〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1ないし図16に基づいて説明すると、以下の通りである。
図1は、本実施の形態に係る2層超解像光情報記録媒体60の断面構造を示している。
図1に示すように、光情報記録媒体60は、透光層10と、第1情報記録層20と、中間層30と、第2情報記録層40と、基板50とを備え、光入射面からこの順に積層されている。
透光層10は、ポリカーボネートフィルム11及び透明粘着樹脂層12を含んでいる。中間層30は、透明紫外線硬化樹脂等の樹脂によって形成されている。基板50は、ポリオレフィン系樹脂等の樹脂によって形成されている。
また、中間層30には、図2(a)の拡大斜視図に示すように、情報が記録されているプリピット31が形成されている。また、基板50には、図2(b)の拡大斜視図に示すように、プリピット51が形成されている。
第1及び第2情報記録層20,40は、このプリピット31,51上に成膜されることにより、プリピット31,51による凹凸が反映された状態となり、情報を記録した状態となる。このような構造により、いわゆる再生専用光情報記録媒体が構成される。
第1情報記録層20は、Si又はGeの単体、又はこれらを主成分とした合金又は混合物等からなる第1再生膜21を含んでいる。第1再生膜21は、青色レーザ光の再生光で再生を行う再生装置の有する光学解像限界より短いマーク長の信号を再生可能とする。また、少なくとも超解像再生のためには、特許文献1の超解像技術で必要であった反射膜を必要とせず、第1再生膜21のみが必須である。
第2情報記録層40は、Si又はGeの単体、又はこれらを主成分とした合金又は混合物等からなる第2再生膜41を含んでいる。第2再生膜41は、青色レーザ光の再生光で再生を行う再生装置の有する光学解像限界より短いマーク長の信号を再生可能とする。また、少なくとも超解像再生のためには、特許文献1の超解像技術で必要であった反射膜を必要とせず、第2再生膜41のみが必須である。
上記第1及び第2再生膜21,41は、例えば、スパッタリング装置においてスパッタリング法によって形成される。
上記第1及び第2再生膜21,41は、Si又はGeの単体、又はこれらを主成分とした合金又は混合物に限るものではなく、ある程度薄い膜層のNi,Mo,W,Mn,Pt,C,Zr,In,Al,Cu,Fe,Co等の単体元素膜やその化合物であっても良いが、Si又はGeの単体、又はこれらを主成分とした合金又は混合物であることが好ましい。これにより、他の材料の再生膜に比較して、より良好な超解像特性を得ることが出来る。それゆえ、光情報記録媒体の記録容量を向上させることが可能になる。
また、ここでいう青色レーザ光とは、波長400nmから410nmの光のことである。
以上のように、光情報記録媒体60は、第1及び第2情報記録層20,40において、青色レーザ光の再生光で再生を行う再生装置の有する光学解像限界より短いマーク長の信号を再生可能とする第1及び第2再生膜21,41を備えている。また、第1及び第2情報記録層20,40において、少なくとも超解像再生のためには、特許文献1の超解像技術で必要であった反射膜を必要とせず、第1再生膜21のみが必須である。
これにより、第1及び第2情報記録層20,40ともに、実質的な記録密度(再生可能な記録密度の意)を、青色レーザ光の再生光で再生を行う再生装置の有する解像限界により規制された記録密度よりも高められる。それゆえ、特許文献1及び2の超解像媒体よりも、情報記録層が多いだけ、記録容量を向上させることができる。更に、同じ記録容量を有する記録媒体を作製する場合、各情報記録層が解像限界により規制された記録密度である特許文献3の多層光情報記録媒体よりも、記録層数を減少させることが可能になる。したがって、製造ラインにおいて、記録層をスパッタリングで形成するための高価な真空装置の台数を削減することができ、記録層を増加させるのに伴う記録媒体の製造コストを大幅に低減させることができる。
また、特許文献1のようなマスク層を用いた超解像技術では、マスク層の他にさらに反射膜が必要であるが、上記構成によれば、再生膜自身で反射膜の機能も果たすため、コストの低減が可能となる。
また、第1及び第2再生膜の材料は、上述したとおり無機物であり、一般的に有機物より安定である。また、後に実施例で示すが、特許文献2には示されていない青色レーザで良い超解像特性及び再生耐久性を示す。それゆえ、特許文献1や特許文献2に開示されている超解像技術と比較して、再生耐久性の向上した超解像技術が可能になる。
(実施例1)
図1に示す本実施例に係る光情報記録媒体60は、透光層10としてポリカーボネートフィルム11(膜厚:80μm)及び透明粘着樹脂層12(膜厚:20μm)と、第1情報記録層20としての第1再生膜21(Si,膜厚:7nm)と、中間層30としての透明紫外線硬化樹脂(膜厚:25μm)と、第2情報記録層40としての第2再生膜41(Si,膜厚:50nm)と、基板50としてのポリオレフィン系樹脂基板とを備え、光入射面よりこの順に積層された構造となっている。
これに対し、図3に、本実施例の光情報記録媒体60に対する比較例1として、従来の2層光情報記録媒体70の断面構造を示す。なお、本比較例において、本実施例の光情報記録媒体60における構成要素と同等の機能を有する構成要素については、同一の符号を付記する。
図3に示すように、比較例1の2層光情報記録媒体70は、透光層10としてのポリカーボネートフィルム11(膜厚80μm)及び透明粘着樹脂層12(膜厚20μm)と、第1情報記録層80としての半透明反射膜81(Au,膜厚20nm)と、中間層30としての透明紫外線硬化樹脂層(膜厚25μm)と、第2情報記録層90としての反射膜91(Ni,膜厚30nm)と、基板50としてのポリオレフィン系樹脂基板とを備え、光入射面より、この順に積層された構造となっている。
また、本実施例の2層光情報記録媒体60の中間層30及び基板50には、図2(a)及び(b)に示すように、情報が記録されているプリピット31,51が設けられている。これにより、この2層光情報記録媒体60は、各情報記録層20,40がこのプリピット31,51上に成膜されることにより、各情報記録層20,40に対応するプリピット31,51により凹凸が転写された状態となる。また、2層光情報記録媒体70も同様である。したがって、2層光情報記録媒体60及び2層光情報記録媒体70は、各情報記録層20,40が情報を記録された状態となる、いわゆる再生専用光情報記録媒体として形成される。
続いて、本実施例の光情報記録媒体60(以降、本実施例において「実施例1媒体」と称する)と比較例1の2層光情報記録媒体70(以降、本実施例において「比較例1媒体」と称する)との各種特性の比較結果について説明する。
図4(a)及び(b)は、青色レーザ光の波長である波長404nm半導体レーザと、N.A.(開口率)0.85の光学系を有するディスク測定器にて、上記実施例1媒体及び比較例1媒体のそれぞれにおける、第1及び第2情報記録層20,40のOTFを測定した結果である。なお、OTFは、超解像性能を表す指標であり、C/N(信号品質を表す評価基準)の記録マーク長(再生専用光情報記録媒体の場合はピット長と同意)依存性を表す。
図4(a)及び(b)より明らかなように、実施例1媒体では、比較例1媒体で第1及び第2情報記録層80,90ともに信号がほとんど確認されない(C/Nが10dB以下)再生光学系の解像限界以下のマーク長である0.10μmにおいても、第1及び第2情報記録層20,40ともに、C/Nが30dBを超えている。これは、解像限界以下のマーク長の信号が再生可能であることを示している。
また、図4(a)及び(b)にて斜線で示すように、再生装置の理論的な光学解像限界は0.10μmより大きく0.12μmより小さな領域内に存在している。比較例1媒体のC/Nは、このピット長の領域で信号がほとんど確認されない10dB以下となっており、比較例1媒体の光学解像限界が再生装置の理論的な光学解像限界である0.10μmより大きく0.12μmより小さな領域に一致している。これに対して、実施例1媒体の光学解像限界は、0.06μm〜0.10μmとなっており、比較例1媒体より光学解像限界が短くなっている。すなわち、実施例1媒体では、比較例1媒体に比較して、長さのより短いマーク長の信号を利用した情報記録が可能となる。したがって、同じ長さの領域に長さの短いマーク長の信号を記録した場合、当然ながら、より大容量の信号を記録することができる。このように、実施例1媒体は比較例1媒体より大きな情報記録密度(線密度)を有する。
また、第1実施例媒体の第1情報記録層20において、再生光学系の解像限界以下のマーク長である0.10μmにてC/Nが30dBを超える再生光のレーザ光のパワーで、青色レーザ光の波長での0.10μmピット列の平均反射率(凹部と凸部の反射率の平均)は12%であるが、上記レーザ光のパワーの半分以下であり、0.10μmにてC/Nが15dBを下回る再生光のレーザ光のパワーで、0.10μmピット列の平均反射率は11%であり、レーザ光のパワーによって反射率がほとんど変わらないことがわかる。
また、図5は、実施例1媒体の第1及び第2情報記録層20,40のそれぞれにおいて2万回の連続再生を行い、再生装置の光学解像限界以下のマーク長である0.10μmでの初期C/Nと2万回後のC/Nの比較を行った結果である。
図5より、実施例1媒体では、第1及び第2情報記録層20,40ともに、2万回の連続再生後も、マーク長0.1μmのC/Nは30dBを下回ることなくほぼ劣化せず、優れた再生耐久性があることがわかる。
このように、実施例1媒体は、青色レーザ光の再生光に対して、通常の超解像光情報媒体では得られない再生耐久性を有し、到達しえない通常光情報記録媒体媒体(単層)より大きな情報記録密度を、同じ情報記録密度を有する多層光情報記録媒体より安価な生産コストで生産可能であることが示された。
なお、第1再生層21及び第2再生膜41は、それぞれ青色レーザ光の再生光で再生を行う再生装置の有する光学解像限界より短いマーク長の信号を再生可能にすると考えられるが、現時点ではその超解像再生原理については明確ではない。
(実施例2)
また、本実施の形態の光情報記録媒体60は、上記実施例1媒体の構造に限るものではない。
例えば、本実施例の光情報記録媒体60(以降、本実施例において「実施例2媒体」と称する)において、透光層10は、再生光を十分に透過すればよく、再生面にハードコートが設けられていても良いし、紫外線硬化樹脂などの他の材料で形成されていても良い。さらに、図6に示すように、透光層10は、透明基板13であっても良く、あるいは透明基板13を含む構造であっても良い。この構造では、実施例1媒体では中間層30に設けていたプリピット31を透明基板13上に設けることが可能となる。この構成では、透明基板13上に設けられるプリピット(図示せず)は、プリピット31と向きが逆に形成される。また、このような構成では、単に2層構造を貼り合わせるだけで良いので、実施例1媒体の製造に用いる、複雑な工程を要する2P転写を用いる必要がなく、より安価に光情報記録媒体を製造することができる。この構造は、DVDの規格に適合しているので、安価に高密度のDVD(HD−DVD)を提供することができる。
基板50も、ポリカーボネート樹脂や、圧縮成型可能な他の樹脂であってよいし、ガラスや、金属等でも良い。
(実施例3)
また、本実施の形態の光情報記録媒体60は、上記実施例1媒体及び実施例2媒体の構造に限るものではない。
例えば、本実施例の光情報記録媒体60(以降、本実施例において「実施例3媒体」と称する)において、第1及び第2の再生膜21,41の材料としては、青色レーザ光の再生光で再生を行う再生装置の有する光学解像限界より短いマーク長の信号を再生可能とするとともに、少なくとも超解像再生のために再生膜21,41のみを必須とする材料等であればよく、Si又はGeの単体、又はこれらを主成分とした合金又は混合物に限るものではない。
第1再生膜21の材料がSi(膜厚:7nm)である実施例1媒体と、第1再生膜の材料がNi(膜厚:7nm)である実施例3−1媒体と、第1再生膜の材料がNi(膜厚:15nm)である実施例3−2媒体と、第1再生膜の材料がNi(膜厚:30nm)である比較例2媒体とを、第1情報記録層20のOTFにて比較した結果を図7に示す。
図7からも明らかにわかるように、第1再生膜21の材料として膜厚7nmのNiを使用した実施例3−1媒体においても、膜厚7nmのSiを用いた媒体とほぼ同様のOTFを示しており、再生光学系の解像限界以下のマーク長である0.10μmにおいても、C/Nが30dBを超えており、青色レーザ光の再生光で再生を行う再生装置の有する光学解像限界より短いマーク長の信号を十分再生可能とすることが出来る。また、第1再生膜21の材料として膜厚15nmのNiを使用した実施例3−2媒体においても、膜厚7nmのSiを用いた実施例1媒体や膜厚7nmのNiを用いた実施例3−1媒体と比較してやや劣ったOTFを示しているが、再生光学系の解像限界以下のマーク長である0.10μmにおいても、C/Nが25dBを超えており、青色レーザ光の再生光で再生を行う再生装置の有する光学解像限界より短いマーク長の信号を再生可能とすることが出来る。
但し、第1再生膜21の材料として膜厚30nmのNiを使用した比較例2媒体においては、図7に示すように、再生光学系の解像限界以下のマーク長である0.10μmにおいて、C/Nが10dBを下回っており、超解像特性は見られなかった。更に、Mo,W,Mn,Pt,C,Zr,In,Al,Cu,Fe,Co等の単体元素膜やNiを含めたその化合物においても、薄い膜厚でほぼ同様の超解像特性が得られることを確認したので、膜厚が15nm以下のMo,W,Mn,Pt,C,Zr,In,Al,Cu,Fe,Co等の単体元素膜やNiを含めたその化合物であっても、各実施例と同様の構造で超解像特性を示すことが十分予想される。
また、実施例4の図10を用いて後に述べるが、例えば、実施例3媒体の第2情報記録層40が、現在得られている中で最も超解像特性の良い実施例1媒体の第2情報記録層40と同じ膜構造(Si、膜厚50nm)であった場合において、実施例3媒体の第2情報記録層40における再生装置の光学解像限界以下のマーク長である0.1μmでのC/Nを、特性が十分に確認できる30dBに保つために、第1情報記録層20の青色レーザ光である再生光波長における透過率は20%より大きいことが好ましい。第1再生膜21の材料がNiの場合は、膜厚15nmの場合で青色レーザ光である再生光波長における透過率が20.4%であり、膜厚が15nmより薄くなると透過率が20.4%より大きくなることは確認しているため、15nm以下の膜厚が好ましい。また、第1再生膜21の材料として、膜厚が15nm以下のMo,W,Mn,Pt,C,Zr,In,Al,Cu,Fe,Co等の単体元素膜やNiを含めたその化合物を利用した場合においても、透過率が20%より大きいことが好ましい。
但し、第1再生膜21の材料としては、以下に示すような理由からSi又はGeの単体、又はこれらを主成分とした合金又は混合物が好ましい。まず、図7からもわかるように、第1再生膜21の材料としてSiを使用した場合、膜厚7nmのNiを使用した場合に比べて超解像特性がわずかに良く(0.06μmマーク長や0.12μmマーク長等)、光情報記録媒体60の記録容量を向上させることが可能になる。また、図4(b)に示した実施例1媒体における第2情報記録層40のOTFからわかるように、Siを使用した場合は少なくとも膜厚を50nmまで厚くしても超解像特性が現れているが、図7からわかるように、Niを使用した場合は30nmまで厚くすると超解像特性が著しく低下するため、青色レーザ光の再生光に対する超解像特性の観点から、本実施形態の構成においても、Siを第1再生膜21の材料として使用することにより第1再生膜の膜厚制限が拡大できることは十分予想できる。また、図7に示しているOTFを測定した再生パワーであるが、膜厚7nmのSiを使用した実施例1媒体の再生パワーは、膜厚7nm及び15nmのNiを使用した実施例3−1媒体及び実施例3−2媒体の再生パワーの約半分と小さく、超解像再生感度が良い。これにより、再生レーザの低消費電力化が可能となる。なお、Geを用いた場合もSiと同様なことが言える。。
なお、第2再生膜41の材料においても、第1再生膜21と同様のことが言える。
(実施例4)
また、本実施の形態の光情報記録媒体60は、上記実施例1媒体、実施例2媒体及び実施例3媒体の構造に限るものではない。
例えば、本実施例の光情報記録媒体60(以降、本実施例において「実施例4媒体」と称する)において、第1再生膜21の膜厚については、どのような材料であっても、第1情報記録層20を再生した場合に、第1情報記録層20の超解像特性が生じ、かつ十分な再生耐久性を有し、第2情報記録層40に再生光をフォーカスした際、十分に第2情報記録層40の超解像特性が生じる膜厚であればよい。
例えば、実施例4媒体における第1情報記録層20が、現在得られている中で最も超解像特性の良い実施例1媒体における第1情報記録層20と同じ材料(Si)であった場合において、青色レーザ光である再生光の波長における第1情報記録層20の透過率と、第1情報記録層20における再生装置の光学解像限界以下のマーク長である0.1μmでのC/Nの関係を測定した結果を図8に示す。図8からわかるように、第1情報記録層20の透過率が5.7%から53.5%の透過率範囲で、第1情報記録層20の超解像特性が十分に確認できる30dB以上のC/Nを有する。
また、この場合、3種の透過率(5.7%,39.8%,53.5%)の第1情報記録層20をそれぞれ有する2層超解像光情報記録媒体を作製し、第1情報記録層20における再生装置の光学解像限界以下のマーク長である0.1μmでの再生耐久性を確認した結果を図9に示す。この図9よりわかるように、第1情報記録層20の透過率が5.7%及び39.8%の場合は、2万回の連続再生中においても、再生装置の光学解像限界以下のマーク長である0.1μmでのC/Nが30dBを下回ることはなく、良好な再生耐久性を示している。これに対し、第1情報記録層20の透過率が53.5%の場合は、再生回数が1万回を超えた時点でトラックサーボが外れたため、再生回数2万回のデータ測定が不可能であり、再生耐久性は悪かった。したがって、第1情報記録層20の上記必要な条件を満たすためには、上記透過率は53.5%より小さい必要がある。
また、例えば、実施例4媒体の第2情報記録層40が、現在得られている中で最も超解像特性のよい実施例1媒体の第2情報記録層40と同じ膜構造であった場合において、第1情報記録層20の透過率と、第2情報記録層40における再生装置の光学解像限界以下のマーク長である0.1μmでのC/Nの関係を示す測定結果を図10に示す。図10よりわかるように、第1情報記録層20の再生光波長での透過率が20%になると、第2情報記録層40における再生装置の光学解像限界以下のマーク長である0.1μmでのC/Nが、特性が十分に確認できる30dB以下に低下する。したがって、第1情報記録層20の上記必要な条件を満たすためには、上記透過率は20%より大きい必要がある。
このように、第1再生膜21の膜厚は、上記透過率によって制限される。図11に、第1再生膜21であるSiの膜厚と、青色レーザ光である再生光波長における第1情報記録層20の透過率との関係を示す。第1再生膜21にSiを用いた場合、図11よりわかるように、5nmより厚く、17nmより薄い必要がある。なお、Geを用いた場合も同様なことが言える。これにより、上記透過率を満たすことができ、第1情報記録層20及び第2情報記録層40における超解像特性及び再生耐久性を得ることができる。
(実施例5)
また、本実施の形態の光情報記録媒体60は、上記各実施例媒体の構造に限るものではない。
例えば、本実施例の光情報記録媒体60(以降、本実施例において「実施例5媒体」と称する)において、第2再生膜41の膜厚については、どのような材料であっても、第2情報記録層20を再生した場合に、第2情報記録層の超解像特性が生じ、かつ十分な再生耐久性を有する膜厚であればよい。
例えば、実施例5媒体における第2情報記録層40が、現在得られている中で最も超解像特性のよい実施例1媒体における第2情報記録層40と同じ材料(Si)であった場合の、第2再生膜41であるSiの膜厚と、第2情報記録層40における再生装置の光学解像限界以下のマーク長である0.1μmでのC/Nの関係を測定した結果を図12に示す。このときの第1再生膜21の青色レーザ光である再生光波長に対する透過率は、20%以上である。図12からわかるように、第2再生膜にSiを用いた場合、Si膜厚5nm以上で、第2情報記録層40の超解像特性が十分に確認できる30dB以上のC/Nを有する。
また、このとき、3種のSiの膜厚(5nm,10nm,50nm)をそれぞれ第2再生膜41の膜厚として有する2層超解像光情報記録媒体を作製し、第2情報記録層40の再生装置の光学解像限界以下のマーク長である0.1μmでの再生耐久性を確認した結果を図13に示す。この図13よりわかるように、第2再生膜であるSiの膜厚が10nm及び50nmの場合は、2万回の連続再生中においても、C/Nが30dBを下回ることはなく、良好な再生耐久性を示している。これに対し、第2再生膜41であるSiの膜厚が5nmの場合は、再生回数が1万回を超えた時点でトラックサーボが外れたため、再生回数2万回のデータ測定が不可能であり、再生耐久性は悪かった。したがって、第2情報記録層40の上記必要な条件を満たすためには、上記第2再生膜の膜厚41は5nmより大きい必要がある。
なお、Geを用いた場合も同様なことが言える。
これにより、第2情報記録層40におけるより良好な超解像特性及び再生耐久性を得ることができる。
(実施例6)
また、本実施の形態の光情報記録媒体60は、上記各実施例媒体の構造に限るものではない。
例えば、本実施例の光情報記録媒体60(以降、本実施例において「実施例6媒体」と称する)において、図14に示すように、第1情報記録層20として、第1再生膜21と、第1再生膜21に対して再生光の入射光側に第1再生膜21の再生劣化を防ぐための第1保護膜22を有し、かつ、第2情報記録層40として、第2再生膜41と、第2再生膜41に対して再生光の入射光側に第2再生膜41の再生劣化を防ぐための第2保護膜42を有する構造としても良い。図14に示す本実施例に係る光情報記録媒体60は、第1保護膜22として窒化シリコン(膜厚:40nm)、第2保護膜42として窒化シリコン(膜厚:155nm)を有し、第1保護膜22及び第2保護膜42以外は、実施例1で示した光情報記録媒体60と同じ符号を有する部材は、同じ材料及び膜厚である。
図15に、実施例1媒体の第1情報記録層20と、実施例6媒体の第1情報記録層20のそれぞれにおいて再生装置の光学解像限界以下のマーク長である0.1μmでの2万回の連続再生を行い、初期C/Nと2万回後のC/Nとの比較を行った結果を示す。また、図16に、実施例1媒体の第2情報記録層40と、実施例6媒体の第2情報記録層40のそれぞれにおいて再生装置の光学解像限界以下のマーク長である0.1μmでの2万回の連続再生を行い、初期C/Nと2万回後のC/Nとの比較を行った結果を示す。
図15及び図16よりわかるように、第1情報記録層20及び第2情報記録層40ともに、第1再生膜21を保護するための第1保護膜22と、第2再生膜41を保護するための第2再生膜42とをそれぞれ有する実施例6媒体が、両保護膜22,42を有さない実施例1媒体より、再生耐久性が向上していることがわかる。
両保護膜22,42の材料及び膜厚は、本実施例中では第1保護膜22として、40nmの膜厚の窒化シリコン膜を採用し、第2保護膜42として、155nmの膜厚の窒化シリコン膜を採用したが、これに限るものではなく、再生膜を保護する機能を有するものであればよい。但し、両保護膜22,42の材料は青色レーザ光の再生光を透過する材料であることが好ましい。また、同材料は、温度により青色レーザ波長での光学定数が変化しない材料であることが好ましい。例えば、同材料は、窒化アルミニウムやZnS−SiO2等でもよい。また、両保護層22,42の膜厚は、薄すぎると保護膜としての機能が悪化し、保護膜の材料が青色レーザ光である再生光波長に対して吸収係数がゼロでなければ、膜厚は厚ければ厚いほど再生光の利用効率が悪化し、また厚すぎると成膜時間がかかるため生産性が悪化する。よって、例えば、両保護膜22,42の膜厚としては、5nm以上500nm未満が好ましい。
また、本実施例中では、第1情報記録層20及び第2情報記録層40ともに保護膜22,42を有する構造であるが、これに限るものではなく、第1情報記録層20にのみ第1保護膜22を有する構成でも良いし、第2情報記録層40にのみ第2保護膜42を有する構成でも良い。例えば、片方の情報記録層の再生耐久性が保護膜を有してなくても十分良いと判断し、もう片方の情報記録層が保護膜を有してないと再生耐久性が悪いと判断すれば、再生耐久性が悪い情報記録層にのみ保護膜を有する構成とすることが出来る。このような構成では、両方の情報記録層に保護膜を有する構成に比べて、保護膜を成膜する工程が一つ省けるため生産性が向上する。
これにより、第1情報記録層20及び第2情報記録層40において、それぞれ良好な再生耐久性を得ることができる。
また、第1ないし第6実施例媒体の構造で、各情報記録層20,40に他の膜等を追加した場合でも、上記に示したような特性が大きく失われることはない。
〔実施の形態2〕
本発明の一実施形態について図17に基づいて説明すると、以下の通りである。なお、説明の便宜上、実施の形態1で用いたと同じ機能を有する部材には同じ符号を付して説明を省略する。
図17は、本実施の形態に係る2層超解像光情報記録媒体61の断面構造を示している。
図17に示すように、光情報記録媒体61は、透光層10と、第1情報記録層20と、中間層30と、第2情報記録層90と、基板50とを備え、光入射面からこの順に積層されている。
第1情報記録層20は、青色レーザ光で再生を行う再生装置の有する光学解像限界より短いマーク長の信号を再生可能とするとともに、少なくとも超解像再生のために必須となる第1再生膜21を含んでいる。第1再生膜21の材料は、ある程度薄い膜厚のNi,Mo,W,Mn,Pt,C,Zr,In,Al,Cu,Fe,Co等の単体元素膜やその化合物であっても良いが、Si又はGeの単体、又はこれらを主成分とした合金又は混合物等からなるものであることが好ましい。。
第2情報記録層90は、青色レーザ光である再生光を反射する機能を有する反射膜91を含んでいる。反射膜91は、青色レーザ光の再生光で再生を行う再生装置の有する光学解像限界より短いマーク長の信号を再生可能とする超解像特性を有する必要はない。
上記反射膜91は、例えば、スパッタリング装置においてスパッタリング法によって形成される。
以上のように、光情報記録媒体61は、第1情報記録層20において、青色レーザ光の再生光で再生を行う再生装置の有する光学解像限界より短いマーク長の信号を再生可能とするとともに、少なくとも超解像再生のために必須となる第1再生膜21を備えている。
これにより、第1情報記録層20の実質的な記録密度(再生可能な記録密度の意)を、青色レーザ光の再生光で再生を行う再生装置の有する解像限界により規制された記録密度よりも高められる。それゆえ、特許文献1及び2の超解像媒体よりも、情報記録層が多いだけ、記録容量を向上させることができる。更に、同じ記録容量を有する記録媒体を作製する場合、各情報記録層が解像限界により規制された記録密度である特許文献3の多層光情報記録媒体よりも、記録層数を減少させることが可能になる。したがって、製造ラインにおいて、記録層をスパッタリングで形成するための高価な真空装置の台数を削減することができ、記録層を増加させるのに伴う記録媒体の製造コストを大幅に低減させることができる。
また、特許文献1のようなマスク層を用いた超解像技術では、マスク層の他にさらに反射膜が必要であるが、上記構成によれば、再生膜自身で反射膜の機能も果たすため、コストの低減が可能となる。
また、第1再生膜21の材料は、上述したとおり無機物であり、一般的に有機物より安定している。また、後に実施例で示すが、特許文献2には示されていない青色レーザで良い超解像特性及び再生耐久性を示す。それゆえ、特許文献1や特許文献2に開示されている超解像技術と比較して、再生耐久性の向上した超解像技術が可能になる。
また、第1及び第2情報記録層20,40両層に超解像特性を有する再生膜21,41をそれぞれ含んでいる実施の形態1に記した光情報記録媒体60と比較して、本実施の形態の光情報記録媒体61は、第1情報記録層20が超解像特性を有する再生膜21を含む一方、第2情報記録層90が超解像特性を有する再生膜を含んでいないため、記録容量は実施の形態1に記した光情報記録媒体60より劣る。しかし、実施の形態1に記した光情報記録媒体60では、第2情報記録層40にて超解像特性や再生耐久性を保つような条件で、第1情報記録層20の条件を決定しなければいけないのに対し、上記の構成では、第1情報記録層20の条件の制限が緩くなるため、第1情報記録層20の再生膜21の材料や膜厚の自由度が向上する。
(実施例7)
図17に示す本実施例に係る光情報記録媒体61は、透光層10としてポリカーボネートフィルム11(膜厚:80μm)及び透明粘着樹脂層12(膜厚:20μm)と、第1情報記録層20としての第1再生膜21(Si,膜厚:7nm)と、中間層30としての透明紫外線硬化樹脂(膜厚:25μm)と、第2情報記録層90としての反射膜91(Ni,膜厚:30nm)と、基板50としてのポリオレフィン系樹脂基板とを備え、光入射面よりこの順に積層された構造となっている。
第1情報記録層20の超解像特性を示すOTFは、図4(a)で示した実施例1の光情報記録媒体60の第1情報記録層20のOTFとほぼ同様であった。
本実施例の光情報記録媒体61(以降、本実施例において「実施例7媒体」と称する)において、第1再生膜21の膜厚については、次のように規定できる。当該膜厚は、どのような材料であっても、第1情報記録層20を再生した場合に、第1情報記録層20の超解像特性が生じ、かつ十分な再生耐久性を有し、かつ、第2情報記録層90を再生した場合に、第2情報記録層90を再生可能とする膜厚であればよい。
例えば、実施例7媒体における第1情報記録層20が、現在得られている中で最も超解像特性のよい実施例1媒体における第1情報記録層20と同じ材料(Si)であった場合において、青色レーザ光である再生光波長における第1情報記録層20の透過率と、第1情報記録層20における再生装置の光学解像限界以下のマーク長である0.1μmでのC/Nの関係を測定した結果は、実施例4で示した図8と同様であった。図8からわかるように、第1情報記録層20の透過率が5.7%から53.5%の透過率範囲で、第1情報記録層20の超解像特性が十分に確認できる30dB以上のC/Nを有する。
また、この場合、3種の透過率(5.7%,39.8%,53.5%)の第1情報記録層20をそれぞれ有する2層超解像光情報記録媒体を作製し、再生装置の光学解像限界以下のマーク長である0.1μmでの再生耐久性を確認した結果は、実施例4で示した図9と同様であった。この図9よりわかるように、第1情報記録層の透過率が5.7%及び39.8%の場合は、2万回の連続再生中においても、再生装置の光学解像限界以下のマーク長である0.1μmでのC/Nが30dBを下回ることはなく、良好な再生耐久性を示している。これに対し、第1情報記録層の透過率が53.5%の場合は、再生回数が1万回を超えた時点でトラックサーボが外れたため、再生回数2万回のデータ測定が不可能であり、再生耐久性は悪かった。したがって、第1情報記録層20の上記必要な条件を満たすためには、上記透過率は53.5%より小さい必要がある。
また、第2情報記録層を再生する場合に、第1情報記録層を光が透過するため、第1情報記録層20の透過率が5%より小さな場合は、第2情報記録層からの戻り光量が非常に小さくなり第2情報記録層の信号が再生不可能となる。したがって、第1情報記録層20の透過率は5%より大きな必要がある。
このように、第1再生膜21の膜厚は、上記透過率によって制限される。第1再生膜21であるSiの膜厚と、青色レーザ光である再生光波長における第1情報記録層20の透過率との関係は、実施例4で示した図11と同様であった。したがって、第1再生膜21にSiを用いた場合、図11よりわかるように、第1再生膜の膜厚は5nmより厚く、65nmより薄い必要がある。なお、Geを用いた場合も同様なことが言える。これにより、上記透過率を満たすことができ、第1情報記録層20における超解像特性及び再生耐久性を得ることができる。
なお、本実施例の光情報記録媒体61においては、透光層10が、前述の実施例2の光情報記録媒体60の透光層10に用いた透明基板13であっても良く、あるいは透明基板13を含む構造であっても良い。
〔実施の形態3〕
本発明の一実施形態について図18に基づいて説明すると、以下の通りである。なお、説明の便宜上、実施の形態1で用いたと同じ機能を有する部材には同じ符号を付して説明を省略する。
図18は、本実施の形態に係る2層超解像光情報記録媒体62の断面構造を示している。
図18に示すように、光情報記録媒体61は、透光層10と、第1情報記録層80と、中間層30と、第2情報記録層40と、基板50とを備え、光入射面からこの順に積層されている。
第2情報記録層40は、青色レーザ光で再生を行う再生装置の有する光学解像限界より短いマーク長の信号を再生可能とするとともに、少なくとも超解像再生のために必須となる第2再生膜41を含んでいる。第2再生膜41の材料は、ある程度薄い膜厚のNi,Mo,W,Mn,Pt,C,Zr,In,Al,Cu,Fe,Co等の単体元素膜やその化合物であっても良いが、Si又はGeの単体、又はこれらを主成分とした合金又は混合物等からなるものであることが好ましい。
第1情報記録層80は、青色レーザ光である再生光を反射する機能を有する反射膜81を含んでいる。反射膜81は、青色レーザ光の再生光で再生を行う再生装置の有する光学解像限界より短いマーク長の信号を再生可能とする超解像特性を有する必要はない。
上記反射膜81は、例えば、スパッタリング装置においてスパッタリング法によって形成される。
以上のように、光情報記録媒体62は、第2情報記録層40において、青色レーザ光の再生光で再生を行う再生装置の有する光学解像限界より短いマーク長の信号を再生可能とするとともに、少なくとも超解像再生のために必須となる第2再生膜41を備えている。
これにより、第2情報記録層40の実質的な記録密度(再生可能な記録密度の意)を、青色レーザ光の再生光で再生を行う再生装置の有する解像限界により規制された記録密度よりも高められる。それゆえ、特許文献1及び2の超解像媒体よりも、情報記録層が多いだけ、記録容量を向上させることができる。更に、同じ記録容量を有する記録媒体を作製する場合、各情報記録層が解像限界により規制された記録密度である特許文献3の多層光情報記録媒体よりも、記録層数を減少させることが可能になる。したがって、製造ラインにおいて、記録層をスパッタリングで形成するための高価な真空装置の台数を削減することができ、記録層を増加させるのに伴う記録媒体の製造コストを大幅に低減させることができる。
また、特許文献1のようなマスク層を用いた超解像技術では、マスク層の他にさらに反射膜が必要であるが、上記構成によれば、再生膜自身で反射膜の機能も果たすため、コストの低減が可能となる。
また、第1再生膜の材料は、上述したとおり無機物であり、一般的に有機物より安定である。また、後に実施例で示すが、特許文献2には示されていない青色レーザで良い超解像特性及び再生耐久性を示す。それゆえ、特許文献1や特許文献2に開示されている超解像技術と比較して、再生耐久性の向上した超解像技術が可能になる。
また、第1及び第2情報記録層両層に超解像特性を有する再生膜をそれぞれ含んでいる実施の形態1に記した光情報記録媒体60と比較して、本実施の形態の光情報記録媒体62は、第2情報記録層40が超解像特性を有する再生膜41を含む一方、第1情報記録層80が超解像特性を有する再生膜を含んでいないため、記録容量は実施の形態1に記した光情報記録媒体60より劣る。しかし、実施の形態1に記した光情報記録媒体60では、第1情報記録層20にて超解像特性や再生耐久性を保つような条件で、第2情報記録層20の条件を決定しなければいけないのに対し、上記の構成では、第2情報記録層40の条件の制限が緩くなるため、第2情報記録層40の再生膜41の材料や膜厚の自由度が向上する。
(実施例8)
図18に示す本実施例に係る光情報記録媒体62は、透光層10としてポリカーボネートフィルム11(膜厚:80μm)及び透明粘着樹脂層12(膜厚:20μm)と、第1情報記録層80としての反射膜81(Au,膜厚:20nm)と、中間層30としての透明紫外線硬化樹脂(膜厚:25μm)と、第2情報記録層40としての反射膜41(Si,膜厚:50nm)と、基板50としてのポリオレフィン系樹脂基板とを備え、光入射面よりこの順に積層された構造となっている。
第1情報記録層40の超解像特性を示すOTFは、図4(b)で示した実施例1の光情報記録媒体60の第2情報記録層40のOTFとほぼ同様であった。
本実施の形態は、この実施例に何ら限定されるものではない。
なお、実施の形態1ないし実施の形態3及び第1ないし第8実施例の各媒体では再生専用光情報記録媒体であったが、本発明の光情報記録媒体は、これに限られるものではなく、記録/再生型光情報記録媒体や、追記型光情報記録媒体も含まれる。これらの場合は、各情報記録層に少なくとも記録膜が追加される。
さらに、コストと記録容量のバランスがとれるならば、本願技術を3層以上の多層光情報記録媒体に適応することも可能である。
なお、光情報記録媒体としては、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、CD−R(Compact Disk Recordable)、CD−RW(Compact Disk Rewritable)、DVD−ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、DVD−RW(Digital Versatile Disk Rewritable)、BD(Blu-ray Disc),BD(Blu-ray Disc)−ROM等の光学読取式のディスクや、光磁気ディスク、相変化型ディスク等、種々の光ディスクを適応する光情報記録媒体の形式として挙げることができる。なお、本発明は、記録の方式や大きさを問うものではない。
また、以上に述べたことから明らかなように、本光情報記録媒体60,61,62を用いて、情報の再生を行うことにより、より高密度に記録された光情報記録媒体からの安定した情報再生が可能となることがわかる。
なお、本実施例の光情報記録媒体62においては、透光層10が、前述の実施例2の光情報記録媒体60の透光層10に用いた透明基板13であっても良く、あるいは透明基板13を含む構造であっても良い。
〔実施の形態4〕
本発明の一実施形態について図19及び図20に基づいて説明すると、以下の通りである。
本実施形態では、実施の形態1ないし実施の形態3で説明した光情報記録媒体60,61,62を再生するための光情報記録媒体再生装置について説明する。図19は、その光情報記録媒体再生装置100の概略構成を示す図である。
図19に示すように、本光情報記録媒体再生装置100は、前述の光情報記録媒体60,61,62に対して光ビームを照射し、その反射光を検出することによって光情報記録媒体60,61,62に記録された情報を再生するための装置である。なお、本実施の形態では、光情報記録媒体60,61,62が円盤状の光ディスクである場合について説明するが、光情報記録媒体60,61,62は必ずしも円盤状の光ディスクでなくてもよい。
図19に示すように、光情報記録媒体再生装置100は、光情報記録媒体60,61,62をスピンドルモータ101にて回転駆動し、光ピックアップ装置102にて、光情報記録媒体60,61,62からの情報の読み出しを行う。また、光ピックアップ装置102及びスピンドルモータ101の制御は制御部103で行われる。
スピンドルモータ101は、光情報記録媒体60,61,62を回転することにより、光スポットを光情報記録媒体60,61,62上で走査させる。
制御部103は、信号処理部103a、駆動制御部103b等を含む。
信号処理部103aは、光情報記録媒体60,61,62上の記録マークからの反射光より得られた光ピックアップ装置102からの電気信号に基づいて記録情報を検出することにより、光情報記録媒体60,61,62上に記録マークによって記録された情報を読み取る。また、信号処理部103aは、光情報記録媒体60,61,62上の記録マークからの反射光より得られた光ピックアップ装置102からの電気信号に基づいて、後述のフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号を生成する。
駆動制御部103bは、光ピックアップ装置102から読み出されて信号処理部103aで生成された電気信号や外部からの指示に基づいて、スピンドルモータ101及び光ピックアップ装置102の駆動を制御するめにサーボ回路を有している。特に、駆動制御部103bは、信号処理部103aからのフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号に基づいて対物レンズ102eの位置を補正し、レーザ光のオートフォーカスおよびトラッキングを行うためのサーボ回路を上記のサーボ回路として含んでいる。
図20は、光情報記録媒体再生装置100に搭載される光ピックアップ装置102の構成を示す図である。
図20に示すように、光ピックアップ装置102は、半導体レーザ102a、コリメートレンズ102b、ビーム整形プリズム(ビームを円形にするプリズム)102c、ビームスプリッタ102d、対物レンズ102e、レンズアクチュエータ102f、及び検出光学系102gを備えている。
また、光ピックアップ装置102は、光源である半導体レーザ102aから照射されたレーザ光をビーム状に整形して光情報記録媒体60,61,62上に集光する装置である。この光ピックアップ装置102では、レーザ光源として半導体レーザ102aを用いている。ただし、これに限らず、他の光源を用いてもよい。また、半導体レーザ102aのレーザパワーは、超解像特性を発現させるために従来のレーザパワーより高く設定可能であり、従来のレーザパワーとの切り替えも可能である。これにより、2層超解像媒体での再生が可能となるため、同じ記録容量で4層通常媒体より低コストの2層超解像媒体を用いた再生が可能になる。また、同じ記録容量である4層通常媒体を再生する場合に比較して、層数が半分であることから、各層へのフォーカス回数が減少する。それゆえ、フォーカスに要する時間が短縮されるので、再生命令に対する反応が向上する。
半導体レーザ102aからのレーザ光は、コリメートレンズ102bによってほぼ平行な光に変換され、ビーム整形プリズム102cによって光強度の分布がほぼ円形となるように整形される。このほぼ円形の平行光は、ビームスプリッタ102dを透過した後、対物レンズ102eによって光ビーム(入射光)として光情報記録媒体60,61,62に集光される。なお、対物レンズ102eの開口数(NA)は0.65又は0.85に設定されている。
また、光情報記録媒体60,61,62からの反射光は、ビームスプリッタ102dで分岐され、検出光学系102gに導かれる。検出光学系102gでは、光情報記録媒体60,61,62からの反射光の偏光方向の変化や反射光強度の変化(反射光レベルの高低)等から記録情報、焦点ずれ情報及びトラック位置ずれ情報が識別され、これらの情報が電気信号に変換される。なお、変換された電気信号は、信号処理部103aに送られる。
上記の反射光には、光情報記録媒体60,61,62上に設けられたプリピット31,51の一部によって構成されるアドレス情報マークからの反射光も含まれている。検出光学系102gは、その反射光から得られた電気信号、すなわちアドレス情報マークを再生することにより得られた電気信号から、光情報記録媒体60,61,62における光ビーム照射面に形成される光スポット(光ビームの集光部)の光情報記録媒体60,61,62に対するフォーカスエラー信号とトラッキングエラー信号とを検出する。
レンズアクチュエータ102fは、上記のフォーカスエラー信号がフィードバックされることにより、光スポットの光軸方向の位置ずれを補正する。これにより、光ピックアップ装置102は、光情報記録媒体60,61,62における所望の第1情報記録層20又は第2情報記録層40に光スポットを形成できる。また、レンズアクチュエータ102fは、トラッキングエラー信号がフィードバックされることにより、光スポットのトラック幅方向の位置ずれを補正する。これにより、光ピックアップ装置102は、光情報記録媒体60,61,62における目標のトラックに光スポットを追従させることができる。
従来の多層光情報記録媒体再生装置では、多くの記録層に再生光をフォーカスして情報を再生するために、コストアップの伴うピックアップの性能を向上させる必要がある。これに対し、本光情報記録媒体再生装置100においては、実施の形態1の光情報記録媒体60,61,62を用いて再生を行うので、フォーカスさせる情報記録層数が従来装置に比べて減少することから、でピックアップ装置102のコストアップを抑制することができる。すなわち、より低コストの再生装置が実現できる。また、本光情報記録媒体再生装置100は、高密度に記録された光情報記録媒体60,61,62を用いることにより、安定した情報再生を行うことができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。