JP4837415B2 - 光情報記録媒体、及び光情報記録媒体再生装置 - Google Patents

光情報記録媒体、及び光情報記録媒体再生装置 Download PDF

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Description

本発明は、情報を光学的に記録又は再生する光情報記録媒体、及び該光情報記録媒体を再生する光情報記録媒体再生装置に関するものである。
近年、光情報記録媒体においては、画像等の膨大な情報の処理のために、ますます情報記録密度を増加させることが求められている。その解決法として、再生時における情報処理向上技術の一つである超解像技術がある。超解像技術とは、再生装置が有する光学的解像限界以下のマーク長(レーザ波長及び光学系の開口数によって決まる)の信号を再生する技術であり、これによってより小さなマーク長を使用した記録が可能となるので、実質的な記録密度が増加する。
そのため、従来から、再生装置の有する光学系解像限界より短いマーク長の信号を再生するための多くの光情報記録媒体(以降、超解像媒体と呼ぶ)が提案されてきた。
このような技術として、例えば、相変化材料を反射膜として用いる手法が知られている(特許文献1)。特許文献1における相変化材料は、超解像を発現させる層として使用する場合は、本願で言う再生層の一種となる。また、他には、書き換え可能な光記録媒体のみならず、再生専用媒体も適応可能である温度によって光学特性(透過率)が変化するサーモクロミック色素層をマスク層として、反射膜の再生光入射面上に設ける技術も知られている(特許文献2)。なお、マスク層とは、本願で言う再生層の一種であり、後述するレーザスポットを擬似的に限縮したりするなどの超解像現象を引き起こす層のことである。
これらの光情報記録媒体では、その再生面に照射された再生レーザによって生じるレーザスポットには光強度分布があり、そのために温度分布が生じている事を利用している。より具体的には、特許文献1に開示されているような相変化材料を反射膜として用いた光磁気記録媒体では、再生時にレーザスポット内の高温領域が相変化することにより、その領域の反射率が著しく増大するので、その領域の反射光による信号強度が、その他の領域から得られた信号の強度と比較して極めて大きくなる。そのため、高温領域のみで信号の再生を行っているのと同じ状態となり、結果的に光学系解像限界より短いマーク長の信号を再生することができる。
また、特許文献2に開示されているような光記録媒体では、反射層より再生光入射面に近い再生層上の再生レーザスポット内に、温度又は光強度分布が生じ、それにより前記レーザスポット内に光学特性の分布が生じる。例えば、温度が高くなる場合に透過率が高くなる材料を再生層に用いている場合、温度が高い部分の透過率のみが高くなるので、反射層面上に生じるレーザスポットが擬似的に縮小される。これにより、結果的に光学系解像限界より短いマーク長の信号を再生することができる。
なお、これらの超解像技術やその他の多くの超解像技術では、前述したように、レーザスポットに生じる温度分布を利用しているので、この温度分布を効率的に生じさせることにより、再生感度を向上させることができる。このため、特許文献1に開示された記録媒体では、相変化材料を低熱伝導率の誘電体で挟み込むことにより、相変化材料の温度の上昇効率を向上させ、再生感度を向上させている。
このように、光情報記録媒体の高密度化の手法としての超解像技術と再生感度向上技術とが提案されてきた。
特開平6−124480号公報(1994年5月6日公開) 特開2001−35012号公報(2001年2月9日公開)
しかしながら、まず、超解像再生技術においては、レーザースポットを擬似的に縮小するため、再生光の利用効率が低下したり、マスク層や相変化材料が、超解像特性を発現させるために熱量を必要とすることから、熱量不足によって再生感度が悪化するという問題がある。これに対する対策として、特許文献1に記載されている記録媒体では、その誘電体の熱伝導率を低減するために、再生層が誘電体で挟まれた構造を採用している。
しかしながら、誘電体自体の熱伝導率低減化には限界があり、十分な超解像媒体の再生感度向上技術であるとは言い難かった。また、特許文献1には、その技術思想からも読み取れる、より再生感度がよくなるはずの誘電体より熱伝導率が低いポリカーボネート樹脂基板と紫外線硬化樹脂とで相変化材料が挟まれた構造について記載されていない。
これは、特許文献1が出願された当時、再生層である相変化材料が、変質しやすく、誘電体で挟む必要があったためである。しかし、現在では相変化材料が改良されて、ポリカーボネート樹脂基板と紫外線硬化樹脂とで相変化材料を挟むことが可能になっている。
なお、この構造に近い構造としては、再生感度に対して言及はしていないが、特許文献2に記載されているように、マスク層(再生層の1種)がポリカーボネート樹脂基板に接している構造がある。この構造では、ポリカーボネート樹脂が誘電体より熱伝導率が低いことから、特許文献1に開示された記録媒体のように誘電体に接するより、再生感度がよくなることは明らかである。しかし、その場合においても、提案されている再生層に接する材料は、ポリカーボネート樹脂や紫外線硬化樹脂しかなく、これらの熱伝導率によっても、再生層に対する熱保存能力が十分ではなく、再生感度向上に限界が生じていた。このように、従来の記録媒体では、再生感動向上を目的として再生層に対する熱保存能力を高めるための措置が十分講じられていないのが現状である。
また、超解像特性を発現する上記のマスク層や相変化材料は、それ自体が、直接光または熱を吸収することにより、材料自体が、組成変化や相変化するため、材料自体にかかる負担が大きくなりやすく再生耐久性に乏しいという問題もあった。
さらに、通常、超解像再生技術を使用し、再生装置のもつ光学的解像限界より小さなマーク長の信号を再生できる光情報記録媒体(以降、超解像媒体と呼ぶ)に使用される再生膜は、色素や相変化材料などが多く、通常光情報記録媒体に使用される膜材料に比べて高価である。このため、超解像媒体が、通常の光情報記録媒体(情報記録層は1層)より高価になるという問題もあった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、安価であり、かつ再生感度に優れた超解像再生技術を用いた光情報記録媒体を提供することを目的としている。さらには、本発明は、光情報記録媒体の再生耐久性を向上させることや、光情報記録媒体を安価に提供すること目的としている。
本発明に係る光情報記録媒体は、上記課題を解決するために、再生時に再生用の光が入射する入射面側から、透明樹脂層と、情報記録層と、基板とが積層されており、かつ再生時に照射される再生用の光によって、再生装置の有する光学系解像限界より短いマーク長の信号が再生されうる光情報記録媒体であって、上記透明樹脂層の熱伝導率が、0.02W/m・Kより大きく、かつ0.15W/m・Kより小さいことを特徴としている。
上記の構成では、再生光が再生光入射面側から照射されると、それによって情報記録層に熱が生じ、その熱を利用して記録された情報が読み出される。情報の読み出しには、情報記録層には十分な熱量が必要であることから、熱量が不足すると再生感度が低下する。このため、従来の透明樹脂層より熱伝導率の低い材料からなる透明樹脂層が情報記録層からの熱の伝導を抑制することによって熱量の減少を抑えている。上記の構成では、透明樹脂層が0.02W/m・Kより大きく、かつ0.15W/m・Kより小さい熱伝導率の材料から成ることにより、従来の透明樹脂として用いられていた熱伝導率が0.15W/m・K以上の材料(UV硬化樹脂やポリカーボネイト樹脂等)と比べて熱伝導の抑制効果が高く、情報記録層の加熱(温度上昇)を効率的に行うことができる。
上記光情報記録媒体は、透明樹脂層の上に、更に別の透明材料が積層されていてもよい。その場合でも、情報記録層に比較して、透明樹脂層は情報記録層に比較して十分に厚いため、透明樹脂層により、熱伝導を抑制し、情報記録層の加熱(温度上昇)を効率的に行うことができる効果は変わらない。
また、本発明に係る光情報記録媒体は、上記課題を解決するために、再生時に再生用の光が入射する入射面側から、透明樹脂層と、情報記録層と、基板とが積層されており、かつ再生時に照射される再生用の光によって、再生装置の有する光学系解像限界より短いマーク長の信号が再生されうる光情報記録媒体であって、上記基板の熱伝導率が、0.02W/m・Kより大きく、かつ0.15W/m・Kより小さいことを特徴としている。
上記の構成では、再生光が再生光入射面側から照射されると、それによって情報記録層に熱が生じ、その熱を利用して記録された情報が読み出される。情報の読み出しには、情報記録層には十分な熱量が必要であることから、熱量が不足すると再生感度が低下する。このため、従来の基板より熱伝導率の低い材料からなる基板が情報記録層からの熱の伝導を抑制することによって熱量の減少を抑えている。上記の構成では、基板が0.02W/m・Kより大きく、かつ0.15W/m・Kより小さい熱伝導率の材料から成ることにより、従来の基板として用いられていた熱伝導率が0.15W/m・K以上の材料(UV硬化樹脂やポリカーボネイト樹脂等)と比べて熱伝導の抑制効果が高く、情報記録層の加熱(温度上昇)を効率的に行うことができる。
また、本発明に係る光情報記録媒体は、再生時に再生用の光が入射する入射面側から、透明樹脂層と、情報記録層と、樹脂層と、基板とが積層されており、かつ再生時に照射される再生用の光によって、再生装置の有する光学系解像限界より短いマーク長の信号が再生されうる光情報記録媒体であって、上記樹脂層の熱伝導率が、0.02W/m・Kより大きく、かつ0.15W/m・Kより小さいことを特徴としている。
上記の構成では、再生光が再生光入射面側から照射されると、それによって情報記録層に熱が生じ、その熱を利用して記録された情報が読み出される。情報の読み出しには、情報記録層には十分な熱量が必要であることから、熱量が不足すると再生感度が低下する。このため、樹脂層が情報記録層からの熱の伝導を抑制することによって熱量の減少を抑えている。上記の構成では、樹脂層が0.02W/m・Kより大きく、かつ0.15W/m・Kより小さい熱伝導率の材料から成ることにより、従来の樹脂層の材料として用いられていた熱伝導率が0.15W/m・K以上の材料(UV硬化樹脂やポリカーボネイト樹脂等)と比べて熱伝導の抑制効果が高く、情報記録層の加熱(温度上昇)を効率的に行うことができる。
また、本発明に係る光情報記録媒体は、再生時に再生用の光が入射する入射面側から、透明樹脂層と、情報記録層と、基板とが積層されており、かつ再生時に照射される再生用の光によって、再生装置の有する光学系解像限界より短いマーク長の信号が再生されうる光情報記録媒体であって、上記透明樹脂層および上記基板の熱伝導率が共に0.02W/m・Kより大きく、かつ0.15W/m・Kより小さいことを特徴としている。
上記の構成では、再生光が再生光入射面側から照射されると、それによって情報記録層に熱が生じ、その熱を利用して記録された情報が読み出される。情報の読み出しには、情報記録層には十分な熱量が必要であることから、熱量が不足すると再生感度が低下する。このため、透明樹脂層および基板が情報記録層からの熱の伝導を抑制することによって熱量の減少を抑えている。上記の構成では、透明樹脂層および基板が共に0.02W/m・Kより大きく、かつ0.15W/m・Kより小さい熱伝導率の材料から成ることにより、従来の透明樹脂や基板の材料として用いられていた熱伝導率が0.15W/m・K以上の材料(UV硬化樹脂やポリカーボネイト樹脂等)と比べて熱伝導の抑制効果が高く、情報記録層の加熱(温度上昇)をより効率的に行うことができる。
また、本発明に係る光情報記録媒体は、再生時に再生用の光が入射する入射面側から、透明樹脂層と、情報記録層と、樹脂層と、基板とが積層されており、かつ再生時に照射される再生用の光によって、再生装置の有する光学系解像限界より短いマーク長の信号が再生されうる光情報記録媒体であって、上記透明樹脂層および上記樹脂層の熱伝導率が共に0.02W/m・Kより大きく、かつ0.15W/m・Kより小さいことを特徴としている。
上記の構成では、再生光が再生光入射面側から照射されると、それによって情報記録層に熱が生じ、その熱を利用して記録された情報が読み出される。情報の読み出しには、情報記録層には十分な熱量が必要であることから、熱量が不足すると再生感度が低下する。このため、透明樹脂層と樹脂層が情報記録層からの熱の伝導を抑制することによって熱量の減少を抑えている。上記の構成では、透明樹脂層および樹脂層が共に0.02W/m・Kより大きく、かつ0.15W/m・Kより小さい熱伝導率の材料から成ることにより、従来の透明樹脂や基板の材料として用いられていた熱伝導率が0.15W/m・K以上の材料(UV硬化樹脂やポリカーボネイト樹脂等)と比べて熱伝導の抑制効果が高く、情報記録層の加熱(温度上昇)をより効率的に行うことができる。
また、本発明に係る光情報記録媒体は、再生時に再生用の光が入射する入射面側から、透明基板と、情報記録層と、保護樹脂層とが積層されており、かつ再生時に照射される再生用の光によって、再生装置の有する光学系解像限界より短いマーク長が再生されうる光情報記録媒体であって、上記透明基板の熱伝導率が、0.02W/m・Kより大きく、かつ0.15W/m・Kより小さいことを特徴としている。
上記の構成では、再生光が再生光入射面側から照射されると、それによって情報記録層に熱が生じ、その熱を利用して記録された情報が読み出される。情報の読み出しには、情報記録層には十分な熱量が必要であることから、熱量が不足すると再生感度が低下する。このため、従来より熱伝導率の低い材料からなる透明基板が情報記録層からの熱の伝導を抑制することによって熱量の減少を抑えている。上記の構成では、透明基板が0.02W/m・Kより大きく、かつ0.15W/m・Kより小さい熱伝導率の材料から成ることにより、従来の透明基板として用いられていた熱伝導率が0.15W/m・K以上の材料(UV硬化樹脂やポリカーボネイト樹脂等)と比べて熱伝導の抑制効果が高く、情報記録層の加熱(温度上昇)を効率的に行うことができる。
また、本発明に係る光情報記録媒体は、再生時に再生用の光が入射する入射面側から、透明基板と、透明樹脂層と、情報記録層と、保護樹脂層とが積層されており、かつ再生時に照射される再生用の光によって、再生装置の有する光学系解像限界より短いマーク長が再生されうる光情報記録媒体であって、上記透明樹脂層の熱伝導率が、0.02W/m・Kより大きく、かつ0.15W/m・Kより小さいことを特徴としている。
上記の構成では、再生光が再生光入射面側から照射されると、それによって情報記録層に熱が生じ、その熱を利用して記録された情報が読み出される。情報の読み出しには、情報記録層には十分な熱量が必要であることから、熱量が不足すると再生感度が低下する。このため、透明樹脂層が情報記録層からの熱の伝導を抑制することによって熱量の減少を抑えている。上記の構成では、透明樹脂層が0.02W/m・Kより大きく、かつ0.15W/m・Kより小さい熱伝導率の材料から成ることにより、従来の透明基板として用いられていた熱伝導率が0.15W/m・K以上の材料(UV硬化樹脂やポリカーボネイト樹脂等)と比べて熱伝導の抑制効果が高く、情報記録層の加熱(温度上昇)を効率的に行うことができる。
上記光情報記録媒体のいずれかにおいて、上記透明樹脂層及び上記樹脂層が、アクリル系粘着樹脂から成ることが好ましい。アクリル系粘着樹脂は、従来のUV硬化樹脂と比較して、疎である組織構造を有し、0.02W/m・Kより大きく、かつ0.15W/m・Kより小さい熱伝導率を実現し得る材料であることから、熱伝導抑制層を形成する材料として好適である。
上記光情報記録媒体のいずれかは、上記情報記録層が、再生光を吸収して熱に変換する吸光膜と、該吸光膜の発熱によって加熱され、再生装置の有する光学系解像限界より短いマーク長の信号を再生可能とする再生膜とを含んでいることが好ましい。この構成では、情報記録層において、再生膜と吸光膜とが分離形成されているので、再生膜自体が光吸収して分子構造を変化させるなどにより光学特性を変化させることがない。それゆえ、再生膜に多くの負担をかけることなく超解像再生が可能となり、再生耐久性の向上が可能になる。
この光情報記録媒体において、上記再生膜が、主に金属酸化膜からなることが好ましい。金属酸化膜は、熱によるバンドギャップ変化により光学特性が変化する特性を有するので、このような金属酸化膜を再生膜として用いることにより、通常の組成変化や相変化によって光学特性が変化する色素や相変化材料を用いた再生膜を用いた光情報記録媒体と比較して、再生耐久性をより向上させることができる。
上記光情報記録媒体において、上記再生膜が、金属酸化膜の中で比較的安価な酸化亜鉛、又は酸化亜鉛を主成分とする混合物であることが好ましい。これにより、光情報記録媒体のコストと低減でき、さらに、酸化亜鉛、又は酸化亜鉛を主成分とする混合物を用いることにより、他の金属酸化膜を用いるよりも高い超解像特性を得ることができるため、光情報記録媒体の記録容量を向上させることが可能になる。
上記光情報記録媒体において、上記吸光膜が無機物であることが好ましい。これにより、色素等の有機材料からなる吸光膜に比較して、光吸収時における吸光膜自体の耐久性を向上させることができる。それゆえ、光情報記録媒体の再生耐久性を向上させることが可能になる。
上記光情報記録媒体において、上記吸光膜が、Si若しくはGeの単体、又はこれらを主成分とした合金からなることにより、他の金属膜に比較して、効率よく再生膜を加熱できるため、再生感度向上が可能となる。
本発明に係る光情報記録媒体再生装置は、上記の課題を解決するために、上記のいずれかの光情報記録媒体を再生可能であるレーザパワーのレーザ光を上記情報記録層に照射し、上記光情報記録媒体からの反射光を読み取る光学読取手段を備えていることを特徴としている。
この光情報記録媒体再生装置は、光学読取手段によって、光情報記録媒体を再生可能なレーザパワーのレーザ光を照射することで光情報記録媒体からの反射光を読み取るので、光情報記録媒体からの安定した情報再生が可能となる。このようなより再生感度の高い光情報記録媒体を再生可能とするには、レーザーパワーが従来の超解像媒体に対するレーザパワーより低い値に設定されても、十分再生が可能である。したがって、消費電力を低減し、より低コストで高性能な再生装置を提供することができる。
以上のように、本発明の光情報記録媒体は、0.02W/m・Kより大きく、かつ0.15W/m・Kより小さい熱伝導率の材料から成る透明樹脂層、基板、樹脂層、透明基板の少なくともいずれか1つを含んでいる。これにより、従来の各層に比べて、より高い熱抑制効果を示すようになる。したがって、光情報記録媒体の再生感度を向上させることができるという効果を奏する。
また、吸光膜と再生膜とが分離して形成されることにより、再生膜自体に多くの負担をかけることなく超解像再生が可能となり、再生耐久性の向上が可能になるという効果も奏する。
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1ないし図6に基づいて説明すると、以下の通りである。
図1は、本実施の形態に係る光情報記録媒体1の断面構造を示している。
図1に示すように、光情報記録媒体1は、透光層10と、情報記録層20と、基板30とを備え、光入射面からこの順に積層されている。
透光層10は、再生光を十分に透過するように、ポリカーボネートフィルム11及び透明樹脂層12を含んでいる。透明樹脂層12は、情報記録層20における後述の再生膜21にポリカーボネートフィルム11を密着させるために設けられており、空気を含んだ疎である組織構造を有する粘着性の材料から成る。透明樹脂層12を形成する材料としては、0.15W/m・Kより低く、かつ0.02W/m・Kより高い熱伝導率を有する材料が用いられ、透明アクリル系粘着樹脂が好適である。このように、透明樹脂層12は、再生膜21からの熱の伝導を抑制する機能を備える。
アクリル系粘着樹脂は、組織構造が疎であり、それにより、組織構造がより密である従来のUV硬化樹脂の熱伝導率(0.15W/m・K)より小さい熱伝導率を有する。また、アクリル系粘着樹脂は、その組織構造をより疎とすることによって熱伝導率をより小さくすることができるが、空気の熱伝導率(0.02W/m・K)以下とするとはできない。
基板30は、ポリオレフィン系樹脂等の樹脂によって形成されている。また、基板30には、図2の拡大斜視図に示すように、プリピット31が形成されている。
情報記録層20は、このプリピット31上に成膜されることにより、プリピット31による凹凸が反映された状態となり、情報を記録した状態となる。このような構造により、いわゆる再生専用光情報記録媒体が構成される。
情報記録層20は、酸化亜鉛や酸化亜鉛を主成分とする混合物等からなる再生膜21及びSi若しくはGeの単体又はこれらを主成分として合金等からなる吸光膜22を含んでいる。吸光膜22は、再生光を吸収して、再生膜21を加熱しうる熱に変換する。再生膜21は、吸光膜22で生じる熱によって加熱されると、再生膜21の光学定数が変化することによって、再生装置の有する光学系解像限界より短いマーク長の信号を再生可能にする。上記再生膜21及び吸光膜22は、真空装置においてスパッタリングによって形成される。
上記再生膜21は、熱によるバンドギャップ変化により光学特性が変化するという特性を有する金属酸化膜からなることが好ましい。これにより、通常の組成変化や相変化によって光学特性が変化する色素や相変化材料を用いた従来の記録媒体における再生膜と比較して、再生膜21の再生耐久性を向上させることができる。
以上のように、光情報記録媒体1において、再生膜21上に積層される透明樹脂層12の熱伝導率が0.15W/m・Kより低く、かつ0.02W/m・Kより高い値である。これにより、再生光の照射時に吸光膜22によって加熱される再生膜21の熱をポリカーボネイトフィルム11側に逃がしにくくすることができる。それゆえ、組織構造が密である従来のUV硬化樹脂(熱伝導率0.15W/m・K)やポリカーボネート樹脂(熱伝導率0.19W/m・K)等の従来材料から成る透光層を有する光情報記録媒体より、再生膜21の加熱(温度上昇)を効率的に行うことができる。それゆえ、情報記録層20の再生感度を向上させることができる。
〔実施例1〕
図1に示す本実施例に係る光情報記録媒体1は、透光層10としてポリカーボネイトフィルム11(膜厚:80μm)及び透明樹脂層12(透明アクリル系粘着樹脂,熱伝導率:0.03W/m・K,膜厚:20μm)と、情報記録層20としての再生膜21(酸化亜鉛,膜厚:155nm)及び吸光膜22(Si,膜厚:50nm)と、基板30としてのポリオレフィン系樹脂基板とを備え、光入射面よりこの順に積層された構造となっている。
これに対し、図3に、本実施例の光情報記録媒体1に対する比較例としての光情報記録媒体3の断面構造を示す。なお、本比較例において、本実施例の光情報記録媒体1における構成要素と同等の機能を有する構成要素については、同一の符号を付記する。
図3に示すように、比較例の光情報記録媒体3は、透光層10としてのアクリル系紫外線硬化樹脂層13(熱伝導率:0.15W/m・K)と、情報記録層20としての再生膜21(酸化亜鉛,膜厚155nm)及び吸光膜22(Si,膜厚:50nm)と、基板30としてのポリオレフィン系樹脂基板とを備え、光入射面よりこの順に積層された構造となっている。
また、比較例の光情報記録媒体3の基板30には、本実施例の光情報記録媒体1と同様、図2に示すように、情報が記録されているプリピット31が形成されている。これにより、この光情報記録媒体3は、情報記録層20がこのプリピット31上に成膜されることにより、情報記録層20に対応するプリピット31により凹凸が転写された状態となる。したがって、光情報記録媒体3は、情報記録層20が情報を記録された状態となる、いわゆる再生専用光情報記録媒体として形成される。
続いて、本実施例の光情報記録媒体1(以降、本実施例において「第1実施例媒体」と称する)と比較例の光情報記録媒体3(以降、本実施例において「比較例媒体」と称する)との各種特性の比較について説明する。
図4は、波長404nm半導体レーザと、N.A.(開口率)0.85の光学系を有するディスク測定器にて、上記第1実施例媒体及び比較例媒体のそれぞれにおける、ディスク測定器の解像限界以下である0.10μm長のピットにおけるC/N(キャリア対ノイズ比)の再生レーザパワー依存性を示している。なお、ディスク測定器における光学系解像限界ピット長は0.12μmである。
図4より明らかなように、第1実施例媒体は、比較例媒体と比較して、再生レーザパワーが低い時点も高いC/Nを得ることができる。すなわち、比較例媒体より低い再生パワーで再生可能ということになり、再生感度が向上していることがわかる。
〔実施例2〕
また、本実施の形態の光情報記録媒体1は、上記第1実施例媒体の構造に限るものではない。
例えば、本実施例の光情報記録媒体1(以降、本実施例において「第2実施例媒体」と称する)において、透光層10は、再生膜21の温度上昇を効率的に行えるように、再生膜21に接する透明樹脂層12の熱伝導率が、それらの熱伝導率である0.15W/m・Kより低く、かつ0.02W/m・Kより高い値であって、再生光を十分に透過すればよく、再生面にハードコートが設けられていても良いし、従来とは異なる構造の紫外線硬化樹脂や他の材料であっても良い。
さらに、再生膜21に接する層は、透明樹脂層12の代わりに、図1に示すように、透明基板14から成る層であっても良い。そのような構成の第1実施例媒体では、基板30上に設けていたプリピット31を上記透明基板14上に設けることも可能となる。ただし、透明基板14の層を形成する材料は、透明樹脂層12と同等の熱伝導率を有している。また、このような構成の光情報記録媒体1においては、基板30の代わりに保護樹脂層70が設けられていてもよい。この保護樹脂層70は、アクリル系紫外線硬化樹脂等によって形成される。
あるいは、図1に示すように、透光層10においては、ポリカーボネートフィルム11の代わりに透明基板15を設けても良い。透明基板15を形成する材料は、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂や、圧縮成型可能な他の樹脂であって良いし、ガラスや、金属等でも良い。
基板30も、ポリカーボネート樹脂や、圧縮成型可能な他の樹脂であって良いし、ガラスや、金属等でも良い。
再生膜21の材料としては、第1実施例媒体では、再生光による温度上昇によって光学定数が変化する酸化亜鉛を用いたが、色素等の有機材料や、相変化材料や、他の金属酸化物(例えばTiO2 ,CeO2 )からなる材料や、主に金属酸化物からなる材料等でも良い。例えば、色素等の有機材料や、相変化材料の場合は、第1実施例媒体には耐久性が及ばないものの、少なくとも吸光膜が分離しているため、再生膜材料自体で再生光を吸収する従来の超解像膜構造に比較して再生耐久性が高いことが容易に予想できる。
また、他の金属酸化物(例えばTiO2 ,CeO2 )からなる材料や、主に金属酸化物からなる材料の場合、第1実施例媒体と同等の再生耐久性を有するが、現時点では、第1実施例媒体で用いた酸化亜鉛の超解像特性が最も良い結果である。なお、金属酸化膜は一般に透明であるため、吸光膜への透過性がよく吸光膜がより効率的に作用するという利点もある。
再生膜21の膜厚については、どのような材料であっても、また、膜厚については、図5に示すように、再生膜21の膜厚が155nmの第1実施例媒体と、第1再生膜21の膜厚が50nmである第2実施例媒体とを、再生膜21が酸化亜鉛からなる場合について再生感度で比較した実験結果を得た。
図5よりわかるように、第2実施例媒体は第1実施例媒体と比較して若干超解像特性が劣化する(解像限界以下のピット長での到達C/Nが低下する)。これは、前述した吸光膜からの熱による光学特性の変化による効果が、膜厚が薄くなることによって、減少したためであると思われる。ただし、膜厚が減少したために加熱されやすくなり、再生感度は向上する(低再生レーザパワー時より再生可能となる)ため、再生膜21の膜厚による優位差を明言することはできない。また、膜厚が厚いほど再生耐久性は向上するため、再生耐久性を含めると、厚いほうが有利であるとも言える。
また、第2実施例媒体における吸光膜22の材料としては、色素等の有機材料や、相変化材料や、他の無機物などでもよい。吸光膜材料として、色素等の有機材料や相変化材料を採用した場合は、吸光膜材料自体が、組成変化や相変化するので、膜自体の負担が大きく、第1実施例媒体には耐久性が及ばないことは容易に予想できる。また、他の無機物を吸光膜材料として用いた場合、第1実施例媒体と同様の再生耐久性があることは、容易に予想できる。なお、Siと同様の再生感度を有する材質としてはGeが最も適している。
また、吸光膜22の膜厚については、どのような材料であっても、情報記録層20を再生した場合に、十分な再生耐久性を有し、かつ十分に超解像特性が生じる膜厚であればよい。ここで、第2実施例媒体における情報記録層20が、例えば、吸光膜22がSiから成り、その膜厚別の再生耐久性を比較した結果を図6に示す。
図6に示すように、膜厚のみを5nmとした媒体では、50nmの第1実施例媒体に比較して、解像限界以下である0.10μm長のピット(ディスク測定器における光学系解像限界ピット長:0.12μm)における再生耐久性が悪化している。さらに、初期の0.10μm長のピットC/Nが低いことからわかるように、超解像特性も膜厚が5nmの媒体は膜厚が50nmの媒体に比較して悪いことがわかる。このように、どのような材料の吸光膜22であっても、薄すぎると再生耐久性が失われ、情超解像特性が悪化する。
なお、第1実施例媒体では、再生専用光情報記録媒体であったが、本発明の光情報記録媒体は、これに限られるものではなく、記録/再生型光情報記録媒体や、追記型光情報記録媒体も含まれる。これらの記録媒体では、情報記録層に少なくとも記録膜が追加される。
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施形態について図7乃至図9に基づいて説明すると、以下の通りである。なお、本実施の形態において、実施の形態1における構成要素と同等の機能を有する構成要素については、同一の符号を付記する。
図7は、本実施の形態に係る光情報記録媒体2の断面構造を示している。
図7に示すように、光情報記録媒体2は、透光層10と、情報記録層20と、プリピット層(樹脂層)40と、基板50とを備え、光入射面からこの順に積層されている。
透光層10は、再生光を十分に透過するように、ポリカーボネートフィルム11を含んでいる。基板50は、実施の形態1の基板30(図1)と同様、ポリオレフィン系樹脂等の樹脂によって形成されているが、プリピット31を有していない。
図8に示すように、プリピット層40は、2P転写法によって基板50の平坦な端面上に形成されており、光情報記録媒体1におけるプリピット31と同様なプリピット41を上端面に有している。また、プリピット層40は、実施の形態1の透明樹脂層12(図1)の形成材料(硬化型透明アクリル系粘着樹脂等)と同様の材料から形成されており、その熱伝導率は、0.15W/m・Kより低く、かつ0.02W/m・Kより高い。
このように構成される光情報記録媒体2においては、プリピット層40の熱伝導率が低いことにより、情報記録層20の熱を基板50側に逃がしにくくすることができる。それゆえ、透明樹脂層12を有する光情報記録媒体1と同様、従来のUV硬化樹脂やポリカーボネート樹脂等の従来材料から成る透光層を有する光情報記録媒体より、再生膜21の加熱(温度上昇)を効率的に行うことができる。したがって、光情報記録媒体1の再生感度を向上させることができる。
なお、実施の形態1における光情報記録媒体1において、基板30の代わりにプリピット層40及び基板50を用いても良い。このような構造では、情報記録層20の両側で再生膜21の熱伝導抑制効果が得られるので、より、光情報記録媒体1の再生感度を向上させることができる。
例として、図9に示すように、第1実施例媒体のポリオレフィン系樹脂基板30のみを、2P転写によって、熱伝導率が0.03W/m・Kである硬化型透明アクリル系粘着樹脂からなるプリピット層40を表面に形成した基板50に変更した光情報記録媒体4を作製した。そして、この光情報記録媒体4と第1実施例媒体との再生感度を、第1実施例媒体と比較例媒体を比較した手法と同様な手法で比較した。その結果、光情報記録媒体4の再生感度が第1実施例媒体の再生感度より0.25mW向上していることを確認した。
なお、硬化型透明アクリル系粘着樹脂は、硬化後、独立して形状が保てる強度を有するようになるので、単独で基板となりうる。したがって、硬化型透明アクリル系粘着樹脂によって形成されるプリピット層40も基板となりうる。
また、上記実施例は、以下のことも表している。すなわち、前述の通り、第1実施例媒体は、透明樹脂層12を用いることで、比較例に比べ、再生感度が向上し、さらに光情報記録媒体4では、プリピット層40と透明樹脂層12とで情報記録層20を挟むことにより、更に感度が向上した。したがって、プリピット層40のみを設けた場合においても、比較例に比べて再生感度が向上することも示している。
なお、本実施の形態の光情報記録媒体2及び実施の形態1の光情報記録媒体1としては、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、CD−R(Compact Disk Recordable)、CD−RW(Compact Disk Rewritable)、DVD−ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、DVD−RW(Digital Versatile Disk Rewritable)、BD(Blu-ray Disc),BD(Blu-ray Disc)−ROM等の光学読取式のディスクや、光磁気ディスク、相変化型ディスク等、種々の光ディスクを適応する光情報記録媒体の形式として挙げることができる。なお、本発明は、記録の方式や大きさを問うものではない。
〔実施の形態3〕
本発明のさらに他の実施形態について図10及び図11に基づいて説明すると、以下の通りである。
本実施形態では、実施の形態1で説明した光情報記録媒体1又は実施の形態2で説明した光情報記録媒体2,4を再生するための光情報記録媒体再生装置について説明する。図10は、その光情報記録媒体再生装置100の概略構成を示す図である。
図10に示すように、本光情報記録媒体再生装置100は、前述の光情報記録媒体1又は光情報記録媒体2,4としての光情報記録媒体60に対して光ビームを照射し、その反射光を検出することによって光情報記録媒体60に記録された情報を再生するための装置である。なお、本実施の形態では、光情報記録媒体60が円盤状の光ディスクである場合について説明するが、光情報記録媒体60は必ずしも円盤状の光ディスクでなくてもよい。
図10に示すように、光情報記録媒体再生装置100は、光情報記録媒体60をスピンドルモータ101にて回転駆動し、光ピックアップ装置102にて、光情報記録媒体60からの情報の読み出しを行う。また、光ピックアップ装置102及びスピンドルモータ101の制御は制御部103で行われる。
スピンドルモータ101は、光情報記録媒体2を回転することにより、光スポットを光情報記録媒体60上で走査させる。
制御部103は、信号処理部103a、駆動制御部103b等を含む。
信号処理部103aは、光情報記録媒体60上の記録マークからの反射光より得られた光ピックアップ装置102からの電気信号に基づいて記録情報を検出することにより、光情報記録媒体60上に記録マークによって記録された情報を読み取る。また、信号処理部103aは、光情報記録媒体60上の記録マークからの反射光より得られた光ピックアップ装置102からの電気信号に基づいて、後述のフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号を生成する。
駆動制御部103bは、光ピックアップ装置102から読み出されて信号処理部103aで生成された電気信号や外部からの指示に基づいて、スピンドルモータ101及び光ピックアップ装置102の駆動を制御するめにサーボ回路を有している。特に、駆動制御部103bは、信号処理部103aからのフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号に基づいて対物レンズ102eの位置を補正し、レーザ光のオートフォーカスおよびトラッキングを行うためのサーボ回路を上記のサーボ回路として含んでいる。
図11は、記録再生装置10に搭載される光ピックアップ装置102の構成を示す図である。
図11に示すように、光ピックアップ装置102は、半導体レーザ102a、コリメートレンズ102b、ビーム整形プリズム(ビームを円形にするプリズム)102c、ビームスプリッタ102d、対物レンズ102e、レンズアクチュエータ102f、及び検出光学系102gを備えている。
また、光ピックアップ装置102は、光源である半導体レーザ102aから照射されたレーザ光をビーム状に整形して光情報記録媒体60上に集光する装置である。この光ピックアップ装置102では、レーザ光源として半導体レーザ102aを用いている。ただし、これに限らず、他の光源を用いてもよい。また、半導体レーザ102aのレーザパワーは、超解像特性を発現させるために従来のレーザパワーより高く設定可能であり、従来のレーザパワーとの切り替えも可能である。これにより、超解像媒体での再生が可能となるため、同じ記録容量で2層通常媒体より低コストの1層超解像媒体を用いた再生が可能になる。また、同じ記録容量である2層通常媒体を再生する場合に比較して、層数が半分であることから、各層へのフォーカス回数が減少する。それゆえ、フォーカスに要する時間が短縮されるので、再生命令に対する反応が向上する。
半導体レーザ102aからのレーザ光は、コリメートレンズ102bによってほぼ平行光に変換され、ビーム整形プリズム102cによって光強度の分布がほぼ円形となるように整形される。このほぼ円形の平行光は、ビームスプリッタ102dを透過した後、対物レンズ102eによって光ビーム(入射光)として光情報記録媒体60に集光される。なお、対物レンズ102eの開口数(NA)は0.65又は0.85に設定されている。
また、光情報記録媒体60からの反射光は、ビームスプリッタ102dで分岐され、検出光学系102gに導かれる。検出光学系102gでは、光情報記録媒体60からの反射光の偏光方向の変化や反射光強度の変化(反射光レベルの高低)等から記録情報、焦点ずれ情報及びトラック位置ずれ情報が識別され、これらの情報が電気信号に変換される。なお、変換された電気信号は、信号処理部103aに送られる。
上記の反射光には、光情報記録媒体1に設けられたプリピット31又は光情報記録媒体2,4に設けられたプリピット41の一部によって構成されるアドレス情報マークからの反射光も含まれている。検出光学系102gは、その反射光から得られた電気信号、すなわちアドレス情報マークを再生することにより得られた電気信号から、光情報記録媒体60における光ビーム照射面に形成される光スポット(光ビームの集光部)の光情報記録媒体60に対するフォーカスエラー信号とトラッキングエラー信号とを検出する。
レンズアクチュエータ102fは、上記のフォーカスエラー信号がフィードバックされることにより、光スポットの光軸方向の位置ずれを補正する。これにより、光ピックアップ装置102は、光情報記録媒体60における所望の情報記録層(情報記録層20)に光スポットを形成できる。また、レンズアクチュエータ102fは、トラッキングエラー信号がフィードバックされることにより、光スポットのトラック幅方向の位置ずれを補正する。これにより、光ピックアップ装置102は、光情報記録媒体60における目標のトラックに光スポットを追従させることができる。
本光情報記録媒体再生装置100においては、光情報記録媒体60として、実施の形態1の光情報記録媒体1又は実施の形態2の光情報記録媒体2,4を用いて再生を行うので、情報記録層20の熱の放出をより少なくして、再生膜21の温度上昇を前述のように効率的に行うことができる。したがって、より低いレーザパワーでの再生が可能となるので、ピックアップ装置102のコストアップを抑制することができる。すなわち、より低コストの再生装置が実現できる。また、本光情報記録媒体再生装置100は、高密度に記録された光情報記録媒体60を用いることにより、安定した情報再生を行うことができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の光情報記録媒体は、情報記録層からの熱の伝導を抑制する熱伝導抑制層が従来のUV硬化樹脂などと比べてより高い熱抑制効果を示すようになる。したがって、光情報記録媒体の再生感度を向上させることができるので、光密度記録へ好適に利用できる。
本発明の実施形態1の2層超解像光情報記録媒体の構造を示す断面図である。 上記光情報記録媒体における基板に設けられるプリピットの構造を示す斜視図である。 本発明の実施形態1の実施例1の光情報記録媒体に対する比較例の光情報記録記録媒体の構造を示す断面図である。 実施例1及び比較例の光情報記録媒体の再生膜のそれぞれの再生膜厚別C/Nについての再生レーザパワー依存性を示す特性図である。 実施例1及び2の光情報記録媒体の再生膜のそれぞれの再生膜厚別C/Nについての再生レーザパワー依存性を示す特性図である。 実施例2の光情報記録媒体における吸光膜の膜厚別C/Nについての再生回数依存性を示す特性図である。 本発明の実施形態2における光情報記録媒体の構造を示す断面図である。 図7の光情報記録媒体における基板に設けられるプリピットの構造を示す斜視図である。 本発明の実施形態2における他の光情報記録媒体の構造を示す断面図である。 本発明の実施形態3の光情報記録媒体再生装置の概略構成を示す図である。 上記光情報記録媒体再生装置における光ピックアップ装置の概略構成を示す図である。
符号の説明
1,2,4 光情報記録媒体
10 透光層
11 ポリカーボネートフィルム(光透過層)
12 透明樹脂層
14,15 透明基板
20 情報記録層
21 再生膜
22 吸光膜
30 基板
31 プリピット
40 プリピット層(樹脂層)
41 プリピット
60 光情報記録媒体
70 保護樹脂層
100 光情報記録媒体再生装置
102 光ピックアップ装置(光学読取手段)

Claims (25)

  1. 再生時に再生用の光が入射する入射面側から、透明樹脂層と、情報記録層と、基板とが積層されており、かつ再生時に照射される再生用の光によって、再生装置の有する光学系解像限界より短いマーク長の信号が再生されうる光情報記録媒体であって、
    上記透明樹脂層の熱伝導率が、0.02W/m・Kより大きく、かつ0.15W/m・Kより小さく、
    上記透明樹脂層が、アクリル系粘着材によって形成されていることを特徴とする光情報記録媒体。
  2. 基板上に、SiもしくはGe、または、どちらかを主成分とした合金からなる薄膜層と、金属酸化膜層と、透明樹脂層とが積層され、上記透明樹脂層の熱伝導率が、0.02W
    /m・Kより大きく、かつ0.15W/m・Kより小さく、
    上記透明樹脂層が、アクリル系粘着材によって形成されていることを特徴とする光情報記録媒体。
  3. 再生時に再生用の光が入射する入射面側から、透明樹脂層と、情報記録層と、樹脂層と、基板とが積層されており、かつ再生時に照射される再生用の光によって、再生装置の有する光学系解像限界より短いマーク長の信号が再生されうる光情報記録媒体であって、
    上記樹脂層の熱伝導率が、0.02W/m・Kより大きく、かつ0.15W/m・Kより小さく、
    上記樹脂層が、アクリル系粘着材によって形成されていることを特徴とする光情報記録媒体。
  4. 基板上に、樹脂層と、SiもしくはGe、または、どちらかを主成分とした合金からなる薄膜層と、金属酸化膜層と、透明樹脂層とが積層され、上記樹脂層の熱伝導率が、0.
    02W/m・Kより大きく、かつ0.15W/m・Kより小さく、
    上記樹脂層が、アクリル系粘着材によって形成されていることを特徴とする光情報記録媒体。
  5. 再生時に再生用の光が入射する入射面側から、透明樹脂層と、情報記録層と、基板とが積層されており、かつ再生時に照射される再生用の光によって、再生装置の有する光学系解像限界より短いマーク長の信号が再生されうる光情報記録媒体であって、
    上記透明樹脂層および上記基板の熱伝導率が共に0.02W/m・Kより大きく、かつ0
    .15W/m・Kより小さく、
    上記透明樹脂層が、アクリル系粘着材によって形成されていることを特徴とする光情報記録媒体。
  6. 基板上に、SiもしくはGe、または、どちらかを主成分とした合金からなる薄膜層と、金属酸化膜層と、透明樹脂層とが積層され、上記透明樹脂層および上記基板の熱伝導率が共に0.02W/m・Kより大きく、かつ0.15W/m・Kより小さく、
    上記透明樹脂層が、アクリル系粘着材によって形成されていることを特徴とする光情報記録媒体。
  7. 再生時に再生用の光が入射する入射面側から、透明樹脂層と、情報記録層と、樹脂層と、基板とが積層されており、かつ再生時に照射される再生用の光によって、再生装置の有する光学系解像限界より短いマーク長の信号が再生されうる光情報記録媒体であって、
    上記透明樹脂層および上記樹脂層の熱伝導率が共に0.02W/m・Kより大きく、かつ
    0.15W/m・Kより小さく、
    上記透明樹脂層が、アクリル系粘着材によって形成されていることを特徴とする光情報記録媒体。
  8. 再生時に再生用の光が入射する入射面側から、透明樹脂層と、情報記録層と、樹脂層と、基板とが積層されており、かつ再生時に照射される再生用の光によって、再生装置の有する光学系解像限界より短いマーク長の信号が再生されうる光情報記録媒体であって、
    上記透明樹脂層および上記樹脂層の熱伝導率が共に0.02W/m・Kより大きく、かつ
    0.15W/m・Kより小さく、
    上記樹脂層が、アクリル系粘着材によって形成されていることを特徴とする光情報記録媒体。
  9. 基板上に、樹脂層と、SiもしくはGe、または、どちらかを主成分とした合金からなる薄膜層と、金属酸化膜層と、透明樹脂層とが積層され、上記透明樹脂層および上記樹脂層の熱伝導率が共に0.02W/m・Kより大きく、かつ0.15W/m・Kより小さく、
    上記透明樹脂層が、アクリル系粘着材によって形成されていることを特徴とする光情報記録媒体。
  10. 基板上に、樹脂層と、SiもしくはGe、または、どちらかを主成分とした合金からなる薄膜層と、金属酸化膜層と、透明樹脂層とが積層され、上記透明樹脂層および上記樹脂層の熱伝導率が共に0.02W/m・Kより大きく、かつ0.15W/m・Kより小さく、
    上記樹脂層が、アクリル系粘着材によって形成されていることを特徴とする光情報記録媒体。
  11. 再生時に再生用の光が入射する入射面側から、透明樹脂層と、情報記録層と、当該情報記録層に転写するための情報が記録されているプリピット層と、基板とが積層されており、かつ再生時に照射される再生用の光によって、再生装置の有する光学系解像限界より短いマーク長の信号が再生されうる光情報記録媒体であって、
    上記プリピット層の熱伝導率が、0.02W/m・Kより大きく、かつ0.15W/m・Kより小さく、
    上記プリピット層が、アクリル系粘着材によって形成されていることを特徴とする光情報記録媒体。
  12. 基板上に、情報が記録されているプリピット層と、SiもしくはGe、または、どちらかを主成分とした合金からなる薄膜層と、金属酸化膜層と、透明樹脂層とが積層され、上記プリピット層の熱伝導率が、0.02W/m・Kより大きく、かつ0.15W/m・Kより小さ小さく、
    上記プリピット層が、アクリル系粘着材によって形成されていることを特徴とする光情報記録媒体。
  13. 再生時に再生用の光が入射する入射面側から、透明樹脂層と、情報記録層と、当該情報記録層に転写するための情報が記録されているプリピット層と、基板とが積層されており、かつ再生時に照射される再生用の光によって、再生装置の有する光学系解像限界より短いマーク長の信号が再生されうる光情報記録媒体であって、
    上記透明樹脂層および上記プリピット層の熱伝導率が共に0.02W/m・Kより大きく
    、かつ0.15W/m・Kより小さく、
    上記透明樹脂層が、アクリル系粘着材によって形成されていることを特徴とする光情報記録媒体。
  14. 再生時に再生用の光が入射する入射面側から、透明樹脂層と、情報記録層と、当該情報記録層に転写するための情報が記録されているプリピット層と、基板とが積層されており、かつ再生時に照射される再生用の光によって、再生装置の有する光学系解像限界より短いマーク長の信号が再生されうる光情報記録媒体であって、
    上記透明樹脂層および上記プリピット層の熱伝導率が共に0.02W/m・Kより大きく
    、かつ0.15W/m・Kより小さく、
    上記プリピット層が、アクリル系粘着材によって形成されていることを特徴とする光情報記録媒体。
  15. 基板上に、情報が記録されているプリピット層と、SiもしくはGe、または、どちらかを主成分とした合金からなる薄膜層と、金属酸化膜層と、透明樹脂層とが積層され、上記透明樹脂層および上記プリピット層の熱伝導率が共に0.02W/m・Kより大きく、かつ0.15W/m・Kより小さく、
    上記透明樹脂層が、アクリル系粘着材によって形成されていることを特徴とする光情報記録媒体。
  16. 基板上に、情報が記録されているプリピット層と、SiもしくはGe、または、どちらかを主成分とした合金からなる薄膜層と、金属酸化膜層と、透明樹脂層とが積層され、上記透明樹脂層および上記プリピット層の熱伝導率が共に0.02W/m・Kより大きく、かつ0.15W/m・Kより小さく、
    上記プリピット層が、アクリル系粘着材によって形成されていることを特徴とする光情報記録媒体。
  17. 再生時に再生用の光が入射する入射面側から、透明基板と、透明樹脂層と、情報記録層と、保護樹脂層とが積層されており、かつ再生時に照射される再生用の光によって、再生装置の有する光学系解像限界より短いマーク長が再生されうる光情報記録媒体であって、
    上記透明樹脂層の熱伝導率が、0.02W/m・Kより大きく、かつ0.15W/m・Kより小さく、
    上記透明樹脂層が、アクリル系粘着材によって形成されていることを特徴とする光情報記録媒体。
  18. 透明基板上に、透明樹脂層、金属酸化膜層と、SiもしくはGe、または、どちらかを主成分とした合金からなる薄膜層と、保護樹脂層とが積層され、上記透明樹脂層の熱伝導率が、0.02W/m・Kより大きく、かつ0.15W/m・Kより小さく、
    上記透明樹脂層が、アクリル系粘着材によって形成されていることを特徴とする光情報記録媒体。
  19. 上記情報記録層が、再生装置の有する光学系解像限界より短いマーク長の信号を再生するための再生膜と、再生用の光を吸収し熱に変換する吸光膜とを少なくとも含んでいることを特徴とする請求項1、3、5、7、8、11、13、14または17に記載の光情報記録媒体。
  20. 上記再生膜が、主に金属酸化膜からなることを特徴とする請求項19に記載の光情報記録媒体。
  21. 上記再生膜が、酸化亜鉛、または酸化亜鉛を主成分とする混合物であることを特徴とする請求項20に記載の光情報記録媒体。
  22. 上記吸光膜が、無機物であることを特徴とする請求項19に記載の光情報記録媒体。
  23. 上記吸光膜が、SiもしくはGeの単体、または、いずれかを主成分とした合金からなることを特徴とする請求項22に記載の光情報記録媒体。
  24. 上記金属酸化膜層が、酸化亜鉛、または酸化亜鉛を主成分とする混合物であることを特徴とする請求項2、4、6、9、10、12、15、16または18に記載の光情報記録媒体。
  25. 光学系解像限界が、請求項1乃至24のいずれか1項に記載の光情報記録媒体の最短マーク長より大きい光情報記録媒体再生装置であって、再生時に、請求項1乃至24のいずれか1項に記載の光情報記録媒体が再生可能であるパワーの再生用の光を上記情報記録層に照射し、上記光情報記録媒体からの反射光を読み取る光学読取手段を備えていることを特徴とした光情報記録媒体再生装置。
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