JP4632009B2 - 環状オレフィン系共重合体、この複合体、これらの架橋体、および光学材料 - Google Patents
環状オレフィン系共重合体、この複合体、これらの架橋体、および光学材料 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、架橋可能な環状オレフィン系共重合体に関する。さらに詳しくは、優れた耐熱性、耐溶剤性、耐薬品性を有する光学材料に好適な架橋可能な環状オレフィン系共重合体、この複合体、これらの架橋体、およびこれらを用いた光学材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、軽量化、小型・高密度化の要求に伴い、電子部品、光学部品など分野では、ガラスから、軽く、加工が容易な透明樹脂への転換が進んでいる。ガラスの代替としての透明樹脂は、加工しやすい、割れにくい、軽いなどの長所もあるが、耐熱性、耐久性・耐薬品性、寸法安定性が劣るなど欠点もある。そのため、これら欠点を改良することが求められている。
【0003】
これまでに、光学的に透明性が高くかつ耐熱性のある重合体として、環状オレフィンの付加重合体が有用とされ、例えば、下記の特許が提案されている。
特開平03−205408号公報
特開平04−63807号公報
特開平07−104474号公報
特開平09−508649号公報
特開平10−251343号公報
特開平10−182799号公報
WO−98/20394号公報
WO−97/20871号公報
WO−96/37526号公報
WO−98/56839号公報
【0004】
また、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性の改良手段として架橋化が有力な手段であるとされており、以下の特許公報において、架橋可能な環状オレフィン系重合体として
(1)特開平03−205408号公報にて、ビニル基、ビニリデン基で代表される炭化水素の不飽和結合を側鎖に有する環状オレフィン系付加重合体。
(2)WO−96/37526号公報にて、芳香族基を含む共役二重結合からなる置換基を側鎖に有する環状オレフィン系付加重合体。
(3)WO98/56839号公報、WO97/20871号公報、
WO98/20394号公報にて、代表として、アルコキシシリル基を側鎖に含む環状オレフィン系付加重合体。
特開平07−104474号公報にてグラフト反応によりアルコキシシリル基が導入された環状オレフィン系重合体。
(4)特開平10−182799号公報および特開平10−251343号公報にて、エポキシ変性された環状オレフィン系重合体。
などが開示されている。
【0005】
しかし、架橋可能な反応部位としてのビニル基、ビニリデン基などの炭化水素からなる不飽和結合基では、架橋するために、熱、光などで分解して、ラジカルが発生する開始剤化合物が多く必要である。
また、アルコキシシリル基の場合では、水、酸、有機スズ、アルミニウムジケトンなどの添加剤、触媒または光で分解する酸発生剤などが必要である。
光学材料、電子材料用などの用途分野では、揮発性の不純物、触媒金属残さなど出来るだけ重合体中に含まれないことが求められている。そのため、架橋可能な反応部位としての官能基が有効に働き、架橋に際しても、出来るだけ少ない量の添加剤、触媒などを用いるかまたはこれらを用いない方法で架橋されることが求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の問題に鑑みなされたもので、優れた耐熱性、透明性、耐薬品性、耐溶剤性および接着・密着性を付与する、架橋可能な環状オレフィン系共重合体、その複合体、およびその架橋体を提供することを目的とする。さらに、架橋された環状オレフィン系共重合体ができるだけ架橋に際しての不純物、残さを含まない架橋体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位(a)と下記一般式(2)で表される繰り返し単位(b)を含み、ポリスチレン換算重量平均分子量が3,000〜1,500,000である環状オレフィン系共重合体に関する。
【0008】
【化3】
【0009】
[式(1)中、A1,A2,A3,A4はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、または、一般式−(CH2)f−O−C(O)CR1=CR2R3または一般式−C(O)−O−(CH2)g−O−C(O)−CR1=CR2R3で表される架橋可能な官能基を示し、A1,A2,A3,A4のうち少なくとも一つは上記架橋可能な官能基である。ここで、R1,R2,R3はそれぞれ独立に、水素原子、1〜10のアルキル基を示す。fは0〜3の整数、gは1〜3の整数を示す。pは0〜3の整数を示す。]
【0010】
【化4】
【0011】
[式(2)中、B1,B2,B3,B4はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基、ハロゲン原子、ハロゲン化炭化水素基、または−(CH2)qXで表される極性基を示す。ここで、Xは−C(O)OR4、−OC(O)R5、または−Si(OR6)3-kR7 kであり、R4,R5は炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、シクロアルキル基またはこれらのハロゲン置換基、R6は炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基またはアリ−ル基で、R7はハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基またはアリル基である。また、B1とB3で形成されるビニリデニル、イミド、カルボン酸無水物基であってもよい。qは0〜3の整数を示す。kは0〜3の整数である。mは0または1の整数を示す。]
ここで、上記環状オレフィン系共重合体は、さらに下記一般式(3)で表される繰り返し単位(c)を含むものでもよい。
−(CH2−CHR8)− ………(3)
[式(3)中、R8は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基あるいは一般式−Si(R9)t(R10)3-tで表されるシリル基である。ここでR9は炭素数1〜5のアルキル基またはアルコキシ基を示し、R10はハロゲン原子または水素原子を示す。tは0〜3の整数である。]
また、上記環状オレフィン系共重合体を構成する一般式(1)で示される繰り返し単位(a)は、全繰り返し単位中に0.1〜30モル%含まれるものが好ましい。
さらに、上記環状オレフィン系共重合体を構成する一般式(2)のB1,B2,B3,B4のうち少なくとも一つがアルコキシシリル基である繰り返し単位(b)は、全繰り返し単位中に0.1〜20モル%含まれるものが好ましい。
本発明の環状オレフィン系共重合体には、ケイ素、アルミニウム、チタンおよびジルコニウムの群から選ばれた少なくとも1種の金属の酸化物、ならびに/またはアルコキシシラン化合物を加水分解・縮合して得られるシリコン酸化物を配合し、複合体としてもよい。
次に、本発明は、上記環状オレフィン系共重合体、または上記複合体、を架橋させてなる架橋体に関する。
次に、本発明は、上記環状オレフィン系共重合体、上記複合体、または、上記架橋体、を用いた光学材料に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を具体的に説明する。
本発明の環状オレフィン系共重合体は、一般式(1)に示す繰り返し単位(a)および一般式(2)に示す繰り返し単位(b)を含む環状オレフィン系共重合体、または一般式(1)に示す繰り返し単位(a)、一般式(2)に示す繰り返し単位(b)および一般式(3)で示す繰り返し単位(c)を含む環状オレフィン系共重合体である。
【0013】
一般式(1)で示される繰り返し単位(a)は、下記一般式(4)に示す環状オレフィン(以下、「特定の環状オレフィン(1)」という)の付加重合により、形成することができる。
【0014】
【化5】
【0015】
[式(4)中、A1,A2,A3,A4およびpは式(1)に示すものと同じである。]
本発明の環状オレフィン系共重合体に繰り返し単位(a)の割合が0.1〜30モル%含まれていると、光、熱により、容易に架橋が可能となる。その割合が0.1%未満では架橋がかかりにくくなり、一方、30モル%を超えると、貯蔵安定性が劣るようになる。繰り返し単位(a)の割合は、好ましくは0.5〜10モル%である。
【0016】
本発明の繰り返し単位(a)には、一般式(1)に示した2,3付加構造単位の他に、2,7付加構造単位が少量含まれていてもよい。
【0017】
特定の環状オレフィン(1)の具体例としては、
アクリル酸2−(5−ノルボルネニル)メチル(別称:2−ヒドロキシメチル−5−ノルボルネンとアクリル酸のエステル)、
アクリル酸2−(3−メチル−5−ノルボルネニル)メチル、
アクリル酸2−(3−エチル−5−ノルボルネニル)メチル、
メタクリル酸2−(5−ノルボルネニル)メチル、
アクリル酸2−(5−ノルボルネニル)エチル、
メタクリル酸2−(5−ノルボルネニル)エチル、
アクリル酸5−ノルボルネニル、
アクリル酸2−メチル−5−ノルボルネニル、
メタクリル酸5−ノルボルネニル、
メタクリル酸2−メチル−5−ノルボルネニル、
アクリル酸3−(3−メチル−8−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデセニル)メチル、
アクリル酸3−(8−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデセニル)メチル
メタクリル酸3−(3−メチル−8−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデセニル)メチル、
メタクリル酸3−(8−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデセニル)メチル、
アクリル酸3−(3−メチル−8−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデセニル)、
アクリル酸3−(8−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデセニル)、
メタクリル酸3−(3−メチル−8−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデセニル)、
メタクリル酸3−(8−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデセニル)
クロトン酸2−(5−ノルボネニル)メチル、
クロトン酸3−(3−メチル−8−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデセニル)、
2−ヒドロキシエチルアクリレートと5−ノルボルネン−2−カルボン酸のエステル、
2−ヒドロキシエチルメタクリレートと5−ノルボルネン−2−カルボン酸のエステル、
2−ヒドロキシエチルアクリレートと2−メチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸のエステル、
2−ヒドロキシエチルメタクリレートと2−メチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸のエステル、
2−ヒドロキシプロピルアクリレートと5−ノルボルネン−2−カルボン酸のエステル、
2−ヒドロキシプロピルメタクリレートと5−ノルボルネン−2−カルボン酸のエステル、
2−ヒドロキシプロピルアクリレートと2−メチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸のエステル、
2−ヒドロキシプロピルメタクリレートと2−メチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸のエステル
などが挙げられる。
【0018】
一般式(2)で示される繰り返し単位(b)は、下記一般式(5)に示す環状オレフィン(以下、「特定の環状オレフィン(2)」という)の付加重合により、形成することができる。
【0019】
【化6】
【0020】
[式(5)中、B1,B2,B3,B4およびmは式(2)と同様である。]
本発明の環状オレフィン系共重合体を構成する一般式(2)のB1,B2,B3,B4のうち少なくとも一つがアルコキシシリル基である繰り返し単位(b)は、全繰り返し単位中に0.1〜20モル%含まれるものが、金属酸化物またはアルコキシシラン化合物の縮合体をミクロに分散し、光学的に透明性の高い複合体とするためや、他の部材との接着性を高めるために好ましい。さらに、好ましくは0.5〜10モル%である。
【0021】
特定の環状オレフィン(2)の具体例としては、
2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、
5−エチル−2−ノルボルネン、5−プロピル−2−ノルボルネン、
5−ブチル−2−ノルボルネン、5−ペンチル−2−ノルボルネン、
5−ヘキシル−2−ノルボルネン、5−ヘプチル−2−ノルボルネン、
5−オクチル−2−ノルボルネン、5−デシル−2−ノルボルネン、
5−ドデシル−2−ノルボルネン、5,6−ジメチル−2−ノルボルネン、
5−メチル−5−エチル−2−ノルボルネン、
5−フェニル−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、
5−アリル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、
5−エチリデン−2−ノルボルネン、
5−シクロヘキシル−2−ノルボルネン、
5−シクロヘキセニル−2−ノルボルネン、
5−インデニル−2−ノルボルネン、
5,6−インダン−2−ノルボルネン、5−フロロ−2−ノルボルネン、
5−クロロ−2−ノルボルネン、5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、
5−ノルボルネン−2−カルボン酸エチル、
5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチル、
2−メチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、
2−メチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸エチル、
2−メチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸プロピル、
2−メチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチル、
2−メチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸トリフロロエチル、
2−メチル−5−ノルボルネン−2−イル酢酸エチル、
5−トリメトキシシリル−2−ノルボルネン、
5−ジメトキシクロロシリル−2−ノルボルネン、
5−メトキシクロロメチルシリル−2−ノルボルネン、
5−ジメトキシクロロシリル−2−ノルボルネン、
5−メトキシヒドリドメチルシリル−2−ノルボルネン、
5−ジメトキシヒドリドシリル−2−ノルボルネン、
5−メトキシジメチルシリル−2−ノルボルネン、
5−トリエトキシシリル−2−ノルボルネン、
5−ジエトキシクロロシリル−2−ノルボルネン、
5−エトキシクロロメチルシリル−2−ノルボルネン、
5−ジエトキシヒドリドシリル−2−ノルボルネン、
5−エトキシジメチルシリル−2−ノルボルネン、
5−エトキシジエチルシリル−2−ノルボルネン、
5−プロポキシジメチルシリル−2−ノルボルネン、
5−トリフェノキシシリル−2−ノルボルネン、
5−ジフェノキシメチルシリル−2−ノルボルネン、
5−トリメトキシシリルメチル−2−ノルボルネン、
5−(2−トリメトキシシリル)エチル−2−ノルボルネン、
5−(2−ジメトキシ,クロロシリル)エチル−2−ノルボルネン、
5−(1−トリメトキシシリル)エチル−2−ノルボルネン、
5−(2−トリメトキシシリル)プロピル−2−ノルボルネン、
5−(1−トリメトキシシリル)プロピル−2−ノルボルネン、
5−トリエトキシシリルエチル−2−ノルボルネン、
5−ジメトキシメチルシリルメチル−2−ノルボルネン、
5−トリメトキシプロピルシリル−2−ノルボルネン、
5−ノルボルネン−2−カルボン酸トリメトキシシリルプロピル、
5−ノルボルネン−2−カルボン酸トリエトキシシリルプロピル、
5−ノルボルネン−2−カルボン酸ジメトキシ,メチルシリルプロピル、
2−メチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸トリメトキシシリルプロピル、
2−メチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸ジメトキシ,メチルプロピル、
2−メチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸トリエトキシシリルプロピル、
5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸ジメチル、
5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸ジエチル、
5−ノルボルネン−2,3−カルボン酸無水物、
N−フェニル−5−ノルボルネン−2,3−カルボンイミド、
N−シクロヘキシル−5−ノルボルネン−2,3−カルボンイミド、
3−トリシクロ[4.3.0.12,5]デセン、
3,7−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカジエン(ジシクロペンタジエン)、
3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデセン、
8−メチル−3−テトラシクロ[4.4.0.12,517,10]ドデセン、
8−メチル−8−カルボキシメチル,3−テトラシクロ[4.4.0.12,517,10]ドデセン、
8−メチル−8−カルボキシエチル,3−テトラシクロ[4.4.0.12,517,10]ドデセン、
などを挙げることができる。
【0022】
一般式(1)で示される繰り返し単位(a)および一般式(2)で示される繰り返し単位(b)とともに構成される一般式(3)で示される繰り返し単位(c)は、「特定のα−オレフィン」を付加共重合することにより形成される。
【0023】
特定のα−オレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、トリメチルシリルエチレン、トリエチルシリルエチレン、トリクロロシリルエチレン、ジメチルクロロシリルエチレン、メチルジクロロシリルエチレン、トリエトキシシリルエチレン、トリプロポキシシリルエチレン、などが挙げられるが、これらの中でエチレン、スチレン、p−メチルスチレンが好ましい。
【0024】
本発明の特定の環状オレフィン(1)と特定の環状オレフィン(2)の共重合方法、あるいは、環状オレフィン(1)と環状オレフィン(2)および特定のα−オレフィンの共重合方法は、下記の方法によって行われる。
【0025】
代表的な重合触媒としては、
[Pd(CH3CN)4][BF4]2、[Pd(PhCN)4][SbF6]、
ジ−μ−クロロ-ビス(6−メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2-エン−エンド−5σ,2π)Pd(以下、「I」と略す。)とメチルアルモキサン(以下、「MAO」と略す。)
IとAgSbF6、IとAgBF4、
[(η3-アリール)PdCl]2とAgSbF6 、[(η3-アリール)PdCl]2とAgBF4、
[(η3-クロチル)Pd(シクロオクタジエン)][PF6]、
[(1,5-シクロオクタジエン)Pd(CH3)(Cl)]とPPh3とNaB[3,5-(CF3)2C6H3]4
[(η3-クロチル)Ni(シクロオクタジエン)][B((CF3)2C6H4)4]
[NiBr(NPMe3)]4とMAO、Ni(オクトエート)2とMAO、
Ni(オクトエート)2とB(C6F5)3とAlEt3、
Ni(オクトエート)2とHSbF6の反応物とBF3・Et2OとAlEt3、
Ni(オクトエート)2とHSbF6の反応物とBF3・Et2OとAlEt3の反応物
Ni(オクトエート)2とHSbF6の反応物とAlEt2F
Ni(オクトエート)2とHSbF6の反応物とAlEtF2
Ni(ナフトエート)2とHSbF6の反応物とBF3・Et2OとAlBu3
Ni(ナフトエート)2とHSbF6の反応物とB(C6F5)3とAlEt3の反応物
Ni(オクトエート)2とPh3C・B(C6F5)3とAlEt3、
Bis[N−(3−tert−butylsalicylidene)phenylaminato]Ni(II)とPh3CB(C6F5)4とAlBu3
Bis[N−(3−tert−butylsalicylidene)phenylaminato]Ni(II)とMAO、
Ni[PhC(O)CHPPh2](Ph)(PPh3)Ni[OC(O)(C6H4)PPh2](H)(PPh3)Ni(COD)2とPPh3=CHC(O)Ph
[(ArN=CHC6H3(O)(Anth)](Ph)(PPh3)Ni (ここで、Ar:2,6−(Pr)2C6H3 ,Pr:isopropyl ,Anth:9-anthracene)
Toluene・Ni(C6F5)2、
[PPh2CH2C(O)Ph]Ni(C6F5)2、
Co(ネオデカノエート)とMAO
などの周期律表8族のNi、Pd、Coなどの錯体またはカチオン錯体を形成する化合物などが挙げられる。
【0026】
溶媒としては、
シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタンなどの脂環式炭化水素溶媒、
ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、
トルエン、ベンゼン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、
ジクロロメタン、1,2−ジクロロエチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素溶媒、
酢酸エチル、酢酸ブチル、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコール、ジメチルエーテル、ニトロメタン、N-メチルピロリドン、ピリジン、N、N´−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルフォルムアミド、アセトアミドなどの極性溶媒などから選ばれた溶媒が用いられる。
【0027】
重合の方法としては、窒素またはアルゴン雰囲気下で反応容器に溶媒と環状オレフィンからなるモノマーと分子量調節剤を仕込み、−20℃〜100℃の範囲の温度に重合系を設定する。
次に、上記触媒成分を添加して−20℃〜100℃の範囲で重合を行う。
溶媒/モノマーの重量比は、1〜20の範囲で行われる。分子量の調節は、重合触媒の量とα−オレフィン、水素、ジフェニルジヒドロシランなどの分子量調節剤の添加量、重合体への転化率および重合温度によって、目的とする分子量に調節される。
重合の停止は、水、アルコール、有機酸、炭酸ガスなどから選ばれた化合物により行われる。重合体溶液に乳酸、シュウ酸など有機カルボン酸から選ばれた酸の水/アルコール混合物を添加して、触媒残さは重合体溶液から分離・除去される。
重合体は、重合体溶液をメタノール、エタノール、イソプロパノールなどから選ばれたアルコール中に入れて、凝固し、減圧乾燥することにより得られる。この工程で、重合体溶液に残存する未反応モノマーも除去される。
【0028】
本発明の環状オレフィン系共重合体の分子量は、o−ジクロロベンゼンを溶媒とするゲル・パーミエーションクロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算の数平均分子量が2,000〜1,000,000、重量平均分子量が3,000〜1,500,000、好ましくは数平均分子量が10,000〜700,000、重量平均分子量が20,000〜1,000,000である。
数平均分子量が2,000未満、重量平均分子量が3,000未満では、フィルム、薄膜およびシートとしたときの破壊強度が不十分となることが多い。一方、数平均分子量が1,000,000、重量平均分子量が1,500,000を超えると、シート、フィルムの成形加工性が低下したり、キャストフィルムの製膜時、溶液粘度が高くなり、取扱いが困難となる。
【0029】
本発明の環状オレフィン系共重合体のガラス転移温度は、動的粘弾性で測定されるTanδ(貯蔵弾性率E’、損失弾性率E”、Tanδ=E”/E’)の温度分散のピーク温度で求められる。
本発明の環状オレフィン系共重合体のガラス転移温度は、好ましくは120〜400℃、さらに好ましくは200〜370℃、特に好ましくは250〜350℃である。ガラス転移温度が120℃未満では、フィルムまたはシート状に液晶基盤形成する際に耐熱性が不足して、熱変形が起こり好ましくない。一方、ガラス転移温度が400℃を超えると、高温での加工、架橋反応を行う際に共重合体の分解が起こるため好ましくない。
なお、本発明の共重合体中の繰り返し単位(a)は、例えば、赤外線吸収スペクトルによって、1725〜1735cm-1の隣接二重結合のカルボニル(C=O)の吸収などにより確認でき、また、核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)により、5.4〜6.9ppmのC=C二重結合の炭素原子置換基のプロトンのピークから、その構造を確認することができる。また、共重合体中の繰り返し単位(a)の割合は、1H−NMRにより、全ノルボルネン構造に由来する0.9〜3.0ppmのプロトンの吸収と5.4〜6.9ppmのC=C二重結合の炭素原子置換基のプロトンの吸収の比率から求めることができる。
【0030】
本発明の環状オレフィン系共重合体には、
2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、
4,4’−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、
1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、
2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、
ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのフェノール系、ヒドロキノン系酸化防止剤
さらに、トリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)ホスファイト、
トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、
トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト
ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト
ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどのリン系酸化防止剤を添加して、酸化安定性を向上させることができる。
【0031】
本発明の環状オレフィン系共重合体には、ケイ素、アルミニウム、チタンおよびジルコニウムの群から選ばれた少なくとも1種の金属の酸化物、ならびに/またはアルコキシシラン化合物を加水分解・縮合して得られるシリコン酸化物(以下、これらを「金属酸化物」ともいう)を配合し、複合体としてもよい。
【0032】
上記複合体としては、上記本発明の環状オレフィン系共重合体に、コロイダル状の、シリカ、アルミナ、チタニアなどの金属酸化物をアルコキシシリル基を有するアクリル酸エステル、またはメタクリル酸エステルで表面を変性したものと混合して共重合体中に金属酸化物がミクロに分散した架橋可能な複合体とすることもできる。
【0033】
また、本発明の環状オレフィン系共重合体が、アルコキシシリル基を含有する場合は、上記金属酸化物を表面変性することなく、共重合体中に金属酸化物がミクロに分散した架橋可能な複合体が得られる。
【0034】
さらに、上記複合体としては、本発明の共重合体中に、Si、Al、Ti、Zrなどのアルコール塩、アリール塩例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、テトラエトキシチタン、テトラエトキシジルコンなどを溶液状態で混合後に、Sn、Ti、Zr、Y、Alなどの化合物、やHCl、HFなどの触媒を用いて、加水分解・重縮合する”ゾル−ゲル法”によっても架橋可能なハイブリッド複合体が得られる。
共重合体中にこれら無機粒子が100nm以下、好ましくは10nm以下の粒径に分散されることにより、光学透明で耐熱性、寸法安定性が向上した複合体となる。
【0035】
本発明の複合体において、上記金属酸化物の配合量は、本発明の環状オレフィン系共重合体100重量部に対し、通常、3〜50重量部、好ましくは5〜30重量部である。
【0036】
本発明の環状オレフィン系共重合体(または複合体)は、押し出し機により、直接、フィルム、シート薄膜とすることもできるし、また炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、ケトン、エーテル、エステル、アミン、アミド、尿素など極性溶媒から選ばれた溶媒に共重合体(複合体)を溶解させ、キャスティング、蒸発工程を経て、光学透明なフィルムおよびシートにすることができる。また、これら溶媒に共重合体(複合体)を膨潤させたのち、押し出し機で溶媒を蒸発させながら、共重合体(複合体)をフィルム、シートに成形・加工することもできる。
【0037】
本発明の環状オレフィン系共重合体、あるいは、その複合体は、光あるいは電子線などの活性エネルギー線により架橋でき、架橋を促進するために、芳香族化合物、芳香族カルボニル化合物、芳香族チオカルボニル化合物などの増感剤、有機および無機の過酸化物、スルフィド化合物、ジアゾ化合物、チオール化合物など少量添加することができる。
架橋に用いられる光源としては、波長が250nm〜450nmの光が用いられる。また、架橋条件は、温度が0〜150℃で、時間が1〜300分である。
【0038】
本発明の環状オレフィン系共重合体、その複合体、これらの架橋体は、優れた光学透明性、耐熱性、接着・密着性を有するので、導光板、偏光フィルム、液晶パネル、位相差フィルム、透明導電性フィルム、OHPフィルム、光ディスク、光ファイバー、レンズなど光学部品(光学材料)、電子部品、さらに医療容器、容器などにも用いられる。
【0039】
なお、本発明の環状オレフィン系共重合体(複合体)は、優れた光学透明性、耐熱性、接着性・密着性を有するため、従来、公知のノルボルネン系開環(共)重合体の水素化物や付加(共)重合体(例えば、特開昭61−29260号公報、特開昭60−16870号公報、特開昭60−26024号公報、特開平2−51511号公報、特開平1−132625号公報、特開平1−132626号公報、特開平4−202404号公報、特開平4−63807号公報、特開平8−198919号公報、特表平9−508649号公報、特表平11−505880号公報、特開昭61−292601号公報など)を配合して熱可塑性重合体組成物となし、優れた耐熱性、光学特性(透明性、低複屈折性、)、接着・密着性を付与することができる。
【0040】
このような熱可塑性重合体組成物において、本発明の環状オレフィン系共重合体と他の(共)重合体との配合割合は、本発明の環状オレフィン系共重合体および他の(共)重合体の種類、両者の相溶性、組成物の使用目的に応じて、適宜選択されるが、優れた耐熱性を有する重合体組成物を得るためには、本発明の環状オレフィン系共重合体の割合が5〜95重量%、好ましくは10〜90重量%、さらに好ましくは、20〜80重量%である。
【0041】
このような熱可塑性重合体組成物は、押し出し機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロールなどを用いる機械的混合や、溶媒に溶かして溶液ブレンドすることにより得られる。
このような熱可塑性重合体組成物からも、本発明の環状オレフィン系共重合体の場合と同様に、フィルム、シートおよび薄膜を得ることができる。
【0042】
【実施例】
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限を受けるものではない。
なお、分子量、ガラス転移温度、屈折率、ガラス転移温度、線膨張係数、吸水率、接着・密着性は、下記の方法で測定した。
【0043】
(1)重量平均分子量、数平均分子量:
ウオターズ(WATERS)社製150C型ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)装置で東ソ−(株)製Hタイプカラムを用い、o−ジクロロベンゼンを溶媒として、120℃で測定した。得られた分子量は、標準ポリスチレン換算値である。
(2)全光線透過率:
ASTM−D1003に準拠し、厚さが100μmのフィルムにして、全光線透過率を測定した。
(3)Tanδのピーク温度(ガラス転移温度):
動的粘弾性のTanδ(貯蔵弾性率E'と損失弾性率E"との比E"/E'=Tanδ)を測定し、その温度分散のピーク温度を共重合体のガラス転移温度とした。動的粘弾性の測定は、レオバイブロンDDV−01FP(オリエンテック製)を用い、測定周波数が10Hz、昇温速度が4℃/分、加振モードが単一波形、加振振幅が2.5μmの条件で行った。
(4)線膨張係数:
TMA(Thermal Mechanical Analysis)/SS6100(セイコーインスツルメント社製)を用いて、膜厚100μm、幅3mm、長さ10cmの試料を、チャック間距離10mmで固定し、室温から200℃程度まで一旦昇温して残留ひずみをとった後、室温から3℃/min.で昇温し、チャック間距離の伸びから線膨張係数を求めた。
(5)吸水率:
23℃の水中に24時間浸漬させた後、浸漬前後の重量変化から吸水率を求めた。
(6)接着性・密着性:
10cm×10cmの試験片にアルミニウムを蒸着し、この蒸着膜に対して、カッターにより、1mm×1mmの碁盤目が10個×10個、形成されるように、切り込みを入れ、セロハンテープによる剥離試験を行い、25ブロック中における剥離したブロックの数を測定した。
【0044】
合成例1〔アクリル酸2−(5−ノルボルネニル)メチルの合成〕
500mlの耐圧カラス容器中、窒素雰囲気下で5−ヒドロキシメチル−2−ノルボルネン 50g(0.403mol)とアクリル酸クロライド39.2ml(0.483mol)を塩化メチレン370mlに加え、さらにトリエチルアミン 84.3ml(0.605mol)を加え、25℃で3時間反応させた。この後、塩酸水溶液に注ぎ、炭酸ナトリウムで水相を中和して、有機相を分液ロートで分離した。重合防止剤であるペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t-ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を75mg添加して55℃、5mmHg下で蒸留した。アクリル酸2−(5−ノルボネニル)メチルを47gを得た。(収率65%)
【0045】
実施例1〔2−ノルボルネンとアクリル酸2−(5−ノルボルネニル)メチルの共重合体の合成〕
300mlの耐圧ビンに窒素雰囲気下で水分5ppmのトルエンを100ml、2−ノルボルネン90mmol.、アクリル酸2−(5−ノルボルネニル)メチル10mmol.を仕込み、六フッ化アンチモン酸(HSbF6)とオクタン酸ニッケル(Ni(oct)2)を−30℃で予め、反応させた変性オクタン酸ニッケル(HSbF6/Ni(oct)2=1.2モル比)を0.04mg当量Ni、三フッ化硼素・エチルエーテル錯体0.36mmol.トリエチルアルミニウム0.40mmol.の順に添加して、30℃で2時間、重合を行った。
上記共重合体溶液に乳酸4mmol.を含むイソプロパノール4mlを添加して、60℃、30分間反応させた後、水600mlに入れ、攪拌、静置分離して、共重合体溶液から脱触媒を行った。
その後、共重合体溶液をイソプロパノール1,000mlに入れて凝固し、未反応単量体を除去し、共重合体を80℃、10時間乾燥して、白色粉末4.7gを得た。単量体の共重合体への転化率は46%であった。
【0046】
共重合体の分析:
・共重合体の組成
270MHz、1H−NMRで測定されるノルボルネン構造に由来する0.9〜3.0ppmのプロトンピークとアクリル酸2−(5−ノルボルネニル)メチルに由来するCH2=CH−CO−O−置換基のCH2=プロトン5.4〜6.5ppmからアクリル酸2−(5−ノルボルネニル)メチルに由来する構造単位の割合は3.2モル%であった。なお、ノルボルネン構造の開環重合により生成する−CH=CH−構造の5.0〜5.3ppmのプロトンは観察されなかった。得られた共重合体の1H−NMRチャートを図1に示す。
・官能基の定性分析:
赤外吸収スペクトルでCH2=CH−CO−O−による1,727cm-1のエステル基の特性吸収とC=Cによる1,636cm-1の特性吸収が観測された。得られた共重合体の赤外吸収スペクトルを図2に示す。
・分子量:
GPCで測定される標準ポリスチレン換算の数平均分子量は108,000、重量平均分子量は233,000であった。
・ガラス転移温度:
Tanδの温度分散のピーク温度(ガラス転移温度)は350℃であった。
・全光線透過率:
厚さ100μmのフィルムを用いて測定される全光線透過率は91%であった。
【0047】
架橋処理
未架橋の厚さ100μmのキャストフィルムはトルエンに25℃で溶解した。このフィルムに500Wの高圧水銀ランプを用い熱線カットフィルターを介して30℃で波長の主ピークが314、366、405、436nmの紫外線を30分照射すると、フィルムは25℃のトルエンに不溶となった。
【0048】
実施例2
アクリル酸2−(5−ノルボネニル)メチルの代わりに、メタクリル酸3−(8−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10.]ドデセニル)メチルを用いる以外は、実施例1と同様に重合を行った。単量体の共重合体への転化率は82%であった。
共重合体中のメタクリル酸3−(8−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10.]ドデセニル)メチルに由来する構造単位の割合は1H−NMR分析から、9.5mol%であった。GPCによる数平均分子量は113,000、重量平均分子量は226,000であった。
実施例1と同様に紫外線の照射により、25℃のトルエンに全く不溶なフィルムとなった。
また、ベンゾイルパーオキシドを重合体100重量部当たり、0.5重量部添加して得たフィルムを90℃、15分熱処理すると、25℃、トルエンに全く不溶なフィルムとなった。
【0049】
実施例3
メタクリル酸3−(8−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10.]ドデセニル)メチル10mmolの代わりに、メタクリル酸3−(8−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10.]ドデセニル)メチル5mmol、5−トリエトキシシリル−2−ノルボルネン5mmolを用いる以外は、実施例1と同様に重合を行い、共重合体7.3gを得た。
メタクリル酸3−(8−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10.]ドデセニルメチルに由来する構造単位の割合は1H−NMR分析より、4.8モル%であった。また、5−トリエトキシシリル−2−ノルボルネンに由来する構造単位の割合は、赤外分析で1,389cm-1の−Si−0−CH2CH3基の末端CH3の吸収と1,294cm-1のノルボルネン骨格による−CH−の吸収の相対比の検量線から求め、4.5モル%であった。
この共重合体の数平均分子量は109,000、重量平均分子量は214,000であった。
実施例1と同様に100μmのフィルムを作成し、紫外線による架橋を行った。そのフィルムは25℃のトルエンに全く、不溶であった。このフィルムの全光線透過率は91%であった。アルミニウムの剥離テストでも剥離するブロックはなかった。
【0050】
実施例4
メチル・エチルケトン400ml中でシリカ粒子(平均粒径12nm、比表面積400m2、表面シラノール5μmol/m2)、またはアルミナ粒子(平均粒径20nm、比表面積150m2)をそれぞれ100gに対して50gのメタクロイルオキシ(プロピル)トリメトキシシランを加え、さらに触媒として10mlの水に対して1.5gの無水マレイン酸を加えて、2時間、窒素下で環流した。この溶液からメチル・エチルケトンを減圧下で200mlを除去し、トルエン200mlを添加した。
このようにして得た表面変性のコロイダルシリカまたはアルミナを実施例3の共重合体100重量に対して5重量部をトルエン溶液中で混合して、透明な複合化した溶液を得た。次に、その溶液をキャストして、約100μmのフィルムを得た。
複合化したフィルムおよび光架橋したフィルムの特性値を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
実施例5
実施例1において、アクリル酸2−(5−ノルボルネニル)メチルの代わりに、2−ヒドロキシエチルメタクリル酸エステルと2−メチル,5−ノルボルネン−2−カルボン酸のエステルを用いる以外、実施例1と同様に行った。重合体への転化率は、38%であった。
重合体をトルエンで溶解し、アセトンで凝固して精製した後の赤外線吸収スペクトルでは、CH2=CH−CO−O−による1,727cm-1の特性吸収が観測された。この構造に由来する構造単位の割合は、全繰り返し単位中、2.8モル%であった。重合体の数平均分子量は39,000、重量平均分子量は66,000であった。実施例1と同様に、光による架橋が起こり、トルエンに不溶であった。
【0053】
比較例1
実施例1にて、2−ノルボルネン90mmol、アクリル酸2−(5−ノルボルネニル)メチル10mmolの代わりに、2−ノルボルネン93mmol、5−エチリデン−2−ノルボルネン7mmol、を用い、溶媒としてシクロヘキサンを用いる以外、実施例1と同様に共重合反応を行い、共重合体7.6gを得た。GPCによる数平均分子量は98,000、重量平均分子量は198,000であった。
実施例1と同様に100μmのフィルムを作成し、フィルムに紫外線を照射したが、シクロヘキサンに大部分溶解した。また、残った物も、糊状で原形をとどめなかった。また、実施例2と同様にベンゾイルパーオキシドを加えてフィルムを作成し加熱したが、シクロヘキサンに溶解した。さらに、アルミニウムの剥離テストを実施したところ、全て剥離し密着性が著しく弱かった。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、優れた耐熱性、透明性、耐薬品性、耐溶剤性および接着・密着性を付与することができる、架橋可能な環状オレフィン系共重合体、その複合体、さらにはこれらの架橋体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた共重合体の1H−NMRのチャートである。
【図2】実施例1で得られた共重合体の赤外吸収スペクトルである。
Claims (9)
- 下記一般式(1)で表される繰り返し単位(a)と下記一般式(2)で表される繰り返し単位(b)を含み、ポリスチレン換算重量平均分子量が3,000〜1,500,000である環状オレフィン系共重合体。
- さらに、下記一般式(3)で表される繰り返し単位(c)を含む請求項1記載の環状オレフィン系共重合体。
−(CH2−CHR8)− ………(3)
[式(3)中、R8は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基あるいは一般式−Si(R9)t(R10)3-tで表されるシリル基である。ここでR9は炭素数1〜5のアルキル基またはアルコキシ基を示し、R10はハロゲン原子または水素原子を示す。tは0〜3の整数である。] - 一般式(1)で示される繰り返し単位(a)が、全繰り返し単位中に0.1〜30モル%含まれる請求項1または2記載の環状オレフィン系共重合体。
- 一般式(2)のB1,B2,B3,B4のうち少なくとも一つがアルコキシシリル基である繰り返し単位(b)が、全繰り返し単位中に0.1〜20モル%含まれる請求項1または2記載の環状オレフィン系共重合体。
- 請求項1〜4いずれか1項記載の環状オレフィン系共重合体に、ケイ素、アルミニウム、チタンおよびジルコニウムの群から選ばれた少なくとも1種の金属の酸化物、ならびに/またはアルコキシシラン化合物を加水分解・縮合して得られるシリコン酸化物を配合してなる複合体。
- 請求項1〜4いずれか1項記載の環状オレフィン系共重合体、または、請求項5記載の複合体、を架橋させた架橋体。
- 請求項1〜4いずれか1項記載の環状オレフィン系共重合体を用いた光学材料。
- 請求項5記載の複合体を用いた光学材料。
- 請求項6記載の架橋体を用いた光学材料。
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