JP4628398B2 - 引き出し式食器洗い機 - Google Patents
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Description
前後左右の平行リンクで支持させた蓋体を引き下げて閉蓋する機構の一つの形態として、洗浄槽の後端で蓋体を後方に押し、上記平行リンクで蓋体を引き下げる(下降させる)ものがある(例えば、上記特開2002−143072号公報)。このものは、図8に示すように、前後左右の平行リンク15,16で蓋体14を支持させ、これを開蓋バネ18で前方に付勢してあり、洗浄槽12が押し込まれると、その後端縁が蓋体14のフランジ14fに当接してこれを後方に押し、平行リンク15,16で蓋体14を引き下げて閉蓋するものである(以下これを「従来技術1」という)。
そして、洗浄槽12が筐体10から引き出されると、蓋体14はそのフランジ14fに対する後方への押さえがなくなるので、開蓋バネ18によって前方に引っ張られる。そして、蓋体14が前方に移動すると平行リンク15,16が前方に回転し、蓋体14が上方に押し上げられる。
また、平行リンクで支持させた蓋体を洗浄槽の側面に設けた傾斜カムで押し下げるようにしたものがある(上記特許第3537759号公報)。これは、図9に示すものであり、上記平行リンクをく字状の屈曲リンクとし、この屈曲リンクの中間部にカムローラーを設けてあり、当該カムローラーを上記傾斜カムで押し下げ、平行リンク16を回転させて、開蓋バネ18に抗して蓋体を引き下げるものである。洗浄槽12は、筐体10のレール11によって前後方向(図において左右方向)に出し入れ自在に支持されており、洗浄槽12が押し込まれて収納されたとき、その前端の前扉13で筐体10の前端開口部が閉じられる。
このとき、傾斜カム120による蓋体14の下降ストローク(又は、蓋体に対する押しつけ力)は、傾斜カム120とカムローラー125の上下方向の位置関係等に左右される。
また、従来技術1,2については、開蓋バネで洗浄槽が収納位置から自然に前方に戻されて蓋体14に対する押さえが緩んでそのシール性能が低下するので、これを収納位置にしっかり保持しなければならないという問題があり、そのために、ソレノイドで駆動されるロック装置を設けている(例えば、上記特開2002−17642号公報)。
上記従来技術1,2では、蓋体が平行リンクで支持され、平行リンクで昇降されるから、蓋体に対する支持が安定し、蓋体の昇降動作が円滑で、また、安定的である。しかし、洗浄槽の押し込み操作の終り近くで、蓋体14が開蓋バネに抗して後方に押されるようになるので、開蓋バネが押し込み操作に対する抵抗になる。
したがって、従来技術1,2については、洗浄槽の押し込み操作に対する負荷が大きく、洗浄槽が開蓋バネで引き戻されて蓋体に対する押さえが緩み、シール不良を生じるという問題があり、特に、従来技術1についてこの問題が顕著である。
この発明は、蓋体がその前後左右を平行リンクで支持されており、洗浄槽で蓋体が開蓋バネに抗して後方に押され、平行リンクで引き下げられ、洗浄槽が閉蓋されるようになっている引き出し式食器洗い機について、
開蓋バネによって、洗浄槽の押し込み抵抗が増大することがなく、また、洗浄槽が自然に収納位置に保持されるように、閉蓋機構を工夫することである。
(イ)平行リンクを筐体に取付ける連結ピンに反転子が所定範囲で回転可能に枢支されており、
(ロ)上記反転子が上方に開口した切り欠きを有し、洗浄槽側壁に反転ピンが突設されており、
(ハ)反転用引っ張りバネと反転子と反転ピンによりセンターオーバー機構が構成されており、
(ニ)平行リンクの中間部に揺動爪が上記連結ピンと平行な支軸で枢支されていて、洗浄槽側面のガイドに係脱自在であり、
(ホ)反転子の後方方向への回転により反転ピンを介して洗浄槽が後方に押され、平行リンクのリンク作用で上記開蓋バネに抗して蓋体が押し下げられ、当該蓋体が洗浄槽に押圧されて密封する構造になっており、
(ヘ)閉蓋状態における開蓋バネによる開蓋方向の力よりも反転用引っ張りバネによる閉蓋方向の力の方が大きいこと。
蓋体は、前後左右の平行リンクによって昇降自在に支持されており、洗浄槽が押し込まれて収納されたとき、その後端で蓋体が後方に押され、平行リンクが後方に回転して蓋体が開蓋バネに抗して引き下げられることは従来技術1と違いがない。
しかし、洗浄槽で蓋体が後方に押され、平行リンクが後方に回転するにつれて当該平行リンクに枢支されている揺動爪が下降し、洗浄槽側壁のガイドの下面に係合して平行リンクを係止し、これによって蓋体を閉蓋位置に保持する。
洗浄槽が引き出されると、洗浄槽のガイドが前方に移動して、上記揺動爪から外れるので、上記揺動爪による平行リンクに対する係止が外され、平行リンクがフリーになる。そして、開蓋バネによって開蓋される。
さらに、洗浄槽は反転用引っ張りバネで後方に押されて収納位置に保持されるので、開蓋バネのバネ力等で引き戻されて蓋体に対する押さえが緩むことはない。
また、蓋体の洗浄槽に対する押しつけ力は、反転用引っ張りバネのバネ荷重(バネ力)で規定されるので、閉蓋機構や案内レールの組み立て誤差や洗浄槽の変形等によって影響されることはない。
それゆえ、蓋体による密閉性は安定し、耐久性は高い。
また、上記反転用引っ張りバネが密着コイルバネであるので、初期張力を大きくし、反転子の回転で伸張させて、大きなバネ荷重を反転子に与えることができる。
この実施例の基本構造は、図8、図9に示す従来例と格別の違いがない。
図1において平行リンク16が連結ピン16a,16bで筐体の側壁、蓋体14にそれぞれ連結されており、平行リンク16の中間部に揺動軸25aがあり、当該揺動軸25aに揺動爪25の上端が枢支されている。洗浄槽12の側壁に傾斜カム面を有するガイド20が突設されており、揺動爪25が平行リンク16とともに引き下げられて、ガイド20の水平下面に係合し、これによって、平行リンク16を下降位置に保持して、蓋体14の浮き上がりを阻止する。
平行リンク16の下端を筐体側壁に連結している連結ピン16aに反転子30の中間部が枢支されている。したがって、この実施例では連結ピン16aが反転子30の枢支軸を兼ねていることになる(以下、これを一方において「連結ピン16a」とし、他方において「枢支軸30s」とする)。
なお、この実施例では、ストッパー40は組み付け誤差等のために反転子が後方に過剰に回転するのを阻止するためのものである。
反転用引っ張りバネ35が枢支軸30sよりも後方に移動すると、洗浄槽12が当該引っ張りバネ35のバネ力で反転子30を介して後方に押されるようになる。そして、最終位置まで押し込まれた後も洗浄槽12は反転用引っ張りバネ35のバネ力で後方に押され、その位置に保持される(図6)。
上記のように、最初はガイド20が揺動爪25の下部(フック部)25cに当たってこれを後方に押し、揺動爪25は揺動軸25aを支軸にして反時計方向に回転して押し上げられる(図4)が、他方において、平行リンク16とともに下降するので、揺動爪25は時計方向に自然に戻って(図5)、最終的にその下部(フック部)25cがガイド20の下方に回り込み(図6)、揺動爪25の下部(フック部)25cの先端がガイド20の水平下面20bに当接した状態になる(図1−2(a)参照)。これが洗浄槽が筐体に完全に押し込まれて収納された状態である。
したがって、洗浄槽12が引き出されるとき、蓋体14は揺動爪25や反転子30の押さえ部31cによって規制されることなく、上方に押し上げられる。
12:洗浄槽
13:前扉
14:蓋体
15,16:平行リンク
16a,16b:連結ピン
20:ガイド
25:揺動爪
25a:揺動軸
25c:揺動爪25の下部(フック部)
30s:枢支軸
31:反転子の上部
31b:押さえアーム
31c:押さえ部
32:切り欠き
33:反転子の下部
38:反転ピン
35:反転用引っ張りバネ
40,50:ストッパー
Claims (3)
- 前後左右の平行リンクで蓋体の前後左右が支持されていて、蓋体が開蓋バネで前方に付勢されており、洗浄槽で蓋体を後方に押し、平行リンクで蓋体を引き下げて洗浄槽の開口部を閉蓋するようになっている引き出し式食器洗い機について、
平行リンクを筐体に取付ける連結ピンに反転子が所定範囲で回転可能に枢支されており、
上記反転子が上方に開口した切り欠きを有し、洗浄槽側壁に反転ピンが突設されており、
反転用引っ張りバネと反転子と反転ピンによりセンターオーバー機構が構成されており、
平行リンクの中間部に揺動爪が上記連結ピンと平行な支軸で枢支されていて、洗浄槽側面のガイドに係脱自在であり、
反転子の後方方向への回転により反転ピンを介して洗浄槽が後方に押され、平行リンクのリンク作用で上記開蓋バネに抗して蓋体が押し下げられ、当該蓋体が洗浄槽に押圧されて密封する構造になっており、
閉蓋状態における開蓋バネによる開蓋方向の力よりも反転用引っ張りバネによる閉蓋方向の力の方が大きいことを特徴とする引き出し式食器洗い機。 - 上記反転用引っ張りバネが密着コイルバネである請求項1の引き出し式食器洗い機。
- 上記反転子の押さえアームがその先端に押さえ部を有し、
洗浄槽が押し込まれて閉蓋されたとき、上記押さえ部が揺動爪の枢支軸に接近していて、当該枢支軸の上方への移動を阻止するようになっている請求項1の引き出し式食器洗い機。
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