本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、情報記録層数が少ない旧規格の光情報記録媒体に対応している駆動装置でも再生可能であり、旧規格の光情報記録媒体に再生専用層(ROM層)又は追記録層(R層)を追加することにより記録容量を向上させることが可能なハイブリッド光情報記録媒体を提供することにある。
本発明に係る光情報記録媒体は、上記課題を解決するために、基板上に、再生光によって情報を読み出すことが可能な複数の情報記録層と、上記複数の情報記録層各々を分離する中間層と、上記基板より最も遠い位置に設けられた透光層とを有し、上記複数の情報記録層のうち、上記再生光の入射側に最も近い位置に設けられた第1情報記録層が情報を読み出すことのみ可能な層であり、他の情報記録層のうち少なくとも一層が情報を書き換えることが可能な領域を含む書き換え層である光情報記録媒体であって、上記第1情報記録層は、透光性を有し、上記第1情報記録層の再生光波長における反射率の値は、0.4%より大きく2.2%以下であることを特徴としている。
また、本発明に係る光情報記録媒体は、上記課題を解決するために、基板上に、再生光によって情報を読み出すことが可能な複数の情報記録層と、上記複数の情報記録層各々を分離する中間層と、上記基板より最も遠い位置に設けられた透光層とを有し、上記複数の情報記録層のうち、上記再生光の入射側に最も近い位置に設けられた第1情報記録層が情報を読み出すことのみ可能な層であり、他の情報記録層のうち少なくとも一層が情報を書き換えることが可能な領域を含む書き換え層である光情報記録媒体であって、上記第1情報記録層は、透光性を有し、上記第1情報記録層の再生光波長における反射率の値は、上記書き換え層の戻り光率より小さく、上記書き換え層を再生するときの第2再生光より強度が高い上記第1情報記録層を再生するときの第1再生光を、上記第1情報記録層に照射することにより、上記第1情報記録層がフォーカス可能となる程度に大きい値であることを特徴としている。
上記構成によれば、第1情報記録層の再生光波長における反射率の値が2.2%以下である。このため、後述する理由により、第1情報記録層は、書き換え層を再生するときの第2再生光ではフォーカス引き込みが不可能であり、第1情報記録層を再生するときの、第2再生光より強度が高い第1再生光ではフォーカス引き込みが可能になる。
具体的には、本発明に係る光情報記録媒体は、上記情報記録層のうち再生光入射面側に最も近い第1情報記録層が、情報の読み出し可能な層(ROM層)であり、他の情報記録層のうち少なくとも一層は情報の書き換え可能な領域を含む書き換え層(RE層)である光情報記録媒体であって、上記第1情報記録層は透光性を有している。このため、例えば3層以上の多層化が困難である2層のRE層を有する光情報記録媒体に、2層のRE層の戻り光率をほとんど低下させること無しに更にROM層を設けることができるので、RE層を有する光情報記録媒体の記録容量を向上させることができる。なお、再生光波長において透光性を有するとは、再生光波長において80%以上の透過率を有することを指す。また、フォーカス引き込みとは、フォーカスサーボがONになっている状態(すなわち、光学系から照射されるレーザ光の焦点位置が任意の情報記録層に追従している状態)を指す。
また、第1情報記録層としてROM層を追加して設けることにより記録容量の向上を図った従来のハイブリッド光情報記録媒体において、第1情報記録層は、材料的に反射率が低いRE層(再生光波長約405nmで15%程度の反射率)で作製された第2以降の情報記録層(他の情報記録層)からの反射光を透過させる。このため、Ag、Al、Au等の金属により形成された上記ROM層では、その厚さを薄く形成することによって透過率を高めていた。
しかしながら、上記ROM層は金属膜であるため、この金属膜が一様に形成される限界まで薄くしても、例えば2層RE−BDにおける第1情報記録層の反射率である5%より高い8%程度の反射率を有する。このため、上記ROM層への再生光照射時に、上記ROM層からフォーカス引き込みに十分なS字特性が検出されてしまう。したがって、上記ハイブリッド光情報記録媒体の規格に対応していない駆動装置においても、上記ROM層からのS字特性が検出される可能性が高くなるため、この駆動装置は、未知の情報記録層に対応できず、再生不良を引き起こす可能性が高かった。
これに対して本発明に係る光情報記録媒体では、第1情報記録層が透光性を有し、かつ上記第1情報記録層の再生光波長における反射率の値が、上記書き換え層を再生するときの第2再生光ではフォーカス引き込みが不可能な値である。したがって、追加された上記第1情報記録層に対応していない駆動装置で、かつ第2以降の情報記録層に対応している駆動装置(旧規格に対応している駆動装置)は、当然ながら、上記書き換え層を再生するときの再生光を照射するので、第2以降の情報記録層に確実にフォーカスできる。このため、旧規格に対応している駆動装置は、未知の情報記録層に対応している必要がなく、また再生不良を引き起こすこともなくなる。つまり、本発明に係る光情報記録媒体は、旧規格に対応している駆動装置でも再生することができる。
また、第1情報記録層の透光性が高い場合には、第2以降の情報記録層への光入射をほとんど阻害しないので、記録時の光強度も、ROM層を設けない場合と比較してほとんど増加させる必要がなくなる。
さらに、本発明に係る光情報記録媒体では、第1情報記録層が透光性を有し、かつ上記第1情報記録層の再生光波長における反射率の値が、上記第1情報記録層を再生するときの、第2再生光より強度が高い第1再生光でフォーカス引き込みが可能になる値である。このため、上記第1情報記録層に対応している駆動装置は、上記第1情報記録層を再生するときの、第2再生光より強度が高い第1再生光を照射することによって、第1情報記録層にフォーカスでき、第1情報記録層に記録された情報を再生できる。したがって、この場合、本発明に係る光情報記録媒体では、第1情報記録層の分だけ記録容量を向上させることが可能となる。
特に、3層以上の多層化が困難である2層のRE層を有する光情報記録媒体に更にROM層を設けることができるため、書き換え層における記録容量の限界値を保ったまま光情報記録媒体の記録容量を向上させることができる。
ここで、3層以上の多層化が困難である2層のRE層を有する光情報記録媒体にROM層を設ける場合に、本発明に係る光情報記録媒体と異なる位置にROM層を設けたときに問題が生じる理由について、以下に説明する。
まず、2層のRE層の間にROM層を設けた光情報記録媒体の場合、3層の情報記録層各々の層間クロストーク(再生中の情報記録層以外の情報記録層からのノイズ)が問題とならない位置にROM層を設ける必要がある。このため、ROM層が追加されることにより2層のRE層の間隔が広くなってしまうので、旧規格に対応している駆動装置の光学ヘッドでは、このような光情報記録媒体を再生することができない。
通常、光学ヘッドの対物レンズは、光情報記録媒体表面である再生光入射面から所定の距離に焦点を結ぶように設計されている。しかしながら、多層光情報記録媒体では、当然ながら、再生光入射面からの各情報記録層の距離が異なる。この場合、最適距離以外の位置にある情報記録層には球面収差が生じ、駆動装置における再生信号に悪影響を及ぼす。そこで、この球面収差を解消するために、駆動装置には例えばビームエキスパンダーが設けられている。
しかしながら、上記ビームエキスパンダーの許容範囲を拡大する場合、正弦条件をより満足する対物レンズが必要になる。そのような対物レンズは、偏芯誤差、傾き誤差等の各公差の条件が非常に厳しくなるので高価なものになる。結果として、光学ヘッドが高価なものになる。したがって、ROM層がない旧規格の光情報記録媒体に対応している駆動装置では、当然ながら、2層のRE層の間隔が広くなる場合に対応できるビームエキスパンダーを備えた光学ヘッドが設けられていない場合が多い。このため、旧規格に対応している駆動装置では、2層のRE層各々を再生することができない可能性が高い。
次に、ROM層を2層のRE層の後に設けた(すなわち、ROM層を基板に最も近い位置に設けた)光情報記録媒体の場合、2層のRE層各々の反射率をROM層がない場合と同程度にすると、第2情報記録層であるRE層は再生光波長における透過率が0%となる可能性が高い(上記2層RE−BDの例より明らか)。このため、このような光情報記録媒体では、ROM層に再生光を集光照射することができない可能性が高い。
したがって、本発明に係る光情報記録媒体のように、追加されるROM層は、2層のRE層の前(すなわち、基板上に積層された複数の情報記録媒体のうち、基板から最も遠い位置)に設けられていることが好ましい。
また、上記構成によれば、第1情報記録層の再生光波長における反射率の値が0.4%より大きいので、例えばBDにおいては、再生レーザパワーが3.5mW程度までに抑制することができる。このため、本発明に係る光情報記録媒体では、後述する理由により、情報記録層数カウント時のRE層の劣化を防止できる。
本発明に係る光情報記録媒体は、上記課題を解決するために、基板上に、再生光によって情報を読み出すことが可能な複数の情報記録層と、上記複数の情報記録層各々を分離する中間層と、上記基板より最も遠い位置に設けられた透光層とを有し、上記複数の情報記録層のうち、上記再生光の入射側に最も近い位置に設けられた第1情報記録層が情報を読み出すことのみ可能な層であり、他の情報記録層のうち少なくとも一層が情報を書き換えることが可能な領域を含む書き換え層である光情報記録媒体であって、上記第1情報記録層の再生光波長における反射率の値は、上記書き換え層を再生するときの第2再生光を照射することにより得られる上記第1情報記録層のS字特性が、上記第2再生光を照射することにより得られる上記書き換え層のS字特性と比較して、S字特性を検出する検出器のゲインを変更して検出される必要がある程度に小さく、上記第1情報記録層を再生するときの、上記第2再生光より強度が高い第1再生光を照射することにより得られる上記第1情報記録層のS字特性が、上記第2再生光を照射することにより得られる上記書き換え層のS字特性と同じ大きさとなるような値であることを特徴としている。
上記構成によれば、第1情報記録層の再生光波長における反射率の値は、書き換え層を再生するときの第2再生光を照射することにより得られる上記第1情報記録層のS字特性が、上記第2再生光を照射することにより得られる他の情報記録層のS字特性に比較して、S字特性を検出する検出器のゲインを変更して検出される必要がある程度に小さくなるような値である。このため、追加された第1情報記録層に対応していない駆動装置で、かつ第2以降の情報記録層に対応している駆動装置(旧規格に対応している駆動装置;以降、旧規格対応駆動装置)で本発明に係る光情報記録媒体を再生する場合、この旧規格対応駆動装置による上記第1情報記録層の検出は困難である。
すなわち、旧規格対応駆動装置は、再生初期で行われる光情報記録媒体の情報記録層数カウント時には、対応していない第1情報記録層再生のための第1再生光を照射しない。したがって、旧規格対応駆動装置が、S字特性検出器のゲインを所定値に変更すること無しに、本発明に係る光情報記録媒体の第1情報記録層を検出することは困難である。
一方、上記第1情報記録層にも対応している駆動装置(以降、新規格対応駆動装置)は、再生初期で行われる光情報記録媒体の情報記録層数カウント時には、対応している第1情報記録層再生のための第1再生光を照射する。したがって、新規格対応駆動装置は、S字特性検出器のゲインを変更すること無しに、本発明に係る光情報記録媒体の第1情報記録層を認識することが可能となる。
したがって、本発明に係る光情報記録媒体は、旧規格対応駆動装置においても再生不良を引き起こすことなく、旧規格対応駆動装置における第2以降の情報記録層の情報読み取りを可能とする。一方、本発明に係る光情報記録媒体は、新規格対応駆動装置において再生される場合には、上記第1情報記録層の情報読み取りが可能となるため、第1情報記録層の分だけ記録容量を向上させることが可能となる。
また、上記構成によれば、上記第1情報記録層の再生光波長における反射率の値は、上記書き換え層を再生するときの第2再生光ではフォーカス引き込みが不可能になる値であり、上記第1情報記録層を再生するときの、第2再生光より強度が高い第1再生光でフォーカス引き込みが可能になる値となる。したがって、上記構成によれば、上述した効果も同様に得ることができる。すなわち、本発明に係る光情報記録媒体は、旧規格対応駆動装置でも再生することができると共に、新規格対応駆動装置で再生される場合には、第1情報記録層の分だけ記録容量を向上させることが可能となる。
なお、再生初期で行われる光情報記録媒体の情報記録層数カウント時に、S字特性検出器のゲインを固定しない場合、駆動装置に例えばAGC等を備えることもできる。しかしながら、駆動装置は、フォーカス前の状態であり、基準となる信号振幅を得ることができない。このため、駆動装置が所定のゲインに固定する以外に適切に情報記録層のS字特性を検出することは極めて困難である。
本発明に係る光情報記録媒体は、上記課題を解決するために、基板上に、再生光によって情報を読み出すことが可能な複数の情報記録層と、上記複数の情報記録層各々を分離する中間層と、上記基板より最も遠い位置に設けられた透光層とを有し、上記複数の情報記録層のうち、上記再生光の入射側に最も近い位置に設けられた第1情報記録層が情報を読み出すことのみ可能な層であり、他の情報記録層のうち少なくとも一層が情報を書き換えることが可能な領域を含む書き換え層である光情報記録媒体であって、上記第1情報記録層は、透光性を有し、上記第1情報記録層の再生光波長における反射率の値は、上記書き換え層を再生するときの第2再生光ではフォーカス引き込みが不可能になる値であり、上記第1情報記録層を再生するときの、上記第2再生光より強度が高い第1再生光ではフォーカス引き込みが可能になる値であることを特徴としている。
上記構成によれば、第1情報記録層が透光性を有し、かつ上記第1情報記録層の再生光波長における反射率の値が、上記書き換え層を再生するときの第2再生光ではフォーカス引き込みが不可能な値である。したがって、追加された上記第1情報記録層に対応していない駆動装置で、かつ第2以降の情報記録層に対応している駆動装置(旧規格に対応している駆動装置)は、当然ながら、上記書き換え層を再生するときの再生光を照射するので、第2以降の情報記録層に確実にフォーカスできる。このため、旧規格に対応している駆動装置は、未知の情報記録層に対応している必要がなく、また再生不良を引き起こすことがなくなる。つまり、本発明に係る光情報記録媒体は、旧規格に対応している駆動装置でも再生することができる。
また、第1情報記録層の透光性が高い場合には、第2以降の情報記録層への光入射をほとんど阻害しないので、記録時の光強度も、ROM層を設けない場合と比較してほとんど増加させる必要がなくなる。
さらに、本発明に係る光情報記録媒体では、第1情報記録層が透光性を有し、かつ上記第1情報記録層の再生光波長における反射率の値が、上記第1情報記録層を再生するときの、第2再生光より強度が高い第1再生光でフォーカス引き込みが可能になる値である。このため、上記第1情報記録層に対応している駆動装置は、上記第1情報記録層を再生するときの第2再生光より強度が高い第1再生光を照射することによって、第1情報記録層にフォーカスでき、第1情報記録層に記録された情報を再生できる。したがって、この場合、本発明に係る光情報記録媒体では、第1情報記録層の分だけ記録容量を向上させることが可能となる。
また、本発明に係る光情報記録媒体は、上記課題を解決するために、基板上に、再生光によって情報を読み出すことが可能な複数の情報記録層と、上記複数の情報記録層各々を分離する中間層と、上記基板より最も遠い位置に設けられた透光層とを有し、上記複数の情報記録層のうち、上記再生光の入射側に最も近い位置に設けられた第1情報記録層が情報を追記録することのみ可能な層であるか、又は情報を追記録することのみ可能な領域と情報を読み出すことのみ可能な領域とからなる層であり、他の情報記録層のうち少なくとも一層が情報を書き換えることが可能な領域を含む書き換え層である光情報記録媒体であって、上記第1情報記録層は、透光性を有し、上記第1情報記録層の再生光波長における反射率の値は、0.4%より大きく2.2%以下であることを特徴としている。
また、本発明に係る光情報記録媒体は、上記課題を解決するために、基板上に、再生光によって情報を読み出すことが可能な複数の情報記録層と、上記複数の情報記録層各々を分離する中間層と、上記基板より最も遠い位置に設けられた透光層とを有し、上記複数の情報記録層のうち、上記再生光の入射側に最も近い位置に設けられた第1情報記録層が情報を追記録することのみ可能な層であるか、又は情報を追記録することが可能な領域と情報を読み出すことのみ可能な領域とからなる層であり、他の情報記録層のうち少なくとも一層が情報を書き換えることが可能な領域を含む書き換え層である光情報記録媒体であって、上記第1情報記録層は、透光性を有し、上記第1情報記録層の再生光波長における反射率の値は、上記書き換え層の戻り光率より小さく、上記書き換え層を再生するときの第2再生光より強度が高い上記第1情報記録層を再生するときの第1再生光を、上記第1情報記録層に照射することにより、上記第1情報記録層がフォーカス可能となる程度に大きい値であることを特徴としている。
上記構成によれば、第1情報記録層の再生光波長における反射率の値が2.2%以下である。このため、後述する理由により、第1情報記録層は、書き換え層を再生するときの第2再生光ではフォーカス引き込みが不可能であり、第1情報記録層を再生するときの、第2再生光より強度が高い第1再生光ではフォーカス引き込みが可能になる。
具体的には、本発明に係る光情報記録媒体は、上記情報記録層のうち再生光入射面に最も近い第1情報記録層が、情報の追記録可能な層(R層)又は情報の追記録と情報の読み出しとが可能な層であり、他の情報記録層のうち少なくとも一層は情報の書き換え可能な領域を含む書き換え層(RE層)である光情報記録媒体であって、上記第1情報記録層は透光性を有している。このため、例えば3層以上の多層化が困難である2層のRE層を有する光情報記録媒体に、2層のRE層の戻り光率をほとんど低下させること無しに更にR層を設けることができるので、RE層を有する光情報記録媒体の記録容量を向上させることができる。なお、再生光波長において透光性を有するとは、再生光波長において80%以上の透過率を有することを指す。また、フォーカス引き込みとは、フォーカスサーボがONになっている状態(すなわち、光学系から照射されるレーザ光の焦点位置が任意の情報記録層に追従している状態)を指す。
また、第1情報記録層としてR層を追加して設けることにより記録容量の向上を図った従来のハイブリッド光情報記録媒体において、第1情報記録層は、材料的に反射率が低いRE層(再生光波長約405nmで15%程度の反射率)で作製された第2以降の情報記録層(他の情報記録層)からの反射光を透過させる必要があった。このため、R層を有機色素と反射膜とを組み合わせた一般的な2層構造とした場合、Ag、Al、Au等の金属が用いられてきた反射膜の厚さを薄く形成することによって透過率を高めていた。
しかしながら、上記反射膜は金属膜であるため、この金属膜が一様に形成される限界まで薄くしても、例えば2層RE−BDにおける第1情報記録層の反射率である5%より高い8%程度の反射率を有する。このため、上記R層への再生光照射時に、上記R層からフォーカス引き込みに十分なS字特性が検出されてしまう。したがって、上記ハイブリッド光情報記録媒体の規格に対応していない駆動装置においても、上記R層からのS字特性が検出される可能性が高くなるため、この駆動装置は、未知の情報記録層に対応できず、再生不良を引き起こす可能性が高かった。
これに対して本発明に係る光情報記録媒体では、第1情報記録層が透光性を有し、かつ上記第1情報記録層の再生光波長における反射率の値が、上記書き換え層を再生するときの第2再生光ではフォーカス引き込みが不可能な値である。したがって、追加された上記第1情報記録層に対応していない駆動装置で、かつ第2以降の情報記録層に対応している駆動装置(旧規格に対応している駆動装置)は、当然ながら、上記書き換え層を再生するときの再生光を照射するので、第2以降の情報記録層に確実にフォーカスできる。このため、旧規格に対応している駆動装置は、未知の情報記録層に対応している必要がなく、また再生不良を引き起こすこともなくなる。つまり、本発明に係る光情報記録媒体は、旧規格に対応している駆動装置でも再生することができる。
また、第1情報記録層の透光性が高い場合には、第2以降の情報記録層への光入射をほとんど阻害しないので、記録時の光強度も、R層を設けない場合と比較してほとんど増加させる必要がなくなる。
さらに、本発明に係る光情報記録媒体では、第1情報記録層が透光性を有し、かつ上記第1情報記録層の再生光波長における反射率の値が、上記第1情報記録層を再生するときの、第2再生光より強度が高い第1再生光でフォーカス引き込みが可能になる値である。このため、上記第1情報記録層に対応している駆動装置は、上記第1情報記録層を再生するときの、第2再生光より強度が高い第1再生光を照射することによって、第1情報記録層にフォーカスでき、第1情報記録層に記録された情報を再生できる。したがって、この場合、本発明に係る光情報記録媒体では、第1情報記録層の分だけ記録容量を向上させることが可能となる。
特に、3層以上の多層化が困難である2層のRE層を有する光情報記録媒体に更にR層を設けることができるため、書き換え層における記録容量の限界値を保ったまま光情報記録媒体の記録容量を向上させることができる。
ここで、3層以上の多層化が困難である2層のRE層を有する光情報記録媒体にR層を設ける場合に、本発明に係る光情報記録媒体と異なる位置にR層を設けたときに問題が生じる理由について、以下に説明する。
まず、2層のRE層の間にR層を設けた光情報記録媒体の場合、3層の情報記録層各々の層間クロストーク(再生中の情報記録層以外の情報記録層からのノイズ)が問題とならない位置にR層を設ける必要がある。このため、R層が追加されることにより2層のRE層の間隔が広くなってしまうため、旧規格に対応している駆動装置の光学ヘッドでは、このような光情報記録媒体を再生することができない。
通常、光学ヘッドの対物レンズは、光情報記録媒体表面である再生光入射面から所定の距離に焦点を結ぶように設計されている。しかしながら、多層光情報記録媒体では、当然ながら、再生光入射面からの各情報記録層の距離が異なる。この場合、最適距離以外の位置にある情報記録層には球面収差が生じ、駆動装置における再生信号に悪影響を及ぼす。この球面収差を解消するために、駆動装置には例えばビームエキスパンダーが設けられている。
しかしながら、上記ビームエキスパンダーの許容範囲を拡大する場合、正弦条件をより満足する対物レンズが必要になる。そのような対物レンズは、偏芯誤差、傾き誤差等の各公差の条件が非常に厳しくなるので高価なものになる。結果として、光学ヘッドが高価なものになる。したがって、R層がない旧規格の光情報記録媒体に対応している駆動装置では、当然ながら、2層のRE層の間隔が広くなる場合に対応できるビームエキスパンダーを備えた光学ヘッドが設けられていない場合が多い。このため、旧規格に対応している駆動装置では、2層のRE層各々を再生することができない可能性が高い。
次に、R層を2層のRE層の後に設けた(すなわち、R層を基板に最も近い位置に設けた)光情報記録媒体の場合、2層のRE層各々の反射率をR層がない場合と同程度にすると、第2情報記録層であるRE層は再生光波長における透過率が0%となる可能性が高い(上記2層RE−BDの例より明らか)。このため、このような光情報記録媒体では、R層に再生光を集光照射することができない可能性が高い。
したがって、本発明に係る光情報記録媒体のように、追加されるR層は、2層のRE層の前(すなわち、基板上に積層された複数の情報記録媒体のうち、基板から最も遠い位置)に設けられていることが好ましい。
また、上記構成によれば、第1情報記録層の再生光波長における反射率の値が0.4%より大きいので、例えばBDにおいては、再生レーザパワーが3.5mW程度までに抑制することができる。このため、本発明に係る光情報記録媒体では、後述する理由により、情報記録層数カウント時のRE層の劣化を防止できる。
本発明に係る光情報記録媒体は、上記課題を解決するために、基板上に、再生光によって情報を読み出すことが可能な複数の情報記録層と、上記複数の情報記録層各々を分離する中間層と、上記基板より最も遠い位置に設けられた透光層とを有し、上記複数の情報記録層のうち、上記再生光の入射側に最も近い位置に設けられた第1情報記録層が情報を追記録することのみ可能な層であるか、又は情報を追記録することのみ可能な領域と情報を読み出すことのみ可能な領域とからなる層であり、他の情報記録層のうち少なくとも一層が情報を書き換えることが可能な領域を含む書き換え層である光情報記録媒体であって、上記第1情報記録層の再生光波長における反射率の値は、上記書き換え層を再生するときの第2再生光を照射することにより得られる上記第1情報記録層のS字特性が、上記第2再生光を照射することにより得られる上記書き換え層のS字特性と比較して、S字特性を検出する検出器のゲインを変更して検出される必要がある程度に小さく、上記第1情報記録層を再生するときの、上記第2再生光より強度が高い第1再生光を照射することにより得られる上記第1情報記録層のS字特性が、上記第2再生光を照射することにより得られる上記書き換え層のS字特性と同じ大きさとなるような値であることを特徴としている。
上記構成によれば、第1情報記録層の再生光波長における反射率の値は、書き換え層を再生するときの第2再生光を照射することにより得られる上記第1情報記録層のS字特性が、上記第2再生光を照射することにより得られる他の情報記録層のS字特性に比較して、S字特性を検出する検出器のゲインを変更して検出される必要がある程度に小さくなるような値である。このため、追加された第1情報記録層に対応しておらず、第2以降の情報記録層に対応している駆動装置(旧規格に対応している駆動装置;以降、旧規格対応駆動装置)で本発明に係る光情報記録媒体を再生する場合、この旧規格対応駆動装置による上記第1情報記録層の検出は困難である。
すなわち、旧規格対応駆動装置は、再生初期で行われる光情報記録媒体の情報記録層数カウント時には、対応していない第1情報記録層再生のための第1再生光を照射しない。したがって、旧規格対応駆動装置が、S字特性検出器のゲインを所定値に変更すること無しに、本発明に係る光情報記録媒体の第1情報記録層を検出することは困難である。
一方、第1情報記録層にも対応している駆動装置(以降、新規格対応駆動装置)は、再生初期で行われる光情報記録媒体の情報記録層数カウント時には、対応している第1情報記録層再生のための第1再生光を照射する。したがって、新規格対応駆動装置が、S字特性検出器のゲインを変更すること無しに、本発明に係る光情報記録媒体の第1情報記録層を認識することが可能となる。
したがって、本発明に係る光情報記録媒体は、旧規格対応駆動装置においても再生不良を引き起こすことなく、旧規格対応駆動装置における第2以降の情報記録層の情報読み取りを可能とする。また、本発明に係る光情報記録媒体は、新規格対応駆動装置において再生される場合には、上記第1情報記録層の情報再生も行われるため、第1情報記録層の分だけ記録容量を向上させることが可能となる。
また、上記構成によれば、上記第1情報記録層の再生光波長における反射率の値は、上記書き換え層を再生するときの第2再生光ではフォーカス引き込みが不可能になる値であり、上記第1情報記録層を再生するときの、第2再生光より強度が高い第1再生光でフォーカス引き込みが可能になる値となる。したがって、上記構成によれば、上述した効果も同様に得ることができる。すなわち、本発明に係る光情報記録媒体は、旧規格対応駆動装置でも再生することができると共に、新規格対応駆動装置で再生される場合には、第1情報記録層の分だけ記録容量を向上させることが可能となる。
なお、再生初期で行われる光情報記録媒体の情報記録層数カウント時に、S字特性検出器のゲインを固定しない場合、駆動装置に例えばAGC等を備えることもできる。しかしながら、駆動装置は、フォーカス前の状態であるので基準となる信号振幅を得ることができない。このため、駆動装置が所定のゲインに固定する以外に適切に情報記録層のS字特性を検出することは極めて困難である。
本発明に係る光情報記録媒体は、上記課題を解決するために、基板上に、再生光によって情報を読み出すことが可能な複数の情報記録層と、上記複数の情報記録層各々を分離する中間層と、上記基板より最も遠い位置に設けられた透光層とを有し、上記複数の情報記録層のうち、上記再生光の入射側に最も近い位置に設けられた第1情報記録層が情報を追記録することのみ可能な層であるか、又は情報を追記録することのみ可能な領域と情報を読み出すことのみ可能な領域とからなる層であり、他の情報記録層のうち少なくとも一層が情報を書き換えることが可能な領域を含む書き換え層である光情報記録媒体であって、上記第1情報記録層は、透光性を有し、上記第1情報記録層の再生光波長における反射率の値は、上記書き換え層を再生するときの第2再生光ではフォーカス引き込みが不可能になる値であり、上記第1情報記録層を再生するときの、上記第2再生光より強度が高い第1再生光ではフォーカス引き込みが可能になる値であることを特徴としている。
上記構成によれば、第1情報記録層が透光性を有し、かつ上記第1情報記録層の再生光波長における反射率の値が、上記書き換え層を再生するときの第2再生光ではフォーカス引き込みが不可能な値である。したがって、追加された上記第1情報記録層に対応していない駆動装置で、かつ第2以降の情報記録層に対応している駆動装置(旧規格に対応している駆動装置)は、当然ながら、上記書き換え層を再生するときの再生光を照射するので、第2以降の情報記録層に確実にフォーカスできる。このため、旧規格に対応している駆動装置は、未知の情報記録層に対応している必要がなく、また再生不良を引き起こすこともなくなる。つまり、本発明に係る光情報記録媒体は、旧規格に対応している駆動装置でも再生することができる。
また、第1情報記録層の透光性が高い場合には、第2以降の情報記録層への光入射をほとんど阻害しないので、記録時の光強度も、R層を設けない場合と比較してほとんど増加させる必要がなくなる。
さらに、本発明に係る光情報記録媒体では、第1情報記録層が透光性を有し、かつ上記第1情報記録層の再生光波長における反射率の値が、上記第1情報記録層を再生するときの、第2再生光より強度が高い第1再生光でフォーカス引き込みが可能になる値である。このため、上記第1情報記録層に対応している駆動装置は、上記第1情報記録層を再生するときの第2再生光より強度が高い第1再生光を照射することによって、第1情報記録層にフォーカスでき、第1情報記録装置に記録された情報を再生できる。したがって、この場合、本発明に係る光情報記録媒体では、第1情報記録層の分だけ記録容量を向上させることが可能となる。
また、本発明に係る光情報記録媒体駆動装置は、基板上に、再生光によって情報を読み出すことが可能な複数の情報記録層と、上記複数の情報記録層各々を分離する中間層と、上記基板より最も遠い位置に設けられた透光層を有し、上記複数の情報記録層のうち、少なくとも再生光の入射側に最も近い位置に設けられた第1情報記録層が情報を読み出すことのみ若しくは追記録することのみ可能な層であるか、又は情報を追記録することのみ可能な領域と情報を読み出すことのみ可能な領域とからなる層であり、他の情報記録層のうち少なくとも一層が情報を書き換えることが可能な領域を含む書き換え層である光情報記録媒体を再生可能な光情報記録媒体駆動装置であって、上記第1情報記録層を再生するときの再生光強度は、上記書き換え層を再生するときの再生光強度より大きく、上記書き換え層を劣化させない程度に小さいことを特徴としている。
上記構成によれば、上記第1情報記録層を再生するときの再生光強度は、上記書き換え層を再生するときの再生光強度より大きい。このため、本発明に係る光情報記録媒体駆動装置は、上述した旧規格に対応した駆動装置においても再生可能である本発明に係る光情報記録媒体の第1情報記録層に確実にフォーカスできるため、第1情報記録層に記録された情報の再生を行うことができる。
〔実施の形態1〕
本発明の実施の形態1について図1〜図12に基づいて説明すると以下の通りである。
図1に示すように、本実施の形態1の一例である光情報記録媒体200は、再生光入射面側から順に、透光層10、第1情報記録層(第1情報記録層、情報記録層)20、中間層30、第2情報記録層(書き換え層、情報記録層)40及び基板50が積層された構造となっている。なお、図1は、本実施の形態1に係る光情報記録媒体200の概略構成の一例を示す断面図である。
透光層10は、例えば、厚さ75μmの紫外線硬化樹脂からなる。透光層10の材料は、再生光の波長において透過率が高いものであれば良い。すなわち、透光層10は、例えばポリカーボネートフィルムと透明粘着剤とで形成されていても良い。また、透光層10の表面には、表面保護のためのハードコートが設けられていても良い。さらに、透光層10の厚さは、光情報記録媒体200の再生装置(駆動装置)が有する光学系に応じて変更されても良い。具体的には、透光層10は、例えば0.6mmのポリカーボネ−ト基板であっても良い。
第1情報記録層20は、ROM層であり、例えば、成膜時の窒素流量により屈折率調整された厚さ15nmの窒化アルミからなる。第1情報記録層20の厚さ及び材料は、これに限られるものではなく、例えば再生光波長における第1情報記録層20の反射率の値が0.4%より大きく2.2%以下となるものであれば良い。すなわち、第1情報記録層20は、再生光波長において透光性を有しており、上記反射率の値は、書き換え層(第2情報記録層40)を再生するときの第2再生光ではフォーカス引き込みが不可能になる値であり、第1情報記録層20を再生するときの第1再生光ではフォーカス引き込みが可能になる値であれば良い。具体的には、第1情報記録層20は、上記窒化アルミの他に、例えば窒化シリコン、又は、窒化アルミもしくは窒化シリコンを主成分とする誘電体からなっていても良く、多層構造であっても良い。
ここで、上記第2再生光は、第2情報記録層40等のRE層を再生するときに光情報記録媒体200に照射されるものであり、例えば旧規格の光情報記録媒体に対応した駆動装置でも照射できるものである。また、上記第1再生光は、第2再生光よりも強度が高く、第1情報記録層20及び後述する第1情報記録層70を再生するときに光情報記録媒体200(又は後述の光情報記録媒体201)に照射されるものである。この第1再生光は、新規格の光情報記録媒体に対応した駆動装置にて照射されるものである。なお、第1再生光は、第1情報記録層20に照射されるだけでなく、後述の光情報記録媒体300、301の第1情報記録層70にも照射される。
中間層30は、例えば、厚さ25μmの透明紫外線硬化樹脂からなる。中間層30の材料は、これに限られたものではなく、再生光の波長において透過率が高い材料であれば良い。また、中間層30の厚さも、これに限られたものではなく、各情報記録層(ここでは、第1情報記録層20及び第2情報記録層40)を分離でき、層間クロストークが問題にならない適度の厚さであれば良い。なお、層間クロストークとは、再生中の情報記録層以外の情報記録層からのノイズを指す。さらに、中間層30は、多層構造であっても良い。また、中間層30の、第1情報記録層20側の面には、第1情報記録層20に形状として記録される情報に応じた凹凸からなるプリピット(図示しない)が設けられている。
第2情報記録層40は、RE層であり、例えば7層の薄膜からなる。この7層の薄膜は、再生光入射側から、第1保護膜41(例えば、厚さ35nmのZnS−SiO2)、第2保護膜42(例えば、厚さ5nmのZrO)、記録層43(例えば、厚さ10nmのGeTe−Sb2Te3)、第3保護膜44(例えば、厚さ5nmのZrO)、第4保護膜45(例えば、厚さ35nmのZnS−SiO2)、第5保護膜46(例えば、厚さ5nmのZrO)、及び反射膜47(例えば、厚さ20nmのAPC(AgPdCu))が順に積層されてなる。なお、第2情報記録層40の材料、厚さ及び層数は、これに限られるものではなく、RE層として機能するものであれば良い。
基板50は、例えば、厚さ1.1mmのポリカーボネートからなる。基板50の材料及び厚さは、これに限られるものではなく、表面にグルーブが設けられており、上記かつ基板として使用できる程度の所定の強度があれば良い。具体的には、基板50は、例えばポリオレフィン樹脂、金属等からなっていても良い。さらに、基板50は、多層構造であっても良い。
なお、上記基板50の表面には、グルーブの他に、第2情報記録層40に形状として記録される情報に応じた凹凸からなるプリピットが設けられていても良い。この場合、第2情報記録層40のプリピットが設けられた領域は、情報の読み出しのみ可能な領域となる。すなわち、第2情報記録層40は、RE領域とROM領域とを含む構成であっても良い。
また、図2に示すように、本実施の形態1の別の一例である光情報記録媒体201は、再生光入射面側から順に、透光層10、第1情報記録層20、中間層30、第3情報記録層(書き換え層、情報記録層)60、中間層30、第2情報記録層40及び基板50が積層された構造となっている。なお、図2は、本実施の形態1に係る光情報記録媒体201の概略構成の一例を示す断面図である。
透光層10は、例えば、厚さ50μmの紫外線硬化樹脂からなる。透光層10の材料は、再生光の波長において透過率が高いものであれば良い。すなわち、透光層10は、例えばポリカーボネートフィルムと透明粘着剤とで形成されていても良い。また、透光層10の表面には、表面保護のためのハードコートが設けられていても良い。さらに、透光層10の厚さは、光情報記録媒体201の再生装置(駆動装置)が有する光学系に応じて変更されても良い。具体的には、透光層10は、例えば0.6mmのポリカーボネ−ト基板であっても良い。
第1情報記録層20は、ROM層であり、例えば、成膜時の窒素流量により屈折率調整された厚さ15nmの窒化アルミからなる。第1情報記録層20の厚さ及び材料は、これに限られるものではなく、例えば再生光波長における第1情報記録層20の反射率の値が0.4%より大きく2.2%以下となるものであれば良い。すなわち、第1情報記録層20は、再生光波長において透光性を有しており、上記反射率の値は、書き換え層(第2情報記録層40及び第3情報記録層60)を再生するときの第2再生光ではフォーカス引き込みが不可能になる値であり、第1情報記録層20を再生するときの第1再生光ではフォーカス引き込みが可能になる値であれば良い。具体的には、第1情報記録層20は、上記窒化アルミの他に、例えば窒化シリコン、又は、窒化アルミもしくは窒化シリコンを主成分とする誘電体からなっていても良く、多層構造であっても良い。
中間層30は、例えば、厚さ25μmの透明紫外線硬化樹脂からなる。中間層30の材料は、これに限られたものではなく、再生光の波長において透過率が高い材料であれば良い。また、中間層30の厚さも、これに限られたものではなく、各情報記録層(ここでは、第1情報記録層20、第2情報記録層40及び第3情報記録層60)を分離でき、層間クロストークが問題にならない適度の厚さであれば良い。さらに、中間層30は、多層構造であっても良い。
また、第1情報記録層20と第3情報記録層60との間に積層されている中間層30において、この中間層30の、第1情報記録層20側の面には、第1情報記録層20に形状として記録される情報に応じた凹凸からなるプリピットが設けられている。
なお、第2情報記録層40と第3情報記録層60との間に積層されている中間層30において、この中間層30の、第3情報記録層60側の面には、グルーブが設けられている。なお、中間層30には、グルーブと第3情報記録層60に形状として記録される情報に応じた凹凸からなるプリピットとが設けられていても良い。この場合、第3情報記録層60のプリピットが設けられた領域は、情報の読み出しのみ可能な領域となる。すなわち、第3情報記録層60は、RE領域とROM領域とを含む構成であっても良い。
第2情報記録層40は、RE層であり、例えば7層の薄膜からなる。この7層の薄膜は、再生光入射側から、第1保護膜41(例えば、厚さ35nmのZnS−SiO2)、第2保護膜42(例えば、厚さ5nmのZrO)、記録層43(例えば、厚さ10nmのGeTe−Sb2Te3)、第3保護膜44(例えば、厚さ5nmのZrO)、第4保護膜45(例えば、厚さ35nmのZnS−SiO2)、第5保護膜46(例えば、厚さ5nmのZrO)、及び反射膜47(例えば、厚さ20nmのAPC(AgPdCu))が順に積層されてなる。なお、第2情報記録層40の材料、厚さ及び層数は、これに限られるものではなく、RE層として機能するものであれば良い。
第3情報記録層60は、RE層であり、例えば、6層の薄膜からなる。この6層の薄膜は、再生光入射側から、第1保護膜61(例えば、厚さ35nmのZnS−SiO2)、第2保護膜62(例えば、厚さ5nmのZrO)、記録層63(例えば、厚さ6nmのGeTe−Sb2Te3)、第3保護膜64(例えば、厚さ5nmのZrO)、半透明膜65(例えば、厚さ20nmのAPC(AgPdCu))、及び透過率調整膜66(例えば、厚さ19nmのTiO2)が順に積層されてなる。第3情報記録層60の材料、厚さ及び層数は、これに限られるものではなく、再生光の波長において透過率60%程度を有するRE層として機能するものであれば良い。
基板50は、例えば、厚さ1.1mmのポリカーボネートからなる。基板50の材料及び厚さは、これに限られるものではなく、表面にグルーブが設けられており、かつ基板として使用できる程度の所定の強度があれば良い。具体的には、基板50は、例えばポリオレフィン樹脂、金属等からなっていても良い。さらに、基板50は、多層構造であっても良い。
なお、上記基板50の表面には、グルーブの他に、第2情報記録層40に形状として記録される情報に応じた凹凸からなるプリピットが設けられていても良い。この場合、第2情報記録層40のプリピットが設けられた領域は、情報の読み出しのみ可能な領域となる。すなわち、第2情報記録層40は、RE領域とROM領域とを含む構成であっても良い。
なお、本実施の形態1に係る光情報記録媒体201は、上述した構成に限られるものではなく、RE層のいずれかがR層又はROM層であっても良い。また、本実施の形態1に係る光情報記録媒体200、201は、2層又は3層構造に限られたものではなく、さらに情報記録層を加えた光情報記録媒体であっても良い。
〔実施例〕
図1に示す本実施の形態1に係る光情報記録媒体200を実施例1とし作製し、この実施例1の比較例1として、図3に示す光情報記録媒体202を作製した。以下に、各々の構造を図1及び図3を用いて説明する。なお、図3は、実施例1として作製された光情報記録媒体200の比較例1である光情報記録媒体202の概略構成を示す断面図である。
実施例1である光情報記録媒体200は、図1に示すように、再生光入射面側から順に、透光層10、第1情報記録層20、中間層30、第2情報記録層40及び基板50が積層された構造となっている。
透光層10は、厚さ75μmの紫外線硬化樹脂(再生光波長における屈折率1.50)からなる。
第1情報記録層20は、ROM層であり、成膜時の窒素流量により屈折率調整された厚さ15nmの窒化アルミ(再生光波長における屈折率2.01)からなる。第1情報記録層20を形成する窒化アルミは、スパッタ法により中間層30の表面に成膜されている。
中間層30は、厚さ25μmの透明紫外線硬化樹脂(再生光波長における屈折率1.50)からなる。また、この中間層30の、第1情報記録層20側の面には、2P法(photo polymarization法)により第1情報記録層20に形状として記録される情報に応じた凹凸からなるプリピットが設けられている。ここで、2P法とは、平板と原盤との間に紫外線硬化樹脂を充填し、紫外線を照射して紫外線硬化樹脂を硬化させた後原盤を剥離することによって、平板上に原盤の凹凸を転写する手法を指す。
第2情報記録層40は、RE層であり、スパッタ法により7層の薄膜が積層されている。具体的には、再生光入射側から、第1保護膜41(厚さ35nmのZnS−SiO2)、第2保護膜42(厚さ5nmのZrO)、記録層43(厚さ10nmのGeTe−Sb2Te3)、第3保護膜44(厚さ5nmのZrO)、第4保護膜45(厚さ35nmのZnS−SiO2)、第5保護膜46(厚さ5nmのZrO)、及び反射膜47(厚さ20nmのAPC(AgPdCu))が順に積層されている。
基板50には、直径120mm、厚さ1.1mmである、グルーブを有するポリカーボネートの円盤状基板を使用した。
比較例1である光情報記録媒体202は、図3に示すように、再生光入射面側から順に、透光層10、第1情報記録層120、中間層30、第2情報記録層40及び基板50が積層された構造となっている。光情報記録媒体202の第1情報記録層120は、従来より使用されている金属半透明膜APC(AgPdCu)からなり、厚さ5nmに成膜されたものである。その他の層(透光層10、中間層30、第2情報記録層40及び基板50)は、実施例1と同一に作製されている。
なお、第1情報記録層の透過率は、実施例1では95%、比較例1では80%であった。また、実施例1の第1情報記録層20の再生光波長における反射率は1.8%であり、第2情報記録層40の戻り光率は13.5%であった。一方、比較例1の第1情報記録層120の再生光波長における反射率は8%であり、第2情報記録層40の戻り光率は9.6%であった。
次に、実施例1と比較例1との、再生初期における情報記録層数カウント時に検出されるS字特性を、BD用評価機として一般的に用いられる、波長406nmのレーザ光を出射可能な半導体レーザとN.A.(開口率)0.85の光学系とを有するディスク評価機(パルステック社製 ODU−1000)にて測定した。この測定によって得られた結果を図4及び図5に示す。
ここで、図4は、レーザ強度を、RE層を再生するための強度であり、かつ現状の規格化されているBD駆動装置における最大再生レーザパワーである0.7mWに設定して、光情報記録媒体200、202にそれぞれ照射することによって得られたS字特性を示す図である。なお、図4の(a)は、実施例1である光情報記録媒体200に対する測定によって得られたS字特性を示し、図4の(b)は、比較例1である光情報記録媒体202に対する測定によって得られたS字特性を示す図である。また、図5は、レーザ強度を、ROM層を再生するための強度である1.0mWに設定して、実施例1である光情報記録媒体200にそれぞれ照射することによって得られたS字特性を示す図である。
図4の(a)に示すように、実施例1の第1情報記録層20におけるS字特性の実測値は、186mVであり、上記ディスク評価機におけるフォーカスがかかるための基準電圧+V1(230mV)を超えていない。よって、図4の(a)は、現状の規格化されているBD駆動装置における最大再生レーザパワーである0.7mWのレーザ光で情報記録層数のカウントを行う駆動装置(第1情報記録層20に対応していない旧規格対応駆動装置)は、第1情報記録層20を情報記録層として認識できないことを示している。このため、上記旧規格対応駆動装置は、当然ながら、第1情報記録層20にフォーカスすることはできない。実際、測定時において第1情報記録層20へのフォーカスを行ったが、通常市販されている民生用ディスク駆動装置に比べ様々な光情報記録媒体に対応可能な汎用性の高い上記ディスク評価機であっても、フォーカスがかかることはなかった。なお、基準電圧+V1は、上記ODU−1000において、2層情報記録媒体に記録された情報を再生評価できる値として設定された値である。
一方、図4の(b)に示すように、比較例1の第1情報記録層120におけるS字特性の実測値は、847mVであり、基準電圧+V1(230mV)を超えている。よって、図4の(b)は、現状の規格化されているBD駆動装置における最大再生レーザパワーである0.7mWのレーザ光で情報記録層数のカウントを行う駆動装置(第1情報記録層120に対応していない旧規格対応駆動装置)が、第1情報記録層120を情報記録層として認識できることを示している。
上記結果より、実施例1の第1情報記録層20は、比較例1と比較して、現状の規格化されているBD駆動装置における最大再生レーザパワーである0.7mWのレーザ光での情報記録層数のカウント時において、上記旧規格対応駆動装置に認識される可能性は極めて低い。すなわち、第1情報記録層20は、通常用いられている駆動装置以上に汎用性の高いディスク評価機にてフォーカス不可能であるため、上記旧規格対応駆動装置では実質認識できないと言える。
一方、比較例1の第1情報記録層120は、現状の規格化されているBD駆動装置における最大再生レーザパワーである0.7mWのレーザ光での情報記録層数カウント時において、上記旧規格対応駆動装置に認識される可能性が高い。これは、現時点において通常用いられている旧規格対応駆動装置は、2層の情報記録層まで対応可能となっているためである。しかしながら、上記旧規格対応駆動装置は、第1情報記録層120という未知の情報記録層を認識することとなるため、再生不良を引き起こす可能性がある。
また、図5に示すように、実施例1の第1情報記録層20におけるS字特性の実測値は、274mVであり、基準電圧+V1(230mV)を超えている。よって、図5は、第1情報記録層20を再生するための強度である1.0mWのレーザ光で情報記録層数のカウントを行う駆動装置(第1情報記録層20に対応している新規格対応駆動装置)が、第1情報記録層20を情報記録層として認識できることを示している。すわなち、上記新規格対応駆動装置は、当然ながら第1情報記録層20にフォーカスすることができ、第1情報記録層20を再生することが可能である。実際、測定時において第1情報記録層20へのフォーカスを行い、フォーカスがかかることを確認した。
なお、図4の(a)及び図5に示すように、実施例1の第2情報記録層40のS字特性の実測値は、各々1438mVと2105mVとであり、共に基準電圧+V1(230mV)を超えている。このため、新旧いずれの規格に対応した駆動装置(すなわち、上記旧規格対応駆動装置又は新規格対応駆動装置)であっても、第2情報記録層40をフォーカスすることができ、第2情報記録層40に対して、情報の記録・再生が可能となる。
以上のように、本実施の形態1に係る光情報記録媒体200は、旧規格対応駆動装置にて再生された場合であっても、比較例1のように上記旧規格対応駆動装置に対して再生不良を生じさせることなく、第2情報記録層40への情報の記録・再生が可能となる。また、新規格対応駆動装置では、第1情報記録層20に記録された情報も再生可能であるので、光情報記録媒体200は、第2情報記録層40における記録容量の限界値を保ったまま記録容量を向上させることができたと言える。なお、本実施の形態1に係る光情報記録媒体201についても、上記光情報記録媒体200と同様のことが言える。
ところで、通常用いられている駆動装置がフォーカスできる限界は、上述したようにS字特性に依存するので、基本的には反射光量に依存する。ここで、複数のサンプルを用いて、各再生光レーザパワーにおけるフォーカスできない反射率の上限値を、上述のディスク評価機にて測定した。このときの測定結果を図6に示す。
図6に示すように、現状の規格化されているBD駆動装置における最大再生レーザパワーである0.7mWでは、反射率2.2%が、フォーカスできない(認識できない)反射率の上限値であることがわかる。
なお、再生レーザパワーは、BD駆動装置によってばらつく可能性が高いため、実際には2割程度高いパワー(0.84mW)である場合も考えられる。この場合(再生レーザパワー0.84mW)であっても、フォーカスできない(認識できない)反射率の上限値は、図6に示す結果より1.8%と求めることができた。
また、本実施の形態1に係る光情報記録媒体200、201は、RE層(第2情報記録層40及び第3情報記録層60)を含んでいる。よって、情報記録層数カウント時に、RE層に対して第1情報記録層20を再生するための高いレーザパワーの再生光が集光照射される可能性がある。
ところで、情報記録層数カウントは、通常、リードインエリアで行われる。そこで、現在市販されている単層BD−REのリードインエリアの反射率を、上記ディスク評価機より再生レーザパワーを上げることが可能な、波長406nmのレーザ光を出射可能な半導体レーザとN.A.(開口率)0.85の光学系とを有するディスク評価機(パルステック社製 DDU−1000)にて測定した。
まず、単層BDの再生レーザパワーである0.35mWで上記リードインエリアの反射率を測定し、次に、より高い再生レーザパワーを照射した後、再度0.35mWに戻して上記リードインエリアの反射率を測定する。この測定によって、RE層の劣化(上記リードインエリアの反射率の低下)が起こる再生レーザパワーを測定した。
この結果、再生レーザパワーが3.5mWまでは反射率は変化しないが、4.0mWにて5%反射率が低下(すなわち、RE層が劣化)することがわかった。すなわち、3.5mWより高いレーザパワーで情報記録層数をカウントする場合、RE層のリードインエリアを劣化させる可能性がある。よって、図6に示す結果より、3.5mWでフォーカスがかからない反射率の上限値を求めると0.4%であるので、第1情報記録膜の反射率は、0.4%より大きい必要があることになる。
また、光情報記録媒体200、201の再生時に、衝撃によってフォーカスが外れる場合もある。その場合、第1情報記録層20を再生する再生光が、RE層(第2情報記録層40又は第3情報記録層60)の情報領域の情報記録部に照射される可能性がある。そこで、現在市販されている2層RE−BDの上記情報記録部に再生光を照射し、記録情報が劣化する再生レーザパワーを測定した。なお、この測定は、上述のディスク評価機(ODU−1000)で行われ、記録情報の劣化の指標としては、再生信号の品質の指標として一般に用いられるジッタを用いた。このときの測定結果を図7に示す。
図7に示すように、再生レーザパワーが1.2mWより高くなると、2層RE−BDの第1情報記録層(RE層)のジッタが急激に悪化する(すなわち、RE層が劣化する)ことがわかる。すなわち、RE層に記録された情報を劣化させることの無い再生レーザパワーの上限値は、1.2mWであることがわかる。
したがって、図6に示す結果より、再生レーザパワー1.2mW時のフォーカスがかからない反射率の上限値は1.2%であるため、1.2%より大きい反射率であれば、再生レーザパワー1.2mW以下でフォーカスできることになる。
よって、本実施の形態1に係る光情報記録媒体200、201の第1情報記録層20の再生光波長における反射率は、0.4%より大きく2.2%以下であれば良く、より好ましくは、1.2%より大きく1.8%以下であれば良い。
なお、上記両ディスク評価機による測定結果は、再生光波長が、青色レーザ波長の範囲であれば、変わることはない。
ところで、通常用いられている駆動装置では、各情報記録層から検出されるS字特性の実測値が所定の基準電圧を超えると情報記録層が認識される。そして、上記駆動装置によって情報記録層が認識されると、認識された情報記録層にフォーカスがかかり、この情報記録層の情報再生が可能になる。このS字特性の検出結果によって、フォーカスがかかり情報再生が可能となる理由を以下に説明する。
まず、一般的な多層光情報記録媒体を再生する再生システム100について説明する。例えば、図9に示す4層の光情報記録媒体400を再生する再生システム100の構成について、図8を用いて以下に説明する。
図8に示すように、再生システム100のディスク駆動モータ101は、円盤状の光情報記録媒体400(概略的な断面構造は図9参照)を所定の速度で回転駆動させる。このディスク駆動モータ101は、モータ制御回路109によって制御されている。また、このように回転駆動している光情報記録媒体400からの情報の読み取りは、光学ピックアップ102によって行われる。
光学ピックアップ102は、フィードモータ111の駆動力によって、光情報記録媒体400の半径方向に移動できるように構成されている。このフィードモータ111は、フィードモータ制御回路108によって制御されている。また、フィードモータ111は、その回転速度が速度検出器112によって検出されるように構成されている。そして、速度検出器112は、検出した結果を速度信号として、フィードモータ制御回路108に供給する。
上記光学ピックアップ102は、対物レンズ102aを備えている。この対物レンズ102aは、フォーカス方向(光軸方向)とトラッキング方向(光情報記録媒体400の半径方向)とに、それぞれ移動可能に支持されている。そして、この対物レンズ102aは、フォーカス制御回路105にて生成されたフォーカス制御信号がフォーカス駆動コイル102cに供給されることによって、フォーカス方向の位置が制御される。同様に、対物レンズ102aは、トラッキング制御回路108にて生成されたトラッキング制御信号がトラッキング駆動コイル102bに供給されることによって、トラッキング方向の位置が制御される。
また、レーザ制御回路103は、光学ピックアップ102内の半導体レーザ発振器102fを駆動し、半導体レーザ発振器102fにおいてレーザ光を発生させる。光量検出器102gは、この半導体レーザ発振器102fで発生するレーザ光の光量を検出し、この検出結果をレーザ制御回路103に帰還する。この構成により、レーザ制御回路103は、半導体レーザ発振器102fに発生させるレーザ光の光量を一定に制御することができる。
そして、この半導体レーザ発振器102fで発生したレーザ光は、コリメータレンズ102eを通過してハーフプリズム102dにて直角に折曲された後、対物レンズ102aにより、光情報記録媒体400の何れかの情報記録層上に集光することになる。この光情報記録媒体400の何れかの情報記録層とは、図9に示す第1情報記録層A、第2情報記録層B、第3情報記録層C又は第4情報記録層Dを指す。なお、第1情報記録層A、第2情報記録層B、第3情報記録層C、及び第4情報記録層Dは、いずれも、情報に応じて設けられた凹凸からなるプリピット上にAPC(AgPdCu)が成膜されることでAPC(AgPdCu)の形状が固定された情報の読み出しのみ可能なROM層である。
また、光情報記録媒体400からの反射光は、対物レンズ102aを逆行し、ハーフプリズム102dを直進した後、集光レンズ102h及びシリンドリカルレンズ102iを介して、光電変換器102jに受光される。この光電変換器102jは、受光量に応じた電気信号を発生する4つのフォトディテクタ102j1〜102j4によって構成されている。この光電変換器102jの場合、フォトディテクタ102j1・102j2の並び方向及びフォトディテクタ102j3・102j4の並び方向が、光情報記録媒体400のトラッキング方向に対応する。同様に、フォトディテクタ102j1・102j4の並び方向及びフォトディテクタ102j2・102j3の並び方向が、光情報記録媒体400の接線方向に対応する。
上記フォトディテクタ102j1から出力された電気信号は、増幅回路114aを介して加算回路113a・113dの1端にそれぞれ供給され、上記フォトディテクタ102j2から出力された電気信号は、増幅回路114bを介して加算回路113b・113cの1端にそれぞれ供給される。また、上記フォトディテクタ102j3から出力された電気信号は、増幅回路114cを介して加算回路113a・113cの他端にそれぞれ供給され、上記フォトディテクタ102j4から出力された電気信号は、増幅回路114dを介して加算回路113b・113dの他端にそれぞれ供給されている。
上記加算回路113aの出力信号は、差動増幅回路104の反転入力端子−に供給され、上記加算回路113bの出力信号は、差動増幅回路104の非反転入力端子+に供給されている。この差動増幅回路104は、加算回路113a・113bの出力信号の差を算出することによってフォーカスエラー信号を生成し、フォーカス制御回路105に供給している。このフォーカス制御回路105は、入力されたフォーカスエラー信号が0レベルとなるようにフォーカス駆動コイル102cに与えるフォーカス制御信号を生成し、対物レンズ102aに対するフォーカスサーボが行われる。
ここで、差動増幅回路104から出力されるフォーカスエラー信号は、対物レンズ102aによるレーザ光の集光位置を、その初期位置からフォーカス方向に順次移動させてフォーカスサーチ処理(すなわち、情報記録層数をカウントする処理)が行われた場合、図10に示すように、S字特性を描く。具体的には、上記フォーカスサーチ処理が行われた場合、フォーカスエラー信号は、対物レンズ102aによるレーザ光の焦点位置が、図9に示す各情報記録層(第1情報記録層A、第4情報記録層D、第3情報記録層C及び第2情報記録層B)を通過する毎に、図10に示すようなS字特性を描く。なお、上記初期位置とは、対物レンズ102aのフォーカス前の位置であり、通常、図8においては、光情報記録媒体400の第1情報記録層Aの下方であって、光情報記録媒体400から光軸方向に最も離れた位置を指す。
例えば、光情報記録媒体400の再生開始時には、再生システム100は、最初に、光学ピックアップ102内の半導体レーザ発振器102fにて、単層光情報記録媒体に対応した再生光を発生させる。
次に、対物レンズ102aによるレーザ光の集光位置を、上記初期位置から図8においては上方に、駆動上限位置まで移動させる。そして、再生システム100は、フォーカスエラー信号が所定の基準電圧+V0を越えた回数をカウントすることにより、光情報記録媒体400の情報記録層数を認識する。
その後、再生システム100は、光情報記録媒体400が有する情報記録層数に基づいて定められた再生光パワーを変更する。そして、再生システム100は、変更された再生光パワーにて、対物レンズ102aによるレーザ光の集光位置を、駆動上限位置から図8においては下方に、初期位置まで移動させる。そのときに、最初にフォーカスサーチ処理される情報記録層から検出されるフォーカスエラー信号の電圧値が、適切な値となるようフォーカス制御回路105等に含まれる増幅器のゲインを変更する。
そして、例えば、第2情報記録層Bにフォーカスサーチ処理する場合、再生システム100は、フォーカスエラー信号が所定の基準電圧+V0を越えた回数をカウントし、4回目となった後、最初に0レベル(フォーカスサーボ動作の中心レベル)となった時点でフォーカスサーボをON状態とする。これにより、再生システム100における第2情報記録層Bに対するフォーカスサーチ処理が終了される。
なお、図11は、再生システム100によって上述の第2情報記録層40にフォーカスサーチ処理が行われたときの対物レンズ位置の遷移とフォーカスエラー信号とを示す図であり、同図の(a)は、対物レンズ位置の遷移を示す図であり、同図の(b)は、フォーカスエラー信号を示すものである。
また、例えば、第4情報記録層Dから第2情報記録層Bにレイヤージャンプする場合、再生システム100は、フォーカスサーボを一旦OFF状態にし、第4情報記録層Dから第2情報記録層Bに対物レンズ102aによるレーザ光の焦点位置を順次移動させる。そして、再生システム100は、差動増幅回路104から出力されるフォーカスエラー信号が所定の基準電圧+V0を越えた回数をカウントし、2回目となった後、最初に0レベル(フォーカスサーボ動作の中心レベル)となった時点でフォーカスサーボをON状態とする。これにより、レイヤージャンプ処理が終了する。なお、レイヤージャンプ処理については、フォーカスサーチ処理とほぼ同じ処理のため図示していない。
また、これらのフォーカスサーチ処理が行われたとき、位相差検出回路107は、光電変換器102jのフォトディテクタ102j1・102j4の出力信号の和と、フォトディテクタ102j2・102j3の出力信号の和との位相差を検出する。そして、位相差検出回路107は、この検出結果をトラッキングエラー信号としてトラッキング制御回路106に供給する。
このトラッキング制御回路106は、入力されたトラッキングエラー信号に基づいてトラッキング駆動コイル102bに与えるトラッキング制御信号を生成し、対物レンズ102aに対してトラッキングサーボを施す。そして、再生システム100では、このトラッキングサーボが行われている状態で光情報記録媒体400の再生が行われる。そして、加算回路113c・113dから出力された電気信号が加算回路113eで合計され、データ再生回路110でデジタル信号に変換される。
なお、上記再生システム100のレーザ制御回路103、フォーカス制御回路105、トラッキング制御回路108、モータ制御回路109及びデータ再生回路110は、制御部115によって制御されている。制御部115には、再生システム100に装填される光情報記録媒体400の記録・再生に関する情報が記憶されている。制御部115は、この情報に従って上記回路を制御することとなる。
また、情報記録層からの反射率が大きくなると、再生システム100のフォーカスエラー信号の電圧値も大きくなる。
ここで、一般的な多層光情報記録媒体(ここでは、光情報記録媒体400)を再生する再生システム100における処理の流れを説明する。図12は、上記多層光情報記録媒体を再生する再生システム100における処理の流れを示すフローチャートである。
まず、再生システム100に光情報記録媒体400を装填後、ディスク駆動モータ101により、光情報記録媒体400を所定回転数で回転させる(S1)。次いで、制御部115は、光情報記録媒体400のリードインエリアに対向する位置に、光学ピックアップ102を移動し、所望のレイヤーにフォーカスサーチ処理する(S2)。このレイヤーとは、光情報記録媒体400においては、第1情報記録層A、第2情報記録層B、第3情報記録層C及び第4情報記録層Dの何れかを指す。そして、トラッキング制御回路106がトラッキング処理を行い(S3)、再生システム100による情報再生処理が行われる(S4)。
以上のように、上記再生システム100において、情報記録層の認識と各情報記録層へのフォーカスとは、全て各情報記録層から得られるS字特性に基づいて行われていることがわかる。したがって、上記のような多層光情報記録媒体の再生システム100が駆動装置に用いられているので、この駆動装置は、各情報記録層のS字特性を測定することによって、情報記録層の認識の有無及び再生の可否を判断することができる。
〔実施の形態2〕
本発明の実施の形態2について図13及び図14に基づいて説明すると以下の通りである。本実施の形態2に係る光情報記録媒体300、301は、第1情報記録層70がR層である点で、ROM層である第1情報記録層20を備えた実施の形態1に係る光情報記録媒体200、201と異なる。
図13に示すように、本実施の形態2の一例である光情報記録媒体300は、再生光入射面側から順に、透光層10、第1情報記録層(第1情報記録層、情報記録層)70、中間層30、第2情報記録層40及び基板50が積層された構造となっている。なお、図13は、本実施の形態2に係る光情報記録媒体300の概略構成の一例を示す断面図である。
透光層10は、例えば、厚さ75μmの紫外線硬化樹脂からなる。透光層10の材料は、再生光の波長において透過率が高いものであれば良い。すなわち、透光層10は、例えばポリカーボネートフィルムと透明粘着剤とで形成されていても良い。また、透光層10の表面には、表面保護のためのハードコートが設けられていても良い。さらに、透光層10の厚さは、光情報記録媒体300の再生装置(駆動装置)が有する光学系に応じて変更されても良い。具体的には、透光層10は、例えば0.6mmのポリカーボネ−ト基板であっても良い。
第1情報記録層70は、R層であり、例えば、厚さ15nmのビスマスとゲルマニウムの酸化物からなる。第1情報記録層70の厚さ及び材料は、これに限られるものではなく、例えば再生光波長における第1情報記録層70の反射率の値が0.4%より大きく2.2%以下となるものであれば良い。すなわち、第1情報記録層70は、再生光波長において透光性を有しており、上記反射率の値は、書き換え層(第2情報記録層40)を再生するときの第2再生光ではフォーカス引き込みが不可能になる値であり、第1情報記録層70を再生するときの第1再生光ではフォーカス引き込みが可能になる値であれば良い。具体的には、第1情報記録層70は、上記ビスマスとゲルマニウムとの酸化物の他に、例えばビスマスとゲルマニウムとの酸化物を主成分とする誘電体からなっていても良く、多層構造であっても良い。
中間層30は、例えば、厚さ25μmの透明紫外線硬化樹脂からなる。中間層30の材料は、これに限られたものではなく、再生光の波長において透過率が高い材料であれば良い。また、中間層30の厚さも、これに限られたものではなく、各情報記録層(ここでは、第1情報記録層70及び第2情報記録層40)を分離でき、層間クロストークが問題にならない適度の厚さであれば良い。さらに、中間層30は、多層構造であっても良い。
なお、中間層30の、第1情報記録層70側の面にはグルーブが設けられている。なお、この中間層30の表面には、グルーブの他に、第1情報記録層70に形状として記録される情報に応じた凹凸からなるプリピットが設けられていても良い。この場合、第1情報記録層70のプリピットが設けられた領域は、情報の読み出しのみ可能な領域となる。すなわち、第1情報記録層70は、R領域とROM領域とを含む構成であっても良い。
第2情報記録層40は、RE層であり、例えば7層の薄膜からなる。この7層の薄膜は、再生光入射側から、第1保護膜41(例えば、厚さ35nmのZnS−SiO2)、第2保護膜42(例えば、厚さ5nmのZrO)、記録層43(例えば、厚さ10nmのGeTe−Sb2Te3)、第3保護膜44(例えば、厚さ5nmのZrO)、第4保護膜45(例えば、厚さ35nmのZnS−SiO2)、第5保護膜46(例えば、厚さ5nmのZrO)、及び反射膜47(例えば、厚さ20nmのAPC(AgPdCu))が順に積層されてなる。なお、第2情報記録層40の材料、厚さ及び層数は、これに限られるものではなく、RE層として機能するものであれば良い。
基板50は、例えば、厚さ1.1mmのポリカーボネートからなる。基板50の材料及び厚さは、これに限られるものではなく、表面にグルーブが設けられており、かつ基板として使用できる程度の所定の強度があれば良い。具体的には、基板50は、例えばポリオレフィン樹脂、金属等からなっていても良い。さらに、基板50は、多層構造であっても良い。
なお、上記基板50の表面には、グルーブの他に、第2情報記録層40に形状として記録される情報に応じた凹凸からなるプリピットが設けられていても良い。この場合、第2情報記録層40のプリピットが設けられた領域は、情報の読み出しのみ可能な領域となる。すなわち、第2情報記録層40は、RE領域とROM領域とを含む構成であっても良い。
また、図14に示すように、本実施の形態2の別の一例である光情報記録媒体301は、再生光入射面側から順に、透光層10、第1情報記録層70、中間層30、第3情報記録層60、中間層30、第2情報記録層40及び基板50が積層された構造となっている。なお、図14は、本実施の形態2に係る光情報記録媒体301の概略構成の一例を示す断面図である。
透光層10は、例えば、厚さ50μmの紫外線硬化樹脂からなる。透光層10の材料は、再生光の波長において透過率が高いものであれば良い。すなわち、透光層10は、例えばポリカーボネートフィルムと透明粘着剤とで形成されていても良い。また、透光層10の表面には、表面保護のためのハードコートが設けられていても良い。
第1情報記録層70は、R層であり、例えば、厚さ15nmのビスマスとゲルマニウムとの酸化物からなる。第1情報記録層70の厚さ及び材料は、これに限られるものではなく、例えば再生光波長における第1情報記録層70の反射率の値が0.4%より大きく2.2%以下となるものであれば良い。すなわち、第1情報記録層70は、再生光波長において透光性を有しており、上記反射率の値は、書き換え層(第2情報記録層40及び第3情報記録層60)を再生するときの第2再生光ではフォーカス引き込みが不可能になる値であり、第1情報記録層70を再生するときの第1再生光ではフォーカス引き込みが可能になる値であれば良い。具体的には、第1情報記録層70は、上記ビスマスとゲルマニウムとの酸化物の他に、例えばビスマスとゲルマニウムとの酸化物を主成分とする誘電体からなっていても良く、多層構造であっても良い。
中間層30は、例えば、厚さ25μmの透明紫外線硬化樹脂からなる。中間層30の材料は、これに限られたものではなく、再生光の波長において透過率が高い材料であれば良い。また、中間層30の厚さも、これに限られたものではなく、各情報記録層(ここでは、第1情報記録層70、第2情報記録層40及び第3情報記録層60)を分離でき、層間クロストークが問題にならない適度の厚さであれば良い。さらに、中間層30は、多層構造であっても良い。
なお、第1情報記録層70と第3情報記録層60との間に積層されている中間層30において、この中間層30の、第1情報記録層70側の面には、グルーブが設けられている。また、中間層30には、グルーブと第1情報記録層70に形状として記録される情報に応じた凹凸からなるプリピットとが設けられていても良い。この場合、第1情報記録層70のプリピットが設けられた領域は、情報の読み出しのみ可能な領域となる。すなわち、第1情報記録層70は、R領域とROM領域とを含む構成であっても良い。
さらに、第2情報記録層40と第3情報記録層60との間に積層されている中間層30において、この中間層30の、第3情報記録層60側の面には、グルーブが設けられている。また、中間層30には、グルーブと第3情報記録層60に形状として記録される情報に応じた凹凸からなるプリピットとが設けられていても良い。この場合、第3情報記録層60のプリピットが設けられた領域は、情報の読み出しのみ可能な領域となる。すなわち、第3情報記録層60は、RE領域とROM領域とを含む構成であっても良い。
第2情報記録層40は、RE層であり、例えば7層の薄膜からなる。この7層の薄膜は、再生光入射側から、第1保護膜41(例えば、厚さ35nmのZnS−SiO2)、第2保護膜42(例えば、厚さ5nmのZrO)、記録層43(例えば、厚さ10nmのGeTe−Sb2Te3)、第3保護膜44(例えば、厚さ5nmのZrO)、第4保護膜45(例えば、厚さ35nmのZnS−SiO2)、第5保護膜46(例えば、厚さ5nmのZrO)、及び反射膜47(例えば、厚さ20nmのAPC(AgPdCu))が順に積層されてなる。なお、第2情報記録層40の材料、厚さ及び層数は、これに限られるものではなく、RE層として機能するものであれば良い。
第3情報記録層60は、RE層であり、例えば、6層の薄膜からなる。この6層の薄膜は、再生光入射側から、第1保護膜61(例えば、厚さ35nmのZnS−SiO2)、第2保護膜62(例えば、厚さ5nmのZrO)、記録層63(例えば、厚さ6nmのGeTe−Sb2Te3)、第3保護膜64(例えば、厚さ5nmのZrO)、半透明膜65(例えば、厚さ20nmのAPC(AgPdCu))、及び透過率調整膜66(例えば、厚さ19nmのTiO2)が順に積層されてなる。第3情報記録層60の材料、厚さ及び層数は、これに限られるものではなく、再生光の波長において透過率60%程度を有するRE層として機能するものであれば良い。
基板50は、例えば、厚さ1.1mmのポリカーボネートからなる。基板50の材料及び厚さは、これに限られるものではなく、表面にグルーブが設けられており、かつ基板として使用できる程度の所定の強度があれば良い。具体的には、基板50は、例えばポリオレフィン樹脂、金属等からなっていても良い。さらに、基板50は、多層構造であっても良い。
なお、上記基板50の表面には、グルーブの他に、第2情報記録層40に形状として記録される情報に応じた凹凸からなるプリピットが設けられていても良い。この場合、第2情報記録層40のプリピットが設けられた領域は、情報の読み出しのみ可能な領域となる。すなわち、第2情報記録層40は、RE領域とROM領域とを含む構成であってもよい。
なお、本実施の形態2に係る光情報記録媒体300、301は、2層又は3層構造に限られたものではなく、さらに情報記録層を加えた光情報記録媒体であっても良い。
上記のように、本実施の形態2に係る光情報記録媒体300、301の第1情報記録層70は、再生光波長において透光性を有し、書き換え層を再生するときの第2再生光ではフォーカス引き込みが不可能であり、第1情報記録層20を再生するときの第1再生光ではフォーカス引き込みが可能になる構成である。したがって、実施の形態1の実施例の結果より、光情報記録媒体300、301は、旧規格対応駆動装置にて再生された場合であっても、この旧規格対応駆動装置に対して再生不良を生じさせることなく、第2情報記録層40(又は第3情報記録層60)への情報の記録・再生が可能となる。また、新規格対応駆動装置では、第1情報記録層70の情報も再生可能であるので、光情報記録媒体300、301は、第2情報記録層40及び第3情報記録層60における記録容量の限界値を保ったまま記録容量を向上させることができたと言える。
〔実施の形態3〕
本発明の実施の形態3について図15に基づいて説明すると以下の通りである。本発明の実施の形態3である光情報記録媒体駆動装置としての再生システム(光情報記録媒体駆動装置)600は、図6に示す再生システム100の制御部115の代わりに、制御部615を備えた構成となっている。なお、制御部615以外の構成については、再生システム100に備えられた構成と同一の機能を有するため、その説明を省略する。
制御部615には、例えば本実施の形態1、2の光情報記録媒体200、201、300、301に対応して記録・再生を行うための情報が記憶されている。この情報とは、例えば、情報記録層数カウント時の再生光強度、各情報記録層に対応した再生光強度等を指す。
そのため、例えば光情報記録媒体200が装填されると、最初に行われる情報記録層数カウント開始時に、レーザ制御回路603は、制御部615によって制御されることにより、光学ピックアップ602内の半導体レーザ発振器602fを駆動する。すなわち、レーザ制御回路603は、半導体レーザ発振器602fにおいて、光情報記録媒体200における第1情報記録層20に対応した再生光(第1再生光)を発生させる。
つまり、再生システム600では、装填された光情報記録媒体が、例えば本実施の形態1、2に係る光情報記録媒体200、201、300、301であった場合でも、第1情報記録層20、70から得られるS字特性は、基準電圧+V0を超える値となる。このため、再生システム600では、新規格の第1情報記録層20、70を認識し、フォーカスできるため、第1情報記録層20、70から得られた情報を再生することができる。
また、第1情報記録層20、70以外の層にフォーカスする場合は、レーザ制御回路603は、制御部615によって制御されることにより、第1情報記録層20、70以外の情報記録層(例えば第2情報記録層40又は第3情報記録層)に対応した、より強度が低い再生光(第2再生光)に変更する。よって、再生システム600では、第1情報記録層20、70以外の情報記録層に対してもフォーカスできるため、この情報記録層に記録された情報についても再生することができる。
さらに、装填された光情報記録媒体が、上記光情報記録媒体200、201、300、301と異なる旧規格の光情報記録媒体(例えば、光情報記録媒体500)であった場合、再生システム600は、情報記録層数カウント後、新規格に対応した第1情報記録層20、70のS字特性を検出しない。このため、再生システム600では、新規格に対応した光情報記録媒体でないことを認識できる。
したがって、再生システム600では、上述した光情報記録媒体200、201、300、301と同様、レーザ制御回路603が制御部615によって制御され、新規格の第1情報記録層20、70以外の情報記録層に対応したより強度が低い再生光(第2再生光)に変更する。これにより、再生システム600では、旧規格の光情報記録媒体の各情報記録層も再生することができる。
以上のように、本実施の形態3である光情報記録媒体駆動装置としての再生システム600は、新旧いずれの規格の光情報記録媒体であっても、光情報記録媒体の各情報記録層を確実に再生することができる。
本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以上のように、本発明に係る光情報記録媒体は、上記課題を解決するために、基板上に、再生光によって情報を読み出すことが可能な複数の情報記録層と、上記複数の情報記録層各々を分離する中間層と、上記基板より最も遠い位置に設けられた透光層とを有し、上記複数の情報記録層のうち、上記再生光の入射側に最も近い位置に設けられた第1情報記録層が情報を読み出すことのみ可能な層であり、他の情報記録層のうち少なくとも一層が情報を書き換えることが可能な領域を含む書き換え層である光情報記録媒体であって、上記第1情報記録層は、透光性を有し、上記第1情報記録層の再生光波長における反射率の値は、0.4%より大きく2.2%以下であることを特徴としている。
また、本発明に係る光情報記録媒体は、上記課題を解決するために、基板上に、再生光によって情報を読み出すことが可能な複数の情報記録層と、上記複数の情報記録層各々を分離する中間層と、上記基板より最も遠い位置に設けられた透光層とを有し、上記複数の情報記録層のうち、上記再生光の入射側に最も近い位置に設けられた第1情報記録層が情報を読み出すことのみ可能な層であり、他の情報記録層のうち少なくとも一層が情報を書き換えることが可能な領域を含む書き換え層である光情報記録媒体であって、上記第1情報記録層は、透光性を有し、上記第1情報記録層の再生光波長における反射率の値は、上記書き換え層の戻り光率より小さく、上記書き換え層を再生するときの第2再生光より強度が高い上記第1情報記録層を再生するときの第1再生光を、上記第1情報記録層に照射することにより、上記第1情報記録層がフォーカス可能となる程度に大きい値であることを特徴としている。
上記構成によれば、第1情報記録層の再生光波長における反射率の値が2.2%以下である。このため、後述する理由により、第1情報記録層は、書き換え層を再生するときの第2再生光ではフォーカス引き込みが不可能であり、第1情報記録層を再生するときの、第2再生光より強度が高い第1再生光ではフォーカス引き込みが可能になる。
具体的には、本発明に係る光情報記録媒体は、上記情報記録層のうち再生光入射面側に最も近い第1情報記録層が、情報の読み出し可能な層(ROM層)であり、他の情報記録層のうち少なくとも一層は情報の書き換え可能な領域を含む書き換え層(RE層)である光情報記録媒体であって、上記第1情報記録層は透光性を有している。このため、例えば3層以上の多層化が困難である2層のRE層を有する光情報記録媒体に、2層のRE層の戻り光率をほとんど低下させること無しに更にROM層を設けることができるので、RE層を有する光情報記録媒体の記録容量を向上させることができる。なお、再生光波長において透光性を有するとは、再生光波長において80%以上の透過率を有することを指す。また、フォーカス引き込みとは、フォーカスサーボがONになっている状態(すなわち、光学系から照射されるレーザ光の焦点位置が任意の情報記録層に追従している状態)を指す。
また、第1情報記録層としてROM層を追加して設けることにより記録容量の向上を図った従来のハイブリッド光情報記録媒体において、第1情報記録層は、材料的に反射率が低いRE層(再生光波長約405nmで15%程度の反射率)で作製された第2以降の情報記録層(他の情報記録層)からの反射光を透過させる。このため、Ag、Al、Au等の金属により形成された上記ROM層では、その厚さを薄く形成することによって透過率を高めていた。
しかしながら、上記ROM層は金属膜であるため、この金属膜が一様に形成される限界まで薄くしても、例えば2層RE−BDにおける第1情報記録層の反射率である5%より高い8%程度の反射率を有する。このため、上記ROM層への再生光照射時に、上記ROM層からフォーカス引き込みに十分なS字特性が検出されてしまう。したがって、上記ハイブリッド光情報記録媒体の規格に対応していない駆動装置においても、上記ROM層からのS字特性が検出される可能性が高くなるため、この駆動装置は、未知の情報記録層に対応できず、再生不良を引き起こす可能性が高かった。
これに対して本発明に係る光情報記録媒体では、第1情報記録層が透光性を有し、かつ上記第1情報記録層の再生光波長における反射率の値が、上記書き換え層を再生するときの第2再生光ではフォーカス引き込みが不可能な値である。したがって、追加された上記第1情報記録層に対応していない駆動装置で、かつ第2以降の情報記録層に対応している駆動装置(旧規格に対応している駆動装置)は、当然ながら、上記書き換え層を再生するときの再生光を照射するので、第2以降の情報記録層に確実にフォーカスできる。このため、旧規格に対応している駆動装置は、未知の情報記録層に対応している必要がなく、また再生不良を引き起こすこともなくなる。つまり、本発明に係る光情報記録媒体は、旧規格に対応している駆動装置でも再生することができる。
また、第1情報記録層の透光性が高い場合には、第2以降の情報記録層への光入射をほとんど阻害しないので、記録時の光強度も、ROM層を設けない場合と比較してほとんど増加させる必要がなくなる。
さらに、本発明に係る光情報記録媒体では、第1情報記録層が透光性を有し、かつ上記第1情報記録層の再生光波長における反射率の値が、上記第1情報記録層を再生するときの、第2再生光より強度が高い第1再生光でフォーカス引き込みが可能になる値である。このため、上記第1情報記録層に対応している駆動装置は、上記第1情報記録層を再生するときの、第2再生光より強度が高い第1再生光を照射することによって、第1情報記録層にフォーカスでき、第1情報記録層に記録された情報を再生できる。したがって、この場合、本発明に係る光情報記録媒体では、第1情報記録層の分だけ記録容量を向上させることが可能となる。
特に、3層以上の多層化が困難である2層のRE層を有する光情報記録媒体に更にROM層を設けることができるため、書き換え層における記録容量の限界値を保ったまま光情報記録媒体の記録容量を向上させることができる。
ここで、3層以上の多層化が困難である2層のRE層を有する光情報記録媒体にROM層を設ける場合に、本発明に係る光情報記録媒体と異なる位置にROM層を設けたときに問題が生じる理由について、以下に説明する。
まず、2層のRE層の間にROM層を設けた光情報記録媒体の場合、3層の情報記録層各々の層間クロストーク(再生中の情報記録層以外の情報記録層からのノイズ)が問題とならない位置にROM層を設ける必要がある。このため、ROM層が追加されることにより2層のRE層の間隔が広くなってしまうので、旧規格に対応している駆動装置の光学ヘッドでは、このような光情報記録媒体を再生することができない。
通常、光学ヘッドの対物レンズは、光情報記録媒体表面である再生光入射面から所定の距離に焦点を結ぶように設計されている。しかしながら、多層光情報記録媒体では、当然ながら、再生光入射面からの各情報記録層の距離が異なる。この場合、最適距離以外の位置にある情報記録層には球面収差が生じ、駆動装置における再生信号に悪影響を及ぼす。そこで、この球面収差を解消するために、駆動装置には例えばビームエキスパンダーが設けられている。
しかしながら、上記ビームエキスパンダーの許容範囲を拡大する場合、正弦条件をより満足する対物レンズが必要になる。そのような対物レンズは、偏芯誤差、傾き誤差等の各公差の条件が非常に厳しくなるので高価なものになる。結果として、光学ヘッドが高価なものになる。したがって、ROM層がない旧規格の光情報記録媒体に対応している駆動装置では、当然ながら、2層のRE層の間隔が広くなる場合に対応できるビームエキスパンダーを備えた光学ヘッドが設けられていない場合が多い。このため、旧規格に対応している駆動装置では、2層のRE層各々を再生することができない可能性が高い。
次に、ROM層を2層のRE層の後に設けた(すなわち、ROM層を基板に最も近い位置に設けた)光情報記録媒体の場合、2層のRE層各々の反射率をROM層がない場合と同程度にすると、第2情報記録層であるRE層は再生光波長における透過率が0%となる可能性が高い(上記2層RE−BDの例より明らか)。このため、このような光情報記録媒体では、ROM層に再生光を集光照射することができない可能性が高い。
したがって、本発明に係る光情報記録媒体のように、追加されるROM層は、2層のRE層の前(すなわち、基板上に積層された複数の情報記録媒体のうち、基板から最も遠い位置)に設けられていることが好ましい。
また、上記構成によれば、第1情報記録層の再生光波長における反射率の値が0.4%より大きいので、例えばBDにおいては、再生レーザパワーが3.5mW程度までに抑制することができる。このため、本発明に係る光情報記録媒体では、後述する理由により、情報記録層数カウント時のRE層の劣化を防止できる。
本発明に係る光情報記録媒体は、上記課題を解決するために、基板上に、再生光によって情報を読み出すことが可能な複数の情報記録層と、上記複数の情報記録層各々を分離する中間層と、上記基板より最も遠い位置に設けられた透光層とを有し、上記複数の情報記録層のうち、上記再生光の入射側に最も近い位置に設けられた第1情報記録層が情報を読み出すことのみ可能な層であり、他の情報記録層のうち少なくとも一層が情報を書き換えることが可能な領域を含む書き換え層である光情報記録媒体であって、上記第1情報記録層の再生光波長における反射率の値は、上記書き換え層を再生するときの第2再生光を照射することにより得られる上記第1情報記録層のS字特性が、上記第2再生光を照射することにより得られる上記書き換え層のS字特性と比較して、S字特性を検出する検出器のゲインを変更して検出される必要がある程度に小さく、上記第1情報記録層を再生するときの、上記第2再生光より強度が高い第1再生光を照射することにより得られる上記第1情報記録層のS字特性が、上記第2再生光を照射することにより得られる上記書き換え層のS字特性と同じ大きさとなるような値であることを特徴としている。
上記構成によれば、第1情報記録層の再生光波長における反射率の値は、書き換え層を再生するときの第2再生光を照射することにより得られる上記第1情報記録層のS字特性が、上記第2再生光を照射することにより得られる他の情報記録層のS字特性に比較して、S字特性を検出する検出器のゲインを変更して検出される必要がある程度に小さくなるような値である。このため、追加された第1情報記録層に対応していない駆動装置で、かつ第2以降の情報記録層に対応している駆動装置(旧規格に対応している駆動装置;以降、旧規格対応駆動装置)で本発明に係る光情報記録媒体を再生する場合、この旧規格対応駆動装置による上記第1情報記録層の検出は困難である。
すなわち、旧規格対応駆動装置は、再生初期で行われる光情報記録媒体の情報記録層数カウント時には、対応していない第1情報記録層再生のための第1再生光を照射しない。したがって、旧規格対応駆動装置が、S字特性検出器のゲインを所定値に変更すること無しに、本発明に係る光情報記録媒体の第1情報記録層を検出することは困難である。
一方、上記第1情報記録層にも対応している駆動装置(以降、新規格対応駆動装置)は、再生初期で行われる光情報記録媒体の情報記録層数カウント時には、対応している第1情報記録層再生のための第1再生光を照射する。したがって、新規格対応駆動装置は、S字特性検出器のゲインを変更すること無しに、本発明に係る光情報記録媒体の第1情報記録層を認識することが可能となる。
したがって、本発明に係る光情報記録媒体は、旧規格対応駆動装置においても再生不良を引き起こすことなく、旧規格対応駆動装置における第2以降の情報記録層の情報読み取りを可能とする。一方、本発明に係る光情報記録媒体は、新規格対応駆動装置において再生される場合には、上記第1情報記録層の情報読み取りが可能となるため、第1情報記録層の分だけ記録容量を向上させることが可能となる。
また、上記構成によれば、上記第1情報記録層の再生光波長における反射率の値は、上記書き換え層を再生するときの第2再生光ではフォーカス引き込みが不可能になる値であり、上記第1情報記録層を再生するときの、第2再生光より強度が高い第1再生光でフォーカス引き込みが可能になる値となる。したがって、上記構成によれば、上述した効果も同様に得ることができる。すなわち、本発明に係る光情報記録媒体は、旧規格対応駆動装置でも再生することができると共に、新規格対応駆動装置で再生される場合には、第1情報記録層の分だけ記録容量を向上させることが可能となる。
なお、再生初期で行われる光情報記録媒体の情報記録層数カウント時に、S字特性検出器のゲインを固定しない場合、駆動装置に例えばAGC等を備えることもできる。しかしながら、駆動装置は、フォーカス前の状態であり、基準となる信号振幅を得ることができない。このため、駆動装置が所定のゲインに固定する以外に適切に情報記録層のS字特性を検出することは極めて困難である。
本発明に係る光情報記録媒体は、上記課題を解決するために、基板上に、再生光によって情報を読み出すことが可能な複数の情報記録層と、上記複数の情報記録層各々を分離する中間層と、上記基板より最も遠い位置に設けられた透光層とを有し、上記複数の情報記録層のうち、上記再生光の入射側に最も近い位置に設けられた第1情報記録層が情報を読み出すことのみ可能な層であり、他の情報記録層のうち少なくとも一層が情報を書き換えることが可能な領域を含む書き換え層である光情報記録媒体であって、上記第1情報記録層は、透光性を有し、上記第1情報記録層の再生光波長における反射率の値は、上記書き換え層を再生するときの第2再生光ではフォーカス引き込みが不可能になる値であり、上記第1情報記録層を再生するときの、上記第2再生光より強度が高い第1再生光ではフォーカス引き込みが可能になる値であることを特徴としている。
上記構成によれば、第1情報記録層が透光性を有し、かつ上記第1情報記録層の再生光波長における反射率の値が、上記書き換え層を再生するときの第2再生光ではフォーカス引き込みが不可能な値である。したがって、追加された上記第1情報記録層に対応していない駆動装置で、かつ第2以降の情報記録層に対応している駆動装置(旧規格に対応している駆動装置)は、当然ながら、上記書き換え層を再生するときの再生光を照射するので、第2以降の情報記録層に確実にフォーカスできる。このため、旧規格に対応している駆動装置は、未知の情報記録層に対応している必要がなく、また再生不良を引き起こすことがなくなる。つまり、本発明に係る光情報記録媒体は、旧規格に対応している駆動装置でも再生することができる。
また、第1情報記録層の透光性が高い場合には、第2以降の情報記録層への光入射をほとんど阻害しないので、記録時の光強度も、ROM層を設けない場合と比較してほとんど増加させる必要がなくなる。
さらに、本発明に係る光情報記録媒体では、第1情報記録層が透光性を有し、かつ上記第1情報記録層の再生光波長における反射率の値が、上記第1情報記録層を再生するときの、第2再生光より強度が高い第1再生光でフォーカス引き込みが可能になる値である。このため、上記第1情報記録層に対応している駆動装置は、上記第1情報記録層を再生するときの第2再生光より強度が高い第1再生光を照射することによって、第1情報記録層にフォーカスでき、第1情報記録層に記録された情報を再生できる。したがって、この場合、本発明に係る光情報記録媒体では、第1情報記録層の分だけ記録容量を向上させることが可能となる。
本発明に係る光情報記録媒体は、上記再生光波長をλ、上記第1情報記録層の厚さをd、上記透光層と上記第1情報記録層と上記中間層との屈折率を各々n0、n1、nとした場合、
が成り立つことが好ましい。なぜならば、再生光波長をλ、第1情報記録層の厚さをd、透光層と第1情報記録層と中間層の屈折率を各々n0、n1、nとした場合の第1情報記録層の再生光波長における反射率は、「応用物理学選書3.薄膜(金原粲・藤原英夫共著、株式会社裳華房発行、昭和54年6月20日、p.198)」に記載されているように、上記式で表すことができるからである。
上記構成によれば、上記第1情報記録層の再生光波長における反射率を得るための構造が特定できる。
本発明に係る光情報記録媒体は、上記第1情報記録層は、屈折率が1.75より大きく2.06以下である誘電体からなることが好ましい。
通常、透光層及び中間層には共に屈折率1.5程度の樹脂が多く使われる。また、第1情報記録層の膜厚は、再生耐久性と膜厚増による成膜時間の増大に伴うコストアップとを考慮した場合、約15nm程度が好適である。この実際の生産を考慮した場合に生じる上記2つの限定を考慮すると、上記式から、第1情報記録層の屈折率は、1.75より大きく2.06以下と求められる。
本発明に係る光情報記録媒体は、上記誘電体は、窒化シリコン、又は窒化シリコンを主成分とする誘電体からなることが好ましい。また、本発明に係る光情報記録媒体は、上記誘電体は、窒化アルミ、又は窒化アルミを主成分とする誘電体からなることが好ましい。なお、上記誘電体は、これに限るものではなく、透光性を有し、上記第1情報記録層の再生光波長における反射率を上記範囲に特定できるものであればよい。
また、本発明に係る光情報記録媒体は、上記課題を解決するために、基板上に、再生光によって情報を読み出すことが可能な複数の情報記録層と、上記複数の情報記録層各々を分離する中間層と、上記基板より最も遠い位置に設けられた透光層とを有し、上記複数の情報記録層のうち、上記再生光の入射側に最も近い位置に設けられた第1情報記録層が情報を追記録することのみ可能な層であるか、又は情報を追記録することのみ可能な領域と情報を読み出すことのみ可能な領域とからなる層であり、他の情報記録層のうち少なくとも一層が情報を書き換えることが可能な領域を含む書き換え層である光情報記録媒体であって、上記第1情報記録層は、透光性を有し、上記第1情報記録層の再生光波長における反射率の値は、0.4%より大きく2.2%以下であることを特徴としている。
また、本発明に係る光情報記録媒体は、上記課題を解決するために、基板上に、再生光によって情報を読み出すことが可能な複数の情報記録層と、上記複数の情報記録層各々を分離する中間層と、上記基板より最も遠い位置に設けられた透光層とを有し、上記複数の情報記録層のうち、上記再生光の入射側に最も近い位置に設けられた第1情報記録層が情報を追記録することのみ可能な層であるか、又は情報を追記録することが可能な領域と情報を読み出すことのみ可能な領域とからなる層であり、他の情報記録層のうち少なくとも一層が情報を書き換えることが可能な領域を含む書き換え層である光情報記録媒体であって、上記第1情報記録層は、透光性を有し、上記第1情報記録層の再生光波長における反射率の値は、上記書き換え層の戻り光率より小さく、上記書き換え層を再生するときの第2再生光より強度が高い上記第1情報記録層を再生するときの第1再生光を、上記第1情報記録層に照射することにより、上記第1情報記録層がフォーカス可能となる程度に大きい値であることを特徴としている。
上記構成によれば、第1情報記録層の再生光波長における反射率の値が2.2%以下である。このため、後述する理由により、第1情報記録層は、書き換え層を再生するときの第2再生光ではフォーカス引き込みが不可能であり、第1情報記録層を再生するときの、第2再生光より強度が高い第1再生光ではフォーカス引き込みが可能になる。
具体的には、本発明に係る光情報記録媒体は、上記情報記録層のうち再生光入射面に最も近い第1情報記録層が、情報の追記録可能な層(R層)又は情報の追記録と情報の読み出しとが可能な層であり、他の情報記録層のうち少なくとも一層は情報の書き換え可能な領域を含む書き換え層(RE層)である光情報記録媒体であって、上記第1情報記録層は透光性を有している。このため、例えば3層以上の多層化が困難である2層のRE層を有する光情報記録媒体に、2層のRE層の戻り光率をほとんど低下させること無しに更にR層を設けることができるので、RE層を有する光情報記録媒体の記録容量を向上させることができる。なお、再生光波長において透光性を有するとは、再生光波長において80%以上の透過率を有することを指す。また、フォーカス引き込みとは、フォーカスサーボがONになっている状態(すなわち、光学系から照射されるレーザ光の焦点位置が任意の情報記録層に追従している状態)を指す。
また、第1情報記録層としてR層を追加して設けることにより記録容量の向上を図った従来のハイブリッド光情報記録媒体において、第1情報記録層は、材料的に反射率が低いRE層(再生光波長約405nmで15%程度の反射率)で作製された第2以降の情報記録層(他の情報記録層)からの反射光を透過させる必要があった。このため、R層を有機色素と反射膜とを組み合わせた一般的な2層構造とした場合、Ag、Al、Au等の金属が用いられてきた反射膜の厚さを薄く形成することによって透過率を高めていた。
しかしながら、上記反射膜は金属膜であるため、この金属膜が一様に形成される限界まで薄くしても、例えば2層RE−BDにおける第1情報記録層の反射率である5%より高い8%程度の反射率を有する。このため、上記R層への再生光照射時に、上記R層からフォーカス引き込みに十分なS字特性が検出されてしまう。したがって、上記ハイブリッド光情報記録媒体の規格に対応していない駆動装置においても、上記R層からのS字特性が検出される可能性が高くなるため、この駆動装置は、未知の情報記録層に対応できず、再生不良を引き起こす可能性が高かった。
これに対して本発明に係る光情報記録媒体では、第1情報記録層が透光性を有し、かつ上記第1情報記録層の再生光波長における反射率の値が、上記書き換え層を再生するときの第2再生光ではフォーカス引き込みが不可能な値である。したがって、追加された上記第1情報記録層に対応していない駆動装置で、かつ第2以降の情報記録層に対応している駆動装置(旧規格に対応している駆動装置)は、当然ながら、上記書き換え層を再生するときの再生光を照射するので、第2以降の情報記録層に確実にフォーカスできる。このため、旧規格に対応している駆動装置は、未知の情報記録層に対応している必要がなく、また再生不良を引き起こすこともなくなる。つまり、本発明に係る光情報記録媒体は、旧規格に対応している駆動装置でも再生することができる。
また、第1情報記録層の透光性が高い場合には、第2以降の情報記録層への光入射をほとんど阻害しないので、記録時の光強度も、R層を設けない場合と比較してほとんど増加させる必要がなくなる。
さらに、本発明に係る光情報記録媒体では、第1情報記録層が透光性を有し、かつ上記第1情報記録層の再生光波長における反射率の値が、上記第1情報記録層を再生するときの、第2再生光より強度が高い第1再生光でフォーカス引き込みが可能になる値である。このため、上記第1情報記録層に対応している駆動装置は、上記第1情報記録層を再生するときの、第2再生光より強度が高い第1再生光を照射することによって、第1情報記録層にフォーカスでき、第1情報記録層に記録された情報を再生できる。したがって、この場合、本発明に係る光情報記録媒体では、第1情報記録層の分だけ記録容量を向上させることが可能となる。
特に、3層以上の多層化が困難である2層のRE層を有する光情報記録媒体に更にR層を設けることができるため、書き換え層における記録容量の限界値を保ったまま光情報記録媒体の記録容量を向上させることができる。
ここで、3層以上の多層化が困難である2層のRE層を有する光情報記録媒体にR層を設ける場合に、本発明に係る光情報記録媒体と異なる位置にR層を設けたときに問題が生じる理由について、以下に説明する。
まず、2層のRE層の間にR層を設けた光情報記録媒体の場合、3層の情報記録層各々の層間クロストーク(再生中の情報記録層以外の情報記録層からのノイズ)が問題とならない位置にR層を設ける必要がある。このため、R層が追加されることにより2層のRE層の間隔が広くなってしまうため、旧規格に対応している駆動装置の光学ヘッドでは、このような光情報記録媒体を再生することができない。
通常、光学ヘッドの対物レンズは、光情報記録媒体表面である再生光入射面から所定の距離に焦点を結ぶように設計されている。しかしながら、多層光情報記録媒体では、当然ながら、再生光入射面からの各情報記録層の距離が異なる。この場合、最適距離以外の位置にある情報記録層には球面収差が生じ、駆動装置における再生信号に悪影響を及ぼす。この球面収差を解消するために、駆動装置には例えばビームエキスパンダーが設けられている。
しかしながら、上記ビームエキスパンダーの許容範囲を拡大する場合、正弦条件をより満足する対物レンズが必要になる。そのような対物レンズは、偏芯誤差、傾き誤差等の各公差の条件が非常に厳しくなるので高価なものになる。結果として、光学ヘッドが高価なものになる。したがって、R層がない旧規格の光情報記録媒体に対応している駆動装置では、当然ながら、2層のRE層の間隔が広くなる場合に対応できるビームエキスパンダーを備えた光学ヘッドが設けられていない場合が多い。このため、旧規格に対応している駆動装置では、2層のRE層各々を再生することができない可能性が高い。
次に、R層を2層のRE層の後に設けた(すなわち、R層を基板に最も近い位置に設けた)光情報記録媒体の場合、2層のRE層各々の反射率をR層がない場合と同程度にすると、第2情報記録層であるRE層は再生光波長における透過率が0%となる可能性が高い(上記2層RE−BDの例より明らか)。このため、このような光情報記録媒体では、R層に再生光を集光照射することができない可能性が高い。
したがって、本発明に係る光情報記録媒体のように、追加されるR層は、2層のRE層の前(すなわち、基板上に積層された複数の情報記録媒体のうち、基板から最も遠い位置)に設けられていることが好ましい。
また、上記構成によれば、第1情報記録層の再生光波長における反射率の値が0.4%より大きいので、例えばBDにおいては、再生レーザパワーが3.5mW程度までに抑制することができる。このため、本発明に係る光情報記録媒体では、後述する理由により、情報記録層数カウント時のRE層の劣化を防止できる。
本発明に係る光情報記録媒体は、上記課題を解決するために、基板上に、再生光によって情報を読み出すことが可能な複数の情報記録層と、上記複数の情報記録層各々を分離する中間層と、上記基板より最も遠い位置に設けられた透光層とを有し、上記複数の情報記録層のうち、上記再生光の入射側に最も近い位置に設けられた第1情報記録層が情報を追記録することのみ可能な層であるか、又は情報を追記録することのみ可能な領域と情報を読み出すことのみ可能な領域とからなる層であり、他の情報記録層のうち少なくとも一層が情報を書き換えることが可能な領域を含む書き換え層である光情報記録媒体であって、上記第1情報記録層の再生光波長における反射率の値は、上記書き換え層を再生するときの第2再生光を照射することにより得られる上記第1情報記録層のS字特性が、上記第2再生光を照射することにより得られる上記書き換え層のS字特性と比較して、S字特性を検出する検出器のゲインを変更して検出される必要がある程度に小さく、上記第1情報記録層を再生するときの、上記第2再生光より強度が高い第1再生光を照射することにより得られる上記第1情報記録層のS字特性が、上記第2再生光を照射することにより得られる上記書き換え層のS字特性と同じ大きさとなるような値であることを特徴としている。
上記構成によれば、第1情報記録層の再生光波長における反射率の値は、書き換え層を再生するときの第2再生光を照射することにより得られる上記第1情報記録層のS字特性が、上記第2再生光を照射することにより得られる他の情報記録層のS字特性に比較して、S字特性を検出する検出器のゲインを変更して検出される必要がある程度に小さくなるような値である。このため、追加された第1情報記録層に対応しておらず、第2以降の情報記録層に対応している駆動装置(旧規格に対応している駆動装置;以降、旧規格対応駆動装置)で本発明に係る光情報記録媒体を再生する場合、この旧規格対応駆動装置による上記第1情報記録層の検出は困難である。
すなわち、旧規格対応駆動装置は、再生初期で行われる光情報記録媒体の情報記録層数カウント時には、対応していない第1情報記録層再生のための第1再生光を照射しない。したがって、旧規格対応駆動装置が、S字特性検出器のゲインを所定値に変更すること無しに、本発明に係る光情報記録媒体の第1情報記録層を検出することは困難である。
一方、第1情報記録層にも対応している駆動装置(以降、新規格対応駆動装置)は、再生初期で行われる光情報記録媒体の情報記録層数カウント時には、対応している第1情報記録層再生のための第1再生光を照射する。したがって、新規格対応駆動装置が、S字特性検出器のゲインを変更すること無しに、本発明に係る光情報記録媒体の第1情報記録層を認識することが可能となる。
したがって、本発明に係る光情報記録媒体は、旧規格対応駆動装置においても再生不良を引き起こすことなく、旧規格対応駆動装置における第2以降の情報記録層の情報読み取りを可能とする。また、本発明に係る光情報記録媒体は、新規格対応駆動装置において再生される場合には、上記第1情報記録層の情報再生も行われるため、第1情報記録層の分だけ記録容量を向上させることが可能となる。
また、上記構成によれば、上記第1情報記録層の再生光波長における反射率の値は、上記書き換え層を再生するときの第2再生光ではフォーカス引き込みが不可能になる値であり、上記第1情報記録層を再生するときの、第2再生光より強度が高い第1再生光でフォーカス引き込みが可能になる値となる。したがって、上記構成によれば、上述した効果も同様に得ることができる。すなわち、本発明に係る光情報記録媒体は、旧規格対応駆動装置でも再生することができると共に、新規格対応駆動装置で再生される場合には、第1情報記録層の分だけ記録容量を向上させることが可能となる。
なお、再生初期で行われる光情報記録媒体の情報記録層数カウント時に、S字特性検出器のゲインを固定しない場合、駆動装置に例えばAGC等を備えることもできる。しかしながら、駆動装置は、フォーカス前の状態であるので基準となる信号振幅を得ることができない。このため、駆動装置が所定のゲインに固定する以外に適切に情報記録層のS字特性を検出することは極めて困難である。
本発明に係る光情報記録媒体は、上記課題を解決するために、基板上に、再生光によって情報を読み出すことが可能な複数の情報記録層と、上記複数の情報記録層各々を分離する中間層と、上記基板より最も遠い位置に設けられた透光層とを有し、上記複数の情報記録層のうち、上記再生光の入射側に最も近い位置に設けられた第1情報記録層が情報を追記録することのみ可能な層であるか、又は情報を追記録することのみ可能な領域と情報を読み出すことのみ可能な領域とからなる層であり、他の情報記録層のうち少なくとも一層が情報を書き換えることが可能な領域を含む書き換え層である光情報記録媒体であって、上記第1情報記録層は、透光性を有し、上記第1情報記録層の再生光波長における反射率の値は、上記書き換え層を再生するときの第2再生光ではフォーカス引き込みが不可能になる値であり、上記第1情報記録層を再生するときの、上記第2再生光より強度が高い第1再生光ではフォーカス引き込みが可能になる値であることを特徴としている。
上記構成によれば、第1情報記録層が透光性を有し、かつ上記第1情報記録層の再生光波長における反射率の値が、上記書き換え層を再生するときの第2再生光ではフォーカス引き込みが不可能な値である。したがって、追加された上記第1情報記録層に対応していない駆動装置で、かつ第2以降の情報記録層に対応している駆動装置(旧規格に対応している駆動装置)は、当然ながら、上記書き換え層を再生するときの再生光を照射するので、第2以降の情報記録層に確実にフォーカスできる。このため、旧規格に対応している駆動装置は、未知の情報記録層に対応している必要がなく、また再生不良を引き起こすこともなくなる。つまり、本発明に係る光情報記録媒体は、旧規格に対応している駆動装置でも再生することができる。
また、第1情報記録層の透光性が高い場合には、第2以降の情報記録層への光入射をほとんど阻害しないので、記録時の光強度も、R層を設けない場合と比較してほとんど増加させる必要がなくなる。
さらに、本発明に係る光情報記録媒体では、第1情報記録層が透光性を有し、かつ上記第1情報記録層の再生光波長における反射率の値が、上記第1情報記録層を再生するときの、第2再生光より強度が高い第1再生光でフォーカス引き込みが可能になる値である。このため、上記第1情報記録層に対応している駆動装置は、上記第1情報記録層を再生するときの第2再生光より強度が高い第1再生光を照射することによって、第1情報記録層にフォーカスでき、第1情報記録装置に記録された情報を再生できる。したがって、この場合、本発明に係る光情報記録媒体では、第1情報記録層の分だけ記録容量を向上させることが可能となる。
本発明に係る光情報記録媒体は、上記再生光波長をλ、上記第1情報記録層の厚さをd、上記透光層と上記第1情報記録層と上記中間層との屈折率を各々n0、n1、nとした場合、
が成り立つことが好ましい。なぜならば、再生光波長をλ、第1情報記録層の厚さをd、透光層と第1情報記録層と中間層の屈折率を各々n0、n1、nとした場合の第1情報記録層の再生光波長における反射率は、「応用物理学選書3.薄膜(金原粲・藤原英夫共著、株式会社裳華房発行、昭和54年6月20日、p.198)」に記載されているように、上記式で表すことができるからである。
上記構成によれば、上記第1情報記録層の再生光波長における反射率を得るための構造が特定できる。
本発明に係る光情報記録媒体は、上記第1情報記録層は、屈折率が1.75より大きく2.06以下である誘電体からなることが好ましい。
通常、透光層及び中間層には共に屈折率1.5程度の樹脂が多く使われる。また、第1情報記録層の膜厚は、再生耐久性と膜厚増による成膜時間の増大に伴うコストアップとを考慮した場合、約15nm程度が好適である。この実際の生産を考慮した場合に生じる上記2つの限定を考慮すると、上記式から、第1情報記録層の屈折率は、1.75より大きく2.06以下と求められる。
本発明に係る光情報記録媒体は、上記誘電体は、ビスマスとゲルマニウムとの酸化物、又はビスマスとゲルマニウムとの酸化物を主成分とする誘電体であることが好ましい。なお、上記誘電体は、これに限るものではなく、透光性を有し、上記第1情報記録層の再生光波長における反射率を上記範囲に特定できるものであればよい。
また、本発明に係る光情報記録媒体駆動装置は、基板上に、再生光によって情報を読み出すことが可能な複数の情報記録層と、上記複数の情報記録層各々を分離する中間層と、上記基板より最も遠い位置に設けられた透光層を有し、上記複数の情報記録層のうち、少なくとも再生光の入射側に最も近い位置に設けられた第1情報記録層が情報を読み出すことのみ若しくは追記録することのみ可能な層であるか、又は情報を追記録することのみ可能な領域と情報を読み出すことのみ可能な領域とからなる層であり、他の情報記録層のうち少なくとも一層が情報を書き換えることが可能な領域を含む書き換え層である光情報記録媒体を再生可能な光情報記録媒体駆動装置であって、上記第1情報記録層を再生するときの再生光強度は、上記書き換え層を再生するときの再生光強度より大きく、上記書き換え層を劣化させない程度に小さいことを特徴としている。
上記構成によれば、上記第1情報記録層を再生するときの再生光強度は、上記書き換え層を再生するときの再生光強度より大きい。このため、本発明に係る光情報記録媒体駆動装置は、上述した旧規格に対応した駆動装置においても再生可能である本発明に係る光情報記録媒体の第1情報記録層に確実にフォーカスできるため、第1情報記録層に記録された情報の再生を行うことができる。
本発明に係る光情報記録媒体は、以上のように、基板上に、再生光によって情報を読み出すことが可能な複数の情報記録層と、上記複数の情報記録層各々を分離する中間層と、上記基板より最も遠い位置に設けられた透光層とを有し、上記複数の情報記録層のうち、上記再生光の入射側に最も近い位置に設けられた第1情報記録層が情報を読み出すことのみ可能な層であり、他の情報記録層のうち少なくとも一層が情報を書き換えることが可能な領域を含む書き換え層である光情報記録媒体であって、上記第1情報記録層は、透光性を有し、上記第1情報記録層の再生光波長における反射率の値は、0.4%より大きく2.2%以下である構成である。
また、本発明に係る光情報記録媒体は、以上のように、基板上に、再生光によって情報を読み出すことが可能な複数の情報記録層と、上記複数の情報記録層各々を分離する中間層と、上記基板より最も遠い位置に設けられた透光層とを有し、上記複数の情報記録層のうち、上記再生光の入射側に最も近い位置に設けられた第1情報記録層が情報を追記録することのみ可能な層であるか、又は情報を追記録することのみ可能な領域と情報を読み出すことのみ可能な領域とからなる層であり、他の情報記録層のうち少なくとも一層が情報を書き換えることが可能な領域を含む書き換え層である光情報記録媒体であって、上記第1情報記録層は、透光性を有し、上記第1情報記録層の再生光波長における反射率の値は、0.4%より大きく2.2%以下である構成である。
それゆえ、本発明に係る光情報記録媒体は、情報記録層が少ない旧規格の光情報記録媒体に対応している駆動装置に対応可能であるという汎用性を保ちながら、書き換え層における記録容量の限界値を保ったまま光情報記録媒体の記録容量を向上させることができるという効果を奏する。