250本程度の金属細管が炭素含有耐火物に埋設される。一方、少量のガスしか流さないノズルの場合には、金属細管の本数が1本〜数本のものがある。このようなガス吹き込みノズルにおいても、勢い良くガスを吹き込むことによる羽口先端冷却が起こり、熱衝撃による亀裂の伸展が損傷の原因となるため、本発明はそのようなガス吹込みノズルにも適用することができる。
金属細管を炭素含有耐火物に埋め込む方法は特には限定されない。例えば、さきに挙げたような炭素含有耐火物の原料を混合し、ミキサーで混練する。その混練物の上に金属細管を敷設しながら積層状に金属細管を埋設した上で、プレス機により所定の圧力で成形を行い、成形後は適当な温度で乾燥処理する。そして、この金属細管が埋設された炭素含有耐火物に対して、本発明法に従い非酸化焼成・有機物含浸を行い、その後、ガス吹き込みノズルの機能に必要なガス溜まり用の部材を金属細管に接合(溶接)し、ガス吹き込みノズルの製品とする。
また、他の方法としては、予めガス溜まり用の部材(上面板)に金属細管を接合(溶接)しておき、その周囲に混練物を充填した上で、プレス機により所定の圧力で成形を行い、成形後は適当な温度で乾燥処理する。そして、この金属細管が埋設された炭素含有耐火物に対して、本発明法に従い非酸化焼成・有機物含浸を行い、ガス吹き込みノズルの製品とする。
炭素含有耐火物の原料の混練方法には特に制限はなく、ハイスピードミキサー、タイヤミキサー(コナーミキサー)、アイリッヒミキサーなど、定形耐火物の混練設備として用いられる混練手段を用いればよい。
混練物の成形には、油圧式プレス、フリクションプレスなどの一軸成形機や等方静圧成形(CIP)など、耐火物の成形に使用される一般的なプレス機が使用できる。
成形した炭素含有耐火物は、乾燥温度180℃〜350℃、乾燥時間5〜30時間程度で乾燥させればよい。
表1〜表3に、本実施例(本発明例、比較例)で製造したガス吹き込みノズル用耐火物の製造条件と特性を示す。
金属細管を埋設する炭素含有耐火物の原料としては、骨材であるマグネシア原料に電融マグネシア(純度98.2質量%)を、炭素源に鱗状黒鉛(純度98.4質量%、平均粒子径0.18mm)を、バインダーに残炭量が46質量%のフェノール樹脂をそれぞれ用いた。
炭素含有耐火物に埋設する金属細管としては、普通鋼又はステンレス鋼(SUS430)製の外径3mm、内径2mmのものを用いた。
炭素含有耐火物に含浸させる有機物としては、コールタールピッチ又はフェノール樹脂を用いた。表1〜表3において、残炭率が42質量%と35質量%のものはコールタールピッチであり、残炭率が30質量%と15質量%のものはフェノール樹脂である。残炭率は、JIS K6910(フェノール樹脂試験方法)に記載の固定炭素測定法に基づいて測定した。
炭素含有耐火物の原料を表1〜表3に示す割合で配合し、これをアイリッヒミキサーを用いて混練した後、230×200mmの金型を用いて、この混練物の上に金属細管を敷設しながら積層状に金属細管を埋設し、しかる後、油圧プレスで2.5トン/cmの圧力で成形した。この成形耐火物を乾燥機を用いて250℃で10時間硬化乾燥させ、金属細管を埋設した炭素含有耐火物を作製した。
以上のように作製された炭素含有耐火物を、表1〜表3に示す条件に従い、コークスブリーズ中で非酸化焼成した後、有機物の含浸処理を行い、ガス吹き込みノズル用耐火物を得た。有機物の含浸処理では、所定の圧力にて10時間保持した。
なお、気孔率と破壊エネルギーの測定用に、上記と同じ原料と方法で金属細管を埋設しない炭素含有耐火物を作製した。
また、比較例の一部は、非酸化焼成のみを施して有機物の含浸処理を施さないもの、非酸化焼成及び有機物の含浸処理を施さないものとした。
以上のようにして得られたガス吹き込みノズル用耐火物について、金属細管の炭素含有量の測定を行った。また、金属細管を埋設しない耐火物について、気孔率と破壊エネルギーの測定を行った。それらの結果を表1〜表3に示す。
耐火物の気孔率は、JIS R2205に従い測定した。この際、真空法を用い、煤液には白灯油を用いた。
耐火物の破壊エネルギーの測定は、以下のようにして行った。試験片サイズは、25×25×140mmとし、100mmスパンの3点曲げ試験を行った。曲げ試験は800℃の不活性雰囲気中で行った。試験機には(株)島津製作所製「オートグラフAG−X/R」を用い、クロスヘッドスピード0.1mm/minとした。3点曲げ試験によって得られた応力・歪み曲線から安定破壊が起こっていることを確認し、応力・歪み曲線のなす面積を切断面の投影面積(25×25mm)の2倍で割り、破壊エネルギーを求めた。測定のいずれの場合も安定破壊が起こっていることを確認した。
金属細管の炭素含有量は、金属細管を埋め込んだ非酸化焼成後の試験片の切断面を研磨し、分析電研によって定量分析を行うことで測定した。測定範囲は、金属細管の外周に沿った部分で100×100μmの視野における炭素量を測定した。分析装置は日本電子(株)製「JXA−8230」を使用した。
表1〜表3によれば、本発明例はいずれも低気孔率であり、また高い破壊エネルギーを有している。
比較例1は、一般に使用されているマグネシア・カーボン煉瓦であるが、破壊エネルギーは小さい値である。比較例2は、比較例1を1400℃で非酸化焼成したもの(有機物の含浸処理はせず)であるが、破壊エネルギーは小さい値であり、また、金属細管の炭素含有量は3.1質量%と大きい。比較例3は、非酸化焼成温度を300℃と低くしたものであるが、非酸化焼成によるバインダーの熱分解が十分に起こらないため有機物の含浸ができず、破壊エネルギーは小さい値である。比較例4は、含浸処理において残炭率が15質量%と小さい有機物を用いたものであるが、破壊エネルギーの上昇は満足できるレベルにない。
Figure 0006538584
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本発明例1、3、6、比較例1(従来から使用されているマグネシア・カーボン煉瓦)、比較例2の各ガス吹き込みノズル用耐火物を用いてガス吹き込みノズルを製作し、これを250トン転炉の底吹き羽口周辺の炉底煉瓦に使用した。使用後のガス吹き込みノズルを回収し、それらの損耗速度を調べた。
比較例1(従来から使用されているマグネシア・カーボン煉瓦)によるガス吹き込みノズルの損耗速度を1とした場合、1400℃で非酸化焼成して、含浸処理を行わなかった比較例2によるガス吹き込みノズルの損耗速度は1.25であった。
これに対して、本発明例6(1400℃で非酸化焼成したもの)によるガス吹き込みノズルの損耗速度は0.81と低下した。さらに、本発明例3(800℃で非酸化焼成したもの)によるガス吹き込みノズルの損耗速度は0.68、本発明例1(1000℃で非酸化焼成したもの)によるガス吹き込みノズルの損耗速度は0.70であり、それぞれ損耗速度が大幅に低下した。
以上のように、比較例によるガス吹き込みノズルに較べて本発明例によるガス吹き込みノズルの損耗速度が低下した理由は、金属細管を埋設した炭素含有耐火物の破壊エネルギーが増加したためである。また、本発明例によるガス吹き込みノズルのなかでも、非酸化焼成温度によって損耗速度が異なるのは、非酸化焼成後の金属細管の炭素含有量が違うためであり、特に1400℃で非酸化焼成した本発明例6によるガス吹き込みノズルは、金属細管の炭素含有量が増加したため、本発明例1、3に較べて損耗速度が大きい。

Claims (7)

  1. 炭素含有耐火物にガス吹込み用の金属細管が複数本埋設された、撹拌ガスである不活性ガス吹き込みノズル用耐火物の製造方法において、
    金属細管が埋設された炭素含有耐火物を非酸化焼成した後、該炭素含有耐火物に、残炭率が30質量%以上の有機物を含浸させる含浸処理を施す(但し、前記非酸化焼成及び含浸処理は1回のみ行う)ことを特徴とするガス吹き込みノズル用耐火物の製造方法。
  2. 非酸化焼成を焼成温度400〜1500℃、焼成時間1〜20時間で行うことを特徴とする請求項1に記載のガス吹き込みノズル用耐火物の製造方法。
  3. 非酸化焼成を焼成温度800〜1200℃で行うことを特徴とする請求項2に記載のガス吹き込みノズル用耐火物の製造方法。
  4. 製造されたガス吹き込みノズル用耐火物を構成する炭素含有耐火物の破壊エネルギーが120J/m以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガス吹き込みノズル用耐火物の製造方法。
  5. 製造されたガス吹き込みノズル用耐火物を構成する炭素含有耐火物の気孔率が3%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のガス吹き込みノズル用耐火物の製造方法。
  6. 非酸化焼成後における金属細管の炭素含有量を2.0質量%以下とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のガス吹き込みノズル用耐火物の製造方法。
  7. 含浸処理において炭素含有耐火物に含浸させる有機物が、コールタールピッチ、フェノール樹脂、フラン樹脂の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のガス吹き込みノズル用耐火物の製造方法。
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