JP4617481B2 - 車両の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カーブを走行するのに適正な車速になるように、カーブ手前においてドライバに減速するよう警報し、或いは自動的に減速する車両の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平10−143794号公報には、現在の車速で前方のカーブを通過できるか否か判定して、車速の調整や警報を出力する技術が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、カーブ手前における車速の調整や警報の出力は、ドライバの意図とは関係ないところで自動的に行われるため、警報を受けるドライバの判断が遅れたり、速度の調整において違和感を与えてしまうことがある。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、その目的は、カーブ手前で警報や自動減速を行う場合、警報を受けたドライバの判断が遅れたり、自動減速により違和感を与えない車両の制御装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明に係る車両の制御装置は、車両の進行路前方のカーブを検出するカーブ検出手段と、車速を検出する車速検出手段と、前記車速検出手段により検出された前記カーブ手前の車速が、ドライバが許容できる横加速度の上限値とカーブ曲率から算出されるカーブ走行時の適正車速より大きいときに、ドライバに警報を出力する警報手段とを備え、前記警報手段は、前記カーブ曲率から目標減速終了位置を算出し、当該目標減速終了位置までの余裕距離を算出し、前記検出された車速と、前記適正車速と、前記検出された車速から設定される予測減速度とから、第1減速必要距離、当該第1減速必要距離より小さい第2減速必要距離、及び当該第2減速必要距離より小さい第3減速必要距離を算出し、前記余裕距離が前記第1減速必要距離以下でかつ前記第2減速必要距離より大きいときは前記カーブまでの距離を情報提供し、前記第2減速必要距離以下でかつ前記第3減速必要距離より大きいときは前記適正車速から算出した目標車速を警報表示する。
【0006】
また、好ましくは、前記予測減速度は、前記目標車速と前記車速検出手段により検出された車速との偏差が大きいほど大きな値に設定される。
【0007】
また、好ましくは、前記車速検出手段により検出された車速と前記目標車速との差が閾値より大きいときに、前記予測減速度が一定値に設定される。
【0009】
また、好ましくは、前記車速検出手段により検出された車速が前記適正車速より大きく、前記余裕距離が前記第3減速必要距離以下のときに、当該車速を自動的に減速する自動減速手段を更に備え、前記適正車速は、前記カーブ手前での車速が大きいほど大きな値に設定される。
【0011】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1,2,4の発明によれば、カーブ手前で警報や自動減速を行う場合、警報を受けたドライバの判断が遅れたり、自動減速によりドライバが受ける違和感を低減できる。
【0013】
請求項3の発明によれば、カーブ手前での急激な減速を予防できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る車両の制御装置を、代表的な車両である自動車に搭載した例について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
尚、以下に説明する実施の形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で下記実施形態を修正又は変形したものに適用可能である。
【0019】
図1は、本実施形態の車両の制御装置が搭載された自動車のシステム構成を示す図である。
【0020】
図1に示す自動車1において、2は操舵装置全体を統括制御する制御器である。3はナビゲーション画面や前方にカーブがあることを報知する情報提供画面(図8参照)やカーブ進入手前で減速が必要であることを警報する警報画面(図9参照)や自動減速制御中であることを表示する自動減速制御画面(図10参照)などを表示する液晶ディスプレイである。4は自動車1の車速を検出する車速センサ、5は自動減速制御を行うためのブレーキアクチュエータである。6はドライバによるアクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルポジションセンサである。7はカーブ進入手前で更に減速が必要であることを警報するために警報音を発するスピーカである。8は地図情報等を格納し、GPSアンテナ等から自車両の現在位置を表示するカーナビゲーション装置である。
【0021】
図2は、図1に示す制御器のブロック図であり、制御器2の内部に表わす各ブロックは、制御器2が行う制御動作を入力信号の流れで表現している。制御器2による実際の制御処理は、予めROM(不図示)等に格納されたソフトウエアに従って、CPU(不図示)が実行する(詳細は後述する)。
【0022】
図2に示すように、制御器2は、カーナビゲーション装置8の地図情報や現在位置情報などに基づいて、車両の進行路前方のカーブ曲率を検出し、このカーブ曲率から目標減速終了位置を算出し、目標減速終了位置までの余裕距離LCAを算出する。また、車速から予測減速度を推定すると共に、カーブ曲率と車速に基づいて、カーブ走行時にドライバが許容できる横加速度の上限値を算出し、この上限値とカーブ曲率から適正車速を算出する。尚、カーナビゲーション装置8の地図情報や現在位置情報などの代わりに、自動車1の前方の撮像エリアを撮像するCCD(Charge Coupled Device)カメラ等や路面に埋設された磁気マーカを検出するアンテナによりカーブ曲率を検出してもよい。
【0023】
更に、車速、適正車速、予測減速度から第1〜第3減速必要距離L0、L1、L2を算出し(但し、L0>L1>L2)、これら第1〜第3減速必要距離L0、L1、L2と余裕距離LCAとを比較した結果に基づいて緊急度合を判定し、カーブ進入速度警報として、ディスプレイ3による情報提供制御、ディスプレイ3及び/又はスピーカ7による警報制御、ディスプレイ3及び/又はブレーキアクチュエータ5による自動減速制御のいずれかを実行する。また、自動減速制御では、アクセルポジションセンサ6の検出結果に基づいてドライバの加速意図を判定して自動減速への制御介入が判定される。
【0024】
図8乃至図10は、自車両前方にカーブを検出した場合の情報提供制御時の表示画面例、警報制御時の表示画面例、自動減速制御時の表示画面例を示す図である。また、情報提供制御では表示画面と同時に、単発人工音をスピーカ7から出力し、警報制御及び自動減速制御では連続人口音をスピーカ7から出力してよりドライバの注意を喚起している。
【0025】
図8乃至図10に示すように、ディスプレイ3の表示画面3aは、第1表示部18には危険対象を示す文字情報が表示され、第2表示部19にはカーブや自車両αの現在位置などの図形情報が表示され、第3表示部20には表示内容に関するシンボルマークmが表示される。また、自動減速制御時には、表示画面3aの全体に自動減速作動中である旨が表示され、ドライバの認識をより一層高めている。
【0026】
この構成により、カーブ手前で警報や自動減速を行う場合、警報を受けたドライバの判断が遅れたり、自動減速によりドライバが受ける違和感を低減できる。
【0027】
次に、制御器2の制御手順について、図3及び図4を参照して説明する。
[第1実施形態]
図3及び図4は、第1実施形態の車両の制御装置の制御手順を示すフローチャートである。
【0028】
図3に示すように、制御器2にて地図情報や現在位置情報、各種センサなどの入力更新を行った後、ステップS1では、地図情報及び現在位置情報から検出したカーブ曲率に基づいて目標減速終了位置を算出する。
【0029】
ステップS2では、目標減速終了位置までの余裕距離LCAを算出する。
【0030】
ステップS3では、カーブ走行時にドライバが許容できる横加速度の上限値AYを算出する。
【0031】
ステップS4では、この上限値AYとカーブ曲率とからカーブ走行時の適正車速を算出する。
【0032】
ステップS5では、車速Vが所定値C以下であるか判定し、判定がYESで車速Vが所定値C以下であればステップS6に進み、判定がNOで車速Vが所定値C以下でないならば、ステップS7に進む。尚、所定値Cは予測減速度の限界値Dを設定するための車速Vの閾値である。
【0033】
ステップS6では、車速Vに基づいて予測減速度AX1,AX2を設定する。
【0034】
ステップS7では、予測減速度AX1,AX2を予測減速度の限界値Dに設定する。
【0035】
ステップS8では、車速Vのメータ誤差を補正する。具体的には、時速メータであらわされる車速にはメータ誤差が含まれ、ドライバはメータを見ながら減速を行うので、実際の車速がメータ表示車速と略一致するように誤差を吸収すべく補正する。
【0036】
ステップS9では、車速Vに基づいて、情報提供画面に表示するデータ(例えば、カーブまでの距離)を更新するための分解能を設定する。この分解能は、情報提供画面に表示するデータの更新周期であり、例えば、現在の車速を5/10/20/50km/hで割った時間ごとに更新される。
【0037】
ステップS10では、車速Vに基づいて情報提供画面に表示するデータを設定する。
【0038】
ステップS11では、適正車速から目標車速VSを設定する。この目標車速VSは、例えば、警報画面としてディスプレイ3に表示され、下記式1により算出される。
【0039】
VS=適正車速−車速ヒステリシス(分解能10km/hごとに更新)・・・(1)
ステップS12では、第1減速必要距離L0を算出する。この第1減速必要距離L0は、下記式2により算出される。
【0040】
L0=V×τ0+0.5×(VS2−V2)/AX1・・・(2)
τ0は、情報提供画面が警報画面の表示される所定時間前(τ0−τ1)に表示されるよう設定されている。
【0041】
ステップS13では、第2減速必要距離L1を算出する。この第2減速必要距離L1は、下記式3により算出される。
【0042】
L1=V×τ1+0.5×(VS2−V2)/AX1・・・(3)
τ1は、警報に対するドライバの反応遅れ予測時間である。
【0043】
ステップS14では、第3減速必要距離L2を算出する。この第3減速必要距離L2は、下記式4により算出される。
【0044】
L2=V×τ2+0.5×(VS2−V2)/AX2・・・(4)
τ2は、ブレーキアクチュエータの反応遅れ時間である。
【0045】
ステップS15では、カーブに到達したか判定し、判定がYESでカーブに到達したならば、ステップS32に進み、判定がNOでカーブに到達していないならばステップS16に進む。
【0046】
ステップS16では、アクセルポジションセンサ6により検出された所定時間におけるアクセル踏み込み量が所定値E以上であるか判定し、判定がYESでアクセル踏み込み量が所定値E以上ならば、ステップS28に進み、判定がNOでアクセル踏み込み量が所定値E以上でないならばステップS17に進む。尚、所定値Eは、ドライバの加速意図を判定するためのアクセル踏み込み量の閾値である。
【0047】
ステップS17では、車速Vが適正車速より大きいか判定し、判定がYESで車速Vが適正車速より大きいならば、ステップS18に進み、判定がNOで適正車速以下ならばステップS26に進む。
【0048】
ステップS18では、余裕距離LCAが第1減速必要距離L0以下であるか判定し、判定がYESで余裕距離LCAが第1減速必要距離L0以下ならば、ステップS19に進み、判定がNOで第1減速必要距離L0より大きいならば、情報提供画面の表示が不要なほどカーブまでの距離があるので、なにもせずにリターンする。
【0049】
ステップS19では、余裕距離LCAが第2減速必要距離L1以下であるか判定し、判定がYESで余裕距離LCAが第2減速必要距離L1以下ならば、ステップS20に進み、判定がNOで第2減速必要距離L1より大きいならば、ステップS25に進む。ステップS25では、情報提供画面の表示を開始してリターンする。
【0050】
ステップS20では、余裕距離LCAが第3減速必要距離L2以下であるか判定し、判定がYESで余裕距離LCAが第3減速必要距離L2以下ならば、ステップS21、S22に進み、判定がNOで第3減速必要距離L2より大きいならば、ステップS23,S24に進む。
【0051】
ステップS21、S22では、カーブ進入手前で減速に要する距離が自動減速制御に介入すべき閾値を超えているため、警報制御を停止し、自動減速制御を開始してリターンする。
【0052】
ステップS23、S24では、カーブ進入手前で減速に要する距離が情報提供画面を表示すべき閾値を超えているため、情報提供画面の表示を停止し、警報制御を開始してリターンする。
【0053】
ステップS26では、上記制御のいずれかを実行中か判定し、判定がYESで制御実行中ならば、ステップS27に進んで実行中の制御を停止し、判定がNOで制御実行中でないならば、リターンする。
【0054】
また、ステップS28では、ドライバに加速する意図があるので自動減速制御との間のハンチングを防止するために自動減速制御を実行中であるか判定し、判定がYESで自動減速制御を実行中ならば、ステップS29に進んで自動減速制御を停止し、判定がNOで自動減速制御を実行中でないならば、ステップS30,S31に進む。
【0055】
ステップS31では、警報制御の実行中であるか判定し、判定がYESで警報制御を実行中ならば、ステップS31に進んで、その後の自動減速制御を禁止し、判定がNOで警報制御を実行中でないならばリターンする。
【0056】
ステップS32では、すでにカーブに到達して制御が不要であるので、上記制御のいずれかを実行中か判定し、判定がYESで制御実行中ならば、ステップS33に進んで実行中の制御を停止し、判定がNOで制御実行中でないならば、リターンする。
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態の車両の制御装置の制御手順を示すフローチャートである。
【0057】
第2実施形態では、上記ステップS4の適正車速設定に関する別の方法として、適正車速に限界値Bを設定し、車速の閾値Aに基づいて適正車速を限界値Bに切り替えるか否か判定するものである。
【0058】
図5に示すように、ステップT4Aでは、車速Vが所定値A以下であるか判定し、判定がYESで車速Vが所定値A以下であればステップT4Bに進み、判定がNOで車速Vが所定値A以下でないならば、ステップT4Cに進む。尚、所定値Aは適正車速の限界値Bを設定するための車速Vの閾値である。更に、ステップT4Bでは、車速Vに基づいて適正車速を設定し、ステップS4Cでは、適正車速を限界値Bに設定する。
[第3実施形態]
図6は、第3実施形態の車両の制御装置の制御手順を示すフローチャートである。
【0059】
第3実施形態では、上記ステップS5〜S7の予測減速度AX1設定に関する別の方法として、車速Vと目標車速VSの差、つまり減速幅を算出し、この減速幅と、減速幅の閾値Fとを比較することによって予測減速度AX1を限界値Dに切り替えるか否か判定するものである。
【0060】
図6に示すように、ステップT5では、車速Vと適正車速VSとの差(減速幅,V−VS)が所定値F以下であるか判定し、判定がYESで減速幅が所定値F以下であればステップT6に進み、判定がNOで減速幅が所定値F以下でないならば、ステップT7に進む。尚、所定値Fは予測減速度AX1を限界値Dに設定するための減速幅の閾値である。更に、ステップT6では、車速Vに基づいて予測減速度AX1を設定し、ステップS7では、予測減速度AX1を限界値Dに設定する。
[第4実施形態]
図7は、第4実施形態の車両の制御装置の制御手順を示すフローチャートである。
【0061】
第4実施形態では、上記ステップS5〜S7の予測減速度AX1設定に関する別の方法として、予測減速度AX1をドライバが発生し得る減速度に応じて設定するものである。
【0062】
図7に示すように、ステップU5では、予測減速度AX1をドライバが発生し得る減速度の平均値に設定する。ステップU6では、上記予測減速度AX1から所定値Gを減算して補正する(AX1=AX1−G)。尚、所定値Gは、例えば、3σ(標準偏差)に設定される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の車両の制御装置が搭載された自動車のシステム構成を示す図である。
【図2】図1に示す制御器のブロック図である。
【図3】第1実施形態の車両の制御装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図4】第1実施形態の車両の制御装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図5】第2実施形態の車両の制御装置の制御手順を示すタイムチャートである。
【図6】第3実施形態の車両の制御装置の制御手順を示すタイムチャートである。
【図7】第4実施形態の車両の制御装置の制御手順を示すタイムチャートである。
【図8】情報提供時の画面表示例を示す図である。
【図9】警報制御時の画面表示例を示す図である。
【図10】自動減速制御時の画面表示例を示す図である。
【符号の説明】
1 自動車
2 制御器
3 ディスプレイ
4 車速センサ
5 ブレーキアクチュエータ
6 アクセルポジションセンサ
7 スピーカ
8 カーナビゲーション装置

Claims (4)

  1. 車両の進行路前方のカーブを検出するカーブ検出手段と、
    車速を検出する車速検出手段と、
    前記車速検出手段により検出された前記カーブ手前の車速が、ドライバが許容できる横加速度の上限値とカーブ曲率から算出されるカーブ走行時の適正車速より大きいときに、ドライバに警報を出力する警報手段とを備え、
    前記警報手段は、前記カーブ曲率から目標減速終了位置を算出し、当該目標減速終了位置までの余裕距離を算出し、前記検出された車速と、前記適正車速と、前記検出された車速から設定される予測減速度とから、第1減速必要距離、当該第1減速必要距離より小さい第2減速必要距離、及び当該第2減速必要距離より小さい第3減速必要距離を算出し、前記余裕距離が前記第1減速必要距離以下でかつ前記第2減速必要距離より大きいときは前記カーブまでの距離を情報提供し、前記第2減速必要距離以下でかつ前記第3減速必要距離より大きいときは前記適正車速から算出した目標車速を警報表示することを特徴とする車両の制御装置。
  2. 前記予測減速度は、前記目標車速と前記車速検出手段により検出された車速との偏差が大きいほど大きな値に設定されることを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
  3. 前記車速検出手段により検出された車速と前記目標車速との差が閾値より大きいときに、前記予測減速度が一定値に設定されることを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
  4. 前記車速検出手段により検出された車速が前記適正車速より大きく、前記余裕距離が前記第3減速必要距離以下のときに、当該車速を自動的に減速する自動減速手段を更に備え、
    前記適正車速は、前記カーブ手前での車速が大きいほど大きな値に設定されることを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
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