JP6600729B1 - 真空脱ガス装置用スピネル−マグネシア−カーボンれんが及びこれを下部槽側壁にライニングした真空脱ガス装置 - Google Patents

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【課題】真空脱ガス装置内への酸素吹き込みによって発生するFeOあるいはFeOの含有率が高いスラグに対して耐食性に優れるスピネル−マグネシア−カーボンれんが及びこれを下部槽側壁に使用した真空脱ガス装置を提供する。【解決手段】スピネルを65質量%以上98質量%以下、マグネシアを1質量%以上30質量%以下、黒鉛を0.1質量%以上15質量%以下、並びにアルミニウム及び/又はアルミニウム合金を0.1質量%以上2.0質量%以下含有するスピネル−マグネシア−カーボンれんがを、真空脱ガス装置の下部槽側壁にライニングした真空脱ガス装置。【選択図】図1

Description

本発明は、DHや、RH等の真空脱ガス装置、特に酸素を吹き込む処理を行う真空脱ガス装置の内張りに適したスピネル−マグネシア−カーボンれんが、及びこのれんがを下部槽側壁に使用した真空脱ガス装置に関する。
DHや、RHのような真空脱ガス装置は、耐火物への負荷が大きく、耐火物損傷を著しく増大させるため、耐用性に優れた材料の供給が望まれてきた。従来、真空脱ガス装置用耐火物としては耐食性に優れるマグネシア−クロムれんがが使用されてきたが、マグネシア−クロムれんがは耐熱衝撃性に劣り、温度変化の大きいところでは寿命が著しく低下するという問題点があった。また、マグネシア−クロムれんがは使用後、6価クロムが生成するなどの環境問題を抱えていた。
このようなマグネシア−クロムれんがに対し、転炉などに使用されてきたマグネシア−カーボンれんがを真空脱ガス装置用耐火物として使用する試みも併せて行われてきた。マグネシア−カーボンれんがにおいても、スラグによる溶損が損傷の主因であると考えられており、また、併せて高温において、マグネシア−カーボン反応(下記(1)の反応)が起こるものと考えられてきた。
MgO(固体) + C(固体)→ Mg(ガス)+ CO(ガス) (1)
このマグネシア−カーボン反応は、高温ほど起こりやすく、処理中に脱ガス、脱炭のために減圧を伴う真空脱ガス装置では、生成したMg(ガス)やCO(ガス)が真空引きによって系外に取り出されるため、(1)の反応は進みやすいと考えられる。このため、マグネシア−カーボンれんがの耐用性が向上しない一つの理由は、スラグに対する耐食性と共にマグネシア−カーボン反応にあると考えられた。
このようなマグネシア−カーボン反応を抑制するために、いくつかの手法が提案されている。例えば特許文献1には、スピネル75〜99.5質量%及びカーボン0.5〜25質量%を含有するスピネル−カーボンれんがが開示されている。特許文献1によれば、スピネル固溶体を用いてMgO含有量を低下させることで、マグネシア−カーボン反応抑制に効果が得られることが示されている。
しかしながら、本発明者等がこのスピネル−カーボンれんがを実際の真空脱ガス装置で使用したところ、下部槽側壁においては従来のマグネシア−カーボンれんがよりも耐用性に劣っていることがわかった。つまり、真空脱ガス装置においては脱炭又は溶鋼昇熱のために、真空槽内の溶鋼へ酸素ガスを吹き付ける酸素処理を行う場合があるが、このような場合には酸素によって酸化されたFeOあるいはFeOの含有率が高いスラグが真空槽内に発生し、特に真空槽の下部槽側壁に内張りされた耐火物の溶損を大きくすることが知られている(特許文献2)。すなわち、スピネルはマグネシアよりもFeOと反応して低融点物質を生成しやすいため、スピネル−カーボンれんがを下部槽側壁にライニングした場合には耐用性の低下が問題となるのである。
また、特許文献3には、カーボン原料を3質量%以上かつ17質量%以下含有するスピネル−マグネシア−カーボンれんがであって、スピネル原料とマグネシア原料との和を100質量%とした場合、スピネル原料の含有量が50質量%以上かつ95質量%以下であり、マグネシア原料の含有量が5質量%以上かつ50質量%以下である羽口周辺用のスピネル−マグネシア−カーボンれんがが開示されている。特許文献3によれば、熱膨張を抑制するために、スピネルを添加することが好ましいされているが、開示されているマグネシア−スピネル−カーボンれんがを真空脱ガス装置の内張り耐火物として使用しても良好な結果は得られなかった。
特開2016−60651号公報 特開2017−110280号公報 特開2017−7901号公報
本発明の目的は、真空脱ガス装置内への酸素吹き込みによって発生するFeOあるいはFeOの含有率が高いスラグに対して耐食性に優れるスピネル−マグネシア−カーボンれんが及びこれを下部槽側壁に使用した真空脱ガス装置を提供することである。
本発明者等は、真空脱ガス装置、特に下部槽側壁の内張り材としてスピネル−カーボンれんがの耐用性の改善について種々検討したところ、スピネル−カーボンれんがに0.1質量%以上1.5質量%以下のアルミニウム及び/又はアルミニウム合金、並びにマグネシアを1質量%以上30質量%以下含有することで、耐FeO性に優れた真空脱ガス装置用れんがが得られることを知見した。しかもこのれんがを真空脱ガス装置の下部槽側壁に使用することで下部槽側壁の寿命が格段に向上することも知見した。
すなわち、本発明によれば、次の(1)から(4)のスピネル−マグネシア−カーボンれんが、及びこのれんがを下部槽側壁にライニングした次の(5)の真空脱ガス装置が提供される。
(1)スピネルを65質量%以上98質量%以下、マグネシアを1質量%以上30質量%以下、黒鉛を0.1質量%以上15質量%以下、かつスピネル、マグネシア及び黒鉛を合量で92質量%以上、並びにアルミニウム及び/又はアルミニウム合金を0.1質量%以上1.5質量%以下含有する真空脱ガス装置用スピネル−マグネシア−カーボンれんが。
(2)黒鉛の含有量が0.5質量%以上10質量%以下である(1)に記載の真空脱ガス装置用スピネル−マグネシア−カーボンれんが。
(3)マグネシアの含有量が1質量%以上10質量%以下である(1)又は(2)に記載の真空脱ガス装置用スピネル−マグネシア−カーボンれんが。
(4)粒径1mm未満のマグネシアの含有量が1質量%以上10質量%以下である(1)〜(3)のいずれか1項に記載の真空脱ガス装置用スピネル−マグネシア−カーボンれんが。
(5)(1)〜(4)のいずれか1項に記載の真空脱ガス装置用スピネル−マグネシア−カーボンれんがを真空槽内の溶鋼へ酸素ガスを吹き付ける酸素処理を行うRHの下部槽側壁にライニングした真空脱ガス装置。
本発明のスピネル−マグネシア−カーボンれんがは熱間の拘束下でマグネシアとアルミニウム及び/又はアルミニウム合金とが反応することでスピネルを生成することによるれんがの緻密化と、スピネルを適用することによるマグネシア−カーボン反応の抑制によって、酸素吹き込み処理を行いFeOが生成する真空脱ガス装置の内張り耐火物として耐食性が格段に優れるスピネル−マグネシア−カーボンれんがとなる。しかもこのれんがを使用した真空脱ガス装置の下部槽側壁の寿命を各段に向上することができる。
RHの真空槽の断面図。
以下、本発明の特徴であるスピネル−マグネシア−カーボンれんがの構成について説明する。
マグネシアは、アルミニウム及び/又はアルミニウム合金が使用中に酸化して生成するアルミナと反応してスピネルを生成する。その際に体積が膨張し、実際の使用中ではれんがの膨張が拘束されているため、れんが組織を緻密化することができる。これにより、使用中に生成するFeOのれんが中への浸透を抑制し、耐FeO性を向上することができる。マグネシアの含有量は少なくとも1質量%以上であり、スピネルによる緻密化効果のみであれば10質量%以下で十分であるが、特に下部槽側壁において、マグネシア−カーボン反応による耐用性低下よりもFeOに対する耐用性が優先される場合には、30質量%まで含有することができる。30質量%を超えると、耐FeO性向上による耐用性向上効果よりもマグネシア−カーボン反応による耐用性低下及び耐熱衝撃性の低下の影響が大きくなり、損耗が大きくなる。
本発明のれんがに含有するマグネシアは、耐火物に一般的に使用されているものを含有することができ、例えば電融マグネシア及び焼結マグネシアのいずれでも良く、これらを併用しても良い。その組成も特に限定されるものではないが、より高い耐食性を得るためにはMgO純度が高いマグネシアを含有することができ、例えばMgO純度96質量%以上、更には98質量%以上としても良い。
本発明のれんが中には、組織の緻密化効果を狙って含有するマグネシアのうちの一部もしくは全部を粒径1mm未満の粒子として1質量%以上10質量%以下で含有することができる。この粒径1mm未満のマグネシアの粒子は、粒径が小さいためアルミニウム及び/又はアルミニウム合金との反応性が高まり、組織の緻密化効果が一層顕著に発現される。この粒径1mm未満のマグネシアの粒子が1質量%未満ではその効果が十分得られず、10質量%を超えてもアルミニウム及び/又はアルミニウム合金の最大含有率2質量%に対して過剰となるため緻密化効果も向上しない。
スピネルは真空脱ガス装置の内張り用耐火物としてマグネシアと比べて耐熱衝撃性に優れ、しかもマグネシア−カーボン反応を抑制できる点から使用し、65質量%以上98質量%以下、好ましくは70質量%以上95質量%以下でれんが中に含有する。
スピネルはAlとMgOを主体とし、AlとMgOを合量で95質量%以上含むものである。スピネルの理論組成は、質量%でAl:MgO=71.7:28.3であるが、種々の組成のものがあり、理論組成よりAlを多く含むものはアルミナリッチスピネル、MgOを多く含むものはマグネシアリッチスピネルと呼ばれる。本発明に用いられるスピネルは、いずれをも使用することができ、併用しても良い。
スピネルの製法は、焼結、電融の別を問わずこれらを併用しても良く、より高い耐食性を得るためにはCaOやSiOなどの不純物は少ないことが好ましく、例えば、不純物成分5質量%以下、更には2質量%以下としても良い。
本発明では耐熱衝撃性を確保するために黒鉛を含有するが、黒鉛の含有量が増加すると耐FeO性が低下してくる。このためFeOによる溶損が大きな操業条件では黒鉛の含有量は少ないほど良いが、真空脱ガス装置は間欠操業になるため耐熱衝撃性も重要であり、ある程度の黒鉛が必要となる。このため、本発明のれんが中には、黒鉛を0.1質量%以上15質量%以下で、好ましくは0.5質量%以上10質量%以下で含有する。黒鉛が0.1質量%未満になると耐熱衝撃性が低下して割れが発生し、15質量%を超えるとFeOによる溶損が大幅に増大し、真空脱ガス装置の寿命が低下する。
黒鉛は、例えば、鱗状黒鉛、土状黒鉛、人造黒鉛など市販されている固体状カーボンが使用可能であり、これらを単独、あるいは2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明では、スピネル、マグネシア及び黒鉛を合量で92質量%以上含有する。92質量%未満では、FeOの含有率が高いスラグに対して耐食性が不十分となる。
本発明のれんがはアルミニウム及び/又はアルミニウム合金を、組織の緻密化と酸化防止のために0.1質量%以上2.0質量%以下、好ましくは0.1質量%以上1.5質量%以下で含有する。アルミニウム及び/又はアルミニウム合金が2.0質量%を超えると、マグネシアとアルミニウム及び/又はアルミニウム合金とが反応して、組織中にスピネルが多量に生成し、過焼結を起こすことで耐熱衝撃性が大幅に低下する。アルミニウム及び/又はアルミニウム合金が0.1質量%未満では組織の緻密化効果が不十分となり、気孔率が上昇して耐FeO性が低下する。この組織の緻密化効果は、例えば粒径0.074mm未満の細かいアルミニウム及び/又はアルミニウム合金を適用することで一層顕著に発現される。
なお、本明細書において、粒子の粒径がd未満とは、その粒子がJIS−Z8801に規定する目開きdの篩を通過する粒度であることを意味し、粒子の粒径がd以上とは、その粒子が同篩上に残る粒度であることを意味する。
アルミニウム、アルミニウム合金は、耐酸化性を向上させしかも組織を緻密にするために使用するもので、マグネシア−カーボンれんがなどで一般的に使用されているものであれば問題なく使用可能である。
本発明のれんがは、スピネル、マグネシア、黒鉛、並びにアルミニウム及び/又はアルミニウム合金以外に、通常のマグネシア−カーボンれんがに含有されている、炭素質原料、酸化防止材、及び/又は金属等を更に6質量%以下で含有することができ、例えばカーボンブラック、ピッチ、SiC、BC、及びSi等を含有することができる。また、結合組織を形成するための有機バインダー由来の非晶質カーボンも外掛けで3質量%以下含有することができる。このように本発明のれんがの組成において有機バインダー由来の結合組織(非晶質カーボン)の含有量は、有機バインダー由来の結合組織(非晶質カーボン)以外の組成物の合量100質量%に対する外掛けの割合で特定するものとする。言い換えれば、本発明のれんがの組成において有機バインダー由来の結合組織(非晶質カーボン)以外の組成物の含有量は、有機バインダー由来の結合組織(非晶質カーボン)以外の組成物の合量100質量%中に占める割合で特定するものとする。
本発明のスピネル−マグネシア−カーボンれんがは、一般的なマグネシア−カーボンれんがなどの製造方法によって製造することができる。すなわち、本発明のスピネル−マグネシア−カーボンれんがは、耐火原料配合物に有機バインダーを添加して混練し成形後、熱処理することで得ることができる。熱処理温度は200℃〜800℃の範囲とすることができる。
有機バインダーとしては、通常のマグネシア−カーボンれんがなどで使用されている有機バインダーを使用することができ、例えばフラン樹脂やフェノール樹脂等が使用可能である。また、有機バインダーは、粉末又は適当な溶剤に溶かした液状、更に液状と粉末の併用のいずれも形態でも使用可能である。混練、成形及び熱処理の方法及び条件も、一般的なマグネシア−カーボンれんがなどの製造方法に準じる。
本発明のスピネル−マグネシア−カーボンれんがは、真空脱ガス装置の下部槽側壁にライニングすることができる。図1にRHの真空槽の断面図を示す。同図に示すように本発明でいう下部槽側壁とは、敷部よりも上で上部槽と接合するフランジ部までの耐火物で構成される側壁部(図1のハッチング部分)のことである。本発明のスピネル−マグネシア−カーボンれんがを下部槽側壁にライニングすることで、下部槽側壁の溶損が抑制され下部槽の寿命を延長することができる。特に、真空槽内の溶鋼へ酸素ガスを吹き付ける酸素処理を行うRHの下部槽側壁に適用することで溶損を抑制する効果が顕著に得られる。
表1にスピネル−マグネシア−カーボンれんがの組成及び物性を示す。これらのれんがは、表1のれんがの組成と同じ割合の耐火原料配合物に有機バインダーとしてフェノール樹脂を適量添加して混練し、オイルプレスによって230mm×114mm×100mmの形状に成形後、最高温度250℃で5時間保持の熱処理を施すことで製造した。これから物性測定用試料を切り出して見掛気孔率を測定すると共に、耐食性、耐マグネシア−カーボン反応性及び耐熱衝撃性を評価した。なお、表1のれんがの中の有機バインダー由来の結合組織(非晶質カーボン)は、れんがの熱処理後の重量減少率から算出して全て外掛けで1質量%であった。
Figure 0006600729
見掛気孔率の測定においては形状50×50×50mmの試料をコークスブリーズ中に埋め、電気炉において1400℃まで昇温し、5時間保持して自然放冷した。その後、溶媒を白灯油としJIS R 2205に準拠して測定した。この見掛気孔率が低いほど、れんがは緻密であり、耐食性向上に有効と判断される。
耐食性は、回転侵食試験にて評価した。回転侵食試験では、水平の回転軸を有するドラム内面を供試れんがでライニングし、スラグを投入、加熱して、供試れんが表面を侵食させた。
加熱源は酸素−プロパンバーナーとし、試験温度は1700℃、スラグ組成はCaO:20質量%、SiO:20質量%、Al:10質量%、鋼:50質量%とし、スラグの排出、投入を30分毎に10回繰り返した。鋼はバーナーで加熱される過程で溶融し、酸素と反応してFeOを生成することで供試れんがを溶損する。試験終了後、各供試れんがの最大溶損部の寸法(れんがの残寸)を測定し、表1に記載の「比較例1」のれんがの残寸を100とする耐食性指数で表示した。この耐食性指数は数値が大きいものほど耐食性が優れていることを示す。耐食性は、耐食性指数が比較例1に対して10%以上向上している場合、すなわち耐食性指数が110以上の場合に改善効果があると判断した。
マグネシア−カーボン反応の程度は、「高温加熱試験(質量減少率)」で評価した。この高温加熱試験は、雰囲気調整可能な電気炉を用いて実施した。試験温度は1700℃に設定し、Ar雰囲気とすると共に、Arを吹き込むことでPMg(Mgガス分圧)やPCO(COガス分圧)を下げ、減圧下ないし真空下での処理と同様にマグネシア−カーボン反応を促進させた。マグネシア−カーボン反応は固体のマグネシアとカーボンがMgガスとCOガスとなる反応であり、反応の起こった試料は質量減少を伴うため、この質量減少率を用いて評価した。この質量減少率の数値が小さいほどマグネシア−カーボン反応が抑制されており、質量減少率が15質量%以上のものを不適と判断した。
耐熱衝撃性は、40×40×190mmの試料を1400℃で5時間還元雰囲気下において焼成し、この試料を1600℃に昇温した溶銑中に90秒間浸漬後、30秒水冷するサイクルを3回繰り返した。試験終了後、試料を切断し断面を観察して評価した。表1において、◎のものは亀裂が見られなかった試料であり、○のものは使用上問題無い程度の微亀裂が発生した試料、×のものは亀裂が観察された試料で実炉使用には適さないと判断した。
実施例1から実施例4はマグネシアの含有量を本発明の範囲内で変化させたものであり、耐食性、耐マグネシア−カーボン反応性、耐熱衝撃性いずれも良好な結果となった。
これに対して、比較例1はマグネシアを含まないため、アルミニウムと反応してスピネルを生成せず、組織が緻密にならなかったため、耐食性が低下した。比較例2はマグネシアの含有量が35質量%で上限値を超えており、耐マグネシア−カーボン反応性に劣る結果となった。
実施例5から実施例9は黒鉛として鱗状黒鉛の含有量を本発明の範囲内で変化させたものであり、耐食性、耐マグネシア−カーボン反応性、耐熱衝撃性いずれも良好な結果となった。
これに対して、比較例3は鱗状黒鉛の配合量が0質量%と下限値を下回っており、耐熱衝撃性が低下した。比較例4及び比較例5は鱗状黒鉛の配合量が18質量%と24.5質量%と上限値を超えており耐食性、及び耐マグネシア−カーボン反応性が低下した。
実施例10から実施例12はアルミニウムの含有量を本発明の範囲内で変化させたものであり、耐食性、耐マグネシア−カーボン反応性、耐熱衝撃性いずれも良好な結果となった。
これに対して、アルミニウムを含有しない比較例6は、組織が緻密化されないために耐食性が低下した。比較例7と比較例8はアルミニウムの含有量が2.5質量%と3.0質量%と上限値を超えており、耐熱衝撃性が大幅に低下した。
実施例14から実施例16は、粒径が1mm未満のマグネシアの含有量を本発明の好ましい範囲内で変化させたものであり、実施例1及び2と比較してより組織が緻密化し耐食性も向上した。
実施例17は、酸化防止剤として金属シリコンを0.2質量%含有したもので、実施例18はAl−Mg合金(Al含有量50質量%)を0.5質量%含有したものであり、実施例2と比較して一層の耐食性の向上が見られた。
実施例19及び20はSiCとBCをそれぞれ0.2質量%ずつ含有したものであり、実施例2と比較して一層の耐食性の向上が見られた。
実施例21及び22はカーボンブラックとピッチをそれぞれ1質量%ずつ含有したものであり、耐食性、耐マグネシア−カーボン反応性、耐熱衝撃性いずれも良好な結果となった。
実施例23はマグネシアを本発明の範囲内の上限値で、スピネルを本発明の範囲内の下限値で含有したものであり、耐食性、耐マグネシア−カーボン反応性、耐熱衝撃性いずれも良好な結果となった。
これに対して、スピネルを含有しない比較例9は、耐マグネシア−カーボン反応性及び耐熱衝撃性が低下した。
参考例24は、スピネル、マグネシア、黒鉛の合量を本発明の下限値で含有したものであり、耐食性、耐マグネシア−カーボン反応性、耐熱衝撃性いずれも良好な結果となった。
実施例2のれんが、比較例1のれんが、及び比較例9のれんがを真空槽内の溶鋼へ酸素ガスを吹き付ける酸素処理を行うRHの下部槽側壁にライニングして350回(ch)使用し、使用後のれんがを回収し観察した。実施例2のれんがは割れることなく良好に使用され、溶損速度は1.1mm/chであった。比較例1のれんがはFeOによって溶損し、溶損速度は2.3mm/chであり、比較例9のれんがはマグネシア−カーボン反応が進行して溶損し、溶損速度は2.5mm/chであった。

Claims (5)

  1. スピネルを65質量%以上98質量%以下、マグネシアを1質量%以上30質量%以下、黒鉛を0.1質量%以上15質量%以下、かつスピネル、マグネシア及び黒鉛を合量で92質量%以上、並びにアルミニウム及び/又はアルミニウム合金を0.1質量%以上1.5質量%以下含有する真空脱ガス装置用スピネル−マグネシア−カーボンれんが。
  2. 黒鉛の含有量が0.5質量%以上10質量%以下である請求項1に記載の真空脱ガス装置用スピネル−マグネシア−カーボンれんが。
  3. マグネシアの含有量が1質量%以上10質量%以下である請求項1又は請求項2に記載の真空脱ガス装置用スピネル−マグネシア−カーボンれんが。
  4. 粒径1mm未満のマグネシアの含有量が1質量%以上10質量%以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の真空脱ガス装置用スピネル−マグネシア−カーボンれんが。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の真空脱ガス装置用スピネル−マグネシア−カーボンれんがを真空槽内の溶鋼へ酸素ガスを吹き付ける酸素処理を行うRHの下部槽側壁にライニングした真空脱ガス装置。
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