JP2004081200A - 固定化酵素の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】酵素の失活を招く乾燥を行うことなく水分量を調整して、高活性なエステル化反応用固定化酵素を製造する方法の提供。
【解決手段】油脂分解用酵素を固定化用担体に吸着固定化した後、乾燥せずに、脂肪酸トリグリセライド又は脂肪酸部分グリセライドに接触させることにより、担体重量に対して5〜50重量%の残存水分量になるように酵素水分を調整するエステル化反応用固定化酵素の製造方法、並びに、油脂分解用酵素を固定化用担体に吸着固定化した後、直接乾燥せずに、担体重量に対して20〜3000重量%の脂肪酸、脂肪酸トリグリセライド又は脂肪酸部分グリセライドに接触させながら脱水することにより、担体重量に対して1〜50重量%の残存水分量になるように酵素水分を調整するエステル化反応用固定化酵素の製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、脂肪酸とアルコールのエステル化反応又は油脂(モノ、ジ又はトリグリセライド)のエステル交換反応における触媒として使用され、高い活性を有する固定化酵素を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
脂肪酸とアルコールのエステル化物、及び油脂(モノ、ジ又はトリグリセライド)のアシル基を交換して新しいグリセライドを製造する際に、触媒として油脂分解用酵素を利用するケースが増えている。特に機能性を持った油脂を製造する場合、位置特異性を有するリパーゼを利用することが多い。この酵素を回収再利用する方法として固定化酵素の利用がある。
【0003】
現在入手可能な固定化酵素は、Novozymes社が発売しているLipozyme RM IMやLipozyme TL IM、Novozym 435などのように、いずれも乾燥物としての形態で提供されている。乾燥物の形態にしているのは、保存時の酵素失活の抑制やハンドリング性の良さを考慮しているためである。しかしながら、固定化酵素を減圧、真空又は加熱下で乾燥する工程では吸着した酵素の失活が起こり易く、実際の活性発現時に吸着時の最大活性を発現しない場合が多い。
【0004】
そこで、酵素を固定化用担体に吸着固定化した後、乾燥せずに速やかに直接反応基質と接触させてエステル化反応を行う方法が提案されている(特許文献1参照)。この方法によれば、初発の反応では固定化酵素に含まれる多量の水分の影響で反応が遅延するものの、2回目以降の反応においては高活性が達成できる。しかし反応基質に速やかに接触させる必要があり、固定化酵素の形態での保存には適していない。また、固定化酵素の乾燥を脂肪酸誘導体の接触下で行うことにより活性発現を高める方法が提案されている(特許文献2参照)。しかし、この方法では、緩慢に乾燥することが必要とされており、効率的でないと共に、その条件設定等が複雑であり、また高価な設備が必要となり、実用的でない。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−166589号公報
【特許文献2】
特開昭62−134090号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
油脂分解用酵素を乾燥した固定化酵素にした場合に酵素の失活が起こるのは、乾燥により強制的に水分を除去することで、酵素にダメージ(例えば高次構造の破壊等)を与えてしまうためと考えられる。そこで本発明は、酵素の失活を招く乾燥を行うことなく水分量を調整して、高活性なエステル化反応(エステル交換反応を含む)用の固定化酵素を製造する方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、エステル化反応用固定化酵素を製造する際に、特定の方法を用いて固定化酵素の残存水分量を調整することで、酵素の失活を抑制し、高い活性を発現することができることを見出した。
【0008】
すなわち本発明は、油脂分解用酵素を固定化用担体に吸着固定化した後、乾燥せずに、脂肪酸トリグリセライド又は脂肪酸部分グリセライドに接触させることにより、担体重量に対して5〜50重量%の残存水分量になるように酵素水分を調整するエステル化反応用固定化酵素の製造方法を提供するものである。
【0009】
また本発明は、油脂分解用酵素を固定化用担体に吸着固定化した後、直接乾燥せずに、担体重量に対して20〜3000重量%の脂肪酸、脂肪酸トリグリセライド又は脂肪酸部分グリセライドに接触させながら脱水することにより、担体重量に対して1〜50重量%の残存水分量になるように酵素水分を調整するエステル化反応用固定化酵素の製造方法を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する固定化用担体は、セライト、ケイソウ土、カオリナイト、シリカゲル、モレキュラーシーブス、多孔質ガラス、活性炭、炭酸カルシウム、セラミックス等の無機担体、セラミックスパウダー、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、キトサン、イオン交換樹脂、疎水吸着樹脂、キレート樹脂、合成吸着樹脂等の有機高分子等が挙げられるが、特にイオン交換樹脂が望ましい。
【0011】
イオン交換樹脂としては、多孔質の陰イオン交換樹脂が好ましい。このような多孔質担体は、大きな表面積を有するため、酵素のより大きな吸着量を得ることができる。樹脂の粒子径は100〜1000μmが好ましく、細孔径は10〜150nmが好ましい。材質としては、フェノールホルムアルデヒド系、ポリスチレン系、アクリルアミド系、ジビニルベンゼン系等が挙げられ、特にフェノールホルムアルデヒド系樹脂(例えば、Rohm and Hass社製Duolite A−568)が望ましい。
【0012】
本発明で使用する油脂分解用酵素としては、リパーゼが好ましい。リパーゼは、動物由来、植物由来のものはもとより、微生物由来の市販リパーゼを使用することもできる。微生物由来リパーゼとしては、リゾプス(Rizopus)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ムコール(Mucor)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ジオトリケム(Geotrichum)属、ペニシリウム(Penicillium)属、キャンディダ(Candida)属等の起源のものが挙げられる。特に機能性油脂を製造する目的とする場合、グリセリンの目的の位置に選択的に結合を作ることができる位置特異性のリパーゼである1,3位選択性リパーゼであるリゾプス(Rizopus)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ムコール(Mucor)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ジオトリケム(Geotrichum)属、ペニシリウム(Penicillium)属を利用することが望ましい。
【0013】
これらの酵素を固定化する場合、担体と酵素を直接吸着してもよいが、高活性を発現するような吸着状態にするため、酵素吸着前にあらかじめ担体を脂溶性脂肪酸又はその誘導体で処理して使用してもよい。使用する脂溶性脂肪酸としては、炭素数8〜18の飽和又は不飽和の、直鎖又は分岐鎖の、水酸基が置換していてもよい脂肪酸が挙げられる。具体的には、カプリン酸、ラウリン酸、ミスチリン酸、オレイン酸、リノール酸、α−リノレン酸、リシノール酸、イソステアリン酸等が挙げられる。またその誘導体としては、これらの脂肪酸と一価又は多価アルコールとのエステル、リン脂質、及びこれらのエステルにエチレンオキサイドを付加した誘導体が挙げられる。具体的には、上記脂肪酸のメチルエステル、エチルエステル、モノグリセライド、ジグリセライド、それらのエチレンオキサイド付加体、ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、ショ糖エステル等が挙げられる。これらの脂溶性脂肪酸又はその誘導体は、2種以上を併用してもよい。
【0014】
これらの脂溶性脂肪酸又はその誘導体と担体の接触法としては、水又は有機溶剤中にこれらを直接加えてもよいが、分散性を良くするため、有機溶剤に脂溶性脂肪酸又はその誘導体を一旦分散、溶解させた後、水に分散させた担体に加えてもよい。この有機溶剤としては、クロロホルム、ヘキサン、エタノール等が挙げられる。脂溶性脂肪酸又はその誘導体の使用量は、担体重量に対して1〜500%、特に10〜200%が好ましい。接触温度は0〜100℃、特に20〜60℃が好ましく、接触時間は5分〜5時間程度が好ましい。この処理を終えた担体は、ろ過して回収するが、乾燥してもよい。乾燥温度は室温〜100℃が好ましく、減圧乾燥を行ってもよい。
【0015】
酵素の固定化を行う温度は、酵素の特性によって決定することができるが、酵素の失活が起きない0〜60℃、特に5〜40℃が好ましい。また固定化時に使用する酵素溶液のpHは、酵素の変性が起きない範囲であればよく、温度同様酵素の特性によって決定することができるが、pH3〜9が好ましい。このpHを維持するためには緩衝液を使用するが、緩衝液としては、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液等が挙げられる。
【0016】
上記酵素溶液中の酵素濃度は、固定化効率の点から酵素の飽和溶解度以下で、かつ十分な濃度であることが望ましい。また酵素溶液は、必要に応じて不溶部を遠心分離で除去した上澄や、限外濾過等によって精製したものを使用することもできる。また用いる酵素量は、担体重量に対して5〜1000%、特に10〜500%が好ましい。
【0017】
本発明においては、油脂分解用酵素を固定化用担体に吸着固定化した後、乾燥せずに、(A)脂肪酸トリグリセライド若しくは脂肪酸部分グリセライドに接触させることにより、又は(B)脂肪酸、脂肪酸トリグリセライド若しくは脂肪酸部分グリセライドに接触させながら脱水することにより、残存水分量を調整する。なお、本発明において、「乾燥せずに」とは、「減圧、真空又は加熱による乾燥に付することなく」という意味である。
【0018】
残存水分量は、処理(A)による場合は5〜50重量%に調整されるが、15〜50重量%が好ましい。また、処理(B)による場合は1〜50重量%に調整されるが、1〜30重量%が好ましい。
【0019】
上記水分調整処理(A)における固定化酵素と接触させる脂肪酸トリグリセライド及び脂肪酸部分グリセライドとしては、菜種油、大豆油、ひまわり油等の植物性の液状油脂、イワシ油、マグロ油、カツオ油等の魚油、鯨油等の海獣油、これらから誘導されるモノグリセライド及びジグリセライド、更にはこれらの混合物、またこれらの油脂から得られるエステル交換油脂等も使用できる。これらは、2種以上併用してもよい。また水分調整処理(B)においては、上記の脂肪酸トリグリセライド及び脂肪酸部分グリセライドはもとより、これらの化合物から生成された脂肪酸を利用することもできる。処理(B)において使用される脂肪酸としては、菜種油、大豆油、ひまわり油等の植物性の液状油脂若しくはイワシ油、マグロ油、カツオ油等の魚油から生成された脂肪酸が好ましい。なお、これらの処理(A)又は(B)で使用する脂肪酸、脂肪酸トリグリセライド又は脂肪酸部分グリセライドは、本発明方法により調製された固定化酵素を用いた実際のエステル化反応又はエステル交換反応において、油相基質とするものを選択することが好ましい。
【0020】
処理(A)で使用される脂肪酸グリセライドの量は、固定化酵素との接触を十分なものとし、かつ過剰量の使用による無駄を回避する観点から、担体重量に対して500〜5000%が好ましく、更には800〜4000%、特に1000〜3000%が好ましい。また、残存水分量が担体重量に対して15〜50重量%でよい場合には、使用される脂肪酸グリセライドの量は、担体重量に対して500〜3000%、特に800〜2500%が好ましく、残存水分量を担体重量に対して5〜15重量%まで低減させる場合には、使用される脂肪酸グリセライドの量は、担体重量に対して2000〜5000%、特に2500〜4000%が好ましい。また、処理(B)で使用される脂肪酸又は脂肪酸グリセライドの量は、上記と同様の観点、及び流動性を高め脱水効率を向上させる観点から、担体重量に対して20〜3000%とされるが、100〜1000%が好ましい。
【0021】
処理(A)における固定化酵素と脂肪酸グリセライドとの接触方法は、浸漬、攪拌、固定化酵素を充填したカラムにポンプ等で通液する等、いずれの方法でもよい。接触温度は、接触中に油相が凝固しない温度であればよく、使用する脂肪酸グリセライドの特性と酵素の特性に応じて適宜決定することができるが、5〜60℃、特に室温〜40℃が好ましい。接触時間は、0.1〜72時間が適当であるが、この時間以上接触させてもよいし、脂肪酸グリセライドと接触したままで保存することもできる。また処理(B)において脂肪酸又は脂肪酸グリセライドと接触させながら脱水する場合、脱水する際の温度は、処理(A)の場合と同様であり、脱水時間は、0.5〜24時間が適当であるが、処理(B)の場合は急激な脱水が可能であり、1時間当たりの水分低下率を50%以上、好ましくは60%以上、特に70%以上とすることにより、脱水工程を短時間で完了することができる。脱水方法としては、モレキュラーシーブス等の脱水剤を使用する方法、減圧系で処理する方法等の公知の方法が採られるが、脱水剤を使用すると処理後に脱水剤の除去等の操作が必要となることを考慮すれば、減圧系で処理することが望ましい。
【0022】
酵素を担体に吸着固定化した際における固定化酵素の水分は、通常120〜200%対担体重量の範囲にあるが、(A)脂肪酸グリセライドと接触することで、5〜50%対担体重量まで残存水分を低減させることができる。また(B)脂肪酸又は脂肪酸グリセライドと接触させながら脱水した場合では、1〜50%対担体重量まで残存水分を低減させることができる。この接触処理若しくは脱水処理が終わった段階で、又は固定化酵素を使用する前に、濾過を行って固定化酵素を回収し、実際の反応に使用する。
【0023】
このように、本発明によれば、脂肪酸又は脂肪酸グリセライドを用いて水分量を調整することにより、通常行われる乾燥のように強制的な水分の除去時に発生する酵素に対するダメージを、極力軽減することができる。このため、高い活性発現を有する固定化酵素を調製することが可能となる。また固定化酵素を脂肪酸グリセリド等と接触することで、過剰水分が除去され、酵素近傍が反応に適した反応場を形成しているものとも考えられる。さらに本発明方法により水分量を調整した固定化酵素は、接触させた脂肪酸グリセリド等と分離した状態、又は接触させたままの状態のいずれでも、長期にわたって保存することが可能となる。
【0024】
【実施例】
実施例1
Duolite A−568(Rohm and Hass社製)100gをN/10のNaOH溶液1L中で1時間攪拌した。濾過後、1Lの蒸留水で洗浄し、500mMの酢酸緩衝液(pH5)1LでpHを平衡化した。その後50mMの酢酸緩衝液(pH5)1Lで2時間ずつ2回、pH平衡化を行った。濾過して担体を回収した後、エタノール500mLで置換を30分行った。濾過後、リシノール酸を100g含むエタノール溶液500mLと担体を30分間接触させた。濾過後、50mMの酢酸緩衝液(pH5)500mLで0.5時間ずつ4回緩衝液置換を行った。濾過後、10%濃度のリ・リパーゼ(長瀬産業社製)溶液1000mLと室温で4時間接触させ、酵素の吸着を行った。吸着後、濾過を行い、50mMのリン酸緩衝液(pH5)500mLで0.5時間洗浄した。洗浄後濾過によって固定化酵素を回収した。この時の固定化酵素の残存水分量は、吸着担体重量に対して168%であった。
この固定化酵素に1000gの菜種油を添加し、40℃、24時間攪拌した後、濾過して固定化酵素を回収した。固定化酵素の残存水分量は吸着担体重量に対して29%であった。
こうして得られた固定化酵素を乾燥重量として8g計量し、200mL容の四つ口フラスコに仕込んだ。そこへオレイン酸とグリセリンの混合物80g(モル比でオレイン酸/グリセリン=2.0)を添加し、40℃、400Paの減圧下でエステル化反応を行った。反応後、反応液と固定化酵素をろ過により分離し、再度上記の仕込みになるようにオレイン酸とグリセリンを仕込み、反応を行った。この反応後、同様の方法で反応をもう1回行った。すなわち同じ固定化酵素を使用して合計3度のエステル化反応を行った。
各反応液のグリセライド組成は、反応液をトリメチルシリル化し、ガスクロマトグラフィーにて分析した。ジグリセライド(DG)+トリグリセライド(TG)の合計が70%になった時間を表1に示す。1回目と2回目以降の反応時間はそれぞれ1.67hr、1.53hrと充分早く、高活性であった。
【0025】
実施例2
実施例1と同様の手法で酵素を吸着させ、緩衝液洗浄し、濾過によって固定化酵素を回収した。この固定化酵素に3000gの菜種油を添加し、40℃、24時間攪拌した後、濾過して固定化酵素を回収した。固定化酵素の残存水分量は吸着担体重量に対して11%であった。
こうして得られた固定化酵素を用い、実施例1と同様に反応を行った結果、1回目と2回目以降の反応時間はそれぞれ1.69hr、1.52hrと充分早く、高活性であった。
【0026】
実施例3
実施例1と同様の手法で酵素を吸着させ、緩衝液洗浄し、濾過によって固定化酵素を回収した。この固定化酵素に400gのオレイン酸を添加し、40℃、400Paの減圧下、0.5時間攪拌した後、濾過して固定化酵素を回収した。固定化酵素の残存水分量は吸着担体重量に対して31%であった。
こうして得られた固定化酵素を用い、実施例1と同様に反応を行った結果、1回目と2回目以降の反応時間はそれぞれ1.63hr、1.58hrと充分早く、高活性であった。
【0027】
実施例4
実施例1と同様の手法で酵素を吸着させ、緩衝液洗浄し、濾過によって固定化酵素を回収した。この固定化酵素に400gのオレイン酸を添加し、40℃、400Paの減圧下、18時間攪拌した後、濾過して固定化酵素を回収した。固定化酵素の残存水分量は吸着担体重量に対して2.4%であった。
こうして得られた固定化酵素を用い、実施例1と同様に反応を行った結果、1回目と2回目以降の反応時間はそれぞれ1.45hr、1.43hrと1回目の反応から充分早く、高活性であった。
【0028】
比較例1
実施例1と同様の手法で酵素を吸着させ、緩衝液洗浄し、濾過によって固定化酵素を回収した。この時の固定化酵素の残存水分量は担体重量に対して178%であった。この固定化酵素をそのまま40℃、100Paの減圧下で24時間乾燥した。乾燥後の固定化酵素の残存水分量は吸着担体重量に対して3%であった。
こうして得られた固定化酵素を用い、実施例1と同様に反応を行った結果、1回目と2回目以降の反応時間はそれぞれ2.27hr、2.23hrと顕著に遅く、実施例1〜4と比較してエステル化活性は劣っていた。
【0029】
比較例2
実施例1と同様の手法で酵素を吸着させ、緩衝液洗浄し、濾過によって固定化酵素を回収した。この時の固定化酵素の残存水分量は担体重量に対して178%であった。
こうして得られた固定化酵素を用い、実施例1と同様に反応を行った結果、1回目と2回目以降の反応時間はそれぞれ3.52hr、1.88hrと2回目以降は充分早く、高活性であったが、1回目の反応は、実施例1〜4に比べて遅かった。
【0030】
【表1】
Figure 2004081200
【0031】
【発明の効果】
本発明方法により、酵素の失活を招く乾燥を行うことなく水分量を調整して、高活性なエステル化反応用固定化酵素を製造することができる。

Claims (4)

  1. 油脂分解用酵素を固定化用担体に吸着固定化した後、乾燥せずに、脂肪酸トリグリセライド又は脂肪酸部分グリセライドに接触させることにより、担体重量に対して5〜50重量%の残存水分量になるように酵素水分を調整するエステル化反応用固定化酵素の製造方法。
  2. 脂肪酸トリグリセライド又は脂肪酸部分グリセライドの量が、担体重量に対して500〜5000%である請求項1記載の固定化酵素の製造方法。
  3. 油脂分解用酵素を固定化用担体に吸着固定化した後、直接乾燥せずに、担体重量に対して20〜3000重量%の脂肪酸、脂肪酸トリグリセライド又は脂肪酸部分グリセライドに接触させながら脱水することにより、担体重量に対して1〜50重量%の残存水分量になるように酵素水分を調整するエステル化反応用固定化酵素の製造方法。
  4. 酵素を吸着した後、固定化酵素と接触させる脂肪酸、脂肪酸トリグリセライド又は脂肪酸部分グリセライドが、酵素の油相基質である請求項1〜3のいずれかに記載の固定化酵素の製造方法。
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