JP2017158220A - スピーカ用振動板 - Google Patents

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一春 川田
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Masaru Nakagawa
勝 中川
喜浩 佐藤
Yoshihiro Sato
喜浩 佐藤
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Abstract

【課題】抄造法によりマイカを含むスピーカ用振動板を形成する。【解決手段】スピーカ用振動板は、分岐した繊維の交絡体と、樹脂部材と、無機物質とで構成され、前記繊維は前記樹脂部材内にある。分岐した繊維の交絡体が樹脂部材内にあり、両者が密着しているので、無機物質が振動板から脱落することなく保持される。【選択図】図2

Description

本発明は、スピーカに用いる振動板に関する。
スピーカ装置用振動板として、天然繊維(例えばパルプ)、合成繊維(PET、PVAなどの樹脂で構成された繊維)、無機繊維(炭素などで構成された繊維)を用い、抄造法で形成されたものが知られている。
スピーカ用振動板に求められる物性は、内部損失を大きくすることと、ヤング率もしくは比弾性率(E/ρ;Eは振動板材料のヤング率,ρは振動板材料の密度)を大きくすることにある。一般には、スピーカ用振動板について、内部損失を大きくすればヤング率は低下し、ヤング率を大きくすれば内部損失は低下する傾向がある。天然繊維を用いたスピーカ用振動板は、一般に大きな内部損失と低い密度を有しているが、ヤング率が小さい傾向がある。そこで、マイカなどのフィラーを天然繊維とともに混合することで、スピーカ用振動板のヤング率を向上させる場合がある。特許文献1は、ポリオレフィン系重合体に特定形状のマイカを混合させることによって形成された振動板を記載している。
特公平2−53999号公報
しかし、特許文献1にも記載されるように、マイカは天然繊維に結合しにくく、絡み合う性質をマイカ自身が備えないことが従来から知られており、抄造法によりマイカを含むスピーカ用振動板を形成することは困難であった。
本発明の解決しようとする課題としては、上記のものが一例として挙げられる。本発明は、抄造法によりマイカを含むスピーカ用振動板を形成することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、スピーカ用振動板であって、分岐した繊維の交絡体と、樹脂部材と、無機物質とで構成され、前記繊維は前記樹脂部材内にあることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、スピーカ用振動板であって、分岐した繊維の交絡体と、無機物質とで構成され、前記繊維は樹脂で構成されていることを特徴とする。
スピーカ装置の構成を示す図である。 実施例に係る振動板の構造を示す図である。 実施例に係る振動板の製造方法を示す図である。 実施例に係る振動板の他の製造方法を示す図である。 具体例及び比較例に係る振動板の特性を示す。
本発明の好適な実施形態では、スピーカ用振動板は、分岐した繊維の交絡体と、樹脂部材と、無機物質とで構成され、前記繊維は前記樹脂部材内にある。
上記のスピーカ用振動板では、分岐した繊維の交絡体が樹脂部材内にあり、両者が密着しているので、無機物質が振動板から脱落することなく保持される。
上記のスピーカ用振動板の一態様では、前記樹脂部材が有する面には、複数の凹及び複数の凸がある。分岐した繊維が溶けて凹凸が形成されるとともに、無機物質が析出して凸を形成するため、複数の凹凸が形成される。これにより、振動板のヤング率が向上する。
上記のスピーカ用振動板の他の一態様では、前記樹脂部材は、分岐した繊維で構成されている。樹脂部材が分岐した繊維で構成されているので、内部に含まれている無機物質が脱落することが抑止される。
本発明の他の好適な実施形態では、スピーカ用振動板は、分岐した繊維の交絡体と、無機物質とで構成され、前記繊維は樹脂で構成されている。
上記のスピーカ用振動板では、分岐した樹脂の繊維で交絡体を構成することで、無機物質が振動板から脱落することを抑止できる。
上記のスピーカ用振動板の一態様は、前記交絡体に重なる他の交絡体を備え、前記分岐した繊維の交絡体と前記他の交絡体は一体化している。この態様では、例えば木材パルプなどの他の繊維の交絡体があり、これが分岐した樹脂の繊維の交絡体と一体化している。一体化により振動板を構成する層の剥離が防止される。ここで、一体化とは、分岐した樹脂の繊維が溶けて他の交絡体の繊維に密着・接着していること、及び、分岐した樹脂の繊維が他の交絡体の繊維と交絡していることを含む。
上記のスピーカ用振動板の他の一態様は、前記交絡体に重なる他の交絡体を備え、前記分岐した繊維の交絡体の繊維と、前記他の交絡体の繊維が交絡する部分を備える。この態様では、分岐した繊維の交絡体の繊維と他の交絡体の繊維とが交絡しているので、その部分にある無機物質の脱落が抑止される。
上記のスピーカ用振動板の他の一態様では、前記樹脂の融点は、前記無機物質の融点より低い。分岐した樹脂の繊維を熱で溶かしても、分岐した樹脂の繊維と他の交絡体を構成する繊維とが交絡しているので、分岐した樹脂の繊維が溶けている最中でも、分岐した樹脂の繊維と他の交絡体を構成する繊維との交絡位置に分岐した樹脂の繊維を留まらせることができる。このため、振動板の表面に溶かした樹脂を均一に分散させ、振動板の表面をまんべんなく樹脂で覆うことができる。なお、分岐した樹脂の繊維ではなく、直鎖状の樹脂の繊維を溶かした場合、溶けた樹脂が表面張力でいくつかの場所に集まってしまい、溶かした樹脂が不均一に分散してしまうため、振動板の表面をまんべんなく樹脂で覆うことは困難である。
上記のスピーカ用振動板の他の一態様では、前記樹脂はポリオレフィン系樹脂を含む。ポリオレフィン系樹脂は内部損失及びヤング率が大きく、振動板の特性を向上させることができる。
上記のスピーカ用振動板の他の一態様では、前記樹脂はポリビニルアルコール系樹脂を含む。樹脂がポリビニルアルコール系樹脂を含むことで、樹脂の繊維を溶かした場合に、無機物質と樹脂との密着性・接着性を向上できる。
上記のスピーカ用振動板の他の一態様では、前記分岐した繊維の交絡体及び前記他の交絡体は前記無機物質を含む。好適には、無機物質はマイカである。マイカを用いることにより、振動板のヤング率を向上させることができる。
上記のスピーカ用振動板の他の一態様では、前記分岐した繊維の交絡体は、前記他の交絡体に対して音響放射側にある。他の交絡体よりヤング率が高い、分岐した繊維の交絡体を音響放射側に配置することで、ユーザに伝わる音の伝搬速度を向上させることができる。一方、分岐した繊維の交絡体よりも内部損失が高い、他の交絡体は音響放射側とは逆側に配置することが好ましい。
上記のスピーカ用振動板と、ボイスコイルと、磁気回路と、フレームとによりスピーカ装置を構成することができる。また、このスピーカ装置を電子機器に搭載することができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
[振動板の構成]
図1は、実施例に係る振動板を含むスピーカ装置の構成を示す。スピーカ装置100は、磁石1A、プレート1B、ヨーク1Cにより形成される磁気回路1と、磁気回路1の磁気ギャップ内に配置されボイスコイルボビン2に巻回されたボイスコイル3と、内周部がボイスコイルボビン2に固定された振動板10とを有する。振動板10の外周部は、エッジ5およびガスケット6を介して、スピーカフレーム7に固定されている。ボイスコイルボビン2はダンパ8によりスピーカフレーム7に固定され、ボイスコイルボビン2の開口部はセンターキャップ9により覆われている。
図2(A)は、振動板10の層構成を示す断面図である。振動板10は、抄造物の2層構造であり、第1の層11と、第2の層12とを有する。実施例の振動板10は、第1の層11と第2の層12とを積層し、熱プレスにより乾燥及び成形して作製される。
図2(B)は、図2(A)に示す振動板10の一部(破線円70の部分)の拡大図である。図示のように、第1の層11は、樹脂部材13と、無機物質14とを含む。
樹脂部材13は、分岐した樹脂の繊維の交絡体が熱により溶解し固化してなる。分岐した樹脂の繊維で交絡体を構成することで、無機物質14が振動板から脱落することを抑止できる。「分岐した繊維」は、「フィブリル化した繊維」とも言われ、例えば三井化学株式会社の「SWP(ポリオレフィン合成パルプ)」(登録商標)、ダイセルファインケム株式会社の「セリッシュ」などが挙げられる。
樹脂部材13は、熱で溶融できる樹脂であり、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ホウ素を有するポリビニルアルコール系樹脂などが挙げられる。ポリオレフィン系樹脂は内部損失及びヤング率が大きく、振動板の特性を向上させることができる。また、ポリビニルアルコール系樹脂を含むことで、樹脂の繊維を溶かした場合に無機物質との密着性、接着性を向上できる。
無機物質14としては好適にはマイカが使用される。マイカを用いることで振動板のヤング率を向上させることができる。
一方、第2の層12は、例えば木材パルプ繊維の交絡体とされる。
図2(B)に示すように、樹脂部材13はポリエチレン繊維が溶融して形成されたものであり、樹脂部材13内にマイカが分散して含まれている。分岐したポリエチレン繊維を使用することにより、ポリエチレン繊維が溶融する前においても、マイカは分岐した繊維が絡み合った中に保持され、マイカが第1の層11から脱落することがない。
また、振動板10の樹脂部材が有する面には、複数の凹及び複数の凸があることが図2(B)には示されている。分岐した繊維が溶けて振動板10の表面に凹凸が形成されており、無機物質が析出して振動板10に凸が形成されている。また、樹脂部材13の一例として、溶融後のポリエチレン繊維により形成される膜(ポリエチレン樹脂の膜)があることが示されている。この膜にマイカが付着した状態が示されている。マイカは膜に付着した場合だけでなく、膜で覆われていても構わない。膜で覆われているマイカは振動板10に凸を形成しても構わない。また、ポリエチレン繊維が溶融すると、第1の層11と第2の層12は、溶融したポリエチレン繊維により接着される。よって、ポリエチレン繊維の溶融後もマイカが第1の層11から脱落することがない。
また、第1の層11のみにマイカを含ませることにより、第2の層12にまでマイカを含ませる必要がなくなる。これにより、振動板10の重量を低減でき、内部損失とヤング率のバランスを調整することができる。
図2(A)において、矢印71は振動板10の音響放射方向を示す。図示のように、第1の層11は、第2の層12よりも音響放射側にある。第2の層12よりもヤング率が高い第1の層を音響放射側に配置することで、ユーザに伝わる音の伝搬速度を向上させることができる。また、第1の層11よりも内部損失が大きい第2の層12は音響放射側と逆側に配置する。
[製造方法]
次に、実施例の振動板10の製造方法を説明する。図3は、実施例の振動板10の第1の製造方法を示す。振動板10は、第1工程〜第4工程により製造される。
以下の例では、樹脂部材13を構成する分岐した繊維の交絡体としてポリエチレン繊維(融点:131〜137°C)を用い、無機物質としてマイカ(融点:1290°C)を用い、第2の層12を構成する分岐した繊維の交絡体として木材パルプを用いる。
図3(A)に示すように、第1工程では、抄造装置20により振動板10の第1の層11を形成する。
まず、抄造装置20aについて説明する。タンク21aは、略円筒形状であり、内部に抄き網25を配置するための支持部22aが設けられている。また、タンク21aは、底部中央付近に吸引口24aが設けられており、吸引口24aからはタンク21a内部の液体が吸引機23aにより吸い出される。即ち、タンク21a内部の液体には吸引機23aにより矢印の方向の吸引力が与えられている。
抄き網25は、振動板の形状に対応する形状に予め形成されており、本実施例ではコーン形状に形成されている。抄き網25は、例えば網状に複数の孔が形成されている。振動板を構成する抄造物の形成材料を含ませた懸濁液のうち、形成材料が抄き網25上に堆積し、液体が複数の孔を通過して吸引口24aから排出される。抄き網25としては、例えば金網やパンチングメタルなどを使用することができる。
次に、第1工程について説明する。まず、タンク21a内の支持部22aに抄き網25が配置され、その上に懸濁液31が投入され、吸引機23aによる吸引力が与えられる。第1工程では、第1の層11の形成材料として、分岐したポリエチレン繊維が懸濁した懸濁液31が使用される。さらに懸濁液31には、無機物質14としてのマイカが分散して混入される。第1の層11の形成材料が抄き網25上に堆積し、それ以外の液体が吸引口24aから排出される。こうして、抄き網25上に第1の層11の抄造物(以下、単に「抄造物11」と呼ぶ。)を堆積させる。
次に、第2工程を行う。図3(B)は第2工程を示す。第2工程では、第1工程とは別の抄造装置20bを使用する。抄造装置20bは基本的に抄造装置20aと同じ構成を有する。
第2工程では、まずタンク21b内に懸濁液32を注入しておく。懸濁液32は、第2の層12の形成材料として木材パルプの繊維が懸濁したものである。次に、第1工程で第1の層の抄造物11が堆積した抄き網25をタンク21aから取り出し、懸濁液32で満たされたタンク21b内に浸漬する。この際、吸引機23bを駆動して、抄き網25上に堆積している抄造物11を吸引しながら抄き網25をタンク21b内に浸漬する。このように、吸引しながら浸漬しないと、抄造物11を構成するポリエチレン繊維がタンク21b内の懸濁液32中に分散してしまい、抄造物11の形状を維持できなくなる。このため、抄き網25をタンク21b内に配置する前から吸引を行い、抄造物11を抄き網25に吸着させた状態でタンク21b内に浸漬する。
こうして抄造物11が堆積した抄き網25をタンク21b内に浸漬すると、吸引機23bによる吸引を継続し、第2の層12の抄造物(以下、単に「抄造物12」と呼ぶ。)の抄造を行う。これにより、抄造物12が抄造物11上に堆積する。
次に、第3工程を行う。第3工程は抄造物11と抄造物12の積層体を乾燥、成形する工程である。図3(C)は第3工程を示す。
第3工程では、抄造物11と抄造物12が堆積している抄き網25をタンク21bから引き上げ、金型50(上型51と下型52)の間に配置した後、抄き網25を金型50から除去する。その際、抄造物12が下型52側に、抄造物11が上型51側になるように抄造物11と12の積層体を配置する。そして、金型50を加熱、プレスして乾燥及び成形する。
乾燥及び成形のためのプレスは、第1の層11に含まれるポリエチレン繊維の溶融温度より低い温度に金型50を加熱した状態(例えば、125±5°Cで120秒)で行われる。これにより、第1の層11と第2の層12を有する成形品が得られる。なお、金型50の温度をポリエチレン繊維の溶融温度より低い温度にしたことで、金型50に溶けたポリエチレン繊維が付着して、振動板10を金型50から取り外しにくくなることを抑止できる。
次に、第4工程として、振動板10の第1の層11に含まれるポリエチレン繊維を溶融させて振動板10の表面を透明化する。具体的には、第3工程後の成形品を乾燥機内に配置し、180〜200°Cで1〜30分程度加熱する。これにより、ポリエチレン繊維が溶融し、振動板10の表面(第1の層11)が透明化し、溶けた複数のポリエチレン繊維が膜となり、クリアーコートされたような外観となる。こうして振動板10が製造される。第3工程後の成形品を180〜200°Cの加熱温度で1分程度の加熱時間とした場合、ポリエチレン繊維が溶け始める。この加熱時間を長くすることで、溶融したポリエチレン樹脂が第1の層11から第2の層12へ進入し、第2の層12の木材パルプ繊維にポリエチレン樹脂が付着する。よって、加熱時間を調整することで、ポリエチレン樹脂の第2の層12への進入度合いを調整することができる。すなわち、加熱時間が比較的短い場合には第2の層12内に進入したポリエチレン樹脂の量は比較的少なく、加熱時間が比較的長い場合には第2の層12内に進入したポリエチレン樹脂の量は比較的多くなる。
また、加熱時間が比較的短い場合には、第1の層11におけるポリエチレン樹脂からなる膜には複数の孔が形成されているが、加熱時間が比較的長い場合には孔がないポリエチレン樹脂からなる膜が第1の層11全体に形成される。
上記の製造方法において、第2工程では、ポリエチレン繊維は未だ溶融していないが、第1の層11を構成する分岐したポリエチレン繊維は第2の層12を構成する木材パルプ繊維と交絡することにより一体化している。よって、第1の層11と第2の層12が剥離することがなく、また、無機物質14としてのマイカが脱落することもない。
その後、第3、第4工程を経てポリエチレン繊維が溶融し固化すると、マイカがポリエチレン樹脂内に分散して保持され、かつ、第1の層11と第2の層12も樹脂により一体化される。即ち、第1の層11を構成する分岐した樹脂の繊維(ポリエチレン繊維)が溶けて第2の層12を構成する木材パルプ繊維に密着、接着している状態となる。よって、第1の層11と第2の層12が剥離することはなく、また、マイカが脱落することもない。
なお、上記の例では、第3工程と第4工程を別工程としているが、第3工程と第4工程を1つの工程で行ってもよい。その場合には、ポリエチレン繊維が溶融する条件(例えば180±10°Cで60秒)で第3工程の熱プレスを行えばよい。
次に、振動板10の第2の製造方法について説明する。第2の製造方法では、第1の層の抄造物11と第2の層の抄造物12とを別の抄造装置で同時に形成し、それを熱プレスにより乾燥、成形する。
図4は、第2の製造方法を示す。図4(A)に示す第1工程では、抄造装置40aを使用し、懸濁液31を用いて抄造を行い、抄き網45a上に第1の層の抄造物11を形成する。この第1工程と同時に又は並行して、図4(B)に示す第2工程を行う。即ち、抄造装置40bを使用し、懸濁液32を用いて抄造を行い、抄き網45b上に第2の層の抄造物12を形成する。
次に、図4(C)に示す第3工程を行う。まず、第2工程で抄造物12が堆積した抄き網45bを下型52に置き、図示しない吸引口から吸引しつつ抄造物12を下型52上へ移動する。次に、同様にして、第1工程で形成された抄造物11を下型52上、即ち、抄造物12上に移動する。そして、上型51を載せ、加熱、プレスして乾燥及び成形を行う。第3工程及び第4工程の加熱及びプレスは第1の製造方法と同様の条件で実施される。また、第3工程と第4工程を1つの工程で行ってもよい点も第1の製造方法と同様である。
以上のように、本実施例では、熱溶融可能な、分岐した樹脂の繊維を用いることにより、マイカが振動板の層から脱落することが抑止でき、その結果、マイカを有するスピーカ装置用振動板を抄造法で製造することが可能となった。また、分岐した樹脂の繊維を用いることにより、製造途中(即ち樹脂の溶融前)でも、マイカが抄造物から脱落することが抑止できる。こうして、ポリオレフィン系繊維とマイカを用いることで、スピーカ装置用振動板の物性を所望の物性とすることができる。
[具体例]
以下、実施例に係る振動板の具体例について説明する。図5は、実施例に係る振動板の具体例1、及び、比較例の特性を示す。具体例1は、ポリエチレン繊維及びマイカの層とパルプの層からなる2層の振動板であり、比較例は単一の層のみからなる振動板である。
具体例1では、スピーカ装置の音響放射側(表側)にある抄造物11を、ポリエチレン繊維(長さ:約0.9mm〜約3mm、太さ:約0.02mm〜約0.06mm)とマイカを用いて抄造した。また、スピーカ装置の音響放射側の逆側(裏側)にある抄造物12を、叩解度20°SRの木材パルプ繊維NBKP(長さ:約2mm〜約5mm、太さ:約0.03mm〜約0.07mm)を用いて抄造した。抄造物11を構成する、ポリエチレン繊維は95重量%、マイカは5重量%の割合となっている。抄造物12を構成する木材パルプ繊維NBKPは100重量%の割合となっている。
比較例は、叩解度20°SRの木材パルプ繊維NBKPで単一の抄造物を抄造した。
比較例および具体例1の振動板については、厚さと重量をほとんど同じになるようにしている。すなわち、比較例は、具体例1のうち抄造物11を構成するポリエチレン繊維およびマイカを木材パルプ繊維に置き換え、具体例1および比較例の振動板の密度をほぼ同じにしたものである。
図5に示す表から、以下のことがわかる。
具体例1は、比較例に比べて、ヤング率および内部損失の双方が大きくなっている。この理由として、抄造物11をポリエチレン繊維とマイカで構成することで振動板のヤング率を向上しつつ、抄造物12を木材パルプ繊維で構成することで内部損失も向上させることができたと推測される。
また、具体例1の振動板から、マイカの脱落が抑止されていることを視認した。
[変形例1]
上記の実施例では、振動板10を樹脂部材13及び無機物質(マイカ)14を含む第1の層11と、木材パルプを含む第2の層12との2層で構成しているが、樹脂材料13と無機物質14を含む第1の層11のみで振動板10を構成してもよい。この場合でも、マイカを有することにより振動板10のヤング率を向上させることができる。
また、上記の実施例では、第1の層11のみが無機物質14としてマイカを含むが、第2の層12もマイカを含むようにしてもよい。
[変形例2]
上記の実施例では、第1の抄造物11の形成材料である第1の繊維、第2の抄造物12の形成材料である第2の繊維について、一方の繊維を短く他方の繊維を長くしても構わない。また、一方の繊維が柔らかい繊維(即ち剛性が低く)で、他方の繊維が剛直な繊維であっても構わない。また、一方の繊維が内部損失の大きい繊維で、他方の繊維がヤング率の高い繊維であっても構わない。また、一方の繊維が細い繊維で、他方の繊維が太い繊維であっても構わない。また、一方の繊維が低叩解度の繊維(即ち、表面積が小さい繊維)で、他方の繊維が高叩解度の繊維(即ち、表面積が大きい繊維、フィブリル化(枝が多数分岐した状態)した繊維)であっても構わない。
上述のような繊維を用いることで、第1の抄造物11又は第2の抄造物12のうち、一方の抄造物の繊維が他方の抄造物内に入り込み、他方の抄造物の繊維で強固に拘束される。これにより、他方の抄造物に進入した一方の抄造物の繊維は他方の抄造物から抜けにくくなり、一方の抄造物と他方の抄造物の密着力が向上する。即ち、一方の抄造物の繊維を一方の繊維、他方の層の繊維を他方の繊維として、一方の繊維の交絡体としての一方の抄造物と、他方の繊維の交絡体としての他方の抄造物とは一体化しており、振動板10の全体にわたって交絡する部分を構成している。よって、振動板10を構成する複数の抄造物の剥離を抑止することができる。
また、他方の抄造物の密度は一方の抄造物の密度より大きいことが好ましい。これにより、一方の抄造物の繊維を他方の抄造物の繊維で拘束し、密着力を増すことができる。さらに、他方の抄造物の空隙率は一方の抄造物の空隙率より小さいことが好ましい。これにより、他方の抄造物を引き締め、一方の抄造物の繊維を他方の抄造物の繊維でより強固に拘束することができる。
この例では、一方の抄造物を第1の抄造物11、他方の抄造物を第2の抄造物12としてもよく、逆に一方の抄造物を第2の抄造物12、他方の抄造物を第1の抄造物11としてもよい。
また、ヤング率が高い抄造物を音響放射側に配置し、内部損失が高い抄造物を音響放射側と逆側に配置することで、ユーザに伝わる音の伝搬速度を向上させることができる。例えば、第1の抄造物11は第2の抄造物に対して比較的ヤング率が高く、第2の抄造物は第1の抄造物より内部損失が高い場合、第1の抄造物11を音響放射側に配置し、第2の抄造物12を音響放射側とは逆側に配置するのがよい。
[その他の変形例]
振動板10の第1の製造方法においては、上述した通り、第2の工程により、第2の抄造物12が第1の抄造物11上に堆積する。この際、抄造物12を構成する繊維が抄造物11内に進入する。また、吸引機23bにより継続して吸引されている抄造物11はその密度が徐々に高くなり、抄造物全体が引き締まって空隙率が低下してゆく。この引き締まりにより、抄造物12の繊維は、抄造物11の繊維で強固に拘束される。
また、上述した第1の製造方法では、第2工程で抄造物12を形成している間、抄造物11を懸濁液32中に浸漬しているので、繊維間の水素結合がより生じやすくなっている。また、抄造物12の繊維が、横たわっているのではなく、抄造物11の繊維の方向に突き立っているので、繊維間の水素結合が生じやすくなっているものと推測される。これにより、抄造物11、12の密着力が増し、剥離しにくい振動板10を得ることができる。
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。上述の各図で示した実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。また、各図の記載内容はそれぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は各図を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。
10 振動板
11 第1の層
12 第2の層
20a、20b、40a、40b 抄造装置
21a、21b、41a、41b タンク
23a、23b、43a、43b 吸引機
25、45a、45b 抄き網
31、32 懸濁液
50 金型

Claims (1)

  1. 分岐した繊維の交絡体と、樹脂部材と、無機物質とで構成され、
    前記繊維は前記樹脂部材内にあることを特徴とするスピーカ用振動板。
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