JP4607002B2 - 走行型車両 - Google Patents

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Description

本発明は、駆動源の出力と電動モータの出力との差動出力を走行装置に伝達する走行型車両に関する。
除雪機、芝刈り機、トラクタ、コンバイン等の走行型車両は、内燃式エンジンのような駆動源の出力を左右一対の走行装置と作業機とに分配して伝達し、走行と作業とを同時的に又は個々に実行するよう構成してある。
走行型車両は、走行型車両を旋回させる場合に作業者が操作する旋回操作部を備える。走行型車両は、旋回操作部の操作方向に応じて右旋回又は左旋回し、旋回操作部の操作量(例えばステアリングホイールの回転角度、旋回レバーの傾倒角度等)に応じて、大きい旋回半径(遅い旋回速度)又は小さい旋回半径(早い旋回速度)で旋回する。
このために、走行型車両は、旋回用に左右一対の電動モータを備え、電動モータの出力と、駆動源の出力との差動出力を走行装置夫々に伝達し、旋回時に内側となるべき車軸(以下、内側車軸という)の回転態様と旋回時に外側となるべき車軸(以下、外側車軸という)の回転態様とを異ならせることによって旋回する。
具体的には、旋回操作部の操作方向及び操作量に応じて、各電動モータの出力を制御することによって、外側車軸を回転させつつ内側車軸を回転停止又は逆回転させるか、外側車軸の回転方向と同一方向に回転させつつ内側車軸の回転数を外側車軸の回転数より低くする(特許文献1参照)。
旋回半径を小さくして急速に旋回するために、旋回操作部の操作量が最大操作量である場合は、従来、外側車軸を回転させて、内側車軸を回転停止又は逆回転させていた。
特開2005−199755号公報
しかしながら、特に車速が早い場合、即ち車軸が高い回転数で回転している場合、回転中の内側車軸を回転停止又は逆回転させるためには大出力の電動モータを備える必要があり、このために高価な大型の電動モータを搭載していた。
一方、車速が遅い場合、即ち車軸が低い回転数で回転している場合、回転中の内側車軸を回転停止又は逆回転させるためには電動モータの大きな出力を必要としない。更に、車速が大きい場合は、危険であるため急旋回することは少ない。つまり、大出力の電動モータを備えることによって走行型車両が過剰性能となることがあった。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、旋回操作部から最大操作量を受け付けた場合でも、外側車軸の回転方向と同じ回転方向に、外側車軸の回転数より小さい回転数で内側車軸が回転するよう電動モータの出力を制御する構成とすることにより、出力の小さい小型の電動モータを搭載することができる走行型車両を提供することにある。
本発明の他の目的は、作業中でない場合、旋回操作部から最大操作量を受け付けたときでも、外側車軸の回転方向と同じ回転方向に、外側車軸の回転数より小さい回転数で内側車軸が回転するよう電動モータの出力を制御する構成とすることにより、一般に車速が早い場合に、旋回半径を大きくして緩やかに旋回することができる走行型車両を提供することにある。
本発明の他の目的は、作業中である場合、車速が早いときは最大操作量受付時に内側車軸が回転停止するように、車速が遅いときは最大操作量受付時に内側車軸が逆回転するように、夫々電動モータの出力を制御する構成とすることにより、出力の大きい大型の電動モータを備えることなく作業効率を向上させることができる走行型車両を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、静油圧式無段変速装置を備えることにより、車速を無段階に調整して走行効率及び作業効率を向上させることができる走行型車両を提供することにある。
第1発明に係る走行型車両は、車軸を夫々有する一対の走行装置と、電動モータと、前記走行装置に各対応し、駆動源の出力及び前記電動モータの出力の差動出力を前記走行装置に伝達する一対の差動機構と、旋回操作部と、該旋回操作部から操作方向及び操作量を受け付けて、前記電動モータの出力を制御する制御部とを備える走行型車両において、作業機と、前記駆動源から前記作業機への駆動力を継/断するクラッチと、車速の指示が入力操作される車速操作部とを備え、前記制御部は、最大操作量を受け付けた場合でも、旋回時に内側となるべき車軸の回転数が、旋回時に外側となるべき車軸の回転数より小さく、かつ回転方向が同一となるよう、前記旋回操作部から受け付けた操作量に基づいて前記電動モータの出力を制御する出力制御手段と、前記クラッチの継/断に基づいて前記作業機を作動させるか否かを判定する手段と、前記車速操作部から入力された車速が所定車速以上であるか否かを判定する手段と、前記作業機を作動させると判定した場合、前記車速が前記所定車速以上であると判定したとき、最大操作量を受け付けた場合に、旋回時に内側となるべき車軸の回転が略停止するよう、前記旋回操作部から受け付けた操作量に基づいて前記電動モータの出力を制御する手段と、前記作業機を作動させると判定した場合、前記車速が前記所定車速未満であると判定したとき、最大操作量を受け付けた場合に、旋回時に内側となるべき車軸が、旋回時に外側となるべき車軸の逆方向に回転するよう、前記旋回操作部から受け付けた操作量に基づいて前記電動モータの出力を制御する手段とを有し、前記作業機を作動させないと判定した場合、前記出力制御手段を実行するようにしてあることを特徴とする。
発明に係る走行型車両は、前記駆動源の出力を変速して前記差動機構に伝達する静油圧式無段変速装置を備えることを特徴とする。
第1発明にあっては、制御部は、旋回操作部から受け付けた操作方向及び操作量に基づいて電動モータの出力を制御するが、旋回操作部の操作量が最大操作量である場合でも、旋回時に内側となるべき車軸(内側車軸)の回転数が、旋回時に外側となるべき車軸(外側車軸)の回転数より小さく、かつ回転方向が同一となるよう制御部が電動モータの出力を増減する。
作業者が旋回操作部に右旋回又は左旋回に対応する最大操作量を入力した場合、駆動源の出力と電動モータの出力とが差動機構に伝達され、差動機構の出力が走行装置に伝達される。
このとき、走行装置の外側車軸の回転方向と同じ回転方向に、外側車軸の回転数より小さい回転数で内側車軸が回転して、走行型車両は大きな旋回半径で緩やかに右旋回又は左旋回(以下、緩旋回という)する。
具体的には、略同一の回転数で回転していた左右の車軸に対し、外側車軸の回転数を保持(又は増加)させて、内側車軸の回転数を減少させるか、外側車軸の回転数を減少させて、内側車軸の回転数を更に減少させるか、内側車軸の回転数を増加させて、外側車軸の回転数を更に増加させるか、外側車軸の回転数を増加させて、内側車軸の回転数を保持させる。
また、本発明にあっては、例えば除雪用の作業機を備え、除雪作業を行なわずに街路を走行する場合のように、作業機を作動させない場合、除雪による抵抗が無い分、走行型車両は除雪作業中よりも高速で走行すると考えられる。このとき、旋回操作部の操作量が最大操作量である場合でも、内側車軸の回転数が、外側車軸の回転数より小さく、かつ回転方向が同一となるよう制御部が電動モータの出力を増減することによって、走行型車両は緩旋回する。
更に、本発明にあっては、例えば除雪作業中に高速走行する場合のように、作業機を作動させ、しかも車速操作部からの入力が所定車速以上である場合、除雪による抵抗が走行型車両に加わるため、走行型車両は除雪作業を行ないつつ、非除雪時よりも低速で走行すると考えられる。このとき、旋回操作部の操作量が最大操作量である場合に、外側車軸を回転させつつ、内側車軸の回転を停止させるよう制御部が電動モータの出力を増減することによって、走行型車両は小さな旋回半径で急速に右旋回又は左旋回(以下、急旋回という)する。
また、例えば除雪作業中に低速走行する場合のように、作業機を作動させ、しかも車速操作部からの入力が所定車速未満である場合、走行型車両は除雪作業を行ないつつ非常に低速で走行すると考えられる。このとき、旋回操作部の操作量が最大操作量である場合に、外側車軸を回転させつつ、内側車軸の回転を逆回転させるよう制御部が電動モータの出力を増減することによって、走行型車両は更に急速に旋回する。
発明にあっては、例えば車速操作部から入力された車速に応じて、静油圧式無段変速装置(Hydro Static Transmission;HST)が駆動源の出力を変速して差動機構に伝達し、静油圧式無段変速装置を経た駆動源の出力と電動モータの出力の差動出力、又は電動モータの出力を回転数“0”として静油圧式無段変速装置を経た駆動源の出力のみで、作業者の車速を変更する。
第1発明の走行型車両による場合、回転中の内側車軸を回転停止及び逆回転させず、回転方向を同一に保ちつつ回転数を外側車軸の回転数より低減させる。このため走行方車両は小出力の電動モータを備えればよく、安価な小型の電動モータを搭載してコストダウン及び小型軽量化を図ることができる。
また、電動モータの出力が小さいため、電動モータの消費電力が小さく、省エネとなる。
更に、本発明の走行型車両による場合、作業機を作動させないとき、即ち非作業中には走行型車両が緩旋回するため、作業者が意図的に旋回操作部を緩旋回のために操作する必要がない。つまり、非作業中は旋回モードを自動的に緩旋回モードに切り換えることができる。この結果、高速走行時に急旋回を行なうことによって事故、故障等が発生することを防止することができる。
また、狭隘な場所で作業する場合に行なうような急旋回を非作業中に不要に行なうことによって電動モータが大出力を発生させ無駄なエネルギーを消費することを防止することができる。
更にまた、本発明の走行型車両による場合、作業機を作動させるとき、即ち作業中には走行型車両が急旋回する。つまり、作業中は旋回モードを自動的に急旋回モードに切り換えることができる。この結果、例えば狭隘な場所で作業する場合に作業者による旋回操作部の操作に応じて急旋回を行なうことができるため、作業効率を向上させることができる。
また、内側車軸を停止させるより逆回転させる方が大出力の電動モータを要するが、逆回転は低速時、即ち内側車軸の回転数が低い場合に行なうため、必要となる電動モータの出力を低減させることができる。この結果、出力の大きい大型の電動モータを備える必要がない。
発明の走行型車両による場合、静油圧式無段変速装置が変速を行ない、変速のために電動モータを用いないか、補助的に用いるため、小型の電動モータを備えつつ、車速を無段階に調整して走行効率及び作業効率を向上させることができる。また、HSTによって滑らかな旋回と高い出力伝達効率とを得ることができる。
以下、本発明を、その実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は、本発明に係る走行型車両1の構成を示す側面図である。また、図2は、走行型車両1の走行系の動力伝達機構6の構成を示すブロック図であり、図3は、同じく模式的説明図である。
図1に示すように、走行型車両1はウォークビハインド型の除雪機である。
走行型車両1は除雪用の作業機である除雪部2、走行型車両1を駆動するための駆動部3、左右一対のクローラ式走行装置である走行装置4L,4R、作業者が走行型車両1を操作するための操作部5を備え、これらは機体フレーム11に支持されている。以下では、走行型車両1の左側の構成要素の符号末尾にL、右側の構成要素の符号末尾にRを付す。
機体フレーム11前部には除雪部2、機体フレーム11上部には駆動部3、機体フレーム11下部には走行装置4L,4R、機体フレーム11後方上部には操作部5が、夫々配置されている。
また、機体フレーム11内には、図2及び図3に示すような走行系の動力伝達機構6を収納するギヤケースが設けられている。
除雪部2は、走行型車両1の前方の雪を除雪部2内に掻き込むための掻込オーガ21、掻込オーガ21を包囲するオーガハウジング22、掻込オーガ21が掻き込んだ雪を走行型車両1の側方へ排出するためのブロワ24、ブロワ24を収容するブロワハウジング23、雪の排出管であるシュータ25を備える。このような除雪部2が作動することによって、走行型車両1の前方の雪が掻き込まれて、走行型車両1の側方へ排出され、走行型車両1の走行経路上の雪が除去される。
掻込オーガ21及びブロワ24は、駆動部3が備えるエンジン31の出力を利用して駆動される。
駆動部3は、駆動源として内燃式のエンジン31を備え、更に、エンジン31の出力を利用して発電する発電機32と、機体フレーム11に固定されているバッテリ33と、左右一対の電動モータ61L,61Rを有する動力伝達機構6を備える(図2及び図3)。エンジン31は、例えば電圧が夫々12V(又は24V)の電動モータ61L,61Rと比べて高出力であり、走行時の牽引力及び除雪部2の駆動力が大きく、高効率な走行及び作業が可能である。
発電機32の発電電力は、制御部30と、電動モータ61L,61Rの駆動回路(インバータ)36L,36Rとに電力を伝達する。駆動回路36L,36Rは制御部30に接続されており、制御部30は駆動回路36L,36Rに電動モータ制御信号を出力することによって、電動モータ61L,61Rの出力(具体的には回転数)を制御する。ここで、電動モータ制御信号は、電動モータ61L,61R夫々の回転数に関連付けて、予め制御部30に与えられている。
発電機32の発電電力は制御部30及び駆動回路36L,36R以外の図示しない電気機器にも伝達され、余剰電力はバッテリ33に充電されて、このバッテリ33から必要に応じて電動モータ61L,61Rに伝達される。
つまり、駆動部3においては、エンジン31からの直接の出力と、発電機32の発電電力で駆動される電動モータ61L,61Rからの出力とを各部へ伝達する。除雪部2はエンジン31の直接の出力で駆動され、走行装置4L,4Rはエンジン31の直接の出力と電動モータ61L,61Rの出力(エンジン31の間接の出力)との差動出力で駆動される。
以下では、エンジン31の出力からの実際の出力の内、発電機32での発電による負荷を除いて残った動力をエンジン出力という。
走行装置4L(4R)は、無端ベルトであるクローラベルト43L(43R)と、クローラベルト43L(43R)が巻回される駆動スプロケット41L(41R)及び従動スプロケット42L(42R)と、夫々左右水平方向に配された走行駆動軸(以下、単に車軸という)45L(45R)及び従動車軸44とを備える。
前記ギヤケースを内蔵する機体フレーム11からは車軸45L(45R)が回転可能に支持されて左(右)に突設されており、車軸45L(45R)に駆動スプロケット41L(41R)が外嵌固定されている。また、機体フレーム11の車軸45L(45R)後方からは従動車軸44が回転可能に支持されて左(右)に突設されており、従動車軸44に従動スプロケット42L(42R)が外嵌固定されている。
車軸45L(45R)は前記差動出力が伝達されることによって個別に回転し、車軸45L(45R)の回転によって走行装置4L(4R)が回転駆動される。
図2及び図3に示すように、走行型車両1は、駆動部3において二種類の動力、つまりエンジン出力と電動モータ61L,61Rの出力とを利用して、走行可能に構成されている。そして、この二種類の動力を走行装置4L,4Rに伝達する機構として、動力伝達機構6が設けられている。走行装置4L,4R夫々の回転速度(車速)を調整することによって、走行型車両1は直進(前進又は後進)し、また、滑らかに旋回(右旋回又は左旋回)する。
動力伝達機構6は、エンジン出力と、電動モータ61L,61Rの出力との差動出力を、左右の車軸45L,45Rに伝達するよう構成されている。車軸45L,45R夫々に伝達された差動出力が異なる場合、走行型車両1は旋回し、前記差動出力が同一である場合、走行型車両1は直進する。
ここで、差動出力とは、エンジン出力と電動モータ61L,61Rの出力との差又は和を一つの運動にして出力したものである。
動力伝達機構6には、夫々遊星差動機構である左右一対の差動機構62L,62Rが備えられている。遊星差動機構は、太陽ギヤ、遊星キャリア、リングギヤの三要素を備え、この三要素のうち二つの要素が入力側の要素とされ、一つの要素が出力側の要素とされて、二つの入力側要素の差動出力が、一つの出力側要素に伝達される。
具体的には、走行型車両1左(右)側の差動機構62L(62R)がエンジン出力と左
(右)側の電動モータ61L(61R)の出力との差動出力を左(右)側の車軸45L(45R)に伝達する。
以下では、主に動力伝達機構6の走行型車両1左側の差動機構62L及び走行装置4Lを例示して説明するが、走行型車両1右側の差動機構62R及び走行装置4Rも同様の構成、作用及び効果を有する。
差動機構62Lにおける二つの入力側要素は、太陽ギヤ82Lと、内周面及び外周面夫々に歯車部が形成され、しかも回転を可能としたリングギヤ85Lである。太陽ギヤ82Lにはエンジン出力軸31aが動力伝達可能に接続され、リングギヤ85Lには、電動モータ61Lの電動モータ出力軸611Lが動力伝達可能に接続されている。また、出力側要素は、複数の遊星ギヤ84L,84L,…が支持されている略円盤状の遊星キャリア83Lであり、遊星キャリア83Lに車軸45Lが動力伝達可能に接続されている。
次に、エンジン31から差動機構62Lまでの動力伝達経路について説明する。
エンジン出力軸31aには、エンジンクラッチ38を介して第1プーリ71が設けられ、第1プーリ71と第2プーリ72とがベルト73に巻回されて、動力伝達可能に接続されている。エンジンクラッチ38をオン/オフすることによって、第1プーリ71がエンジン出力軸31aに固定され、エンジン出力を伝達可能なオン状態と、第1プーリ71がエンジン出力軸31aに固定されず、エンジン出力が伝達不可能なオフ状態とが切り換えられる。
動力伝達機構6はギヤケース内前側に静油圧式無段変速装置であるHST60を備えている。ただし、HST60のHST入力軸60aはギヤケースの一面を貫通して回転自在に設けられており、HST出力軸60bはギヤケース内にHST入力軸60aの延長線上に回転自在に設けられており、第2プーリ72はギヤケース外前側に配されている。
第2プーリ72はHST入力軸60aに外嵌固定されており、HST出力軸60bには、第1ベベルギヤ74が外嵌固定されている。
ギヤケース内には、第2伝達軸75が、HST入力軸60a及びHST出力軸60bの軸方向と略直交する左右水平方向に回転自在に支持されており、第2伝達軸75上には、第1ベベルギヤ74と噛合する第2ベベルギヤ76、及び、第1スプロケット77が外嵌固定されている。
第2伝達軸75の右端部にはブレーキ装置63が設けられており、ブレーキ装置63の作動により第2伝達軸75の回転が制止されると、差動機構62L,62Rの太陽ギヤ82Lの回転がロックされる。
ギヤケース内には、第3伝達軸81が車軸45L,45Rと同軸上に配されて左右水平方向に回転自在に支持されており、第3伝達軸81には第2スプロケット80が外嵌固定されており、第2スプロケット80と第1スプロケット77とはチェーン78が巻回されて動力伝達可能に接続されている。
第3伝達軸81の左側中央部には、太陽ギヤ82Lが外嵌固定されている。
つまり、エンジン31から差動機構62Lに至る動力伝達経路は、エンジンクラッチ38がオン状態であり、ブレーキ装置63が作動していない(制動していない)場合、エンジン31のエンジン出力軸31a→第1プーリ71→ベルト73→第2プーリ72→HST入力軸60aの順であり、HST60で変速された後、HST出力軸60b→第1ベベルギヤ74→第2ベベルギヤ76→第2伝達軸75→第1スプロケット77→チェーン78→第2スプロケット80→第3伝達軸81→差動機構62Lの入力側要素である太陽ギヤ82Lの順である。
次に、電動モータ61Lから差動機構62Lまでの動力伝達経路について説明する。
電動モータ61Lの電動モータ出力軸611Lにはウォーム87Lが外嵌固定されており、ウォーム87Lは、リングギヤ85Lの外周面の歯車部と噛合している。ここで、リングギヤ85Lの外周面の歯車部はウォーム87Lのウォームホイールを兼ねている。
つまり、電動モータ61Lから差動機構62Lに至る動力伝達経路は、電動モータ61Lの電動モータ出力軸611L→ウォーム87L→差動機構62Lの入力側要素であるリングギヤ85Lの順である。
電動モータ61Lは、遊星キャリア83Lの回転速度を減速させる方向に、リングギヤ85Lを回転駆動するようにしてある。
差動機構62Lにおいて、遊星キャリア83Lは、軸受を介して第3伝達軸81の左端部を支持している。また、遊星キャリア83Lの右側面には複数の回転軸86L,86L,…が突設され、各回転軸86Lに1個の遊星ギヤ84Lが回転可能に支持されている。遊星ギヤ84L,84L,…は、太陽ギヤ82Lと互いに噛合しており、更に、リングギヤ85Lの内周面の歯車部と互いに噛合している。
つまり、差動機構62Lにおける動力伝達経路は、太陽ギヤ82L及びリングギヤ85L→遊星ギヤ84L,84L,…→回転軸86L,86L,…→遊星キャリア83Lの順である。
更に、差動機構62Lから車軸45Lまでの動力伝達経路について説明する。
車軸45Lの右端部は、差動機構62Lに備える遊星キャリア83Lに、スプライン嵌合により外嵌固定されている。
つまり、差動機構62Lから車軸45Lに至る動力伝達経路は、差動機構62Lの出力側要素である遊星キャリア83L→車軸45Lの順である。そして、車軸45Lに伝達された駆動力、即ち差動機構62Lから伝達された差動出力が駆動スプロケット41Lに伝達される。この差動出力は、更に詳細には、HST60で変速されたエンジン出力と、電動モータ61Lの出力との差動出力である。
電動モータ61Lを停止させ、電動モータ61Lの出力が“0”の状態でエンジン出力のみによって走行型車両1を走行させる場合、差動機構62Lのリングギヤ85Lが回転しないよう固定する必要がある。仮にリングギヤ85Lの回転を固定しない場合、エンジン出力の一部がリングギヤ85Lから電動モータ61Lに伝達されて(エンジン出力が電動モータ61Lに逆流して)車速、走行安定性等が低下することがある。
しかしながら本実施の形態においては、リングギヤ85Lをウォームホイールとし、ウォーム87Lと互いに噛合させてあるため、ウォーム87Lのセルフロック機能を利用することによって、電動モータ61Lへの駆動力の逆流が防止される。この結果、電動モータ61Lと差動機構62Lとの間に駆動力逆流防止用のクラッチ、ブレーキ等を備える必要がなく、走行型車両1の部品点数及び製造コストを低減することができる。
ここで、セルフロック機能とは、ウォームの回転によってウォームホイールを回転させることは容易であるが、逆は困難であるという性質を利用したものである。
さて、HST60は、エンジン31の出力である回転速度を変速して差動機構62Lに伝達する静油圧式無段変速装置である。HST60は、HST入力軸60aを有する油圧ポンプ、及びHST出力軸60bを有する油圧電動モータ、並びに油圧ポンプと油圧電動モータとを流体的に接続するための油圧回路を筐体に収容してある(各不図示)。油圧ポンプは可動斜板式のアキシャルピストンポンプであり、油圧電動モータは可動斜板式のアキシャルピストン電動モータである。
HST60の出力の大小は、HST入力軸60aが1回転する間に油圧ポンプから油圧
電動モータへ搬送される圧油の量を調整する可動斜板の角度(以下、HST斜板角度という)の大小に対応し、圧油の量が多い場合はHST出力軸60bの回転数が多くなる。このため、HST斜板角度を制御することによってHST60の出力が制御される。
HST60にはアクチュエータ60cが併設してある。アクチュエータ60cは制御部30に接続されており、制御部30はアクチュエータ60cにHST制御信号を出力することによって、HST60の出力(具体的には回転数)を制御する。ここで、HST制御信号は、HST60の回転数に対応するHST斜板角度に関連付けて、予め制御部30に与えられている。
ところで、走行型車両1が備える作業系の動力伝達機構として、エンジン出力軸31a上には、除雪部2への動力伝達に関わる駆動プーリ又はギヤ、発電機32への動力伝達に関わる駆動プーリ又はギヤ等(各不図示)が備えられている。作業系の動力伝達機構はエンジン31から除雪部2への駆動力の伝達を行ない、この動力伝達機構の中途に、除雪部2への駆動力の伝達のオン/オフを行なう除雪クラッチ37が設けられている。
操作部5は、機体フレーム11に固設された後面視逆U字状のハンドル51に設けられた各種レバーを備える。
ハンドル51上端部の左右一側にはクラッチレバー50が設けられ、他側には除雪レバー55が設けられており、各レバーは夫々デッドマンクラッチレバーである。
クラッチレバー50は、作業者がクラッチレバー50を操作すると該クラッチレバー50の動作が図示しない検出器により検出され、この検出器が検出した動作に基づいて制御部30から指令信号がエンジンクラッチ38及びブレーキ装置63に加えられ、ブレーキ装置63が解除動作するとともにエンジンクラッチ38が継合動作し、エンジン31の回転動力が差動機構62L,62Rに伝動され、また、作業者がクラッチレバー50の操作を開放するとブレーキ装置63が制動動作するとともにエンジンクラッチ38が解除動作し、エンジン31の回転動力が差動機構62L,62Rに伝動されないように構成されている。
除雪レバー55は伝動部材を介して除雪クラッチ37に接続されており、エンジン31の回転動力を除雪部2に伝動/遮断するように構成されている。
除雪レバー55の動作は図示しない検出器により検出され、この検出器が検出した動作に基づいて制御部30は、エンジン31の回転動力が除雪部2に伝動/遮断されたか、即ち除雪レバー55がオン状態/オフ状態にされたか否かを判定することによって、除雪クラッチ37のオン/オフ、即ち除雪部2を作動させるか否かを判定する。
ハンドル51中途部には操作ボックス52L,52R,53が固設されており、操作ボックス52L,52Rには旋回レバー54L,54Rが、操作ボックス53に変速レバー56が、夫々設けられている。
旋回レバー54L(54R)は旋回する場合に作業者によって操作される旋回操作部であり、作業者が手動で左(右)方向に夫々傾倒可能としてある。旋回レバー54L,54Rは、図示しない検出器が検出した旋回レバー54L,54Rの傾倒角度(操作量)に応じて、作業者が所望する走行型車両1の旋回半径(旋回の緩急)を指示する旋回レバー操作量が制御部30に入力されるようにしてある。
ここで、旋回レバー54L,54R両方の旋回レバー操作量が“0”の場合は直進(又は停止)を意味し、旋回レバー54Lの旋回レバー操作量が“0”超過の場合は左旋回を意味し、旋回レバー54Rの旋回レバー操作量が“0”超過の場合は右旋回を意味する。
つまり、本実施の形態における旋回レバー操作量は旋回レバー54L,54Rの操作方向と、この操作方向への操作量の絶対値とを含んでいる。
変速レバー56は操作角度が図示しない検出器により検出されるように構成されており、この検出器が検出した操作角度に基づいて制御部30からHST制御信号がアクチュエータ60cに加えられ、HST60を変速動作させる。
つまり、変速レバー56は車速を無段階に変更する場合に作業者によって操作されることによって車速の指示が入力操作される車速操作部である。
変速レバー56は、中立位置を傾倒角度“0”として前後方向に傾倒可能に設けてあり、変速レバー56の前後の傾倒角度、即ち、作業者が所望する走行型車両1の車速を指示する変速レバー角度が制御部30に入力されるようにしてある。変速レバー56の前側傾倒及び後側傾倒は、夫々前進及び後進に対応している。以下では簡単のため、前進に関して説明し、傾倒角度は絶対値とする。
傾倒角度が所定傾倒角度以下の範囲は低速域の車速に対応し、所定傾倒角度超過の範囲は高速域の車速に対応する。更に、変速レバー56を前方端部に位置させた場合は最大傾倒角度(最大操作量)となる。
制御部30は、変速レバー56からの入力である変速レバー角度に基づいて、作業者が所望する車速を得るために必要なHST斜板角度を算出し、算出されたHST斜板角度に関連付けられたHST制御信号をアクチュエータ60cに出力することによって、HST60の出力を制御する。このようにして制御部30はエンジン出力の変速を行なう。
本実施の形態においては、走行型車両1の旋回時にエンジン出力と左右の電動モータ61L,61Rの出力との差動出力が利用される。このために、電動モータ61L,61Rは、走行型車両1の直進時には何れも駆動せず、走行型車両1の旋回時に旋回内側に対応する一方を駆動し、他方を駆動しないよう制御される。つまり、左(右)旋回時に旋回内側となる左(右)側の電動モータ61L(61R)を駆動し、旋回外側となる右(左)側の電動モータ61R(61L)を駆動しない。以上の結果、走行型車両1は小型小出力の電動モータ61L,61Rを備えることができる。
なお、直進時にも電動モータ61L,61Rを駆動する構成でもよく、旋回時に電動モータ61L,61R両方を駆動する構成でもよい。
以下では、図4及び図5の特性図並びに図6及び図7のフローチャートに基づいて、走行型車両1の旋回について説明する。
図4は、走行型車両1の旋回レバー54L,54Rの旋回レバー操作量と車軸45L(45R)の車軸回転数との関係を示す特性図である。図中横軸は、作業者が、旋回レバー54L又は旋回レバー54Rを操作した(傾倒させた)場合の絶対操作量(傾倒角度)である。また、図中縦軸は、車軸45L(45R)の回転数であり、左旋回の場合は旋回内側の車軸である内側車軸が車軸45L、旋回外側の車軸である外側車軸が車軸45Rである。同様に、右旋回の場合は内側車軸が車軸45R、外側車軸が車軸45Lである。
更に、図5は、走行型車両の変速レバー56の変速レバー角度と電動モータ61L,61Rによる減速率との関係を示す特性図である。図中横軸は変速レバー56の傾倒角度であり、縦軸は減速率である。
ここで、減速率とは、等速(等回転数)で駆動されていた車軸45L,45Rのうち、内側車軸を電動モータ61L,61Rによって減速した場合の内側車軸の回転数と外側車軸の回転数との比率を示す。
走行型車両1は、除雪作業中であるか否かに応じて、小さな旋回半径で急速に右旋回又は左旋回(急旋回)する急旋回モードと、大きな旋回半径で緩やかに右旋回又は左旋回(緩旋回)する緩旋回モードとを切り換えるよう構成してある。
更に走行型車両1は、除雪作業中の急旋回モードを、変速レバー56が低速域にある(具体的には変速レバー56の傾倒角度が低速域に対応している範囲内にある)か否かに応じて、非常に小さな旋回半径で急旋回するスピンターンモードと、比較的大きな旋回半径で急旋回するブレーキターンモードとを切り換えるよう構成してある。
除雪作業中は、狭い場所での除雪作業のために急旋回する必要があり、しかも雪の抵抗によって走行型車両1の車速が遅いため急旋回による危険が少ない。特に狭い場所では非常に小さな旋回半径で急旋回する必要があり、また、走行型車両1の車速は最低限である。更に、一般に車速が遅いため、急旋回の際にも電動モータ61L,61Rが大出力を必要としない。
一方、非除雪作業中は、例えば街路を走行中であって急旋回の必要はなく、しかも走行型車両1の車速が遅いため急旋回による危険が高い。また、一般に車速が早いため、急旋回のためには電動モータ61L,61Rが大出力を要する。
つまり、除雪作業の実行/非実行及び車速の高低に応じて旋回モードを切り換えることによって、走行型車両1は安全に作業効率を向上させることができ、しかも小出力の電動モータ61L,61Rによって旋回することができる。
急旋回モード及び緩旋回モードを問わず、走行型車両1は、旋回レバー54L,54Rの操作量の増大に伴って、外側車軸の回転数を一定のままに、内側車軸の回転数を低下させる。
ただし、緩旋回モードにおいては、旋回レバー54L,54Rの操作量が最大操作量である場合でも、左右両方の車軸の回転方向が同一方向であり、内側車軸の回転数は“0”超過である。具体的には、内側車軸の最低回転数は、外側車軸の回転数の20%(減速率80%)である。
また、急旋回モードのブレーキターンモードにおいては、旋回レバー54L,54Rの操作量が最大操作量である場合、内側車軸の回転数は略“0”である。つまり、内側車軸の最低回転数は、外側車軸の回転数の0%(減速率100%)である。
一方、急旋回モードのスピンターンモードにおいては、旋回レバー54L,54Rの操作量が最大操作量である場合、左右両方の車軸の回転方向が逆方向であり、内側車軸の回転数は“0”超過である。具体的には、内側車軸の最低回転数は、外側車軸の回転数の−20%(減速率120%)である。
ここで、旋回レバー54L,54Rの最大操作量に対応する減速率は、緩旋回モードでは一律80%、ブレーキターンモードでは一律100%とする。ただしスピンターンモードでは変速レバー56の傾倒角度、即ち車速に応じて旋回レバー54L,54Rの最大操作量に対応する減速率が図5に示すように線形的に変更される。このために、制御部30は各モードにおける減速率の定数と、図5に示すような特性図とを予め与えられている。
図6及び図7は、制御部30が実行する旋回処理の手順を示すフローチャートである。
制御部30は、まず、旋回レバー54L,54Rの旋回レバー操作量を受け付ける(S11)。次いで制御部30は、受け付けた旋回レバー操作量に基づき、旋回レバー54Lの旋回レバー操作量が“0”超過、即ち左旋回に対応するか否かを判定し(S12)、左旋回に対応する場合(S12でYES)、左側の電動モータ61Lを選択し(S13)、左旋回に対応しない場合(S12でNO)、旋回レバー54Rの旋回レバー操作量が“0”超過、即ち右旋回に対応するか否かを判定し(S14)、右旋回に対応する場合(S1
4でYES)、右側の電動モータ61Rを選択する(S15)。
受け付けた旋回レバー操作方向が左旋回にも右旋回にも対応しない場合、即ち旋回レバー54L,54R両方の旋回レバー操作量が“0”である場合(S14でNO)、制御部30は処理をS11へ戻して、再び旋回レバー54L,54Rの操作方向及び操作量を受け付ける。なお、図示はしないが、S14でNOの場合、電動モータ61L,61Rが作動しているときは、電動モータ制御信号の出力を停止して電動モータ61L,61Rを停止さる。
S13又はS15の処理完了後、制御部30は、除雪レバー55のオン状態/オフ状態を判定することによって、除雪クラッチ37がオン状態であるか否かを判定する(S21)。除雪クラッチ37がオフ状態である場合(S21でNO)、走行型車両1は非除雪作業中であるため、制御部30は変速レバー56の傾倒角度を受け付け(S22)、更に、減速率を80%に設定する(S23)。
除雪クラッチ37がオン状態である場合(S21でYES)、走行型車両1は除雪作業中であるため、制御部30は変速レバー56の傾倒角度を受け付け(S27)、受け付けた変速レバー角度に基づいて変速レバー56が低速域にあるか否かを判定し(S28)、判定結果に応じて減速率を設定する。
変速レバー56が高速域にある場合(S28でNO)、制御部30は減速率を100%に設定する(S29)。
変速レバー56が低速域にある場合(S28でYES)、制御部30は図5に示すような特性図に基づいて減速率を算出する(S30)。ここで算出される減速率は100%超過120%以下である。
S23、S29又はS30の処理完了後、S22又はS27で受け付けた変速レバー角度に基づいて、走行型車両1の車速を算出する(S24)。この車速は実際の走行型車両1の車速ではなく変速レバー56の傾倒角度に基づいた推定車速である。このため、走行型車両1の車速を計測するセンサを別途設ける必要がない。
次いで制御部30は、所要の電動モータ回転数を算出する(S25)。このために制御部30は、予め制御部30に与えられている定数α、S24で求めた車速V、S23、S29又はS30で設定した減速率P、及びS11で受け付けた旋回レバー操作量θを用いて、式(1)に基づいて電動モータ回転数Rを算出する。
R=α×V×P×|θ| (1)
最後に制御部30は、S25で算出した電動モータ回転数に関連付けられた電動モータ制御信号を、S13で選択した電動モータ61Lの駆動回路36L又はS15で選択した電動モータ61Rの駆動回路36Rへ出力し(S26)、処理をS11へ戻す。S26の処理によって、電動モータ61L又は電動モータ61RはS25で算出した電動モータ回転数を出力する。
以上のような旋回処理における制御部30は、旋回操作部から操作方向及び操作量を受け付けて、電動モータの出力を制御する制御部として機能する。
S12〜S15における制御部30は、前記旋回操作部から受け付けた操作方向に基づいて、旋回時に内側/外側となるべき車軸を判定する手段として機能する。具体的には内側車軸となるべき車軸に対応する電動モータを選択している。
S23〜S26における制御部30は、最大操作量を受け付けた場合でも、旋回時に内側となるべき車軸の回転数が、旋回時に外側となるべき車軸の回転数より小さく、かつ回
転方向が同一となるよう、前記旋回操作部から受け付けた操作量に基づいて電動モータの出力を制御する出力制御手段として機能する。つまり、制御部30は、受け付けた旋回レバー操作量を用いて演算を行なって、演算結果に基づき電動モータ61L,61Rの出力を制御する。この演算は、最大操作量を受け付けた場合に、旋回内側の車軸が旋回外側の車軸と同じ方向に回転してしかも回転数が少なくなるような演算である。
S21における制御部30は、クラッチの継/断に基づいて作業機を作動させるか否かを判定する手段として機能する。S23〜S26における制御部30は、前記作業機を作動させないと判定した場合(S21でNOの場合)、前記出力制御手段として機能する。
S28における制御部30は、車速操作部から入力された車速が所定車速以上であるか否かを判定する手段として機能する。
S29、及びS24〜S26における制御部30は、前記作業機を作動させると判定した場合(S21でYESの場合)、前記車速が前記所定車速以上であると判定したとき(S28でNOのとき)、最大操作量を受け付けた場合に、旋回時に内側となるべき車軸の回転が略停止するよう、前記旋回操作部から受け付けた操作量に基づいて前記電動モータの出力を制御する手段として機能する。
S30、及びS24〜S26における制御部30は、前記作業機を作動させる場合(S21でYESの場合)、前記車速が前記所定車速未満であると判定したとき(S28でYESのとき)、最大操作量を受け付けた場合に、旋回時に内側となるべき車軸が、旋回時に外側となるべき車軸の逆方向に回転するよう、前記旋回操作部から受け付けた操作量に基づいて前記電動モータの出力を制御する手段として機能する。
以上のような走行型車両1は、エンジン出力を左右に分配し、各々遊星差動機構を用いて電動モータ出力を合成させることで左右走行部の回転数を制御(減速)し、3種類の旋回モードを条件によって切り換えて、モード毎に最大減速率を設定して、電動モータの制御することによって操向操作する。
このため、走行型車両1は小出力で安価な小型電動モータを備えることができる。
具体的には、走行型車両1は、HST60を1個と、安価な2個の電動モータ61L,61Rとを備えるため、電動モータ61L,61Rの代わりにHSTを更に備える必要がなく、走行型車両1の製造コストを低減することができる。また、電動モータ61L,61Rのみを備える場合よりも燃費を向上させることができ、HST60のみを備える場合よりも柔軟に運用することができる。
また、1個の差動機構62L(62R)に対して1個の専用の電動モータ61L(61R)が設けられているため、2個の差動機構62L,62Rに対して1個の共用の電動モータを備える場合よりも小出力で安価な電動モータを備えることができる。更に、共用の電動モータの出力を2個の差動機構62L,62Rに配分する複雑な機構を必要としないため、走行型車両1の構成が簡易である。
しかも、電動モータ61L,61Rの出力を遊星キャリア83L,83Rの回転速度の減速方向に用いている。この場合、電動モータ61L,61Rへ逆流してくるエンジン出力にアシストされる形で電動モータ61L,61Rの出力を差動機構62L,62Rに入力することになる。
仮に、増速方向に用いる場合は、電動モータ61L,61Rへ逆流してくるエンジン出力に抵抗して電動モータ61L,61Rの出力を差動機構62L,62Rに入力する必要がある。
以上の結果、本実施の形態においては、電動モータ61L,61Rの出力を増速方向に用いる場合よりも小型小出力の電動モータ61L,61Rを備えることができる。
なお、走行型車両は乗用型でも非乗用型(手押し型)でもよく、また、除雪機に限るものではない。更に、クローラ式走行装置に限らず、例えばホイール式の走行装置でもよい。また、HSTの代わりに他の静油圧式無段変速装置(例えばCVT)を備えてもよい。
また、一対の電動モータではなく1個の電動モータの出力を左右の差動機構に分配するか、クラッチで左右を切り換える構成でもよい。
更に、静油圧式無段変速装置を備えなくてもよい。
更にまた、旋回レバーが1本である場合、旋回レバーの操作方向を判定する(例えば旋回レバー操作量の正負を判定する)ことによって、内側車軸/外側車軸となるべき車軸を判定し、内側車軸となるべき車軸に対応する電動モータを選択する必要がある。
本発明に係る走行型車両の構成を示す側面図である。 本発明に係る走行型車両の動力伝達機構の構成を示すブロック図である。 本発明に係る走行型車両の動力伝達機構の構成を示す模式的説明図である。 本発明に係る走行型車両の旋回レバー操作量と車軸回転数との関係を示す特性図である。 本発明に係る走行型車両の変速レバー角度と電動モータによる減速率との関係を示す特性図である。 本発明に係る走行型車両の制御部が実行する旋回処理の手順を示すフローチャートである。 本発明に係る走行型車両の制御部が実行する旋回処理の手順を示すフローチャートである。
符号の説明
1 走行型車両
2 除雪部(作業機)
30 制御部
31 エンジン(駆動源)
37 除雪クラッチ(クラッチ)
4R,4L 走行装置
45L,45R 車軸
54L,54R 旋回レバー(旋回操作部)
56 変速レバー(車速操作部)
60 HST(静油圧式無段変速装置)
61L,61R 電動モータ
62L,62R 差動機構

Claims (2)

  1. 車軸を夫々有する一対の走行装置と、
    電動モータと、
    前記走行装置に各対応し、駆動源の出力及び前記電動モータの出力の差動出力を前記走行装置に伝達する一対の差動機構と、
    旋回操作部と、
    該旋回操作部から操作方向及び操作量を受け付けて、前記電動モータの出力を制御する制御部と
    を備える走行型車両において、
    作業機と、
    前記駆動源から前記作業機への駆動力を継/断するクラッチと
    車速の指示が入力操作される車速操作部と
    を備え、
    前記制御部は、
    最大操作量を受け付けた場合でも、旋回時に内側となるべき車軸の回転数が、旋回時に外側となるべき車軸の回転数より小さく、かつ回転方向が同一となるよう、前記旋回操作部から受け付けた操作量に基づいて前記電動モータの出力を制御する出力制御手段と、
    前記クラッチの継/断に基づいて前記作業機を作動させるか否かを判定する手段と
    前記車速操作部から入力された車速が所定車速以上であるか否かを判定する手段と、
    前記作業機を作動させると判定した場合、前記車速が前記所定車速以上であると判定したとき、最大操作量を受け付けた場合に、旋回時に内側となるべき車軸の回転が略停止するよう、前記旋回操作部から受け付けた操作量に基づいて前記電動モータの出力を制御する手段と、
    前記作業機を作動させると判定した場合、前記車速が前記所定車速未満であると判定したとき、最大操作量を受け付けた場合に、旋回時に内側となるべき車軸が、旋回時に外側となるべき車軸の逆方向に回転するよう、前記旋回操作部から受け付けた操作量に基づいて前記電動モータの出力を制御する手段と
    を有し、
    前記作業機を作動させないと判定した場合、前記出力制御手段を実行するようにしてあることを特徴とする走行型車両。
  2. 前記駆動源の出力を変速して前記差動機構に伝達する静油圧式無段変速装置
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の走行型車両。
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