JP3327302B2 - コンバインの旋回装置 - Google Patents

コンバインの旋回装置

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JP3327302B2
JP3327302B2 JP27796793A JP27796793A JP3327302B2 JP 3327302 B2 JP3327302 B2 JP 3327302B2 JP 27796793 A JP27796793 A JP 27796793A JP 27796793 A JP27796793 A JP 27796793A JP 3327302 B2 JP3327302 B2 JP 3327302B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、コンバインの旋回装
置に関し、旋回半径中程度のピボット旋回と、旋回半径
大の緩旋回と、旋回半径小のスピン旋回とを切り替え可
能な走行ミッションケ−スを有するもの等に利用でき
る。
【0002】
【従来の技術、及び発明が解決しようとする課題】コン
バインの作業時に、圃場端の枕地等において、車体の向
きを変えるため旋回を何度も繰り返し行う必要がある
が、土壌面の状態によっては、これらの旋回の繰り返し
により走行クロ−ラが泥土を捏ね回してスリップを起こ
し沈下して旋回を阻害されることとなる。このため、近
時、土壌面の状態に応じて走行クロ−ラのスリップを抑
えながら、例えば次の刈取条への条合わせを行うのに必
要な旋回半径の選択が可能となるよう、走行ミッション
ケ−ス内の連動機構を、操向クラッチの切りとブレ−キ
力による旋回半径中程度のピボット旋回と、旋回内側と
外側の走行クロ−ラの回転速度を変えて旋回する旋回半
径大の緩旋回と、旋回内側と外側の走行クロ−ラの回転
方向を逆転させて旋回する旋回半径小のスピン旋回とに
適宜切り替えられるよう複数の旋回モ−ドに構成してい
るものがあるが、このような構成となっているにも拘ら
ず、複数の旋回モ−ドを、土壌面がとのような状態のと
きにどの旋回モ−ドに切り替えれば、必要とする旋回目
標位置へ到達できるかという、オペレ−タによる旋回条
件の選択が的確に行えない嫌いがあった。
【0003】また、特開平5ー176604号公報に
は、切換レバーによって旋回モードを変える技術が記載
されている。しかしながら、走行装置の沈下量に応じて
自動的に旋回半径を切り替える技術は開示されていな
い。そこでこの発明は、オペレ−タが求める旋回条件が
容易に選択可能になると共に、走行クロ−ラのスリップ
による沈下や土壌面の掻き崩しによる損傷を防止できる
ようにし、さらに、走行クローラが沈下した場合には、
その沈下量に応じて自動的に適切な旋回半径に切り替え
るようにするものである。
【0004】さらに、高速状態で走行中にあっては、主
変速レバーが減速操作されると、走行ミッションケース
内の入力軸に設ける変速クラッチを自動的に減速して安
全走行をしようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は、前述のごと
き課題を解決するものであって次の構成である。即ち、
請求項1記載の発明においては、操向クラッチ1を切り
ブレ−キ2を効かせて旋回するピボット旋回状態と、旋
回内側と外側の歯車の回転比率を変えて旋回する緩旋回
状態と、旋回内側と外側の回転方向を逆転させて旋回す
るスピン旋回状態とに、旋回状態を切り替え可能な走行
ミッションケ−ス3を有したコンバインにおいて、車体
14の左右方向への旋回方向を決定するパワステレバー
54を設け、前記走行ミッションケ−ス3によって駆動
される走行クローラ6の沈下量を検出する沈下量検出手
段を設け、前記走行クローラ6の沈下量に応じて旋回
を自動的に切り替え可能に構成し、前記走行ミッショ
ンケース3内の入力軸15には普通速側と増速側の二段
変速可能な変速クラッチ20を設け、前記入力軸15の
下手側に位置する変速伝動軸27には副変速を切り換え
る変速伝動クラッチ28を設け、前記ミッションケース
3の入力軸15へ油圧駆動による主変速としての無断変
速装置16の出力軸17を連動連結する構成とし、前記
変速クラッチ20が増速側であって、前記副変速を切り
換える変速伝動クラッチ28が高速側の状態で走行中、
主変速としての前記無段変速装置16を変速制御する主
変速レバー53が減速されると、前記変速クラッチ20
を自動的に普通速側へ切り替えるように構成したことを
特徴とするコンバインの旋回装置の構成とする。
【0006】請求項2記載の発明においては、請求項1
において、電磁弁による油圧切替クラッチを設け、該油
圧切替クラッチを作用させるモ−ド切替スイッチ4を設
け、旋回中において、該モ−ド切替スイッチ4を操作し
て別の旋回状態に切り替え可能に構成したことを特徴と
するコンバインの旋回装置の構成とする。
【0007】
【作用、及び発明の効果】上記の構成によれば、コンバ
インの作業走行時に、走行クローラ6が沈下したことを
沈下量検出手段が検出する。そして、この沈下量検出手
段が検出した走行クローラ6の沈下量に応じて旋回状態
を自動的に切り替える。
【0008】このように、走行クローラ6の沈下量に応
じて旋回状態を自動的に切り替えるので、効率のよい旋
回を行うことができると共に、現在の沈下量以上の走行
クローラ6の沈下を抑制し土壌面の損傷も防止できるよ
うになる。さらに、変速クラッチ20が増速側であっ
て、副変速を切り換える変速伝動クラッチ28が高速側
の状態で走行中、主変速としての無段変速装置16を変
速制御する主変速レバー53が減速されると、変速クラ
ッチ20は自動的に普通速側へ切り替わる。これによ
り、高速走行時における安全のための減速を自動的に行
なわせることができると共に、旋回時の駆動力を向上さ
せうるものとなる。
【0009】請求項2においては、圃場端の枕地等にお
いて車体の向きを変えるための旋回を行うときに、モ−
ド切替スイッチ4を、例えば旋回モ−ドを大・中・小の
三種類に設定することにより、オペレ−タがこのモ−ド
切替スイッチ4によって旋回モ−ド中を選択した場合
は、ピボット旋回により軟弱な土壌面では旋回半径中程
度を主体に旋回を行い、通常の土壌面ではブレ−キ2力
の変更により旋回半径を小さくすることが可能である。
また、該モ−ド切替スイッチ4によって旋回モ−ド大を
選択した場合は、緩旋回により土壌面の条件に左右され
ることなく大きい旋回半径で旋回することができる。ま
た、該モ−ド切替スイッチ4によって旋回モ−ド小を選
択した場合は、通常の土壌面ではピボット旋回によりブ
レ−キ2力を効かして小さい旋回半径で旋回することが
できると共に、軟弱な土壌面では自動的にスピン旋回に
移行して小さい旋回半径で旋回することができる。ま
た、圃場の状態によっては、旋回中において、別の旋回
状態へ切り替える。
【0010】オペレータは土壌面の条件の如何に拘ら
ず、旋回目標位置へ到達するに必要な旋回半径を確認し
てモード切替スイッチ4により旋回状態を選択するだけ
で、この選択された旋回状態を土壌面の条件に対応して
確保できる旋回モードを自動的に設定できるので、容易
に旋回目標位置へ到着しうると共に、特に走行クローラ
がスリップを生じ易い小さい旋回半径のときには、土壌
面の条件に対応させて旋回モードを自動的に変更できる
から、走行クローラのスリップによる沈下や土壌面の掻
き崩しによる損傷を防止しうるものである。また、パワ
ステレバー54を傾動させて旋回中において、モード切
替スイッチ4により旋回状態を変更可能であるので、オ
ペレータはスムーズに旋回を実行することができる。特
に、コンバインにおいては、軟弱な圃場面を旋回中にお
いてスリップしても、緩旋回状態からスピン旋回状態
へ、あるいは、ピボット旋回状態からスピン旋回状態へ
と瞬時に旋回半径を小さく変更可能なので、圃場端にお
いて畦際などに当接することを防止できて安全である。
また、圃場の状態によっては、旋回中において、別の旋
回状態へ切り替え可能なので、圃場面に適した状態で効
率良く旋回を実行することができるので、刈取作業の能
率が向上する。
【0011】
【実施例】なお、図例において、この発明を穀類の収穫
作業を行うコンバインについて説明する。コンバインの
車台5の下部側に土壌面を走行する左右一対の走行クロ
−ラ6を有する走行装置7を配設し、該車台5上に、フ
ィ−ドチエ−ン8に挾持して供給される穀稈を脱穀し、
この脱穀された穀粒を選別回収して一時貯留するグレン
タンク9を備えた脱穀装置10を載置する。また、この
脱穀装置10の前方側に立毛穀稈を分草し引き起こして
刈り取ると共に、この刈り取った穀稈を後方側へ搬送し
ながら横倒れ姿勢に変更して該フィ−ドチェ−ン8へ受
渡しする刈取装置11を、土壌面に対して上下昇降自在
となるよう該車台5の前端部へ装架する。また、該脱穀
装置10の一側にコンバインの操作制御を行う操作装置
12と、この操作のための操作席13とを設け、これら
の各装置7、10、11、12によってコンバインの車
体14を構成する。
【0012】前記車台5の前端側に走行ミッションケ−
ス3を装着し、このミッションケ−ス3の第1軸として
の入力軸15へ油圧駆動による主変速としての無断変速
装置16の出力軸17を連動連結する。該ミッションケ
−ス3の入力軸15の左右側には、普通速(L)側と増
速(H)側の二段に車速を切り替える普通速ギヤ18と
増速ギヤ19を各々遊転軸承すると共に、この普通速・
増速ギヤ18・19を各々油圧等の作用により軸回転さ
せる変速クラッチ20をその中間位置に配設する。該普
通速・増速ギヤ18、19と各々噛み合い常時回転する
普通速カウンタギヤ21と増速カウンタギヤ22を配設
すると共に、その中間に中間カウンタギヤ23を位置さ
せ、これらの各ギヤ21、22、23を各々軸止する第
2軸としてのカウンタ軸24を設ける。
【0013】該中間カウンタギヤ23と噛み合う作業速
としての二連の低速伝動ギヤ25、及び普通速カウンタ
ギヤ21と噛み合う走行速としての高速伝動ギヤ26を
各々遊転軸承する第3軸としての変速伝動軸27を設
け、この低速伝動ギヤ25と高速伝動ギヤ26との間
に、この両ギヤ25、26を各々切り替え接続して軸回
転させる変速伝動クラッチ28を左右摺動させて作業速
位置と走行速位置と中立位置とに変速可能に配設して副
変速を構成すると共に、該変速伝動軸27の一側に変速
伝動ギヤ29を軸止して設ける。
【0014】該変速伝動ギヤ29と噛み合う二連の操向
センタギヤ30を第4軸としての操向クラッチ軸31に
軸止すると共に、この操向センタギヤ30の左右側面に
接して左右の操向クラッチギヤ32を各々遊転軸承し、
この操向クラッチギヤ32の左右側面に接して、側面間
の爪の噛み合いとバネ力による初期入りと更に油圧の加
圧により本来の入り作用をさせる左右の操向クラッチ1
と、この操向クラッチ1の切りによって制動力を作用さ
せる左右のブレ−キ2とを各々連接軸止して設ける。
【0015】前記二連の低速伝動ギヤ25の片方の小径
ギヤ25bと噛み合う緩旋回ギヤ33と、前記二連の操
向センタギヤ30の片方の小径ギヤ30bと噛み合うス
ピン旋回ギヤ34とを、第5軸としての旋回モ−ド切替
軸35の左右側に各々遊転軸承すると共に、この緩旋回
ギヤ33とスピン旋回ギヤ34との間に、この両ギヤ3
3、34を切り替えて各々軸回転させる外周にギヤを設
けた旋回モ−ド切替クラッチ36を左右摺動により接続
可能に配設する。
【0016】該旋回モ−ド切替クラッチ36の外周ギヤ
と噛み合う車軸駆動センタギヤ37を、第6軸としての
車軸駆動軸38に軸止すると共に、該車軸駆動センタギ
ヤ37の左右側面に接して、前記左右の操向クラッチギ
ヤ32と各々噛み合いする左右の二連の車軸駆動サイド
ギヤ39を遊転軸承して配設し、この左右の車軸駆動サ
イドギヤ39の左右側面に接して該ギヤ39を各々油圧
等の作用により軸回転させる左右の車軸駆動クラッチ4
0を連接軸止して設ける。
【0017】該左右の二連の車軸駆動サイドギヤ39の
片方の各小径ギヤ39bと各々噛み合いする左右の車軸
中間ギヤ大41を、第7軸としての左右の車軸中間軸4
2の一端部に各々軸止すると共に、その他端部に左右の
車軸中間ギヤ小43を各々軸支して設ける。該左右の車
軸中間ギヤ小43と各々噛み合う左右の車軸ギヤ44
を、第8軸としての左右の車軸45の一端部に各々軸止
すると共に、その他端部に左右の走行クロ−ラ6を駆動
させる左右の走行スプロケット46を各々軸止して設け
る。
【0018】なお、図4に示す如く、前記旋回モ−ド切
替クラッチ36の切り替えを行うシフタステ−47に軸
承されたシフタ48を、該クラッチ36のシフタ溝36
aに嵌押すると共に、電気的な電磁操作杆49(又は油
圧等による伸縮シリンダ)の作用により移動させ、押圧
ボ−ル等によるクリックストップ50により緩旋回⇔ス
ピン旋回の如く切替位置決めすると共に、この切替操作
と、前記操向クラッチ1とブレ−キ2及び車軸駆動クラ
ッチ40の入・切操作とによって、図5に示す如き、旋
回半径大・中・小で旋回する各旋回モ−ドを切り替える
モ−ド切替スイッチ4を、前記操作装置12のパネル部
に設ける。
【0019】図6に示す如く、副変速としての走行速⇔
中立⇔作業速を切り替える副変速切替スイッチ51を、
該操作装置12の一側に設けた副変速レバ−52に係合
配設すると共に、該副変速レバ−52の近傍に主変速と
しての無段変速装置16を変速制御する主変速レバ−5
3と、車体14の左右操向と旋回を制御するパワステレ
バ−54とを配設する。
【0020】前記ミッションケ−ス3の外壁に、該変速
伝動軸27の一端部と係合して車速を検出する車速セン
サ55を設けると共に、図7に示す如く、該ミッション
ケ−ス3の底部に配置した土壌面の抵抗により作用する
揺動ア−ム56aによりロッドを介して沈下量を検出す
る沈下量センサ56を設ける。
【0021】CPUを中央に配置して演算制御を行う制
御装置57を、該操作装置12の一側に設け、図3に示
す如く、この制御装置57の入力側に、前記モ−ド切替
スイッチ4、副変速切替スイッチ51、車速センサ5
5、沈下量センサ56を各々接続すると共に、出力側
に、前記操向クラッチ1の入り切りとブレ−キ2の入り
切りを作用させる電磁弁58、旋回モ−ド切替クラッチ
36を操作する電磁操作杆49、車軸駆動クラッチ40
を入り切り作用させる電磁弁59、変速クラッチ20を
入り切り作用させる電磁弁60を各々接続して構成す
る。
【0022】次に、以上の構成による作用について説明
する。走行装置7、脱穀装置10、刈取装置11、操作
装置12等の作用により収穫作業が行われ、このような
収穫作業時に圃場端の枕地等において、車体14の向き
を変えるための旋回を何度も繰り返し行うことになる。
【0023】この旋回時に旋回目標位置(条合せ等)に
対する旋回半径がその都度異なるということや、特に土
壌面が軟弱な場合等にその度合に応じ走行クロ−ラがス
リップして旋回半径が変化するということがあるが、こ
のような場合にモ−ド切替スイッチ4によって旋回半径
大・中・小の旋回モ−ドのうち何れかに切り替え設定す
ることにより、制御装置57の演算制御によって走行ミ
ッションケ−ス3内においてピボット旋回、緩旋回、ス
ピン旋回の三種類の旋回手段の中から最も適切な手段に
切り替えてオペレ−タが希望する旋回目標位置に合致さ
せる旋回を行うことができる。
【0024】このような旋回制御が行われるミッション
ケ−ス3内における動力の伝動経路は、主変速レバ−5
3の操作によって前・後進の切り替えや車速を無段に変
速する無段変速装置16の出力軸17から、ミッション
ケ−ス3の入力軸15へ動力が伝達される。この入力軸
15の変速クラッチ20の入によって普通速(L)側の
普通速ギヤ18、切によって増速(H)側の増速ギヤ1
9から、カウンタ調速用のカウンタ軸24に軸回転する
普通速カウンタギヤ21と増速カウンタギヤ22へ各々
連動させる。
【0025】この連動により該普通速カウンタギヤ21
と、同じくカウンタ軸24に軸回転する中間カウンタギ
ヤ23とを、副変速としての変速伝動軸27に遊転する
高速伝動ギヤ26と低速伝動ギヤ25とへ各々連動して
常時回転させる。この連動により軸回転する変速伝動ク
ラッチ28を左右側へ移動させて高速伝動ギヤ26へ接
続した場合は走行速として、又低速伝動ギヤ25へ接続
した場合は作業速として、変速伝動軸27に軸回転する
変速伝動ギヤ29から、操向変速する操向クラッチ軸3
1に軸回転する操向センタギヤ30へ連動する。
【0026】この操向センタギヤ30の左右側で各々遊
転する左右の操向クラッチギヤ32を、この操向クラッ
チギヤ32の左右側で各々軸回転する左右の操向クラッ
チ1の切・入によって断・続させると共に、断のときは
ブレ−キ2により制御力を加圧させ、これによりピボッ
ト旋回を行うことができる。
【0027】左右の操向クラッチギヤ32から車軸駆動
用としての車軸駆動軸38に遊転する左右の車軸駆動サ
イドギヤ39へ連動し、この左右の車軸駆動サイドギヤ
39から、更に車軸中間駆動用としての左右の車軸中間
軸42に軸回転する左右の車軸中間ギヤ大41へ連動す
ると共に、同じくこの車軸中間軸42に軸回転する左右
の車軸中間ギヤ小43から、左右の車軸45に軸回転す
る左右の車軸ギヤ44ヘ連動し、同じくこの左右の車軸
45に軸回転する走行スプロケット46によって左右の
走行クロ−ラ6を駆動させる。
【0028】前記低速伝動ギヤ25の小径ギヤ25bか
ら、旋回モ−ド切替用の旋回モ−ド切替軸35の左側に
遊転する緩旋回用の緩旋回ギヤ33へ連動すると共に、
前記操向センタギヤ30の小径ギヤ30bから、同じく
旋回モ−ド切替軸35の右側に遊転するスピン旋回用の
スピン旋回ギヤ34へ連動する。該両ギヤ33、34の
中間に位置する旋回モ−ド切替クラッチ36を、電磁操
作杆49の作用によりシフタステ−47上のシフタ48
をクリックストップ50によって左右側へ移動させて、
緩旋回ギヤ33、又はスピン旋回ギヤ34へ各別に接続
させることにより、常時回転するこの両ギヤ33、34
によって旋回モ−ド切替クラッチ36が各別に連動さ
れ、その外周ギヤによって車軸駆動センタギヤ37が連
動される。
【0029】この車軸駆動センタギヤ37の連動によ
り、例えば前記左の操向クラッチギヤ32が操向クラッ
チ1によって切となり前記左の車軸駆動サイドギヤ39
の回転が停止しているときは、左の車軸駆動クラッチ4
0を入にすることにより、該旋回モ−ド切替クラッチ3
6が緩旋回側に接続されているときは左の車軸駆動サイ
ドギヤ39の回転を右よりも遅くする緩旋回を行い、該
旋回モ−ド切替クラッチ36がスピン旋回側に接続され
ているときは、左の車軸駆動サイドギヤ39の回転方向
を右と逆に回転させるスピン旋回を行うことができる。
【0030】この各旋回モ−ドの切り替えは、前記モ−
ド切替スイッチ4の切り替えと制御装置57の制御とに
よって旋回モ−ド中を選択したときは、パワステレバ−
54の浅い傾倒操作によって旋回内側となる該操向クラ
ッチ1を切り、更に傾倒操作を深くすることによりブレ
−キ2の制動力を増して、走行クロ−ラ6を旋回内側の
制動と旋回外側の駆動とによって旋回半径中程度のピボ
ット旋回を行う。このピボット旋回では軟弱な土壌面で
も旋回半径中程度までは走行クロ−ラ6のスリップを抑
えて効率のよい旋回を行うことができ、ブレ−キ2制動
力の増減によって土壌面が硬軟に変化しても旋回半径を
調整することができる。
【0031】旋回モ−ド大を選択したときは、パワステ
レバ−54の傾倒操作により旋回内側となる操向クラッ
チ1を切ると同時に、前記旋回モ−ド切替クラッチ36
を緩旋回ギヤ33に接続して車軸駆動クラッチ40を入
りとすることにより、走行クロ−ラ6の回転速度を旋回
外側より旋回内側を遅くして旋回半径大の緩旋回を行
う。この緩旋回では土壌面が硬軟に変化しても走行クロ
−ラ6のスリップもなく、一定した旋回半径の大きいソ
フトな旋回を行うことができる。
【0032】旋回モ−ド小を選択したときは、パワステ
レバ−54の傾倒操作により通常の土壌面では、前記ピ
ボット旋回でブレ−キ2の制動力を効かして小さい旋回
半径で旋回が可能であるが、土壌面が軟弱で走行クロ−
ラ6がスリップして沈下したときは沈下量センサ56の
沈下検出により自動的にスピン旋回に切り替えて、該操
向クラッチ1の切りと同時に旋回モ−ド切替クラッチ3
6をスピン旋回ギヤ34に接続して車軸駆動クラッチ4
0を入りとすることにより、走行クロ−ラ6の回転方向
を旋回外側に対して旋回内側を逆転させて旋回半径小の
スピン旋回を行う。このスピン旋回により軟弱な土壌面
においても走行クロ−ラ6のスリップによる沈下や土壌
面の掻き崩しによる損傷を防止して、小さな旋回半径で
円滑に旋回を行うことができる。
【0033】また、該モ−ド切替スイッチ4をオペレ−
タにより切り替える代わりに、該沈下量センサ56によ
る検出によって、この検出信号を前記制御装置57に送
って演算制御を行い、走行クロ−ラの沈下状態に応じて
土壌面に合った旋回モ−ドを旋回半径大・中・小に自動
的に切り替えて、効率のよい旋回を行うようにすること
もできる。勿論、走行クロ−ラ6の沈下や土壌面の損傷
を防止しうる。
【0034】また、図8のフロ−チャ−トに示す如く、
例えばコンバインの路上走行等において、前記変速クラ
ッチ20を増速(H)側に、副変速を走行速側に切り替
えた高速走行時に、道路の曲り角を旋回する際等におい
て主変速を減速させ、予め設定した一定の減速量がポジ
ションセンサ等により検出されたときは、該制御装置5
7の演算制御によって変速クラッチ20を、増速(H)
側から普通速(L)側に自動的に切り替える自動減速手
段を設けることにより、高速走行時における安全のため
の減速を自動的に行わせることができると共に、旋回時
の駆動力を向上させうるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンバインの全体を示す側面図。
【図2】ミッションケ−スの伝動機構を示す展開正断面
図。
【図3】旋回操作関係の制御回路を示すブロック図。
【図4】旋回モ−ドの切替部分を示す正断面図。
【図5】モ−ド切替スイッチを示す平面図。
【図6】副変速の切り替え操作具を示す側面図。
【図7】沈下量センサの作用関係を示す側面図。
【図8】自動減速の手法を示すフロ−チャ−ト。
【符号の説明】
1 操向クラッチ 2 ブレ−キ 3 ミッションケ−ス 4 モ−ド切替スイッチ 6 走行クローラ

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 操向クラッチ1を切りブレ−キ2を効か
    せて旋回するピボット旋回状態と、旋回内側と外側の歯
    車の回転比率を変えて旋回する緩旋回状態と、旋回内側
    と外側の回転方向を逆転させて旋回するスピン旋回状態
    とに、旋回状態を切り替え可能な走行ミッションケ−ス
    3を有したコンバインにおいて、車体14の左右方向へ
    の旋回方向を決定するパワステレバー54を設け、前
    走行ミッションケ−ス3によって駆動される走行クロー
    ラ6の沈下量を検出する沈下量検出手段を設け、前記走
    行クローラ6の沈下量に応じて旋回状態を自動的に切り
    替え可能に構成し、前記走行ミッションケース3内の入
    力軸15には普通速側と増速側の二段変速可能な変速ク
    ラッチ20を設け、前記入力軸15の下手側に位置する
    変速伝動軸27には副変速を切り換える変速伝動クラッ
    チ28を設け、前記ミッションケース3の入力軸15へ
    油圧駆動による主変速としての無断変速装置16の出力
    軸17を連動連結する構成とし、前記変速クラッチ20
    が増速側であって、前記副変速を切り換える変速伝動ク
    ラッチ28が高速側の状態で走行中、主変速としての
    無段変速装置16を変速制御する主変速レバー53が
    減速されると、前記変速クラッチ20を自動的に普通速
    側へ切り替えるように構成したことを特徴とするコンバ
    インの旋回装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、電磁弁による油圧切
    替クラッチを設け、該油圧切替クラッチを作用させるモ
    −ド切替スイッチ4を設け、旋回中において、該モ−ド
    切替スイッチ4を操作して別の旋回状態に切り替え可能
    に構成したことを特徴とするコンバインの旋回装置。
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