JP4140239B2 - 車両用走行制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、先行車両が確認されないと自車速を目標車速に維持する定速走行制御を行い、先行車両が確認されると先行車両と適正な車間距離を保ちながら自車両を走行させる追従走行制御を行う車両用走行制御装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、定速走行制御と追従走行制御を行う車両用走行制御装置としては、例えば、特開2000−296724号公報に記載のものが知られている。
【0003】
この公報には、自車両が走行車線を変更したことを検出した場合、所定時間、自車両の加速を禁止する加速禁止手段と、自車両が車線変更後、走行車線上に先行車両を検出できなかった場合には、前記所定時間を経過した後に、通常よりも急加速となるように自車速を制御する技術が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の車両用走行制御装置にあっては、自車両の車線変更後、走行車線上に先行車両が検出できなければ所定時間加速を禁止した後に、通常より急加速するという構成となっていたため、車線変更前に隣接車線の後側方に接近車両が存在し、該車線に車線変更して自車両が該接近車両の前方に車線変更した場合には、所定時間の加速禁止制御が作動していたため、接近車両に対し急制動を強いてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、自車両の車線変更により先行車両が確認されなくなったことで先行車両への追従走行状態から目標車速による定速走行状態へ移行する際、後側方車両が無い場合の運転者への違和感防止と、後側方車両が有る場合の走行安全性の確保と、の両立を図ることができる車両用走行制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明では、先行車両が確認されないと自車速を目標車速に維持する定速走行制御を行い、先行車両が確認されると先行車両と適正な車間距離を保ちながら自車両を走行させる追従走行制御を行う車両用走行制御装置において、自車両の前方を走行する先行車両を検出する先行車両監視手段と、自車両に対し後方又は隣接車線を走行する後側方車両を検出する後側方車両監視手段と、自車両と後側方車両との接近度合いを検出する接近度合い検出手段と、目標車速未満の車速にて先行車両に追従走行している状態から、自車両の車線変更により先行車両が確認されなくなったことで目標車速による定速走行に移行する際、後側方車両が有りの場合には、後側方車両が無しの場合に比べ、急な車速上昇勾配にて自車速を目標車速に達するまで上昇させると共に、前記後側方車両との接近度合いが高いほど、前記車速上昇勾配を大きくする自車速補正手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明では、請求項1に記載された車両用走行制御装置において、自車両が車線変更を予定していることを検出する車線変更検出手段と、自車両が先行車両に追従走行している状態から車線変更する際に、自車両と自車両が変更しようとする車線を走行する後側方車両との間の相対距離を検出する相対距離検出手段と、を備え、前記接近度合い検出手段は、自車両と後側方車両との目標車間距離と前記相対距離検出手段により検出された相対距離との距離偏差を算出する距離偏差算出手段であり、前記自車速補正手段は、追従走行から定速走行に移行する際、後側方車両が有りの場合には、距離偏差に応じて自車速を補正することを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明では、請求項2に記載された車両用走行制御装置において、
前記自車速補正手段は、自車両の加速度を補正することを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明では、請求項3に記載された車両用走行制御装置において、
前記自車速補正手段は、前記距離偏差算出手段により算出された距離偏差が大きいほど自車両の加速度を大きくする補正を行うことを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明では、請求項1ないし請求項4の何れかに記載された車両用走行制御装置において、自車両が分岐車線付近または合流車線付近を走行しているか否かを判断する分岐・合流付近走行判断手段と、自車両が分岐車線付近または合流車線付近を走行していると判断された場合、前記自車速補正手段による自車速の補正を禁止し、定速走行制御への移行を中止する定速走行制御移行中止手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
【発明の作用および効果】
請求項1に係る発明にあっては、自車速補正手段において、目標車速未満の車速にて先行車両に追従走行している状態から、先行車両が確認されなくなったことで目標車速による定速走行に移行する際、後側方車両が有りの場合には、後側方車両が無しの場合に比べ、急な車速上昇勾配にて自車速が目標車速に達するまで上昇させられる。
【0013】
すなわち、先行車両への追従走行状態から、自車両が隣接車線へ車線変更した場合や、先行車両が隣接車線へ車線変更した場合や、先行車両が急加速により自車両から離れていった場合において、先行車両が確認されなくなり定速走行に移行する。この追従走行から定速走行への移行時、後側方車両が無しの場合には、運転者に違和感を与えないように緩やかな車速上昇勾配にて自車速を目標車速まで上昇させて定速走行へ移行し、逆に、後側方車両が有りの場合には、安全を優先して急な車速上昇勾配にて自車速を目標車速まで上昇させて定速走行へ移行することになる。
【0014】
よって、先行車両への追従走行状態から目標車速による定速走行状態へ移行する際、後側方車両が無い場合の運転者への違和感防止と、後側方車両が有る場合の走行安全性の確保と、の両立を図ることができる。
【0015】
また、請求項1に係る発明にあっては、接近度合い検出手段において、自車両と後側方車両との接近度合いが検出され、自車速補正手段において、追従走行から定速走行に移行する際、後側方車両が有りの場合には、後側方車両との接近度合いに応じて自車速が補正される。
【0016】
すなわち、後側方車両との接近度合いが小さければ運転者に違和感を与えないように自車速の補正量を小さくし、逆に、後側方車両との接近度合いが大きければ、安全を優先して自車速の補正量を大きくすることができる。
【0017】
よって、追従走行から定速走行へ移行する際に後側方車両が存在する場合、後側方車両との接近度合いに応じた自車速の補正により、運転者への違和感防止と走行安全性の確保との重み付けを変化させることができる。
【0018】
請求項2に係る発明にあっては、車線変更検出手段において、自車両が車線変更を予定していることが検出され、相対距離検出手段において、自車両が先行車両に追従走行している状態から車線変更する際に、自車両と自車両が変更しようとする車線を走行する後側方車両との間の相対距離が検出され、距離偏差算出手段において、自車両と後側方車両との目標車間距離と相対距離検出手段により検出された相対距離との距離偏差が算出され、自車速補正手段において、追従走行から定速走行に移行する際、後側方車両が有りの場合には、距離偏差に応じて自車速が補正される。
【0019】
よって、先行車両に追従走行している自車両の後側方位置に後続車両が走行している状態から後側方車両が走行している隣接車線に車線変更した場合、距離偏差に応じた自車速の補正により短時間にて後方車両との車間距離を適正に保ち、自車両と後方車両の走行安全性を確保することができる。
【0020】
請求項3に係る発明にあっては、自車速の補正が、自車両の加速度の補正により行われるため、補正の前後で速度の変化を滑らかにすることができ、運転者に違和感を殆ど与えない。
【0021】
請求項4に係る発明にあっては、自車速補正手段において、距離偏差算出手段により算出された距離偏差が大きいほど自車両の加速度を大きくする補正が行われるため、車線変更する際の自車両と後側方車両との相対距離が目標車間距離に対して偏差が大きければ自車両の加速度を大きくし、早期に自車両と後側方車両との相対距離を目標車間距離に近づけることで、車線変更後の自車両と後方車両との走行安全性をより有利にすることができる。
【0022】
請求項5に係る発明にあっては、分岐・合流付近走行判断手段において、自車両が分岐車線付近または合流車線付近を走行しているか否かが判断され、自車両が分岐車線付近または合流車線付近を走行していると判断された場合、定速走行制御移行中止手段において、自車速補正手段による自車速の補正を禁止し、定速走行制御への移行が中止されるため、運転者は違和感を持つことなく、先行車両が急に出現する可能性が高い分岐車線または合流車線を走行することができる。
【0023】
すなわち、分岐車線付近または合流車線付近では、走行車線の自車両の前方に車両を確認することができない状態であっても、分岐車線で車両がある程度渋滞していたり、合流車線で隣接車線から割り込んでくる車両が存在する可能性がある。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の車両用走行制御装置を実現する実施の形態を、第1実施例に基づいて説明する。
【0025】
(第1実施例)
まず、構成を説明する。
図1は第1実施例の車両用走行制御装置を示す全体システム図であり、図1において、1はACCメインスイッチ、2は車速設定スイッチ、3はキャンセルスイッチ、4は位置検出センサ、5は地図データ、6はスロットルセンサ、7は車間距離センサ(先行車両監視手段)、8はブレーキペダルスイッチ、9はブレーキ圧センサ、10は車輪速センサ、11はステアリング舵角センサ、12はウインカスイッチ(車線変更検出手段)、13は後側方監視カメラ(後側方車両監視手段)、14は車間自動制御コントロールユニット、15は後側方監視コントロールユニット、16はエンジンコントロールユニット、17はブレーキブースタコントロールユニット、18は警報ブザー・警報表示器である。
【0026】
前記ACCメインスイッチ1(ACCはAuto Cruise Controlの略称)と、車速設定スイッチ2と、キャンセルスイッチ3とは、例えば、ステアリングホイールの運転者が操作し易い位置に設けられ、ACCメインスイッチ1を入れることで走行制御が開始され、走行中に車速設定スイッチ2を入れることで目標車速(例えば、50km/h〜100km/hの間)を設定することができ、キャンセルスイッチ3を入れることで走行制御を解除することができる。
【0027】
前記位置検出センサ4は、DVD-ROMからの地図データ5上での自車両の位置を検出するもので、衛星から発信している電波を受信し、自車両の位置を測定するGPS(Global Positioning System:全世界測位システム)を利用している。
【0028】
前記スロットルセンサ6は、エンジンのスロットル開度を検出し、スロットル開度信号を、車間自動制御コントロールユニット14とエンジンコントロールユニット16に出力する。
【0029】
前記車間距離センサ7は、車両前部に設けられたレーダー(例えば、レーザーレーダー)とレーダーコントロールユニットにより構成され、図2に示すように、車両の前方を監視し、先行車両をレーダーが捉えた場合には自車両と先行車両との車間距離を検出し、車間自動制御コントロールユニット14に出力する。
【0030】
前記ブレーキペダルスイッチ8は、運転者のブレーキ操作を検出し、車間自動制御コントロールユニット14に出力する。なお、走行制御中にブレーキ操作が検出されると走行制御を解除する。
【0031】
前記ブレーキ圧センサ9は、走行制御中に目標車速より遅い先行車両が現れた場合で、減速が必要な場合、ブレーキブースタコントロールユニット17に対しブレーキ液圧信号を送るが、その時に発生しているブレーキ液圧を検出し、車間自動制御コントロールユニット14に出力する。
【0032】
前記車輪速センサ10は、実車速情報を得るための車輪速を検出し、車間自動制御コントロールユニット14と後側方監視コントロールユニット15に出力する。
【0033】
前記ステアリング舵角センサ11は、ステアリング操作によるステアリング舵角を検出し、車間自動制御コントロールユニット14と後側方監視コントロールユニット15に出力する。
【0034】
前記ウインカスイッチ12は、スイッチオン信号により自車両が車線変更を予定していることを検出し、車間自動制御コントロールユニット14と後側方監視コントロールユニット15に出力する。
【0035】
前記後側方監視カメラ13は、車両後部に設けられたカメラ(例えば、CCDカメラ)と画像処理部により構成され、図2に示すように、車両の後側方物体を監視し、後側方車両を含む自車両後側方域の画像処理情報を、車間自動制御コントロールユニット14に出力する。
【0036】
前記車間自動制御コントロールユニット14は、セレクトレバーがDレンジで、車速が、例えば、50km/h〜100km/hにおいて、基本的に以下の制御を行う。
(1) 定速走行制御
先行車両が確認されないとき運転者が設定した目標車速を保つようにスロットルを制御して定速走行を行う。
(2) 減速走行制御
先行車両が確認されると先行車両との車間距離及び相対車速を検出して運転者が設定した車速距離を保つようにスロットル及びブレーキを制御する。
(3) 追従走行制御
先行車両が確認されているとき運転者が設定した目標車速を上限として自車速に応じた車間距離を保つようにスロットル及びブレーキを制御する。
(4) 加速走行制御
先行車両が確認されなくなった時点で後側方車両が無い場合、スロットルを制御することで運転者が設定した目標車速に達するまでゆっくりと加速する。
(5) 自車速補正制御
先行車両が確認されなくなった時点で後側方車両が有る場合、後側方車両が無い場合より大きな加速度域で、運転者が設定した目標車速に達するまでの加速度を距離偏差に応じて可変に制御する。
【0037】
前記後側方監視コントロールユニット15は、自車両と後側方車両との目標車間距離と、自車両と後側方車両との相対距離を算出し、これらの距離情報を車間自動制御コントロールユニット14に出力する。
【0038】
前記エンジンコントロールユニット16は、車間自動制御コントロールユニット14からの指令に応じて図外の電子制御スロットルの開閉制御を行う。
【0039】
前記ブレーキブースタコントロールユニット17は、車間自動制御コントロールユニット14からの指令に応じて図外のブレーキブースタのブレーキ液圧を制御する。
【0040】
前記警報ブザー・警報表示器18は、先行車両と自車両との接近度が高い場合や後側方車両と自車両との接近度が高い場合に、音や表示により運転者に注意を促す。
【0041】
次に、作用を説明する。
【0042】
[自車速補正制御処理]
図3は車間自動制御コントロールユニット14で実行される自車速補正制御処理の流れを示すフローチャートであり、以下、各ステップについて説明する。この処理は、例えば、10msecの制御周期毎に繰り返し実行される。
【0043】
なお、例えば、目標車速として100km/hに設定しているにもかかわらず、スタート時点では先行車両への追従制御により80km/hまで車速を落としての走行時とする。
【0044】
ステップS1では、ウインカスイッチ12のスイッチ操作により車線変更意思の有無が確認される。例えば、図4(イ)に示すように、先行車両に追従走行している状態で、左ウインカを点滅させると、車線変更意思有りとしてステップS2へ移行し、ウインカスイッチ12の非操作時にはエンドへ移行する。
【0045】
ステップS2では、後方監視カメラ13によりウインカにより示された隣接車線の後側方に車両が存在するか否かが確認される。例えば、図4(イ)に示すように、ウインカにより示された左側の隣接車線の後側方に車両が存在する場合にはステップS3へ移行し、左側の隣接車線の後側方に車両が存在しない場合にはエンドへ移行する。
【0046】
ステップS3では、自車両と後側方車両との相対距離Lが検出される(相対距離検出手段)。この相対距離Lは、後方監視カメラ13により、一般的に後側方車両のフロントグリルやナンバープレート部を検出することで測定される。
【0047】
ステップS4では、目標車間距離L*と相対距離Lとの距離偏差△Lを算出し(距離偏差算出手段)、距離偏差△Lがゼロよりも大きいか否かが判断される。このステップS4でYESの場合はステップS5へ移行し、NOの場合はステップS1へ戻る。ここで、目標車間距離L*は、自車両と後側方車両との相対速度及び相対距離によって決められる値であり、実験等によって値を決めておきマップ化しておく。なお、相対速度は、自車速Vaと後方監視カメラ13による連続的な画像から得られる後側方車両との接近度合いを変換することにより得られる接近車両速度Vbとの差により算出する。
【0048】
ステップS5では、ウインカスイッチ12及びステアリング舵角センサ11により車線変更が終了したか否かが確認され、YESの場合はステップS6へ移行し、NOの場合はステップS1へ戻る。ここで、車線変更が終了するとは、図4(イ)から図4(ロ)の状態になったことであり、ウインカスイッチ12が消灯され、かつ、ステアリング舵角が直進走行を行う舵角に収束したことにより、車線変更が終了したことが確認される。
【0049】
ステップS6では、自車両の前方に先行車両が存在するか否かが確認され、先行車両有りの場合はステップS7へ移行し、先行車両無しの場合はステップS8へ移行する。
【0050】
ステップS7では、自車両の前方に先行車両が確認されているため、先行車両に追従する追従走行制御が開始される。
【0051】
ステップS8では、自車両の前方に先行車両が確認されない場合、自車両の走行位置が分岐地点付近、または、合流地点付近か否かをナビゲーション等の情報により判断する(分岐・合流付近走行判断手段)。ここで、例えば、分岐地点や合流地点が自車両の前方200m以内に存在すれば自車両の走行位置が分岐地点付近・合流地点付近であると判断される。そして、自車両の走行位置が分岐地点付近、または、合流地点付近である場合にはステップS9へ移行し、自車両の走行位置が分岐地点付近、または、合流地点付近でない場合にはステップS10へ移行する。
【0052】
ステップS9では、自車両の走行位置が分岐地点付近、または、合流地点付近であれば、走行安全性を確保するために定速走行制御への移行を中止する(定速走行制御移行中止手段)。
【0053】
ステップS10では、自車両の走行位置が分岐地点付近、または、合流地点付近で無ければ、通常の定速走行制御へ移行する際の自車速を距離偏差△Lに応じて補正する処理が行われる(自車速補正手段)。ここで、自車速の補正は、図5に示すように、目標車間距離L*と相対距離Lとの距離偏差△Lを横軸とし、自車速の単位時間当たりの増分を示す補正速度を縦軸とし、実車での実験値をマップ化した補正速度マップを用い、距離偏差△Lが大きいほど高い補正速度を求める。そして、各指令周期毎の自車速に補正速度を加えた車速を得るスロットル制御を行うことで加速走行状態を実現する。
【0054】
ステップS11では、自車速が設定された目標車速か否かが判断され、自車速が目標車速に達するまでこの判断処理が繰り返され、自車速が目標車速に達するとステップS12へ移行する。
【0055】
ステップS12では、自車速が目標車速に達したことで、定速走行制御が開始され、エンドへ移行する。
【0056】
[自車速補正作用]
図4(イ)に示すように、先行車両に追従走行している自車両の後側方位置に後続車両が走行している状態から、後側方車両が走行している隣接車線に車線変更し、変更した隣接車線にも先行車両が存在する場合には、図3のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS7へと進む流れとなり、車線変更により追従制御が一旦解除されるが、ステップS7では、新たな先行車両が存在することで、この先行車両とは目標車間距離を介して追従する追従走行制御が再び開始される。
【0057】
図4(イ)に示すように、先行車両に追従走行している自車両の後側方位置に後側方車両が走行している状態から、図4(ロ)に示すように、後側方車両が走行している隣接車線に車線変更し、変更した隣接車線には先行車両が存在しない場合には、図3のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS8→ステップ10→ステップS11→ステップS12へと進む流れとなり、ステップS10では、通常の定速走行制御へ移行する際の自車速が距離偏差△Lに応じて補正され、ステップS11で自車速が設定された目標車速に達したと判断されると、ステップS12へ移行して定速走行制御が開始される。
【0058】
すなわち、後側方車両無しにおいては、自車両が図4(イ)の追従走行状態から図4(ロ)の状態に車線変更した場合、追従走行制御から加速走行制御を経過して定速走行制御に移行するが、図6の(1)の特性に示すように、現在の自車速から目標車速までなだらかな車速上昇勾配による加速走行制御により行われるため、現在の自車速から目標車速まで到達する加速走行制御時間△t1が長くなる。
【0059】
これに対し、後側方車両有りにおいては、自車両が図4(イ)の追従走行状態から図4(ロ)の状態に車線変更した場合、追従走行制御から自車速補正制御を経過して定速走行制御に移行する。この場合、自車速補正制御により現在の自車速から目標車速まで急な車速上昇勾配により行われるため、図6の(2)の特性に示すように、現在の自車速から目標車速まで到達する加速走行制御時間△t2が短くなる。
【0060】
すなわち、第1実施例の場合、追従走行制御から定速走行制御に移行する過渡期において、車両の加速度が後側方車両無しに比べて高加速度に補正され、しかも、その加速度補正は距離偏差△Lが大きいほど高加速度側とされる。
【0061】
次に、効果を説明する。
【0062】
(1) 目標車速未満の車速にて先行車両に追従走行している状態から、先行車両が確認されなくなったことで目標車速による定速走行に移行する際、後側方車両が有りの場合には、後側方車両が無しの場合に比べ、急な車速上昇勾配にて自車速を目標車速に達するまで上昇させるようにしたため、先行車両への追従走行状態から目標車速による定速走行状態へ移行する際、後側方車両が無い場合の運転者への違和感防止と、後側方車両が有る場合の走行安全性の確保と、の両立を図ることができる。
【0063】
(2) 追従走行から定速走行に移行する際、後側方車両が有りの場合には、後側方車両との接近度合いに応じて自車速を補正するようにしたため、運転者への違和感防止と走行安全性の確保との重み付けを変化させることができる。
【0064】
(3) ステップS1において、自車両が車線変更を予定していることが検出され、自車両が先行車両に追従走行している状態から車線変更する際に、ステップS3において、自車両と自車両が変更しようとする車線を走行する後側方車両との間の相対距離Lが検出され、ステップ4において、自車両と後側方車両との目標車間距離L*と相対距離Lとの距離偏差△Lが算出され、追従走行から定速走行に移行する際、後側方車両が有りの場合には、ステップS10において、距離偏差△Lに応じて自車速を補正するようにしたため、先行車両に追従走行している自車両の後側方位置に後続車両が走行している状態から後側方車両が走行している隣接車線に車線変更した場合、距離偏差△Lに応じた自車速の補正により短時間にて後方車両との車間距離を適正に保ち、自車両と後方車両の走行安全性を確保することができる。
【0065】
(4) ステップS10において、自車速の補正を、自車両の加速度の補正により行うようにしたため、補正の前後で速度の変化を滑らかにすることができ、運転者に違和感を殆ど与えない。
【0066】
(5) ステップS10において、図5に示すように、距離偏差△Lが大きいほど自車両の加速度を大きくする補正を行うようにしたため、車線変更する際の自車両と後側方車両との相対距離Lが目標車間距離L*に対して偏差△Lが大きければ自車両の加速度を大きくし、早期に自車両と後側方車両との相対距離Lを目標車間距離L*に近づけることで、車線変更後の自車両と後方車両との走行安全性をより有利にすることができる。
【0067】
(6) ステップ8において、自車両が分岐車線付近または合流車線付近を走行しているか否かを判断し、自車両が分岐車線付近または合流車線付近を走行していると判断された場合、ステップS9に移行してステップS10での自車速補正を禁止し、定速走行制御への移行を中止するようにしたため、運転者は違和感を持つことなく、先行車両が急に出現する可能性が高い分岐車線または合流車線を走行することができる。
【0068】
(他の実施例)
以上、本発明の車両用走行制御装置を第1実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この第1実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0069】
例えば、第1実施例では、先行車両監視手段としてレーダーによる車間距離センサを用いた例を示したが、前方監視カメラを適用しても良い。また、後側方車両監視手段として後側方監視カメラ13を用いた例を示したが、後側方監視レーダーを適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の車両用走行制御装置を示す全体システム図である。
【図2】第1実施例の車両用走行制御装置が搭載された自車両を示す平面図である。
【図3】第1実施例装置の車間自動制御コントロールユニット14で実行される自車速補正制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】車線変更前の追従走行状態と車線変更後の定速走行状態を示す図である。
【図5】第1実施例装置の自車速補正制御で用いられる距離偏差に対する補正速度のマップ例を示す図である。
【図6】追従走行制御での自車速から定速走行制御の開始車速である目標車速に達するまでの後側方車両無しの場合と後側方車両有りの場合との車速変化状況を示す対比図である。
【符号の説明】
1 ACCメインスイッチ
2 車速設定スイッチ
3 キャンセルスイッチ
4 位置検出センサ
5 地図データ
6 スロットルセンサ
7 車間距離センサ(先行車両監視手段)
8 ブレーキペダルスイッチ
9 ブレーキ圧センサ
10 車輪速センサ
11 ステアリング舵角センサ
12 ウインカスイッチ(車線変更検出手段)
13 後側方監視カメラ(後側方車両監視手段)
14 車間自動制御コントロールユニット
15 後側方監視コントロールユニット
16 エンジンコントロールユニット
17 ブレーキブースタコントロールユニット
18 警報ブザー・警報表示器
Claims (5)
- 先行車両が確認されないと自車速を目標車速に維持する定速走行制御を行い、先行車両が確認されると先行車両と適正な車間距離を保ちながら自車両を走行させる追従走行制御を行う車両用走行制御装置において、
自車両の前方を走行する先行車両を検出する先行車両監視手段と、
自車両に対し後方又は隣接車線を走行する後側方車両を検出する後側方車両監視手段と、
自車両と後側方車両との接近度合いを検出する接近度合い検出手段と、
目標車速未満の車速にて先行車両に追従走行している状態から、自車両の車線変更により先行車両が確認されなくなったことで目標車速による定速走行に移行する際、後側方車両が有りの場合には、後側方車両が無しの場合に比べ、急な車速上昇勾配にて自車速を目標車速に達するまで上昇させると共に、前記後側方車両との接近度合いが高いほど、前記車速上昇勾配を大きくする自車速補正手段と、
を備えたことを特徴とする車両用走行制御装置。 - 請求項1に記載された車両用走行制御装置において、
自車両が車線変更を予定していることを検出する車線変更検出手段と、
自車両が先行車両に追従走行している状態から車線変更する際に、自車両と自車両が変更しようとする車線を走行する後側方車両との間の相対距離を検出する相対距離検出手段と、を備え、
前記接近度合い検出手段は、自車両と後側方車両との目標車間距離と前記相対距離検出手段により検出された相対距離との距離偏差を算出する距離偏差算出手段であり、
前記自車速補正手段は、追従走行から定速走行に移行する際、後側方車両が有りの場合には、距離偏差に応じて自車速を補正することを特徴とする車両用走行制御装置。 - 請求項2に記載された車両用走行制御装置において、
前記自車速補正手段は、自車両の加速度を補正することを特徴とする車両用走行制御装置。 - 請求項3に記載された車両用走行制御装置において、
前記自車速補正手段は、前記距離偏差算出手段により算出された距離偏差が大きいほど自車両の加速度を大きくする補正を行うことを特徴とする車両用走行制御装置。 - 請求項1ないし請求項4の何れかに記載された車両用走行制御装置において、
自車両が分岐車線付近または合流車線付近を走行しているか否かを判断する分岐・合流付近走行判断手段と、
自車両が分岐車線付近または合流車線付近を走行していると判断された場合、前記自車速補正手段による自車速の補正を禁止し、定速走行制御への移行を中止する定速走行制御移行中止手段と、
を備えたことを特徴とする車両用走行制御装置。
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