JP4615701B2 - 高耐熱性反射膜を用いた積層体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示素子用反射体、或いは建材ガラス用反射膜等の製作に使用される高耐熱性反射膜に係り、特に高反射率を特徴とするAg合金からなる液晶表示素子構成用高耐熱性反射膜を用いて形成される液晶表示素子構成用積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、建材ガラス用熱線反射膜や反射型液晶表示素子用反射板にはAl又はAl合金、或いはAg及びAg−Pdに代表されるAg合金等の様々な材料が使用され、又、膜の積層によって高い反射率に加えて機能性を向上させる等の検討がなされており、それを実現した製品が既に大変多くの分野や多種多様な方面に用いられてきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、400〜4000nmの光学波長領域において、高い反射率を特徴とする反射膜や、この反射膜を用いて形成される反射型液晶表示素子用反射板、反射電極層及び建材ガラス用赤外線及び熱線を反射する反射膜としては、AgやAl若しくはこれらの内、いずれかの元素を主成分とする合金材料から形成された反射膜が幅広く知られているが、それぞれに耐熱性に対しは決して優れているとは言えない。
【0004】
例えばAlやAgは熱に対しての耐熱性が高く無く、特定温度では表面部が拡散し易いために、例えば液晶表示素子用の反射板を製作する場合には、製作プロセス中での温度雰囲気が制限される。更には建材ガラス用の赤外線及び熱線反射膜に至っては大気中で夏季に高温に曝されると、反射膜自体が化学的に変異(変色)してしまう等、熱に対しての品質の安定性に問題があった。
これは、反射率が可視光域(400〜800nmの光学波長領域)で最も高いAg若しくはAgを主成分とするAg合金は短波長(450nm以下)では吸収率および吸収係数が増加する為に黄色反射光が強く、液晶表示素子及びそれを用いた携帯情報端末機器となった際に必ずしも見栄えが良いとは言えなく、時間が経つにつれて黄色化が進行することも懸念されている。
【0005】
又、反射率が高い材料としては、AlやAg以外にAuが知られているが、Auは価格的に大変高価であるために建材窓ガラス用反射膜や液晶表示素子用反射板に用いるにはコスト的な面から実用性が乏しいと判断されている。
【0006】
又、反射率が高く、コスト的な面からも大変安価で、実用性が高いとされるAlについては、PMMA、シリコーン樹脂等の樹脂基板等を用いた場合に、樹脂基板から析出されるガス成分に対して化学反応を起こす虞れがあることから、ガスの放出作用が低い材料からなる基板にのみ有効と、基板材料が制限されてしまうばかりか、樹脂とのコンタクトを図る場合には材料の化学的な安定性が懸念されてしまう等の不安、課題が残る。
【0007】
更に、Al若しくはこれを主成分とするAl合金は、例えばAg、Agを主成分とするAg合金と比して光学的吸収が大きいために、半透過反射膜を形成する際に光学特性として損失が大きいとされている。
【0008】
又、400〜4000nmの可視及び赤外域と称される光学波長領域中で、Agは数多くの金属元素中で最も光学反射率が高いために、高反射率を特徴とする膜としては優れた特性を保有しているものと検討されているが、熱に対しての自己拡散エネルギーが活発であるために、熱が印加された場合の経時変化が生じるという問題がある。そのために、一時的であっても100℃前後の熱が印加された場合には表面部に拡散現象が起り、Ag本来が保有する光沢を失って白濁化してしまう。換言すれば、反射率が高いと言うAg本来の特性が大幅に低減してしまう。
又、ガラスや樹脂製の基板上に反射膜を形成した際には、Agは大気中に放置されると、大気中の湿気(主として水分)を吸収して黄色化してしまうために、反射率が高いと言うAg本来の特性が欠損させてしまう等の問題が生じ、高反射率であると言う本来の特性を保持することができないと言った耐候性に対しも決して優れているとは言えない。
【0009】
本発明はこの様な従来事情に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、Ag自体の保有する高い光学反射率に対しての高い能力が保持され、更にはAgの材料的な安定性が格段に改善され、しかも、積層されて用いられた場合では下地層やガラス基板又は樹脂基板との接合性がより一層効果的に強化され、より高い信頼性が得られる高耐熱性反射膜と、この反射膜を用いて製作される液晶表示素子用反射板、或いは建材ガラス用反射膜等の積層体を提供することにある。
【0010】
【課題を達成するための手段】
課題を達成するために本発明では、熱に対して安定であり、且つ容易に製作が可能なAgを主成分として、Au、Pd及びRuのいずれか一種を0.1〜3.0wt%添加し、更にTi、Cr、Ta、Ni、Mo、Nbのいずれか一種類の元素を0.1〜3.0wt%添加してなるAg合金材料から形成し、用途に応じて単層、又は複層で構成することで温度や化学的に安定であり、様々な用途への適用を可能とした高耐熱性反射膜の上部に、In 2 O 3 を主成分として、SnO 2 、Nb 2 O 5 、SiO 2 、MgO、Ta 2 O 5 のいずれか一種以上を添加してなる合金膜を形成して成る積層体である。そして、本発明においては、Au、Pd及びRuの好ましい添加量は0.7〜2.3wt%であり、特に好ましくは0.9wt%である。又、Ti、Cr、Ta、Ni、Mo、Nbの内のいずれか一種類の元素の好ましい添加量は0.5〜2.5wt%であり、特に好ましくは1.0wt%である。
【0012】
又、本発明では、上記積層体が、380〜565nmの短波長領域で、純Ag若しくはAgを主成分として構成される合金膜の、加熱後の吸収率の増加を低減し、特には黄色化を抑制する積層体である。
【0013】
又、本発明では、上記積層体を用いて構成される液晶表示素子である。又、本発明では、上記積層体を、反射体或いは反射膜として形成される液晶表示素子を用いて形成される携帯情報端末機器である。
【0017】
更に、本発明の積層構造にした際に、純Agについても上層と下層に特定の材料を用いた層を形成してサンドイッチ構造にした場合には、従来に課題とされている液晶表示素子の製造プロセス中の加熱プロセス後に光学特性が損失したり、光学的吸収増加に伴う表面状態の変化,変色等の課題を抑制することができることである。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の具体例について説明する。
本発明では、まずAgの保有する熱に対しての自己拡散エネルギーを緩和させて、任意で少なくとも100℃以上に加熱した場合に生じ易かった表面拡散による白濁化、或いは表面形態の大幅な変異による吸収の増加という現象を抑制することである。
【0019】
そして、Agは大変熱伝導率が良く、原子単位で熱を吸収・飽和させ易い特徴があるために、熱伝導率を鈍化させて且つ原子間での活発な移動を抑制するために、Agに対して全率固溶体を形成する原子であるAu、Pd及びRuを0.1〜4.0wt%任意で組成を振って添加して実験して見た。
まず、スパッタリング装置にAgとPdのスパッタリングをそれぞれ装着して、特定のRFパワーでAg、Pdの放電量を制御して、Ar(アルゴン)ガスを0.1〜3.0Paの間で任意に設定して、2つの材料を同時にスパッタする。つまり、同時スパッタリング法で数種類Pdの添加量を振って合金膜を形成した。
この時、基板としては100mm×100mm×1.1tの石英基板を用いて、スパッタ・プロセス中の基板温度は常温(25℃前後)で、スパッタガスとしてはArガスのみを用いて、到達真空度としては3×10E−6Paという高真空雰囲気中で、膜厚20nmで成膜した。
高真空雰囲気中で成膜を行う理由としては、不純物ガス等が合金膜の粒界に依存してしまうのを抑制して、緻密な膜を形成することで材料本来の物性を確認しようとするためである。
【0020】
上記方法にて形成したAgを主成分として、それに数種類の添加組成でAu、Pd及びRuを添加したAg合金薄膜を、大気中でホットプレート上に乗せて約2時間放置して、白濁化の有無と白濁化が開始された温度を観察して見た。
この時のホットプレートの加熱方法としては、抵抗加熱式を採用し、加熱温度を250℃、加熱速度を20℃/minに設定した。その試験結果を表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
一般的に、Au、Pd及びRuを添加すると、Agの保有する高温及び高湿(多湿)環境下での耐候性の無さが改善されることはよく知られているが、熱を印加した場合の耐表面拡散性については、表1の様に顕著な差異を確認することはできなく、Au、Pd及びRuの添加による白濁化の低減については、純Agと比較して顕著な優位性を確認することはできなかった。
又、反射率は、加熱する前と比較して、加熱後において2〜3%程度低下することが確認されたために、Au、Pd及びRu添加による表面拡散防止効果は確認することができなかった。
【0023】
実施例1
そこで、本発明では主成分となるAgに、0.1〜3.0wt%Au、Pd及びRuを添加し、更にCu、Ti、Cr、Ta、Ni、Mo、Al、Nbの内、少なくとも一種類以上の元素を添加して、少なくとも三元素以上の元素からなるAg合金から薄膜を形成して、熱による表面拡散の抑制を検討して見た。この時のCu・Ti・Cr、Ta、Ni、Mo、Al、Nbの内、少なくとも一種類以上の元素の添加量は0.1〜3.0wt%である。また、94.0〜99.8%のAgに、Au、Pd及びRuから選択された2つを各々0.1〜3.0wt%添加して成る三元素からなるAg合金からも薄膜を形成した(表3参照)。
薄膜の成膜方法としては、Agに加えて、Au、Pd及びRuのいずれか一種、更にはCu、Ti、Cr、Ta、Ni、Mo、Al、Nbの内のいずれかのスパッタリングターゲット材料より一種類選択してRFマグネトロンスパッタリング装置に装着し、前記3つの金属元素を同時スパッタリングすることで、Ag合金薄膜を作成した。あるいは、スパッタリングターゲット材料は、Agに加えて、Au、Pd及びRuから選択された2つにした。
この時、基板としては100mm×100mm×1.1tの石英基板を用いて、スパッタ・プロセス中の基板温度は常温(25℃前後)で、スパッタガスとしてはAr(アルゴン)ガスのみを用いて、到達真空度としては3×10E−6Paという高真空雰囲気中で、膜厚は前述したAg−Pdからなる二元合金と同様に200nmにて形成した。
【0024】
この方法で、主成分となるAgに、Au、Pd及びRuのいずれか一種以上を0.1〜3.0wt%添加し、更にCu、Ti、Cr、Ta、Ni、Mo、Al、Nbの内、いずれか一種以上を0.1〜3.0wt%添加してなるAg合金又は94.0〜99.8%のAgに、Au、Pd及びRuから選択された2つを各々0.1〜3.0wt%添加して成る三元素からなるAg合金を石英基板上に膜厚200nmで成膜して、それを250℃に設定保持されたホットプレート上に置いて2時間放置して見た。その試験結果を表2及び表3〜表7に示す。
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】
【表4】
【0028】
【表5】
【0029】
【表6】
【0030】
【表7】
【0031】
すると、純Ag或いはAgにAu、Pd及びRuのいずれかを0.1〜3.0wt%添加されたAg合金では、少なからず膜の表面部が白濁化して反射率が低下してしまったが、Agを主成分としてAu、Pd及びRuのいずれか一種以上を0.1〜3.0wt%添加し、更に第三元素としてCu、Ti、Cr、Ta、Ni、Mo、Al、Nbの内、いずれか一種以上を0.1〜3.0wt%添加してなる三元素のAg合金と、94.0〜99.8%のAgに、Au、Pd及びRuから選択された2つを各々0.1〜3.0wt%添加して成る三元素からなるAg合金とでは、白濁化現象や反射率の低下が表2及び表3〜表7から分かるように、全ての組成範囲で観察されなかった。
【0032】
そこで、250℃で加熱した様々な組成範囲で形成されるAg合金膜が堆積された石英基板を、更に400℃に加熱されたホットプレート上に2時間放置して見た場合、何れの組成範囲においても白濁化や反射率の低下が観察されなかった。
【0033】
又、Au、Pd及びRuを全く添加せずにCu、Ti、Cr、Ta、Ni、Mo、Al、Nbの内、いずれか一種以上を0.1〜3.0wt%添加してなる二元素のAg合金膜を前述の通り、スパッタリング法により同時に石英基板に膜厚15nmにて形成して、同じく250℃と400℃の両方で加熱して経時変化を観察したところ、全ての膜が白濁化、そして反射率が低下してしまうことが確認された。
【0034】
この様に、主成分とするAgに、0.1〜3.0wt%のAu、Pd及びRuのいずれか一種以上を添加し、更に第三の元素として0.1〜3.0wt%のCu、Au、Ti、Cr、Ta、Moの内、いずれか一種類を添加してなる三元素のAg合金にするか、94.0〜99.8%のAgに、Au、Pd及びRuから選択された2つを各々0.1〜3.0wt%添加して成る三元素からなるAg合金にすることにより、耐熱性の改善が認められ、しかも、高い反射率を低下させること無く維持できることが分かった。
【0035】
実施例2
次に、近年、例えば低消費電力であることで携帯電話等の携帯情報端末機器に有用性が高いとされている反射型液晶表示素子の反射板や、反射率が高いことを特徴とする反射配線電極としての有用性を検討して見た。
【0036】
従来の反射型液晶表示素子の反射板や反射配線電極にはAlやAlで課題となっているヒロックと呼称される薄膜となった際の凹凸の発生や、膜や反射配線電極の断面部の劣化現象を抑制するAlを主成分とするAl合金が採用されているが、Al若しくはAl合金では、熱に対しての安定性こそは極端に問題になってはいないものの、例えば有機材料であるレジスト液を塗布してパターニングした後に、パターン形成されたAl若しくはAl合金をアルカリ溶液で洗浄してレジスト材を除去しようとする場合には、膜の表面部が荒れてしまって反射率が低下したり光の散乱現象が生じたりすることが問題とされてきた。
【0037】
そこで、本発明ではAgを主成分としてAu、Pd及びRuのいずれか一種以上を0.1〜3.0wt%添加し、更にCu、Ti、Cr、Ta、Ni、Mo、Al、Nbの内、いずれか一種以上を0.1〜3.0wt%添加してなる三元素からなるAg合金によって形成された反射膜及び94.0〜99.8%のAgに、Au、Pd及びRuから選択された2つを各々0.1〜3.0wt%添加して成る三元素からなるAg合金によって形成された反射膜に、前述と同様にレジスト液を塗布してパターン形成後にアルカリ溶液で洗浄する耐蝕試験を行った。その試験結果を表8〜表13に示す。
【0038】
【表8】
【0039】
【表9】
【0040】
【表10】
【0041】
【表11】
【0042】
【表12】
【0043】
【表13】
【0044】
表8〜表13から明らかなように、何れの組成範囲においても反射率の低下が全く確認されなかった。
この様に、少なくともAgを主成分としてAu、Pd及びRuを0.1〜3.0wt%添加し、更にCu、Ti、Cr、Ta、Ni、Mo、Al、Nbの内、いずれか一種以上を0.1〜3.0wt%添加してなる三元素からなるAg合金によって形成される膜及び94.0〜99.8%のAgに、Au、Pd及びRuから選択された2つを各々0.1〜3.0wt%添加して成る三元素からなるAg合金によって形成される膜はアルカリ液に対して、AlやAlを主成分とする従来のAl合金と比して、反射率の低下が無く、安定していることが分かった。又、反射型液晶表示素子用の反射板や反射配線電極に対して、高い反射率を保有し、更にはアルカリ溶液に対しての化学的、或いは品質的な安定性も従来と比して高くなることが分かった。
【0045】
そして、反射型液晶表示素子では、反射板や反射配線電極の特徴である反射率が高いということで、光源に投入される電力量が低減することができ、更には液晶表示素子自体の照度が約20%程度向上するために、少なくとも液晶表示素子で基準とされる500〜800nm(565nm)の光学波長領域で、Agを主成分として3元素で構成されるAg合金はAlと比較すると、表14〜表19から明らかなように、0.5〜3.0%反射率が向上されるために、従来のAlやAl合金での課題が解決され、且つ反射率が高いために大変有用性が高いことが分かった。
【0046】
【表14】
【0047】
【表15】
【0048】
【表16】
【0049】
【表17】
【0050】
【表18】
【0051】
【表19】
【0052】
又、窓ガラスを始めとする建材ガラスでは、太陽光から発せられる可視光、赤外線、紫外線の内で、明かりに直接関係の高い可視光を透過して、且つ熱の元になって夏季に室内に外部から進入する赤外線を反射する目的で、AgやAl、若しくはそれらの内、いずれかを主成分としたAg合金又はAl合金からスパッタリング法にて膜を形成して、赤外反射効果を実現してきたが、いずれも大気中に直接暴露された場合には熱に対して経時変化が大きいために、そのまま大気中に放置することが困難とされており、一般的にはZnOやZnO−Al2O3複合酸化物等の耐熱保護層を形成することで反射膜の材料的な安定性を確保してきた。
【0053】
これまでは耐食性及び耐熱性に富んでいるAg合金としては従来はAgに1〜3wt%のPdを添加されてなるAg−Pd合金、Agに1〜10wt%のAuを添加されてなるAg−Au合金、更にはAgに1〜10wt%のRuを添加されてなるAg−Ru合金が広く知られているが、このAg−Pd合金、Ag−Au合金及びAg−Ru合金のいずれの合金を用いて形成した合金膜でも、高温高湿(多湿)環境下で耐候性試験を行った際に、黒色の斑点が観察できた。
【0054】
そのため、この黒色斑点物を光学顕微鏡で観察して見たところ、この黒色の斑点物がPdのH2融解作用の固溶限界になり、黒色化して励起反応を起こして隆起物となっていることが確認できた為に、少なくとも建材ガラスとして用いる場合では、例えば雨季や冬季に室内外の温度差によって生じる水滴、或いは湿度の高い地域化での長期信頼性に対しては安定性が欠けると言うことが分かった。
【0055】
又、AgとAuは全率固溶する安定な合金であることはよく知られているが、このAg−Au合金膜は塩素をはじめとする耐ハロゲン系元素性に決して富んではいないために、耐候性試験中に空気が混入しており、空気内に含有する塩素やヨウ素と原子的に結合したことでこの様な黒色斑点が得られたことが分かった。
【0056】
実施例3
又、Ag−Pdの2元合金は耐熱性が高くないことが、前述の表1で示されているために、外気の温度が高かったり、太陽光から集中する熱線に対して安定性に問題があることが確認されている。
【0057】
そこで、本発明では耐熱性が高いことが確認されているAgを主成分としてAu、Pd及びRuを0.1〜3.0wt%添加し、更にCu、Ti、Cr、Ta、Ni、Mo、Al、Nbの内、いずれか一種類を0.1〜3.0wt%添加してなる三元素からなるAg合金が高温高湿(多湿)の環境下での耐候性について、安定性が少なくともAg−Pd合金、Ag−Au合金及びAg−Ru合金と比較してどの様な結果が得られるかを実験してみた。
【0058】
この方法として、3元同時スパッタリング法で無アルカリガラス、低アルカリガラス,硼珪酸ガラス,石英基板の全ての基板上に、三元素からなるAg合金を形成して、それを温度90℃、湿度90%の雰囲気中で経時変化の発生の有無を確認して見た。
この時、全ての基板に対してAgを主成分としてPdを0.1〜3.0wt%添加し、更にCu,Au,Ti,Cr,Ta,Moの内、いずれか一種類を0.1〜3.0wt%添加してなる三元素からなるAg合金を直接形成したものと、例えばITO、ZnO、ZnO−Al2O3複合酸化物、SiO2等を形成して得たものとを同時に耐侯性の試験を行った。同時に、Ag合金自体と下地膜を形成してその下地膜の上にAg合金を形成した場合とで差異があるかどうかを合わせて確認した。
【0059】
すると、Agを主成分としてAu,Pd及びRuのいずれか一種以上を0.1〜3.0wt%添加して、更にはCu,Au,Ti,Cr,Ta,Moの内、いずれか一種類を0.1〜3.0wt%添加してなる三元素からなるAg合金によって形成された反射膜単層の場合でも、Agを主成分として三元素から構成されるAg合金の下地にITO、ZnO、SiO2を形成して積層体になった場合でも、Ag合金単層と比較して耐侯性が高いことが確認できた。
【0060】
この結果として、Agを主成分としてPdを0.1〜3.0wt%添加して、更にはCu、Ti、Cr、Ta、Ni、Mo、Al、Nbの内、いずれか一種類を0.1〜3.0wt%添加してなる三元素からなるAg合金膜では、それを上層として基板との間に任意で酸化物を形成した場合でも下地に依存すること無く、耐熱性が高く、更には反射率や耐候性を保持することが確認され、例えば窓ガラスをはじめとする建材ガラス用の赤外線反射膜,熱線反射膜としては従来のAg−Pd、Ag−Au及びAg−Ru二元合金と比して有用性が高いことが確認できた。
【0061】
対照的に、従来から反射膜として広く用いられてきた従来のAlやAlを主成分とするAl合金、更にはAgやAg−Pd合金については、いずれも樹脂基板に対して化学的に不安定であるために、樹脂基板上で高温高湿環境下に放置すると、反射膜と樹脂基板との接着界面で化学反応を生じてしまい、樹脂基板に対しては材料の化学的安定性に問題があることが分かった。
【0062】
そこで、本発明ではAgを主成分としてAu、Pd及びRuのいずれか一種以上を0.1〜3.0wt%添加し、更にCu、Ti、Cr、Ta、Ni、Mo、Al、Nbの内、少なくとも一種類以上の元素を合計で0.1〜3.0wt%添加してなる3元素以上から構成されるAg合金膜及び94.0〜99.8%のAgに、Au、Pd及びRuから選択された2つを各々0.1〜3.0wt%添加して成る三元素からなるAg合金膜の材料の化学的安定性を確認するために、PMMA、PET、PC、シリコーン等の樹脂で構成される基板上に、これまでと同様に三元同時スパッタリング法にて15nmの厚みの薄膜を形成して、高温高湿(多湿)の環境下で24時間放置してその外観や反射特性の経時変化を観察して見た。その結果を表20〜表25に示す。
【0063】
【表20】
【0064】
【表21】
【0065】
【表22】
【0066】
【表23】
【0067】
【表24】
【0068】
【表25】
【0069】
表20〜表25から明らかなように、24時間放置後でも材料に従来問題であった経時変化が観察されなかったために、様々な樹脂基板上に形成したAgを主成分としてAu、Pd及びRuのいずれか一種以上を0.1〜3.0wt%添加し、更にCu、Ti、Cr、Ta、Ni、Mo、Al、の内、いずれか一種類以上を0.1〜3.0wt%添加してなる三元素からなるAg合金膜及び94.0〜99.8%のAgに、Au、Pd及びRuから選択された2つを各々0.1〜3.0wt%添加して成る三元素からなるAg合金膜の反射率を分光光度計を用いて観察してみたが、反射型液晶表示素子で有用とされる565nmの光学波長領域や、建材ガラス等で必要とされる400nm〜4μmの光学波長領域中では反射率の低下が確認されなかった。
この様に、本発明によって得られたAgを主成分とする三元合金は、樹脂に対して化学的安定性が高く、従来と比して基板材質を制限しないことが分かった。
【0070】
実施例4
又、従来、建材ガラス用の赤外線反射膜若しくは熱線反射膜、及び反射型液晶表示素子用反射板においては、Ag若しくはAl、更にはAgを主成分とするAg合金材料や、Alを主成分とするAl合金材料が用いられてきたことはこれまでに記述したが、これらの材料はその材料を用いて膜を形成する際に、基板の材質によっては密着性が大変悪いため、膜を形成した直後、或いは膜を形成して長期放置してその経時変化を観察した場合では、剥離等の問題が生じてしまうなどの問題も多かった。
そのため、密着性を向上させるために様々な密着助長膜を反射膜と基板との中間に挟むことで、従来は密着性が弱いという問題に対する解決がなされてきた。
【0071】
そこで、本発明によって得られたAgを主成分として、少なくとも三元素以上で構成される合金材料の膜でも同様の問題が生じるかどうかを、PMMA、PET、PC、シリコーン、低アルカリガラス、無アルカリガラス、硼珪酸ガラスの基板上にRFスパッタリング法で直接Ag合金反射膜を形成した後に、反射膜にJIS規格のセロハンテープを貼付して、特定の引っ張り力でセロハンテープを剥離して膜の剥離の有無を観察するというテープ試験を行い。更にその積層体を靭刃で碁盤目状にカッティングした後、純水の入ったビーカーに浸水した後にビーカー内の純水に超音波を引加することで膜の耐剥離性を確認することを試みた。この際に、超音波の引加条件は発信周波数50KHz、電気的出力100Wで測定した。この超音波剥離試験後に40倍顕微鏡で膜の剥離性を観察し、中間層の必要性を確認して見た。
【0072】
この場合には、PMMA、PET、PC、シリコーン、アクリル系樹脂で実験を行ったところでは、全く剥離が確認できなかったために、従来のAg、Al若しくはどちらかの元素を主成分とする合金材料と比して、樹脂基板に対しての密着強度が大変高くなったことが分かった。
しかし、低アルカリガラス,無アルカリガラス,硼珪酸ガラスおよび石英ガラス等のガラス基板上に、RFスパッタリング法で形成した本発明のAg合金反射膜は、程度に差異こそ発見されるものの、密着性が決して良いとは言えず、部分的或いは広域にわたって剥離現象が確認されて、ガラス基板との密着性が決して良好ではないことが確認された。
【0073】
そこで、ガラス基板材料との密着強度の向上、或いは反射膜の反射率欠損が生じることなく、安定して反射能力の向上を実現する為に、Si、Ta、Ti、Mo、Cr、Al、ITO(酸化Inと酸化Snの複合酸化物)、ZnO、SiO2、TiO2、Ta2O5、ZrO2等をPMMA、PET、PC、シリコーン、アクリル系樹脂、低アルカリガラス、無アルカリガラス、硼珪酸ガラス、石英ガラスの基板上にRFスパッタリング法で形成した後、Agを主成分とし、Au、Pd及びRuのいずれか一種以上を0.1〜3.0wt%添加し、更にCu、Ti、Cr、Ta、Ni、Mo、Al、Nbの内、いずれか一種類以上を0.1〜3.0wt%添加してなる三元素からなるAg合金膜及びAg−Au−Pd並びにAg−Ru−Pdから成る三元素からなるAg合金によって形成される膜を同様にスパッタリング法にて形成した。この積層の最上部に堆積される反射膜に、前記と同様にJIS規格のセロハンテープを貼付して、特定の引っ張り力でセロハンテープを剥離して膜の剥離の有無を観察するというテープ試験を行い、更にその積層体を靭刃で碁盤目状にカッティングした後、純水の入ったビーカーに浸水した後にビーカー内の純水に超音波を引加することで膜の耐剥離性を確認することを試みた。この際に、超音波の引加条件は発信周波数50KHz、電気的出力100Wで測定した。この超音波剥離試験後に40倍顕微鏡で膜の剥離性を観察し、中間層の必要性を確認して見た。
【0074】
すると、いずれの積層体においても表26に示すように、全く剥離が観察されなかったため、その剥離試験に用いた基板を分光光度計にて反射率の変動の有無を観察したところ、表から分かるように、特定中間層を用いた場合においては、単なる密着性の向上にのみならず、表27に示す通りに反射特性を助長する効果が得られることが確認できた。
【0075】
【表26】
【0076】
【表27】
【0077】
この場合に、前述した各種のガラス基板の密着助長下地膜としては、Si、Ta、Ti、Mo、Cr、Al、In2O3、SnO2、Nb2O5、MgO、ITO、ZnO、SiO2、TiO2、Ta2O5、ZrO2あるが、樹脂基板上で検討する場合にはITO、ZnO、SiO2、TiO2、Ta2O5、ZrO2等の金属酸化物薄膜が望ましい。
その理由としては、樹脂墓板は特定の純度や材質の場合にはガスの発生が大変多い。又、金属はその発生ガスと反応が強い。又、Ag合金と密着させる接合界面に反応浮動体被膜(例えば酸化膜等)を生じる可能性が高い等から適切であるとは検討し難い。
【0078】
そのために、樹脂基板上に下地層を形成する場合では、特に化学的な安定性が要求されるために、少なくとも金属に比して金属酸化物の方が還元反応を抑制し易いために、本発明のAg合金との接合界面での化学的もしくは品質的な安定性は高いために、樹脂基板を用いて、Agを主成分として三元素からなる前述したAg合金膜と基板との間で中間層として下地膜を形成する場合には、In2O3、SnO2、Nb2O5、MgO、ITO、ZnO、SiO2、TiO2、Ta2O5、ZrO2等の金属酸化物を用いることが適切である。
【0079】
中間層として検討する金属酸化物においては、例えば反射電極層等の電気的な特性向上を兼ね備える場合には、ITO、ZrO2等の導電性金属酸化物、若しくは複合酸化物を1〜10nm程度形成することが望ましい。
選択の理由としては、密着性の向上以外の効果としては、例えば絶縁性の高い中間層を挟んだ場合には、本発明のAg合金と中間下地層の積層体自体の体積抵抗率が大幅に向上して、中間層によってAg合金の特性が損なわれる可能性が高いためである。
【0080】
又、中間下地層として金属酸化物を検討する場合においては、反射率や屈折率等の光学特性の低下抑制を検討する場合においては、In2O3、SnO2、Nb2O5、MgO、SiO2、TiO2、Ta2O5、ZrO2等が望ましいと考えられる。
この理由としては、SiO2は吸収が400〜4000nmの光学波長領域中では大変少ない為に、吸収率の増加による反射率の低下が抑制でき、更にIn2O3、SnO2、Nb2O5、MgO、TiO2、Ta2O5、ZrO2については表28に代表されるようにいずれも屈折率が高く吸収率が小さいために、屈折率の依存による光学特性の変異が抑制できることが確認できたためである。
【0081】
【表28】
【0082】
更には、スパッタリング法で密着助長下地膜を形成する場合には、スパッタリング法が真空雰囲気中で行われるに際して、装置内雰囲気を真空にすることでの品質的に安定になる膜が形成できるため、例えば樹脂基板を用いる場合では大気から真空への切り替え中に、基板よりガスを発生するために、真空度が上がらず、更には樹脂基板と密着助長層との界面も不安定になり易いために、少なくとも本発明のAg合金を樹脂基板上に形成する場合においては、蒸着法による膜形成が望ましいと考えられる。
【0083】
但し、液晶表示素子に用いるガラス基板や建材ガラス用のガラス基板としては、大型であるということと、形成する膜の緻密さや膜の厚みの面内分布が大変重要であるために、スパッタリング法が望ましいということが分かった。
【0084】
密着助長を目的とする中間下地膜を検討する上で重要な課題としては、容易に膜の形成が可能であるかどうかと言う点であるが、例えばSi、Ta、Ti、Mo、Cr、Al等の金属膜は、蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法のいずれでも膜の製作が可能であるために、少なくともAg合金を製作する方法と連動することが可能であるために、汎用的な有用性は高いと検討することができる。
【0085】
又、In2O3、SnO2、Nb2O5、MgO、ITO、ZnO、SiO2、TiO2、Ta2O5、ZrO2等の酸化物においても、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法で容易に形成することが可能であり、例えぱ窓ガラス等に赤外線を反射する赤外反射膜を形成する場合に、いずれの方法でも同じ反射特性を有する反射膜を形成することができた。
【0086】
実施例5
次に、 本発明によって得られたAgを主成分として、少なくとも三元素以上で構成される合金材料反射膜及びAg反射膜の更なる品質及び特性の向上を目的として、反射膜上部にIn2O3を主成分として、SnO2、Nb2O5、SiO2、MgO、Ta2O5のいずれか一種以上を添加してなる合金膜によるコート層を形成することで、反射膜の耐熱性の向上及び反射率の低下抑制を図った。
【0087】
表29より、反射膜の加熱後の吸収率は増加し、品質が悪化することがわかる。そこで、耐熱性を目的として上部にコート層を形成した場合の実験結果を表30〜表32に示すこととする。
【0088】
【表29】
【0089】
【表30】
【0090】
【表31】
【0091】
【表32】
【0092】
表31より、本発明によって得られた反射膜に本発明のコート層を形成した場合、加熱後の吸収率は、コート層を形成しない場合に比べて著しく低減されており、比較対照としてのコート層である表30のSiO2コート層、表32のITOコート層に比べて吸収率が低いことがわかる。
【0093】
又、前述した密着助長下地膜の上部に本発明により得られたAg合金反射膜、若しくは純Ag反射膜を形成し、更にその上に前述したコート層を形成した3層にて構成される積層体では、液晶表示素子を製造する工程中に基板に加わる250℃程度の温度で焼成した場合の光学特性は、前述表29〜32と変わりがなく、又密着性も表26と変わりなく良好であり、密着性、光学特性の両方を備えた積層体が得られる。
【0094】
表33より、3層構造においても、コート層による光学特性は衰えないばかりか、コート層に例えばIn2O3を主成分としてNb2O5を1〜30wt%添加したIn2O3+Nb2O5の複合酸化膜を用いた場合では、液晶表示素子を製造する工程中に基板に加わる250℃程度の温度で焼成した場合に、加熱前と比して1%〜6%程度反射率が向上して吸収率が低減する相乗効果についても確認できた。この際に、Agを主成分とするAg合金および純Ag反射膜の上部に形成するコート層の膜厚が薄くても良好な光学特性が得られることが表33よりわかる。
【0095】
【表33】
【0096】
【表34】
【0097】
【発明の効果】
本発明の高耐熱性反射膜は、Ag、Alと比較して、熱エネルギーによる表面粒子間の移動が活発でないために、表面拡散が発生し難いために耐熱性に富んでいることが分かる。例えば反射膜として用いたり、それを形成する工程において加熱されたり、或いは気候によって反射膜に熱が印加された場合でも、反射率の低下を回避することができる。よって、安定した高反射率を特徴とする高耐熱性反射膜を得ることができた。
【0098】
又、本発明の高耐熱性反射膜を用いて形成した積層体、例えば建材ガラス用熱線・赤外線反射膜、及び反射型液晶表示素子用反射板においては、耐熱性が高く、反射率も高く、更にアルカリ系の有機材料に対して安定で、更には樹脂基板を用いる場合にその基板からの脱ガスに対しても化学的に安定であるために、高品質な製品を形成することができる。
【0103】
従って、本発明によれば、Agを主成分として、Au、Pd及びRuのいずれか一種を0.1〜3.0wt%添加し、更にTi、Cr、Ta、Ni、Moの内のいずれか一種類を0.1〜3.0wt%添加してなる三元素からなるAg合金及び94.0〜99.8%のAgに、Au及びPdの2つを各々0.1〜3.0wt%添加して成る三元素からなるAg合金を用いることで、Ag自体の保有する高い光学反射率に対しての高い能力が保持され、更にはAgの材料的な安定性が格段に改善されることが確認された。しかも、積層されて用いられた場合では、下地層やガラス基板又は樹脂基板との接合性がより一層効果的な強化され、また、反射膜上部にコート層を形成した場合、Agを主成分としてAu、Pd及びRuのいずれか一種を0.1〜3.0wt%添加し、更にTi、Cr、Ta、Ni、Moの内のいずれか一種類を0.1〜3.0wt%添加してなる三元素からなるAg合金及びAg−Au−Pdから成る三元素からなるAg合金に対しても光学特性の低下を抑制でき、より高い信頼性が得られる高耐熱性反射膜と、この反射膜を用いて製作される液晶表示素子用反射体、或いは建材ガラス用反射膜等の積層体を提供することができた。
Claims (4)
- 主成分となるAgに、Au、Pd及びRuのいずれか一種を0.1〜3.0wt%添加し、更にTi、Cr、Ta、Ni、Mo、Nbの内のいずれか一種類の元素を0.1〜3.0wt%添加してなるAg合金材料から形成した高耐熱性反射膜の上部に、In 2 O 3 を主成分として、SnO 2 、Nb 2 O 5 、SiO 2 、MgO、Ta 2 O 5 のいずれか一種以上を添加してなる合金膜を形成して成ることを特徴とする積層体。
- 請求項1に記載の積層体が、380〜565nmの短波長領域で、純Ag若しくはAgを主成分として構成される合金膜の、加熱後の吸収率の増加を低減し、特には黄色化を抑制することを特徴とする積層体。
- 請求項1又は2に記載の積層体を用いて構成される液晶表示素子。
- 請求項1又は2に記載の積層体を、反射体或いは反射膜として形成される液晶表示素子を用いて形成される携帯情報端末機器。
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