JP4626131B2 - 絶縁ゲート型半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体スイッチングデバイス等に用いられるIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)などの絶縁ゲート型半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図9は、従来のトレンチゲート構造を有するIGBTの構成を示す断面図である。図9に示すように、p層5が、ドリフト層となるn-層4の表面に形成されている。p層5は、その表面からn-層4に達する複数のトレンチ8,9により、pベース領域6と浮遊p領域7に分割されている。
【0003】
pベース領域6は、p層5のうち、隣り合う第1のトレンチ8の間に挟まれた領域である。n+エミッタ領域10は、pベース領域6において第1のトレンチ8の側面に設けられている。エミッタ電極11は、n+エミッタ領域10およびpベース領域6に電気的に接続している。実際のチャネル形成に寄与するポリシリコンよりなるゲート領域12は、第1のトレンチ8内にゲート絶縁膜13を介して設けられており、ゲート電極14に電気的に接続されている。
【0004】
浮遊p領域7は、p層5のうち、隣り合う第2のトレンチ9の間に挟まれた領域、または第1のトレンチ8の、n+エミッタ領域10のない側の側面と第2のトレンチ9との間に挟まれた領域である。浮遊p領域7は、n-層4とはpn接合により絶縁されており、かつゲート絶縁膜13によりゲート領域12から絶縁されている。つまり、浮遊p領域7は、いわゆるフローティング状態となっている。
【0005】
実際のチャネル形成に寄与しないポリシリコンよりなるダミーゲート領域15は、第2のトレンチ9内に絶縁膜16を介して設けられており、電極17に電気的に接続されている。この電極17は、ゲート電極14に電気的に接続されている。一方、nバッファ層3およびpコレクタ層2は、n-層4の裏面側に設けられている。コレクタ電極1は、コレクタ層2に電気的に接続している。
【0006】
図9に示す構成のIGBTにおいて、エミッタ電極11に対して正の電圧がコレクタ電極1に印加されている状態で、エミッタ電極11に対してゲート絶縁膜13近傍のpベース領域6に反転層が生成されるような正の電圧がゲート電極14に印加されると、電子がn+エミッタ領域10から反転層を介してn-層4に注入される。n+エミッタ領域10に注入された電子はnバッファ層3に到達し、pコレクタ層2からの正孔の注入を引き起こす。このような、いわゆる伝導度変調によって、オン電圧が低くなる。
【0007】
nバッファ層3を介してn-層4に注入された正孔は、フローティング状態の浮遊p領域7を通ることができず、pベース領域6を通ってエミッタ電極11に流出する。そのため、n-層4においてpベース領域6の近傍の正孔密度が上昇し、これに伴って電子の注入が増加する。このような、いわゆるIE(インジェクション・エンハンスメント)効果により、さらにオン電圧が低くなる。このような浮遊p領域を備えたIGBTは、IEGT(インジェクション・エンハンスト・インシュレイテッド・ゲート・バイポーラトランジスタ)と呼ばれることがある(たとえば、特許文献1参照。)。
【0008】
しかし、上述したIEGTでは、チャネル形成に寄与しないダミーゲートが多く存在するため、ゲート−コレクタ間容量が大きくなり、スイッチング損失が大きいという欠点や、ゲート駆動エネルギーが大きいという欠点や、ゲート欠陥に起因する不良率が高いなどの欠点がある。図10に示すように、ダミーゲート領域15にエミッタ電位が印加される構成(たとえば、特許文献2、特許文献3参照。)にすれば、ゲート−コレクタ間容量が小さくなるので、スイッチング損失やゲート駆動エネルギーが小さくなる。
【0009】
しかし、図10に示す構成のIGBTでも、ダミーゲート数が多いという点では図9に示す構成のIGBTと同じであるため、ゲート欠陥に起因する欠点を解消することはできない。ゲート欠陥を減らすには、図11に示すように、ダミーゲートを持たない構造とするのが有効である(たとえば、特許文献1参照。)。
【0010】
図12は、図11示す構成のIGBTの容量を模式的に示す要部断面図である。図12において、Cgeはゲート−エミッタ間容量であり、Cgcはゲート−コレクタ間容量である。また、Cgfはゲート−浮遊p領域間容量であり、Ccfはコレクタ−浮遊p領域間容量である。これらの各容量には、各半導体領域に広がる空乏層容量も考慮されている。
【0011】
図12に示すように、ゲート−浮遊p領域間容量Cgfとコレクタ−浮遊p領域間容量Ccfを直列接続した容量が、ゲート−コレクタ間容量Cgcに並列に加わる。したがって、実効的なゲート−コレクタ間容量Cはつぎの(1)式で表される。
【0012】
C=Cgc+Cgf・Ccf/(Cgf+Ccf) ・・・(1)
【0013】
一般的に、良好な耐圧を得るためにトレンチ8がp層5内から突出する量は、p層5の深さに比較して小さい。また、トレンチ8の幅も小さいので、ゲート−コレクタ間容量Cgcはゲート−浮遊p領域間容量Cgfよりも小さい。これに対してIE効果を高めるために浮遊p領域7の幅は大きいので、コレクタ−浮遊p領域間容量Ccfは非常に大きくなる。
【0014】
したがって、ダミーゲートを持たない構成では、実効的なゲート−コレクタ間容量Cが非常に大きくなってしまう。そのため、ゲート−コレクタ間帰還容量によりスイッチング損失が増大したり、インバータ等の応用回路においてIGBTに並列接続されたFWD(還流用ダイオード)の逆回復時に、ゲート−コレクタ間帰還容量を介したフィードバックにより発振現象が発生するなどの不具合がある。
【0015】
そこで、図13に示すように、浮遊p領域7に電極18を介してエミッタ電位を印加する構成のIGBTが公知である。このようにすると、図12に示すゲート−浮遊p領域間容量Cgfおよびコレクタ−浮遊p領域間容量Ccfは、それぞれゲート−エミッタ間容量およびコレクタ−エミッタ間容量に変換される。それによって、実効的なゲート−コレクタ間容量は、図12に示すCgcのみとなり、低い値に抑えられる。
【0016】
図11に示す構成のIGBT(IE効果あり)と、図13に示す構成のIGBT(IE効果なし)とで、出力特性を比較した結果を図14に模式的に示す。図14において、実線は図11に示すIGBTの出力特性であり、破線は図13に示すIGBTの出力特性である。
【0017】
【特許文献1】
特開2001−332728号公報
【特許文献2】
特開平11−330466号公報
【特許文献3】
特開2001−308327号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図13に示す構成のIGBTのように、浮遊p領域7をエミッタ電極11に接続すると、pコレクタ層2から正孔が引き抜かれるため、図14にも示すように上述したIE効果が得られなくなってしまう。そのため、オン電圧が増加するという問題点がある。
【0019】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、IE効果による低オン電圧化を妨げることなく、ゲート−コレクタ間容量を低減させることができる絶縁ゲート型半導体装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、第1導電型の第1の半導体領域と、前記第1の半導体領域の表面部分に選択的に形成された第2導電型の第2の半導体領域と、前記第2の半導体領域の表面部分に選択的に形成された第1導電型の第3の半導体領域と、前記第1の半導体領域の裏面に形成された第2導電型の第4の半導体領域と、前記第2の半導体領域を貫通して前記第1の半導体領域に達する複数のトレンチと、前記トレンチ内にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極と、前記第2の半導体領域の一部および前記第3の半導体領域に共通に接触したエミッタ電極と、前記ゲート電極と前記エミッタ電極を絶縁するための層間絶縁膜と、前記第4の半導体領域に接触したコレクタ電極と、を具備し、前記第2の半導体領域の、前記トレンチにより仕切られた複数の領域が、前記第3の半導体領域を前記トレンチの側壁に備え前記エミッタ電極と接触するベース領域と、前記第3の半導体領域を備えず電気的に浮遊した浮遊領域と、からなり、前記浮遊領域の表面上のみに、前記ゲート絶縁膜と同じ厚さで、かつ前記層間絶縁膜よりも薄い絶縁膜を介してエミッタ電位の領域が設けられていることを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、トレンチ側面にエミッタ領域が設けられていない側の半導体領域とエミッタ電極との間に比較的大きなキャパシタが形成されるので、ゲート−コレクタ間容量の大部分がコレクタ−エミッタ間容量およびゲート−エミッタ間容量に変換される。また、トレンチ側面にエミッタ領域が設けられていない側の半導体領域は、直流的にはフローティング状態となっているので、IE効果による低オン電圧化は有効である。したがって、IE効果による低オン電圧化を妨げることなく、実効的なゲート−コレクタ間容量を低減させることができる。
【0022】
また、上記目的を達成するため、本発明は、前記浮遊領域のトレンチの間隔が前記ベース領域のトレンチの間隔よりも広いこととする。または、前記エミッタ電位の領域が前記浮遊領域の表面から該浮遊領域内に形成したトレンチに、前記ゲート絶縁膜と同じ厚さで、かつ前記層間絶縁膜よりも薄い絶縁膜を介して形成された領域であることとする。
【0023】
この発明によれば、トレンチの間隔が広い部分の半導体領域とエミッタ電極との間に比較的大きなキャパシタが形成されるので、ゲート−コレクタ間容量の大部分がコレクタ−エミッタ間容量およびゲート−エミッタ間容量に変換される。また、トレンチの間隔が広い部分の半導体領域は、直流的にはフローティング状態となっているので、IE効果による低オン電圧化は有効である。したがって、IE効果による低オン電圧化を妨げることなく、実効的なゲート−コレクタ間容量を低減させることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、すべての図面において同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略して、異なる構成についてのみ説明する。
【0025】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる絶縁ゲート型半導体装置の構成を示す断面図である。図1に示すように、実施の形態1のIGBTでは、p層5は、その表面からn-層4に達する複数のトレンチ8により、pベース領域6と浮遊p領域7に分割されている。なお、図1において、一点鎖線で仕切られた領域は、1セル領域を表す(他の図においても同じ)。
【0026】
pベース領域6は、p層5のうち、隣り合うトレンチ8の、n+エミッタ領域10が設けられた側の側面の間に挟まれた領域である。浮遊p領域7は、p層5のうち、隣り合うトレンチ8の、n+エミッタ領域10が存在しない側の側面の間に挟まれた領域である。通常、トレンチ8の間隔が狭い部分がpベース領域6となり、トレンチ8の間隔が広い部分が浮遊p領域7となる。
【0027】
浮遊p領域7の表面の一部または全部は、酸化膜等の絶縁膜31により被われている。この絶縁膜31の上には、たとえばポリシリコンよりなる領域32が設けられている。このポリシリコン領域32は、電極33を介してエミッタ電極11に電気的に接続されており、常にエミッタ電位となる。以下、この領域32をエミッタ電位領域と呼ぶ。エミッタ電位領域32、浮遊p領域7および絶縁膜31は、エミッタ電位領域32と浮遊p領域7との間に絶縁膜31を挟むキャパシタを構成している。
【0028】
ここで、キャパシタを構成する絶縁膜31の厚さは、ゲート絶縁膜13の厚さと同じかそれよりも厚い。その理由は、ゲート絶縁膜より薄い場合は必要な酸化膜の信頼性を確保できない可能性が高いためである。また、絶縁膜31は、ゲート電極14を覆う図示しない層間絶縁膜よりも薄くなっている。その理由は、層間絶縁膜と同じ場合は浮遊p領域7−ポリシリコン領域32間の容量と図示しない層間絶縁膜上のエミッタ電極−浮遊p領域7間の容量差がほとんどなく、本構造の特徴が表れないからである。なお、絶縁膜31の厚さはゲート絶縁膜と同じにすることにより特別な工程を追加することなく本構造を形成できるため都合がよい。
【0029】
図2は、図1に示す構成のIGBTの容量を模式的に示す要部断面図である。図2において、Cge、Cgc、CgfおよびCcfは、それぞれゲート−エミッタ間容量、ゲート−コレクタ間容量、ゲート−浮遊p領域間容量およびコレクタ−浮遊p領域間容量である。また、Cfeは浮遊p領域−エミッタ間容量である。これらの各容量には、各半導体領域に広がる空乏層容量も考慮されている。
【0030】
図2に示すように、ゲート−浮遊p領域間容量Cgfとコレクタ−浮遊p領域間容量Ccfとの接続ノードとエミッタ電極11との間に浮遊p領域−エミッタ間容量Cfeを接続した等価回路となる。したがって、実効的なゲート−コレクタ間容量Cはつぎの(2)式で表される。
【0031】
C=Cgc+Cgf・Ccf/(Cgf+Ccf+Cfe) ・・・(2)
【0032】
ここで、浮遊p領域−エミッタ間容量Cfeは、ゲート−浮遊p領域間容量Cgfとコレクタ−浮遊p領域間容量Ccfとの和(Cgf+Ccf)に比較して大きい値となっている。そのため、[Cgf・Ccf/(Cgf+Ccf+Cfe)]はゼロに近い値となり、実効的なゲート−コレクタ間容量CはCgc程度となるので、実効的なゲート−コレクタ間容量が大幅に削減される。
【0033】
一方、浮遊p領域7は直流的にはフローティング状態であるので、IE効果による低オン電圧化に対しては何ら悪影響がない。したがって、図1に示す構成のIGBTのオン電圧については、図11に示す従来構成のIGBTと同等の低い値となる。また、ダミーゲートがないため、良品率の向上が期待される。万一、浮遊p領域7とエミッタ電位領域32とが短絡しても、その短絡箇所の抵抗値が十分大きければ特性的な影響は殆んどない。短絡箇所の抵抗が低い場合には、図11に示す従来構成と等価な構成となるので、オン電圧が従来の素子と同じになるだけである。
【0034】
つぎに、実施の形態1の素子の製造プロセスについて図3〜図5を参照しながら簡潔に説明する。図3〜図5は、製造途中の素子表面部分の断面構成(1セル分)を工程順に示す図である。
【0035】
まず、周知の方法によりn-層4の上にp層5を形成する(図3(a))。ついで、周知のフォトプロセスおよびトレンチエッチングをおこなって、複数のトレンチ8をp層5の表面からn-層4に達するように形成する。これによって、p層5は、pベース領域6と浮遊p領域7とに分割される(図3(b))。
【0036】
ついで、トレンチ8の側面および底面、並びにp層5の表面に酸化膜を形成する。この酸化膜は、トレンチ8内ではゲート絶縁膜13となり、一方、浮遊p領域7の表面上ではキャパシタを構成する絶縁膜31となる(図3(c))。ついで、ポリシリコン膜41を積層し、トレンチ8をポリシリコンで埋める。そして、レジスト42を塗布し、パターニングしてエミッタ電位領域32の形成領域上にのみレジスト42を残す(図4(d))。
【0037】
残留したレジスト42をマスクとして、ポリシリコン膜41をエッチングし、トレンチゲート構造のゲート領域12を形成するとともに、エミッタ電位領域32を形成する。そして、レジスト42を除去する(図4(e))。再びレジスト43を塗布し、パターニングしてエミッタ領域10の形成領域を開口させる。そして、たとえばイオン注入法により、pベース領域6の、エミッタ領域10の形成領域にn型半導体を形成する不純物を導入する。(図4(f))。
【0038】
レジスト43を除去した後、熱処理をおこなってn+エミッタ領域10を形成する(図5(g))。ついで、層間絶縁膜44を積層し、この層間絶縁膜44の、pベース領域6およびn+エミッタ領域10とのコンタクト領域、並びにエミッタ電位領域32とのコンタクト領域をエッチングにより除去する(図5(h))。ついで、メタル45を積層し、エミッタ電極11および電極33を形成する(図5(i))。
【0039】
なお、図5(i)では、ゲート領域12とゲート電極14とのコンタクト部については示されていない。また、素子の裏面側構造の作製については従来通りであるので、説明および図示を省略する。ところで、上述した製造プロセスにおいて、ゲート絶縁膜13と浮遊p領域7上の絶縁膜31を別々に形成するようにしてもよい。その場合には、たとえば絶縁膜31をゲート絶縁膜13よりも厚く形成することによって、浮遊p領域−エミッタ間容量Cfeを調整することができる。さらに、ゲート領域12とエミッタ電位領域32を別々に形成するようにしてもよい。
【0040】
上述した実施の形態1によれば、ゲート−コレクタ間容量の大部分がコレクタ−エミッタ間容量およびゲート−エミッタ間容量に変換されるので、実効的なゲート−コレクタ間容量を低減させることができる。したがって、ゲート−コレクタ間帰還容量を介して、コレクタ電位がゲートにフィードバックされるのを低減させることができるので、ターンオン時の発振現象を防止することができる。また、IE効果により低オン電圧化が図れる。
【0041】
実施の形態2.
図6は、本発明の実施の形態2にかかる絶縁ゲート型半導体装置の構成を示す断面図である。図6に示すように、実施の形態2は、浮遊p領域7上に、絶縁膜31、エミッタ電位領域32および電極33をそれぞれ各ゲート領域12ごとに、各ゲート領域12の近くに設けたものである。すなわち、実施の形態2では、実施の形態1の絶縁膜31、エミッタ電位領域32および電極33がゲート領域12ごとに分割された構成となっている。その他の構成は実施の形態1と同じである。
【0042】
実施の形態2によれば、実施の形態1と同様に、実効的なゲート−コレクタ間容量の低減効果、およびIE効果によるオン電圧の低減効果が得られる。また、実施の形態1と比べて、浮遊p領域7の抵抗によるコレクタ−エミッタ間容量の増大を抑制することができるので、ターンオン時の損失の増大を抑制することができる。
【0043】
実施の形態3.
図7は、本発明の実施の形態3にかかる絶縁ゲート型半導体装置の構成を示す断面図である。実施の形態3は、浮遊p領域7に、浮遊p領域7よりも浅い第2のトレンチ19を形成し、その第2のトレンチ19の内面に絶縁膜26を設け、さらにその絶縁膜26の内側をポリシリコンで埋めてエミッタ電位領域25とすることにより、浮遊p領域−エミッタ間容量Cfeとなるトレンチ構造のキャパシタを設けたものである。エミッタ電位領域25は電極27を介してエミッタ電極11に電気的に接続される。その他の構成は実施の形態1と同じである。
【0044】
実施の形態3によれば、実施の形態1と同様に、実効的なゲート−コレクタ間容量の低減効果、およびIE効果によるオン電圧の低減効果が得られる。また、浮遊p領域7が比較的狭い領域であっても、大きなキャパシタンスを得ることができる。また、望ましくは、第2のトレンチ19をゲート領域12の近くに形成するのがよい。そうすれば、実施の形態2と同様に、ターンオン時の損失の増大を抑制することができる。
【0045】
実施の形態4.
図8は、本発明の実施の形態4にかかる絶縁ゲート型半導体装置の構成を示す断面図である。実施の形態4は、実施の形態3において、第2のトレンチ19をトレンチ8と同じ深さとし、浮遊p領域7の深さを第2のトレンチ19よりも深くしたものである。その他の構成は実施の形態3または実施の形態1と同じである。
【0046】
実施の形態4では、pベース領域6と浮遊p領域7とでは深さが異なっており、浮遊p領域7の方が深い。この様な深さの違うp領域6,7を形成するには、ゲート領域12となるトレンチ8の表面近傍にp型不純物が導入されないように、トレンチ8およびその近傍領域をレジストで被覆してp型不純物のイオン注入をおこなえばよい。なお、本工程を、周辺耐圧構造に必要なp領域を形成する工程と共通化すれば、製造工程が増加することはない。
【0047】
実施の形態4によれば、実施の形態1と同様に、実効的なゲート−コレクタ間容量の低減効果、およびIE効果によるオン電圧の低減効果が得られる。また、異なる深さのトレンチを形成する必要がないので、実施の形態3と比べて、プロセスを簡略化することができる。さらに、pベース領域6および浮遊p領域7から伸びる空乏層が平面接合の場合と近くなるので、耐圧を高くすることができる。
【0048】
以上において本発明は、上述した各実施の形態に限らず、種々変更可能である。また、本発明は、上述した各実施の形態と逆の導電型でも同様に成り立つ。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、ゲート−コレクタ間容量の大部分がコレクタ−エミッタ間容量およびゲート−エミッタ間容量に変換され、またIE効果による低オン電圧化は有効なままであるので、IE効果による低オン電圧化を妨げることなく、実効的なゲート−コレクタ間容量を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる絶縁ゲート型半導体装置の構成を示す断面図である。
【図2】図1示す構成の絶縁ゲート型半導体装置の容量を模式的に示す要部断面図である。
【図3】図1示す構成の絶縁ゲート型半導体装置の製造工程の一部を順に示す断面図である。
【図4】図1示す構成の絶縁ゲート型半導体装置の製造工程の一部を順に示す断面図である。
【図5】図1示す構成の絶縁ゲート型半導体装置の製造工程の一部を順に示す断面図である。
【図6】本発明の実施の形態2にかかる絶縁ゲート型半導体装置の構成を示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態3にかかる絶縁ゲート型半導体装置の構成を示す断面図である。
【図8】本発明の実施の形態4にかかる絶縁ゲート型半導体装置の構成を示す断面図である。
【図9】従来のトレンチゲート型IGBTの構成を示す断面図である。
【図10】従来のトレンチゲート型IGBTの構成を示す断面図である。
【図11】従来のトレンチゲート型IGBTの構成を示す断面図である。
【図12】図11示す構成のIGBTの容量を模式的に示す要部断面図である。
【図13】従来のトレンチゲート型IGBTの構成を示す断面図である。
【図14】IE効果のあるIGBTと、IE効果のないIGBTとで出力特性を比較した結果を模式的に示す特性図である。
【符号の説明】
7 トレンチのエミッタ領域のない側面側またはトレンチの間隔が広い部分の半導体領域(浮遊p領域)
8 トレンチ
10 n+エミッタ領域
13 ゲート絶縁膜
19 第2のトレンチ
25,32 エミッタ電位領域
26,31 絶縁膜
Claims (3)
- 第1導電型の第1の半導体領域と、前記第1の半導体領域の表面部分に選択的に形成された第2導電型の第2の半導体領域と、前記第2の半導体領域の表面部分に選択的に形成された第1導電型の第3の半導体領域と、前記第1の半導体領域の裏面に形成された第2導電型の第4の半導体領域と、前記第2の半導体領域を貫通して前記第1の半導体領域に達する複数のトレンチと、前記トレンチ内にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極と、前記第2の半導体領域の一部および前記第3の半導体領域に共通に接触したエミッタ電極と、前記ゲート電極と前記エミッタ電極を絶縁するための層間絶縁膜と、前記第4の半導体領域に接触したコレクタ電極と、を具備し、
前記第2の半導体領域の、前記トレンチにより仕切られた複数の領域が、前記第3の半導体領域を前記トレンチの側壁に備え前記エミッタ電極と接触するベース領域と、前記第3の半導体領域を備えず電気的に浮遊した浮遊領域と、からなり、
前記浮遊領域の表面上のみに、前記ゲート絶縁膜と同じ厚さで、かつ前記層間絶縁膜よりも薄い絶縁膜を介してエミッタ電位の領域が設けられていることを特徴とする絶縁ゲート型半導体装置。 - 前記浮遊領域のトレンチの間隔が前記ベース領域のトレンチの間隔よりも広いことを特徴とする請求項1に記載の絶縁ゲート型半導体装置。
- 前記エミッタ電位の領域が前記浮遊領域の表面から該浮遊領域内に形成したトレンチに、前記ゲート絶縁膜と同じ厚さで、かつ前記層間絶縁膜よりも薄い絶縁膜を介して形成された領域であることを特徴とする請求項1に記載の絶縁ゲート型半導体装置。
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