JP4615671B2 - 炎症存在下使用用のしわ形成又は皮膚の弾力喪失の防止剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、活性酸素消去剤及びそれを含有してなる炎症存在下使用用の皮膚外用剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
生体内に於ける活性酸素の発生は、異物排除作用や病原微生物の除去などの重要な生理活性作用を担う反面、組織の傷害の原因となったり、炎症や老化の原因となったりして、生体に対して種々の悪影響を与えるものであり、このもののコントロールは正常な生命活動を維持してゆく上で重要なテーマである。
【0003】
過剰に発現したスーパーオキサイド、一重項酸素、ヒドロキシラジカル等の活性酸素に対し、発生した活性酸素の消去には通常アスコルビン酸やその誘導体が、金属イオンを触媒として発生する活性酸素の発生抑制には金属キレート剤が使用されているが、これらのものの効果はそれほど高くはなく、活性酸素消去能に優れる活性酸素消去剤の開発が望まれていた。
【0004】
更に、その原因と治療法が確定していない、アトピー性皮膚炎や化学物質過敏症において、この様な活性酸素類がこれら疾病の発症原因となっていることが指摘されており、この様な疾病の発症抑制に対しては、前記活性酸素類を効率的に消去・コントロールし、活性酸素類が生体において過剰に発生しないようにコントロールすることが重要である、という認識が共有化されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、活性酸素消去能に優れる新規な活性酸素消去剤及びそれを含有してなる炎症存在下使用用の皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、この様な状況に鑑みて、活性酸素消去能に優れる活性酸素消去剤及びそれを含有してなる炎症存在下使用用の皮膚外用剤を求めて鋭意研究努力を重ねた結果、アルキルレゾルシノール及びその塩が活性酸素消去能に優れることを見いだした。更に、この様なアルキルレゾルシノール及びその塩の少なくとも何れかを含有する皮膚外用剤が、アトピー性皮膚炎や化学物質過敏症に対して優れた効果を有することを見いだし、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は次に示す技術に関するものである。
(1)アルキルレゾルシノール及びその塩の少なくとも何れかを含む、炎症存在下使用用のしわ形成又は皮膚の弾力喪失の防止剤
(2)前記アルキルレゾルシノールのアルキル基が、炭素数1〜20のアルキル基であることを特徴とする、(1)に記載の炎症存在下使用用のしわ形成又は皮膚の弾力喪失の防止剤
(3)前記アルキルレゾルシノールが4−n−ブチルレゾルシノールであることを特徴とする、(2)に記載の炎症存在下使用用のしわ形成又は皮膚の弾力喪失の防止剤
(4)前記炎症が、化学物質に対する過敏症によるもの及びアトピー性皮膚炎によるものの少なくとも何れかであることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載の炎症存在下使用用のしわ形成又は皮膚の弾力喪失の防止剤
(5)炎前記アルキルレゾルシノール及びその塩の含有量が、総量で前記防止剤全量に対して0.001〜10重量%であることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載の炎症存在下使用用のしわ形成又は皮膚の弾力喪失の防止剤
以下、本発明について実施の形態を中心に更に詳細に説明を加える。
【0007】
【発明の実施の形態】
(1)本発明の活性酸素消去剤
本発明の活性酸素消去剤は、アルキルレゾルシノール及びその塩の少なくとも何れかからなる。かかるアルキルレゾルシノールのアルキル基の存在位置としては、レゾルシノールにおける芳香環上の水素のある位置であれば何れであっても良く、2位、4位及び5位の何れもが可能であるが、4位に導入するのが特に好ましい。なお、前記アルキルレゾルシノールに導入されるアルキル基の数としては、単数であっても良いし複数であっても良いが、単数であることが特に好ましい。又、アルキル基としては炭素数が1〜20のものが好ましく、1〜4のものが特に好ましい。アルキル基の炭素数が20よりも大きくなると、活性酸素の消去能が低下したり、皮膚外用剤への配合が困難になる場合がある。アルキル基としては、直鎖、分岐構造を有するもの及び環状構造を有するものの何れもが可能であるが、直鎖であることが特に好ましい。
【0008】
本発明の活性酸素消去剤としては、例えば、4−メチルレゾルシノール、4−エチルレゾルシノール、4−プロピルレゾルシノール、4−n−ブチルレゾルシノール、4−sec−ブチルレゾルシノール、4−tert−ブチルレゾルシノール、4−アミルレゾルシノール、4−イソアミルレゾルシノール、4−オクチルレゾルシノール、4−ドデシルレゾルシノール、2−n−ブチルレゾルシノール、5−n−ブチルレゾルシノール、及びこれらの塩などが例示できる。これらの内、特に好ましいものは、4−n−ブチルレゾルシノール及びその塩である。これは、その活性酸素消去活性が特に優れるためである。なお、これらの活性酸素消去剤は、一種類のみを使用しても良いし、複数種類を併用しても良い。
【0009】
前記アルキルレゾルシノールは、既に公知の物質であって、その製法も知られている(特開平2−49715号などを参照)。即ち、前記アルキルレゾルシノールは、例えば飽和のカルボン酸とレゾルシノールを塩化亜鉛の存在下で縮合させた後、この縮合物を亜鉛アマルガム/塩酸で還元する方法(Lille.J.Bitter, LA. Peiner. V, Tr. Nauch - Iasled. Inst.slantsev 1969,No 18, 127参照)、または、レゾルシノールと対応するアルキルアルコールとをアルミナ触媒を使用して200〜400℃の高温下で反応させる方法(英国特許第1,581,428号明細書参照)等によって容易に得ることができる。
【0010】
かくして得られたアルキルレゾルシノールは種々のアルカリと反応させることにより塩とすることが出来る。本発明の必須成分として用いることの出来る塩としては、生理的に許容されるものであれば特段の限定はされず、例えば、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩やトリエチルアミン塩等の有機アミン塩、リジン塩やアルギニン塩等の塩基性アミノ酸塩などが好ましく例示できる。これらの塩の内、特に好ましいものはアルカリ金属塩であり、中でもナトリウム塩が特に好ましい。なお、前記塩は、アルキルレゾルシノールの一方の水酸基が反応した一価の塩であっても良いし、両方の水酸基が反応した二価の塩であっても良いし、またはこれらの混合物であっても良い。
【0011】
これら本発明の活性酸素消去剤は、生体内に発生する活性酸素を消去する作用を有する。この作用は、従来知られていたアスコルビン酸類などと比較してより優れている。本発明の活性酸素消去剤が有効に作用する活性酸素としては、通常知られているものであれば良く、かかる活性酸素を例示するならば、スーパーオキサイド、一重項酸素、ヒドロキシラジカル、次亜塩素酸ラジカルなどが例示できる。加えて、この様な活性種が二次的に発生させる過酸化水素も例示できる。本発明の活性酸素消去剤は、この様な活性酸素及び活性酸素によって発生する過酸化水素などを消去することが出来、これらの活性酸素種のうち、本発明の活性酸素消去剤が最も有効に作用するのは一重項酸素である。また、本発明の活性酸素消去剤の作用には、前記活性酸素類の消去のみならず活性酸素類の発生の抑制作用が可能性として考えられる。
【0012】
(2)本発明の炎症存在下使用用の皮膚外用剤
本発明の炎症存在下使用用の皮膚外用剤は、上記アルキルレゾルシノール及びその塩の少なくとも何れかを含有することを特徴とする。ここで、本発明で言う皮膚外用剤とは、皮膚の外用に適用されるものの総称を意味し、例えば、化粧料、皮膚外用医薬等が例示でき、この中では、化粧料が特に好ましい。これは、本発明の皮膚外用剤の必須成分である、アルキルレゾルシノールやその塩の作用が緩和で安全性に優れる為である。
【0013】
本発明の炎症存在下使用用の皮膚外用剤中に於ける前記活性酸素消去剤の好ましい含有量は、総量で皮膚外用剤全量に対して、0.001〜10重量%であり、0.01〜5重量%が更に好ましい。これは、少なすぎると活性酸素消去効果を発揮しない場合があり、多すぎても活性酸素消去効果が頭打ちになる場合があるからである。なお、前記皮膚外用剤に含まれる活性酸素消去剤は、一種類のみを使用しても良いし、複数種類を併用しても良い。
【0014】
本発明の炎症存在下使用用の皮膚外用剤は、必須成分である上記アルキルレゾルシノールやその塩以外に、通常皮膚外用剤で使用される任意成分を含有することが出来、この様な任意成分としては、例えば、スクワラン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、ホホバ油、カルナウバワックス、オレイン酸オクチルドデシル等のエステル類、オリーブ油、牛脂、椰子油等のトリグリセライド類、ステアリン酸、オレイン酸、リチノレイン酸等の脂肪酸、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール、スルホコハク酸エステルやポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤類、アルキルベタイン塩等の両性界面活性剤類、ジアルキルアンモニウム塩等のカチオン界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、これらのポリオキシエチレン付加物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブタンジオール等の多価アルコール類、増粘・ゲル化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色材、防腐剤、粉体等を例示することができる。
【0015】
これらの内、特に好ましいものは、多価アルコール類である。これは、炎症によってバリア機能が損なわれた皮膚の性状を好ましく保つことが出来るためである。これら多価アルコールの好ましい含有量は、例えば化粧料としたときに求められる感触や作用等によって異なるが、総量で皮膚外用剤全量に対して0.5〜10重量%であり、更に好ましくは1〜5重量%である。
【0016】
又、既に生じた炎症を効果的に鎮める意味で、従来より知られている抗炎症成分を含有させることも非常に有利である。この様な抗炎症成分としては、シラカバ抽出物やゴボウコン抽出物と言った生薬成分やインドメタシン、スプロフェン、ケトプロフェン、ケトチフェンなどの抗炎症剤が好適に例示でき、これらの抗炎症成分の好ましい含有量は、総量で皮膚外用剤全体に対して0.001〜1重量%であり、更に好ましい含有量は0.01〜0.1重量%である。
【0017】
本発明の炎症存在下使用用の皮膚外用剤は、かかる必須成分と任意成分とを常法に従って処理することにより製造することが出来る。本発明の皮膚外用剤は、塗布等の外方からの適用によって炎症部分に投与されるものであり、本発明の皮膚外用剤の剤形としては、乳液、クリーム、ローション、ゲル何れもが適用可能であり、また、不織布等のシート上に塗布されるパップ剤として適用することも可能である。これらの中では比較的粘度の高い(例えば粘度1000〜20000センチ・ストークス)乳化タイプのエッセンスの形態が、局所投与しやすいことから特に好ましい。
【0018】
かくして得られた本発明の炎症存在下使用用の皮膚外用剤は、アトピー性皮膚炎や化学物質過敏症などの体内に発生した活性酸素に起因する炎症を和らげる作用を有するため、この様な炎症下の肌の手入れ等に使用することができ、この様な炎症を鎮静、予防、抑制、改善することができる。更に、この様な活性酸素が原因となって起こる炎症などが更に引き起こす、しわの形成や皮膚の弾力喪失等を防ぐことができる。
【0019】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【0020】
<実施例1>
本発明の活性酸素消去剤である4−n−ブチルレゾルシノールを用いて、一重項酸素消去活性を調べた。即ち、ヘマトポルフィリン(0.25mM;50μL)−紫外線(照射時間;30秒)系で発生させた一重項酸素について、ドーズを変えて4−n−ブチルレゾルシノールを加え、これにより消去された一重項酸素の量をESRスピントラップ法(トラップ剤;2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリドンハイドロクロライド(TMPD))により測定し、消去値とドーズのプロットより、4−n−ブチルレゾルシノールが50%の一重項酸素を消去する濃度(IC50)値を算出した。比較のため、アルブチン、コウジ酸、アスコルビン酸グルコシド及びL−アスコルビン酸についてもこの作用を調べた。結果を表1に示す。これより、本発明の活性酸素消去剤である4−n−ブチルレゾルシノールは、活性酸素の中でも生体への影響のより強いとされる一重項酸素を消去する作用に優れることがわかる。
【0021】
【表1】
Figure 0004615671
【0022】
<実施例2>
次に示す処方に従って、本発明の炎症存在下使用用の皮膚外用剤である乳化タイプの高粘度エッセンス(化粧料)を作成した。即ち、処方成分イ)、ロ)及びハ)をそれぞれ70℃に加熱し、成分イ)に成分ロ)を加え中和し、これに徐々に成分ハ)を加えて乳化し、ホモジナイザーで乳化粒子を整え、攪拌冷却し、エッセンスを得た。
イ)
ポリアクリル酸ナトリウム 1 重量部
アクリル酸・メタクリル酸(C10〜30)
共重合体(ペムレンTR−2) 0.2重量部
1,3−ブタンジオール 7 重量部
キサンタンガム 0.1重量部
エタノール 3 重量部
水 40 重量部
4−n−ブチルレゾルシノール 0.3重量部
ロ)
10%水酸化カリウム水溶液 0.6重量部
水 31.1重量部
ハ)
スクワラン 6 重量部
ホホバ油 6 重量部
ワセリン 1.5重量部
セタノール 1.5重量部
セラキルアルコール 1.5重量部
蔗糖脂肪酸エステル 0.1重量部
ステアリン酸モノグリセライド 0.1重量部
【0023】
<実施例3>
次に示す処方に従って、本発明の炎症存在下使用用の皮膚外用剤である乳化タイプの高粘度エッセンス(化粧料)を作成した。即ち、処方成分イ)、ロ)及びハ)をそれぞれ70℃に加熱し、成分イ)に成分ロ)を加え中和し、これに徐々に成分ハ)を加えて乳化し、ホモジナイザーで乳化粒子を整え、攪拌冷却し、エッセンスを得た。
イ)
ポリアクリル酸ナトリウム 1 重量部
アクリル酸・メタクリル酸(C10〜30)
共重合体(ペムレンTR−2) 0.2重量部
1,3−ブタンジオール 7 重量部
キサンタンガム 0.1重量部
エタノール 3 重量部
水 40 重量部
2−n−ブチルレゾルシノール 0.3重量部
ロ)
10%水酸化カリウム水溶液 0.6重量部
水 31.1重量部
ハ)
スクワラン 6 重量部
ホホバ油 6 重量部
ワセリン 1.5重量部
セタノール 1.5重量部
セラキルアルコール 1.5重量部
蔗糖脂肪酸エステル 0.1重量部
ステアリン酸モノグリセライド 0.1重量部
【0024】
<実施例4>
次に示す処方に従って、本発明の炎症存在下使用用の皮膚外用剤である乳化タイプの高粘度エッセンス(化粧料)を作成した。即ち、処方成分イ)、ロ)及びハ)をそれぞれ70℃に加熱し、成分イ)に成分ロ)を加え中和し、これに徐々に成分ハ)を加えて乳化し、ホモジナイザーで乳化粒子を整え、攪拌冷却し、エッセンスを得た。
イ)
ポリアクリル酸ナトリウム 1 重量部
アクリル酸・メタクリル酸(C10〜30)
共重合体(ペムレンTR−2) 0.2重量部
1,3−ブタンジオール 7 重量部
キサンタンガム 0.1重量部
エタノール 3 重量部
水 40 重量部
5−n−ブチルレゾルシノール 0.3重量部
ロ)
10%水酸化カリウム水溶液 0.6重量部
水 31.1重量部
ハ)
スクワラン 6 重量部
ホホバ油 6 重量部
ワセリン 1.5重量部
セタノール 1.5重量部
セラキルアルコール 1.5重量部
蔗糖脂肪酸エステル 0.1重量部
ステアリン酸モノグリセライド 0.1重量部
【0025】
<実施例5>
次に示す処方に従って、本発明の炎症の存在下使用用の皮膚外用剤である乳化タイプの高粘度エッセンス(化粧料)を作成した。即ち、処方成分イ)、ロ)及びハ)をそれぞれ70℃に加熱し、成分イ)に成分ロ)を加え中和し、これに徐々に成分ハ)を加えて乳化し、ホモジナイザーで乳化粒子を整え、攪拌冷却し、エッセンスを得た。
イ)
ポリアクリル酸ナトリウム 1 重量部
アクリル酸・メタクリル酸(C10〜30)
共重合体(ペムレンTR−2) 0.2重量部
1,3−ブタンジオール 7 重量部
キサンタンガム 0.1重量部
エタノール 3 重量部
水 40 重量部
4−n−ドデシルレゾルシノール 0.3重量部
ロ)
10%水酸化カリウム水溶液 0.6重量部
水 31.1重量部
ハ)
スクワラン 6 重量部
ホホバ油 6 重量部
ワセリン 1.5重量部
セタノール 1.5重量部
セラキルアルコール 1.5重量部
蔗糖脂肪酸エステル 0.1重量部
ステアリン酸モノグリセライド 0.1重量部
【0026】
<実施例6>
上記実施例2〜5の化粧料を用いて、炎症存在下での塗布の影響を調べた。即ち、ハートレー系モルモット(雄性、300〜400g)1群6匹を用い、背部を剃毛し、ガムテープで5回ストリッピングし、実施例2〜5の化粧料を塗布してクローズドパッチを行った。比較例としてこれらの化粧料中の本発明の活性酸素消去剤を水に置換したものを、対照例として水を用いた。パッチテストは24時間行い、パッチ除去1時間後、ドレーズの基準に従って皮膚反応を判定した。皮膚反応は++が浮腫を伴う反応、+が明確な紅斑を伴う反応、±が曖昧な紅斑を伴う反応、−が無反応である。結果を出現例数として、表2に示す。これより、本発明の皮膚外用剤である化粧料が、炎症存在下極めて安全に使用できることが明かである。又、本発明の化粧料の投与部位において、炎症反応が鎮静化されていることも注目すべきである。
【0027】
【表2】
Figure 0004615671
【0028】
<実施例7>
実施例2の化粧料を用いて、ヘアレスマウス光しわ形成モデルでの、しわ形成抑制作用を調べた。ヘアレスマウス1群30匹に最少紅斑濃度の80%程度(ごく僅かの紅斑を生ずる程度の照射量)の紫外線を連日12週間照射した。対照群は毎照射後生理食塩水を0.1mL塗布し、投与群は実施例2の化粧料を0.1mL投与した。実験終了後、動物より皮膚真皮を取り出し、電子顕微鏡にてそのコラーゲン線維束構造を観察、判定した。判定基準は、スコア5が極めて健常なコラーゲン線維束構造が観察される、スコア4が僅かにコラーゲン線維束構造の乱れが観察される、スコア3がコラーゲン線維束構造の乱れが散見できる、スコア2が至る所にコラーゲン線維束の乱れが観察される、スコア1が完全に乱れているの基準である。投与群の平均スコアは3.3であり、対照群のそれは2.1であった。これより、本発明の炎症下使用用の皮膚外用剤である化粧料は、活性酸素が起因となって起こる炎症が原因のしわの形成を予防する作用を有することがわかる。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、活性酸素消去能に優れる新規な活性酸素消去剤及びそれを含有してなる炎症存在下使用用の皮膚外用剤を提供することができる。

Claims (5)

  1. アルキルレゾルシノール及びその塩の少なくとも何れかを含む、炎症存在下使用用のしわ形成又は皮膚の弾力喪失の防止剤
  2. 前記アルキルレゾルシノールのアルキル基が、炭素数1〜20のアルキル基であることを特徴とする、請求項1に記載の炎症存在下使用用のしわ形成又は皮膚の弾力喪失の防止剤
  3. 前記アルキルレゾルシノールが4−n−ブチルレゾルシノールであることを特徴とする、請求項2に記載の炎症存在下使用用のしわ形成又は皮膚の弾力喪失の防止剤
  4. 前記炎症が、化学物質に対する過敏症によるもの及びアトピー性皮膚炎によるものの少なくとも何れかであることを特徴とする、請求項1〜3いずれか1項に記載の炎症存在下使用用のしわ形成又は皮膚の弾力喪失の防止剤
  5. 前記アルキルレゾルシノール及びその塩の含有量が、総量で前記防止剤全量に対して0.001〜10重量%であることを特徴とする、請求項1〜4いずれか1項に記載の炎症存在下使用用のしわ形成又は皮膚の弾力喪失の防止剤
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