JP2006092657A - 記録再生装置、記録再生方法、記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】例えば10層以上などの多層光ディスク等を用いる記録再生システムにおいてROM/RAM互換性と下位互換性を実現する手段を提供する。
【解決手段】
第1,第2のレーザ光源手段を備え、そのレーザ光の波長は、再生及びサーボのために反射光を得るための第1のレーザ光の波長と、記録用の実質的な波長、つまり第2のレーザ光の波長の1/2の波長とが重ならないようにする。記録用の実質的な波長とは、二光子吸収の過程で波長が半分になることから、第1のレーザ光の波長の1/2の波長となる。
これにより記録媒体の記録層における吸収率、反射率の設定、つまり膜設計の自由度を得、ROM/RAM互換を可能とする。また記録媒体は各記録層にランド/グルーブが形成されるとともに、第1のレーザ光と第2のレーザ光の焦点位置が略一致される。これによりサーボ動作の簡易性と下位互換についての構成上の優位性を得る。
【選択図】 図1

Description

本発明は光ディスク等の記録媒体、及びそれに対応する記録再生装置、記録再生方法に関する。特には著しい大容量化を実現する多層記録媒体に好適なものである。
レーザ顕微鏡研究会講演会論文集 VOL.21 P12〜16(1998年)「有機フォトクロミック材料を用いた高密度光メモリ」
近年、高精細度の動画のコンテンツの普及やハードディスクの大容量化、あるいはインターネットのブロードバンド化に伴い光ディスクの大容量化が強く望まれるようになっている。
例えば現状では、CD(Compact Disc),MD(Mini-Disc),DVD(Digital Versatile Disc)などの、光ディスク(光磁気ディスクを含む)を記録メディアに用いたデータ記録技術があり、既に普及しているが、近年、高密度光ディスクメディアとして、ブルーレイディスク(Blu-Ray Disc)、HD−DVD(High Definition DVD)等が開発されている。
例えばブルーレイディスクにおいては、ディスク厚み方向に0.1mmのカバー層を有するディスク構造において、波長405nmのレーザ(いわゆる青色レーザ)とNAが0.85の対物レンズの組み合わせという条件下でフェーズチェンジマーク(相変化マーク)を記録再生を行うとし、トラックピッチ0.32μm、線密度0.12μm/bitで、64KB(キロバイト)のデータブロックを1つの記録再生単位として、フォーマット効率約82%としたとき、直系12cmのディスクに23.3GB(ギガバイト)程度の容量を記録再生できる。また、同様のフォーマットで、線密度を0.112μm/bitの密度とすると、25GBの容量を記録再生できる。
さらに、記録層を多層構造とすることでさらに飛躍的な大容量化が実現できるる。例えば記録層を2層とすることにより、容量は上記の2倍である46.6GB、又は50GBとすることができる。
ブルーレイディスクは既に実用化段階に達しているが、さらなる大容量化を目的とした次世代ディスクシステムも研究開発されている。
そして例えば上記ブルーレイディスクよりも大幅に大容量化を実現しようとする「超高密度光メモリ」としては、ホログラムメモリ、近接場記録(ニアフィールド)メモリ、多層メモリなど、各種の提案がなされている。
この中で、多層メモリとしては、ブルーレイディスク方式において記録層を3層、4層として大容量化を図るものや、電気クロミック効果により層間のクロストークを低減させ、厚み方向の記録層間隔を詰めて、より多層化するものがある。さらには、多層・多光子吸収タイプのディスクも考えられている。
ここで、多層・多光子吸収タイプのディスクメモリについて注目する。
多層・多光子吸収は、簡単にいえば、複数の記録層を形成するディスクにおいて、レーザ光に対して記録層を透明にし、記録対象としていない記録層はレーザ光が通過するが、記録しようとする記録層ではレーザ光による反応が起き、データが記録されるようにするものである。
例えば図6(a)の光子ωのレーザ光を考える。このレーザ光は波長が810nmであるとする。このレーザ光を対物レンズで集光すると、その焦点位置となった記録層において非線形光学過程が生じ、2つの光子ωから、波長が1/2である1つの光子2ωが発生する。即ち波長が405nmの光子2ωが高エネルギー密度で発生し、これが記録層に吸収されて記録マークが形成される(二光子吸収)。
なおこのとき、記録層は例えば405nmの光に対して吸収率が高くなるように設計されているわけであるが、例えば810nmのレーザ光を用いて、405nmの光子を発生させ、記録を行うことで、著しい多層化が可能となる。
図6(b)にディスクに形成された記録層92を示すが、この記録層92はバッファ層93を介在させて多数形成されている。
記録層92は810nmのレーザ光に対して透明であるため、多数の記録層92が形成されていても波長810nmのレーザ光は、何層にもわたって形成されているうちの奥の記録層までも十分な光量で到達できる。
一方、各記録層92は405nmの光に対して高い吸収率としているとすると、波長405nmのレーザ光を照射した場合、そのレーザ光は徐々に光量が低下し、奥の方の記録層までは十分に届かないものとなる。換言すれば、405nmのレーザ光では全ての記録層に対して記録に十分な光量(エネルギー)を与えることができない。
ところが、二光子吸収の原理を用いると、まずディスクに照射するレーザ光は例えば波長を810nmとすることができるため、どの記録層に対しても十分な光量で到達できる。そして焦点位置となった記録層においては波長405nmの光子が高エネルギー密度で発生することにより、記録が可能となる。
つまり、例えば810nmという長い波長のレーザ光を用いて、焦点位置制御によって任意の記録層において二光子吸収を発生させて405nmの光子による記録を行うことができる。即ち長波長レーザを使用することで吸収を低減させたうえで、光軸方向に分解能を持つことができる。
このように、各記録層の反射率/吸収率を適正に設定し、長波長レーザを用いての二光子吸収を利用した記録を行うようにすれば、例えば層間がナノオーダから数μmという、ブルーレイディスクにおける25μmに比べ格段に狭いピッチで、しかも数層〜100層以上に及ぶ多層の光ディスクも実現可能となるものである。
記録層の層数の著しい増大は、そのまま記録容量の著しい増大に直結することはいうまでもない。
なお、上記の非特許文献には、三次元光記録、つまり多層メモリにおけるサーボ技術に関して、記録再生用のレーザとサーボ用のレーザを分離させ、反射層は多層記録層の最も奥に形成することが望ましいという記載がある。
現状の光ディスクシステムでは、記録再生用のレーザによる反射光からフォーカス・トラッキングサーボのためのエラー信号を得ているが、これは記録面と反射面が同一であるために可能となる。ところが上記二光子吸収を利用した多層ディスクを考える場合、各記録層に反射面を形成すると、光のロスが生じ、奥の方の記録層に記録光が届かなくなる。そこで記録再生用のレーザとサーボ用のレーザを分離させると共に最深層に反射面を形成する。例えば図7に示すよう記録層92が多数形成された多層ディスクにおいて、最深層に記録トラックに対応するランドL、グルーブGVが設けられた反射面95を形成する。
そしてこの最深層の反射面をサーボ用のレーザで走査することで、記録再生用のレーザのトラッキング制御を行い、またサーボ用のレーザの焦点位置からの変位として記録再生用のレーザのフォーカス制御を行うというものである。
ところで、光ディスクシステムにおいては、その発展過程において、いわゆるROMタイプディスク(再生専用ディスク)とRAMタイプディスク(リライタブルディスクやライトワンスディスクといった記録可能ディスク)の存在が大きな特徴となっており、ディスク記録再生装置においては、このROMタイプ、RAMタイプのディスクの互換性(以下、ROM/RAM互換性)が重要となっている。
また、それとともに、新たに開発された規格の光ディスクを記録再生できる光ディスク記録再生装置では、それ以前の規格の光ディスクも同時に再生可能であることが強く求められる。いわゆる「下位互換性」が満足されることが、記録再生装置として重要とされる。
しかしながら、例えば10層以上というような多層光ディスク(ROMディスク)を想定した場合、そのROMディスクを再生できるディスクドライブ装置を用いて再生可能なRAMタイプディスクは考えられていなかった。
これは、記録層の間隔が10μm以下になるような多層の書き込み可能な光ディスクにおいては、ROMディスクにおいてなされるような各層の反射率や吸収率を制御する方法によっても、層間隔が狭いため、CD−RやDVD−Rなどで採用されていた従来の方法では、例えば、ある記録層に書き込みを行った場合に隣同士の記録層にも記録してしまうとういう問題を回避することが極めて困難となるといった問題があったからである。また、このような状況の中で、「下位互換性」についても考えられていない。
このような状況の中、CD−RやDVD−Rなどに採用されている従来の方法ではない別のやり方で、大容量のデータを書き込める光ディスク記録方式の一つとして、上述した二光子吸収を利用した光ディスクが提案された。
上記のように、この記録方式は、光源の波長として光ディスクが透明となる領域の長波長光が利用できるため、光ディスクの記録層の厚さ方向にわたって記録でき、体積記録として大容量の書き込み可能な光ディスクが実現できる。
そして二光子吸収を利用して記録層間隔を極めて狭くしても適正に任意の記録層のみに記録が実行できるようになった現状では、その「ROM/RAM互換性」及び「下位互換性」が実現されることが課題とされている。
さらに、下位互換性に関しては、上述のように最深部に反射層を設けてサーボ用のレーザで走査するという方式はなじみにくい。つまり、例えばブルーレイディスク等と、再生用のレーザとサーボ用のレーザが共通であるシステムとされているディスクとの互換性を考えた場合、サーボ用のレーザで走査を行って記録再生用のレーザに関するフォーカス・トラッキングサーボを行うということは、構成や制御方式の複雑化を余儀なくされるためである。
本発明はこのような事情に鑑み、例えば10層以上などの多層光ディスク等を用いる記録再生システムにおいて、「ROM/RAM互換性」と「下位互換性」を実現する手段を提供することを目的とする。
本発明の記録再生装置は、記録媒体に対して、光学ピックアップからレーザ照射を行って情報の記録再生を行う記録再生装置である。そして上記光学ピックアップ内には、上記記録媒体に記録された情報の読み出しとフォーカスサーボ及びトラッキングサーボのための情報の取得のために使用する第1のレーザ光を出力する第1のレーザ光源手段と、上記記録媒体への情報の書き込みに使用する第2のレーザ光を出力する第2のレーザ光源手段と、上記記録媒体からの反射光を検出するディテクタ手段と、上記第1のレーザ光及び上記第2のレーザ光を上記記録媒体に導き、また上記記録媒体からの反射光を上記ディテクタ手段に導く光学系手段とを備える。上記第1のレーザ光の波長λ1は、Xnm<λ1<Ynmとされ、上記第2のレーザ光の波長λ2は、2・Xnm≧λ2、又は2・Ynm≦λ2とされている。
上記Xnmは例えば390nm、上記Ynmは例えば410nmである。
また上記光学系手段は、上記第1,第2のレーザ光源手段から出力された第1,第2のレーザ光が、該光学系手段におけるレーザ出力端となる対物レンズを通過後、上記記録媒体上の略同一点に集光されるように形成されている。
また上記第2のレーザ光は、上記記録媒体の記録層に対して、多光子吸収の非線形光学過程によって生じた光子を利用して情報を記録するためのレーザ光である。
また上記第2のレーザ光源手段から出力された上記第2のレーザ光の光量と、上記記録媒体で反射された上記第2のレーザ光の光量とを検出し、その光量比から装填されている記録媒体の種別を判別する判別手段をさらに備える。
本発明の記録再生方法は、記録媒体に対して、光学ピックアップからレーザ照射を行って情報の記録再生を行う記録再生装置であって、上記光学ピックアップ内に、波長λ1が、Xnm<λ1<Ynmとされている第1のレーザ光を出力する第1のレーザ光源手段と、波長λ2が、2・Xnm≧λ2、又は2・Ynm≦λ2とされている第2のレーザ光を出力する第2のレーザ光源手段を有する記録再生装置における記録再生方法であり、上記第1,第2のレーザ光源手段から出力された第1,第2のレーザ光が、レーザ出力端となる対物レンズを通過後、上記記録媒体上の略同一点に集光されるように光学系を調整したうえで、記録時には、上記第1のレーザ光の反射光から得られる信号を用いてフォーカスサーボ及びトラッキングサーボを行うとともに、上記第2のレーザ光により、上記記録媒体の記録層に、多光子吸収の非線形光学過程によって光子を生じさせて情報を記録し、再生時には、上記第1のレーザ光の反射光から得られる信号を用いて、フォーカスサーボ及びトラッキングサーボを行うとともに上記記録媒体に記録された情報を再生する。
本発明の記録媒体は、厚み方向に複数の記録層が形成され、上記各記録層にはグルーブもしくはランド構造により記録トラックが形成され、上記各記録層は、レーザ光が照射された際の、多光子吸収の非線形光学過程によって生じた光子によって情報が記録される構造とされている。
また上記各記録層は、波長λ1が、Xnm<λ1<Ynmとされている第1のレーザ光に対しては所定の反射率と吸収率を有し、波長λ2が、2・Xnm≧λ2、又は2・Ynm≦λ2とされている第2のレーザ光に対しては、その反射率と吸収率が概ね5%以下であるように設定されている。
即ち本発明の記録再生装置、記録再生方法では、第1,第2のレーザ光源手段を備え、そのレーザ光の波長は、再生及びサーボのために反射光を得るための第1のレーザ光の波長と、記録用の実質的な波長、つまり第2のレーザ光の波長の1/2の波長とが、重ならないようにしている。記録用の実質的な波長とは、二光子吸収の過程で波長が半分になることから、第1のレーザ光の波長の1/2の波長となる。
再生及びサーボのためレーザ光の波長(読出波長)と、実質的な記録用のレーザ光の波長がずれていることで、記録媒体の記録層における吸収率、反射率の設定、つまり膜設計の自由度が増す。例えば記録層において、実質的な記録波長に対する吸収率を極めて大きく設定し、一方読出波長に対する感度を低く抑えることが可能となる。そしてこれはROM/RAM互換を可能とする。
そして各レーザ光の波長範囲の設定により、下位互換にも好適となる。例えば上記Xnmを390nm、上記Ynmを410nmとする場合、つまり第1のレーザ光の波長λ1が、390nm<λ1<410nmとされ、第2のレーザ光の波長λ2が、780nm以下、又は820nm以上とされると、ブルーレイディスクやHD−DVDとの互換性を得ることができる。
また、本発明の記録媒体は各記録層にランド/グルーブが形成されているため、各記録層において第1のレーザ光の反射光からサーボ情報を得ることができる。さらに第1のレーザ光と第2のレーザ光の焦点位置が略一致されていることで、第1のレーザ光の反射光を用いた従前のサーボ処理により、記録用の第2のレーザ光についてもそのままフォーカス・トラッキングサーボが適正に実現される。
本発明によれば、再生及びサーボのためレーザ光の波長(読出波長)と、実質的な記録用のレーザ光の波長がずれていることで、例えば10層以上等の非常に多層の光ディスクなどを用いるシステムにおいて、ROM/RAM互換性を実現することができる。
また、レーザ光の波長の選定によって下位互換性も得ることができる。例えば本発明の記録媒体を多光子吸収記録方式の多層ディスクであるとしたときに、第1のレーザ光の波長λ1が390nm<λ1<410nmとされ、第2のレーザ光の波長λ2が、780nm以下、又は820nm以上とされることで、ブルーレイディスクやHD−DVDとの互換性を得ることができる。
さらに、記録媒体の各記録層にランド/グルーブが形成され、また第1のレーザ光と第2のレーザ光の焦点位置が略一致されていることで、本発明の多光子吸収型の記録媒体に対して簡易なサーボ制御及び再生アクセスを実現できる。さらには、ブルーレイディスク等の下位互換を求める記録媒体と共通のサーボ制御系、光学系を使用できることで、下位互換性を備えた記録再生装置として構成を容易化できる。
また、第2のレーザ光源手段から出力された第2のレーザ光の光量と、記録媒体で反射された第2のレーザ光の光量の光量比によって装填されている記録媒体の種別を判別することで、下位互換機として適切な動作を実現できる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
まず図2で実施の形態のディスクドライブ装置(記録再生装置)の全体構成を説明する。
図2においてディスクドライブ装置1に装填されるディスク90は、図3で後述する二光子吸収方式で記録を行う本例の多層ディスクであるが、後述するように本例のディスクドライブ装置1はブルーレイディスク等に対する下位互換性やROM/RAM互換性を備えるため、これらの種別のディスクが装填される場合もある。
ユーザーによって挿入されたディスク90は、記録/再生動作時においてスピンドルモータ52によって一定線速度(CLV)又は一定角速度(CAV)で回転駆動される。
データ記録時には光学ピックアップ51によって、ディスク90の記録層(1層ディスクの記録層又は多層ディスクの或る1つの記録層)にレーザ照射が行われてピットマークが形成されデータが記録される。また再生時には光学ピックアップ51からのレーザ照射によって、記録されていたピットマークの読出が行われる。
また、光学ピックアップ51によってディスク90上のウォブリンググルーブとして埋め込まれたアドレス情報(ADIP情報:Address in Pregroove)の読み出しがおこなわれる。
ピックアップ51内には、レーザ光源や、反射光を検出するためのフォトディテクタ、レーザ光の出力端となる対物レンズ、レーザ光を対物レンズを介してディスク記録面に照射し、またその反射光をフォトディテクタに導くための光学系が形成される。詳しくは図1を用いて後述するが、本例の場合、2つのレーザ光源が搭載されている。
またピックアップ51内において対物レンズは二軸機構(二軸アクチュエータ)によってトラッキング方向及びフォーカス方向に移動可能に保持されている。
またピックアップ51全体はスレッド機構53によりディスク半径方向に移動可能とされている。
またピックアップ51における2つのレーザ光源はレーザドライバ63からのドライブ信号(ドライブ電流)によってレーザ発光駆動される。
ディスク90からの反射光情報はフォトディテクタによって検出され、受光光量に応じた電気信号とされてマトリクス回路54に供給される。
マトリクス回路54には、フォトディテクタとしての複数の受光素子からの出力電流に対応して電流電圧変換回路、マトリクス演算/増幅回路等を備え、マトリクス演算処理により必要な信号を生成する。
例えば再生データに相当する高周波信号(RF信号)、サーボ制御のためのフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号などを生成する。
さらに、グルーブのウォブリングに係る信号、即ちウォブリングを検出する信号としてプッシュプル信号を生成する。
マトリクス回路54から出力されるRF信号(再生データ信号)はデータ信号処理回路55へ、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号は光学ブロックサーボ回路61へ、プッシュプル信号はウォブル信号処理回路65へ、それぞれ供給される。
データ信号処理回路55は、RF信号に対して2値化処理、PLLによる再生クロック生成処理等を行い、読み出されたデータをデータ復調回路56に供給する。
データ復調回路56は、再生時におけるデコード処理として、再生クロックに基づいてランレングスリミテッドコードの復調処理を行う。復調処理されたデータはECCエンコーダ/デコーダ57に供給される。
ECCエンコーダ/デコーダ57は、記録時にエラー訂正コードを付加するECCエンコード処理と、再生時にエラー訂正を行うECCデコード処理を行う。
再生時には、データ復調回路56で復調されたデータを内部メモリに取り込んで、エラー検出/訂正処理及びデインターリーブ等の処理を行い、再生データを得る。
ECCエンコーダ/デコーダ57で再生データにまでデコードされたデータは、コントローラ50の指示に基づいて読み出され、再生データとして出力される。
ディスク90上のグルーブのウォブリングに係る信号としてマトリクス回路54から出力されるプッシュプル信号は、ウォブル信号処理回路65においてデジタル化されたウォブルデータとされる。またPLL処理によりプッシュプル信号に同期したクロックが生成される。
ウォブルデータはADIP復調回路66でADIPアドレスを構成するデータストリームに復調されてアドレスデコーダ59に供給される。
アドレスデコーダ59は、供給されるデータについてのデコードを行い、アドレス値を得て、コントローラ50に供給する。
記録時においてディスクドライブ装置1に供給されてくる記録データは、ECCエンコーダ/デコーダ57におけるメモリに送られてバッファリングされる。
この場合ECCエンコーダ/デコーダ57は、バファリングされた記録データのエンコード処理として、エラー訂正コード付加やインターリーブ、サブコード等の付加を行う。
またECCエンコードされたデータは、記録パルス変換回路64において所定のランレングスリミテッドコードの変調が施される。なお、記録時においてこれらのエンコード処理のための基準クロックとなるエンコードクロックはウォブル信号から生成したクロックを用いる。
記録パルス変換回路64でのエンコード処理により生成された記録データは、レーザドライバ63で、記録補償処理として、記録層の特性、レーザー光のスポット形状、記録線速度等に対する最適記録パワーの微調整やレーザドライブパルス波形の調整などが行われる。そしてレーザドライバ63は、記録補償処理したレーザドライブパルスをピックアップ51内の記録用のレーザ光源に与えてレーザ発光駆動を実行させる。これによりディスク90に記録データに応じたピットマークが形成されることになる。
光学ブロックサーボ回路61は、マトリクス回路54からのフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号から、フォーカス、トラッキング、スレッドの各種サーボドライブ信号を生成しサーボ動作を実行させる。
即ちフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号に応じてフォーカスドライブ信号、トラッキングドライブ信号を生成し、二軸ドライバ68によりピックアップ51内の二軸機構のフォーカスコイル、トラッキングコイルを駆動することになる。これによってピックアップ51、マトリクス回路54、光学ブロックサーボ回路61、二軸ドライバ68、二軸機構によるトラッキングサーボループ及びフォーカスサーボループが形成される。
また光学ブロックサーボ回路61は、コントローラ50からのフォーカスサーチ指令やフォーカスジャンプ指令に応じて、フォーカス引き込みのためのサーチ駆動信号や、複数層ディスクに対する記録層の移動のためのジャンプ駆動信号を出力することで、フォーカスサーチ動作やフォーカスジャンプ動作を実行させる。
また光学ブロックサーボ回路61は、コントローラ50からのトラックジャンプ指令やシーク指令に応じて、トラッキングサーボループをオフとし、ジャンプ/シークのためのトラッキング駆動信号を出力することで、トラックジャンプ動作やシーク動作を実行させる。
また光学ブロックサーボ回路61は、トラッキングエラー信号の低域成分として得られるスレッドエラー信号や、コントローラ50からのアクセス実行制御などに基づいてスレッド駆動信号を生成し、スレッドドライバ69によりスレッド機構53を駆動する。スレッド機構53には、図示しないが、ピックアップ51を保持するメインシャフト、スレッドモータ、伝達ギア等による機構を有し、スレッドドライブ信号に応じてスレッドモータを駆動することで、ピックアップ51の所要のスライド移動が行なわれる。
スピンドルサーボ回路62はスピンドルモータ52を例えばCLV回転させる制御を行う。
スピンドルサーボ回路62は、ウォブル信号に対するPLL処理で生成されるクロックを、現在のスピンドルモータ52の回転速度情報として得、これを所定のCLV基準速度情報と比較することで、スピンドルエラー信号を生成する。
またデータ再生時においては、データ信号処理回路55内のPLLによって生成される再生クロック(デコード処理の基準となるクロック)が、現在のスピンドルモータ52の回転速度情報となるため、これを所定のCLV基準速度情報と比較することでスピンドルエラー信号を生成することもできる。
そしてスピンドルサーボ回路62は、スピンドルエラー信号に応じて生成したスピンドルドライブ信号を出力し、スピンドルドライバ67によりスピンドルモータ52のCLV回転を実行させる。
またスピンドルサーボ回路62は、コントローラ50からのスピンドルキック/ブレーキ制御信号に応じてスピンドルドライブ信号を発生させ、スピンドルモータ52の起動、停止、加速、減速などの動作も実行させる。
以上のようなサーボ系及び記録再生系の各種動作はマイクロコンピュータによって形成されたコントローラ50により制御される。
また、ディスク種別判別スイッチ70が設けられ、その情報がコントローラ50に供給される。例えばディスク90がカートリッジに収納された形態のディスクであることを想定した場合、ディスクカートリッジに形成された孔形状等により、このディスク種別判別スイッチ70がオン/オフされるようにする。これによりコントローラ50は、装填されたディスクが、後述する図3のような本例の多層ディスクであるか、従前のディスク(例えばブルーレイディスク)であるかを判別し、種別に応じた制御が可能となる。
このような本例のディスクドライブ装置1においては、二光子吸収原理を利用して例えば10層以上とされた記録層構造のディスク90に対して記録再生を行うことができ、さらにROM/RAM互換性とブルーレイディスク等に対する下位互換性を備えるものである。
このために、ピックアップ51は図1のような構成を備えるものとされている。
まず、レーザダイオード等によるレーザ光源として2つのレーザ光源11,12を備える。第1のレーザ光源11は、出力するレーザの波長λが少なくとも390 nm<λ<410 nmとされている。また第2のレーザ光源12は、波長λが780 nm以下または820 nm以上とされている。
つまりレーザ光源11のレーザ光の波長λ1は、Xnm<λ1<Ynmとされ、レーザ光源12のレーザ光の波長λ2は、2・Xnm≧λ2、又は2・Ynm≦λ2とされているものであり、この例の場合、上記Xnmは390nm、上記Ynmは410nmである。
そしてレーザ光源11は、データ読出用と、フォーカス制御/トラッキング制御用のレーザ光源とて利用される。
一方、レーザ光源12は、データ書込用のレーザ光源として利用される。
レーザ光源11からのレーザ光はコリメートレンズ13、ビームスプリッタ15を介してダイクロイックミラー16に達する。またレーザ光源12からのレーザ光はコリメートレンズ14を介してダイクロイックミラー16に達する。そしてこのレーザ光源11,12からのレーザ光は、ダイクロイックミラー16によって合波され、対物レンズ17によってディスク90の記録層に集光される。
対物レンズ17は、二軸機構25によってフォーカス方向及びトラッキング方向に移動可能に保持されており、上述したサーボ動作により制御される。
ディスク90からの反射光は、対物レンズ17、ダイクロイックミラー16、ビームスプリッタ15を介して検出光学系に導かれ、レンズ系18,ピンホール19によって所望の記録層の反射光がフォトディテクタ20によって検出される。
フォトディテクタ20によっては、レーザ光源11からのレーザ光の反射光が検出され、上述したようにその反射光に応じた信号がマトリクス回路54に供給されて再生データ信号、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号等が生成される。
ここで本例では、レーザ光源11からのレーザ光と、レーザ光源12からのレーザ光が、両方とも対物レンズ17を通過後、光ディスク90の概同一面上の概ね同一点に集光される様に光学系が設計・調整されている。つまり光路長や焦点距離、NAなど光学系の各種条件により、同一点に集光されるように設計及び調整される。
従って、レーザ光源11からのレーザ光の反射光を利用してフォーカスサーボおよびトラッキングサーボを行えば、自動的にレーザ光源12からのレーザ光も、レーザ光源11のレーザ光と同一のスポット上に集光される。つまりレーザ光源11からのレーザ光を利用してのフォーカスサーボ、トラッキングサーボによって、レーザ光源11,12からの各レーザ光は同じ所望の記録面上の所望の場所に集光される。
ここで図3に、記録層が10層とされた本例のディスク90の構造例を模式的に示す。
ディスク90は、レーザ光入射側(対物レンズ17側)のカバー層91から、ディスク基板94までの間に、バッファ層93を介在させて10層の記録層92(レイヤL0〜L9)が形成される。なお、もちろん11層以上の記録層を設ける構造も可能である。
各記録層92(L0〜L9)は、グルーブ/ランド構造が形成されており、グルーブGVとランドLの一方、もしくは両方が記録トラックとされる。
また、ある記録層とその記録層の片側または両側にある記録層までの間隔、つまりバッファ層93の厚みは300 nm以上10μm以下である。
各記録層92は、レーザ光源11のレーザ光の波長(390 nm<λ<410 nm:例えば405nm)においては所定の反射率と吸収率もしくはそのどちらか一方を有している。また、レーザ光源12のレーザ光の波長(780 nm以下または820 nm以上:例えば820nm)においてはその反射率と吸収率が概ね5%以下である様に設定されている。
本例のディスクドライブ装置1は、例えばこのような本例の10層以上の記録層92を有する光ディスクに対応するため、ピックアップ51における検出光学系は共焦点光学系で構成されていることが望ましい。
即ち図1に示したように、ディスク90からの反射光を検出する検出光学系はレンズ系18及びピンホール19を有する共焦点光学系で構成されている。共焦点光学系を採用することにより従来の通常の光ピックアップの光学系に比べディスク90からの読出信号(反射光)のディスク90における縦分解能を大幅に向上することができ、例えば10層以上の記録層92の間隔が例えば数μmから1μm以下のものであっても、各記録層92からの読出信号をコントラストよく再生することができる。
以上のような本例のディスクドライブ装置1とディスク90を用いたデータの記録再生について説明する。
ディスク90へのアクセス(再生)やフォーカスおよびトラッキングサーボのためには、レーザ波長λが390 nm<λ<410 nmとされているレーザ光源11を利用する。
レーザ光源11からのレーザ光は、コリメータレンズ13を通過後、ビームスプリッタ15とダイクロイックミラー16で反射され、対物レンズ17に導かれ光ディスク90の記録層92に照射される。そして図3のディスク90の各記録層92(L0〜L9)からは反射光が得られる。各記録層92は、390 nm<λ<410 nmの波長に対して所定の反射率を有するためである。そして記録層92からの反射光は、再び対物レンズ17とダイクロイックミラー16,ビームスプリッタ15を介して検出光学系に至り、フォトディテクタ20によって電気信号として検出される。
従って、共焦点光学系を採用した検出検出系により所望の記録層を選択でき、所望の記録層に対する再生データ信号を得ることができる。
また同様に記録層92の反射光から、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号を得ることができる。各記録層92にはランドLもしくはグルーブGVとして記録トラックが形成されているので、フォトディテクタ20によって検出される、記録層92からの反射光の情報にはフォーカス情報とトラッキング情報が含まれることになるためである。この反射光から各エラー信号を得る事が可能であるため、レーザ光源11からのレーザ光を所望の記録層の所望のトラックに焦点を結ばせることができる。
また本例では、レーザ光源12は記録用のレーザ光源とされる。つまりデータ記録の際には、所定の記録層92の記録トラックに、レーザ光源12からのレーザ光が集光される。
上述のように本例では、レーザ光源11からのレーザ光のスポット位置と、レーザ光源12からのレーザ光のスポット位置が一致するように調整されているので、記録時には、レーザ光源12からの光ビームを、レーザ光源11からのレーザ光を利用して選らんだ所望の場所(記録層及びトラッキング)に集光させることができる。
つまり、ディスク90の各記録層92は、レーザ光源12からのレーザ光の波長に対しては概ね透明であり、その反射光を得ることが困難だが、レーザ光源11からのレーザ光を用いたサーボ制御により、レーザ光源12からのレーザ光の集光位置を制御できるものとなる。
実際にレーザ光源12からのレーザ光を利用してデータを書き込む方式について述べる。データ書込は、図6で説明した非線形光学過程による二光子吸収の原理を用いて行う。
まず、レーザ光源12には少なくとも瞬間的には極めて大きな光密度を達成することができるように設計されたレーザ光源を利用するのが望ましい。この様な光源としては、例えば半導体レーザ励起のファイバーレーザやロッキングされた半導体レーザなどがある。例えば、ファイバーレーザやロッキングされた半導体レーザは、パルス幅がピコ秒やフェムト秒などの極めて短いパルスで発振し、その尖頭パワーを極めて大きくできる。
このように大きなパワーの光ビームをレンズで集光すると更に大きな光エネルギー密度が実現できる。光エネルギー密度が高まれば高まる程、非線形の光学過程が起こるようになる。この場合、光エネルギー密度が高いのは、光ディスクの記録層92に集光されたビームスポットの近傍である。従って、非線形の光学過程はこの領域のみに選択的に起こる。非線形の光学過程は二光子吸収過程が最も起こりやすく支配的となる。
二光子吸収過程は、波長λの光子を2個吸収して波長λ/2の光子を1個発生する過程である。そしてレーザ光源12のレーザ光の波長をλ2とすると、レーザ光源12からの光ビームが集光したビームスポットの近傍だけ選択的に(二光子吸収過程で波長λ2の光子を2個吸収して)波長λ2/2の光子が1個発生する。
光ディスク90の記録層92は、レーザ光源12の波長λ2(例えば820nm)では概ね透明で光エネルギーの吸収はないが、二光子過程で発生した波長λ2/2(例えば410nm)では所定の吸収率があるため、波長λ2/2の光エネルギーは記録層92で吸収され、この吸収されたエネルギーによって、通常良く知られている相変化記録や磁気記録や溶解や変形などの熱による記録やフォトクロミックなどの光化学反応による記録などを通じて記録層92にデータが記録される。
以上のような方法で記録を行うが、この場合、選択的に所望の領域にのみ二光子過程により発生したλ2/2の光によって、その所望の記録層92上だけに選択的に光エネルギーを供給でき、その他の領域は波長λ2の光ビームであることから、例えばバッファ層93や他の記録層92には何の変化も加えないことになる。
一方で、データの読出については、通常の多層ROM光ディスクと同様な方法で行えばよい。読出用の光源としては、レーザ光源11を利用する。レーザ光源11のレーザ光の波長をλ1とすると、上述のように390 nm<λ1<410 nmである。つまブルーレイディスクやHD−DVDと互換性がとれる波長に設定している。
つまり、レーザ光源11からのレーザ光によっては、図3の多層ディスク90について再生を行うことができると共に、ブルーレイディスク等及びそれらのROMディスクについても再生可能であり、下位互換性、ROM/RAM互換性を得ることができる。
なお、書込用としたレーザ光源12のレーザ光の波長λ2として、例えばDVDのためのレーザ波長660nmを利用していれば、DVDに関しては、レーザ光源12を利用することで読み出しあるいは書き込みも行うことができる。
また、レーザ光源12のレーザ光の波長λ2として、CDのためのレーザ波長780nmを利用していれば、CDに関してもレーザ光源12を利用することで読み出しあるいは書き込みも行うことができる。つまり、下位互換性をさらに拡張することも可能となる。
以上のような本例のレーザ光源11,12の波長設定の意味及びその有用性を説明する。
まず本例においてレーザ光源11のレーザ光の波長λ1を390 nm<λ1<410 nmとし、レーザ光源12のレーザ光の波長λ2を780 nm以下または820 nm以上とすることについてのポイントは次の(i)(ii)の通りである。
(i)実質的な書込波長と読出し波長が波長範囲において重ならないように設定されている。
例えば10層以上の本例の多層光ディスク用の書込用レーザ光源12の波長範囲は、780 nm以下または820 nm以上と設定されているが、この波長λ2で書込みを行った場合、多層ディスクへの書込み時には、二光子吸収の過程によって波長が半分になるので、その「実質的な書込波長」は390 nm以下または410 nm以上となる。この波長範囲は、読出し用レーザ光源11の波長範囲(390 nm < λ <410 nm)と波長において重なる部分がない。
(ii)読出レーザの波長範囲は、本例の多層ディスクに対して下位であるブルーレイディスクやHD−DVDの読出/書込が可能な波長に設定されている。
まず(ii)について説明する。これは、一つには、光ディスクシステムの重要な特徴である「下位互換性」を保つためである。(ii)の条件を満たすことによって、ドライブシステムに互換のための高価なシステムを搭載する必要もなく、つまり多層ディスクに対応する本例のディスクドライブ装置1においてもブルーレイディスクやHD−DVDを取り扱うことが極めて容易となり、下位互換を保つことができる。
もう一つには、本例の多層ディスクの読み書きを容易にするためである。二光子吸収を利用した光ディスクシステムのフォーカスやトラッキングの制御は、現状において、まだ殆ど考慮されていない。提案としては非特許文献1に挙げられているもの、つまり図7で説明したように最深の層にサーボのためのランド/グルーブ構造を設けるものがある。
ここで本例では、(ii)としての波長範囲の設定とともに、読出用のレーザ光源11を利用して書込用のレーザ光源12のフォーカス/トラッキングサーボを行うようにしている。これは上述のように、全ての記録層92にランド/グルーブ構造が形成され、またレーザ光源11,12の各レーザ光の合焦点位置が略一致するように調整されていることにより可能となる。
つまり図7で説明したような特殊なサーボ方式を用いる必要はなく、従来のシステムと同様に、読出時、書込時のいずれも、目標とする記録層92の反射光から、その記録層に対するフォーカス制御、トラッキング制御を行うことができる。このことは、データの読出も現状のブルーレイディスクやHD−DVDのフォーカス・トラッキング・読出の方法がそのまま利用できることを意味し、換言すれば「下位互換性」を確保するためにディスクドライブ装置1に新たなシステムを必要としないことになるため、極めて有用である。
次に(i)について説明する。(i)の条件は、所謂「ROM/RAM互換性」のためとなる。
上記したように、二光子吸収によって発生した光の「実質的な書込波長(λ2/2)」と、読出用レーザ光源11の波長λ1とが、その波長範囲において重なる部分がないように設定することで、ROM/RAM互換が可能となる。
その理由を説明する。
通常の例えば単層の光ディスクでの書込と読出は同一の波長のレーザ光源を利用し、書込の時は大きなパワーで書き込み、読出の時は記録閾値以下の小さなパワーで読み出す仕組みになっている。単層ディスクに対しては、レーザの読出パワーと書込パワーにかなり大きな差をつけることができる。従って、光ディスクの記録膜を、その書込及び読出のためのレーザの波長において反射・吸収係数が大きくなるように膜設計を行うのが普通である。しかし、例えば10層以上の多層光ディスクにおいては、層数が増えれば増えるほどこのような「書込レーザ波長=読出レーザ波長」を前提とした設計は困難となってくる。 理由は二つある。1つは、吸収を大きくすると、多層にした場合、光源から離れた記録層は霧の彼方に隠れたように暗く霞んで見えなくなってしまうことである。つまり、奥の記録層まで十分なレーザ光量を届けることができない。
もう1つの理由は次の通りである。上記のように奥の記録層に十分な光量が届きにくくなることを考慮して、暗くなった分レーザパワーを上げて明るくして読み出す方法も考えられるが(例えば、ROMディスクだけの場合はこの方法でも可能である)、リライタブル或いはライトワンスタイプのメディアに書かれたデータを読み出すことは、特に層数が多くなると困難になる。なぜなら、光エネルギーを熱に変換して記録する熱記録の場合は、多層であって隣の記録層との層間が狭いと、隣り合った記録膜同士のレーザで照射されている部分のエネルギー密度の差が小さくなってしまい、書き込まれている記録層の隣の記録層にも書き込みを行ってしまうことになるからである。
また、光子のエネルギー自体で記録する所謂フォトンモードでの記録を考えると、弱いパワーでも記録されてしまうので、書込用のレーザ光の波長と読出用のレーザ光の波長を一致させることは困難であるからである。
しかしながら、本例のように「実質的な記録波長λ2/2」と読出波長λ1が異なるように波長を設定しておけば、光ディスク90の記録層92の方で実質的な記録波長における吸収率を自由に設定することが可能となる。つまり、読出波長λ1における吸収率に比べ実質的な書込み波長λ2/2における吸収率を極めて大きく設定することが可能となり、また、読出波長λ1に対する記録感度を低く抑えることも可能となる。
従って、このとき読出波長λ1(レーザ光源11)を、下位互換の観点から、ブルーレイディスクやHD−DVDに利用されている波長に設定し、実質的な書込波長(即ちレーザ光源12の波長λ2は実質的な書込波長λ2/2の2倍)が読出波長λ1と重ならないように設定すれば、ROM/RAM互換と下位互換を保つことが可能となる。
以上のことから、本実施の形態によれば、例えば10層以上の記録層を形成した光ディスク90を用いるディスクドライブ装置1において、光ディスクシステムで重要とされる「ROM/RAM互換性」と「下位互換性」を実現できることが理解される。
ところで、特に互換性を考える場合、ディスクドライブ装置1は、装填されたディスク90の種別を判別することが必要となる。図2ではディスク種別判別スイッチ70を設けた例を挙げたが、図4,図5で、光学的にディスク種別を判別する例を説明する。
上記したとおり、多光子吸収タイプの本例の光ディスク90は書込用のレーザ光源12の波長λ2に対しては概ね透明である。
一方、従来のブルーレイディスクでは、該当波長に対して透明ではない。このことを利用して、ディスクドライブ装置1に挿入された光ディスク90が「多光子吸収タイプ」であるか従来型、例えばブルーレイディスクタイプのものであるかを判別することが可能となる。
図4にピックアップ51の構成を示すが、上述した図1と異なることは、ビームスプリッタ21,フォトディテクタ22,23が追加されている点である。他の構成やレーザ波長は図1と同様である。
また図5はディスクドライブ装置1の全体構成を示しているが、図2と異なるのは、ディスク判別回路71が設けられている点である。上記フォトディテクタ22,23の出力はディスク判別回路71に供給される。他の構成は図2と同様である。
書込用のレーザ光源12から放射されたレーザ光は、コリメートレンズ14を介してビームスプリッタ21に到達する。ビームスプリッタ21に到達したレーザ光の一部は反射されてフォトディテクタ22に到達する。フォトディテクタ22は受光した光量に応じた電気信号を出力する。
一方、ビームスプリッタ21で反射されなかった残りのレーザ光は、引き続きダイクロイックミラー16,対物レンズ17を介して光ディスク90に到達する。光ディスク90からの反射光のうち、レーザ光源12からのレーザ光に係る光成分は、再び対物レンズ17を通過後、ダイクロイックミラー16を通過してビームスプリッタ21に達し、その一部が反射されてフォトディテクタ23に到達する。フォトディテクタ23は受光した光量に応じた電気信号を出力する。
フォトディテクタ22,23の出力は図5のディスク判別回路71に供給され、レーザ光源12からのレーザ光に対するディスク90の反射率が計算される。即ちフォトディテクタ22の受光光量と、フォトディテクタ23の受光光量の比が算出される。この反射率の情報がコントローラ50に供給され、ディスク種別が判定される。
もし、装填された光ディスク90が多光子吸収タイプのものであるならは、その反射率は極めて低いものとなる。一方、例えばブルーレイディスク等、従来型の光ディスクであれば所定の反射率が測定される。このため、測定される反射率に適当な閾値を設けその閾値と計算された反射率とから得られる信号から光ディスクが多光子吸収タイプのものかどうかを判別することができる。
コントローラ50は、このようにしてディスク種別を判別することで、装填されたディスク90に対して適切な記録又は再生動作制御を行うことができるようになる。
本発明の実施の形態のディスクドライブ装置のピックアップ構造の説明図である。 実施の形態のディスクドライブ装置のブロック図である。 実施の形態の多層ディスクの層構造の説明図である。 他の実施の形態のピックアップ構造の説明図である。 他の実施の形態のディスクドライブ装置のブロック図である。 二光子吸収の説明図である。 多層ディスクに対するサーボ方式例の説明図である。
符号の説明
1 ディスクドライブ装置、11,12 レーザ光源、13,14 コリメートレンズ、15,21 ビームスプリッタ、16 ダイクロイックミラー、17 対物レンズ、20,22,23 フォトディテクタ、50 コントローラ、71 ディスク判別回路、90 ディスク、92 記録層、93 バッファ層

Claims (11)

  1. 記録媒体に対して、光学ピックアップからレーザ照射を行って情報の記録再生を行う記録再生装置において、
    上記光学ピックアップ内には、
    上記記録媒体に記録された情報の読み出しと、フォーカスサーボ及びトラッキングサーボのための情報の取得のために使用する第1のレーザ光を出力する第1のレーザ光源手段と、
    上記記録媒体への情報の書き込みに使用する第2のレーザ光を出力する第2のレーザ光源手段と、
    上記記録媒体からの反射光を検出するディテクタ手段と、
    上記第1のレーザ光及び上記第2のレーザ光を上記記録媒体に導き、また上記記録媒体からの反射光を上記ディテクタ手段に導く光学系手段と、
    を備え、
    上記第1のレーザ光の波長λ1は、Xnm<λ1<Ynmとされ、
    上記第2のレーザ光の波長λ2は、2・Xnm≧λ2、又は2・Ynm≦λ2とされていることを特徴とする記録再生装置。
  2. 上記Xnmは390nm、上記Ynmは410nmであることを特徴とする請求項1に記載の記録再生装置。
  3. 上記光学系手段は、上記第1,第2のレーザ光源手段から出力された第1,第2のレーザ光が、該光学系手段におけるレーザ出力端となる対物レンズを通過後、上記記録媒体上の略同一点に集光されるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の記録再生装置。
  4. 上記第2のレーザ光は、上記記録媒体の記録層に対して、多光子吸収の非線形光学過程によって生じた光子を利用して情報を記録するためのレーザ光であることを特徴とした請求項1に記載の記録再生装置。
  5. 上記第2のレーザ光源手段から出力された上記第2のレーザ光の光量と、上記記録媒体で反射された上記第2のレーザ光の光量とを検出し、その光量比から装填されている記録媒体の種別を判別する判別手段を、さらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の記録再生装置。
  6. 記録媒体に対して、光学ピックアップからレーザ照射を行って情報の記録再生を行う記録再生装置であって、
    上記光学ピックアップ内に、波長λ1が、Xnm<λ1<Ynmとされている第1のレーザ光を出力する第1のレーザ光源手段と、波長λ2が、2・Xnm≧λ2、又は2・Ynm≦λ2とされている第2のレーザ光を出力する第2のレーザ光源手段を有する記録再生装置における記録再生方法として、
    上記第1,第2のレーザ光源手段から出力された第1,第2のレーザ光が、レーザ出力端となる対物レンズを通過後、上記記録媒体上の略同一点に集光されるように光学系を調整したうえで、
    記録時には、上記第1のレーザ光の反射光から得られる信号を用いてフォーカスサーボ及びトラッキングサーボを行うとともに、上記第2のレーザ光により、上記記録媒体の記録層に、多光子吸収の非線形光学過程によって光子を生じさせて情報を記録し、
    再生時には、上記第1のレーザ光の反射光から得られる信号を用いて、フォーカスサーボ及びトラッキングサーボを行うとともに上記記録媒体に記録された情報を再生することを特徴とする記録再生方法。
  7. 上記Xnmは390nm、上記Ynmは410nmであることを特徴とする請求項6に記載の記録再生方法。
  8. 厚み方向に複数の記録層が形成され、
    上記各記録層にはグルーブもしくはランド構造により記録トラックが形成され、
    上記各記録層は、レーザ光が照射された際の、多光子吸収の非線形光学過程によって生じた光子によって情報が記録される構造とされていることを特徴とする記録媒体。
  9. 上記各記録層は、
    波長λ1が、Xnm<λ1<Ynmとされている第1のレーザ光に対しては所定の反射率と吸収率を有し、
    波長λ2が、2・Xnm≧λ2、又は2・Ynm≦λ2とされている第2のレーザ光に対しては、その反射率と吸収率が概ね5%以下であるように設定されていることを特徴とする請求項8に記載の記録媒体。
  10. 上記Xnmは390nm、上記Ynmは410nmであることを特徴とする請求項9に記載の記録媒体。
  11. 上記各記録層は、300nm以上10μm以下の間隔をもって形成されていることを特徴とする請求項8に記載の記録媒体。
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