JP4831270B2 - 液晶配向膜形成基板および液晶表示素子 - Google Patents

液晶配向膜形成基板および液晶表示素子 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶配向膜形成基板および液晶表示素子に関する。さらに詳しくは、耐熱性が良く、透明性に優れる液晶配向膜形成基板およびそれを用いた液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液晶表示素子としては、透明導電膜が設けられている基板表面にポリアミック酸、ポリイミドなどからなる液晶配向膜を形成して液晶表示素子用基板とし、その2枚を対向配置してその間隙内に正の誘電異方性を有するネマチック(Nematic)型液晶の層を形成してサンドイッチ構造のセルとし、液晶分子の長軸が一方の基板から他方の基板に向かって連続的に90度捩じれるようにしたいわゆるTN型(Twisted Nematic)液晶セルを有するTN型液晶表示素子が知られている。
また、最近においては、TN型液晶表示素子に比べてコントラストが高くて、しかも視角依存性の少ないSTN(Super Twisted Nematic)型液晶表示素子や、垂直配向型液晶表示素子が開発されている。このSTN型液晶表示素子は、ネマチック型液晶に光学活性物質であるカイラル剤をブレンドしたものを液晶として用い、液晶分子の長軸が基板間で180度以上にわたって連続的に捩じれる状態となるため生じる複屈折効果を利用するものである。また、垂直配向型液晶表示素子は、例えば、液晶分子の誘電異方性が負の液晶を垂直配向させ、電圧の印加により液晶分子を倒して水平に動作させるのである。これらの液晶表示素子における基板には、配向膜形成時の焼成のために耐熱性が必要であり、かつ、高透明性、良好な寸法安定性も要求される。そのため、通常、液晶表示素子用基板として、ガラス基板が用いられていた。
【0003】
ところが、近年、液晶表示素子は、携帯電話、モバイルツール、PDA(パーソナル デジタル アシスタント)などに用いられるようになり、持ち運びしやすいように軽量化が要求されている。そのため、最近では、これらの機器に搭載される液晶表示素子には、軽量化や、落下の際の表示素子部の破損を軽減するため、ガラス基板に代わって、プラスチック基板が用いられている。
このプラスチック基板には通常PES(ポリエーテルスルホン)などが用いられていたが、ガラス転移温度が200℃付近と低いため、配向膜を形成する際、高温での焼成が困難であった。さらに、液晶表示素子用基板には、表示品位、ムラをなくすため、そりが無いことが求められるが、従来の材料では高温焼成時、熱で変形するため、焼成温度が限定されるという欠点があった。
【0004】
また、プラスチック基板材料などの光学部品材料として下記のような開環重合体の水素化物及び付加重合体も提案されている。
(1)開環重合体の水素化物
(1−1)テトラシクロドデセン系化合物の開環共重合体の水素化物(特開昭60−26024号公報、特許第3050196号公報)
(1−2)エステル基を含むノルボルネン系又はテトラシクロドデセン系化合物の開環共重合体の水素化物(特開平1−132625号公報、特開平1−132626号公報)
(2)付加重合体
(2−1)エチレンとノルボルネン系化合物又はテトラシクロドデセン系化合物の共重合体〔特開昭61−292601号公報、Makromol.Chem.Macromol.Symp.Vol.47,83(1991)〕
(2−2)ノルボルネンの付加重合体、ノルボルネンとアルキル置換ノルボルネンとの付加共重合体(MetCon97,June4−5,1997 B.L.Goodallら、特開平4−63807号公報、特開平8−198919号公報)
(2−3)ノルボルネンのカルボン酸エステルの付加重合体、ノルボルネンとノルボルネンのカルボン酸エステルとの付加共重合体、ノルボルネンのカルボン酸の付加重合体〔Macromolecule,Vol.29,2755(1996)、Macromol.Rapid.Commun.Vol.19,251(1998)、及び国際特許公開WO96/37526号〕
【0005】
しかしながら、上記(1−1)及び(1−2)の開環共重合体の水素化物に関しては、同じモノマーであっても開環共重合体は付加重合体に比べそのガラス転移温度が相対的に低く、ガラス転移温度の高い重合体を得ることが困難である。また、開環共重合体は、完全に水素化することが困難で、その水素化物は、微量な不飽和結合を重合体中に含むことになり、その結果、250℃以上の高温で薄膜、フィルム又はシートへ成形加工をする際に着色することがあり、耐熱性の点で必ずしも充分ではなかった。
また、上記(2−1)のエチレンとノルボルネン系化合物又はテトラシクロドデセン系化合物との共重合体は、エチレンの連鎖に分布があり、エチレン連鎖が少しでも長いと結晶化し、光学的透明性の点で不充分となることが多く、また、極性基を含まないため、接着性及び密着性の点で不充分なものである。
【0006】
また、上記(2−2)のMetCon97におけるB.L.Goodallらの発表には、5−ヘキシル−2−ノルボルネン重合体、5−ドデシル−2−ノルボルネン重合体、及び5−ドデシル−2−ノルボルネンとノルボルネンとの共重合体が記載されているが、ノルボルネンのアルキル置換基の光学特性への作用効果については、何らの開示も示唆もない。また、これらの共重合体は、極性基を含有していないため、接着性及び密着性の点で不充分である。また、特開平4−63807号公報にも同様に、アルキル・ノルボルネン重合体での光学特性への作用効果については、何らの開示も示唆もない。また、極性基として、ハロゲン原子、ハロゲン化炭化水素基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ジアルキルアミノ基置換のノルボルネン重合体についての記載はあるが、接着性及び密着性への作用効果については、何らの開示も示唆もない。また、特開平8−198919号公報には、短鎖アルキル・ノルボルネンと長鎖アルキル・ノルボルネンとの共重合体が記載されているが、ガラス転移温度が140〜210℃と耐熱性が低い領域の共重合体であり、極性基を含まないため、接着性及び密着性の点で不充分なものである。
ノルボルネンのカルボン酸エステルの付加重合体、ノルボルネンとノルボルネンのカルボン酸エステルとの付加共重合体、ノルボルネンのカルボン酸の付加重合体は、極性基を多く含むため、接着性及び密着性の点では優れるが、耐吸湿性の点では不充分なものである。
【0007】
本発明らは、鋭意検討の結果、特定構造および性質を有する環状オレフィン系(共)重合体を使用することにより、耐熱性が良く、透明性に優れる液晶表示素子を形成するための液晶配向膜形成基板が得られることを見いだし、本発明を完成したものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐熱性が良く、透明性に優れる液晶配向膜形成基板およびそれを用いた液晶表示素子を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基板上に電極を形成し、さらにその上に液晶配向膜を形成した液晶配向膜形成基板であって、上記基板は、下記一般式(1)に示す繰り返し単位(a)を含む環状オレフィン系(共)重合体であって、ポリスチレン換算の数平均分子量が10,000〜1,000,000である環状オレフィン系(共)重合体を含むものである液晶配向膜形成基板に関する。
【0010】
【化4】
【0011】
[式(1)中、R1 〜R2 はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルキル基を示し、R1 およびR2 の少なくともいずれか一方は炭素数3〜8のアルキル基を示し、nは0または1の整数である。]
上記一般式(1)に示す繰り返し単位(a)中の置換基R1 およびR2 の少なくともいずれか一方が、炭素数4〜6のアルキル基であることが好ましい。
また、上記環状オレフィン系(共)重合体が、さらに、一般式(2)に示す繰り返し単位(b)を含むことが好ましい。
【0012】
【化5】
【0013】
[式(2)中、A1 〜A4 はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アルケニル基、アリル基、シクロアルキル基、または、−(CH2 n Xで表される極性基を示す(ここで、Xは−OH,C(O)OR3 ,−OC(O)R4 ,−Si(OR4 m 3 3-m ,−SH,または−C(S)−OHであり、R3 は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アリル基、シクロアルキル基を示し、R4 は炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アリル基を示し、nは0または1の整数であり、mは1〜3の整数である)。また、A1 〜A4 のうちの少なくとも1つは、上記極性基であり、また、A1 〜A4 は、A1 とA2 、A1 とA3 、A1 とA4 、A2 とA3 、A2 とA4 またはA3 とA4 で形成される酸無水物、またはイミド基であってもよい。]
さらに、上記環状オレフィン系(共)重合体が、上記一般式(1)に示す繰り返し単位(a)を全繰り返し単位中50〜99.99モル%および上記一般式(2)に示す繰り返し単位(b)を全繰り返し単位中0.01〜50モル%〔ただし、(a)+(b)=100モル%〕含むことが好ましい。
さらに、上記環状オレフィン系(共)重合体は、上記一般式(1)に示す繰り返し単位(a)に加えて、または上記一般式(1)に示す繰り返し単位(a)および上記一般式(2)に示す繰り返し単位(b)に加えて、下記一般式(3)に示す繰り返し単位(c)を全繰り返し単位中95モル%以下含んでいてもよい。
【0014】
【化6】
【0015】
[式(3)中、B1 〜B2 はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜3のアルキル基を示し、nは0または1の整数を示す。]
さらに、上記環状オレフィン系(共)重合体の動的粘弾性で測定されるTanδのピーク温度が220〜400℃であることが好ましい。
また、本発明は、上記記載の液晶配向膜形成基板を用いた液晶表示素子に関する。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の液晶配向膜形成基板は、上記一般式(1)に示す繰り返し単位(a)を含む環状オレフィン系(共)重合体であって、ポリスチレン換算の数平均分子量が10,000〜1,000,000である環状オレフィン系(共)重合体を含むものである。
本発明の環状オレフィン系(共)重合体に用いられる繰り返し単位(a)は、下記一般式(4)に示す環状オレフィン(以下、「特定の環状オレフィン(1)」ということがある)の付加重合により形成することができる。
【0017】
【化7】
【0018】
[式(4)中、R1 、R2 およびnは、それぞれ上記一般式(1)に示すものと同一である。]
【0019】
このような特定の環状オレフィン(1)の具体例としては、
5−プロピル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、
5−イソプロピル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、
5−ブチル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、
5−メチル−6−ブチル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、
5−メチル−6−プロピル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、
5−イソブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−6−ペンチル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、
5−ヘキシル−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、
5−メチル−6−ヘキシル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、
5−エチル−6−ヘキシル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、
5−ヘプチル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、
5−(2−エチルヘキシル)−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、
5−オクチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
などを挙げることができる。
上記繰り返し単位(a)を形成する上記一般式(4)に示す化合物は、1種単独でまたは2種以上を組合わせて用いることができる。
【0020】
繰り返し単位(a)の含有量は、繰り返し単位(b)を含む場合、全繰り返し単位中、好ましくは、50〜99.99モル%以上、さらに好ましくは、60〜99.9モル%、特に好ましくは、70〜99.8モル%である〔ただし、(a)+(b)=100モル%〕。50モル%未満であると、耐吸湿性が低下することがあり、一方、99.99モル%を超えると、接着性および密着性が低下することがある。
【0021】
上記環状オレフィン系(共)重合体は、さらに、上記一般式(2)に示す繰り返し単位(b)を含むことが好ましい。上記一般式(2)に示す繰り返し単位(b)は、下記一般式(5)に示す特定の環状オレフィン(以下、「特定の環状オレフィン(2)」ということがある)を使用することで、形成することができる。
【0022】
【化8】
【0023】
[式(5)中、A1 〜A4 およびnは、それぞれ上記一般式(2)に示すものと同一である。]
【0024】
このような特定の環状オレフィン(2)の具体例としては、
2−メチル−ビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテニルメタノール
アクリル酸ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニルメタノールエステル
メタクリル酸ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニルメタノールエステル
2−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニルメタノール
アクリル酸2−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニルメタノールエステル
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エンカルボン酸
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸ビニルエステル
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸イソプロペニルエステル
2−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸
2−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸ビニルエステル
2−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸イソプロペニルエステル
2−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニル酢酸
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−チオカルボン酸
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニルメタンチオール
2−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エンチオール
2,3−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−ジカルボン酸無水物
N−フェニル−2,3−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−ジカルボンイミド
N−シクロヘキシル−2,3−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−ジカルボンイミド
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸、2’−メチルカルボン酸
無水ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸、2’−メチルカルボン酸
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン、2’−メチルカルボンイミド
N−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン、2’−メチルカルボンイミド
N−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン、2’−メチルカルボンイミド
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸メチル
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸エチル
テトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]ドデカ−3−エン−8−カルボン酸
8−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]ドデカ−3−カルボン酸メチル
5−トリメトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−ジメトキシ、クロロシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−メトキシ、クロロ、メチルシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−メトキシ、ヒドリド、メチルシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−ジメトキシ、ヒドリドシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−メトキシジメチルシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−トリエトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−ジエトキシ、クロロシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−エトキシ、クロロ、メチルシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−ジエトキシ、ヒドリドシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−エトキシジメチルシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−エトキシジエチルシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−プロポキシジメチルシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−トリフェノキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−ジフェノキシメチルシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−トリメトキシシリルメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−(2−トリメトキシシリル)エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−(2−ジメトキシ、クロロシリル)エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−(1−トリメトキシシリル)エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−(2−トリメトキシシリル)プロピル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
などを挙げることができる。
【0025】
上記繰り返し単位(b)を形成する上記一般式(5)に示す化合物は、1種単独でまたは2種以上を組合わせて用いることができる。
【0026】
繰り返し単位(b)の含有量は、全繰り返し単位中、好ましくは、0.01〜50モル%であるが〔ただし、(a)+(b)=100モル%〕、繰り返し単位(b)の構造によって異なる。
繰り返し単位(b)の極性基が、カルボキシル基(−C(O)OH)、ヒドロキシル基(−OH)、チオカルボキシル基(−C(S)OH)、酸無水物(−CO―O―CO−)、カルボンイミド基(−CO−NR−CO−、ここで、Rはシクロアルキル基、アリル基から選ばれる置換基を示す)、アクリル基、メタクリル基などのラジカル重合が可能な不飽和結合を含む基などでは、全繰り返し単位中、繰り返し単位(b)の含有量は、好ましくは、0.01〜10モル%で充分である。繰り返し単位(b)の含有量が、0.01モル%未満であると、接着性および密着性が低下することがあり、一方、10モル%を超えると、耐吸湿性が低下することがある。
【0027】
アクリル基、メタクリル基などのラジカル重合する極性基を有する繰り返し単位(b)は、ラジカル発生剤やジチオール化合物、ジオキシム化合物などにより、また、アルコキシシリル基またはアリロキシシリル基を有する繰り返し単位(b)は、水、酸により、成形・加工工程で架橋することができ、繰り返し単位(b)を含む環状オレフィン系(共)重合体は、寸法安定性のよい成形体とすることができる。
また、他の極性基もアクリル基、メタクリル基などに変換することにより、架橋体に変換することができる。
繰り返し単位(b)の極性基が、アルキルエステル基、シクロアルキルエステル基、アリルエステル基の場合は、全繰り返し単位中、繰り返し単位(b)の含有量は、好ましくは、5〜50モル%、さらに好ましくは、10〜30モル%である。5モル%未満であると、接着性および密着性が低下することがあり、一方、50モル%を超えると、耐吸湿性が低下することがある。
【0028】
本発明の(共)重合体においては、上記一般式(1)に示す繰り返し単位(a)に加えて、または上記一般式(1)に示す繰り返し単位(a)および上記一般式(2)に示す繰り返し単位(b)に加えて、上記一般式(3)に示す繰り返し単位(c)を95モル%以下含ませることができる。繰り返し単位(c)を共重合させることにより、耐熱性を向上させることができる。
【0029】
この繰り返し単位(c)は、下記一般式(6)に示す特定の環状オレフィン(以下、「特定の環状オレフィン(3)」ということがある)を付加重合することにより形成することができる。
【0030】
【化9】
【0031】
[式(6)中、B1 〜B2 およびnは、上記一般式(3)に示すものと同一である。]
【0032】
このような特定の環状オレフィン(3)の具体例としては、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−メチル−6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−メチル−6−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
トリシクロ[4.3.0.12.5 ]デカ−3−7−ジエン(ジシクロペンタジエン)
トリシクロ[4.3.0.12.5 ]デカ−3−エン
テトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]ドデカ−3−エン
8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]ドデカ−3−エン
8,9−ジ8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]ドデカ−3−エン
などを挙げることができる。
【0033】
上記繰り返し単位(c)を形成する上記一般式(6)に示す化合物は、1種単独でまたは2種以上を組合わせて用いることができる。
上記一般式(6)に示す化合物として、ジシクロペンタジエンを用いた場合は、共重合の後、共重合体を水素化することにより繰り返し単位(c)を形成することができる。
【0034】
繰り返し単位(c)の含有量は、全繰り返し単位(繰り返し単位(a)および繰り返し単位(c)の合計、または繰り返し単位(a)、繰り返し単位(b)および繰り返し単位(c)の合計)100モル%に対して、好ましくは、95モル%以下、さらに好ましくは、90〜20モル%である。95モル%を超えると、複屈折性が低下することがある。
【0035】
本発明に使用される環状オレフィン系(共)重合体は、上述のように、テトラヒドロフランを溶媒とするゲル・パーミエションクロマトグラムで測定されるポリスチレン換算の数平均分子量が10,000〜1,000,000、好ましくは50,000〜500,000である。
また、ポリスチレン換算の重量平均分子量は15,000〜1,500,000、好ましくは70,000〜700,000である。ポリスチレン換算の数平均分子量が10,000未満、重量平均分子量が15,000未満であると、破壊強度が不充分となることがある。一方、ポリスチレン換算の数平均分子量が1,000,000を超え、重量平均分子量が1,500,000を超えると、環状オレフィン系(共)重合体の成形加工性が低下し、またキャストして基板を作製するときに溶液粘度が高くなり、扱い難くなることがある。
【0036】
本発明の環状オレフィン系(共)重合体の熱的性質は、走査型示差熱量計(DSC)の測定では、ガラス転移温度が不明確で測定されないことが多いため、動的粘弾性で測定されるTanδ(貯蔵弾性率E’と損失弾性率E”との比E”/E’=Tanδ)のピーク温度で(共)重合体のガラス転移温度を測定する。
動的粘弾性の測定は、レオバイブロンDDV−01FP(オリエンテック(株)製)を用い、測定周波数が10Hz、昇温速度が4℃/分、加振モードが単一波形、加振振幅が2.5μmのものを用いて行い、得られるTanδの温度分散のピーク温度をガラス転移温度とみなす。
本発明の環状オレフィン系(共)重合体のTanδのピーク温度は、好ましくは220〜400℃、さらに好ましくは250〜380℃であり、220℃未満であると、配向膜形成のため焼成をするときに熱負荷に対して熱変形を生じ、耐熱性が低下することがあり、一方、400℃を超えると、重合体が熱分解することがある。
【0037】
本発明の(共)重合体には、2,6−ジ−t−ブチル,4−メチルフェノール、4,4, −チオビス−(6−t−ブチル−3−メチル−フェノール)、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−メチレンビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのフェノール系酸化防止剤、トリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)フォスファイト、トリス(ノニルフェニル)フォスファイトなどのリン系酸化防止剤などを添加することができ、本発明の(共)重合体の安定性をさらに向上させることができる。
【0038】
本発明の(共)重合体は、過酸化物、イオウ、ジスルフィド、ポリスルフィド化合物、ジオキシム化合物、テトラスルフィドなどを含むシランカップリング剤などの架橋剤を、本発明の(共)重合体100重量部に対して0.05〜5重量部を添加し、熱などにより架橋体に変換することもできるし、直接、光、電子線により架橋体に変換することもできる。
【0039】
本発明の(共)重合体、すなわち、特定の環状オレフィンから形成される(共)重合体は、触媒を用いて、溶媒中で−20〜+100℃の範囲で特定の環状オレフィン化合物を(共)重合することにより得ることができる。
上記触媒としては、[Pd(CH3 CN)4 ][BF4 2 、ジ−μ−クロロ−ビス−(6−メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−エンド−5σ,2π)−Pd(以下、「I」と略す)とメチルアルモキサン(以下、「MAO」と略す)、IとAgBF4 、IとAgSbF6 、[(η3 −アリル)PdCl]2 とAgSbF6 、[(η3 −アリル)PdCl]2 とAgBF4 、[(η3 −クロチル)Pd(シクロオクタジエン)][PF6 ]、[(η3 −クロチル)Ni(シクロオクタジエン)][B((CF3 2 6 4 4 ]、[NiBr(NPMe3 )]4 とMAO、Ni(オクトエート)2 とMAO、Ni(オクトエート)2 とB(C6 5 3 とAlEt3 、Ni(オクトエート)2 と[ph3 C][B(C6 5 4 ]とAli−Bu3 、Co(ネオデカノエート)とMAOなどの周期律表8族のNi、Pd、Coなどのカチオン錯体またはカチオン錯体を形成する触媒が挙げられる。
また、上記溶媒は、シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタンなどの脂環式炭化水素溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールジメチルエーテル、ニトロメタンなどの極性溶媒から選ばれる。
【0040】
本発明の(共)重合体は、優れた光学透明性、耐熱性、接着性、密着性および耐吸湿性を有するため、従来公知の開環重合後、水素化したノルボルネン系重合体(例えば、特開昭61−29260号公報、特開昭60−16870号公報、特開昭60−26024号公報、特開平1−132625号公報、特開平1−132626号公報、特開平2−51511号公報、特開平4−202404号公報など)などと共に使用すると、優れた耐熱性、接着性、密着性と、光学特性(透明性、低複屈折性)とを付与することができる。
【0041】
本発明の(共)重合体は、ポリメチルメタクリレート、ポリアリレート、ポリカーボネートまたはポリエーテルスルホンなどと共に使用して熱可塑性樹脂組成物とすると、互いに相溶化して、光学特性、耐熱性が向上する。
【0042】
このような熱可塑性樹脂組成物において、本発明の(共)重合体と他の重合体との配合割合は、本発明の(共)重合体および他の重合体の種類、両者の相溶性、組成物の使用目的に応じて適宜選択されるが、液晶表示素子を形成する際の各種接着剤に対する優れた接着性および密着性を有する樹脂組成物が得られる点で、組成物全体における本発明の(共)重合体の割合が5〜95重量%であることが好ましく、さらに好ましくは10〜90重量%、特に好ましくは20〜80重量%である。
【0043】
このような熱可塑性樹脂組成物は、単軸押出機または二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロールなどを用いる通常の方法や溶液ブレンドによる混合により、本発明の(共)重合体、他の重合体およびその他の成分を混合することによって得ることができる。
このような熱可塑性樹脂組成物は、本発明の(共)重合体における場合と同様に基板にすることができる。
【0044】
本発明の(共)重合体は押し出し機により直接基板を作製することもできるし、また、炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、ケトン、エーテル、エステル、アミン、アミド、高級アルコールなどの溶媒の単独または混合溶媒で溶解し、キャスティングを行い、さらに蒸発除去して、基板にすることもできる。
また、これら溶媒で膨潤させて押出し機により溶媒を除去しながら、基板に成形加工することもできる。
【0045】
本発明の液晶配向膜形成基板は、上記基板を用いて、公知の手法に従い作製できる。例えば、上記のようにキャストまたは成形して得られた液晶配向膜形成基板表面にITO電極を形成し、その上から、液晶配向剤を印刷機を用いて印刷し、乾燥し、液晶配向剤の膜を形成して液晶配向膜形成基板を得ることができる。
ITO電極の形成は、スパッタリングなど公知の方法により行うことができ、電極膜厚は、好ましくは10〜500nm、さらに好ましくは20〜300nmである。
液晶配向剤としては、公知のものが使用でき、例えば、ポリアミック酸、ポリイミドなどの有機ポリマーを用いた配向剤などが挙げられる。液晶配向膜の膜厚は、好ましくは5〜100nm、さらに好ましくは20〜80nmである。
【0046】
本発明の液晶配向膜形成基板から、液晶表示素子を作成する例を下記に示す。上記液晶配向膜をラビング処理後、イソプロピルアルコールなどに浸漬した後、加熱処理する。得られた1対の液晶配向膜形成基板のそれぞれの外縁に、所定直径を有する酸化アルミニウム球入り接着剤を塗布した後、液晶配向膜が相対するように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化させる。次いで、液晶注入口より一対の基板間に液晶を充填した後、液晶注入口を封止し、基板の外側の両面に偏光板を貼り合わせ、液晶表示素子を作成する。
本発明の液晶配向膜形成基板は、耐熱性に優れるため変形することなく高温で焼成して液晶配向膜を形成でき、かつ透明性に優れる。
このように、本発明の液晶配向膜形成基板を用いて、ガラス基板を使用した液晶表示素子に比べ、軽量で、落下の際にも破損しにくく、表示ムラのない液晶表示素子が得られる。
【0047】
【実施例】
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限を受けるものではない。なお、実施例中の部および%は、特に断らない限り重量部および重量%である。
【0048】
なお、重量平均分子量、数平均分子量、Tanδのピーク温度、表示ムラは下記の方法で測定した。
重量平均分子量、数平均分子量
ウォーターズ(WATERS)社製、150C型ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)装置で、東ソー(株)製、Hタイプカラムを用い、o−ジクロロベンゼンを溶媒として、120℃で測定した。得られた分子量は、標準ポリスチレン換算値である。
【0049】
Tanδのピーク温度(ガラス転移温度);
動的粘弾性のTanδ(貯蔵弾性率E’と損失弾性率E”との比E”/E’=Tanδ)のピーク温度で(共)重合体のガラス転移温度を測定した。
動的粘弾性の測定は、レオバイブロンDDV−01FP(オリエンテック(株)製)を用い、測定周波数が10Hz、昇温速度が4℃/分、加振モードが単一波形、加振振幅が2.5μmのものを用いて得られるTanδの温度分散のピーク温度で求めた。
表示ムラ;
目視評価により、下記の基準で評価した。
表示ムラなし:液晶表示素子に電圧印加後、表示にムラのない良好な表示が得られる。
表示ムラあり:液晶表示素子に電圧印加後、表示にムラがあり良好な表示が得られない。
全光線透過率
ASTM D1003に準拠し、厚さ100μmの試験片の全光線透過率を測定した。
【0050】
実施例1
窒素雰囲気下において500mlの反応容器内に、単量体である5−n−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン125ミリモル、2−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸31.25ミリモル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン468.75ミリモルと、溶媒のクロロベンゼン300gとを仕込んで30℃に反応系を調節した。
次に、[(η3 −アリル)PdCl]2 2.5ミリモルとAgBF4 2.8ミリモルとを加えて、重合を開始し、重合を30℃、10時間行った。重合体への転化率は95%であった。
重合体溶液に乳酸5gを加え、触媒成分と反応させ、さらに、酸化防止剤として、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を重合体100部に対して1.0部を添加した。重合体溶液を4リットルのイソプロパノールに入れて重合体を凝固し、重合体に存在する未反応の単量体と触媒残渣を除去した。凝固した重合体を90℃で17時間、減圧下で乾燥し、重合体Aとした。
【0051】
得られた重合体Aをテトラヒドロフランに溶解し、ゲルパーミエーションクロマトグラフによる分子量を測定したところ、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は88,000、重量平均分子量(Mw)は183,000であった。重合体AのTanδのピーク温度(ガラス転移温度)を表1に示す。
また、赤外吸収スペクトル法で720cm-1の5−n−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンから形成される構造体の特性吸収と、1,700cm-1の−C−(O)−OH基による2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸から形成される構造体の特性吸収とを用いて、重合体中の繰り返し単位の含量を定量した。5−n−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンに由来する繰り返し単位は、全繰り返し単位(重合体)中、19.3モル%、2−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸に由来する繰り返し単位は、全繰り返し単位(重合体)中、4.9モル%であった。
【0052】
重合体Aをシクロヘキサン/トルエン(80/20重量比)の混合溶媒に溶かし、キャストして厚さ1mmの基板を作製した。この基板上にITO電極を形成し、液晶表示素子用基板とした。
液晶配向剤(JSR株式会社製、商品名AL1000)をフレキソ印刷機を用いて面積2cm2 のITO電極を形成してある液晶表示素子用基板に印刷し、230℃のホットプレート上で、10分間乾燥し、膜厚60nmの液晶配向膜を形成し液晶配向膜形成基板とした。この液晶配向膜に対して、ナイロン製の布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンにより、ロール回転数500rpm、ステージ移動速度3cm/秒、毛足押し込み長さ0.4mmでラビング処理を行った。上記ラビング処理後の液晶配向膜形成基板2枚をイソプロピルアルコールに1分浸漬した後、100℃のホットプレート上で5分間加熱した。
【0053】
上記加熱処理後の1対の液晶配向膜形成基板のそれぞれの外縁に、直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、液晶配向膜が相対するように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化させた。次いで、液晶注入口より上記重ね合わせた一対の基板間にネマチック型液晶(メルク社製、MLC−6221)を充填した後、アクリル系光硬化接着剤で液晶注入口を封止し、基板の外側の両面に偏光板を貼り合わせ、液晶表示素子を作成した。得られた液晶表示素子に電圧を印加したところ、表示ムラのない良好な表示が得られた。評価結果を表1に示す。
【0054】
実施例2
窒素雰囲気下において1,000mlの反応容器内に、単量体として5−n−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン93.75ミリモル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン500ミリモル、トリエトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン31.25ミリモル、および、溶媒としてシクロヘキサン500gを仕込んだ。反応系を10℃にして、オクタン酸Niを0.25ミリモル、トリチルテトラキス(ペンタフロロフェニル)ボレート0.5ミリモル、トリエチルアルミニウム1.0ミリモルを仕込み、重合を行った。20℃で重合を行い、メタノールで重合を停止した。重合体への転化率は、67%であった。重合体溶液に乳酸6gを加えて、触媒成分と反応させ、さらに酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を重合体100部に対して1.0部添加した。重合体溶液を4リットルのイソプロパノールに投入して重合体を凝固し、未反応単量体と触媒残さを除去した。凝固した重合体を乾燥し、重合体Bを得た。
【0055】
重合体の270MHz 1H−NMRによる(4ppmのエトキシシリル基メチレン吸収、溶媒;D化トルエン、TMS基準)分析で、トリエトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンに由来する構造体の含有量は4.8モル%であった。5−n−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンに由来する構造体の含有量は赤外分析の721cm-1の特性吸収による検量線から14.0モル%であった。
また、重合体のポリスチレン換算の数平均分子量は220,000、重量平均分子量は350,000であった。
実施例1と同様にして基板を作製し、評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0056】
実施例3
実施例1において、単量体として2−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸の代わりに、メタクリル酸ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニルメタノールエステルを用いたこと以外は、実施例1と同様にして重合体Cを得た。重合体への転化率は89%であった。メタクリル酸ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニルメタノールエステルに由来する繰り返し単位の含量は、赤外吸収スペクトルの1,720cm-1の特性吸収を用いて、検量線法により定量した。5−n−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンに由来する繰り返し単位は24.3モル%、メタクリル酸ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニルメタノールエステルに由来する繰り返し単位は1.5モル%であった。重合体のポリスチレン換算の数平均分子量は66,000、重量平均分子量は119,000であった。
実施例1と同様にして基板を作製し、評価を行った。得られた液晶表示素子に電圧を印加したところ、表示ムラのない良好な表示が得られた。評価結果を表1に示す。
【0057】
実施例4
実施例1において、単量体として5−n−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン593.75ミリモルを用い、かつビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンは用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして、重合体Dを得た。重合体への転化率は94%であった。重合体のポリスチレン換算の数平均分子量は82,000、重量平均分子量は186,000であった。
2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸に由来する繰り返し単位は、全繰り返し単位(重合体)中、4.9モル%であった。
実施例1と同様にして基板を作製し、評価を行った。得られた液晶表示素子に電圧を印加したところ、表示ムラのない良好な表示が得られた。評価結果を表1に示す。
【0058】
比較例1
基板材料としてポリエーテルスルホンを使用して実施例1と同様に基板を作製し、評価を行った。得られた液晶表示素子に電圧を印加したところ、表示にムラがあり良好な表示が得られなかった。評価結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【発明の効果】
本発明の液晶配向膜形成基板は、耐熱性に優れるため変形することなく高温で焼成し液晶配向膜を形成でき、かつ透明性に優れる。上記基板を用いると、ガラス基板を使用した液晶表示素子に比べ、軽量で、落下の際にも破損しにくく、表示ムラのない液晶表示素子が得られる。

Claims (8)

  1. 基板上に電極を形成し、さらにその上に液晶配向膜を形成した液晶配向膜形成基板であって、上記基板は、下記一般式(1)に示す繰り返し単位(a)を含む環状オレフィン系(共)重合体であって、ポリスチレン換算の数平均分子量が10,000〜1,000,000である環状オレフィン系(共)重合体を含むものである液晶配向膜形成基板。
    [式(1)中、R1〜R2はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルキル基を示し、R1およびR2の少なくともいずれか一方は炭素数3〜8のアルキル基を示し、nは0または1の整数である。]
  2. 上記一般式(1)に示す繰り返し単位(a)中の置換基R1およびR2の少なくともいずれか一方が、炭素数4〜6のアルキル基である請求項1記載の液晶配向膜形成基板。
  3. 上記環状オレフィン系(共)重合体が、さらに、一般式(2)に示す繰り返し単位(b)を含む請求項1または2記載の液晶配向膜形成基板。
    [式(2)中、A1〜A4はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アルケニル基、アリル基、シクロアルキル基、または、−COOH、−Si(OR4m3 3-m、アクリル基、またはメタクリル基からなる極性基を示す(ここで、R3は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、を示し、R4は炭素数1〜10のアルキル基、を示し、nは0、mは1〜3の整数である)。また、A1〜A4のうちの少なくとも1つは、上記極性基である。]
  4. 上記環状オレフィン系(共)重合体が、上記一般式(1)に示す繰り返し単位(a)を全繰り返し単位中50〜99.99モル%および上記一般式(2)に示す繰り返し単位(b)を全繰り返し単位中0.01〜50モル%〔ただし、(a)+(b)=100モル%〕含む請求項3記載の液晶配向膜形成基板。
  5. 上記環状オレフィン系(共)重合体が、上記一般式(1)に示す繰り返し単位(a)に加えて、下記一般式(3)に示す繰り返し単位(c)を全繰り返し単位中95モル%以下含む請求項1または2に記載の液晶配向膜形成基板。
    [式(3)中、B1〜B2はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜3のアルキル基を示し、nは0を示す。]
  6. 上記環状オレフィン系(共)重合体が、上記一般式(1)に示す繰り返し単位(a)および上記一般式(2)に示す繰り返し単位(b)に加えて、下記一般式(3)に示す繰り返し単位(c)を全繰り返し単位中95モル%以下含む請求項3に記載の液晶配向膜形成基板。
    [式(3)中、B1〜B2はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜3のアルキル基を示し、nは0を示す。]
  7. 上記環状オレフィン系(共)重合体の動的粘弾性で測定されるTanδのピーク温度が220〜400℃である請求項1〜6のいずれか1項記載の液晶配向膜形成基板。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項記載の液晶配向膜形成基板を用いた液晶表示素子。
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