JP2004065153A - 固定化酵素の製造方法 - Google Patents

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Kazuyuki Mogi
茂木 和之
Wataru Matsumoto
松本 渉
Hiroshi Sugiyama
杉山 宏
Yoshikazu Shoji
東海林 義和
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Abstract

【課題】食品や化粧品、医薬品の製造に供しても安全である、安定な固定化酵素を製造する方法を提供すること。
【解決手段】塩水溶液中で固定化担体と酵素を接触させ吸着させることを特徴とする固定化酵素の製造方法。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固定化酵素の製造方法に関するものであり、該製造方法により製造された固定化酵素は、食品や化粧品、医薬品等の製造に好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
従来から、物質の合成や変換の触媒として酵素が利用されてきており、製品から容易に酵素が除去出来ることや、繰り返し使用できること等の利点から、酵素を固定化する技術が研究され、実用化されている。
【0003】
固定化方法は、例えば「生物化学実験法28・バイオリアクター実験入門」(学会出版センター)では、担体結合法、架橋法、包括法の3種類に分類されており、担体結合法は、さらに共有結合法、イオン結合法、物理的吸着法に分類されている。これらの中で、共有結合法では、担体を臭化シアンやヒドラジン等の活性化試薬で処理して活性基を導入して酵素を共有結合で結合させるのが一般的であり、架橋法や共有結合法の一部では、グルタールアルデヒド等の多官能性架橋剤架橋を用いるのが一般的であった。しかし、食品や化粧品、医薬品等、人体に直接使用する場合には、これらの化学物質の使用は必ずしも好ましいとは言えなかった。また、包括法の場合も化学物質を酵素溶液と共に重合させるため、実質的に食品や化粧品、医薬品等の用途には好ましいとは言えなかった。包括法には、カラギーナンやアルギン酸等、食用天然高分子原料を用いる方法もあるが、柔らかく、脆く崩れやすい等の問題があった。イオン結合法では、担体と酵素とをイオン結合によって吸着させるため、活性化試薬や架橋剤を使用する必要はないが、イオン強度の高い条件や特定のpH域で使用すると酵素が担体から遊離する場合があり、物理的吸着法では、担体に酵素を物理的に吸着させるだけであるため、やはり活性化試薬や架橋剤は必要ないが、イオン結合法よりもさらに担体と酵素の相互作用が弱く、酵素が担体から脱離しやすいという問題があった。
【0004】
以上のような面から、食品や化粧品、医薬品等の製造に好適な固定化酵素を製造するために、活性化試薬や架橋剤のような化学物質を使うことなく、酵素を担体に安定に吸着させる方法が要望されていた。
【0005】
また、特公平6−16706号公報には、キトサンビーズを酵素の水溶液又は水性懸濁液と接触させることにより固定化酵素を作成する際に、アルカリ溶液又は塩水溶液でキトサンビーズの前処理を行なう固定化酵素の製造法についての記載がある。この方法は、酵素を固定化する前にアルカリ溶液又は塩水溶液でキトサンビーズを処理すると、固定化酵素を繰返し又は連続的に使用した場合、担体からの酵素漏洩により活性低下が早くおこるという欠点を解決するとしている。この方法は、あくまでも酵素固定化のための前処理に関するものであり、固定化時には、強いてアルカリ溶液又は塩水溶液の条件下に置くものではなく、溶液は分離し除去されるべきものとしている。この前処理を行なう方法では、酵素の固定化は充分ではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、食品や化粧品、医薬品の製造に供しても安全である、安定な固定化酵素を調製する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、酵素と担体とを固定化する際、若しくは固定化後の洗浄時に、酵素及び担体を一定の塩水溶液条件下に置くことが重要であることを知見した。この知見は、上述の特公平6−16706号公報に記載の前処理を行なう方法とは、明らかに相違するものであり、固定化時若しくは固定化後の洗浄時に塩水溶液が存在することにより、担体と酵素とが適度に結合し、酵素反応効率が高く、且つ漏洩がない優れた固定化酵素を製造することが出来るというものである。これは、ある一定の塩水溶液条件下に酵素と担体とが共存することにより、両者のイオン化や疎水結合に適度な影響を及ぼすためと推測されるが明確ではない。いずれにせよ、本発明者等は、酵素と担体とが、強固すぎず、弱くならず、適度に結合するのに、ある一定の塩水溶液条件下に酵素と担体とが共存することが重要であることを知見し、本発明に到達した。
【0008】
即ち、本発明は、塩水溶液中で固定化担体に酵素を接触させ吸着させることを特徴とする固定化酵素の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、固定化担体に酵素を吸着させた後、該固定化担体を塩水溶液と接触させることを特徴とする固定化酵素の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、酵素が加水分解酵素であることを特徴とする前記固定化酵素の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、酵素がタンパク質分解酵素であることを特徴とする前記固定化酵素の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、酵素がホスホリパーゼであることを特徴とする前記固定化酵素の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、固定化担体が水不溶性多孔性担体であることを特徴とする前記固定化酵素の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、固定化担体がキトサン又はキトサン誘導体であることを特徴とする前記固定化酵素の製造方法を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の固定化酵素の製造方法に用いられる固定化担体の種類は、特に限定されないが、物理的吸着法による固定化に適した担体が好ましく、例えば、活性炭、多孔性ガラス、アルミナ、シリカゲル、ヒドロキシアパタイト、キトサン、これらの誘導体等の水不溶性担体が挙げられ、これらの中でもキトサン及びキトサン誘導体が特に好ましい。該水不溶性担体は、疎水性の担体、若しくは直鎖アルキル基、分岐アルキル基、芳香族アルキル基、フェニル基等の疎水基を有した担体であればさらに好ましい。また、上記固定化担体としては、多孔性担体、特に水溶性多孔性単体が好ましい。
【0010】
本発明の固定化酵素の製造方法に用いられる上記酵素としては、その起源について特に限定されるものではなく、動物、植物、微生物等に由来する酵素を用いることができ、また遺伝子組換え等の技術によって異種の起源の遺伝子を導入し、発現・生産させたものを用いることも出来る。上記酵素としては、その種類が分解酵素、異性化酵素、合成酵素等、どのような種類であっても使用可能であるが、本発明の固定化酵素の製造方法においては加水分解酵素が好ましく、トリプシン、キモトリプシン、パパイン、ペプシン、ブロメライン、パンクレアチン、サブチリシン、サーモライシン、コラゲナーゼ等のタンパク質分解酵素、ホスホリパーゼA1、ホスホリパーゼA2、ホスホリパーゼB、ホスホリパーゼC、ホスホリパーゼD等のホスホリパーゼ、リパーゼ等の脂質分解酵素が特に好ましい。
【0011】
本発明の固定化酵素の製造方法における酵素の固定化は、固定化担体と酵素とを接触させ吸着させる工程(以下、吸着工程という)と未吸着物を洗浄する工程(以下、洗浄工程という)から成るが、この二つの工程のうち少なくとも一方の工程中に塩水溶液を用いることにより、充分な効果が得られる。つまり、吸着工程あるいは洗浄工程のいずれかで塩水溶液を固定化担体に接触させればよい。
【0012】
上記吸着工程においては、水又は塩水溶液に溶解した酵素と固定化担体とを接触させることが出来ればよく、その方法は特に限定されず、例えば、酵素溶液と固定化担体とを混合して撹拌する方法や、固定化担体をカラム状の筒に詰め、酵素溶液を通す若しくは循環させる方法等が挙げられる。
【0013】
また、上記洗浄工程においては、酵素を吸着させた担体に洗浄液としての水若しくは塩水溶液を接触させることが出来ればよく、その方法は特に限定されず、例えば、酵素を吸着させた固定化担体と洗浄液とを混合して撹拌槽内で撹拌する方法や、酵素を吸着させた固定化担体をカラム状の筒に詰め、洗浄液を通す若しくは循環させる方法が挙げられる。もちろん、上記吸着工程時に塩水溶液を使用していない場合は、洗浄工程で塩水溶液と酵素を吸着させた固定化担体との接触を行なわなければならない。洗浄工程での洗浄は、塩水溶液のみで行なってもよいし、水で行なった後で、塩水溶液で行なってもよいし、その逆を行なってもよい。
【0014】
また、上記吸着工程と上記洗浄工程は連続的に行なっても、分けて行なってもよい。尚、得られた固定化酵素を使用して酵素反応を行なう段階で、未吸着の酵素等が酵素反応による生成物中に混入しても構わない場合等、固定化酵素が洗浄されている必要がない場合は、上記洗浄工程を省略することが出来るが、その場合は吸着工程で塩水溶液を用いなくてはならない。
また、上記吸着工程及び/又は上記洗浄工程で用いられる塩水溶液の塩濃度は、必ずしも一定である必要はなく、任意に変えることができる。
【0015】
上記固定化担体に吸着させる酵素の量は、特に限定されず、固定化担体の性能等に応じて適宜決めればよい。上記吸着工程における固定化担体に対する酵素溶液の量、及び上記洗浄工程における固定化担体に対する洗浄液の量は、いずれも特に限定されないが、吸着工程における酵素溶液の量は、固定化担体を酵素溶液に充分接触させる上で、容量比で固定化担体に対して1〜20倍量、特に2〜5倍量とするのが好ましい。また、固定化担体をカラムに詰め、酵素溶液を通す場合の速度は、空間速度(SV)で0.1〜20が適当である。
【0016】
本発明の固定化酵素の製造方法における酵素の固定化に用いる塩水溶液の塩の種類は、特に限定されず、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム等の塩化物、硫酸塩、炭酸塩、酢酸塩、リン酸塩、クエン酸塩等を用いることが出来、これらの塩は二種以混合して用いることも出来る。本発明の固定化酵素の製造方法においては、これらの中でも、特に、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化カルシウム及び硫酸マグネシウムから選ばれる一種以上を用いるのが好ましい。
【0017】
上記塩水溶液のイオン強度は、0.5以上20以下が好ましく、1以上5以下がより好ましい。上記吸着工程において、塩水溶液に溶解した酵素タンパク質が塩の塩析作用によって不溶化するのは好ましくなく、このような場合の吸着工程は、水あるいは酵素が不溶化しない低イオン強度の塩水溶液を用いて行い、洗浄工程を上記の好ましいイオン強度の塩水溶液を用いて行えばよい。即ち、塩水溶液条件によっては塩析による沈殿を生ずるような酵素であっても、本発明による固定化酵素の製造は可能である。
【0018】
上記吸着工程の温度は、酵素溶液の凝固点より高く60℃以下が好ましく、10〜40℃がさらに好ましい。上記洗浄工程の温度は、洗浄液の凝固点より高く60℃以下が好ましく、5〜40℃がさらに好ましい。上記吸着工程の時間は、10分〜50時間が好ましく、30分〜5時間がさらに好ましい。上記洗浄工程の時間は、5分〜5時間が好ましく、10分〜1時間がさらに好ましい。
【0019】
本発明の固定化酵素の製造方法において、上記塩水溶液には、塩以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、還元剤(チオールプロテアーゼの活性化剤)等の酵素の活性化剤や安定剤、水溶性溶媒等を添加することができる。
【0020】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。
実施例1、3〜6は、塩水溶液中で固定化担体に酵素を接触させ吸着させる本発明の固定化酵素の製造方法の実施例を示し、実施例2は、固定化担体に酵素を吸着させた後、該固定化担体を塩水溶液と接触させる本発明の固定化酵素の製造方法本発明の固定化酵素の製造方法の実施例を示す。また、比較例1〜4は、吸着工程及び洗浄工程のいずれにおいても塩水溶液を使用しない固定化酵素の製造方法の実施例を示し、比較例4〜8は、吸着工程前に固定化担体を塩水溶液によって前処理する固定化酵素の製造方法の実施例を示す。また、実施例1〜6及び比較例1〜8それぞれにおいて得られた固定化酵素について、試験例1において固定化率を測定し、試験例2において活性発現率を測定し、試験例3において繰り返し使用後の残存活性を測定した。
【0021】
〔実施例1〕
キトサン担体であるキトパールBCW3010(富士紡績(株))の湿潤重量100gを直径5cmのカラムに詰め、10重量%食塩水(イオン強度;1.7)で20mg/mlに調製したブロメライン(ブロメラインF、アマノエンザイム(株))溶液50mlを30℃でSV2で2時間循環させた。続いて、10℃の水をSV4で1時間通して洗浄し、固定化ブロメラインを得た。
【0022】
〔実施例2〕
セラミック担体であるトヨナイト200−M(東洋電化工業(株))の湿潤重量100gと5mg/mlに調製したトリプシン(PTN、ノボザイムズ)水溶液400mlを混合し、50℃で1時間撹拌混合した。トリプシン水溶液を除去した後、20重量%食塩水(イオン強度;3.42)400mlを加え、30℃で30分間撹拌した。続いて、20重量%食塩水を除去した後、5重量%食塩水(イオン強度;0.86)400mlを加え、30℃で30分撹拌した。さらに、5重量%食塩水を除去した後、水400mlを加え、30℃で30分撹拌し、水を除去して固定化トリプシンを得た。
【0023】
〔実施例3〕
キトサン担体であるキトパールBCW3510(富士紡績(株))の湿潤重量100gに対し、15重量%塩化カルシウム水溶液(イオン強度;0.69)によって2.5mg/mlに調製したホスホリパーゼA2(Lecitase 10L、ノボザイムズ)溶液200mlを加え、40℃で3時間混合撹拌した。ホスホリパーゼA2溶液をデカンテーションで捨て、15重量%塩化カルシウム水溶液を200ml加え、40℃で20分間撹拌した後、15重量%塩化カルシウム水溶液を除去した。同様の洗浄操作を合計3回繰り返し、固定化ホスホリパーゼA2を得た。
【0024】
〔実施例4〕
セラミック担体であるトヨナイト200−P(東洋電化工業(株))の湿潤重量100gに対し、10重量%硫酸ナトリウム水溶液(イオン強度;3.3)にて10mg/mlに調製したホスホリパーゼA1(Lecitase Ultra、ノボザイムズ)溶液300mlを混合し、10℃で12時間撹拌混合した。ホスホリパーゼA1溶液を除去した後、200mMリン酸緩衝液(pH6.5、イオン強度;約0.7)400mlを加え、10℃で30分間撹拌した後、リン酸緩衝液を除去した。同様の洗浄操作を合計4回繰り返し、固定化ホスホリパーゼA1を得た。
【0025】
〔実施例5〕
15重量%塩化カルシウム水溶液に代えて1.8重量%塩化カルシウム水溶液(イオン強度;0.49)を用いたこと以外は、実施例3と同様の操作を行い、固定化ホスホリパーゼA2を得た。
【0026】
〔実施例6〕
ホスホリパーゼA1溶液の調製の際に10重量%硫酸ナトリウム水溶液に代えて2.3重量%硫酸ナトリウム水溶液(イオン強度;0.49)を用い、且つ洗浄時に200mMリン酸緩衝液に代えて50mMリン酸緩衝液(イオン強度;約0.2)を用いたこと以外は、実施例4と同様の操作を行い、固定化ホスホリパーゼA1を得た。
【0027】
〔比較例1〕
ブロメライン溶液の調製の際に10重量%食塩水に代えて水を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、固定化ブロメラインを得た。
【0028】
〔比較例2〕
洗浄時に20重量%食塩水及び5重量%食塩水に代えて水を用いたこと以外は、実施例2と同様の操作を行い、固定化トリプシンを得た。
【0029】
〔比較例3〕
15重量%塩化カルシウム水溶液に代えて水を使用した以外は、実施例3と同様の操作を行い、固定化ホスホリパーゼA2を得た。
【0030】
〔比較例4〕
ホスホリパーゼA1溶液の調製の際に10重量%硫酸ナトリウム水溶液に代えて水を用い、且つ洗浄時に200mMリン酸緩衝液に代えて水を使用したこと以外は、実施例4と同様の操作を行い、固定化ホスホリパーゼA1を得た。
【0031】
〔比較例5〕
キトサン担体であるキトパールBCW3010(富士紡績(株))の湿潤重量100gに対し、10重量%食塩水(イオン強度;1.7)を1000ml加え、30℃で2時間撹拌を行った。その後、担体を分離して蒸留水500mlで2回洗浄し、塩水溶液による担体の前処理を行った。この前処理を行なった担体を用いて、以降は比較例1と同様の操作を行い、固定化ブロメラインを得た。
【0032】
〔比較例6〕
セラミック担体であるトヨナイト200−M(東洋電化工業(株))の湿潤重量100gに対し、10重量%食塩水(イオン強度;1.7)を1000ml加え、30℃で2時間撹拌を行った。その後、担体を分離して蒸留水500mlで2回洗浄し、塩水溶液による担体の前処理を行った。この前処理を行なった担体を用いて、以降は比較例2と同様の操作を行い、固定化トリプシンを得た。
【0033】
〔比較例7〕
キトサン担体であるキトパールBCW3510(富士紡績(株))の湿潤重量100gに対し、15重量%塩化カルシウム水溶液(イオン強度;0.69)を1000ml加え、30℃で2時間撹拌を行った。その後、担体を分離して蒸留水500mlで2回洗浄し、塩水溶液による担体の前処理を行った。この前処理を行なった担体を用いて、以降は比較例3と同様の操作を行い、固定化ホスホリパーゼA2を得た。
【0034】
〔比較例8〕
セラミック担体であるトヨナイト200−P(東洋電化工業(株))の湿潤重量100gに対し、10重量%硫酸ナトリウム水溶液(イオン強度;3.3)を1000ml加え、10℃で20時間撹拌を行った。その後、担体を分離して蒸留水500mlで2回洗浄し、塩水による担体の前処理を行った。この前処理を行なった担体を用いて、以降は比較例4と同様の操作を行い、固定化ホスホリパーゼA1を得た。
【0035】
〔試験例1〕固定化率の測定
実施例1〜6及び比較例1〜8それぞれにおいて得られた固定化酵素について、固定化担体への酵素吸着量を以下に示す方法で測定し、固定化率を算出した。固定化担体と接触させた後の酵素溶液のタンパク質濃度及び洗浄後の洗浄液のタンパク質濃度をそれぞれ測定し、各液の容量を乗じることにより、該酵素溶液中の全タンパク質量(未吸着の酵素量)及び該洗浄液中の全タンパク質量(洗浄液中に遊離してきた酵素量)を算出し、これらの総和をタンパク質量(II)とした。一方、固定化担体と接触させる前の酵素溶液のタンパク質量(I)を測定し、次式によって固定化率を算出した。
固定化率(%)=[{(I)−(II)}/(I)]×100
尚、タンパク質量の測定は色素結合法により行い、具体的にはBio−Rad社製のProtein assay Reagentにより、標準牛血清アルブミン溶液を指標として測定した。一連の固定化操作によって塩が存在するサンプル溶液については、透析・脱塩し、凍結乾燥により濃縮した後測定した。
実施例1〜6及び比較例1〜8にそれぞれにおいて得られた固定化酵素の固定化率を表1に示す。
【0036】
【表1】
Figure 2004065153
【0037】
表1から明らかなように、塩水溶液中で固定化担体に酵素を接触させ吸着させる本発明の固定化酵素の製造方法によって製造された固定化酵素(実施例1、3〜6)、及び、固定化担体に酵素を吸着させた後、該固定化担体を塩水溶液と接触させる本発明の固定化酵素の製造方法によって製造された固定化酵素(実施例2)は、いずれも、吸着工程及び洗浄工程において塩水溶液を使用せずに製造された固定化酵素(比較例1〜4)並びに吸着工程前に固定化担体を塩水溶液によって前処理して製造された固定化酵素(比較例5〜8)に比べ、固定化率が高く充分な酵素吸着量を有することが確認された。
【0038】
〔試験例2〕固定化酵素の活性
実施例1〜6及び比較例1〜8において得られた固定化酵素を用いて加水分解反応をそれぞれ行なったときの固定化酵素の活性を以下のようにして測定した。実施例1及び比較例1、5で得られた固定化ブロメライン並びに実施例2及び比較例2、6で得られた固定化トリプシンについては、カゼイン(HAMMERSTEN、MERCK)を基質とし、下記表2に記載の反応条件により加水分解反応を行ない、酵素による加水分解反応によって生成したトリクロロ酢酸可溶性成分をローリー法によって測定し、カゼインの分解量を測定した。また、実施例3、5及び比較例3、7で得られた固定化ホスホリパーゼA2並びに実施例4、6及び比較例4、8で得られた固定化ホスホリパーゼA1については、大豆ホスファチジルコリン(Sigma P−5638)を基質とし、下記表3に記載の反応条件により加水分解反応を行ない、酵素による加水分解反応によって生成した遊離脂肪酸量を高速液体クロマトグラフィーで定量し、ホスファチジルコリンの分解量を測定した。分解量を反応時間及び反応系への添加酵素量(実施例7で測定した吸着酵素量(固定化率)に基づいて算出)で除し、固定化担体に吸着した単位酵素量が単位時間当たりにそれぞれの基質を分解する活性を算出し、固定化酵素の活性とした。固定化ブロメラインについては実施例1、固定化トリプシンについては実施例2、固定化ホスホリパーゼA2については実施例3、固定化ホスホリパーゼA1については実施例4で得られた固定化酵素の活性をそれぞれ100とした場合の、その他の実施例及び比較例でそれぞれ得られた固定化酵素の活性を、相対活性発現率として表4に示す。
【0039】
【表2】
Figure 2004065153
【0040】
【表3】
Figure 2004065153
【0041】
【表4】
Figure 2004065153
【0042】
表4から明らかなように、塩水溶液中で固定化担体に酵素を接触させ吸着させる本発明の固定化酵素の製造方法によって製造された固定化酵素(実施例1、3〜6)、及び、固定化担体に酵素を吸着させた後、該固定化担体を塩水溶液と接触させる本発明の固定化酵素の製造方法によって製造された固定化酵素(実施例2)は、いずれも、吸着工程及び洗浄工程において塩水溶液を使用せずに製造された固定化酵素(比較例1〜4)並びに吸着工程前に固定化担体を塩水溶液によって前処理して製造された固定化酵素(比較例5〜8)に比べ、活性が高く優れたものであった。
【0043】
〔実施例9〕固定化酵素の繰り返し使用に対する安定性
反応時間を20時間とした以外は、実施例8と同様の反応条件で加水分解反応を行った後、反応系に用いたものと同じ緩衝液で固定化酵素を2回洗浄し、再び同様に20時間の加水分解反応を行い、洗浄を繰り返す方法で、固定化酵素を合計10回繰り返し使用し、10回目の加水分解反応における固定化酵素の活性(残存活性)を実施例8と同様の方法で測定した。固定化ブロメラインについては実施例1、固定化トリプシンについては実施例2、固定化ホスホリパーゼA2については実施例3、固定化ホスホリパーゼA1については実施例4で得られた固定化酵素の残存活性をそれぞれ100とした場合の、その他の実施例及び比較例でそれぞれ得られた固定化酵素の活性を、相対残存活性として表5に示す。
【0044】
【表5】
Figure 2004065153
【0045】
表5から明らかなように、塩水溶液中で固定化担体に酵素を接触させ吸着させる本発明の固定化酵素の製造方法によって製造された固定化酵素(実施例1、3〜6)、及び、固定化担体に酵素を吸着させた後、該固定化担体を塩水溶液と接触させる本発明の固定化酵素の製造方法によって製造された固定化酵素(実施例2)は、いずれも、吸着工程及び洗浄工程において塩水溶液を使用せずに製造された固定化酵素(比較例1〜4)並びに吸着工程前に固定化担体を塩水溶液によって前処理して製造された固定化酵素(比較例5〜8)に比べ、残存活性が高く安定性に優れたものであった。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、特に食品や医薬品の製造プロセスにおける酵素処理に好適な、安全で、簡単且つ安定な固定化酵素を製造する方法を提供できる。

Claims (7)

  1. 塩水溶液中で固定化担体に酵素を接触させ吸着させることを特徴とする固定化酵素の製造方法。
  2. 固定化担体に酵素を吸着させた後、該固定化担体を塩水溶液と接触させることを特徴とする固定化酵素の製造方法。
  3. 上記酵素が加水分解酵素であることを特徴とする請求項1又は2記載の固定化酵素の製造方法。
  4. 上記酵素がタンパク質分解酵素であることを特徴とする請求項1又は2記載の固定化酵素の製造方法。
  5. 上記酵素がホスホリパーゼであることを特徴とする請求項1又は2記載の固定化酵素の製造方法。
  6. 上記固定化担体が水不溶性多孔性担体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の固定化酵素の製造方法。
  7. 上記固定化担体がキトサン又はキトサン誘導体であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の固定化酵素の製造方法。
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