JP5147114B2 - 作業車輌 - Google Patents
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Description
前記走行HSTは、油圧ポンプ本体及び油圧モータ本体を有し、これらのうち可変容積型とされた部材(可変容積型部材)の吸引/吐出量を変化させる出力調整部材をさらに備えており、出力調整部材を操作することで、油圧ポンプ本体の回転速度に対する油圧モータ本体の回転速度を無段階に変化させ得るようになっている。
詳しくは、前記作業車輌は、前記走行HSTと、前記走行HSTを変速操作するための走行操作部材と、前記走行HSTの出力調整部材を作動させる走行アクチュエータと、前記走行HSTの出力回転数を検出するHST出力センサと、前記出力調整部材の作動位置を検出する作動位置センサと、前記走行アクチュエータの作動制御を行う制御装置を含む制御機構とを備えている。
例えば、走行操作部材を車輌停止位置に位置させると、制御装置が走行アクチュエータを作動させて走行HSTの出力調整部材を車輌停止に対応した位置に位置させ、これにより、作業車輌が停止するようになっている。
具体的には、前記エンジンによって充電されるバッテリの電力によって駆動可能な左右一対の旋回用電動モータを有し、走行HSTの回転出力に加える前記左右一対の旋回用電動モータの駆動力を左右で異ならせることにより、左右一対の走行部への駆動力を異ならせ、除雪機を左又は右旋回させる。
このような走行系及び旋回系の電気的エラー発生時に、作業車輌を暴走させることなく、電気的エラー発生箇所の動作を停止させ、且つオペレータに対し速やかに知覚させることが望まれる。
ここで、電気回路の断線又はショート等による異常等により、旋回操作位置検出センサが異常値を検出した場合又は暴走等を引き起こす重大故障ではないが旋回制御に支障が生じたことにより、旋回出力センサが検出した旋回用電動モータの出力回転数が過回転でなく且つ旋回操作位置検出センサとの差が所定値以上となった場合、制御装置は、第1フェイルモードに移行し、まず、走行アクチュエータを介して走行HSTの出力回転数を制御して走行部を停止させる。
走行部の停止後、オペレータが走行部を駆動させた際には、制御装置は、旋回操作部材の操作に拘わらず旋回用電動モータへの作動制御を制限する。
また、旋回機構が故障した場合であっても故障のない走行系(前後進)は作動可能となるため、走行部を駆動させて楽に移動させることができる。特に、歩行型の作業車輌においては、ハンドル部を少し持ち上げる等して走行部を浮かせることによる方向転換が可能であるため、故障時においても前後進の駆動をなるべく生かすことにより利便性を向上させることができる。
しかも、一旦停止させた上で旋回機構への制御を制限することにより、オペレータの意に反して突然旋回ができなくなる不都合を防止することができる。
旋回機構の制御を制限している状態においては旋回による危険回避が行えないため、最大速度での移動を可能にすると、危険回避が十分行えない場合も生じ得る。これに対し、旋回機構の制限制御下において走行HSTの出力回転数を制限することにより、作業車輌の走行を可能としつつ安全性の低下を防止することができる。
走行部の停止後、オペレータが走行部を駆動させた際には、制御装置は、走行部の最大車速を通常よりも低く制限する。
ここで、センサ故障等により複数備えられたHST出力センサが相反する検出値を検出した場合、制御装置は、第4フェイルモードに移行し、まず、走行アクチュエータを介して走行HSTの出力回転数を制御して走行部を停止させる。
走行部の停止後、オペレータが走行部を駆動させた際には、負荷制御モードへの移行を制限する。
また、旋回機構が故障した場合であっても故障のない走行系(前後進)は作動可能となるため、走行部を駆動させて楽に移動させることができる。特に、歩行型の作業車輌においては、ハンドル部を少し持ち上げる等して走行部を浮かせることによる方向転換が可能であるため、故障時においても前後進の駆動をなるべく生かすことにより利便性を向上させることができる。
しかも、一旦停止させた上で旋回機構への制御を制限することにより、オペレータの意に反して突然旋回ができなくなる不都合を防止することができる。
図1及び図2は、本発明に係る作業車輌の一例である歩行型除雪機1の概略側面図及び概略平面図である。また、図3は、図1及び図2に示す歩行型除雪機1における伝動模式図である。
具体的には、前記作業部20は、機体フレーム10の機体前後方向(図1の矢印x参照)前方x1において該機体フレーム10に支持されており、雪の掻き込みを行う掻込オーガ21と、前記掻込オーガ21を覆うオーガハウジング22と、前記オーガハウジング22の機体前後方向x後方x2に配設されたブロアハウジング23と、前記ブロアハウジング23に内装されたブロア24と、前記ブロア24の上方に配設されたシュータ25とを備えている。
前記掻込オーガ21は、ここでは、外周面に螺旋状の突起が設けられた略円柱形状の部材を備えており、軸心方向が機体左右方向yに沿うように且つ地面に近接するように配設されている。
そして、前記掻込オーガ21は、両端部が前記オーガハウジング22に軸心回り回転可能に軸支されており、前記エンジン31からの駆動力により回転駆動されるようになっている。
前記ブロアハウジング23は、前記ブロア24を内設する筐体とされており、前記オーガハウジング22を支持する構造体としての機構を兼ね備えたものされている。
前記シュータ25は、ここでは、筒状の部材とされており、前記ブロアハウジング23の水平面に対して上下方向に沿った旋回軸回り旋回可能とされているとともに、先端部が水平方向に沿った回動軸回り上下回動可能とされている。
前記HST102は、前記駆動部30の下方に配設されたトランスミッション100に備えられている。
前記作業駆動力伝達手段12は、ここでは、ベルトプーリ式のものであり、前記エンジン31の前記出力軸31aから動力が伝達される駆動プーリ131aと、前記作業部20の入力軸20aに設けられた従動プーリ133aと、前記駆動プーリ131a及び前記従動プーリ133aに巻回されたベルト134aとを備えている。
前記トランスミッション100は、前記HST102に加えて、ミッションケース101を備えており、該ミッションケース101から入力軸104が前向きに突出されている。前記入力軸104は、前端部が前記ブラケット11に軸支されている。
前記走行駆動力伝達手段13は、ここでは、ベルトプーリ式のものであり、前記エンジン31の前記出力軸31aに設けられた駆動プーリ131bと、前記トランスミッション100の前記入力軸104に設けられた従動プーリ133bと、前記プーリ131b及び前記プーリ133bに巻回されたベルト134bとを備えている。
なお、本実施形態において、前記発電機260は、後述するように、前記エンジン31の出力回転数を検出する負荷検出センサとしても機能する。
前記駆動部30は、前記エンジン31によって前記発電機260を回転駆動することにより電力を発生させ、当該発電機2600で発生した電力がバッテリ32に充電されるようになっている。
そして、前記駆動部30は、充電された前記バッテリ32(及び前記発電機260)によって、前記旋回機構330の左旋回用電動モータ33L及び右旋回用電動モータ33Rの駆動回路にそれぞれ電力を供給し、該駆動回路によって、該旋回用電動モータ33L,33Rの回転数を制御しつつ該旋回用電動モータ33L,33Rを駆動し得るように構成されている。
かかる構成において、前記差動機構103L,103Rに前記走行機構120からの走行回転動力及び前記旋回機構330からの制動回転動力を入力することにより、前記歩行型除雪機1は、右旋回又は左旋回し得るようになっている。
前記モータ本体106は、一対の作動油ライン109を介して前記ポンプ本体105に流体的に接続されており、前記モータ軸107は、前記モータ本体106によって軸線回りに回転されるように構成されている。
そして、前記出力調整部材108は、前記ポンプ本体105又は前記モータ本体106の少なくとも一方(ここでは、前記ポンプ本体105)の給排油量を変更させ得るように構成されている。
また、前記ポンプ本体105は、容量可変型ピストンポンプとされており、前記出力調整部材108は、可動斜板を含んでいる。
前記可動斜板は、前記ポンプ軸104の軸線方向に対する傾倒角度が調節されることにより、前記ポンプ軸104が一回転する間に前記ポンプ本体105から前記一対の作動油ライン109を介して前記モータ本体106に搬送される圧油の量、即ち、前記モータ軸107の回転速度を調整できるようになっている。
前記トランスミッション100は、さらに、第1及び第2伝動軸136,115並びに前記左右一対の差動機構103L,103Rを備えている。
前記第1伝動軸136には、ベベルギヤ137及びスプロケット139が外嵌固定されており、前記第2伝動軸115には、スプロケット140が外嵌固定されている。なお、前記エンジン31から前記走行部40L,40Rへ至る走行系伝動経路に制動機構が介挿されていてもよい。例えば、本実施形態においては、前記第1伝動軸136に、該第1伝動軸136の回転を制動し得るブレーキ138が設けられている。
かかる構成を備えることにより、前記トランスミッション100は、前記HST102から前記ベベルギヤ135及び前記ベベルギヤ137を介して前記第1伝動軸136に伝達される駆動力を前記スプロケット139、前記チェーン141及び前記スプロケット140を介して前記第2伝動軸115に伝達し得るようになっている。
前記走行駆動軸113L(113R)の反対側に位置する前記キャリア112L(112R)の盤面には、複数の回転軸114L(114R)が突設され、該複数の回転軸114L(114R)にそれぞれ前記複数の遊星ギヤ111L(111R)が回転可能に軸支されている。
リングギア116L(116R)は、内周面と外周面に歯車部が形成され略リング状のギヤとされており、内周面側の歯車部と前記複数の遊星ギヤ111L(111R)とが互いに噛合するようになっている。
そして、前記左旋回用電動モータ33Lの前記出力軸117Lには、ウォームアップギヤ118Lが外嵌固定されており、該ウォームアップギヤ118Lと、前記左差動機構103Lの前記リングギア116Lの外周面側の歯車部とが互いに噛合している。
同様に、前記右電動モータ33Rの前記出力軸117Rには、ウォームアップギヤ118Rが外嵌固定されており、該ウォームアップギヤ118Rと、前記右差動機構103Rの前記リングギア116Rの外周面側の歯車部とが互いに噛合している。
具体的には、前記走行部40L,40Rは、それぞれ、クローラ式のものとされており、前記機体フレーム10の機体左右方向(y方向)両側に略左右対称に配設されている(図2参照)。
なお、前記走行部40L,40Rは、ホイル式とされてもよい。
このような構成により、走行機構120のHST102から入力される走行回転動力及び旋回機構330の前記左旋回用電動モータ33Lから入力される左制動回転動力の合力が前記左差動機構103Lを介して前記左走行駆動軸113Lに伝達される。同様に、走行機構120のHST102から入力される走行回転動力及び旋回機構330の前記右旋回用電動モータ33Rから入力される右制動回転動力の合力が前記右差動機構103Rを介して前記右走行駆動軸113Rに伝達される。
そして、前記トラックフレーム41L,41Rの外側の前記走行駆動軸113L,113Rの外端部には、駆動スプロケット42L,42Rが固設されている。
そして、前記トラックフレーム41L,41Rの外側の前記従動軸45の両端部には、従動スプロケット43L,43Rが固設されており、前記駆動スプロケット42L,42R及び前記従動スプロケット43L,43Rには、それぞれ、クローラベルト44L,44Rが巻掛けられている。
より具体的には、前記走行操作部材53は、前記HST102を変速操作するための人為操作可能な走行変速レバーであり、前記旋回操作部材56L,56Rは、左右一対の旋回用電動モータ33L,33Rの出力をそれぞれ変更操作するための人為操作可能な左右一対の旋回操作レバーである。
前記作業部20では、前記エンジン31からの駆動力によって、前記掻込オーガ21及び前記ブロア24が駆動される。
また、前記差動機構103Rに伝達された駆動力は、前記サンギヤ110R、前記プラネタリギヤ111R、前記回転軸114R、前記キャリア112R及び前記出力軸113Rを経て前記走行部40Rの前記駆動スプロケット42Rに伝達される。
このようにして、前記エンジン31からの駆動力は前記左右一対の走行部40L,40Rに伝達され、該走行部40L,40Rが回転駆動される。
本実施形態において、前記作業クラッチ機構132aは、前記作業駆動力伝達手段12における前記プーリ131aに配設されている。
前記作業クラッチ機構132aは、クラッチが係合されるクラッチ係合位置と、クラッチの係合が遮断されるクラッチ遮断位置とを切替可能とされている。
前記作業クラッチ機構132aは、前記クラッチ係合位置と、前記クラッチ遮断位置とが切り替えられることにより、前記エンジン31から前記作業部20へ動力が伝達される動力伝達状態(ここでは、前記プーリ131aが前記出力軸31aに相対回転不能に支持された状態、即ち、前記エンジン31からの動力を伝達可能なクラッチ係合状態)と、前記エンジン31から前記作業部20への動力が遮断される動力遮断状態(ここでは、前記プーリ131aが前記出力軸31aに軸線回り相対回転自在に支持された状態、即ち、前記エンジン31からの動力を遮断したクラッチ遮断状態)とをとり得るように構成されている。
なお、前記制御装置270は、前記作業クラッチ操作部材54が動力伝達位置に操作されている状態(前記作業クラッチ機構132aが動力伝達状態となっている状態)で前記エンジン1を始動させた場合、前記作業クラッチ機構132aを動力遮断状態に作動制御する。これにより、前記エンジン1の始動によりいきなり作業部20に駆動力が伝達されることを防止することができる。
また、前記作業クラッチ操作部材54には、当該作業クラッチ操作部材54が動力伝達状態(ON状態)の際に点灯し、動力遮断状態(OFF状態)の際に消灯する車速制御スイッチ54aが設けられており、目視により前記作業クラッチ操作部材54の状態が容易に確認可能となっている。
前記ハンドル部51は、平面視で略U字型に形成されており(図2参照)、両端部に一対の支持杆51a,51aが設けられている。前記一対の支持杆51a,51aは、それぞれ、前方下向きに延びており(図1参照)、前記左右一対のブラケット14L,14Rに連結されている。
前記走行操作部材53及び前記作業クラッチ操作部材54は、前記操作ボックス55に設けられている。
前記走行操作部材53は、少なくとも、歩行型除雪機1が停止状態となる中立位置、歩行型除雪機1の車速が前進側に最大となる前進側最高速位置、当該前進側最高速位置より遅い所定の前進側最高作業速位置、作業車速1の車速が後進側に最大となる後進側最高速位置及び当該後進側最高速位置より遅い所定の後進側最高作業速位置に位置可能に構成されている。具体的には、シフトゲートを階段状に構成し、当該シフトゲートの両端部に前進側及び後進側最高速位置が位置し、且つシフトゲートの角部(即ち、操作方向が変わる箇所)に前進側及び後進側最高作業速位置が位置するように走行操作部材53を構成することにより、前記各操作位置に容易に位置させることができる。
また、前記左右一対の旋回操作部材56L,56Rは、それぞれ独立操作可能な左右一対の旋回操作レバーとされており、前端部が前記ハンドル部51に軸支された状態で前記ハンドル部51の左右両側下方に設けられ、且つ、付勢部材(図示せず)により前記ハンドル部51に対して離間する方向(下方)に付勢されている。
なお、前記一対の支持杆51a,51aの間には、バッテリ台57が架設されている。
図4は、本実施形態における歩行型除雪機1の制御機構200の概略構成を示すシステムブロック図である。
なお、前記負荷検出センサ260は、前記発電機の代わりに、前記作業部20を動作させる作動油の作動油圧を検出する作動油圧検出センサを適用することとしてもよい。
前記HST出力センサ220は、前記HST102における前記モータ軸(出力軸)107の回転状態を検出するHST出力回転数センサとされており、前記モータ軸107の回転速度を検出するHST回転速度センサ及び前記モータ軸107の回転方向を検出するHST回転方向センサを含んでいる。
また、HST出力センサ220は、第1HST出力センサ221及び第2HST出力センサ222を有している。即ち、1つのHST102に対して2つのHST出力センサ221,22が設けられており、HST102の出力回転数を二重検知することにより安全性を高めている。
即ち、前記走行アクチュエータ210は、前記作動位置センサ280により検出された前記走行操作部材53の操作量に応じて前記制御装置270から送信された制御信号に基づいて、前記HST102における前記出力調整部材108の位置調整(可動斜板角度調整)を行うように構成されている。
さらに、前記制御装置270は、通常制御モードにおいて、前記旋回操作部材56L,56Rの操作量に応じて所定のモータ駆動ドライバ(図示せず)を介して前記旋回用電動モータ33L,33Rの出力制御を行うように構成されている。
なお、本実施形態においては、前記旋回用電動モータ33L,33Rにおいて作動不良等の故障状態になった場合にオペレータに点灯報知するための一対のパイロットランプ58L,58Rが前記操作ボックス55に設けられている。
前記走行クラッチ操作部材52は、歩行型除雪機1を走行させる車輌走行状態と歩行型除雪機1を停止させる車輌停止状態とを切り替える切替信号が前記制御装置270に送信されるように構成されている。
前記走行クラッチ操作部材52は、車輌停止状態側に付勢されたデッドマンクラッチレバーとされている。前記走行クラッチ操作部材52は、図1及び図2に示すように、前記運転操作部50に設けられている。
また、前記歩行型除雪機1は、前記走行クラッチ操作部材52が車輌走行状態に人為操作された後で、前記作業クラッチ操作部材54がクラッチ係合位置に人為操作された場合は、前記作業クラッチ操作部材54は、前記走行クラッチ操作部材52が車輌停止状態に人為操作されるまでは、クラッチ係合位置の状態を保持するように構成されている。
さらに、前記歩行型除雪機1において、前記走行クラッチ操作部材52が車輌停止状態に人為操作された状態でも、前記作業クラッチ操作部材54は、クラッチ係合位置に人為操作され続けている間は、当該クラッチ係合位置の状態を保持するように構成されている。
本実施形態において、前記制御装置270は、複数の制御モードを有しており(記憶部271に記憶しており)、前記制御モードに応じて、各センサからの受信信号に基づいて前記走行アクチュエータ210、前記旋回用電動モータ33L,33R、前記走行クラッチ機構140、前記作業クラッチ機構132a等に制御信号を送信する。
前記制御装置270は、前記負荷検出センサ260により検出される走行負荷が所定値以上となった場合(即ち、エンジン31の出力回転数が所定値以下となった場合)、前記通常制御モードから負荷制御モードに移行し、車速を落とすことにより走行負荷が減少するように前記HST102の出力回転数を減速制御する。ここでは、制御装置270は、前記走行操作部材53の操作量に応じた基準出力に対して前記負荷検出センサ260の検出結果に基づく減速率を乗算させた出力を前記HST102の目標回転出力として前記出力調整部材108の作動制御を行う。
なお、本実施形態においては、前記負荷制御への移行を自動的に行うか否かを切り換える車速制御スイッチ59が前記操作ボックス55に設けられている。即ち、前記車速制御スイッチ59をON状態にすることにより負荷制御モードへの移行を許可し、OFF状態にすることにより、前記走行負荷が所定値以上となっても負荷制御モードへの移行を許可しない。
前記車速制御スイッチ59には、車速制御スイッチ59がON状態の際に点灯し、OFF状態の際に消灯する車速制御スイッチ59aが設けられており、目視により前記車速制御スイッチ59の状態が容易に確認可能となっている。
本実施形態において、前記フェイルモードは、故障発生後の制御態様が異なる複数(4つ)のフェイルモードを有している。
即ち、前記制御装置270は、旋回系の故障時に起動する第1フェイルモードと、暴走等の危険性のある重大故障時に起動する第2フェイルモードと、走行系の故障時に起動する第3フェイルモードと、前記複数のHST出力センサ221,222が相反する検出値を検出した場合に起動する第4フェイルモードとを有している。
順に説明する。
まず、第1フェイルモードについて説明する。
前記制御装置270は、前記旋回操作位置検出センサ250L,250Rが異常値を検出した場合又は前記旋回出力センサ240L,240Rが検出した前記旋回用電動モータ33L,33Rの出力回転数が過回転でなく且つ前記旋回操作位置検出センサ250L,250Rから検出された目標出力回転数との差が所定値以上となった場合、第1フェイルモードに移行する。
より詳しくは、前記第1のトリガとしては、少なくとも左右何れかの前記旋回操作位置検出センサ250L,250Rと制御装置270とを結ぶ電気回路又は通信線において、断線又は短絡状態となった場合が例示できる。また、前記第2のトリガとしては、少なくとも左右何れかの前記旋回用電動モータ33L,33R又はこれを駆動する前記モータ駆動ドライバが動作不良となった場合が例示できる。
このような上記トリガのうち何れか1つでも該当すれば、前記制御装置270は、第1フェイルモードへ移行する。
このとき、本実施形態においては、故障した側の前記パイロットランプ58L,58Rを点灯させてエラー報知を行う。
より具体的には、前記第1フェイルモードにおいては、前記走行部40L,40Rの停止後、オペレータが一旦前記走行クラッチ操作部材52を動力遮断位置に位置させた上で、再び前記走行クラッチ操作部材52を動力伝達状態となるように操作して、前記走行クラッチ機構140が動力伝達状態となった際に、前記制御装置270は、前記旋回操作部材56L,56Rの操作に拘わらず、前記旋回用電動モータ33L,33Rの何れも作動させないように制御する。
換言すると、前記制御装置270は、前記走行部40L,40Rの停止後、エンジン31の駆動を継続するとともに、前記走行クラッチ機構140が再び動力伝達状態となった際に、走行操作部材53の操作により、走行機構120について前記通常制御モード及び前記負荷制御モードの何れの制御モードをも実行可能としている。
なお、本実施形態においては、走行部40L,40Rの停止後、オペレータが走行クラッチ操作部材52を動力遮断位置に位置させることなく走行操作部材53を変速操作しても歩行型除雪機1は走行を開始しない。
本実施形態においては、例えば、左旋回操作位置検出センサ250Lのみが異常値を検出したことによって第1フェイルモードに移行した場合であっても、前記左旋回用電動モータ33Lだけでなく前記右旋回用電動モータ33Rも作動されない。
上記のように旋回機構330の制御を制限している状態においては旋回による危険回避が行えないため、最大速度での移動を可能にすると、危険回避が十分行えない場合も生じ得る。これに対し、旋回機構330の制限制御下においてHST102の出力回転数を所定回転数以下に制限することにより、歩行型除雪機1の走行を可能としつつ安全性の低下を防止することができる。
また、旋回機構330が故障した場合であっても故障のない走行系(前後進)は作動可能となるため、走行部40L,40Rを駆動させて楽に移動させることができる。特に、本実施形態のような歩行型の作業車輌においては、ハンドル部51を少し持ち上げる等して走行部40L,40Rを浮かせることによる方向転換が可能であるため、故障時においても前後進の駆動をなるべく生かすことにより利便性を向上させることができる。
しかも、一旦停止させた上で旋回機構330への制御を制限することにより、オペレータの意に反して突然旋回ができなくなる不都合を防止することができる。
前記制御装置270は、前記走行操作位置検出センサ230が検出する前記出力調整部材108の目標作動位置が変化しても前記作動位置センサ280又は前記HST出力センサ220の検出値が変化しない又は過回転となった場合或いは前記旋回出力センサ240L,240Rが検出した前記旋回用電動モータ33L,33Rの出力回転数が過回転となった場合、第2フェイルモードに移行する。
より詳しくは、前記第1のトリガとしては、前記HST102が駆動しないことにより、走行操作位置検出センサ230による検出値の変化に対して作動位置センサ280又はHST出力センサ220の検出値が変化しない場合、又は、前記HST102の暴走等により、作動位置センサ280又はHST出力センサ220が過回転を検出した場合が例示できる。また、前記第2のトリガとしては、前記旋回用電動モータ33L,33Rの暴走等により、前記旋回出力センサ240L,240Rが過回転を検出した場合が例示できる。さらに、前記第3のトリガとしては、走行操作位置検出センサ230による検出値の変化に対して作動位置センサ280又はHST出力センサ220の検出値が何れも変化しない場合又は前記検出値が何れもあり得ない値を検出した場合が例示できる。
このような上記トリガのうち何れか1つでも該当すれば、前記制御装置270は、第2フェイルモードへ移行する。
このとき、本実施形態においては、所定のランプ等を点灯させてエラー報知を行う。
前記制御装置270は、前記走行操作位置検出センサ230が異常値を検出した場合又は前記HST出力センサ220の検出値と前記作動位置センサ280の検出値とが所定の相関関係を有しなくなった場合、第3フェイルモードに移行する。
このような上記トリガのうち何れか1つでも該当すれば、前記制御装置270は、第3フェイルモードへ移行する。
換言すると、前記制御装置270は、前記走行部40L,40Rの停止後、エンジン31の駆動を継続するとともに、前記走行クラッチ機構140が再び動力伝達状態となった際に、HST120の最大出力回転数が所定回転数以下に制限された状態で、走行操作部材53及び旋回操作部材56l、56Rの操作により、走行機構120及び旋回機構330について前記通常制御モード及び前記負荷制御モードの何れの制御モードをも実行可能としている。
このとき、本実施形態においては、所定のランプ(図示せず)を点灯させてエラー報知を行う。
また、本実施形態において、前記第3フェイルモードは、前記HST102の前進側出力のみを許容する。
前記制御装置270は、前記複数のHST出力センサ221,222が相反する検出値を検出した場合、第4フェイルモードに移行する。
前記第4フェイルモードへ移行するトリガとしては、電気回路の断線又は短絡等の異常やセンサ故障等により、何れかのHST出力センサ221,222が異常値(相反する検出値)を検出した場合がある。
換言すると、前記制御装置270は、前記走行部40L,40Rの停止後、エンジン31の駆動を継続するとともに、前記走行クラッチ機構140が再び動力伝達状態となった際に、走行操作部材53及び旋回操作部材56l、56Rの操作により、走行機構120及び旋回機構330について前記通常制御モードを実行可能とし、前記負荷制御モードを実行不可としている。
このとき、本実施形態においては、車速制御ランプ59a等を点灯させてエラー報知を行う。
なお、本実施形態においては、前記制御装置270が前記第1から第4フェイルモードの何れかへ移行した後は、エンジンキーをON位置からOFF位置に切り換えて、前記エンジン31を停止することにより、当該フェイルモードを解除することが可能である。ただし、エンジンキーを再度ON位置にして前記エンジン31を始動後、故障状態が継続していれば、再び各フェイルモードに移行する。
例えば、上記実施形態においては、旋回操作部材として左右一対の旋回操作レバー56L,56Rが備えられた構成を例示したが、ハンドル等の単一の旋回操作部材を備えることとしてもよい。
20 作業部
31 エンジン(駆動源)
33L,33R 旋回用電動モータ
40L,40R 走行部
53 走行操作部材
56L,56R 旋回操作部材
102 HST(走行HST)
103L,103R 差動機構
108 出力調整部材
120 走行機構
210 走行アクチュエータ
220,221,222 HST出力センサ
230 走行操作位置検出センサ
240L,240R 旋回出力センサ
250L,250R 旋回操作位置検出センサ
260 負荷検出センサ
270 制御装置
280 作動位置センサ
330 旋回機構
Claims (5)
- 駆動源と、前記駆動源から作動的に回転動力を入力する走行HSTを含む走行機構と、旋回用電動モータを含む旋回機構と、左右一対の走行部と、前記走行機構から走行回転動力を入力し及び前記旋回機構から制動回転動力を入力して、前記左右一対の走行部へ向けてそれぞれ回転動力を出力する左右一対の差動機構と、前記走行HSTの出力を変速操作するための走行操作部材と、前記旋回用電動モータの出力を変速操作する旋回操作部材と、前記走行HSTの出力回転数を検出するHST出力センサと、前記走行HSTの出力調整部材の作動位置を検出する作動位置センサと、前記走行操作部材の操作位置を検出する走行操作位置検出センサと、前記旋回用電動モータの出力回転数を検出する旋回出力センサと、前記旋回操作部材の操作位置を検出する旋回操作位置検出センサと、前記走行HSTの出力調整部材を作動させる走行アクチュエータと、前記走行操作部材の操作量に応じて前記走行アクチュエータの制御を行い且つ前記旋回操作部材の操作量に応じて前記旋回用電動モータの制御を行う制御装置とを備えた作業車輌であって、
前記制御装置は、前記旋回操作位置検出センサが異常値を検出した場合又は前記旋回出力センサが検出した前記旋回用電動モータの出力回転数が過回転でなく且つ前記旋回操作位置検出センサから検出された目標出力回転数との差が所定値以上となった場合、前記走行部が停止するように、前記走行アクチュエータを介して前記走行HSTの出力回転数を制御するとともに、その後に前記走行部を駆動させた場合において、前記旋回操作部材の人為操作に拘わらず、前記旋回用電動モータへの作動制御量を制限する第1フェイルモードに移行することを特徴とする作業車輌。 - 前記第1フェイルモードは、前記走行HSTの最大出力回転数を所定回転数以下に制限することを特徴とする請求項1に記載の作業車輌。
- 前記制御装置は、前記走行操作位置検出センサが検出する前記出力調整部材の目標作動位置が変化しても前記作動位置センサ又は前記HST出力センサの検出値が変化しない又は過回転となった場合或いは前記旋回出力センサが検出した前記旋回用電動モータの出力回転数が過回転となった場合、前記走行部が停止するように、前記走行アクチュエータを介して前記走行HSTの出力回転数を制御し、前記駆動源を停止させる第2フェイルモードに移行することを特徴とする請求項1又は2に記載の作業車輌。
- 前記制御装置は、前記走行操作位置検出センサが異常値を検出した場合又は前記HST出力センサの検出値と前記作動位置センサの検出値とが所定の相関関係を有しなくなった場合、前記走行部が停止するように、前記走行アクチュエータを介して前記走行HSTの出力回転数を制御し、その後に前記走行部を駆動させた場合において、前記走行HSTの最大出力回転数を所定回転数以下に制限する第3フェイルモードに移行することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の作業車輌。
- 前記駆動源からの出力を利用して駆動される作業部と、前記作業部における負荷を検出する負荷検出センサとを備えるとともに、前記HST出力センサを複数備え、
前記制御装置は、前記負荷検出センサが所定値以上の負荷を検出した場合、前記負荷に応じて前記走行HSTの出力を低減させる負荷制御モードを有し、
前記複数のHST出力センサが相反する検出値を検出した場合、前記走行部が停止するように、前記走行アクチュエータを介して前記走行HSTの出力回転数を制御し、その後に前記走行部を駆動させた場合において、負荷制御モードへの移行を制限する第4フェイルモードに移行することを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の作業車輌。
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