JP5224848B2 - 作業車輌 - Google Patents
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Description
前記走行HSTは、油圧ポンプ本体及び油圧モータ本体を有し、これらのうち可変容積型とされた部材(可変容積型部材)の吸引/吐出量を変化させる出力調整部材をさらに備えており、出力調整部材を操作することで、油圧ポンプ本体の回転速度に対する油圧モータ本体の回転速度を無段階に変化させ得るようになっている。
詳しくは、前記作業車輌は、前記走行HSTと、前記走行HSTを変速操作するための走行操作部材と、前記走行HSTの出力調整部材を作動させる走行アクチュエータと、前記走行HSTの出力回転数を検出するHST出力センサと、前記出力調整部材の作動位置を検出する作動位置センサと、前記走行アクチュエータの作動制御を行う制御装置を含む制御機構とを備えている。
例えば、走行操作部材を車輌停止位置に位置させると、制御装置が走行アクチュエータを作動させて走行HSTの出力調整部材を車輌停止に対応した位置に位置させ、これにより、作業車輌が停止するようになっている。
特に、走行操作部材が車輌停止位置に位置しているにも拘らず作業車輌が停止しない状態は、安全性を損うこととなり問題である。
ここで、制御装置は、所定の起動操作により初期設定モードに移行する。初期設定モードは、中立設定モードを有しており、制御装置は、中立設定モードにおいて、まず、HST出力センサによって検出される走行HSTの出力回転数が前進側第1回転数となるように、走行アクチュエータを作動させる。そして、制御装置は、走行HSTの出力回転数が前進側第1回転数となったときの出力調整部材の作動位置を前進側第1作動位置として記憶する。その後、制御装置は、走行HSTの出力回転数が前進側第1回転数から実質的に0となるように走行アクチュエータを作動させ、その時点における出力調整部材の作動位置を前進側中立位置として記憶する。
同様に、走行HSTの出力回転数が後進側第1回転数となるように、走行アクチュエータを作動させる。そして、制御装置は、走行HSTの出力回転数が後進側第1回転数となったときの出力調整部材の作動位置を後進側第1作動位置として記憶する。その後、制御装置は、走行HSTの出力回転数が後進側第1回転数から実質的に0となるように走行アクチュエータを作動させ、その時点における出力調整部材の作動位置を後進側中立位置として記憶する。
さらに、制御装置は、このようにして得られた前進側中立位置及び後進側中立位置の平均値(中間値)を走行HSTの出力調整部材の中立位置(作業車輌の停止位置)として記憶する。
そして、制御装置は、前記通常制御モードにおいて、記憶された中立位置を基準として、走行操作部材の操作量に応じた出力調整部材の作動制御を行う。
これにより、制御装置が作業車輌を停止させるべく走行アクチュエータを介して出力調整部材を制御しているにも拘わらず、出力調整部材の中立位置が前記制御位置とずれていることにより作業車輌が停止しない状態が生じるのを防止することができる。従って、HSTの製造誤差及び組み付け誤差に拘わらず、前記走行HSTの出力調整部材の中立位置を確実に検出することができる。
また、別途チェッカーなどの調整装置を用いなくても本機のみで実行可能であるので、必要なときにいつでも調整を行うことができる。
さらに、中立設定モード実行後は、オペレータが別途操作する必要がなく自動で設定作業が行われるため、容易且つ確実な中立位置の設定が可能である。
これにより、例えば、ジャッキアップ等により走行部を浮かせた状態で中立設定モードを実行している際に、走行部の振動等によりジャッキアップが解除されて作業車輌が走行を開始するようなことがあっても、走行クラッチ操作部材を手離すことにより中立設定モードを中断し、作業車輌を停止させることができる。
従って、中立設定モード実行中に作業車輌がオペレータの手から離れて単独で走行することを防止することができる。
このように、初期設定が適正に行われたか否かを確認した上で中立位置等を記憶することにより、記憶された初期設定値の信頼性を向上させることができる。また、前記確認後に初めて電源を切っても失われない記憶領域(例えば、EEPROM)に記憶させるため、処理速度を短縮することができるとともに、特に、書き込み回数に制限があるEEPROMを用いた場合に書き込み回数を減少させることができるため、当該EEPROMの寿命をより長くすることができる。
このような旋回操作位置設定モードを実行することにより、左右の旋回量を適正化することができる。
このように、前進側最大回転数及び後進側最大回転数となったときの出力調整部材の作動位置を最大作動位置として記憶することにより、走行操作部材の操作量(即ち、目標車速)と走行HSTの出力調整部材の作動量との対応付けを容易且つ的確に行うことができる。
このように、前進側及び後進側中立位置として、算出される中立位置からやや離れた位置を採用し、前進側中立位置と後進側中立位置との間に幅を持たせることにより、中立設定作業の迅速化を図ることができる。
これにより、制御装置が作業車輌を停止させるべく走行アクチュエータを介して出力調整部材を制御しているにも拘わらず、出力調整部材の中立位置が前記制御位置とずれていることにより作業車輌が停止しない状態が生じるのを防止することができる。従って、HSTの製造誤差及び組み付け誤差に拘わらず、前記走行HSTの出力調整部材の中立位置を確実に検出することができる。
また、別途チェッカーなどの調整装置を用いなくても本機のみで実行可能であるので、必要なときにいつでも調整を行うことができる。
さらに、中立設定モード実行後は、オペレータが別途操作する必要がなく自動で設定作業が行われるため、容易且つ確実な中立位置の設定が可能である。
図1及び図2は、本発明に係る作業車輌の一例である歩行型除雪機1の概略側面図及び概略平面図である。また、図3は、図1及び図2に示す歩行型除雪機1における伝動模式図である。
具体的には、前記作業部20は、機体フレーム10の機体前後方向(図1の矢印x参照)前方x1において該機体フレーム10に支持されており、雪の掻き込みを行う掻込オーガ21と、前記掻込オーガ21を覆うオーガハウジング22と、前記オーガハウジング22の機体前後方向x後方x2に配設されたブロアハウジング23と、前記ブロアハウジング23に内装されたブロア24と、前記ブロア24の上方に配設されたシュータ25とを備えている。
前記掻込オーガ21は、ここでは、外周面に螺旋状の突起が設けられた略円柱形状の部材を備えており、軸心方向が機体左右方向yに沿うように且つ地面に近接するように配設されている。
そして、前記掻込オーガ21は、両端部が前記オーガハウジング22に軸心回り回転可能に軸支されており、前記エンジン31からの駆動力により回転駆動されるようになっている。
前記ブロアハウジング23は、前記ブロア24を内設する筐体とされており、前記オーガハウジング22を支持する構造体としての機構を兼ね備えたものされている。
前記シュータ25は、ここでは、筒状の部材とされており、前記ブロアハウジング23の水平面に対して上下方向に沿った旋回軸回り旋回可能とされているとともに、先端部が水平方向に沿った回動軸回り上下回動可能とされている。
前記HST102は、前記駆動部30の下方に配設されたトランスミッション100に備えられている。
前記作業駆動力伝達手段12は、ここでは、ベルトプーリ式のものであり、前記エンジン31の前記出力軸31aから動力が伝達される駆動プーリ131aと、前記作業部20の入力軸20aに設けられた従動プーリ133aと、前記駆動プーリ131a及び前記従動プーリ133aに巻回されたベルト134aとを備えている。
前記トランスミッション100は、前記HST102に加えて、ミッションケース101を備えており、該ミッションケース101から入力軸104が前向きに突出されている。前記入力軸104は、前端部が前記ブラケット11に軸支されている。
前記走行駆動力伝達手段13は、ここでは、ベルトプーリ式のものであり、前記エンジン31の前記出力軸31aに設けられた駆動プーリ131bと、前記トランスミッション100の前記入力軸104に設けられた従動プーリ133bと、前記プーリ131b及び前記プーリ133bに巻回されたベルト134bとを備えている。
なお、本実施形態において、前記発電機260は、後述するように、前記エンジン31の出力回転数を検出する負荷検出センサとしても機能する。
前記駆動部30は、前記エンジン31によって前記発電機260を回転駆動することにより電力を発生させ、当該発電機2600で発生した電力がバッテリ32に充電されるようになっている。
そして、前記駆動部30は、充電された前記バッテリ32(及び前記発電機260)によって、前記旋回機構330の左旋回用電動モータ33L及び右旋回用電動モータ33Rの駆動回路にそれぞれ電力を供給し、該駆動回路によって、該旋回用電動モータ33L,33Rの回転数を制御しつつ該旋回用電動モータ33L,33Rを駆動し得るように構成されている。
かかる構成において、前記差動機構103L,103Rに前記走行機構120からの走行回転動力及び前記旋回機構330からの制動回転動力を入力することにより、前記歩行型除雪機1は、右旋回又は左旋回し得るようになっている。
前記モータ本体106は、一対の作動油ライン109を介して前記ポンプ本体105に流体的に接続されており、前記モータ軸107は、前記モータ本体106によって軸線回りに回転されるように構成されている。
そして、前記出力調整部材108は、前記ポンプ本体105又は前記モータ本体106の少なくとも一方(ここでは、前記ポンプ本体105)の給排油量を変更させ得るように構成されている。
また、前記ポンプ本体105は、容量可変型ピストンポンプとされており、前記出力調整部材108は、可動斜板を含んでいる。
前記可動斜板は、前記ポンプ軸104の軸線方向に対する傾倒角度が調節されることにより、前記ポンプ軸104が一回転する間に前記ポンプ本体105から前記一対の作動油ライン109を介して前記モータ本体106に搬送される圧油の量、即ち、前記モータ軸107の回転速度を調整できるようになっている。
前記トランスミッション100は、さらに、第1及び第2伝動軸136,115並びに前記左右一対の差動機構103L,103Rを備えている。
前記第1伝動軸136には、ベベルギヤ137及びスプロケット139が外嵌固定されており、前記第2伝動軸115には、スプロケット140が外嵌固定されている。なお、前記エンジン31から前記走行部40L,40Rへ至る走行系伝動経路に制動機構が介挿されていてもよい。例えば、本実施形態においては、前記第1伝動軸136に、該第1伝動軸136の回転を制動し得るブレーキ138が設けられている。
かかる構成を備えることにより、前記トランスミッション100は、前記HST102から前記ベベルギヤ135及び前記ベベルギヤ137を介して前記第1伝動軸136に伝達される駆動力を前記スプロケット139、前記チェーン141及び前記スプロケット140を介して前記第2伝動軸115に伝達し得るようになっている。
前記走行駆動軸113L(113R)の反対側に位置する前記キャリア112L(112R)の盤面には、複数の回転軸114L(114R)が突設され、該複数の回転軸114L(114R)にそれぞれ前記複数の遊星ギヤ111L(111R)が回転可能に軸支されている。
リングギア116L(116R)は、内周面と外周面に歯車部が形成され略リング状のギヤとされており、内周面側の歯車部と前記複数の遊星ギヤ111L(111R)とが互いに噛合するようになっている。
そして、前記左旋回用電動モータ33Lの前記出力軸117Lには、ウォームアップギヤ118Lが外嵌固定されており、該ウォームアップギヤ118Lと、前記左差動機構103Lの前記リングギア116Lの外周面側の歯車部とが互いに噛合している。
同様に、前記右電動モータ33Rの前記出力軸117Rには、ウォームアップギヤ118Rが外嵌固定されており、該ウォームアップギヤ118Rと、前記右差動機構103Rの前記リングギア116Rの外周面側の歯車部とが互いに噛合している。
具体的には、前記走行部40L,40Rは、それぞれ、クローラ式のものとされており、前記機体フレーム10の機体左右方向(y方向)両側に略左右対称に配設されている(図2参照)。
なお、前記走行部40L,40Rは、ホイル式とされてもよい。
このような構成により、走行機構120のHST102から入力される走行回転動力及び旋回機構330の前記左旋回用電動モータ33Lから入力される左制動回転動力の合力が前記左差動機構103Lを介して前記左走行駆動軸113Lに伝達される。同様に、走行機構120のHST102から入力される走行回転動力及び旋回機構330の前記右旋回用電動モータ33Rから入力される右制動回転動力の合力が前記右差動機構103Rを介して前記右走行駆動軸113Rに伝達される。
そして、前記トラックフレーム41L,41Rの外側の前記走行駆動軸113L,113Rの外端部には、駆動スプロケット42L,42Rが固設されている。
そして、前記トラックフレーム41L,41Rの外側の前記従動軸45の両端部には、従動スプロケット43L,43Rが固設されており、前記駆動スプロケット42L,42R及び前記従動スプロケット43L,43Rには、それぞれ、クローラベルト44L,44Rが巻掛けられている。
より具体的には、前記走行操作部材53は、前記HST102を変速操作するための人為操作可能な走行変速レバーであり、前記旋回操作部材56L,56Rは、左右一対の旋回用電動モータ33L,33Rの出力をそれぞれ変更操作するための人為操作可能な左右一対の旋回操作レバーである。
前記作業部20では、前記エンジン31からの駆動力によって、前記掻込オーガ21及び前記ブロア24が駆動される。
また、前記差動機構103Rに伝達された駆動力は、前記サンギヤ110R、前記プラネタリギヤ111R、前記回転軸114R、前記キャリア112R及び前記出力軸113Rを経て前記走行部40Rの前記駆動スプロケット42Rに伝達される。
このようにして、前記エンジン31からの駆動力は前記左右一対の走行部40L,40Rに伝達され、該走行部40L,40Rが回転駆動される。
本実施形態において、前記作業クラッチ機構132aは、前記作業駆動力伝達手段12における前記プーリ131aに配設されている。
前記作業クラッチ機構132aは、クラッチが係合されるクラッチ係合位置と、クラッチの係合が遮断されるクラッチ遮断位置とを切替可能とされている。
前記作業クラッチ機構132aは、前記クラッチ係合位置と、前記クラッチ遮断位置とが切り替えられることにより、前記エンジン31から前記作業部20へ動力が伝達される動力伝達状態(ここでは、前記プーリ131aが前記出力軸31aに相対回転不能に支持された状態、即ち、前記エンジン31からの動力を伝達可能なクラッチ係合状態)と、前記エンジン31から前記作業部20への動力が遮断される動力遮断状態(ここでは、前記プーリ131aが前記出力軸31aに軸線回り相対回転自在に支持された状態、即ち、前記エンジン31からの動力を遮断したクラッチ遮断状態)とをとり得るように構成されている。
なお、前記作業クラッチ操作部材54には、当該作業クラッチ操作部材54が動力伝達状態(ON状態)の際に点灯し、動力遮断状態(OFF状態)の際に消灯する車速制御スイッチ54aが設けられており、目視により前記作業クラッチ操作部材54の状態が容易に確認可能となっている。
前記ハンドル部51は、平面視で略U字型に形成されており(図2参照)、両端部に一対の支持杆51a,51aが設けられている。前記一対の支持杆51a,51aは、それぞれ、前方下向きに延びており(図1参照)、前記左右一対のブラケット14L,14Rに連結されている。
前記走行操作部材53及び前記作業クラッチ操作部材54は、前記操作ボックス55に設けられている。
前記走行操作部材53は、少なくとも、歩行型除雪機1が停止状態となる中立位置、歩行型除雪機1の車速が前進側に最大となる前進側最高速位置、当該前進側最高速位置より遅い所定の前進側最高作業速位置、作業車速1の車速が後進側に最大となる後進側最高速位置及び当該後進側最高速位置より遅い所定の後進側最高作業速位置に位置可能に構成されている。具体的には、シフトゲートを階段状に構成し、当該シフトゲートの両端部に前進側及び後進側最高速位置が位置し、且つシフトゲートの角部(即ち、操作方向が変わる箇所)に前進側及び後進側最高作業速位置が位置するように走行操作部材53を構成することにより、前記各操作位置に容易に位置させることができる。
また、前記左右一対の旋回操作部材56L,56Rは、それぞれ独立操作可能な左右一対の旋回操作レバーとされており、前端部が前記ハンドル部51に軸支された状態で前記ハンドル部51の左右両側下方に設けられ、且つ、付勢部材(図示せず)により前記ハンドル部51に対して離間する方向(下方)に付勢されている。
なお、前記一対の支持杆51a,51aの間には、バッテリ台57が架設されている。
図4は、本実施形態における歩行型除雪機1の制御機構200の概略構成を示すシステムブロック図である。
なお、前記負荷検出センサ260は、前記発電機の代わりに、前記作業部20を動作させる作動油の作動油圧を検出する作動油圧検出センサを適用することとしてもよい。
前記HST出力センサ220は、前記HST102における前記モータ軸(出力軸)107の回転状態を検出するHST出力回転数センサとされており、前記モータ軸107の回転速度を検出するHST回転速度センサ及び前記モータ軸107の回転方向を検出するHST回転方向センサを含んでいる。
また、HST出力センサ220は、第1HST出力センサ221及び第2HST出力センサ222を有している。即ち、1つのHST102に対して2つのHST出力センサ221,22が設けられており、HST102の出力回転数を二重検知することにより安全性を高めている。
即ち、前記走行アクチュエータ210は、前記作動位置センサ280により検出された前記走行操作部材53の操作量に応じて前記制御装置270から送信された制御信号に基づいて、前記HST102における前記出力調整部材108の位置調整(可動斜板角度調整)を行うように構成されている。
さらに、前記制御装置270は、通常制御モードにおいて、前記旋回操作部材56L,56Rの操作量に応じて所定のモータ駆動ドライバ(図示せず)を介して前記旋回用電動モータ33L,33Rの出力制御を行うように構成されている。
なお、本実施形態においては、前記旋回用電動モータ33L,33Rにおいて作動不良等の故障状態になった場合にオペレータに点灯報知するための一対のパイロットランプ58L,58Rが前記操作ボックス55に設けられている。
前記走行クラッチ操作部材52は、歩行型除雪機1を走行させる車輌走行状態と歩行型除雪機1を停止させる車輌停止状態とを切り替える切替信号が前記制御装置270に送信されるように構成されている。
前記走行クラッチ操作部材52は、車輌停止状態側に付勢されたデッドマンクラッチレバーとされている。前記走行クラッチ操作部材52は、図1及び図2に示すように、前記運転操作部50に設けられている。
また、前記歩行型除雪機1は、前記走行クラッチ操作部材52が車輌走行状態に人為操作された後で、前記作業クラッチ操作部材54がクラッチ係合位置に人為操作された場合は、前記作業クラッチ操作部材54は、前記走行クラッチ操作部材52が車輌停止状態に人為操作されるまでは、クラッチ係合位置の状態を保持するように構成されている。
さらに、前記歩行型除雪機1において、前記走行クラッチ操作部材52が車輌停止状態に人為操作された状態でも、前記作業クラッチ操作部材54は、クラッチ係合位置に人為操作され続けている間は、当該クラッチ係合位置の状態を保持するように構成されている。
本実施形態において、前記制御装置270は、複数の制御モードを有しており(記憶部271に記憶しており)、前記制御モードに応じて、各センサからの受信信号に基づいて前記走行アクチュエータ210、前記旋回用電動モータ33L,33R、前記走行クラッチ機構140、前記作業クラッチ機構132a等に制御信号を送信する。
前記制御装置270は、前記負荷検出センサ260により検出される走行負荷が所定値以上となった場合(即ち、エンジン31の出力回転数が所定値以下となった場合)、前記通常制御モードから負荷制御モードに移行し、車速を落とすことにより走行負荷が減少するように前記HST102の出力回転数を減速制御する。ここでは、制御装置270は、前記走行操作部材53の操作量に応じた基準出力に対して前記負荷検出センサ260の検出結果に基づく減速率を乗算させた出力を前記HST102の目標回転出力として前記出力調整部材108の作動制御を行う。
なお、本実施形態においては、前記負荷制御への移行を自動的に行うか否かを切り換える車速制御スイッチ59が前記操作ボックス55に設けられている。即ち、前記車速制御スイッチ59をON状態にすることにより負荷制御モードへの移行を許可し、OFF状態にすることにより、前記走行負荷が所定値以上となっても負荷制御モードへの移行を許可しない。
前記車速制御スイッチ59には、車速制御スイッチ59がON状態の際に点灯し、OFF状態の際に消灯する車速制御スイッチ59aが設けられており、目視により前記車速制御スイッチ59の状態が容易に確認可能となっている。
そして、前記中立設定モード、前記走行操作位置設定モード及び旋回操作位置設定モードは、モード切換スイッチとして機能する前記作業クラッチ操作部材54の操作に応じて選択され、且つ、モード設定スイッチとして機能する前記車速制御スイッチ59の操作に応じて実行される。
なお、本実施形態においては、作業クラッチ操作部材54及び車速制御スイッチ59をモード切換スイッチ及びモード設定スイッチとして機能させることとしているが、従来ある他のスイッチを割り当てることとしてもよいし、別途新たに専用のモード切換スイッチ及びモード設定スイッチを設けることとしてもよい。
本実施形態において、モード切換スイッチとして機能する作業クラッチ操作部材54は、1回押動操作する毎に電気的にON状態とOFF状態とが切り替えられるタクトスイッチにより構成され、モード設定スイッチとして機能する車速制御スイッチ59は、押動操作によってON状態位置及びOFF状態位置の何れかに位置させ得るスイッチにより構成されている。即ち、本実施形態において、モード切換スイッチは、制御装置270によって自動的にON/OFF切り替え可能である一方、モード設定スイッチは、オペレータの操作によってのみON/OFF切り替え可能となっている。
この待機状態において、モード切換スイッチ54を押動操作することにより、前記制御装置270は、設定モード選択状態に移行し、前記各設定モードのうち実行可能な設定モードが切り換えられる。例えば、前記待機状態からモード切換スイッチ54を1回押動操作する毎に、左旋回操作位置設定モード、右旋回操作位置設定モード、走行操作位置設定モード及び中立位置設定モードの順で切り換えられる。前記中立位置設定モード選択状態においてさらにモード切換スイッチ54を1回押動操作すると、前記待機状態に復帰する。
なお、各設定モード選択状態においては、前記左右のパイロットランプ58L,58Rは消灯状態となる。
例えば、待機状態からモード切換スイッチ54を1回押動操作する毎に、前記モード切換ランプ54aが1回点滅(左旋回操作位置設定モード)、2回点滅(右旋回操作位置設定モード)、3回点滅(走行操作位置設定モード)及び4回点滅(中立位置設定モード)の順に変化する。
このように、既存のランプを用いて複数の点灯態様により点灯報知させることにより、別途モニタ等を設けなくても、何れの設定モードが実行可能かを容易に把握することができる。従って、別途初期設定画面等を設置する必要がないため、設定画面等を設けるスペースが少なく、外部の風雪等に晒され易い歩行型除雪機1には特に有効である。
なお、本実施形態においては、各点滅態様は所定の待機期間を過ぎるまでは、モード切換スイッチ54が押動操作されない限り、所定期間毎に繰り返される。また、モード切換スイッチ54が押動操作されず、且つ、所定の待機期間が経過した場合は、自動的に待機状態に復帰する。
実行された設定モードの終了時においては、再びモード設定スイッチである車速制御スイッチ59を押動操作することにより、前記制御装置270は、前記待機状態に復帰する。このとき、前記車速制御ランプ59aは、消灯状態となり、前記左右のパイロットランプ58L,58Rは、点滅状態となる。
まず、中立設定モードについて説明する。
図5から図7に、本実施形態の歩行型除雪機の中立設定モードにおける制御フローを示す。図6及び図7は、図5における前進側処理及び後進側処理のより詳細な制御フローである。
本実施形態においては、前記制御装置270は、図5から図7に示すように、前記中立設定モードにおいて、前記HST出力センサ220からの検出信号に基づき前記HST102の出力が前進側第1回転数となるように前記走行アクチュエータ210を作動させてその時点での前記出力調整部材108の作動位置を前進側第1作動位置として記憶し、前記HST102の出力が前記前進側第1回転数から実質的に0となるように前記走行アクチュエータ210を作動させてその時点での前記出力調整部材108の作動位置を前進側中立位置として記憶し、前記HST出力センサ220からの検出信号に基づき前記HST102の出力が後進側第1回転数となるように前記走行アクチュエータ210を作動させてその時点での前記出力調整部材108の作動位置を後進側第1作動位置として記憶し、前記HST102の出力が前記後進側第1回転数から実質的に0となるように前記走行アクチュエータ210を作動させてその時点での前記出力調整部材108の作動位置を後進側中立位置として記憶し、前記前進側中立位置及び前記後進側中立位置の平均値を中立位置として記憶する。
まず、前述のとおり、中立位置設定モード選択状態からモード設定スイッチ59を押動操作することにより、前記制御装置270は、図5に示すように、中立位置設定モードに移行する(ステップS1)。このとき、作業クラッチランプ54aは、中立位置設定モード選択状態に引き続き4回点滅状態となっており、車速制御ランプ59aは、モード設定スイッチである車速制御スイッチ59をON状態に押動操作したことにより点灯状態となっている。
ここで、本実施形態において、前記中立設定モードは、前記走行クラッチ操作部材52が前記付勢部材の付勢力に抗して動力伝達位置に位置されている状態(以下、ON状態)においてのみ動作可能とされている。
これにより、例えば、ジャッキアップ等により走行部40L,40Rを浮かせた状態で中立設定モードを実行している際に、走行部40L,40Rの振動等によりジャッキアップが解除されて歩行型除雪機1が走行を開始するようなことがあっても、デッドマンクラッチレバーである走行クラッチ操作部材52を手離すことにより中立設定モードを中断し、歩行型除雪機1を停止させることができる。
従って、中立設定モード実行中に歩行型除雪機1がオペレータの手から離れて単独で走行することを防止することができる。
前進側処理においては、まず、図6に示すように、HST出力センサ220によって検出されるHST102の出力回転数が前進側第1回転数となるように、走行アクチュエータ210を作動させる(ステップS31,S32)。
ここで、前記走行アクチュエータ210の作動量は、前記制御装置270から供給される制御パルスのデューティ比を変更させることによって変化させている(PWM制御)。制御パルスのデューティ比が大きいと、ヒステリシスが大きくなるため、特に低速域(中立位置近傍)における検出誤差が無視できなくなる。
そこで、ステップS31において、前記制御装置270は、前記制御パルスのデューティ比を0から所定の割合(例えば、0.1%/10ms)で少しずつ上げていき、前記走行アクチュエータ210の制御値が走行部40L,40Rが駆動する最低値として予め定められた値(不感帯として予め設定された値)を超えた時のデューティ比をRAM272bに記憶する。そして、前記制御装置270は、前記HST102の出力回転数が前進側第1回転数となるまで、前記デューティ比を固定した状態に前記走行アクチュエータ210を作動制御する(ステップS32)。このように走行アクチュエータ210(即ち、出力調整部材108)を作動させる制御パルスのデューティ比を可及的に小さくすることにより、ヒステリシスの影響を低減させて、中立位置の検出精度を高くすることができる。
即ち、前記RAM172bに一時記憶される前進側第1作動位置は、前記走行操作部材53を前進側最大操作位置に操作したときに対応する前記出力調整部材108の最大作動位置として記憶される。
なお、前進側最大回転数は、予め設定された要求性能値(例えば、840mm/s)が予め記憶されている。
このように前進側最大回転数となったときの出力調整部材108の作動位置を最大作動位置として記憶することにより、走行操作部材53の操作量(即ち、目標車速)とHST102の出力調整部材108の作動量との対応付けを容易且つ的確に行うことができる。
そして、前記HST102の出力回転数が実質的に0となった場合(ステップS35でYes)、その時点における出力調整部材108の作動位置を前進側中立位置として前記RAM272bに一時記憶する(ステップS36)。
このように、前進側中立位置として、算出される中立位置からやや離れた位置を採用し、前進側中立位置と後述する後進側中立位置との間に幅を持たせることにより、中立設定作業の迅速化を図ることができる。
後進側処理においては、図7に示すように、前記出力調整部材108を後進側に駆動させることを除いて前記前進側処理(図6のステップS31からS36)と略同様の処理を行い、前記制御装置270は、前記HST102の出力回転数が後進側第1回転数(後進側最大回転数)となったときの前記出力調整部材108の後進側第1操作位置と、前記HST102の出力回転数が実質的に0となったときの前記出力調整部材108の後進側中立位置とを前記RAM272bに一時記憶する(ステップS41からS46)。
前記HST102の出力回転数が実質的に0とならない状態が所定時間継続した場合(ステップS7でNo且つステップS8でYes)又は前記HST102の出力回転数は実質的に0となったが、その状態が所定時間維持できなかった場合(ステップS7でYes且つステップS10でNo)には、中立位置が正常に検出できなかったものと判断して、前記制御装置270は、所定のエラー報知(所定のランプの点灯等)を行う(ステップS9)。
このように、初期設定が適正に行われたか否かを確認した上で中立位置等を記憶することにより、記憶された初期設定値の信頼性を向上させることができる。また、前記確認後に初めて電源を切っても失われない記憶領域(EEPROM272c)に記憶させるため、処理速度を短縮することができるとともに、書き込み回数に制限があるEEPROM272cを用いた場合に書き込み回数を減少させることができるため、当該EEPROM272cの寿命をより長くすることができる。
これにより、制御装置270が歩行型除雪機1を停止させるべく走行アクチュエータ210を介して出力調整部材108を制御しているにも拘わらず、出力調整部材108の中立位置が前記制御位置とずれていることにより歩行型除雪機1が停止しない状態が生じるのを防止することができる。従って、HST102の製造誤差及び組み付け誤差に拘わらず、前記HST102の出力調整部材108の中立位置を確実に検出することができる。
また、別途チェッカーなどの調整装置を用いなくても本機のみで実行可能であるので、必要なときにいつでも調整を行うことができる。
さらに、中立設定モード実行後は、オペレータが別途操作する必要がなく自動で設定作業が行われるため、容易且つ確実な中立位置の設定が可能である。
図8及び図9に、本実施形態の歩行型除雪機の旋回操作位置設定モードにおける制御フローを示す。図8は、左旋回操作位置設定モードにおける制御フローであり、図9は、右旋回操作位置設定モードにおける制御フローである。
ここでも、左又は右旋回操作位置設定モード選択状態からモード設定スイッチ59を押動操作することにより、前記制御装置270は、図8又は図9に示すように、左又は右旋回操作位置設定モードに移行する(ステップT1又はU1)。このとき、作業クラッチランプ54aは、左又は右旋回操作位置設定モード選択状態に引き続きそれぞれ1回又は2回点滅状態となっており、車速制御ランプ59aは、モード設定スイッチである車速制御スイッチ59をON状態に押動操作したことにより点灯状態となっている。
本実施形態においては、左旋回操作部材56Lの非操作位置の近傍位置において遊び(不感帯)を設けるために、前記左旋回操作位置検出センサ250Lにより検出された値から所定の操作量だけ操作した操作位置を非操作位置として記憶する。これにより、前記制御装置270は、左旋回操作部材56Lを操作しない状態を必ず非操作位置として認識することができる。
本実施形態においては、左旋回操作部材56Lの最大操作時において前記制御装置270が当該操作を最大操作位置への操作であると確実に認識可能なように、前記左旋回操作位置検出センサ250Lにより検出された値から所定の操作量だけ少ない操作位置を最大操作位置として記憶する。
前記左旋回操作位置検出センサ250Lが前記ハンドル部51と前記左旋回操作部材(レバー)56Lとの角度を検出する場合、非操作位置における角度より最大操作位置における角度(レバーを握ったときの角度)の方が小さいか否かを判定する。
そして、非操作位置より最大操作位置の方が操作量が大きい場合には(ステップT7でYes)、前記制御装置270は、前記非操作位置及び最大操作位置を前記EEPROM272cに記憶する(ステップT8)。一方、非操作位置より最大操作位置の方が操作量が小さい場合には(ステップT7でNo)、非操作位置及び最大操作位置が正常に検出できなかったものと判断して、前記制御装置270は、所定のエラー報知(所定のランプの点灯等)を行う(ステップT9)。
図10及び図11に、本実施形態の歩行型除雪機の走行操作位置設定モードにおける制御フローを示す。
ここでも、走行操作位置設定モード選択状態からモード設定スイッチ59を押動操作することにより、前記制御装置270は、図10及び図11に示すように、走行操作位置設定モードに移行する(ステップV1)。このとき、作業クラッチランプ54aは、走行操作位置設定モード選択状態に引き続き3回点滅状態となっており、車速制御ランプ59aは、モード設定スイッチである車速制御スイッチ59をON状態に押動操作したことにより点灯状態となっている。
本実施形態においては、走行操作部材53の前進側最高速位置への操作において前記制御装置270が当該操作を前進側最高速位置への操作であると確実に認識可能なように、前記走行操作位置検出センサ230により検出された値から所定の操作量だけ少ない操作位置を前進側最高速位置として記憶する。
さらに、前記走行操作部材53を前記後進側最高速位置まで操作した状態で前記作業クラッチ操作部材54を押動操作することにより(ステップV13,V14)、前記制御装置270は、前記走行操作位置検出センサ230より検出される前記走行操作部材53の現在位置を後進側最高速位置としてRAM272bに一時記憶する(ステップV15)。
本実施形態においては、前記前進側最高速位置の場合と同様に、走行操作部材53の後進側最高速位置への操作において前記制御装置270が当該操作を後進側最高速位置への操作であると確実に認識可能なように、前記走行操作位置検出センサ230により検出された値から所定の操作量だけ少ない操作位置を後進側側最高速位置として記憶する。
そして、前記操作量の順番が適正である場合には(ステップV16でYes)、前記制御装置270は、前記各操作位置を前記EEPROM272cに記憶する(ステップV17)。一方、前記操作量の順番が適正でない場合には(ステップV16でNo)、各操作位置が正常に検出できなかったものと判断して、前記制御装置270は、所定のエラー報知(所定のランプの点灯等)を行う(ステップV18)。
例えば、上記実施形態においては、旋回モータとして左右一対の旋回用電動モータ33L,33Rが備えられた構成を例に説明したが、本発明はかかる構成に限定されるものではない。
即ち、単一の旋回モータを備え、前記単一の旋回モータからの旋回回転動力を前記左右一対の差動機構103L,103Rに回転方向が逆となるように伝達させることも可能である。
もしくは、前記単一の旋回モータから前記左右一対の差動機構103L,103Rへの伝動経路にそれぞれクラッチ機構を設け、前記旋回操作部材56L,56Rの操作に応じた一方の差動機構103L,103Rへのみ旋回回転動力を入力させ、他方の差動機構103R,103Lへは旋回回転動力が入力されない(一方の差動機構103R,103Lを固定する)ように構成することも可能である。
31 エンジン(駆動源)
33L,33R 旋回用電動モータ(旋回モータ)
40L,40R 走行部
52 走行クラッチ操作部材
54 作業クラッチ操作部材(モード切換スイッチ)
53 走行操作部材
56L,56R 旋回操作部材
59 車速制御スイッチ(モード設定スイッチ)
102 HST(走行HST)
108 出力調整部材
140 走行クラッチ機構
200 制御機構
210 走行アクチュエータ
220 HST出力センサ
250L,250R 旋回操作位置検出センサ
270 制御装置
272c EEPROM(電源を切っても失われない記憶領域)
280 作動位置センサ
Claims (5)
- 駆動源から前進側及び後進側の双方向に可変出力可能な走行HSTを介して走行部へ走行回転動力が伝達されるとともに、前記走行HSTの出力調整部材を作動させる走行アクチュエータ、前記走行HSTの出力回転数を検出するHST出力センサ、前記出力調整部材の作動位置を検出する作動位置センサ及び前記走行アクチュエータの作動制御を行う制御装置を含む制御機構を備え、前記制御装置の通常制御モードによって、走行操作部材の操作量に応じて前記走行HSTの出力制御が行われる作業車輌であって、
前記駆動源から前記走行部へ至る走行系伝動経路に介挿された走行クラッチ機構と、前記走行クラッチ機構を操作するための走行クラッチ操作部材であって、付勢部材によって前記走行クラッチ機構を動力遮断状態とさせる方向に付勢されている走行クラッチ操作部材とを備え、
前記制御装置は、前記通常制御モードに加えて、所定の起動操作により起動される初期設定モードを有し、
前記初期設定モードは、前記HST出力センサからの検出信号に基づき前記走行HSTの出力が前進側第1回転数となるように前記走行アクチュエータを作動させてその時点での前記出力調整部材の作動位置を前進側第1作動位置として記憶し、前記走行HSTの出力が前記前進側第1回転数から実質的に0となるように前記走行アクチュエータを作動させてその時点での前記出力調整部材の作動位置を前進側中立位置として記憶し、前記HST出力センサからの検出信号に基づき前記走行HSTの出力が後進側第1回転数となるように前記走行アクチュエータを作動させてその時点での前記出力調整部材の作動位置を後進側第1作動位置として記憶し、前記走行HSTの出力が前記後進側第1回転数から実質的に0となるように前記走行アクチュエータを作動させてその時点での前記出力調整部材の作動位置を後進側中立位置として記憶し、前記前進側中立位置及び前記後進側中立位置の平均値を中立位置として記憶する中立設定モードを有し、
前記中立設定モードは、前記走行クラッチ操作部材が前記付勢部材の付勢力に抗して動力伝達位置に位置されている状態においてのみ作動可能とされており、前記出力調整部材を前記中立位置に位置させた状態で前記走行HSTの出力回転数が実質的に0となるか否かを判断し、前記実質的に0と判断された場合にのみ前記前進側第1作動位置、前記後進側第1作動位置及び前記中立位置を電源を切っても失われない記憶領域に記憶するように構成されていることを特徴とする作業車輌。 - 駆動源から前進側及び後進側の双方向に可変出力可能な走行HSTを介して走行部へ走行回転動力が伝達されるとともに、前記走行HSTの出力調整部材を作動させる走行アクチュエータ、前記走行HSTの出力回転数を検出するHST出力センサ、前記出力調整部材の作動位置を検出する作動位置センサ及び前記走行アクチュエータの作動制御を行う制御装置を含む制御機構を備え、前記制御装置の通常制御モードによって、走行操作部材の操作量に応じて前記走行HSTの出力制御が行われる作業車輌であって、
前記制御装置は、前記通常制御モードに加えて、所定の起動操作により起動される初期設定モードを有し、
前記初期設定モードは、前記HST出力センサからの検出信号に基づき前記走行HSTの出力が前進側第1回転数となるように前記走行アクチュエータを作動させてその時点での前記出力調整部材の作動位置を前進側第1作動位置として記憶し、前記走行HSTの出力が前記前進側第1回転数から実質的に0となるように前記走行アクチュエータを作動させてその時点での前記出力調整部材の作動位置を前進側中立位置として記憶し、前記HST出力センサからの検出信号に基づき前記走行HSTの出力が後進側第1回転数となるように前記走行アクチュエータを作動させてその時点での前記出力調整部材の作動位置を後進側第1作動位置として記憶し、前記走行HSTの出力が前記後進側第1回転数から実質的に0となるように前記走行アクチュエータを作動させてその時点での前記出力調整部材の作動位置を後進側中立位置として記憶し、前記前進側中立位置及び前記後進側中立位置の平均値を中立位置として記憶する中立設定モードを有し、
前記中立設定モードは、前記出力調整部材を前記中立位置に位置させた状態で前記走行HSTの出力回転数が実質的に0となるか否かを判断し、前記実質的に0と判断された場合にのみ前記前進側第1作動位置、前記後進側第1作動位置及び前記中立位置を電源を切っても失われない記憶領域に記憶するように構成され、
前記制御機構は、前記走行操作部材の操作位置を検出する走行操作位置検出センサを備え、
前記初期設定モードは、前記中立設定モードに加えて、前記走行操作部材を中立位置を含む所定の操作位置に位置させた際の前記走行操作位置検出センサからの信号をそれぞれ記憶する走行操作位置設定モードを有し、
前記中立設定モード及び前記走行操作位置設定モードは、モード切換スイッチの操作に応じて選択され、且つ、モード設定スイッチの操作に応じて実行されることを特徴とする作業車輌。 - 駆動源から前進側及び後進側の双方向に可変出力可能な走行HSTを介して走行部へ走行回転動力が伝達されるとともに、前記走行HSTの出力調整部材を作動させる走行アクチュエータ、前記走行HSTの出力回転数を検出するHST出力センサ、前記出力調整部材の作動位置を検出する作動位置センサ及び前記走行アクチュエータの作動制御を行う制御装置を含む制御機構を備え、前記制御装置の通常制御モードによって、走行操作部材の操作量に応じて前記走行HSTの出力制御が行われる作業車輌であって、
左右一対の差動機構を介して前記走行部へ制動旋回動力を伝達する左右一対の旋回モータと、前記左右一対の旋回モータを人為操作する左右一対の旋回操作部材とを備え、
前記制御機構は、前記旋回操作部材の操作位置を検出する旋回操作位置検出センサを備え、
前記制御装置は、前記通常制御モードに加えて、所定の起動操作により起動される初期設定モードを有し、
前記初期設定モードは、前記HST出力センサからの検出信号に基づき前記走行HSTの出力が前進側第1回転数となるように前記走行アクチュエータを作動させてその時点での前記出力調整部材の作動位置を前進側第1作動位置として記憶し、前記走行HSTの出力が前記前進側第1回転数から実質的に0となるように前記走行アクチュエータを作動させてその時点での前記出力調整部材の作動位置を前進側中立位置として記憶し、前記HST出力センサからの検出信号に基づき前記走行HSTの出力が後進側第1回転数となるように前記走行アクチュエータを作動させてその時点での前記出力調整部材の作動位置を後進側第1作動位置として記憶し、前記走行HSTの出力が前記後進側第1回転数から実質的に0となるように前記走行アクチュエータを作動させてその時点での前記出力調整部材の作動位置を後進側中立位置として記憶し、前記前進側中立位置及び前記後進側中立位置の平均値を中立位置として記憶する中立設定モードを有し、
前記中立設定モードは、前記出力調整部材を前記中立位置に位置させた状態で前記走行HSTの出力回転数が実質的に0となるか否かを判断し、前記実質的に0と判断された場合にのみ前記前進側第1作動位置、前記後進側第1作動位置及び前記中立位置を電源を切っても失われない記憶領域に記憶するように構成され、
前記初期設定モードは、前記中立設定モードに加えて、前記左右一対の旋回操作部材のそれぞれを非操作位置及び最大操作位置に位置させた際の前記旋回操作位置検出センサからの信号をそれぞれ記憶する旋回操作位置設定モードを有し、
前記中立設定モード及び前記旋回操作位置設定モードは、モード切換スイッチの操作に応じて選択され、且つ、モード設定スイッチの操作に応じて実行されることを特徴とする作業車輌。 - 前記前進側第1回転数及び前記後進側第1回転数は、それぞれ、前進側最大回転数及び後進側最大回転数であることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の作業車輌。
- 前記中立設定モードは、前記走行HSTの出力回転数が所定の前進側回転数以下となった時点での前記出力調整部材の作動位置を前記前進側中立位置として一時的に記憶し、前記走行HSTの出力回転数が所定の後進側回転数以下となった時点での前記出力調整部材の作動位置を前記後進側中立位置として記憶することを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の作業車輌。
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