JP4616755B2 - 固定化酵素の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、油脂(モノ、ジ又はトリグリセライド)の加水分解反応、脂肪酸とアルコールのエステル化反応又は油脂のエステル交換反応における触媒として使用される、固定化酵素を製造する方法に関する。
油脂(モノ、ジ又はトリグリセライド)の加水分解物、あるいは逆反応である脂肪酸とアルコールからのエステル化物、及び油脂のアシル基を交換して新しいグリセライドを製造する際に、触媒として油脂分解用酵素を利用するケースが増えている。特に機能性を持った油脂を製造する場合、位置特異性を有するリパーゼを利用することが多い。この酵素を回収再利用する方法として固定化酵素の利用がある。
現在入手可能な固定化酵素は、保存時の酵素失活の抑制やハンドリング性の良さを考慮して、いずれも乾燥物としての形態で提供されている。しかしながら、固定化酵素を減圧、真空又は加熱下で乾燥する工程では吸着した酵素の失活が起こり易く、実際の活性発現時に吸着時の最大活性を発現しない場合が多い。また、酵素を有機溶剤で処理することにより水分を除去する方法も知られているが(特許文献1参照)、やはり酵素吸着時の最大活性からの落ち込みは少ないとはいえない。
一方、固定化酵素の乾燥を脂肪酸誘導体の接触下で行うことにより活性発現を高める方法が提案されている(特許文献2参照)。しかし、この方法では、緩慢に乾燥することが必要とされており、効率的でないと共に、その条件設定等が複雑であり、また高価な設備が必要となり、実用的でない。
また、酵素を固定化担体に吸着固定化した後、脂肪酸グリセライド等に接触させることにより、又は接触させつつ脱水することにより、固定化酵素の残存水分量を調整することで、酵素の失活を抑制し、高活性なエステル化反応用の固定化酵素を製造する方法も知られている(特許文献3、4参照)。しかし、この方法で調製された固定化酵素は脂肪酸グリセリド等が浸潤した状態であるために、取り扱いに便利な形態であるとはいえず、ハンドリング性という点で問題があった。
更に、物理的吸着法を主とした固定化酵素の製造法において、酵素固定化時若しくは固定化後に塩水溶液と接触させることにより、酵素の固定化率が高くかつ漏洩がない固定化酵素を製造できるという方法も知られている(特許文献5参照)。しかし、この方法は、酵素を固定化担体に固定化する際又は固定化直後の処理によるものであり、固定化の後に失活したものを再生する方法ではない。
特開2000-253874号公報 特開昭62-134090号公報 特開2000-166552号公報 特開2004-81200号公報 特開2004-65153号公報
本発明は、高い活性を有し、ハンドリング性にも優れる固定化酵素を提供することを目的とする。
本発明者は、酵素を固定化担体に吸着固定化し、脂肪酸グリセライド等の接触等の手段で残存水分量を調整した後、有機溶剤で処理することにより、高い活性を維持したまま脂肪酸グリセライド等を除去してハンドリング性を改善することができ、上記課題が解決されることを見出した。
すなわち本発明は、油脂分解用酵素を固定化用担体に吸着固定化し、次いでこれを乾燥処理に付することなく、脂肪酸トリグリセライド又は脂肪酸部分グリセライドに接触させることにより、酵素水分を調整した後、有機溶剤で処理する固定化酵素の製造方法を提供するものである。
また本発明は、油脂分解用酵素を固定化用担体に吸着固定化し、次いでこれを直接的な乾燥処理に付することなく、脂肪酸、脂肪酸トリグリセライド又は脂肪酸部分グリセライドに接触させながら脱水することにより、酵素水分を調整した後、有機溶剤で処理する固定化酵素の製造方法を提供するものである。
本発明方法により、高活性かつハンドリング性に優れる固定化酵素を製造することができる。
本発明で使用する固定化用担体は、セライト、ケイソウ土、カオリナイト、シリカゲル、モレキュラーシーブス、多孔質ガラス、活性炭、炭酸カルシウム、セラミックス等の無機担体、セラミックスパウダー、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、キトサン、イオン交換樹脂、疎水吸着樹脂、キレート樹脂、合成吸着樹脂等の有機高分子等が挙げられるが、特にイオン交換樹脂が望ましい。
イオン交換樹脂としては、多孔質の陰イオン交換樹脂が好ましい。このような多孔質担体は、大きな表面積を有するため、酵素のより大きな吸着量を得ることができる。樹脂の粒子径は100〜1000μmが好ましく、細孔径は10〜150nmが好ましい。材質としては、フェノールホルムアルデヒド系、ポリスチレン系、アクリルアミド系、ジビニルベンゼン系等が挙げられ、特にフェノールホルムアルデヒド系樹脂(例えば、Rohm and Haas社製Duolite A-568)が望ましい。
本発明で使用する油脂分解用酵素としては、リパーゼが好ましい。リパーゼは、動物由来、植物由来のものはもとより、微生物由来の市販リパーゼを使用することもできる。微生物由来リパーゼとしては、リゾプス(Rizopus)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ムコール(Mucor)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ジオトリケム(Geotrichum)属、ペニシリウム(Penicillium)属、キャンディダ(Candida)属等の起源のものが挙げられる。特に機能性油脂を製造する目的とする場合、グリセリンの目的の位置に選択的に結合を作ることができる位置特異性のリパーゼであるリゾプス(Rizopus)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ムコール(Mucor)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ジオトリケム(Geotrichum)属、ペニシリウム(Penicillium)属を利用することが望ましい。
これらの酵素を固定化する場合、担体と酵素を直接吸着してもよいが、高活性を発現するような吸着状態にするため、酵素吸着前にあらかじめ担体を脂溶性脂肪酸又はその誘導体で処理して使用してもよい。使用する脂溶性脂肪酸としては、炭素数8〜18の飽和又は不飽和の、直鎖又は分岐鎖の、水酸基が置換していてもよい脂肪酸が挙げられる。具体的には、カプリン酸、ラウリン酸、ミスチリン酸、オレイン酸、リノール酸、α-リノレン酸、リシノール酸、イソステアリン酸等が挙げられる。またその誘導体としては、これらの脂肪酸と一価又は多価アルコールとのエステル、リン脂質、及びこれらのエステルにエチレンオキサイドを付加した誘導体が挙げられる。具体的には、上記脂肪酸のメチルエステル、エチルエステル、モノグリセライド、ジグリセライド、それらのエチレンオキサイド付加体、ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、ショ糖エステル等が挙げられる。これらの脂溶性脂肪酸又はその誘導体は、2種以上を併用してもよい。
これらの脂溶性脂肪酸又はその誘導体と担体の接触法としては、水又は有機溶剤中にこれらを直接加えてもよいが、分散性を良くするため、有機溶剤に脂溶性脂肪酸又はその誘導体を一旦分散、溶解させた後、水に分散させた担体に加えてもよい。この有機溶剤としては、クロロホルム、ヘキサン、エタノール等が挙げられる。脂溶性脂肪酸又はその誘導体の使用量は、担体重量に対して1〜500%、特に10〜200%が好ましい。接触温度は0〜100℃、特に20〜60℃が好ましく、接触時間は5分〜5時間程度が好ましい。この処理を終えた担体は、ろ過して回収するが、乾燥してもよい。乾燥温度は室温〜100℃が好ましく、減圧乾燥を行ってもよい。
酵素の固定化を行う温度は、酵素の特性によって決定することができるが、酵素の失活が起きない0〜60℃、特に5〜40℃が好ましい。また固定化時に使用する酵素溶液のpHは、酵素の変性が起きない範囲であればよく、温度同様酵素の特性によって決定することができるが、pH3〜9が好ましい。このpHを維持するためには緩衝液を使用するが、緩衝液としては、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液等が挙げられる。
上記酵素溶液中の酵素濃度は、固定化効率の点から酵素の飽和溶解度以下で、かつ十分な濃度であることが望ましい。また酵素溶液は、必要に応じて不溶部を遠心分離で除去した上澄や、限外濾過等によって精製したものを使用することもできる。また用いる酵素量は、担体重量に対して5〜1000%、特に10〜500%が好ましい。
本発明においては、油脂分解用酵素を固定化用担体に吸着固定化した後、乾燥せずに、(A)脂肪酸トリグリセライド若しくは脂肪酸部分グリセライドに接触させることにより、又は(B)脂溶性脂肪酸、脂肪酸トリグリセライド若しくは脂肪酸部分グリセライドに接触させながら脱水することにより、残存水分量を調整する。なお、本発明において、「乾燥せずに」とは、「減圧、真空又は加熱による乾燥に付することなく」という意味である。
残存水分量は、処理(A)による場合は担体重量に対して5〜200重量%、更には15〜100重量%、特に25〜50重量%に調整されることが好ましい。また、処理(B)による場合は担体重量に対して1〜50重量%、特に1〜30重量%に調整されることが好ましい。
上記水分調整処理(A)における固定化酵素と接触させる脂肪酸トリグリセライド又は脂肪酸部分グリセライドとしては、菜種油、大豆油、ひまわり油等の植物性の液状油脂、イワシ油、マグロ油、カツオ油等の魚油、鯨油等の海獣油、これらから誘導されるモノグリセライド又はジグリセライド、更にはこれらの混合物、またこれらの油脂から得られるエステル交換油脂等も使用できる。これらは、2種以上併用してもよい。また水分調整処理(B)においては、上記の脂肪酸トリグリセライド又は脂肪酸部分グリセライドはもとより、これらの化合物から生成された脂溶性脂肪酸を利用することもできる。処理(B)において使用される固定化酵素と接触させる脂溶性脂肪酸としては、菜種油、大豆油、ひまわり油等の植物性の液状油脂若しくはイワシ油、マグロ油、カツオ油等の魚油から生成された脂肪酸が好ましい。なお、これらの処理(A)又は(B)で使用する脂肪酸、脂肪酸トリグリセライド又は脂肪酸部分グリセライドは、本発明方法により調製された固定化酵素を用いた実際の加水分解反応、エステル化反応又はエステル交換反応において、油相基質とするものを選択することが好ましい。
処理(A)で使用される脂肪酸グリセライドの量は、固定化酵素との接触を十分なものとし、かつ過剰量の使用による無駄を回避する観点から、担体重量に対して100〜5000%が好ましく、更には200〜4000%、特に400〜3000%が好ましい。また、処理(B)で使用される脂肪酸又は脂肪酸グリセライドの量は、上記と同様の観点、及び流動性を高め脱水効率を向上させる観点から、担体重量に対して20〜3000%とされるが、100〜1000%が好ましい。
処理(A)における固定化酵素と脂肪酸グリセライドとの接触方法は、浸漬、攪拌、固定化酵素を充填したカラムにポンプ等で通液する等、いずれの方法でもよい。接触温度は、接触中に油相が凝固しない温度であればよく、使用する脂肪酸グリセライドの特性と酵素の特性に応じて適宜決定することができるが、5〜60℃、特に室温〜40℃が好ましい。接触時間は、0.1〜72時間が適当であるが、この時間以上接触させてもよいし、脂肪酸グリセライドと接触したままで保存することもできる。また処理(B)において脂肪酸又は脂肪酸グリセライドと接触させながら脱水する場合、脱水する際の温度は、処理(A)の場合と同様であり、脱水時間は、0.5〜24時間が適当であるが、処理(B)の場合は急激な脱水が可能であり、1時間当たりの水分低下率を50%以上、好ましくは60%以上、特に70%以上とすることにより、脱水工程を短時間で完了することができる。脱水方法としては、モレキュラーシーブス等の脱水剤を使用する方法、減圧系で処理する方法等の公知の方法が採られるが、脱水剤を使用すると処理後に脱水剤の除去等の操作が必要となることを考慮すれば、減圧系で処理することが望ましい。
酵素を担体に吸着固定化した際における固定化酵素の水分は、通常120〜300%対担体重量の範囲にあるが、(A)脂肪酸グリセライドと接触することで、5〜200%対担体重量まで残存水分を低減させることができる。また(B)脂肪酸又は脂肪酸グリセライドと接触させながら脱水した場合では、1〜50%対担体重量まで残存水分を低減させることができる。このような処理(A)又は(B)によって、通常行われる乾燥処理のような強制的な水分の除去時に発生する酵素に対するダメージを、極力軽減して、高い活性発現を有する固定化酵素を調製することができる。
この接触処理若しくは脱水処理が終わった段階で、必要に応じて濾過を行った後、固定化酵素を回収し、有機溶剤処理に付する。これにより、固定化酵素に付着した脂肪酸又は脂肪酸グリセライドの量を、好ましいハンドリング性が得られる程度まで低減することができる。ここで使用される有機溶剤としては、ヘキサン、アセトン、エタノール、更にはこれらの混合物等が挙げられるが、なかでもヘキサン、あるいはヘキサンと他の有機溶剤の混合物が好ましい。有機溶剤による処理は、浸漬、分散あるいは固定化酵素を充填したカラムにポンプ等で通液する等の手段により有機溶剤と接触させて、脂溶性脂肪酸、脂肪酸トリグリセライド又は脂肪酸部分グリセライドを溶剤中へ溶出させた後、濾過、乾燥などの手段により固定化酵素の回収を行えばよい。
かかる有機溶剤での処理の程度は、固定化酵素同士が凝集せず、流動性が生じる状態まで処理することが好ましく、例えば、固定化酵素をカラム等に充填する際に、容易に充填できることが好ましい。そのため固定化酵素に付着した脂肪酸又は脂肪酸グリセライドの量が、担体重量に対し5%以下、特に1%以下となる程度が好ましい。
処理に使用される有機溶剤の量は、固定化酵素との接触が均一となるようにし、かつ酵素失活を防止する点から、処理(A)又は(B)を経て回収された固定化酵素の担体重量に対して、100〜3000%が好ましく、更には200〜2000%、特に400〜1000%が好ましい。また処理時の温度は、0〜40℃、特に5〜30℃が、処理時間は、1〜30分、特に3〜10分が好ましい。また必要に応じ、複数回処理することも可能である。
本発明においては、有機溶剤による処理を経て固定化酵素に付着した脂肪酸又は脂肪酸グリセライドの量を調整した上記固定化酵素を、更に塩水溶液により処理することが、有機溶剤処理による酵素失活を回復させる点から好ましい。塩水溶液による処理の方法は、特に限定されるものではなく、例えば塩水溶液中に固定化酵素を添加して撹拌する方法、固定化酵素を円筒カラムに充填し塩水溶液を循環させる方法等が挙げられる。塩水溶液による処理のタイミングは、ハンドリング性を保つため実際に固定化酵素を使用する直前が好ましいが、特に限定されるものではなく、場合によっては、油脂の加水分解反応、脂肪酸とアルコールのエステル化反応又は油脂のエステル交換反応の反応系中に塩を共存させることで接触処理を行ってもよい。
固定化酵素に接触処理させる塩水溶液の種類としては、塩化ナトリウム水溶液、塩化カリウム水溶液、酢酸ナトリウム水溶液、更にはこれらの混合水溶液が挙げられるが、なかでも塩化ナトリウム水溶液を用いることが、有機溶剤処理による酵素失活を回復させる効果の点、コストの点等から好ましい。
固定化酵素に接触処理させる塩水溶液の濃度は0.05〜3Mが好ましく、更に0.1〜1.5Mが、有機溶剤処理による酵素失活を回復させる効果の点から好ましい。処理に使用される塩水溶液の量は、固定化酵素との接触が均一となる量であればよく、担体重量に対して50〜5000%が好ましく、更に100〜3000%、特に100〜1000%が好ましい。また処理時の温度は0〜40℃、更に5〜30℃が好ましく、処理時間は0.1〜30時間、更に0.5〜10時間、特に1〜3時間が、それぞれ有機溶剤処理による酵素失活を回復させる効果の点から好ましい。また必要に応じ、複数回処理することも可能である。複数回処理に際しては、各回の処理濃度、時間等を適宜変更することも可能である。
実施例1
Duolite A-568(Rohm and Haas社製)100gをN/10のNaOH溶液1L中で1時間攪拌した。濾過後、1Lの蒸留水で洗浄し、500mMの酢酸緩衝液(pH6)1LでpHを平衡化した。その後50mMの酢酸緩衝液(pH6)1Lで2時間ずつ2回、pH平衡化を行った。濾過して担体を回収した後、エタノール500mLで置換を30分行った。濾過後、リシノール酸を100g含むエタノール溶液500mLと担体を30分間接触させた。濾過後、50mMの酢酸緩衝液(pH6)500mLで0.5時間ずつ4回緩衝液置換を行った。濾過後、3%濃度のリパーゼF-AP15(アマノエンザイム社製)溶液1000mLと室温で2時間接触させ、酵素の吸着を行った。吸着後、濾過を行い、50mMのリン酸緩衝液(pH6)500mLで0.5時間洗浄した。洗浄後濾過によって固定化酵素を回収した(湿潤固定化酵素と呼ぶ)。この時の固定化酵素の残存水分量は、吸着担体重量に対して168%であった。
この固定化酵素に1000gの菜種油を添加し、40℃、2時間攪拌した後、濾過して固定化酵素を回収した。この時、固定化酵素に付着した油脂量(脂肪酸又は脂肪酸グリセライド量)は対担体32重量%であり、残存水分量は対担体30重量%であった。
次いで、回収された油脂処理した固定化酵素に500gのヘキサンを添加し、20℃で5分間、接触処理を行い、濾過によって固定化酵素を回収した。この時、固定化酵素に付着した油脂量(脂肪酸又は脂肪酸グリセライド量)は対担体0.4重量%であり、残存水分量は対担体23重量%であった。
実施例2
実施例1と同様の手法により湿潤固定化酵素を調製し、1000gの菜種油を添加し、40℃、2時間攪拌した後、濾過して固定化酵素を回収した。
次いで、回収された油脂処理した固定化酵素に500gのアセトンを添加し、20℃で5分間、接触処理を行い、濾過によって固定化酵素を回収した。この時、固定化酵素に付着した油脂量(脂肪酸又は脂肪酸グリセライド量)は対担体2.3重量%、残存水分量は対担体9重量%であった。
比較例1
実施例1と同様の手法により湿潤固定化酵素を調製した。次いで、500gのアセトンを添加し、20℃で5分間、接触処理を行い、濾過によって固定化酵素を回収した。この時、固定化酵素の残存水分量は対担体10重量%であった。
比較例2
実施例1と同様の手法により湿潤固定化酵素を調製した。次いで、1000gの菜種油を添加し、40℃、2時間攪拌した後、濾過によって固定化酵素を回収した。この時、固定化酵素に付着した油脂量(脂肪酸又は脂肪酸グリセライド量)は対担体32重量%、残存水分量は対担体30重量%であった。
実施例3
実施例1記載の処理により得られた固定化酵素100gに、1Mの塩化ナトリウム水溶液を850g添加し、室温(25℃)にて、180rpmの回転数にて1時間撹拌した後、濾過して固定化酵素を回収した。
実施例4
実施例3記載の処理における塩化ナトリウム水溶液の濃度を0.1Mに変えた以外は実施例3と同様の操作を行い、固定化酵素を得た。
実施例5
実施例2記載の処理により得られた固定化酵素100gに対し、実施例3と同様の操作を行い、固定化酵素を得た。
比較例3
実施例3記載の処理における塩化ナトリウム水溶液を蒸留水に変えた以外は実施例3と同様の操作を行い、固定化酵素を得た。
試験例1
各固定化酵素の相対活性値の測定と取り扱い易さの評価を、以下に示す方法に従って行った。
〔相対活性値の測定法〕
固定化酵素を乾燥重量として4g計量し、200mL容の四つ口フラスコに仕込んだ。そこへオレイン酸とグリセリンの混合物80g(モル比でオレイン酸/グリセリン=2.0)を添加し、50℃、400Paの減圧下でエステル化反応を行った。反応液を経時的にサンプリングし、グリセライド組成の経時変化を追跡した。なお、各反応液のグリセライド組成は、反応液をトリメチルシリル化した後、ガスクロマトグラフィーにて分析を行った。活性値はジグリセライド(DG)+トリグリセライド(TG)の合計が70%になった時間を基準とし、実施例1の活性値を100%とした場合の相対値で表現した。結果を表1に示した。
〔固定化酵素の取り扱い易さの評価〕
固定化酵素の取り扱い易さは、以下に示すふるい通過率により評価した。
固定化酵素を乾燥重量として約100g用い、ふるい分けを行った。目開き1.7mm、直径200mmの標準ふるいを用い、30秒間振とうした後、ふるい下の重量を測定することで、ふるい通過率を算出した。この結果を表1に示す。
ふるい通過率100%の場合は、固定化酵素の凝集が全く見られず、速やかにふるいを通過する。この場合、酵素塔への均一充填が容易であり、作業時間も短縮され、作業効率が非常に良好となる。
表1の結果から、酵素固定化後に油脂処理のみを行ったもの(比較例2)は、酵素活性の維持は十分であるものの、取り扱いに難があり、また、溶剤処理のみを行ったもの(比較例1)は、取り扱いは容易であるものの酵素活性の低下が目立った。
一方、酵素固定化後に油脂処理を行い、更に溶剤処理を行った本発明方法による固定化酵素は、取り扱い性は溶剤処理品と全く同じでありながら、酵素活性を高く維持していた。特に、溶剤にヘキサンを用いた場合にはその効果が顕著であった。
また、酵素固定化後に油脂処理及び溶剤処理を行ったものに、更に塩水溶液処理を行った固定化酵素は、溶剤処理により低下した酵素活性が回復していたが、蒸留水処理を行ったもの(比較例3)は、かえって更に失活してしまっていた。なお、実施例3〜5及び比較例3については固定化酵素のふるい通過率(ハンドリング性)については評価していないが、塩水溶液処理直前までは実施例3、4及び比較例3は実施例1と、実施例5は実施例2と同一物であり、その時点までのハンドリング性については非常に良好であった。

Claims (7)

  1. リパーゼを固定化用担体に吸着固定化し、次いでこれを乾燥処理に付することなく、脂肪酸トリグリセライド又は脂肪酸部分グリセライドに接触させることにより、酵素水分を担体重量に対して5〜200重量%に調整した後、担体重量に対して200〜2000重量%の有機溶剤で処理する固定化リパーゼの製造方法。
  2. 有機溶剤が、ヘキサン、アセトン、エタノール又はこれらの混合物である請求項1記載の固定化リパーゼの製造方法。
  3. 有機溶剤が、ヘキサン又はアセトンである請求項記載の固定化リパーゼの製造方法。
  4. 有機溶剤が、ヘキサンである請求項記載の固定化リパーゼの製造方法。
  5. 固定化酵素と接触させる脂肪酸トリグリセライド又は脂肪酸部分グリセライドが、酵素の油相基質である請求項1〜4のいずれか1項に記載の固定化リパーゼの製造方法。
  6. 有機溶剤で処理した後に、更に塩水溶液で処理する請求項1〜のいずれかに記載の固定化リパーゼの製造方法。
  7. 塩水溶液が、塩化ナトリウム水溶液である請求項記載の固定化リパーゼの製造方法。
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