JP4624495B2 - ヒト・インスリンの生成 - Google Patents

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Description

本件出願は、1993年12月29日に出願された米国特許出願第08/175,298号の一部継続出願である。
〔発明の背景〕
この明細書の全体を通して、種々の刊行物が括弧内のアラビア数字によって引用される。これら参照文献の完全な書誌的引用は、請求の範囲の直前の明細書末尾に掲載されている。これら刊行物の開示は、本発明が属する技術の状態をより完全に記載するために、その全体が、本明細書の一部をなす参照として本明細書に組み込まれる。
インスリンは、グルコース代謝を制御するために不可欠なポリペプチドホルモンであり、糖尿病、即ち、インシュリンの不十分な供給を特徴とする代謝障害の患者に対して毎日投与される。
イン・ビボにおいて、このホルモンは最初は長い前駆体分子として合成され、続いて、A鎖およびB鎖からなるその生物学的に活性な形に加工される。より詳細には、プレプロインスリンの遺伝子が膵臓内分泌腺のベータ細胞内でmRNA前駆体に転写され、次いで、これがスプライスされて成熟mRNAを生成する。このmRNAはプレプロインスリン(NH2−プレ領域−B鎖−Cペプチド−A鎖−COOH)に翻訳され、これはプロインスリンを経て最終的にはインスリンへと逐次プロセッシングされる。このプロセッシングの第一工程は、蛋白分解によるプレ領域の除去であるが、この領域は、粗面小胞体のミクロソーム膜を通して発生期の鎖を移行させるための疎水性シグナル配列として働くものである。ヒト・プレプロインスリンにおいて、プレ領域の長さは24アミノ酸である。
プロインスリンにおいては、成熟インスリンになるポリペプチド鎖の二つの領域、即ち、B鎖およびA鎖がCペプチド(またはC鎖)によって相互に結合され、これはN末端およびC末端に2対の塩基性アミノ酸を含んでいる。殆どのCペプチドにおいて、これらの対はArg−ArgおよびLys−Argである。2対の隣接する塩基性アミノ酸を含むこのヒトCペプチドは、35アミノ酸を含んでいる。このCペプチドは、B切片とA切片との間での適切なジスルフィド結合の形成を補助するために、ポリペプチドの二つの部分を結合する。従って、Cペプチドの役割は、その構造に大きく依存することはない。事実、より短い合成ブリッジでこれを置換しても、プロインスリン分子の適正な折り畳みは可能である(1,2)。
プロインスリンは、二つの中間鎖ジスルフィド結合およびA鎖内の一つのジスルフィド結合の同時酸化を伴って折り畳まれる。成熟化の最終工程では、塩基性アミノ酸でのタンパク分解酵素による開裂によってCペプチドが放出され、成熟インスリンが形成される(3)。ヒト・インスリンにおいて、A鎖の長さは21アミノ酸であり、B鎖の長さは30アミノ酸である。
インスリンの世界的な需要は年間数トンを越え、深刻な供給不足の状態にある。従来、インスリンは制限動物供給源、主にウシおよびブタの膵臓調製物から製造されており、これらはヒト・インスリンとは異なるので、不利な免疫反応を誘発する可能性がある。
1960年代に行われた研究によって、インスリンのイン・ビトロでの製造が実証された。インスリン合成は、A鎖およびB鎖をそのS−スルホネート形で結合することによって(4)、または還元されたプロインスリンの自然再酸化(5)によって達成された。後者の方法は、酸化混合物におけるタンパク濃度が非常に低いために、大規模のインスリン製造には実際的ではなかった。続いて、インスリンは、トリプシン処理およびカルボキシペプチダーゼB処理の後に回収することができた。
最近になって、半合成および生合成(組み替え)のヒト・インスリンが入手可能になっている。半合成のヒト・インスリンは、B鎖の位置30におけるアラニン(ブタインスリンとヒト・インスリンの間の唯一の相違)をトリプシン触媒によりスレオニンで交換することによって、ブタ・インスリンから製造される。大腸菌(E.coli)または酵母において製造された組み替えヒト・インスリンは、最終的には他の全ての製造経路を置き換えてしまうことになるであろう。
生合成的な組み替えヒト・インスリンは、現在のところ、二つの経路の何れかによって製造されている。一つは、A鎖およびB鎖を大腸菌の中で別々に製造し、その後にこれらを結合することであり(7,8)、他の一つは、大腸菌(1,8)または酵母(2,9)の何れかにおいて発現されたプロインスリン様ポリペプチドの酵素的変換によるものである。
殆どの場合、プロインスリンは、細胞間の沈積タンパクとして蓄積するハイブリッドタンパクとして産生される。このハイブリッドは、通常は精製され、CNBrにより開裂されて、プロインスリンポリペプチドが放出される。後者は更に、酸化的亜硫酸分解によって、プロインスリンS−スルホン酸塩に修飾される。このプロインスリンS−スルホン酸塩は、次いで精製され、還元性条件下でプロインスリンに折り畳まれる(8)。プロインスリンのインスリンへの変換は、トリプシンおよびカルボキシペプチダーゼBの組み合わされた作用によって達成される(6)。
ノボノルディスクA/Sに譲渡された特許EP195691 B1には、B−Lys−Arg−Aの式で表されるプロインスリンと、酵母の中でインスリンを製造するためのその使用が記載されている。
カイロンコーポレーションに譲渡された特許EP196056 B1には、酵母によって産生されたhSOD−プロインスリンタンパクが記載されている。このhSOD−プロインスリンタンパクは、折り畳みに先立って、臭化シアノーゲン開裂および亜硫酸分解を受ける。
ヘキストはEPO公報第379162号において、「インスリン前駆体の不正確な組み換え体」(即ち、間違ったまたは部分的に間違った分子間ジスルフィド架橋を有する組み換えインスリン生成物)が、有機還元系の存在下で、その不正確な組み換え体を水性媒質中の過剰なメルカプタンと反応させることによって、亜硫酸分解を用いずに、「正しい」インスリン生成物に変換できることを記載している。オリジナルの亜硫酸分解工程は、融合ポリペプチドからアミノ酸またはペプチド基が解列(化学的または酵素的に)された後に行われ(これは宿主細胞の溶解の後に起きる)、それからインスリン前駆体の6つのシステインがそのS−スルホン酸塩に変換される。その後のタンパクの復元工程において、三つの正しいジスフフィド架橋の形成によって、このプロインスリンS−スルホン酸塩から天然のプロインスリンが製造される。
ヘキストは更に、PCT国際公開公報WO91/03550号において、所望のタンパク(例えばプロインスリン)および「バラスト成分」を含む融合タンパクの製造方法を開示している。亜硫酸分解は折り畳まれる前に行われるのに対して、「バラスト成分」は、折り畳みの後に、プロインスリンのC鎖と同時に開裂される。
加えて、ヘキストはEP347781 B1において、「ミニプロインスリン」(B−Arg−A)、並びにモノ−Argインスリンおよびインスリンの製造のためのその使用を記載している。更に、B−Arg−Aおよび「バラスト成分」を含む融合タンパクを記載している。この「バラスト成分」は臭化シアノーゲンによって開裂され、亜硫酸分解はポリペプチドの折り畳みの前に行われる。
本発明は、改善された効率的なプロセスによる組み換えヒト・インスリンの製造を開示する。リーダー配列を含む組み換えプロインスリンハイブリッドポリペプチドは、大腸菌の中で合成される。部分的な精製の後、これは正しい折り畳みを許容する条件下で、リーダーペプチドが付着されたまま折り畳まれる。次いで、トリプシンおよびカルボキシペプチダーゼBを組み合わせた処理によって、生物学的に活性なヒト・インスリンが製造されるが、ここでは、これらの酵素がリーダーペプチドおよびC鎖を同時に開裂する。こうして製造された精製ヒト・インスリンは、天然に存在するヒト・インスリンと同一である。
ハイブリッドポリペプチドのCNBr開裂および豊富に存在するSH基の保護に用いられる亜硫酸分解に含まれる危険で且つ面倒な手法は、この新規な方法から排除される。何故なら、リーダーペプチドおよび保護されていないシステイン残基が存在していても、全体のプロインシュリンハイブリッドポリペプチドを天然の構造へと効率よく折り畳むことができるからである。活性な組み換えヒト・インスリンは酵素的開裂によって放出され、その後に精製される。
【図面の簡単な説明】
図3〜図5に示されている三つのプラスミドの制限酵素地図は、これらプラスミドに存在する全ての制限酵素部位を同定してはいない。しかし、本発明の理解に必要な制限酵素部位は示されている。
図 1:プラスミドpBAST−Rの発現により生成した、折り畳まれ且つジスルフィド結合したプロインスリンハイブリッドポリペプチドの酵素的開裂による、ヒト・インスリンの生成。SODリーダー配列の一部のみが示されている。
図 2:プラスミドpDBAST−LATまたはプラスミドpλBAST−LATの発現により生成した、折り畳まれ且つジスルフィド結合したプロインスリンハイブリッドポリペプチドの酵素的開裂による、ヒト・インスリンの生成。SODリーダー配列の一部のみが示されている。
図 3:プラスミドpBAST−R、即ち、ATCC受付番号第69362号の下にATCCに寄託されたSOD−プロインスリンハイブリッドポリペプチドをコードする発現プラスミドの構造。
図 4:pDBAST−LAT、即ち、ATCC受付番号第69361号の下にATCCに寄託されたSOD−プロインスリンハイブリッドポリペプチドをコードする発現プラスミドの構造。
図 5:pλBAST−LAT、即ち、ATCC受付番号第69363号の下にATCCに寄託されたSOD−プロインスリンハイブリッドポリペプチドをコードする発現プラスミドの構造。
図 6:プラスミドpBAST−Rによって発現されたSOD−プロインスリンハイブリッドポリペプチドのアミノ酸配列および対応するDNAヌクレオチド配列。
図 7:プラスミドpDBAST−RおよびpλBAST−LATによって発現されたSOD−プロインスリンハイブリッドポリペプチドのアミノ酸配列および対応するDNAヌクレオチド配列。
図 8:折り畳み混合物のpHの関数としての、プラスミドpBAST−LATによって発現されたプロインスリンハイブリッドポリペプチドからのヒト・インスリンの製造
4℃の100mMグリシン緩衝液中において示される種々のpHで約16時間、1mg/mLまたは0.5mg/mLのハイブリッドポリペプチドを用いて、プロインスリンハイブリッドポリペプチド(実施例2に記載したようにして製造されたもの)の折り畳みが行われた。この折り畳まれた物質を、37℃およびpH9で30分間、トリプシン(1:500w/w)(シグマ社)およびカルボキシペプチダーゼB(CPC,シグマ社、1:200w/w)で処理し、125Iインスリン(アマーシャム社)およびヒト組み換えインスリン(カルビオケム(Calbiochem)社)を標準として利用した放射免疫試験により、免疫反応性(IR)インスリンについて試験した。
図 9:プラスミドpDBAST−LATにより発現されたプロインスリンハイブリッドポリペプチドからの、ヒト・インスリンの製造
プロインスリンハイブリッドポリペプチド(実施例2に記載したようにして製造したもの)を、約30mg/mLの濃度で8M尿素、5mM・HCl中に溶解し、100mMグリシン−NaOH、pH11.0中に1mg/mLまで希釈した。22℃(室温)において20時間、折り畳みを行った。次いで、HClを用いて溶液をpH8.8に調節した。カルボキシペプチダーゼB(1:1000w/w、シグマ社)およびトリプシン(1:2000w/w、シグマ社)を添加し、この反応混合物を37℃で60分間インキュベートした。消化混合物をpH3にまで酸性化し、次いで10mM・HClで希釈した。150μLのアリコートを、31.5%(v/v)のアセトニトリルを含有する50mMテトラエチルアンモニウムホスフェート、162mM・NaCl4、pH3で平衡化した250×4mm、5μリクロスフェア(Lichrosphere)(メルク社)上での逆相高圧液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)によって分析した。このカラムを、75分間、1mL/分の流速で、31.5〜40.5%のアセトニトリル線形勾配を用いて展開した。吸光度を220nmでモニターした。
A:5μgの標準インスリン(ベーリンガーマンハイム社)
B:酵素処理に従って製造された組み換えヒト・インスリン
C:折り畳まれたSOD−プロインスリンハイブリッドポリペプチド
図10:折り畳み混合物におけるpHの関数としての、プラスミドpDBAST−LATによって発現されたプロインスリンハイブリッドポリペプチドからのヒト・インスリンの製造
プロインスリンハイブリッドポリペプチド(実施例2に記載したようにして製造したもの)を、指示したpH値を有する100mMグリシン−NaOH緩衝液中に1mg/mLまで希釈し、22℃で16時間の折り畳みを行った。図9で説明したようにして、酵素処理およびRP−HPLC分析を行った。このハイブリッドポリペプチドから製造された組み換えヒト・インスリンの量を、標準インスリンと同じ保持時間を有するピークの面積に従って計算した。
図11:折り畳み混合物におけるアスコルビン酸濃度の関数としての、プラスミドpDBAST−LATによって発現されたプロインスリンハイブリッドポリペプチドからのヒト・インスリンの製造
指示されている濃度のアスコルビン酸の存在下において、22℃、pH11.2の100mMグリシン−NaOH中の1mg/mLで、SOD−プロインスリンハイブリッドポリペプチド(実施例2に記載したようにして製造したもの)の折り畳みを行った。サンプルを、5時間および25時間の折り畳み時間の後に、トリプシンおよびカルボキシペプチダーゼBで処理した(図9)。組み換えヒト・インスリン製造を、RP−HPLC上で分析した(図9)。
図12:プラスミドpDBAST−LATにより発現されたプロインスリンハイブリッドポリペプチドから製造された、ヒト・インスリンの真正性
SOD−プロインスリンハイブリッドポリペプチド(実施例2に記載したようにして製造したもの)の折り畳みを、100mMグリシン−NaOH、pH11.2および1.2mMアスコルビン酸中の1mg/mLにおいて、22℃で16時間行った。酵素処理に続いて(図9に示した通り)、当該混合物を、20mM・Tris−HCl、pH8中で平衡化されたDEAE−セファロースカラム上でクロマトグラフィーにかけた。0〜0.4mM・Tris−HCl、pH8の線形勾配で、組み換えヒト・インスリンを溶出した。ピーク画分をプールして、HClでpH3に酸性化した。RP−HPLCによって、組み換えヒト・インスリンをインスリン様分子から更に精製した。主ピークを回収し、0.25M酢酸中のセファデックスG−25カラム上で脱塩し、凍結乾燥した。サンプル(5μgの組み換えヒト・インスリン)を10mM・HCl中で調製し、同じ条件下でRP−HPLCによって分析した。
A:標準インスリン
B:HPLC精製された組み換えヒト・インスリン
C:HPLC精製された組み換えヒト・インスリンおよび標準インスリンを組み合わせたサンプル
図13:プラスミドpDBAST−LATにより発現されたプロインスリンハイブリッドポリペプチドからの、折り畳み混合物中のタンパク濃度の関数としてのヒト・インスリンの製造
SOD−プロインスリンハイブリッドポリペプチド(実施例2に記載されたようにして製造されたもの)を、指示したように0.5mg/mL〜10mg/mLの最終タンパク濃度で、100mM・グリシン−NaOH中において折り畳みを行った。夫々の折り畳み混合物に、SH基1モル当たり2.5モルのアスコルビン酸を補充した。折り畳みは、24℃(室温)で16時間行われた。酵素処理およびRP−HPLC分析は、図9に記載したようにして行った。
図14:プラスミドpDBAST−LATにより発現されたプロインスリンハイブリッドポリペプチドからの、折り畳み時間の関数としてのヒト・インスリンの製造
細胞内沈積物を、20mMグリシン−NaOH、33μM・EDTA、pH11.2の中に約2.6A280/mLの濃度で溶解した。10N水酸化ナトリウムを用いて、pHを12に調節した。この溶液を10分間攪拌した。濃塩酸を用いてpHを11.2に滴定した。活性炭(酸洗浄したもの、シグマ社)を0.1% w/vの最終濃度にまで添加し、この混合物を30分間攪拌した。この懸濁液を20℃で遠心した(20分、12000rpm)。清澄化された上清は約2.15のA280を有していた。アスコルビン酸を、3mMの最終濃度にまで添加した。室温(22〜23℃)で激しく攪拌しながら、指示したようにして、プロインスリンハイブリッドポリペプチドの折り畳みを行った。実験に沿った種々の時点(溶解から出発して)で、10mLのアリコートを抜き取り、pH8.8に滴定し、50μM・ZnCl2の存在下において、カルボキシペプチダーゼB(1:1000w/w)およびトリプシン(1:2000w/w)を用いて37℃で1時間消化した。酸性化によって消化を停止させた。夫々の消化されたサンプル中のインスリン濃度を、RP−HPLC分析によって図9に示すようにして決定した。折り畳み反応の進行は、インスリンの増大(消化後)および遊離チオール基レベルの減少によって示され、後者はエルマン反応によって試験される(16)。
〔発明の概要〕
本発明は、ヒト・インスリンの製造方法であって、プロインスリンを含有するハイブリッドポリペプチドを、正しいジスルフィド結合の形成を可能にする条件下で折り畳むことと、この折り畳まれたジスルフィド結合したハイブリッドポリペプチドを酵素的に開裂させて活性なヒト・インスリンを生成させることと、この活性なヒト・インスリンを精製することとを具備した方法を提供する。
本発明は更に、プロインスリンと、該プロインスリンのN末端に結合したリーダーペプチドとを含有するポリペプチドであって、該ポリペプチドが折り畳まれており、且つ正しいジスルフィド結合を含んでいるポリペプチドを提供する。
〔発明の詳細な説明〕
プラスミドpBAST−R、pDBAST−LATおよびpλBAST−LATは、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約の規定に従い、これを満たすように、1993年7月26日に、夫々ATCC受付番号第69362号、第69361号および第69363号として、郵便番号20852メリーランド州ロックビル、パークローンドライブ12301のアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に寄託された。
ここで用いるハイブリッドポリペプチドは、所望のポリペプチドに共有結合されたリーダーペプチドを含んでいる。この本発明のハイブリッドポリペプチドは、プロインスリンと、リーダーペプチドとして好ましくはSODとを含んでいる。
ここで用いる折り畳みには、折り畳み前のCNBr開裂を伴わず、且つ折り畳み前のSH基を保護するための亜硫酸分解を伴わない、プロインスリンを含有するハイブリッドポリペプチドの折り畳みが含まれ、この折り畳みはハイブリッドポリペプチドにおける正しいジスルフィド結合形成を可能にする。
ここで用いるハイブリッドポリペプチドの正しいジスルフィド結合形成には、インスリンのCysB7−CysA7、CysB19−CysA20、およびCysA6−CysA11の間の三つのジスルフィド結合の形成が含まれる(Cys残基の番号付けは、成熟インスリンにおけるそれらの番号付けに従っている)。
ここで用いるプロインスリンは、N末端からC末端に向かう順序で、インスリンのB鎖、C鎖およびA鎖を含んでいる。
ここで用いるインスリンのC鎖ペプチドは、トリプシンおよびカルボキシペプチダーゼBによって開裂除去することができる、天然に存在するCペプチドおよび他の何れかのオリゴペプチド、ジペプチドまたは単一アミノ酸を含んでいる。
ここで用いるリーダーペプチドは、折り畳みおよびジスルフィド結合形成を可能にし、且つトリプシンによって開裂され得る、インスリンのB鎖に共有結合した何らかのペプチドまたはポリペプチドを含んでいる。このリーダーペプチドは、好ましくはSODである。
ここで用いるSODには、CuZnSODまたはMnSODのアミノ酸配列の実質的な部分を含んでおり、また該部分は必ずしもSODの生物学的活性を有しておらず、また天然に存在するSODのアミノ酸配列と比較したときにこのような部分と同一のアミノ酸配を有していない。SODをコードするDNAは、当業者に公知の方法(例えば、Bauer et al.(1985),Gene 37:73-81)によって突然変異させてもよい。
リーダーペプチドは、SODの代わりに、他の何れかのペプチド、ポリペプチドもしくはタンパク、またはこのようなペプチド、ポリペプチドもしくはタンパクのアミノ酸配列の何れかの実質的部分を含んでいてもよい。このような部分は、必ずしも前記ペプチド、ポリペプチドもしくはタンパクの生物学的活性を有しておらず、またまた天然に存在するペプチド、ポリペプチドもしくはタンパクのアミノ酸配列と比較したときにこのような部分と同一のアミノ酸配を有していない。しかし、このリーダーペプチドは、ハイブリッドポリペプチドの折り畳みおよび正しいジスルフィド結合形成を許容しなければならない。
ここで用いるインスリンは、天然に存在するインスリンの相同体を含み得る。
本発明の方法により製造されるインスリンポリペプチドに関連してここで用いる「相同体」の用語は、インスリンと実質的に同じアミノ酸配列を有し、且つ実質的に同じ生物学的活性を有するポリペプチドを意味する。従って、相同体は、それがインスリンの生物学的活性を保持することを前提として、本発明の方法によって製造されたインスリンポリペプチドとは、1以上の不可欠でないアミノ酸残基の付加、欠失または置換によって異なり得る。当業者は、確立された周知の方法を用いて、何れのアミノ酸残基が付加、欠失または置換(どのアミノ酸で置換すべきかをも含む)され得るかを容易に決定することができ、このような方法には、例えば主題のポリペプチドに関するポリペプチド相同体のバクテリア発現をコードするDNAの設計および製造、部位特異的突然変異誘発技術によるcDNA配列およびゲノム配列の修飾、組み換えタンパクおよび発現ベクターの構築、当該ポリペプチドのバクテリア発現、および従来の生物化学的試験を用いた当該ポリペプチドの生物化学的活性の測定のための従来の方法が含まれる。
インスリン相同体に関する上記の定義は、プロインスリンの相同体に対しても同様に適用される。
本発明の方法によって製造されたインスリン相同体の例は、天然に存在するインスリンの全ての残基よりも少ない残基を含む欠失相同体、特定された1以上の残基が他の残基で置換された置換相同体、特定された1以上のアミノ酸残基がインスリンポリペプチドの末端または中間部分に付加された付加相同体であり、これらは全てインスリンの生物学的活性を共有する。
相同体の例は、EPO特許出願EP384472号に開示されたインスリン類縁体、並びに「シェアホルダー1992へのイーライリリー・アンド・カンパニー報告」に開示されたイーライリリーのインスリン類縁体「ヒューマローグ(Humalog)」である。
実質的に同じアミノ酸は、ここでは、アミノ酸配列中にアミノ酸の置換および/または欠失および/または付加を包含するものとして定義されており、また例えば文献(Albert L.Lehninger,Biochemistry,second edition,Worth Publishers Inc.(1975),Chapter 4;Creighton,protein Structure,a Practical Approach,IRL Press at Oxford University Press,Oxford,England(1989);and Margaret O.Dayhoff,Atlas of Protein Sequence and Structure,Volume 5,The National Biomedical Research Foundation(1972),Chapter 9)に記載された相同性または等価な基に従って、10までの残基を包含し得る。このような置換は当業者に周知である。
インスリンポリペプチドをコードするDNAは、当業者に周知の方法(例えば、Bauer et al.(1985),Gene 37:73-81)によって突然変異させてもよい。次いで、この突然変異された配列は、ここに記載したような適切な発現ベクター中に挿入し、該ベクターを細胞中に導入し、次いで突然変異DNAがポリペプチド相同体の発現を指令するように処理すればよい。
プロインスリンを含有するハイブリッドポリペプチドをコードする配列を含んだ本発明のプラスミドは、バクテリア、酵母、真菌または哺乳類細胞内でのクローン化された遺伝子の発現に必要な調節要素が、当該ハイブリッドポリペプチドをコードする核酸に対して位置するように含まれている、バクテリア、酵母、真菌、或いはCHO、ニワトリ胚、繊維芽細胞または他の公知の細胞系のような哺乳動物細胞での発現に適用すればよい。発現に必要な調節要素には、RNAポリメラーゼに結合するプロモータ配列およびリボゾームに結合するためのリボソーム結合部位が含まれる。
本発明のプラスミドは、プロインスリンを含有するハイブリッドポリペプチドを発現する。
当業者は、この出願に関連して寄託されたプラスミドを、公知の技術(例えば部位特異的突然変異誘発、またはリンカー類の挿入)によって、相同性ポリペプチドの発現をコードするように容易に改変し得ることを理解するであろう。
このような技術は、文献(例えば、Ssmbrook,J.,Fritsch,E.F.and Maniatis,T.(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press)に記載されている。
適切な調節要素は、プロインスリンを含有したハイブリッドポリペプチドをコードするDNAに対して、当該ハイブリッドポリペプチドを適切なホスト細胞中で発現させるように、プラスミド内に位置付けられる。本発明の好ましい態様において、この調節要素は、当該ハイブリッドポリペプチドをコードするDNAの上流に近接して位置付けられる。
プロインスリンを含有するハイブリッドポリペプチドをコードするDNAから転写されたmRNAをホスト細胞内のリボゾームに結合できるようにするための、deoRBSのような種々のリボソーム結合部位(RBS’s)もまた、本発明の中に含まれる。
本発明のプラスミドはまた、ATG開始コドンをも含んでいる。プロインスリンを含んだ当該ハイブリッドポリペプチドをコードするDNAは、このATG開始コドンと同じフェーズにある。
本発明のプラスミドはまた、宿主細胞中で自立的に複製できるバクテリアプラスミド由来の複製起源を有するDNA配列をも含んでいる。適切な複製起源は、プラスミドpBR322(ATCC受付番号37017)由来のように、多くの起源から得ることができる。
本発明のプラスミドはまた、薬剤耐性遺伝子(例えばアンピシリン、クロラムフェニコールまたはテトラサイクリンに対する耐性)のように、当該プラスミドがホスト細胞内に存在するときに現れる、選別可能または同定可能な発現型的特徴に関連した遺伝子を含有したDNA配列をも含んでいる。
当該ハイブリッドポリペプチド(プロインスリンを含有したもの)をコードする核酸を発現させるために用い得るベクターの例は、バクテリアウイルス(例えばラムダファージのようなバクテリオファージ)のようなウイルス、コスミド、プラスミド、およびその他のベクターである。プロインスリンを含有するハイブリッドポリペプチドをコードする遺伝子は、当該技術で周知の方法によって適切なベクターの中に挿入される。例えば、従来の制限エンドヌクレアーゼ酵素部位を用いて挿入物DNAおよびベクターDNAを開裂し、夫々の塩基対が相互に相補的である相補的末端を作製することができ、次いで、両者をDNAリガーゼを用いて連結することができる。
或いは、ベクターDNAにおける制限部位に対して相補的な塩基配列を有する合成リンカーを、挿入物DNAに連結し、次いで、これを当該部位で切断する制限酵素で消化することができる。他の手段もまた利用可能である。
好ましいバクテリアホスト細胞は大腸菌(E.coli)細胞である。適切な大腸菌細胞の例は、Sφ733株(cytRstrA)または4300株であり、他の大腸菌株および他のバクテリアもまた、当該プラスミドのためのホストとして用いることができる。
ホストとして用いられるバクテリアは、栄養要求性株(例えばA1645)、無機栄養要求性株(例えばA4255)および溶解性株;F+株およびF-株;λプロファージのcI857リプレッサ配列を含む株(例えばA1645およびA4255)並びにdeoリプレッサおよび/またはdeo遺伝子を欠失した株(ヨーロッパ特許出願公報第0303972号参照)を含む如何なる株であってもよい。大腸菌株Sφ733および大腸菌株4300は、夫々、ATCC受付番号第69361号および第69363号の下に寄託されている。
上記の全ての大腸菌ホスト株は、当該技術において周知の方法、例えば臭化エチジウム法(R.P.Novick in Bacteriol.Rewiew 33,210(1969))によって、それらに含まれているプラスミドを取り出すことができる。
本発明は、インスリンを製造する方法であって、プロインスリンを含有するハイブリッドポリペプチドを、正しいジスルフィド結合の形成を許容する条件下で折り畳むことと、この折り畳まれ且つジスルフィド結合したハイブリッドポリペプチドを酵素的に開裂させて、インスリンを生成させることと、このインスリンを精製することとを具備した方法を提供する。このインスリンは商業的に入手可能なヒト・インスリンの活性および特性を有している。
好ましい態様において、この折り畳みは、当該ハイブリッドポリペプチドを、約8.5〜12.0のpHにおいて、約4〜37℃で約1〜30時間インキュベートすることを具備している。
他の好ましい態様において、この折り畳みは、当該ハイブリッドポリペプチドを、アスコルビン酸の存在下に、約8.5〜12.0のpHにおいて、約4〜37℃で約1〜30時間インキュベートすることを具備している。
特に好ましい態様において、折り畳みの際のpHは11.0〜11.25である。
他の特に好ましい態様において、アスコルビン酸の濃度は、折り畳み混合物中に存在するSH基1モル当たり約2モルである。
更に別の態様において、インキュベーション時間は約5時間である。
他の態様において、酵素的に開裂させる工程は、pHを約8.8〜9.0に調節することと、前記ハイブリッドポリペプチドを、16〜37℃で約30分〜約16時間だけ、トリプシンおよびカルボキシペプチダーゼBで開裂することとを具備している。
他の態様において、前記の精製工程は、DEAE−セファロースクロマトグラフィーおよびRP−HPLCを含んでいる。
更に別の態様において、前記の精製工程は、更に、限外濾過およびCM−セファロースクロマトグラフィーを具備する。
特に好ましい態様において、前記の精製工程は、更に、DEAE−セファロースクロマトグラフィーおよびフェニル−セファロースクロマトグラフィーを具備する。
特に好ましい態様において、前記ハイブリッドポリペプチドは、ATCC受付番号第69361号の下に寄託されたプラスミドpDBAST−LATによって発現される。
他の好ましい態様において、前記ハイブリッドポリペプチドは、ATCC受付番号第69363号の下に寄託されたプラスミドpλBAST−LATによって発現される。
他の態様において、前記ハイブリッドポリペプチドは、ATCC受付番号第69362号の下に寄託されたプラスミドpBAST−Rによって発現される。
好ましい態様において、前記ハイブリッドポリペプチドは、該ハイブリッドポリペプチドをコードするDNAを含むバクテリア細胞を、該DNAがその発現を指令するように処理することと、前記細胞から当該ハイブリッドポリペプチドを回収することとによって得られる。
前記の処理には、グルコース、グリセロールまたはガラクトースの存在下での発酵が含まれることが想定される。
更に、前記細胞からの前記ハイブリッドポリペプチドの回収は、前記バクテリア細胞の細胞壁またはその断片をを破壊して細胞溶解物を製造することと、該溶解物から遠心によって細胞内沈殿物を単離することと、この沈殿物を可溶化することと、必要に応じ、クロマトグラフィーまたは限外濾過によって当該ハイブリッドポリペプチドを精製することとを具備することが想定される。
本発明は更に、プロインスリンおよび該プロインスリンのN末端に結合したリーダーペプチドとを含有するポリペプチドであって、該ポリペプチドは折り畳まれ、且つ正しいジスルフィド結合を含んでいるポリペプチドを提供する。
好ましい態様において、前記リーダーペプチドは、CuZnSODのN末端から誘導される。
特に好ましい態様において、前記リーダーペプチドは62アミノ酸を含んでおり、その前にはアミノ酸Metが先行し、その後にはArg残基が続いている。
好ましい態様において、前記プロインスリンは、単一のArg残基によってインスリンA鎖に結合されたインスリンB鎖を含んでいる。
他の態様において、前記プロインスリンは、ジペプチドLys−ArgによってインスリンA鎖に結合されたインスリンB鎖を含んでいる。
上記二つのプロインスリン分子は、ハイブリッドタンパクとして製造されなければならず、そうでなければ発現レベルは極端に低く、商業的重要性はない。
全ての好ましい態様において、リーダーペプチドのシステイン残基はセリン残基で置換されている。
〔実施例〕
以下の実施例は、本発明の理解を補助するために挙げられるものであり、如何なる意味においてもその範囲を限定しようとするものではなく、そのように解釈されてはならない。下記の実施例には、ベクター類の構築、ポリペプチドをコードする遺伝子のかかるベクターへの挿入、または得られたプラスミドのホストへの導入に用いられる従来の方法の詳細な説明は含まれていない。また、これらの例には、このようなホスト・ベクター系によって製造されたポリペプチドを試験するために用いられる従来の方法の詳細な説明は含まれていない。このような方法は当業者に周知であり、例えば下記のものを含む多くの刊行物中に記載されている。
Sambrook,J.,Fritsch,E.F.and Maniatis,T.(1989)Molecular Cloning:A laboratory Manual,2nd edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press.
実施例1
SODプロインシュリン・ハイブリッドポリペプチドを発現する産生プラスミドpBAST−R、pDBAST−LATおよびpλBAST−LATの構築
deo P1P2又はλPLプロモーターの何れかの制御下で大腸菌中でハイブリッド蛋白を過剰生産するバクテリア性発現ベクターを構築した。インシュリンB鎖−Lys−Arg−インシュリンA鎖をコードする発現ベクターを宿すバクテリアは検出可能なポリペプチドを産生しないことがわかっていたので、プロインシュリンは、ハイブリッド蛋白として産生された。このハイブリッド蛋白は、CuZnSOD(11)のN末端から誘導されたリーダーペプチド(62アミノ酸長)を含んでおり、その該N末端においてMet残基が先行しており、そのC末端には、それをインシュリンB鎖につなげているArg残基が続いている。インシュリンB鎖は、Lys−Arg又はArgからなる短C鎖ペプチドによってインシュリンA鎖に連結されている。SOD部分に元々存在する二つのシステインは、セリン残基によって置換された。
A. プラスミドpBAST−R
一連のプラスミドが構築され、最終的にpBAST−Rを得た。pBAST−Rは、適切な大腸菌ホスト細胞の形質転換に際して、ヒトインシュリン生産に有用なプロインシュリン・ハイブリッドポリペプチドの有効な発現を指令することができた。
SODインシュリンB鎖−Lys−Arg−インシュリンA鎖ハイブリッド・ポリペプチドをコードするプラスミドpBAST−Rの構造を図3に示す。該ハイブリッド・ポリペプチドのDNA配列および対応アミノ酸配列は、図6に示される。
プラスミドpBAST−Rは、約4380bp長で、下記要素からなる(反時計周りの方向で)。
1.テトラサイクリン耐性遺伝子を含むpBR322上のAat II-Msc I部位にわたる1521bp長のDNA断片。
2.一部を切り取ったアンピシリン耐性遺伝子およびDNA複製起源を含むpBR322上のScaI−HaeII部位にわたる1497bp長のDNA断片。
3.deo P1P2プロモーターおよびリボソーム結合部位((PBS)(13)を含む大腸菌DNA上のAvaII−NdeI部位にわたる930bp長のDNA断片。
4.ヒトCuZnSOD cDNAのNdeI−PpuMI部位にわたる188bp長のDNA断片。成熟SODの6位、57位のシスチンは、セリン残基とオリゴヌクレオチドの部位指向性変異誘発(12)によって置換された。
5.PpuMIおよびBamHI末端を持つ172bp長の合成DNA断片。この領域は、ArgインシュリンB鎖Lys−ArgインシュリンA鎖をコードする。
6.BamHIおよびHindIII末端を持つ合成36bpマルチクローニング部位ポリリンカー。
7.HindIIIおよびAatII末端(10)を持つTrpA転写ターミネーターを含む合成44bpオリゴヌクレオチド。
テトラサイクリン耐性を与え、SODインシュリンB鎖−Lys−Arg−インシュリンA鎖ハイブリッドポリペプチドをコードするプラスミドpBAST−Rは、大腸菌株Sφ733(cytRstrA)に導入され、かつ1993年7月26日にATCC寄託番号69362でATCCに寄託された。
B.プラスミドpDBAST−LAT
他の一連のプラスミドが構築され、最終的にpDBAST−LATを得た。
pDABSTは、適切な大腸菌ホスト細胞を形質転換したときに、ヒト・インシュリン生産に有用なプロインシュリン・ハイブリッドポリペプチドの効率的な高レベルの発現を指令することができた。
SODインシュリンB鎖−Arg−インシュリンA鎖ハイブリッド・ポリペプチドをコードするプラスミドpDBAST−LATの構造を図4に示す。該ハイブリッド・ポリペプチドのDNA配列および対応アミノ酸配列は、図7に示される。プラスミドpDBAST−LATは、約4377bp長で、下記要素からなる(反時計周りの方向で)。
1.テトラサイクリン耐性遺伝子を含むpBR322上のAat II-Msc I部位にわたる1521bp長のDNA断片。
2.一部を切り取ったアンピシリン耐性遺伝子およびDNA複製起源を含むpBR322上のScaI−HaeII部位にわたる1497bp長のDNA断片。
3.deo P1P2プロモーターおよびリボソーム結合部位(PBS)(13)を含む大腸菌DNA上のAvaII−NdeI部位にわたる930bp長のDNA断片。
4.ヒトCuZnSOD cDNAのNdeI−PpuMI部位にわたる188bp長のDNA断片。成熟SODの6位、57位のシスチンは、セリン残基と置換されこの断片のGC配合率は、オリゴヌクレオチドの部位指向性変異誘発(12)によって38%まで削減された。
5.PpuMIおよびBamHI末端を持つ169bp長の合成DNA断片。この領域は、ArgインシュリンB鎖−Arg−インシュリンA鎖をコードする。
6.BamHIおよびHindIII末端を持つ合成36bpマルチクローニング部位ポリリンカー。
7.HindIIIおよびAatII末端(10)を持つTrpA転写ターミネーターを含む合成44bpオリゴヌクレオチド。
テトラサイクリン耐性を与え、SODインシュリンB鎖−Arg−インシュリンA鎖ハイブリッドポリペプチドをコードするプラスミドpDBAST−LATは、大腸菌株Sφ733(cytRstrA)に導入され、かつ1993年7月26日にATCC寄託番号69361でATCCに寄託された。
C.プラスミド pλBAST−LAT
また別の一連のプラスミドが構築され、プラスミドpλBAST−LATを得た。これは、遺伝子加工された大腸菌ホスト細胞(cI857リプレサーを宿す)の形質転換に際して、ヒトインシュリン生産に有用なプロインシュリン・ハイブリッド・ポリペプチドの効率的な発現を指令することができた。
SODインシュリンB鎖−Arg−インシュリンA鎖ハイブリッド・ポリペプチドをコードするプラスミドpλBAST−LATの構造を図5に示す。該ハイブリッド・ポリペプチドのDNA配列および対応アミノ酸配列は、図7に示される。プラスミドpλBAST−LATは、約3777bp長で、下記要素からなる(反時計周りの方向で)。
1.テトラサイクリン耐性遺伝子を含むpBR322上のAat II-Msc I部位にわたる1521bp長のDNA断片。
2.一部を切り取ったアンピシリン耐性遺伝子およびDNA複製起源を含むpBR322上のScaI−HaeII部位にわたる1497bp長のDNA断片。
3.λPLプロモーターおよびAvrII−NdeI30bp長のdeoリボソーム結合部位を含むプラスミドpSODα13(14)上のBamHI−EcoRI部位にわたる330bp長のDNA断片。
4.ヒトCuZnSOD cDNAのNdeI−PpuMI部位にわたる188bp長のDNA断片。成熟SODの6位、57位のシスチンは、セリン残基と置換され、およびこの断片のGC配合率は、オリゴヌクレオチドの部位指向性変異誘発(12)によって38%まで削減された。
5.PpuMIおよびBamHI末端を持つ169bp長の合成DNA断片。この領域は、Arg−インシュリンB鎖−ArgインシュリンA鎖をコードする。
6.BamHIおよびHindIII末端を持つ合成36bpマルチクローニング部位ポリリンカー。
7.HindIIIおよびAatII末端(10)を持つTrpA転写ターミネーターを含む合成44bpオリゴヌクレオチド。
テトラサイクリン耐性を与え、λPLプロモータの制御下にあるSODインシュリンB鎖−Arg−インシュリンA鎖ハイブリッドポリペプチドをコードするプラスミドpλBAST−LATは、大腸菌株4300(F−、bio、cI857)に導入され、かつ1993年7月26日にATCC寄託番号69363でATCCに寄託された。
バクテリア性細胞は、30℃で増殖された。42℃に温度を移すと、ハイブリッドポリペプチドの産生が誘導された。
実施例2
発酵、育成条件、SODプロインシュリン・ハイブリッド・ポリペプチドの精製
I.保存培養
プラスミドpDBAST−LAT(又は、pBAST−R)を宿す大腸菌菌株Sφ733の保存培養を、テトラサイクリン(10mg/L)を補給したカゼイン培地(20g/Lカゼイン加水分解物、10g/L酵母抽出物および5g/LNaCl)上にて生育させた。該培養物を凍結培地で2倍に希釈し、-80℃で保存した。
凍結培地:500ml当たり
2HPO4 6.3g
KH2PO4 1.8g
クエン酸ソーダ 0.45g
MgSO4・7H2O 0.09g
(NH4)2SO4 0.9g
グリセロール 44g
II.接種物
接種物を、製造培地(下記参照)で増殖した。振盪フラスコ中の滅菌培地は、保存培産物から接種され、15時間、振盪機上で37℃および約200rpmでインキュベートされた。必要な時は、接種物増殖の次のステージを攪拌エアレーション発酵機中で実施した。2−10%フラスコ培地が滅菌培地に播種され、15時間37℃、pH7±0.5で、約20%の空気飽和を上回る溶存酸素レベルを維持するように攪拌・エアレーションしながらインキュベートした。
製造培地:
2HPO4 8g/l
KH2PO4 2g/l
クエン酸ソーダ 2g/l
NH4Cl 3g/l
2SO4 0.6g/l
FeSO4・7H2O 0.04g/l
MgSO4・7H2O 0.4g/l
CaCl2・2H2O 0.02g/l
微量成分溶液 3g/l
テトラサイクリン 0.01/l
グルコース 2g/l
グリセロール 1ml/l
微量成分溶液
MnSO4・H2O 1g/l
ZnSO4・7H2O 2.78g/l
CoCl2・7H2O 2g/l
Na2MoO4・2H2O 2g/l
CaCl2・2H2O 3g/l
CuSO4・5H2O 1.85g/l
3BO3 0.5g/l
HCL (32%) 100ml/l
製造培地に0.5-10%の接種培地を接種し、37℃でインキュベートした。攪拌エアレーション速度を20%の空気飽和率を超えた溶存酸素レベルが維持されるように設定した。pHをアンモニアによって7±0.2に維持した。
50%グルコースおよび30%グリセロールの滅菌溶液がエネルギーおよび炭素源を供給するために注入された。細胞濃度がOD660値25に達したら、10%のグルコースおよび30%のグリセロールの滅菌溶液が注入され、約5時間、細胞濃度が約OD660の値に達するまで生育が続けられた。次に、該培養物を冷却し、細胞を遠心分離によって回収した。グルコース、グリセロール、ガラクトースあるいはその組み合せの何れかの炭素源存在下で大腸菌の発酵をさせると、SODプロインシュリン・ハイブリッドポリペプチドの発現が促進された。
IV 精製
プラスミドpBAST−RおよびpDBAST−LATによって発現されたSOD-プロインシュリン・ハイブリッドポリペプチドは、細胞内沈殿物中に蓄積した。該沈殿物は、下記手段によって単離された。1g(湿重量)のバクテリアケーキを、50mM Tris-HCl,pH8,10mM EDTAを含む緩衝液(10ml)中に懸濁し、ライソザイム(メルク(Merck)、2500μ/ml)で37℃、2時間で処理した。該混合物は、次に超音波処理され、ノニデット−(Nonidet)-P-40(シグマ)又はトリトン(Triton)X100を最終濃度2%まで加え、2時間室温で攪拌された。該沈殿物は遠心分離でペレット状とされ、水で洗浄された。
ハイブリッドポリペプチドは、アニオン交換クロマトグラフィーで、下記のようにほぼ等質になるまで精製された。沈殿物は、8Mの尿素、20mM Tris-HCl,200mM βメルカプトエタノール、pH8.2中に溶解された。該溶液は、遠心分離によって浄化され、8Mの尿素、20mM Tris-HCl,200mM βメルカプトエタノール、pH8.2で予め平衡化されたDEAEセファロース・ファストフロー(Fast-Flow)カラム(ファルマシア、LKB)でクロマトグラフ処理された。通過物を収集し、ハイブリッド蛋白を(NH42SO4の40%飽和で沈澱させるか、或いは10K膜上で限外濾過によって濃縮され、その後100mMグリシンHCl、pH3.1で透過濾過された。
別法として、プラスミドpBAST−Rにより発現されたSOD-プロインシュリン・ハイブリッドポリペプチドが、8Mの尿素、20mMジチオスレイトール,50mM酢酸ナトリウム、pH5の中にに溶解され、一連の100kDおよび50kD膜(フィルトロン)を通して限外濾過を行なうことによって、ほぼ等質になるまで精製された。ハイブリッドポリペプチドを10kD膜上で濃縮して、(NH42SO4の40%飽和で沈殿させた。
実施例3
SOD-プロインシュリン・ハイブリッドポリペプチドの折り畳みおよび酵素的開裂
(NH42SO4沈殿又は限外濾過(実施例2)によって得られたプロインシュリン・ハイブリッドポリペプチドを、8Mの尿素、5mM HCl中に溶解し、100mMグリシン緩衝液、pH8.5-12中に,最終濃度1mg/mlで希釈した。
A.プラスミドpBAST−Rによって発現されるSOD-プロインシュリン・ハイブリッドポリペプチドは、正常なジスルフィド結合が可能となるように、約4〜37℃において、1〜24時間かけて折りたたまれた。
折り畳まれたジスルフィド結合ハイブリッドポリペプチドを含む溶液のpHは、HClで約8.8〜9.0に調節され、該蛋白は、トリプシンおよびカルボキシペプチダーゼBで、16〜37℃で、30〜120分かけて処理された。
多くの実験を行なった後、至適条件が以下の通りである事が分かった。プラスミドpBAST−Rによって発現されるハイブリッドポリペプチドを8M尿素、5mM HCl中に溶解し、100mMグリシン緩衝液、pH11.0(図8)中に最終濃度約1mg/mlで、希釈した。その後、25℃6−16時間かけてハイブリッドポリペプチドの折り畳みが起こった。折り畳まれた後、ジスルフィド結合ハイブリッドポリペプチドは、トリプシン(1:500w/w)およびカルボキシペプチダーゼB(1:200w/w)で、37℃で30−60分かけて開裂された。
プラスミドpBAST−Rによって発現される折り畳まれたジスルフィド結合プロインシュリン・ハイブリッドポリペプチドが酵素によって開裂され、インシュリンを生成することが図1に図解されている。
B.プラスミドpDBAST−LATによって発現されたSODプロインシュリン・ハイブリッドポリペプチドは、正常なジスルフィド結合が可能となるように約7〜31℃約5〜30時間かけて、折り畳まれた。
折り畳まれたジスルフィド結合ハイブリッドポリペプチドを含む溶液のpHは、HClによって約8.8-9.0に調節された。該蛋白は22-37℃で30分から16時間かけて、トリプシンおよびカルボキシペプチダーゼBで処理された。
多くの実験を行った後、至適条件が以下の通りである事がわかった。プラスミドpBAST−Rによって発現されるハイブリッドポリペプチドは8M尿素、5mM HCl中に溶解され、100mMグリシン緩衝液、pH11.0-11.25(図8)中に最終濃度約1mg/mlで希釈された。その後、25℃で5時かけてハイブリッドポリペプチドの折り畳みが起こった。折りたたまれた後、ジスルフィド結合ハイブリッドポリペプチドは、トリプシン(1:15,000w/w)およびカルボキシペプチダーゼB(1:10.000w/w)で、25℃で16時で開裂された。
プラスミドpDBAST−LATによって発現される折り畳まれたジスルフィド結合プロインシュリン・ハイブリッドポリペプチドを酵素によって開裂してインシュリンを生成することが、図2に図解されている。
上記AおよびB両者に特異的な条件の例が、図8〜14の説明に詳述されている。
実施例4
プラスミドpBAST−Rによって発現されるSODプロインシュリン・ハイブリッドポリペプチドからのヒトインシュリンの蛋白分析および精製
プラスミドpBAST−Rによって発現されるSODプロインシュリン・ハイブリッドポリペプチドからヒトインシュリンが発生することは、商業的に入手可能なヒトインシュリン(Calbiochem)を標準として使用して、ラジオイムノアッセイおよびRP−HPLCによって確認された。組み替えヒトインシュリンの理論的生産量は、プロインシュリン・ハイブリッドポリペプチドのアミノ酸配列によって計算したところ、45.6%であった。図8からも明らかなように、至適な折り畳みは、pH11で起こる。このpH値におけるインシュリン生産量は、理論的生産量の約80%となる(投入されたハイブリッドポリペプチドの約40%に匹敵する)。プラスミドpBAST−Rによって発現されるプロインシュリンハイブリッドポリペプチド起源のヒトインシュリンは、PR−HPLCによって検出される。バイダック(Vydac)218TP54,250x4.6mm I.D.(分離グループ)、5μm、300オングストロームの粒子サイズのカラムを室温にて流速1ml/分で使用した。水中0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)は、溶出液A、およびアセトニトリル中0.08%TFAを溶出液Bとして使用した。カラムを平衡化緩衝液(25%溶出液B)で5分間洗浄し、その後、25−50%の溶出液Bの直線勾配を37.5分間行なった。吸光度を220nm又は280nmで調べた。折り畳まれたジスルフィド結合ハイブリッド・ポリペプチドの酵素消化後ヒトインシュリンを、逆層高圧液体クロマトグラフを使用して分析すると、標準ヒトインシュリンと同様の保持時間を持つ主要ピークが表われた。
26mgおよび13mgのヒトインシュリンを夫々産生する二つの小規模バッチを調整した。ヒトインシュリンは、3K又は5K膜(フィルトロン)上で限外濾過され、続いてCMセファロース・クロマトグラフィー(クエン酸緩衝液、pH3)によって、酵素処理された溶液(pH9)から精製された。ピーク分画は脱塩され、凍結乾燥され、N末端配列分析およびアミノ酸分析に供された。組み替えヒトインシュリンの両バッチのアミノ酸組成は、天然のヒトインシュリン(表1参照、調整物1)と本質的に同一であった。該インシュリン調整物のアミノ末端における5つのアミノ酸の配列を、エドマン分解で決定した。ヒトインシュリンのA鎖B鎖の両方のアミノ末端と同一であることが分かり、インビトロ産物の信憑性が確認された。
しかしながら、配列分析の結果、該分子の約25%において1位に余分なArg残基が存在している事がわかった。この結果は、lysとArgの間、つまり、内部リンカー配列Lys-Argのトリプシン開裂に対応し、これによって該A鎖のアミノ末端上に余分なArg残基が残る。
pH11で反応を行なうことにり、ArgのC末端にトリプシンによる特異的な加水分解が起こることが可能であることがわかった。この高pHでは、lysの殆どのεアミノグループは帯電されない(pK=10.3)ので、これによって選択的開裂が可能となる。pH11でトリプシン工程(表1参照、調整物2)を行ない、続いてpH8.5でカルボキシルペプチダーゼB消化を行う事によって、精製されたインシュリン1mgおよび6.5mgを産生する2バッチが得られた。N末端シークエンスによって、余分のArgを含むインシュリンの量が約5%にまで削減されたことがわかった。
Figure 0004624495
調製物1および2には、プラスミドpBAST−Rによって発現されるプロインシュリン・ハイブリッドポリペプチド起源の組替えヒトインシュリンのアミノ酸組成を示す。トリプシン開裂はpH9(調製物1)又はpH11(調製物2)の何れかで行なわれた。
アミノ酸分析は、精製されたインシュリン調製物の過ギ酸酸化および気相加水分解の後に行われた。
実施例5
プラスモドpBAST−Rによって発現されるSODプロインシュリン・ハイブリッド・ポリペプチドから産生された精製ヒトインシュリンのペプチド分析
上記実施例に記載したようにして産生された精製ヒトインシュリンは、グルタミル残基のカルボキシル側にあるペプチド結合を加水分解するエンドプロテアーゼGlu−C(Sigma)を使用したペプチド分析に供された。
より詳細には、プラスミドpBAST−Rによって発現された、折り畳まれたジスルフィド結合プロインシュリン・ハイブリッド・ポリペプチドの開裂によって産生されたインシュリンサンプル(100μg)は、100μlの0.1M Tris-HCl、pH7.8中で5μgGlu−Cで6時間37℃で消化された。HPLC分析を次のように行なった。商業的に入手可能な(コントロール)インシュリンおよび折り畳まれたジスルフィド結合プロインシュリン・ハイブリッド・ポリペプチドの開裂によって産生されたインシュリンサンプルは、pH約3にまで酸性化され、RP−HPLCによって分離された。バイダック(Vydac)218TP54、250x4.6mm ID,5μm,300オングストロームの粒子サイズのカラムを使用した。このカラムは、31.5%(v/v)アセトニトリルを含む50mMのリン酸テトラエチルアンモニウム、162mM NaClO4、pH3、で平衡化され、35〜45%のアセトニトリルの直線勾配で、75分間、流速1ml/分で展開された。吸光度を、220nmで調べた。
すべての予想されるペプチドは、たとえ断片のうち一つに対応したピーク小さな肩ピークが続き、これがdes-Thr(B30)インシュリン様分子(15)に多分に関係していたとしても、コントロール反応と同じ様に発生された。
プラスミドpBAST−Rによって発現される組替えポリペプチドは、天然のヒトインシュリンの配列を含む事が実施例4および5から分かる。組替え蛋白の小部分では、Arg(AO),デスアミドインシュリン様分子またはデススレオニン(B30)インシュリン様分子のような構成型を産生した。
これらの不要な副産物は、上記に述べたようなRP−HPLCといったクロマトグラフィーを用いて排除できる。
実施例6
プラスミドpDBAST−LATによって発現されるプロインシュリン・ハイブリッドポリペプチドから産生されるヒトインシュリンのタンパク分析および精製
Arg(Ao)インシュリン副産物の生成を回避(実施例4および5)するために、プラスミドpBAST−Rによって発現されるプロインシュリン・ハイブリッドポリペプチドのA鎖およびB鎖の間にLys−Arg残基のみをコードするDNAとは全く異なり、プロインスリン・ハイブリッド・ポリペプチドのA鎖およびB鎖の間にArg残基のみをコードしているDNAを含むように、発現プラスミドpBAST−Rを変更した。この結果、発現pDBAST−LAT(実施例1B)およびpλBAST−LAT(実施例1C)が得られた。
新発現プラスミドpDBAST−LATによって発現された折り畳まれたジスルフィド結合プロインシュリン・ハイブリッドポリペプチドのトリプシンおよびCPBによる酵素処理の後、インシュリンは効率的に産生された。インシュリン様汚染物の存在は低かった(図9)。折り畳みは、pH11.25(図10)で至適に行なわれ、反応混合物中、SH基一モルあたり約2モルのアスコルビン酸の存在下で、著しく増大した(図11)。
プロインシュリン・ハイブリッド・ポリペプチドから産生されるインシュリン産生における蛋白濃度の影響が、別の至適折り畳み条件下における一連の反応で確認された。蛋白濃度が1.5mg/mlを超過しない場合に、至適産生が得られた(図13)。
インシュリンを、DEAEセファロースクロマトグラフイー、続いてRP−HPLCによって(図9に記載のように)精製された。図12から明らかなように、産生された組替えヒトインシュリンは、標準(商業的に入手可能な)ヒトインシュリンと同じ保持時間を持っていた。精製された組替えヒトインシュリン調製物のアミノ酸組成は、標準インシュリン(表2、組替えインシュリン)と同一であった。
表2は、プラスミドpDBAST−LATによって発現されるプロインシュリンハイブリッドポリペプチドから産生されるインシュリンは、実施例4に記載されたように、インシュリンA鎖に付着した余分のArg残基(Arg(AO)インシュリン)をもっていなかった事を示している。このように、インシュリン産生に好適なプラスミドは、プラスミドpDBAST−LATであり、プロインシュリンハイブリッドポリペプチドの好適な配列は、図7に示されたものである。
Figure 0004624495
標準ヒトインシュリンおよびプラスミドpDBAST−LATによって発現されるプロインシュリンハイブリッドポリペプチドから生産される組替えヒトインシュリンのアミノ酸組成を示す。
精製インシュリン調製物の過ギ酸酸化およびガス層加水分解後、アミノ酸分析が行なわれた。
実施例7
粗製細胞内沈殿物から、プラスミドpDBAST−LATにより発現されたプロインシュリン・ハイブリッド・ポリペプチドからのヒトインシュリンの製造
プロインシュリン・ハイブリッドポリペプチドを折り畳み、酵素変換してインシュリンとする改良方法が、粗製細胞内沈殿物を使用することによって、実施例2のパートIVに記載されたような初期精製工程を必要とせずに実施された。折り畳まれたジスルフィド結合プロインシュリン・ハイブリッド・ポリペプチドをトリプシンおよびカルボキシペプチダーゼBによって酵素的に切断した後に、インシュリンは有効に産生された(図14、および表3)。インシュリン産生は、pH12における沈殿物溶解工程(図14)で測定されたように、初期蛋白濃度(A280)に対するパーセンテージとして計算された。粗細胞内沈殿物起源のSODプロインシュリン・ハイブリッド・ポリペプチドの折り畳みが、実験開始後約4.5時間で至適になっていることがわかった(図14)。
表3には、OD660値45の1リットル発酵培養から調製された粗製細胞内沈殿物からの、プラスミドpBAST−LATによって発現されたプロインシュリン・ハイブリッド・ポリペプチドからのインシュリンの部分的精製物についてまとめてある。溶解および折り畳みが、図14において記載されたように実施された。溶解から4.5時間目に、折り畳まれ且つジスルフィド結合したプロインシュリン・ハイブリッド・ポリペプチドを含む折り畳みバルク溶液が、pH8.8まで、濃縮塩酸で滴定された。ZnCl2(50μM最終濃度まで)、カルボキシペプチダーゼB(1:4000w/w)およびトリプリン(1:6000w/w)が加えられた。消化を3時間37℃で行ない、フッ化フェニルメチルスルフォニル(PMSF)の添加によって終わらせて、最終濃度を0.5mMとした。図9に記載されたようなHPLCによる分析では、169mgのインシュリン産生が示された。インシュリンは、一連のアニオン交換および疎水性クロマトグラフィー工程によって精製された。消化された折り畳み混合物を、1ミリリットル樹脂あたり約50A280ユニットで20mM Tris-HCl,10mM NaCl pH8緩衝液中で前平衡化されたDEAEセファロース・ファスト・フローカラム(ファルマシア)に入れた。結合した物質を20mM Tris-HCl、100mM NaCl,pH8緩衝液で洗浄し、同緩衝液中で250mM NaClでインシュリンが抽出された。インシュリンを含む貯蔵分画は、投入された蛋白の20%にあたり、純度は37.1%であった。硫酸アンモニウムをDEAE溶出貯蔵物中に濃度が410mMとなるまで添加し、20mM Tris HCl,540mM硫酸アンモニウム中で、樹脂1ミリリットルに付き12A280ユニットで前平衡化されたフェニルセファロース・ファスト・フローカラム中に入れた。結合物を平衡緩衝液で洗浄し、インシュリンを20mM Tris HCl、220mM硫酸アンモニウム、pH8緩衝液で溶出させた。インシュリンを含む分画は、投入された蛋白の42.3%にあたり、純度は74.1%であった。この部分精製工程の結果、標準のインシュリンと同一の120mgのインシュリンが産生され、これは、5.16%のインシュリン産生に匹敵する。インシュリンは、例えばゲル濾過、RP−HPLCおよび結晶化等の公知の方法を使用して更に精製が行われた(17)。
Figure 0004624495
280は、夫々の精製工程における280nmでの全吸収を表す。インスリンの存在は、図9について説明したようにして、標準インスリンの主インスリンピークに対応して、HPLC分析により標準インスリンと比較して決定された。
〔参照文献〕
Figure 0004624495
Figure 0004624495

Claims (17)

  1. インスリンを製造する方法であって:
    (a)プロインスリンおよび該プロインスリンのN末端に結合した、ヒトCuZnSODのN末端から誘導された、62アミノ酸長を有し、且つ、前記62アミノ酸の次にアルギニンを有し、且つ、6位及び57位のシステイン残基がセリン残基に置換されたリーダーペプチドを含んでなるハイブリッドポリペプチドをコードするDNAを含んだバクテリア細胞を、前記DNAがその発現を指令するように処理し、前記ハイブリッドポリペプチドを単離することと;
    (b)最初に前記ハイブリッドポリペプチドに対して亜硫酸分解を施すことなく、前記プロインスリンを含むハイブリッドポリペプチドを折り畳んでCysB7−CysA7、CysB19−CysA20、およびCysA6−CysA11の間の三つのジスルフィド結合を形成すること(Cys残基の番号付けは、成熟インスリンにおけるそれらの番号付けに従う)、その際の折り畳み条件は、前記ハイブリッドポリペプチドをpH8.5〜12.0においてインキュベートすることである;
    (c)上記の結果得られた、折り畳まれ且つジスルフィド結合したハイブリッドポリペプチドを酵素的に開裂させて、インスリンを生成させることと;
    (d)生成されたインスリンを精製することと
    を具備した方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、前記の工程(b)が更に、前記ハイブリッドポリペプチドを、4〜37℃でインキュベートすることを具備する方法。
  3. 請求項1または2に記載の方法であって、前記の工程(b)が更に、前記ハイブリッドポリペプチドを、1〜30時間インキュベートすることを具備する方法。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載の方法であって、前記折り畳みがアスコルビン酸の存在下で行われる方法。
  5. 請求項4に記載の方法であって、前記アスコルビン酸の濃度が、折り畳み混合物中に存在するSH基1モル当たり2モルである方法。
  6. 請求項3または4に記載の方法であって、前記インキュベーションの時間が5時間である方法。
  7. 請求項1に記載の方法であって:前記工程(c)は更に、
    (i) pHを8.8〜9.0に調節することと;
    (ii)前記ハイブリッドポリペプチドを、16〜37℃で30分〜16時間だけ、トリプシンおよびカルボキシペプチダーゼBで開裂することと;
    を具備する方法。
  8. 請求項1に記載の方法であって、前記工程(d)は更に、DEAE−セファロースクロマトグラフィーおよびRP−HPLCによる精製を具備している方法。
  9. 請求項1に記載の方法であって、前記工程(d)は更に、限外濾過およびCM−セファロースクロマトグラフィーによる精製を具備している方法。
  10. 請求項1に記載の方法であって、前記工程(d)は更に、DEAE−セファロースクロマトグラフィーおよびフェニル−セファロースクロマトグラフィーによる精製を具備する方法。
  11. 請求項1に記載の方法であって、前記プロインスリンハイブリッドポリペプチドは、ATCC受付番号第69361号の下に寄託されたプラスミドによって発現される方法。
  12. 請求項1に記載の方法であって、前記プロインスリンハイブリッドポリペプチドは、ATCC受付番号第69363号の下に寄託されたプラスミドによって発現される方法。
  13. 請求項1に記載の方法であって、前記プロインスリンハイブリッドポリペプチドは、ATCC受付番号第69362号の下に寄託されたプラスミドによって発現される方法。
  14. 請求項に記載の方法であって、前記ハイブリッドポリペプチドが前記細胞から回収される方法。
  15. 請求項に記載の方法であって、前記工程(a)における処理には、グルコース、グリセロールまたはガラクトースの存在下での発酵が含まれる方法。
  16. 請求項14に記載の方法であって、前記回収工程は、
    (i) 前記バクテリア細胞の細胞壁またはその断片を破壊して細胞溶解物を製造することと、
    (ii)該溶解物から遠心によって細胞内沈殿物を単離することと、
    (iii)この沈殿物を可溶化することと、
    を具備する方法。
  17. 請求項1に記載の方法であって、前記工程(b)におけるpHが、11.00〜11.25である方法。
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