JP4630291B2 - 車両における調節レバーを備えたボンネットの装置 - Google Patents

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Description

本発明は、請求項1の上位概念に記載の形式の車両におけるボンネットの装置に関する。
特に通常の事故状況で車両と衝突する恐れのある歩行者の保護を改善するために、車両において種々様々な形式の装置によって、車両における歩行者の衝突区域、通常はボンネットの領域を軟質に形成し、これによりボンネットへの歩行者の衝突を軽減することが数年来公知である。このために例えば、このような領域に、車両内部におけるエアバッグのような衝突バッグを設けることが記載されている。この衝突バッグは、衝突が検知されると、車両のフロント領域に設けられた相応のセンサによって作動される。
車両のボンネットを適当な手段によって、歩行者の衝突前に、エンジンブロックのちょうど上方にある休止位置から、車両の、特にエンジンブロックの剛性的な部分に対して大きく間隔をおいた位置へともたらすといった別の手段もある。このために、ボンネットを後方領域で立ち上げ、これにより歩行者の衝突時にボンネットを適切に変形させることを保証することが提案されている。
このような基本思想を解決するために、多数の技術的な装置が提案されている。例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第2814107号明細書により、ボンネットの後方領域に特別な装置を設けることが公知である。この装置は、相応の衝突が検知されるとすぐに、ボンネットを極めて短時間で休止位置から持ち上げる。さらに例えば、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19712961号明細書により、ボンネットの通常の操作のためにいずれにせよ必要な、今日では主として4リンク機構として形成されているヒンジ装置を、衝突時に付加的な作動運動により4リンク機構ヒンジ装置を休止位置から変位させて、4リンク機構ヒンジ装置に枢着されたボンネットが持ち上げられるように改良することが公知である。このために、コイルばねの形式の蓄力器が用いられる。このコイルばねはプリロードをかけられて4リンク機構ヒンジ装置の下方に配置されていて、衝突時にこのプリロードをかけられた位置から解除されて、急激に放圧される。この場合、コイルばねは1つのレバーに作用し、このレバーは、4リンク機構ヒンジ装置の車体側の両ジョイントを持ち上げ、ひいては4リンク機構ヒンジ装置全体と、これに枢着されたボンネットとを持ち上げる。
さらにドイツ連邦共和国特許出願公開第10144811号明細書により、4リンク機構ヒンジ装置の下側に配置された1つのレバーに相応の蓄力器を作用させる代わりに、別のレバーを4リンク機構ヒンジ装置に配置し、その位置を、蓄力器の急激な解放により、4リンク機構ヒンジ装置を付加的に運動させ、ひいてはボンネットを比較的大きく持ち上げることが公知である。しかしながらこのような形式の補助リンク装置は、4リンク機構ヒンジ装置の運動学を複雑にする。
さらにドイツ連邦共和国特許出願公開第10343882.3号明細書により、衝突時に蓄力器のエネルギ放出により解放され、ボンネットを上方へと運動させる運動の伝達が蓄力器からボンネットへと直接行われることが公知である。このために蓄力器はコイルばねの形式で形成され、このコイルばねはエネルギ解放の際に、コイルばねに同心的に配置されたプランジャを摺動させ、このプランジャは直接に、またはボンネット自体に配置された中間部材を介してボンネットを起立させる。これにより、蓄力器の作動の際に解放されるエネルギの直接的かつ簡単なボンネットへの伝達が可能になる。
本発明の課題は、車両におけるボンネットの装置を改良して、歩行者がボンネットに衝突した際に迅速かつ確実なボンネットの後方領域の持ち上げを可能にする、構造的に簡単で確実に形成されている単純に作用するヒンジ装置を提供することである。
この課題は、請求項1の上位概念および請求項1の特徴部に記載の構成により解決される。本発明のさらなる有利な構成は請求項2以下に記載されている。
本発明は、車両におけるボンネットの装置であって、走行方向で見て後方に位置する少なくとも1つのヒンジ装置が設けられており、該ヒンジ装置は1つの長いリンクと1つの短いリンクとを備えた4リンク機構の形式であって、前記ヒンジ装置によってボンネットが通常の開閉時に旋回可能であって、車両の衝突時に後方領域で持ち上がり可能である形式のものを起点としている。このような形式の上位概念に記載されたようなボンネットの装置はさらに改良され、ヒンジ装置がばねエレメントを有しており、該ばねエレメントが車両の衝突時に調節レバーを操作し、該調節レバーはボンネットに直接に、または中間部材を介して位置しており、4リンク機構のボンネット側のジョイントが枢着的に旋回レバーに固定されており、該旋回レバーは休止状態でその一方の端部で解離可能にボンネットに固定されており、他方の端部で、ボンネットに調節レバーが枢着されている領域に配置された回転ジョイントを中心としてボンネットに対して相対的に旋回可能であって、調節レバーは車両の衝突時に、4リンク機構のリンクと、片側でボンネットから解離される旋回レバーとによってガイドされてボンネットを休止状態から持ち上げることを特徴とする。このような形式の本発明の装置により、ボンネットの直接的な調節を、調節レバーの旋回により簡単に行うことができ、これにより手間のかかる中間部材は不要にされ、従ってこの装置は長い停止期間後もしくは長い非操作期間後でも確実に機能する。装置の構成は、レバー機構を介して特に簡単に構造的に変更でき、その特性に関して支配することができる。開放時のボンネットの通常の機能はこの装置によっては変更されず、従って通常通り、使用者には変更なく行われる。ボンネットにおける旋回レバーの解離可能な固定は、衝突時に初めて解除され、これにより初めて、歩行者等との衝突時に後方領域でのボンネットの持ち上げのために付加的な運動学が提供される。同時に、この付加的な持ち上げ運動が行われる際に、ボンネットはさらに確実にガイドされ、従って構造的に規定可能な範囲でのみ持ち上げることができる。これにより確実に、車両の運転者の視界は衝突時にもボンネットによって妨げられることはない。
有利な別の構成では、旋回レバーの一方の端部が、調節レバーの位置変更の方向で所定の力が超過された際に調節レバーの作動時に、旋回レバーとボンネットの解離可能な結合が解除され、他方の端部で、ボンネットに配置されたジョイントを中心として旋回可能であるように、解離可能にボンネットに固定されている。これにより、例えば路面の穴等の上を通過した際に小さい負荷により既に、旋回レバーがボンネットとの堅固な結合を解除するのではなく、例えば調節レバーがボンネットに作用することにより負荷の相応の閾値が越えられて初めて解除することが保証されている。これによりヒンジ装置の付加的な運動可能性が解放され、後方領域でのボンネットの起立が可能になる。この場合、旋回レバーの一方の端部が摩擦接続的及び/又は形状接続的な結合部を介してボンネットに固定されていると有利である。このような形式の摩擦接続的及び/又は形状接続な結合部が例えば機械的な係止結合部によって形成されており、この係止結合部では旋回レバーに設けられた機能縁部が、ボンネット側に配置された対向成形部に後方から係合し、この対向成形部に、ボンネットの通常の休止状態で係止されている。このような形式の係止結合部は構造的に簡単に変更でき、長い非操作期間の場合でも常に確実に解除できるので、数年間ヒンジ装置を使用しなかった場合でも、事故の保護のために操作は常に確実に保証されている。相応の調節装置によって、係止結合部の解除のための力を所定の値に正確に維持し、ひいては運転確実性を高めることもできる。
有利な別の構成では、調節レバーのボンネット側の端部が、ほぼピン状の区分を介してボンネットに摩擦接続的に結合されている。このような形式の結合により、長い非操作期間の後でも調節レバーとピン状の区分を確実に解除することが保証されるという利点が得られる。ボンネットのほぼピン状の区分が、ヒンジ装置の通常の操作時に、ボンネットの開放のために4リンク機構によって調節レバーから持ち上げ可能であるであるならば、特にこのことは有利である。これにより常に、ボンネットと調節レバーの配属関係が所定の状態に到り、ひいては衝突時にボンネットの後方領域が持ち上がる際に、ボンネットの所定の運動性と、蓄力器からボンネットへの一義的な力の伝達が行われることが保証される。
この場合、衝突時に調節レバーが解放される場合に、調節レバーが、ボンネットのピン状の区分を急激にボンネットの持ち上げ位置の方向に摺動させ、この場合、旋回レバーが解離可能にボンネットに固定された端部でボンネットとの摩擦接続的な結合部を解除し、他方の端部に形成された回転ジョイントを中心としてボンネットに対して相対的に旋回されるならば特に有利である。旋回レバーと4リンク機構ヒンジ装置の両リンクとの協働により、後方領域で立ち上がらせるために必要なボンネットの付加的な運動性が保証される。さらにこれにより、ボンネットの起立時におけるボンネットの軌道と最大の起立高さが一義的に規定され、ボンネットはこの運動の間中、起立位置でも確実に車体側で固定されている。
休止状態では、調節レバーのボンネット側の端部が、ボンネットの通常の休止状態で、ボンネットに設けられたほぼピン状の区分が調節レバーに当接するように配置されていて、調節レバーは車体側で固定されていると特に有利である。この状態では、調節レバーは単に、ボンネットのピン状の区分のための定置の対応支承部を形成していて、これによりボンネットは通常の開閉後に再び所定の状態に戻され、ここで通常の車両の運転のために確実に保持されている。
ボンネットに設けられた旋回レバーの回転ジョイントと、ボンネットに設けられたほぼピン状の区分とが、同一の旋回点を有しているならば、衝突時に後方領域で起立する際のボンネットの運動学に関して有利である。これにより一方では構造的に旋回レバーの運動性と、同時にボンネットに設けられたピン状の区分の支承が簡単に得られ、他方では別の構成、即ち、一方では旋回レバーの回転運動により、他方では調節レバーの旋回運動により、衝突時にボンネットが、車両の前方側でボンネットに配置されたロック装置を中心とした純然たる旋回運動を、ロック装置に対して相対的な車両長手方向でのボンネットの相対摺動を殆どせずに行う構成が得られる。これによりボンネットが、後方領域での起立時に、前方側に配置されたロック装置でひっかかることが確実に防止される。前側に配置されたこのようなロック装置の領域で車両の長手方向でボンネットの摺動が行われると、ひっかかりや、ボンネットの不完全な起立につながる恐れがあり、起立するボンネットの保護作用が減じられる、または全くゼロになる。このことは、旋回レバーの運動学とボンネットへの調節レバーの直接的な作用との一致、並びに各旋回点の位置により、前側に配置されたロック装置の領域でボンネットの長手方向の摺動が行われないようにゼロに減じられる。
ばねエレメントが、装置の通常の運転状態でプリロードをかけられた機械的なねじりコイルばねを有していると特に有利である。このような形式の機械的なばねは、数年間の非運転期間の後でも常に確実に操作可能であって、機械的に堅牢に形成されており、相応の力によっていつでも再び緊張させることができる。通常の運転時の汚れまたは振動によっても衝突時の機械的ばねの機能は損なわない。ねじりコイルばねの形状設定およびレバーにより、相応の枢着が得られ、このような枢着により衝突時の調節レバーの最良の調節が保証される。
さらに調節レバーが休止状態で、ばねエレメントによってプリロードをかけられた状態で作動装置によって保持されていることが考えられる。このような形式の作動装置は、別の構成では例えば衝突時にアクチュエータを介して起動制御可能であって、レバー装置を介して機械的に強化されて調節レバーをプリロードされた状態から解放するものであって、調節レバーの誤解除を防止し、同時に数年間の非運転期間の後でも調節レバーの確実な解放を可能にする。
作動装置の操作は、アクチュエータが電気機械的なスイッチを有している場合に特に簡単に形成される。このような形式のアクチュエータは、車両にいずれにせよ設けられている電気的なエネルギを使用することができ、比較的高い作動力と短い反応時間を可能にする。
作動装置がフック状の区分を有しており、該区分が休止状態で、調節レバーの対応する区分に係合し、調節レバーをばね部材の作用に抗して位置固定しているならばさらに有利である。この場合、別の構成では、作動装置のフック状の区分と、調節レバーと、ばねエレメントとが、ボンネットの作動後に再び出発状態にもたらすことができ、再び操作可能である。このような形式の簡単かつ運転が確実な機構により、アクチュエータの力は確実に変換され、ばねエレメントは簡単に作動される。同時にこのシステムは可逆的に構成可能であるので、衝突後に、ヒンジ装置を容易に再び通常の休止位置にもたらすことができる。このことは特に例えば、衝突が起こらない誤作動の際に重要であり、同時に安価である。
同様に別の構成では、ばねエレメントが流体の媒体を有していることが考えられる。このためには例えば、短時間で高いエネルギ密度をヒンジ装置にもたらすために、液圧的な媒体、ガス媒体またはパイロテクニック的に形成される流体媒体を使用することもできる。
組み付け技術および調整技術的に、旋回レバーとピン状の区分とが、1つの共通の組み付け部分によってボンネットに固定されていると有利である。これにより構成群全体を全体としてボンネットに予め組み付けることができ、調整でき、これにより組み付けコストを著しく減じることができる。組み付けの際の事故の危険も著しく減じられる。何故ならばそうでなければ、組み付けの際に必要な旋回レバーの操作がばね力によって行われないからである。
図面には本発明による装置の特に有利な構成が示されている。
図1には、本発明によるヒンジ装置の構成が休止状態で概略的に示されていて、
図2には、図1に示した本発明によるヒンジ装置が調節レバーの作動後に幾分持ち上げられた状態で示されており、
図3には、図1に示した本発明によるヒンジ装置がさらに持ち上げられた状態で示されており、
図4には、図1に示した本発明によるヒンジ装置がさらに持ち上げられた終端位置で示されており、
図5には、図1に示した本発明によるヒンジ装置が、ボンネットの通常の開放状態である終端位置において示されており、
図6には、図1に示した本発明によるヒンジ装置の調節レバーとばねエレメントとが構造的にさらに詳しく、出発位置と、中間位置と、衝突時の作動後の最も大きく変位された終端位置とで示されている。
図1〜図5および図6には、本発明によるヒンジ装置の有利な構成が示されており、図1〜図5には、作用原理が極めて概略的に示されており、図6には、相応に形成されたヒンジ装置の調節レバーとばねエレメントとが構造的にさらに詳しく示されている。全ての図面において同じ符号は同じ構成部材もしくは機能を示す。
本発明によるヒンジ装置は、公知の4リンク機構ヒンジ装置を起点としていて、このヒンジ装置では、車両の車体側に固定可能な基礎ブラケット8にそれぞれ1つのジョイント19を介して2つのリンク3,4が回転可能に固定されている。両リンク3,4は異なる長さを有しており、組み付けプレート5と旋回レバー15とから成るユニットの運動軌道を描く。このユニットに、両リンク3,4は、反対側の端部領域で同様にジョイント19によって回転可能に結合されている。
この場合、組み付けプレート5と旋回レバー15とは、さらに詳しく記載する形式で互いに解離可能に固定されており、回転ジョイント6を中心とした相対回動を互いに行うことができる。略示したボンネット17に面して、組み付けプレート5と旋回レバー15とから成るユニットに固定されている、リンク3,4の両回転ジョイント19は、正確に言うと、旋回レバー15に互いに間隔をおいて回転可能に固定されている。組み付けプレート5はこの場合、図示されていない形式で、車両(詳しくは図示せず)のエンジンルームをカバーするボンネット17に固定するために用いられる。車両のボンネット17との衝突による典型的な歩行者事故の際に歩行者が受ける恐れのある被害を減じるために、この場合、歩行者等の相応の衝突が、車両のフロント領域に設けられたセンサ(図示せず)によって検知されるとすぐに、以下にさらに記載する形式でヒンジ装置によりボンネット17は、図1に示された休止位置に対して持ち上げられる。
走行方向で見て後方の領域でボンネット17をいわば急激に立ち上げるために、この場合、極めて概略的にしか示していないばねエレメント2が働く。このばねエレメント2は有利には、ねじりコイルばねとして形成されていて良く、調節レバー7の回転ジョイント21の周りにプリロードをかけられて配置されていて、一方の脚で調節レバー7に当接しており、後で詳しく説明する形式で、作動装置9,10,11,13によってプリロード位置に保持されている。ばねエレメント2はこの場合、図6にさらに詳しく示したように、調節レバー7を、作動装置9,10,11,13による解放後に、ボンネット17に面した端部領域で、ボンネット17の方向に押し付け、これによりボンネット17は後でさらに詳しく説明する形式で、通常の休止位置に対して相対的に立ち上げられる。
調節レバー7の付加部20にはピン状の突起13が配置されている。この突起13は、作動装置9,10,11のフック状の作動レバー9によって取り囲まれて係合する。これにより、調節レバー7はこのような休止位置では、ばねエレメント2の力に抗して保持されており、同時にばねエレメント2のプリロード下にある。後でさらに詳しく記載する形式で作動レバー9が解放される際には、プリロードがかけられたばねエレメント2のエネルギ量は突然解放され、調節レバー7を急激に、図4に詳しく示した上方の終端位置へと回転させる。これにより、組み付けプレート5に設けられたピン状の区分18が、ひいては組み付けプレート5に固定されたボンネット17が同様に急激に、調節レバー7の回転方向へと動かされ、この場合、ボンネット17が後方の領域で立ち上げられる。この場合、調節レバー7は、ピン状の区分18の領域でジョイントピン6に当接し、ジョイントピン6を組み付けプレート5と旋回レバー15とともに上方へと押す。この場合、調節レバー7はジョイントピン6に点状に当接しており、特別な固定は行われない。
このような運動の際のボンネット17のガイドは、一方では4リンク機構のリンク3,4を介して行われ、他方では、組み付けプレート5と旋回レバー15との協働により行われる。上方へのボンネット17の運動開始時に(図1参照)、組み付けプレート5と旋回レバー15とは1つのユニットを形成している。何故ならばこれらは、係止縁部14と対応縁部16とから成る係止結合部を介して互いに摩擦接続的に結合されているからである。図1〜図4に概略的にのみ示した係止縁部14はこの場合、旋回レバー15に浮動に配置され、突起が設けられた付加的な部分によって形成される。旋回レバー15と組み付けプレート5とが回転ジョイント6によって互いに回転可能に支承されているので、係止縁部14と対応縁部16との図1の休止位置における一義的な対応関係が保証されている。ばねエレメント2が、作動レバー9の操作と係止エレメント13の解放とにより調節レバー7の回転の方向に動かされると、組み付けプレート5は、旋回レバー15とは異なる軌道に沿って運動され、旋回レバー15はリンク3,4のジョイント19によって制限された可動性のみを有する。これにより係止縁部14と対応縁部16との間の係止結合は強制的に解消され、旋回レバー15は組み付けプレート5と、これに配置されたボンネット17とに対して相対回動を行う。ボンネット17は、図示されていないが基本的に公知の形式で、車両(図示せず)の前方領域でロック装置によって保持され、このロック装置を中心として回転運動のみを行うことができる。従って、ボンネット17の可能な軌道は後方領域でも設けられるので、組み付けプレート5は相応の形式で、前方側のロック装置を中心として回転される。
図2、図3、図4にさらに詳しく示したように、調節レバー7の運動が増大するにつれて、旋回レバー15はさらに、図4に示したような動作機構的に可能な終端位置に達するまで、組み付けプレート5に対して相対的に運動する。このような終端位置ではボンネット17は最大可能な限り立ち上げられていて、従って歩行者がボンネット17に衝突した際に、ボンネット17の下側の自由領域への変形による相応の可撓性を提供する。
ばねエレメント2の作動は、この場合、車両の前方領域に設けられたセンサ(図示せず)によって制御して行われる。この場合、アクチュエータ11が通電され、移動方向12でアクチュエータ11の相応の作動部材の摺動が行われる。このような移動運動は、間挿された伝達レバー10を介して作動レバー9へと伝達される。作動レバー9は次いで、図示されていない方法で、調節レバー7に設けられた係止エレメント13の解放のための旋回運動を行う。このような形式の作動装置9,10,11,13によって、長い非操作期間後でも確実に、作動レバー9が係止エレメント13を解放することが保証される。これにより次いで調節レバー7が解放され、既に説明したように、ばねエレメント2によってボンネット17の持ち上げ方向で加速される。アクチュエータ11、伝達レバー10、作動レバー9、所属の回転ジョイントは、例えば、図示されていない組み付けプレート上で予め組み付けられていて、これにより簡単に車両に組み込むことができる。
特に図5に示したように、調節レバー7の枢着は、ボンネット17に面した端部領域では、ピン6での点状の支持を介して行われる。このピンは、組み付けプレート5のピン状の区分18に、ひいては間接的にボンネット17に配置されている。調節レバー7の調節運動のこのような形式の伝達は、ヒンジ装置1が通常運転時に図5に示したように、例えば車両のエンジンルームを開放するために使用できるようにボンネット17を持ち上げることができなければならないことにより行われる。このためには基本的に公知のように、ボンネット17の運動は4リンク機構のリンク3,4によってのみ制御されるが、このために、ボンネット17を調節レバー7に対して相対的に動かすことができなければならない。このためにピン状の区分18は調節レバー7から持ち上げることができ、ボンネット17の閉鎖後、4リンク機構のリンク3,4の動作機構的なガイドにより調節レバー7上に載置される。しかしながらこれにより、ボンネット17の通常の解放運動が、立ち上げ機能に関するヒンジ装置1の拡張により損なわれることはなく、同時にボンネット17と調節レバー7の正確な対応関係が得られる。
部分図6a〜6cを含む図6には、ボンネット17を持ち上げる際の調節レバー7の旋回運動、並びにこの調節レバー7に配置されたばねエレメント2のねじりコイルばねが構造的に詳しく示されている。この場合、調節レバー7は、薄板部分から屈曲成形により形成された構成部分であって、回転ジョイント21の領域で片側に旋回可能にねじ固定ブラケット22に保持されている。このねじ固定ブラケット22はさらに車両側で、孔23に差し込み可能に配置されたねじ(図示せず)によって固定することができる。調節レバー7の回転ジョイント21の周りにねじりコイルばね2が配置されていて、このねじりコイルばね2の一方の脚はねじ固定ブラケット22の差し込み開口24に差し込まれていて、他方の脚は調節レバー7に形成された当接ブラケット25の内面に支持されている。この場合、ばねエレメント2のねじりコイルばねはプリロードをかけられた構成に組み込まれているので、調節レバー7は、付加部20のピン状の係止エレメント13における固定と、図1〜図4に示した作動装置9,10,11がなければ、図6cに示した位置へと移行する。上側には、図6には詳しく示されていないが、ピン状の区分18のピン6が配置されており、このピン6は、調節レバー7の旋回によりボンネット17を持ち上げられた位置にもたらす。
勿論、同様に、別の形状のばねエレメント2を構成することも考えられる。例えば液状媒体によっても調節レバー7を上述したのと同様の形式で持ち上げ位置にもたらすこともできる。
本発明によるヒンジ装置の構成を休止状態で概略的に示した図である。 図1に示した本発明によるヒンジ装置を調節レバーの作動後に幾分持ち上げられた状態で示した図である。 図1に示した本発明によるヒンジ装置をさらに持ち上げられた状態で示した図である。 図1に示した本発明によるヒンジ装置をさらに持ち上げられた終端位置で示した図である。 図1に示した本発明によるヒンジ装置を、ボンネットの通常の開放状態である終端位置において示した図である。 図1に示した本発明によるヒンジ装置の調節レバーとばねエレメントとを構造的にさらに詳しく、出発位置と、中間位置と、衝突時の作動後の最も大きく変位された終端位置とで示した図である。
符号の説明
1 ヒンジ装置、 2 ばねエレメント、 3 4リンク機構のリンク、 4 4リンク機構のリンク、 5 ボンネット組み付けプレート、 6 回転ジョイント/ピン、 7 調節レバー、 8 基礎ブラケット、 9 作動レバー、 10 伝達レバー、 11 アクチュエータ、 12 アクチュエータの作動方向、 13 係止部材、 14 係止縁部、 15 旋回レバー、 16 対向縁部、 17 ボンネット、 18 ピン状の区分、 19 4リンク機構の回転ジョイント、 20 付加部、 21 調節レバーの回転ジョイント、 22 ねじ固定ブラケット、 23 孔、 24 ばねエレメントの差し込み開口、 25 当接ブラケット

Claims (16)

  1. 車両におけるボンネット(17)の装置であって、走行方向で見て後方に位置する少なくとも1つのヒンジ装置(1)が設けられており、該ヒンジ装置は1つの長いリンクと1つの短いリンクとを備えた4リンク機構(3,4)の形式であって、前記ヒンジ装置(1)によってボンネット(17)が通常の開閉時に旋回可能であって、車両の衝突時に後方領域で持ち上がり可能である形式のものにおいて、
    ヒンジ装置(1)は、一方の端部が車体にジョイント(21)を介して旋回可能に固定された調節レバー(7)と、ばねエレメント(2)と、作動装置(9,10,11)とを有しており、ばねエレメント(2)はプレロードが掛けられており調節レバー(7)の他方の端部をボンネット(17)に当接させ、ばねエレメント(2)が車両の衝突時に調節レバー(7)を操作し、該調節レバー(7)はボンネット(17)に作用し、ボンネットに当接しており、4リンク機構(3,4)の各リンクの一方の端部がジョイント(19)を介して枢着的に旋回レバー(15)に固定されており、4リンク機構(3,4)の各リンクの他方の端部は車体にジョイント(19)を介して回転可能に固定されており、旋回レバー(15)は一方の端部においてボンネット(17)と解離可能に係合する結合部(14,16)をボンネット(17)と共に形成し、他方の端部で回転ジョイント(6)を中心としてボンネットに対して相対的に旋回可能に回転ジョイント(6)を介してボンネット(17)に固定されており作動装置(9,10,11)は調節レバー(7)を保持してボンネット(17)を休止状態とすると共に、車両の衝突時に調節レバー(7)を解放し、調節レバー(7)は車両の衝突時に、4リンク機構のリンク(3,4)と、片側でボンネットから解離される旋回レバー(15)とによってガイドされてボンネット(17)を休止状態から持ち上げることを特徴とする、車両におけるボンネット(17)の装置。
  2. 旋回レバー(15)の一方の端部が、調節レバー(7)の休止状態からの位置変更の方向で所定の力が超過された際に調節レバー(7)の作動時に、旋回レバーとボンネット(17)の解離可能な結合が解除され、他方の端部で、ボンネット(17)に配置されたジョイント(6)を中心として旋回可能であるように、解離可能にボンネット(17)に固定されている、請求項1記載の装置。
  3. 旋回レバー(15)の一方の端部が摩擦接続的及び又は形状接続的な結合部(16,14)を介してボンネット(17)に固定されている、請求項2記載の装置。
  4. 摩擦接続的及び又は形状接続な結合部(16,14)が機械的な係止結合部によって形成されており、この係止結合部では旋回レバー(15)に設けられた機能縁部(16)が、ボンネット側に配置された対向成形部(14)に車両の後方から係合し、この対向成形部に、ボンネット(17)の通常の休止状態で係止されている、請求項3記載の装置。
  5. 調節レバー(7)のボンネット側の端部が、回転ジョイント(6)を介してボンネット(17)に摩擦接続的に結合されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
  6. 回転ジョイント(6)が、車体からのボンネット(17)の開放のためのヒンジ装置(1)の通常の操作時に、4リンク機構(3,4)によって調節レバー(7)から持ち上げ可能である、請求項5記載の装置。
  7. 衝突時に調節レバー(7)が解放される場合に、調節レバー(7)が、ボンネット(17)の回転ジョイント(6)を急激にボンネット(17)の持ち上げ位置の方向に摺動させ、この場合、旋回レバー(15)が解離可能にボンネット(17)に固定された端部でボンネット(17)との摩擦接続的な結合部(16,14)を解除し、他方の端部に形成された回転ジョイント(6)を中心としてボンネット(17)に対して相対的に旋回される、請求項1から6までのいずれか1項記載の装置。
  8. 調節レバー(7)のボンネット側の端部が、ボンネット(17)の通常の休止状態で、ボンネット(17)に設けられた回転ジョイント(6)が調節レバー(7)に当接するように配置されていて、調節レバー(7)は車体側で固定されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の装置。
  9. 一方では旋回レバー(15)の回転運動により、他方では調節レバー(7)の旋回運動により、衝突時にボンネット(17)が、車両の前方側でボンネット(17)に配置されたロック装置を中心とした純然たる旋回運動を、前記ロック装置に対して相対的な車両長手方向でのボンネット(17)の相対摺動を殆どせずに行う、請求項1からまでのいずれか1項記載の装置。
  10. ばねエレメント(2)が、装置の通常の運転状態でプリロードをかけられた機械的なねじりコイルばねを有している、請求項1からまでのいずれか1項記載の装置。
  11. 作動装置(9,10,11)が衝突時にアクチュエータ(11)を介して制御可能であって、レバー装置(10)を介して機械的に強化されて、調節レバー(7)をプリロードがかけられた状態から解放する、請求項1から10までのいずれか1項記載の装置。
  12. アクチュエータ(11)が電気機械的なスイッチを有している、請求項11記載の装置。
  13. 作動装置(9,10,11)がフック状の区分(9)を有しており、該区分が休止状態で、調節レバー(7)の対応する区分(13)に係合し、調節レバー(7)をばねエレメント(2)の作用に抗して位置固定している、請求項1から12までのいずれか1項記載の装置。
  14. 作動装置(9,10,11)のフック状の区分(9)と、調節レバー(7)と、ばねエレメント(2)とが、ボンネット(17)の作動後に再び出発状態にもたらすことができ、再び操作可能である、請求項13記載の装置。
  15. ばねエレメント(2)が流体の媒体を有している、請求項1から14までのいずれか1項記載の装置。
  16. 旋回レバー(15)と回転ジョイント(6)とが、1つの共通の組み付け部分(5)によってボンネット(17)に固定されている、請求項から15までのいずれか1項記載の装置。
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