JP4611906B2 - スピーカ用振動板の製造方法、およびスピーカ用振動板 - Google Patents

スピーカ用振動板の製造方法、およびスピーカ用振動板 Download PDF

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Description

本発明は、スピーカ用振動板の製造方法、およびスピーカ用振動板に関するものである。
一般的に、スピーカ装置は、高感度で、再生周波数帯域が広く、高調波歪が少ない等の音響特性を有するほど高性能といわれる。従って、スピーカ装置の主要構成部品において、とりわけ上記特性の大きな影響を及ぼすスピーカ用振動板は、材料の密度が小さく、ヤング率が高く、適度な内部損失を有することなどが望ましい。さらに、例えば車載用や屋外で使用されるスピーカ装置、可搬性情報処理装置や携帯性情報処理装置に用いられるスピーカ装置等のように、スピーカ装置の使用形態が飛躍的に広がり、耐久性、耐熱性、防水性、軽量性、高い音響特性、等を有するスピーカ用振動板が望まれている。
しかし上記条件は、スピーカ用振動板を単一の材料により形成する場合に、当該スピーカ用振動板の材料に対し、相矛盾した物理特性を同時に強いる場合があり、これらの条件を高度に満たすスピーカ用振動板を形成することが困難である。このため、所望の条件を満たすように異なる特性の材料を積層したスピーカ用振動板が作製されている(例えば特許文献1参照)。
ところで、一般的なスピーカ用振動板の製造方法としては、例えば叩解した木材パルプを水に分散させて、所望の形状の抄網および抄型により抄造する方法が知られている。また一般的な多層構造の振動板の製造方法としては、異なる形成材料を別々に抄紙して、例えば接着剤を塗布したのち加圧装置により貼り合わせる方法、抄紙した半乾燥状態の内面コーン紙と外面コーン紙との間に、抄紙した半乾燥状態の内層コーン紙を積層狭持して加熱および加圧する方法(例えば特許文献1参照)、等が知られている。
特開平3−210897号公報
しかし、上述した多層構造のスピーカ振動板の製造方法では、予め異なる形成材料を複数回に分けて抄造したのち、例えば接着剤を塗布したのち加圧装置により貼り合わせるので、接着剤塗布工程や加圧成形工程などを要する。またそれらの工程に比較的長い時間を要する。また、それらの工程を行うために、比較的大規模な設備が必要である。
また上述した製造方法では、予め抄造された各層を脱水したのち重ね合わせるので、例えば繊維層を積層した場合では、各層間の結合が比較的弱くなり、層間剥離などの不具合が生じる虞がある。層間剥離等の不具合が生じると、スピーカの音響特性が著しく低下するという問題がある。
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、接着剤を塗布することなく、抄造により多層構造のスピーカ用振動板を作製すること、振動板層間の剥離等の不具合を防止すること、異なる特性の材料を積層した所望の条件を満たすスピーカ用振動板を抄造により作製すること、等が本発明の目的である。
このような目的を達成するために、本発明は、以下の各独立請求項に係る構成を少なくとも具備するものである。
請求項1に記載の発明は、複数の振動板層が積層した多層構造を有するスピーカ用振動板の製造方法であって、共通の抄造タンク内に、前記振動板層の形成材料を含まない液体層を隔てて、前記振動板層の形成材料を含ませた縣濁液を順次注入し、当該縣濁液を順次抄造して前記複数の振動板層を積層することを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、複数の振動板層が積層した多層構造を有するスピーカ用振動板であって、各振動板層の形成材料を含まない液体層を隔てて、前記振動板層の形成材料を含ませた懸濁液を順次抄造して前記複数の振動板層が積層され、前記振動板層間が水素結合していることを特徴とする。
本発明の一実施形態に係るスピーカ用振動板の製造方法は、複数の振動板層が積層した多層構造を有するスピーカ用振動板の製造方法である。この製造方法では、共通の抄造タンク内に、振動板層の形成材料を含まない液体層を隔てて、振動板層の形成材料を含ませた縣濁液を順次注入し、当該縣濁液を順次抄造して複数の振動板層を積層する。この際、抄造タンクの上部から、液体層を隔てて、振動板層の形成材料を液体に分散させて順次注入し、抄造タンクの下部に設けられた抄造網を介して形成材料を吸引して抄造を行う。
上記スピーカ用振動板の製造方法では、共通の抄造タンク内に、振動板層の形成材料を含まない液体層を隔てて、振動板層の形成材料を含ませた縣濁液を順次注入し、当該縣濁液を順次抄造して複数の振動板層を積層するので、例えば予め各振動板層を抄造したのち、接着剤で貼り合わせる従来の製造方法と比べて、接着剤を塗布することなく、抄造により多層構造のスピーカ用振動板を作製することができる。
また例えば予め各振動板層を抄造したのち、プレス装置によりそれらを加圧して貼り合わせる従来の製造方法と比べて、上記抄造により多層構造のスピーカ用振動板を作製するので、各振動板層間の結合力が比較的大きくなり、層間剥離などの不具合を防止することができる。また上記製造方法により作製される本発明に係る振動板では、振動板層間が水素結合により層間の結合力が比較的大きいので、層間剥離などの不具合が低減する。
また単純に抄造タンク内に、各振動板層の形成材料を順次注入して抄造するスピーカ用振動板の製造方法では、抄造タンク内でそれら形成材料が混じり合い、その混合状態で抄造すると、各形成材料が混在した振動板が形成されてしまうが、本発明に係るスピーカ用振動板の製造方法では、抄造タンク内において、各振動板層の形成材料を含ませた縣濁液が、振動板層の形成材料を含まない液体層にて隔てられているので、各振動板層の形成材料が混じり合うことを防止することができ、その状態で順次抄造を行うことで、各振動板層の形成材料が混在することなく、抄造により多層構造のスピーカ用振動板を作製することができる。また、異なる特性の材料を順次抄造により積層することで、所望の条件を満たすスピーカ用振動板を簡単に作製することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係るスピーカ用振動板の製造方法を説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るスピーカ用振動板を説明するための図である。図1(a)は本発明の第1実施形態に係るスピーカ用振動板を採用したスピーカ装置を説明するための半断面図である。図1(b)は図1(a)に示したスピーカ用振動板を説明するための断面図である。図1(c)は図1(b)に示したスピーカ用振動板の断面拡大図である。
本発明の第1実施形態に係るスピーカ用振動板を採用したスピーカ装置10は、図1(a)に示すように、磁石1A、プレート1B、ヨーク1Cにより形成される磁気回路1と、磁気回路1の磁気ギャップ内に配置された、ボイスコイルボビン2に巻回されたボイスコイル3と、中心部がボイスコイルボビン2に固定されたスピーカ用振動板4を有する。スピーカ用振動板4の外周縁は、エッジ5およびガスケット6を介して、スピーカフレーム7に固定されている。ボイスコイルボビン2はダンパ8により、スピーカフレーム7に固定され、ボイスコイルボビン2の開口部は、センターキャップ9により覆われている。
スピーカ用振動板4は、複数の振動板層が積層した多層構造を有する。本実施形態に係るスピーカ用振動板4は、図1(b),(c)に示すように、第1振動板層41、および第2振動板層42を有する。本実施形態では2層構造のスピーカ用振動板4を説明するが、この形態に限られるものではなく、スピーカ用振動板4は2層以上の多層構造を有していてもよい。
スピーカ用振動板4の各振動板層の形成材料としては、木材パルプ繊維、非木材パルプ繊維、化学繊維、合成繊維、動物繊維、植物繊維、有機繊維、無機繊維、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、等の繊維材料や、マイカ粉、グラファイト、炭素系材料、金属材料、セラミック材料、樹脂などの粉体状材料や、中空粒子形状の発泡材料等の微小中空体、等の各種材料を採用することができる。第1振動板層41の形成材料411、および第2振動板層42の形成材料421は、異なる種類の材料であってもよいし、同じ種類の材料であってもよい。
スピーカ用振動板4の各振動板層間は、後述するように、各振動板層の形成材料を含まない液体層を隔てて、振動板層の形成材料を含ませた懸濁液を順次抄造して複数の振動板層が積層され、振動板層間が水素結合している。この構造のスピーカ用振動板4は、各振動板層間の結合力が比較的大きいので、層間剥離などの不具合を防止することができる。また、例えば各振動板層の形成材料として各種繊維を採用した場合には、抄造により積層された構造を有するスピーカ用振動板4は、各振動板層間で繊維が絡み合い層間の結合力が大きいので、層間剥離などの不具合を防止することができる。
図2は、本発明の第1実施形態に係るスピーカ用振動板の製造装置を説明するための図である。図3は、図2に示した製造装置の斜視図である。本実施形態に係るスピーカ用振動板の製造装置20は、共通の抄造タンク内に、振動板層の形成材料を含まない液体層を隔てて、振動板層の形成材料を含ませた縣濁液を順次注入し、当該縣濁液を順次抄造して複数の振動板層を積層する。
本実施形態に係る製造装置20は、例えば図2に示すように、抄造金型21、抄造タンク22、抄造網23、整流部240、整流板24、液体注入部25、形成材料注入部26、第1形成材料注入部261、第2形成材料注入部262、第3形成材料注入部263、ポンプ27、制御回路28、およびセンサ29を有する。抄造タンク22は本発明の抄造タンクの一実施形態に相当する。抄造網23は本発明の抄造網の一実施形態に相当する。整流部240は本発明の整流部の一実施形態に相当する。整流板24は本発明の整流板の一実施形態に相当する。
抄造金型21は、図2に示すように、略円筒形状に形成されており、凹形状部21Aの中央部に抄造網23が備えられ、凹形状部21Aの底部中央部には、吸引口21Bが形成されている。抄造タンク22は、例えば略円筒形状に形成され、抄造金型21上に配置されている。本実施形態では、抄造金型21の上端縁部に形成された周段部21Cと抄造タンク22の下部22Aとが着脱可能に嵌合している。抄造タンク22内には、水などの液体や振動板の形成材料を含ませた縣濁液が注入される。また抄造タンク22は、後述するように、振動板層の形成材料を含まない液体層を隔てて、振動板層の形成材料を含ませた縣濁液を順次注入することができるように、筒の長さが予め規定された長さ以上に形成されていることが好ましい。
抄造網23は、例えばスピーカ用振動板の形状に応じて予め規定された形状に形成されており、本実施形態ではコーン形状に形成されている。この抄造網23は、例えば網状に複数の孔部が形成され、振動板層の形成材料を含ませた縣濁液のうち、形成材料を抄造網23上に堆積させ、液体が孔部から通過させる。抄造網23として、例えば金網やパンチングメタルなどを採用することができる。
整流部240は、抄造タンク22の上部に備えられており、抄造タンク22の上部から液体を渦状に抄造タンク22内に注入する。詳細には、整流部240は、形成材料および液体を注入して、抄造タンク22内にて、振動板層の形成材料を含まない液体層の上部に液体の渦を形成し、形成材料を液体中に分散させる機能を有する。
本実施形態に係る整流部240は、図2,3に示すように、整流板24を有する。整流板24は、抄造タンク22の内周上端部22Bから規定距離22Cだけ下側に備えられている。また整流板24は、図2,図3に示すように、整流板24の中央部に形成された開口径241Aの中央開口部241と、その開口部242と整流板24の外周端部24A間に形成された、振動板層の形成材料の注入用の材料注入開口部242を有する。
上記構成の整流部240では、例えば整流板24の外周端部24Aから周方向に沿って、液体注入部25から水などの液体が注入されると、整流板24上で液体の渦を形成して、中央開口部241からその渦状の液体を抄造タンク22内に注入することができる。また材料注入開口部242から、振動板層の形成材料を抄造タンク22内に注入することができる。詳細には、整流板24上で渦を形成している液体に、振動板の形成材料、又は形成材料を含む縣濁液を投入すると、形成材料は液体の流れに沿って整流板24上で回転しながら、材料注入開口部242から抄造タンク22内に注入される。また形成材料は、液体の流れに沿って中央開口部241から、抄造タンク22内に注入される。
上述した構成の整流部240では、振動板の形成材料が、材料注入開口部242や中央開口部241から抄造タンク22に注入されるので、簡単に形成材料を抄造タンク22内の液体中に分散させることができる。
液体注入部25は、振動板の形成材料の溶媒である水などの液体を抄造タンク22に注入する。液体注入部25の液体出口25Aは、例えば図2に示すように、整流部240の整流板24より上側に設けられている。この液体注入部25は、例えば整流板24の外周端部24Aから周方向に沿って液体を注入し、整流板24上で液体の渦を形成させる。
形成材料注入部26は、振動板の形成材料を注入する。形成材料注入部26の注入出口は、例えば図2に示すように、整流部240の整流板24の上方に配置されている。また、形成材料注入部26は、例えば振動板の形成材料を直接、又は液体に形成材料を含ませた縣濁液を注入する。また形成材料注入部26は、各振動板層の形成材料を注入するために、複数の形成材料注入部、本実施形態では第1形成材料注入部261、第2形成材料注入部262、及び第3形成材料注入部263を有する。第1形成材料注入部261は、第1振動板層を形成する形成材料を注入する。この第1形成材料注入部261は、例えば整流板24の中央開口部241の上方に配置されていてもよいし、整流板24のそれ以外の上方に配置されていてもよい。第1振動板層を形成する際に、作業簡単化のために、第1振動板層の形成材料を含む縣濁液を直接抄造タンク22内に注入する場合には、第1形成材料注入部261を中央開口部241の上方に配置することが好ましい。第2形成材料注入部262や第3形成材料注入部263は、第2振動板層や他の振動板層の形成材料を注入する。
ポンプ27は、例えば吸引ポンプからなり、抄造金型21の吸引口21Bに配置されている。ポンプ27は、抄造タンク22の下部に設けられた抄造網23を介して液体等を吸引する。
制御回路28は、製造装置20全体を統括的に制御して、本発明に係る機能を実現する。例えば制御回路28は、例えば液体注入部25、形成材料注入部26、第1形成材料注入部261、第2形成材料注入部262、第3形成材料注入部263、およびポンプ27等の駆動を制御する。この際、制御回路28は、図2に示すように、抄造タンク22に設けられたセンサ29の検出結果に基づいて上記制御を行う。センサ29は、例えば液体の水位、液体中の形成材料の分散の度合い、液体の渦の流れの度合い、等の抄造タンク22内の液体や形成材料に関する特性を検出し、検出結果を示す信号を制御回路28に出力する。
次に、上記製造装置20を用いた、本発明の第1実施形態に係るスピーカ用振動板の製造方法を、図面を参照しながら説明する。本実施形態では抄造に用いる液体として水を採用する。
[第1振動板層形成工程]
先ず、図2に示すように、第1振動板層41の形成材料411を含ませた懸濁液を抄造タンク22内に注入する。この際、水251などの液体を、液体注入部25から抄造タンク22に注入しながら、第1形成材料注入部261から抄造タンク22に直接、形成材料411を注入してもよいし、予め作製した形成材料411を含ませた懸濁液を第1形成材料注入部261から抄造タンク22内に注入してもよい。抄造タンク22内では、図2に示すように、水に形成材料411が分散した縣濁液層R51が形成される。規定形状の抄造網23では液体が網目を通過して、抄造網23上に形成材料411が堆積する。この際、ポンプ27により強制的に液体を吸引してもよいし、強制吸引せずに形成材料411が抄造網23上に自然に堆積するようにしてもよい。
[液体層注入工程]
図4は、本発明の第1実施形態に係るスピーカ用振動板の製造方法の液体層注入工程を説明するための図である。
第1振動板層41の形成材料411を抄造タンク22内に注入した後、図4に示すように、液体注入部25は、予め規定した量の水251を注入する。抄造タンク22内では図4に示すように、振動板層の形成材料を含まない液体層R52が形成される。この液体層R52の厚さ(抄造タンク22の上下方向に沿った長さ)は、各振動板層の形成材料の比重、液体中での落下速度、等の各種条件に応じて決定することが好ましい。
[第2振動板層形成工程]
図5は本発明の第1実施形態に係るスピーカ用振動板の製造方法の第2振動板層形成工程を説明するための図である。図6はスピーカ用振動板の製造装置20の上面図である。図7は形成材料を液体中に分散させる工程を説明するための図である。図8は第2振動板層の形成材料を含ませた懸濁液の注入後に堆積する様子を説明するための図である。
次に図5〜図8に示すように、第2形成材料注入部262から第2振動板層42の形成材料421を注入する。この際、図5〜図8に示すように、例えば整流板24の外周端部24Aから周方向に沿って、液体注入部25から水251が注入され、整流板24上で水251の渦が形成され、第2形成材料注入部262から形成材料421を含む縣濁液が注入されると、形成材料421が水251の流れに沿って整流板24上で回転しながら、材料注入開口部242から抄造タンク22内に注入され、残りの形成材料421が、液体251の流れに沿って中央開口部241から、抄造タンク22内に注入される。
抄造タンク22内では、図5,図7に示すように、液体層R52の上側に、第2振動板層42の形成材料421を含む縣濁液層R53が形成される。また、整流部240から渦状に水251および縣濁液が注入されるので、抄造タンク22内の浅い位置(上部)で渦が形成されて、振動板層の形成材料が水251に略均一に分散する。つまり、図7に示すように、抄造タンク22内では、第1振動板層41の形成材料411を含ませた縣濁液層R51と、第2振動板層42の形成材料421を含ませた縣濁液層R53との間に、振動板の形成材料を含まない液体層R52が形成される。そして図8に示すように、この状態で抄造網23により順次抄造する。この際、ポンプ27により抄造網23を介して形成材料を吸引して強制脱水を行ってもよいし、自然落下により抄造してもよい。ポンプ27の吸引の強さは、液体注入部25からの水の供給量、等に応じて適宜設定する。
また図8に示すように、形成材料421を注入後、液体注入部25から規定量の水251を注入して、振動板層の形成材料を含まない液体層R54を形成してもよい。液体注入部25は、縣濁液層R53の状態、抄造網23上の積層状況、等に応じて水251の注入を適宜行い、所定のタイミングで水251の注入を抑止する。
[成形工程]
図9は、本発明の第1実施形態に係るスピーカ用振動板の成形工程を説明するための図である。上記抄造後、抄造網23上に積層した第1振動板層41および第2振動板層42を、ホットプレス法、ウェットプレス法、オーブン法、等の成形法により成形して、図1(b),(c)に示すようにスピーカ用振動板4を作製する。抄造網23上に積層した第1振動板層41および第2振動板層42を取り出して、例えば図9に示すように、加熱部611を備えた雌金型61と、加熱部621を備えた雄金型62とを有する金型60にて、加熱及び加圧して、所定形状のスピーカ用振動板4を作製する。
次に、2層構造のスピーカ用振動板の製造方法の一具体例を説明する。
基材層(第1振動板層41)の形成材料411として木材パルプ繊維のNBKP(針葉樹晒しクラフトパルプ)を採用する。先ず、この木材パルプ繊維のNBKPを叩解して、叩解度20°SR(ショッパー・リーグラー)程度に設定して水に分散させ、濃度1.0g/L程度の懸濁液を調製する。その懸濁液を図2に示すように、第1形成材料注入部261から抄造タンク22に注入する。この形成材料411は注入後に繊維の自重により沈降を開始するが、その後、抄造網23を介して吸引口21Bからポンプ27により吸引されると、所定形状の抄造網23上に堆積する。この際、整流板24から水251を毎分5L(リットル)程度の割合で水の注入を続けて、図4,図5,図7に示すように、振動板層の形成材料を含まない液体層R52を形成する。
次に、表層(第2振動板層42)の形成材料421としてNBKP(針葉樹晒しクラフトパルプ)を採用し、このNBKPを叩解度20°SR程度に調整した原料を水に分散させて濃度1.0g/L程度に調製し、同様に整流板24より注入し、ポンプ27により抄造網23を介して吸引して抄造網23上に堆積させる。この際の吸引の強さは、水の供給量とバランスを取る必要がある。本実施形態に係るポンプ27は真空圧が0〜500mmHg(0〜66660Pa)程度まで調節できるようになっている。その後、水の注入を止める。次に、抄造タンク22を取り外し、抄造網23を同形状の金型60に載せて吸引することにより、図9に示すように、堆積した材料を金型60上に移す。この時、金型60は温度160℃程度に加熱し、圧力2kg/cm2 (196kPa)程度で40秒間程度、プレスすることにより乾燥させる。また上述した例では、第1振動板層41と第2振動板層42を異なる色調に染色してもよい。
上記実施形態で作製したスピーカ用振動板4の物性値を測定した。密度ρが0.633g/cm3 (633kg/m3 )、ヤング率Eが3.93×109 N/m2 、内部損失が5.00×10-2 となり、伝播速度(E/ρ)0.5 が、2.49×103 m/secであった。
また比較のために従来の紙のみ抄造による振動板でも同様に物性値を測定し、密度ρが0.592g/cm3 (592kg/m3 )、ヤング率Eが3.89×109 N/m2 、内部損失が4.85×10-2 となり、伝播速度(E/ρ)0.5 が、2.57×103 m/secであった。
上述したように従来と比べて密度が高い値を示し、ヤング率が高い値を示し、内部損失が高い値を示し、伝播速度がやや低い値を示した。
以上説明したように、本実施形態では、共通の抄造タンク22内に、振動板層の形成材料を含まない液体層R52を隔てて、振動板層の形成材料を含ませた縣濁液を順次注入し、当該縣濁液を順次抄造して複数の振動板層を積層するので、例えば予め各振動板層を抄造したのち、接着剤で貼り合わせる従来の製造方法と比べて、接着剤を塗布することなく、抄造により多層構造のスピーカ用振動板を作製することができる。
また上記抄造により多層構造のスピーカ用振動板を作製するので、各振動板層間の結合力が比較的大きくなり、層間剥離などの不具合を防止することができる。また上記製造方法により作製される本発明に係る振動板では、振動板層間が水素結合により層間の結合力が比較的大きいので、層間剥離などの不具合が低減する。また、振動板層の形成材料を適宜選択することにより、所望の物性値や音響特性を有する多層構造の振動板を得ることができる。また、抄造による振動板の物性的な特徴を維持しつつ、適度な内部損失を得ることができ、外観的にも斬新なものを作製することができる。
[第2実施形態]
図10は、本発明の第2実施形態に係るスピーカ用振動板4bの製造方法を説明するための図である。第1実施形態と同様な構成、および動作等については説明を省略する。
本実施形態に係るスピーカ用振動板4bの製造方法は、抄造後、オーブン法により成形してスピーカ用振動板4bを作製する。詳細には、例えば図10に示すように、乾燥釜600内に、上記抄造により積層された第1振動板層41bおよび第2振動板層42を、中空部631を有する金型63に配置して、真空ポンプ632により吸引しながら、金型63の上方に配置されたガスコンロ等の加熱装置64により乾燥させる。本実施形態では加圧せずに、乾燥のみによりスピーカ用振動板4bを作製する。
次に具体的なスピーカ用振動板4bの製造方法を説明する。先ず、第1実施形態と同様に、所望の色調に染色された色調違いのNBKPの20°SRの2種類の原料を抄造網23上に堆積させ、それを乾燥用の金型63に移し、上方にガスコンロと遮蔽板を備える加熱装置64が配置された乾燥釜600内に入れる。金型63の下方より約500mmHg(66660Pa)〜600mmHg(79992Pa)程度の真空圧で吸引し、加熱装置64からの熱風により乾燥させる。この工程では堆積させた材料をプレスしないで乾燥させる、いわゆるオーブン法により、加圧せずにスピーカ用振動板4bを作製することができる。
上記実施形態で作製したスピーカ用振動板4bの物性値を測定した。密度ρが0.434g/cm3 (434kg/m3 )、ヤング率Eが1.22×109 N/m2 、内部損失が6.61×10-2 となり、伝播速度(E/ρ)0.5 が、1.68×103 m/secであった。
以上説明したように、本実施形態に係るスピーカ用振動板4bの製造方法では、低密度かつ高内部損失のスピーカ用振動板4bを作製することができる。また、上記製造方法で得られたスピーカ用振動板4bは、オーブンコーンの積層でありながら、第1振動板層41bと第2振動板層42bの2層間を引き剥がそうとしても、互いの繊維が同時に破壊されるほど大きな層間の接着力を有するので、層間剥離を防止することができる。
[第3実施形態]
図11は、本発明の第3実施形態に係るスピーカ用振動板4cを説明するための図である。図11(a)はスピーカ用振動板4cを説明するための断面図であり、図11(b)は(a)に示したスピーカ用振動板4cの断面拡大図である。第1及び第2実施形態と同様な構成および動作については説明を省略する。本実施形態に係るスピーカ用振動板4cは、図11に示すように、第1振動板層41c、第2振動板層42c、および第3振動板層43cの3層構造を有する。第2振動板層42cの中間層に発泡層が形成されている。この発泡層は、加熱により膨張する性質のある微小中空体(中空粒子形状の発泡材料422)を抄造した後、加熱圧縮することにより作製する。
図12は、本発明の第3実施形態に係るスピーカ用振動板4cの製造方法を説明するための図である。上記構成のスピーカ用振動板4cの製造方法を簡単に説明する。本実施形態では、抄造タンク22内で、第1振動板層41の形成材料を含む縣濁液を注入した後、液体層R52を形成して、加熱により膨張する性質のある微小中空体(中空粒子形状の発泡材料422)を注入する。その後、図12に示すように、振動板の形成材料を含まない液体層R53を形成し、第3形成材料注入部263から第3振動板層43cの形成材料431(432)を含む縣濁液を抄造タンク22に注入して縣濁層R55を形成する。そしてポンプ27により、抄造網23を介して吸引すると、抄造網23上に第1振動板層41c、第2振動板層42c、第3振動板層43cが積層される。この積層構造の第1振動板層41c、第2振動板層42c、および第3振動板層43cを、図9に示すように第1実施形態と略同様に、金型60により加熱、加圧することにより、図11に示すような3層構造のスピーカ用振動板4cを作製する。
次により具体的な製造方法を説明する。基材層(第1振動板層41c)の形成材料として、第1実施形態と同様にNBKP20°SRに調製されたパルプ繊維を使用し、そのパルプ材に更に防水性を上げるためにカチオン系サイズ剤を5%程度加える。中間層(第2振動板層42c)の形成材料として、例えば平均粒子径が20μm程度で、加熱により膨張する性質のある微小中空体を濃度1.0g/L程度に水に分散させて混濁液を作製する。この混濁液を第1実施形態と同様に水251を注入した後、さらに表層(第3振動板層43c)の形成材料として、基材層(第1振動板層41c)と同じパルプ原料431(90%)に対して、マイカ紛432を10%の割合で混合した原料を1.0g/L程度の濃度に調製し、サイズ剤を同様に5%程度加えて混濁液を作製し、その混濁液を抄造タンク22に注入した後、吸引口より抄造網23を介して吸引し、抄造網23上に堆積した、第1振動板層41c、第2振動板層42c、第3振動板層43cを、160℃程度に加熱された金型60により、第1実施形態と同様にプレス乾燥する。加熱すると微小中空体が膨張して、図11(b)に示すように、第2振動板層42cに発泡層が形成される。
上記実施形態で作製したスピーカ用振動板4cの物性値を測定した。密度ρが0.516g/cm3 (516kg/m3 )、ヤング率Eが2.24×109 N/m2 、内部損失が5.17×10-2 となり、伝播速度(E/ρ)0.5 が、2.08×103 m/secであった。
以上説明したように、本実施形態では、第2振動板層42cの形成材料として、加熱することにより発泡する未発泡粒子(微小中空体)を採用したので、抄造後、加熱・加圧装置により加圧・加熱することにより、中間層に発泡層を備える3層構造のスピーカ用振動板4cを容易に作製することができる。つまり上記製造方法により、低密度のスピーカ用振動板4cを作製することができる。このスピーカ用振動板4cの中間層(第2振動板層42c)の形成材料の発泡粒子は、熱融着性を有するので、加熱により発泡して、通気性の無い中間層(第2振動板層42c)を形成することができる。通気性を低減することで、振動板表面からの水滴の進入を防止することができる。
また、本発明では木材パルプ繊維が乾燥する最の水素結合を利用しているが、木材パルプ繊維は水滴に触れると結合力が弱まる。そのため通常、防湿性付与のためにアクリル系ラッカー等を含浸処理するが、中間層に通気性を持たない層を有することで、サイズ剤等との併用により水滴の進入を防ぎ、基材強度の低下を防止することができる。本発明による振動板の通気性はJISP8117による透気度試験でも通気性が確認されなかった。またスピーカ用振動板4cは、表層(第3振動板層43c)にマイカを加えたことにより、表面光沢を得て、斬新な外観を得ることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限られるものではない。上述した実施形態や具体例を組み合わせてもよい。また、上述した各振動板層の形成材料は上述した実施形態に限られるものではない。
以上説明したように、複数の振動板層が積層した多層構造を有するスピーカ用振動板の製造方法であり、この製造方法では、例えば図7に示すように、共通の抄造タンク22内に、振動板層の形成材料を含まない液体層R52を隔てて、振動板層の形成材料を含ませた縣濁液を順次注入し、当該縣濁液を順次抄造して複数の振動板層を積層するので、例えば予め各振動板層を抄造したのち、接着剤で貼り合わせる従来の製造方法と比べて、接着剤を塗布することなく、抄造により多層構造のスピーカ用振動板を作製することができる。
また例えば予め各振動板層を抄造したのち、プレス装置によりそれらを加圧して貼り合わせる従来の製造方法と比べて、上記抄造により多層構造のスピーカ用振動板を作製するので、各振動板層間の結合力が比較的大きくなり、層間剥離などの不具合を防止することができる。また上記製造方法により作製される本発明に係る振動板では、振動板層間が水素結合により層間の結合力が比較的大きいので、層間剥離などの不具合が低減する。
また単純に抄造タンク22内に、各振動板層の形成材料を順次注入して抄造するスピーカ用振動板の製造方法では、抄造タンク22内でそれら形成材料が混じり合い、その混合状態で抄造すると、各形成材料が混在した振動板が形成されてしまうが、本発明に係るスピーカ用振動板の製造方法では、抄造タンク22内において、各振動板層の形成材料を含ませた縣濁液が、振動板層の形成材料を含まない液体層R52にて隔てられているので、各振動板層の形成材料が混じり合うことを防止することができ、その状態で順次抄造を行うことで、各振動板層の形成材料が混在することなく、抄造により多層構造のスピーカ用振動板を作製することができる。
また、異なる特性の材料を順次抄造により積層することで、所望の条件を満たすスピーカ用振動板を簡単に作製することができる。
また、本発明に係るスピーカ用振動板の製造方法では、後述する具体的な効果を得ることができる。
1.本発明によれば、木材パルプ繊維、化学繊維、無機繊維などの繊維材料や、マイカ紛、グラファイト、無定形炭素などの粉体や微小中空体などを抄造して製造する際に、これらの材料を複数の層に積層した多層構造のスピーカ用振動板を簡単に作製することができる。
2.本発明によれば、各層の形成材料を積層する際に、各層の材料層を同一の抄造タンク22に液体層R52を隔てて注入し、これを吸引して抄造するので簡単にスピーカ用振動板を作製することができる。
3.本発明によれば、層間の接着は、特に接着剤等を必要とせず、木材パルプなどの繊維間の水素結合に基づく結合力を利用したものであり、多層構造であっても、重量の増加を防止することができる。
4.本発明によれば、抄造により作られる振動板において、簡単な工程により2層、3層、多層構造を有する振動板を形成することができ、それにより物性値や外観等の斬新なスピーカ用振動板4を作製することができる。
5.本発明によれば、積層構造となる各層間の接着にあたり、パルプ繊維の乾燥時に充分な水が存在するために、繊維間結合が強固な構造を有することができる。例えば、プレス成形により接着させる製造方法では、オーブンタイプと呼ばれる密度の低い抄造基材が作れないが、本発明では、オーブンタイプの低密度の多層構造体を作製することができる。
6.本発明によれば、表層を硬く、内部をやわらかくなど、設計時に必要に応じて素材を選択することにより、所望の強度を自由に設定することができる。
7.本発明によれば、中間層に融着繊維などを入れて、融着することにより、通気性のない多層構造を得ることができる。
8.本発明よれば、液体層を隔てて積層するために、厳密には、層間を形成する材料は一部混じりあっているので、層間で結合力がつよく、層間剥離等の不具合を低減することができる。
9.本発明よれば、各振動板層の形成材料の比重が異なる場合であっても、液体層を隔てて各形成材料を含む混濁層を順次抄造するので、各層の形成材料がまざることなく、多層構造のスピーカ用振動板を作製することができる。
本発明の第1実施形態に係るスピーカ用振動板を説明するための図である。(a)は本発明の第1実施形態に係るスピーカ用振動板を採用したスピーカ装置を説明するための半断面図である。(b)は(a)に示したスピーカ用振動板を説明するための断面図である。(c)は(b)に示したスピーカ用振動板の断面拡大図である。 本発明の第1実施形態に係るスピーカ用振動板の製造装置を説明するための図である。 図2に示した製造装置の斜視図である。 本発明の第1実施形態に係るスピーカ用振動板の製造方法の液体層注入工程を説明するための図である。 本発明の第1実施形態に係るスピーカ用振動板の製造方法の第2振動板層形成工程を説明するための図である。 スピーカ用振動板の製造装置20の上面図である。 形成材料を液体中に分散させる工程を説明するための図である。 第2振動板層の形成材料を含ませた懸濁液の注入後に堆積する様子を説明するための図である。 本発明の第1実施形態に係るスピーカ用振動板の成形工程を説明するための図である。 本発明の第2実施形態に係るスピーカ用振動板4bの製造方法を説明するための図である。 本発明の第3実施形態に係るスピーカ用振動板4cを説明するための図である。(a)はスピーカ用振動板4cを説明するための断面図であり、(b)は(a)に示したスピーカ用振動板4cの断面拡大図である。 本発明の第3実施形態に係るスピーカ用振動板4cの製造方法を説明するための図である。
符号の説明
1 磁気回路
1A 磁石
1B プレート
1C ヨーク
2 ボイスコイルボビン
3 ボイスコイル
4 スピーカ用振動板
5 エッジ
6 ガスケット
7 スピーカフレーム
8 ダンパ
9 センターキャップ
10 スピーカ装置
20 製造装置
21 抄造金型
22 抄造タンク
23 抄造網
24 整流板
25 液体注入部
26 形成材料注入部
27 ポンプ
28 制御回路
41,41b,41c 第1振動板層
42,42b,42c 第2振動板層
43c 第3振動板層
240 整流部
261 第1形成材料注入部
262 第2形成材料注入部
263 第3形成材料注入部
R52 液体層(振動板の形成材料を含まない水層)

Claims (10)

  1. 複数の振動板層が積層した多層構造を有するスピーカ用振動板の製造方法であって、
    共通の抄造タンク内に、前記振動板層の形成材料を含まない液体層を隔てて、前記振動板層の形成材料を含ませた縣濁液を順次注入し、当該縣濁液を順次抄造して前記複数の振動板層を積層することを特徴とするスピーカ用振動板の製造方法。
  2. 前記抄造タンクの上部から、前記液体層を隔てて、前記振動板層の形成材料を液体に分散させて順次注入し、前記抄造タンクの下部に設けられた抄造網を介して前記形成材料を吸引して前記抄造を行うことを特徴とする請求項1に記載のスピーカ用振動板の製造方法。
  3. 前記抄造タンクは、当該抄造タンクの上部から液体を渦状に前記抄造タンク内に注入する整流部を有し、
    前記整流部から前記形成材料および液体を注入して、前記抄造タンク内にて、前記振動板層の形成材料を含まない前記液体層の上部に液体の渦を形成し、前記形成材料を前記液体中に分散させることを特徴とする請求項2に記載のスピーカ用振動板の製造方法。
  4. 前記整流部は、中央部に開口部が形成された整流板を有し、
    前記整流板上で液体の渦を形成して、前記開口部から当該渦状の液体を前記抄造タンク内に注入することを特徴とする請求項3に記載のスピーカ用振動板の製造方法。
  5. 前記整流板は、前記開口部と外周端部間に、前記形成材料の注入用の開口部が形成され、
    少なくとも前記形成材料の注入用の開口部から、前記形成材料が前記抄造タンク内に注入することを特徴とする請求項4に記載のスピーカ用振動板の製造方法。
  6. 比重の異なる前記振動板層の形成材料を、前記振動板層の形成材料を含まない液体層を隔てて、順次抄造して積層することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一に記載のスピーカ用振動板の製造方法。
  7. 前記振動板層の形成材料は、木材パルプ繊維、非木材パルプ繊維、化学繊維、無機繊維、マイカ粉、グラファイト、炭素系材料、金属材料、セラミック材料、中空粒子形状の発泡材料のいずれかを含むことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一に記載のスピーカ用振動板の製造方法。
  8. 前記抄造後、ホットプレス法、ウェットプレス法、オーブン法のいずれかにより成形することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一に記載のスピーカ用振動板の製造方法。
  9. 前記振動板層の形成材料は、中空粒子形状の発泡材料を含み、
    前記抄造後、金型内に前記抄造されたスピーカ用振動板を加熱および加圧して、発泡層を含む前記振動板層を形成することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一に記載のスピーカ用振動板の製造方法。
  10. 複数の振動板層が積層した多層構造を有するスピーカ用振動板であって、
    各振動板層の形成材料を含まない液体層を隔てて、前記振動板層の形成材料を含ませた懸濁液を順次抄造して前記複数の振動板層が積層され、前記振動板層間が水素結合していることを特徴とするスピーカ用振動板。
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