JP4605687B2 - インチング用油圧クラッチの制御装置 - Google Patents

インチング用油圧クラッチの制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はモータグレーダ等の建設機械車両でインチング作業を行う場合に使用されるインチング用油圧クラッチの制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建設機械ではインチングによって作業が行われる。インチングとは、インチングクラッチと呼ばれる油圧クラッチを半クラッチ状態にしてエンジンから駆動輪へ動力を伝達し、車両を微速走行させるという操作方法である。
【0003】
インチングクラッチは、ペダルの踏み込み操作に応じて、インチングクラッチに作用する油圧が漸減して係合状態から半クラッチ状態を経て解放状態とされ、ペダルの踏み戻し操作に応じて、インチングクラッチに作用する油圧が漸増して解放状態から半クラッチ係合を経て元の係合状態とされる。
【0004】
具体的には、ペダルを踏み込んでペダル操作量θを大きくするほど、インチングクラッチに与えられる指令油圧Pが減少する。指令油圧Pが減少すると、インチングクラッチのピストン作動圧油室内の実際の油圧P′が減少し、クラッチ作動ピストンに作用する圧力が減少し、クラッチ摩擦板に作用する圧力が減少する。するとインチングクラッチの係合力が減少するため、半クラッチ状態になる。こうして車両が微速走行する。ペダル操作量θをストロークエンドにすると、インチングクラッチのクラッチ摩擦板が解放される。
【0005】
またペダルを戻してペダル操作量θを小さくするほど、インチングクラッチに与えられる指令油圧Pが増加する。指令油圧Pが増加するとインチングクラッチのピストン作動圧油室内の実際の油圧P′が増加し、クラッチ作動ピストンに作用する圧力が増加し、クラッチ摩擦板に作用する圧力が増加して、インチングクラッチのクラッチ摩擦板が係合される。
【0006】
本明細書では、インチングクラッチに与えられる指令油圧をPとし、インチングクラッチのピストン作動圧油室内の実際の油圧をP′であるとして説明する。
【0007】
従来はインチングクラッチには、主に固定クラッチが使用されている。固定クラッチとは、固定されたケース内にピストン作動圧油室とクラッチ作動ピストンとが設けられた油圧クラッチのことである。
【0008】
図5はペダル操作量θと、固定クラッチの実油圧P′、指令油圧Pとの関係を示している。
【0009】
図5に示すように、固定クラッチでは指令油圧Pが実油圧P′にほぼ一致する。このためペダル操作量θに応じた実油圧P′が得られる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ここで回転クラッチを、インチングクラッチとして使用すると以下のような問題が生じる。回転クラッチとは、回転ハウジング内に一方のクラッチ摩擦板とピストン作動圧油室とクラッチ作動ピストンとが設けられ、回転ハウジングの回転と共に一方のクラッチ摩擦板とピストン作動圧油室とクラッチ作動ピストンとが共に回転する油圧クラッチのことである。つまり一方の回転板(クラッチ摩擦板)側にピストン作動圧油室が設けられている。
【0011】
回転クラッチのピストン作動圧油室及びクラッチ作動ピストンは、一方のクラッチ摩擦板を備えた回転ハウジングと共に回転する。つまり一方の回転板(クラッチ摩擦板)と共にピストン作動圧油室が回転する。
【0012】
するとピストン作動圧油室内の圧油には遠心力が作用し、クラッチ摩擦板を係合する方向への力が遠心力の大きさに応じて、クラッチ作動ピストンに付加される。この付加される圧力のことを遠心油圧PCという。
【0013】
図6(a)はペダル操作量θと、回転クラッチの実油圧P′、指令油圧Pとの関係を示している。図6(b)は指令油圧Pを一定とした場合のクラッチ回転数Nと牽引力Tとの関係を示している。なおクラッチ回転数Nは、エンジン回転数、車速などにより定まる。
【0014】
図6(a)に示すように、回転クラッチでは遠心油圧PCの影響により実油圧P′が指令油圧Pよりも大きくなる。θ1をしきい値とすると、ペダル操作量θがθ<θ1の領域では、指令油圧Pが大きく、実油圧P′のうちで遠心油圧PCが占める割合が小さい。ペダル操作量θがθ<θ1の場合は、遠心油圧PCの付加により実油圧P′が大きくなり牽引力が大きくなり車速Sが速くなるものの、指令油圧Pが大きく微妙なインチング走行が必要となる領域ではない。したがってペダル操作量θがθ<θ1の領域では、遠心油圧PCの付加による牽引力の増加が、インチング走行に与える影響は小さい。
【0015】
一方ペダル操作量θがθ1≦θの範囲では、指令油圧Pが小さく、実油圧P′のうちで遠心油圧PCが占める割合が大きい。実油圧P′のうちで遠心油圧PCが占める割合が大きいことは、オペレータがペダル操作量θで意図している以上の牽引力Tが発生していることを意味する。ペダル操作量θがθ1≦θの場合は、指令油圧Pが小さく微妙なインチング走行が必要とされる。遠心油圧PCの付加により実油圧P′が大きくなり、オペレータがペダル操作量θで意図している以上の牽引力Tが発生するため、オペレータが意図するインチング走行速度にならない。このようにペダル操作量θがθ1≦θの領域では、遠心油圧PCの付加による牽引力の増加がインチング走行に与える影響は大きい。
【0016】
図6(b)に示すように指令油圧Pを一定とすればクラッチ回転数Nが大きくなるに伴い、牽引力Tは大きくなる。
【0017】
このようにペダル操作量θが大きい領域(θ1≦θ)の場合には、オペレータがペダル操作量θで意図している以上の牽引力Tが発生することになり、クラッチ回転数Nが大きくなるにつれてその牽引力Tは大きくなる。
【0018】
このためペダルを大きく踏み込んでいる領域ではオペレータの意図しない大きな牽引力Tが発生し、オペレータに違和感を与えたり、クラッチ回転数によってインチングフィーリングが変わってしまうという感覚をオペレータに与えるという不都合があった。このような操作上の違和感は、インチング操作に悪影響を与え、オペレータに無理な操作を強いたり、予期しない誤操作を招き作業効率を損なうことになっていた。
【0019】
本発明はこうした実状に鑑みてなされたものであり、建設機械でインチングを行う場合に、ペダルを大きく踏み込んでいる領域ではオペレータの意図したとおりの小さい牽引力Tを発生できるようにし、クラッチ回転数Nの大きさ如何にかかわらずインチングフィーリングを一定にして、インチング操作を容易に行えるようにし、作業の効率を向上させることを解決課題とするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段および作用、効果】
そこで第1発明は、
エンジンと駆動輪との間に介在され、両回転板のうち一方の回転板と共に圧油室が回転し、両回転板が係合することにより前記エンジンの駆動力を前記駆動輪に伝達させるインチング用油圧クラッチと、前記インチング用油圧クラッチの圧油室に、操作量に応じた圧力の圧油を供給することにより、前記インチング用油圧クラッチを係合または解放させる操作手段とを備えたインチング用油圧クラッチの制御装置において、
前記インチング用油圧クラッチの両回転板のうち前記圧油室と共に回転する前記一方の回転板の回転数を検出する回転数検出手段と、
前記回転数検出手段で検出された回転数が大きくなるほど、前記インチング用油圧クラッチに供給される圧油の圧力が小さくなるように、供給圧油の圧力を補正する補正手段とを備えたこと
を特徴とする。
【0021】
第1発明を図1、図2、図3を用いて説明する。
【0022】
図2に示すように、インチング作業に用いられる回転クラッチ12の回転ハウジング34内にはクラッチプレート12b、クラッチ作動ピストン36、クラッチ作動圧油室37が設けられており、これらは共に回転する。回転クラッチ12のクラッチプレート12bの回転に伴い、クラッチ作動圧油室37内に供給される圧油の圧力には、遠心油圧PCが付加される。
【0023】
図3に示すように、回転数Nが大きいほど、小さくなる指令油圧Pが予め設定される。
【0024】
回転数検出手段17では回転数Nが検出される。そこで回転数検出手段17で検出された回転数Nが大きくなり遠心油圧PCが大きくなるほど、回転クラッチ12に供給される圧油の圧力Pが小さくなるように、供給圧油の圧力Pが補正される。
【0025】
第1の発明によれば、回転数Nが大きくなり遠心油圧PCが大きくなるほど、油圧クラッチ12に供給される圧油の圧力Pが小さくなるように、供給圧油の圧力Pを補正するようにしているので、ペダルを大きく踏み込んでいる領域(θ1≦θ)であってもオペレータの意図したとおりの小さい牽引力Tを発生でき、クラッチ回転数Nの大きさ如何にかかわらずインチングフィーリングを一定にすることができる。このためインチング操作を容易に行うことができ、作業効率が向上する。
【0026】
また第2発明は、第1発明において、
前記インチング用油圧クラッチに対する供給圧油の圧力が低くなる一定の操作領域で、前記操作手段が操作されている場合に、前記補正手段によって供給圧油の圧力を補正すること
を特徴とする。
【0027】
第2発明を図1、図2、図3を用いて説明する。
【0028】
図3に示すように、回転クラッチ12に対する供給圧油の圧力Pが低くなる(P≦PS)一定の操作領域(θ1≦θ)で操作手段20が操作されている場合に、回転数検出手段17で検出された回転数Nが大きくなり遠心油圧PCが大きくなるほど、油圧クラッチ12に供給される圧油の圧力Pが小さくなるように、供給圧油の圧力Pが補正される。
【0029】
第2の発明によれば、遠心油圧PCがインチング走行に与える影響が大きい操作領域(θ1≦θ)で、供給圧油の圧力Pが補正されるので、オペレータの意図したとおりの小さな牽引力Tを発生でき、クラッチ回転数Nの大きさ如何にかかわらずインチングフィーリングを一定にすることができる。このためインチング操作を容易に行うことができ、作業効率が向上する。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下本発明に係る油圧クラッチの制御装置の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0031】
図1はインチングを行う作業車両に搭載された動力伝達装置を示す図である。
【0032】
同図1に示すようにエンジン11と駆動輪15との間にはトルクコンバータ23、シャフト26、インチングクラッチ12、シャフト27、ギヤトレイン13、シャフト28、ディファレンシャル14が順に設けられている。
【0033】
トルクコンバータ23には、エンジン11の出力軸と回転クラッチ12の入力シャフト26とを直結にするロックアップクラッチ24が設けられている。
【0034】
インチングクラッチ12は、圧油に応じて係合または解放する油圧クラッチであり、クラッチ摩擦板としてのクラッチディスク12aとクラッチプレート12bとからなる。インチングクラッチ12は、回転クラッチであり、図2で後述するように回転ハウジング34内に一方のクラッチ摩擦板12bとピストン作動圧油室37とクラッチ作動ピストン36とが設けられ、回転ハウジング34の回転と共に一方のクラッチ摩擦板12bとピストン作動圧油室37とクラッチ作動ピストン36とが共に回転する。つまり一方の回転板12b(クラッチ摩擦板12b)側にピストン作動圧油室37が設けられている。
【0035】
回転クラッチ12のピストン作動圧油室37及びクラッチ作動ピストン36は、一方のクラッチ摩擦板12bを備えた回転ハウジング34と共に回転する。つまり一方の回転板12b(クラッチ摩擦板12b)と共にピストン作動圧油室37が回転する。
【0036】
ギヤトレイン13内には複数の変速クラッチが設けられている。
【0037】
L/Cスイッチ26は、エンジン11から回転クラッチ12への動力をトルクコンバータ23又はロックアップクラッチ24の何れを介して伝達するかを選択するスイッチである。L/Cスイッチ26によって「T/C」が選択されると、圧力制御弁25から圧油がタンクに排出され、ロックアップクラッチ24のクラッチ摩擦板が解放される。このためエンジン11の動力はトルクコンバータ23を介して回転クラッチ12へ伝達される。またL/Cスイッチ26によって「L/C」が選択されると、コントローラ19、圧力制御弁25を介して制御圧油がロックアップクラッチ24に出力され、ロックアップクラッチ24のクラッチ摩擦板が係合される。このためエンジン11の動力はロックアップクラッチ24を介して回転クラッチ12へ伝達される。
【0038】
回転クラッチ12の出力側にはシャフト27の回転数Nを検出する回転センサ17が設けられている。シャフト27の回転数Nを検出することによりクラッチプレート12bの回転数Nつまりピストン作動圧油室37(図2参照)の回転数N(これをクラッチ回転数Nという)が検出される。
【0039】
しかしピストン作動圧油室37がエンジン11側(入力側)にある場合は、回転クラッチ12の入力側のシャフト26の回転数を検出する回転センサ16を設けてもよい。シャフト26の回転数を検出することによりクラッチディスク12aの回転数つまりピストン作動圧油室37の回転数N(クラッチ回転数N)を検出することができる。
【0040】
またギヤトレイン13の出力側にシャフト28の回転数を検出する回転センサ18を設けてもよい。シャフト28の回転数を検出することによりクラッチ回転数Nを検出することができる。
【0041】
回転センサ17あるいは16あるいは18の検出信号はコントローラ19に入力される。
【0042】
クラッチディスク12aとクラッチプレート12bとの係合操作および解放(係合解除)操作はインチングペダル20によって行われる。インチングペダル20の基準位置からの操作量θは、ポテンショメータ21で検出され検出信号がコントローラ19に入力される。インチングペダル20が戻されており(基準位置にあり)操作量θが零のときには、回転クラッチ12は係合している。インチングペダル20が踏み込まれており操作量θが最大のときには、回転クラッチ12は解放している。
【0043】
コントローラ19は、回転センサ17で検出されたクラッチ回転数Nとポテンショメータ21で検出された操作量θとに基づいて、圧力制御弁22に対して指令信号を出力する。圧力制御弁22は入力された指令信号に応じた指令油圧Pを生成し、回転クラッチ12に出力する。
【0044】
図2は回転クラッチの断面を示す図である。
【0045】
回転クラッチ12は、大きくは各々別体のシャフト31と回転ハウジング34とからなる。回転ハウジング34の中心にはシャフト31が挿通されており、回転ハウジング34はシャフト31に対して回転自在となっている。
【0046】
シャフト31の外周側には、軸方向スプライン歯32により複数のクラッチディスク12aが固定されている。回転ハウジング34のドラム内周側には、軸方向スプライン歯33により複数のクラッチプレート12bが固定されている。複数のクラッチディスク12aと複数のクラッチプレート12bとは互いに交互に配置されている。回転ハウジング34には、ピストン作動圧油室37が設けられている。ピストン作動圧油室37内には、供給圧油に応じて作動するクラッチ作動ピストン36が摺動自在に収容されている。クラッチ作動ピストン36はクラッチプレート12bに当接している。ピストン作動圧油室37内の圧油の実油圧P′によってクラッチ作動ピストン36が作動し、クラッチプレート12bに押圧力が作用する。
【0047】
回転ハウジング34にはギヤ38が固定されている。
【0048】
圧力制御弁22からピストン作動圧油室37に指令油圧Pの圧油が供給されると、ピストン作動圧油室37内で実油圧P′が発生し、この実油圧P′によってクラッチ作動ピストン36を介してクラッチプレート12bに押圧力が作用する。これにより複数のクラッチプレート12bと複数のクラッチディスク12aとが互いに係合する。こうしてクラッチディスク12aとクラッチプレート12bとの間で動力の伝達が可能になる。したがってシャフト31とクラッチディスク12a、クラッチプレート12bと回転ハウジング34とが共に回転して、回転ハウジング34に設けられたギヤ38からシャフト27へ動力が出力される。
【0049】
図3はインチングペダル20の操作量θと、指令油圧Pとの関係をクラッチプレート12bの回転数の大きさ毎に示している。図3の関係はコントローラ19に予め設定されている。
【0050】
コントローラ19には、指令油圧Pが低圧領域(P≦PS)にある場合、つまりインチングペダル20が最大操作領域θ1≦θで操作されている場合に、クラッチ回転数Nが高くなるほど、指令油圧Pが小さくなる特性43、41、42が予め設定されている。
【0051】
インチングペダル20が最大操作領域θ1≦θで操作されている場合に、図6(a)に示す従来の特性40′に対して補正した特性43、41、42を設定しているのは、ペダル操作量θが大きくなるほど、指令油圧Pが小さくなり、実油圧P′のうちで遠心油圧PCが占める割合が大きくなるからである。
【0052】
またクラッチ回転数Nが大きくなるほど指令油圧Pが小さくなるように補正しているのは、クラッチ回転数Nが大きくなるほど、遠心油圧PCが大きくなるからである。
【0053】
コントローラ19には、クラッチ回転数Nの各回転数領域つまり低回転領域、中回転領域、高回転領域ごとに、特性43、特性41、特性42がそれぞれ設定されている。コントローラ19は、回転センサ17で検出した回転数Nが0≦N<N1である場合に「低回転領域」であると判定し、N1≦N<N2の場合である場合に「中回転領域」であると判定し、N2≦Nの場合に「高回転領域」であると判定する。
【0054】
以下指令油圧Pが低圧領域(P≦PS)にある場合、つまりインチングペダル20が最大操作領域θ1≦θで操作されている場合であって、操作量が最大操作領域θ1≦θ中のθ3である場合を例にとり説明する。
【0055】
クラッチ回転数Nが低回転領域にある場合の遠心油圧は小さく、このときの遠心油圧をPCLとする。この場合は一点鎖線で示す特性43にしたがい指令油圧Pが補正される。つまり操作量θ3に対応する指令油圧PはPLとなる。
【0056】
クラッチ回転数Nが中回転領域にある場合の遠心油圧は低回転領域のときの遠心油圧PCLよりも大きくこのときの遠心油圧をPCMとする。この場合は実線で示す特性41にしたがい指令油圧Pが補正される。つまり操作量θ3に対応する指令油圧Pは、低回転領域PLよりも小さい指令油圧PMとなる。
【0057】
クラッチ回転数Nが高回転領域にある場合の遠心油圧は中回転領域のときの遠心油圧PCMよりも大きくこのときの遠心油圧をPCHとする。この場合は破線で示す特性42にしたがい指令油圧Pが補正される。つまり操作量θ3に対応する指令油圧Pは、中回転領域PMよりも小さい指令油圧PHとなる。
【0058】
定量的には、遠心油圧PCL、PCM、PCH、指令油圧PL、PM、PHとの間には、
PL+PCL≒PM+PCM≒PH+PCH
という関係が成立するように指令油圧Pが補正される。つまり遠心油圧PCL、PCM、PCHの大きさ如何にかかわらず、回転クラッチ12のピストン作動圧油室37内の実油圧P′は、ほぼ一定の値になる。
【0059】
図4はコントローラ19で実行される処理の手順をフローチャートで示している。
【0060】
すなわちオペレータがインチングペダル20を踏み込むことによって、操作量θがポテンショメータ21によって検出され、検出信号がコントローラ19に入力される(ステップ501)。
【0061】
またシャフト27の回転数がクラッチ回転数Nとして回転センサ17によって検出され、検出信号がコントローラ19に入力される(ステップ502)。
【0062】
コントローラ19では、入力されたクラッチ回転数Nが0≦N<N1、N1≦N<N2、N2≦Nのいずれに属しているかを判定することによって、「低回転領域」、「中回転領域」、「高回転領域」の何れに該当するかを判定する(ステップ503)。
【0063】
この回転領域が「低回転領域」、「中回転領域」、「高回転領域」のいずれであるかに応じて、図3の特性43、特性41、特性42がそれぞれ選択される。そして、選択された特性から、入力された操作量θに対応する指令油圧Pを補正指令油圧Pとして求める(ステップ504)。
【0064】
つぎに補正指令油圧Pに対応する指令信号(電気信号)がコントローラ19から圧力制御弁22に出力される。この結果圧力制御弁22から回転クラッチ12には、補正指令油圧Pが制御油圧として出力される(ステップ505)。
【0065】
以上のように本実施形態によれば、インチングペダル20が最大操作領域(θ1≦θ)で操作されている場合に、回転センサ17で検出されたクラッチ回転数Nが大きくなるほど、油圧クラッチ12に供給される指令油圧Pが小さくなるように、指令油圧Pを補正するようにしている。このためインチングペダル20を大きく踏み込んでいる領域(θ1≦θ)においてオペレータの意図したとおりの小さい牽引力Tを発生でき、エンジン回転数(クラッチ回転数)Nの大きさ如何にかかわらずインチングフィーリングを一定にすることができる。このためインチング操作を容易に行うことができ、作業効率が向上する。
【0066】
なお本実施形態ではクラッチ回転数Nの領域を3段階に離散的に設定して、特性43、特性41、特性42を3段階に離散的に設定している。しかし図7に示すようにクラッチ回転数Nの連続的な変化に応じて、特性42と特性43との間で連続的に特性を変化させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は建設機械の動力伝達装置を示す図である。
【図2】図2は回転クラッチの断面を示す図である。
【図3】図3はインチングペダルの操作量θと指令油圧Pとの関係をクラッチプレートbの回転数別に示す図である。
【図4】図4はコントローラによる処理手順を示すフローチャートである。
【図5】図5は固定クラッチにおいての実油圧P′及び指令油圧Pとペダル操作量θとの関係を示す図である。
【図6】図6(a)は回転クラッチにおいての実油圧P′及び指令油圧Pとペダル操作量θとの関係を示す図であり、図6(b)は指令油圧Pを一定とした場合のクラッチ回転数Nと牽引力Tとの関係を示す図である。
【図7】図7はクラッチ回転数の連続的な変化に対して指令油圧の特性が連続的に変化する実施例を示す図である。
【符号の説明】
11 エンジン 12 回転クラッチ 12a クラッチディスク 12bクラッチプレート 15 駆動輪 17 回転センサ 19 コントローラ 20 インチングペダル 22 圧力制御弁 37 圧油室

Claims (2)

  1. エンジンと駆動輪との間に介在され、両回転板のうち一方の回転板と共に圧油室が回転し、両回転板が係合することにより前記エンジンの駆動力を前記駆動輪に伝達させるインチング用油圧クラッチと、前記インチング用油圧クラッチの圧油室に、操作量に応じた圧力の圧油を供給することにより、前記インチング用油圧クラッチを係合または解放させる操作手段とを備えたインチング用油圧クラッチの制御装置において、
    前記操作手段の操作量が大きくなるに伴い指令油圧が小さくなる特性にしたがって指令油圧を前記インチング用油圧クラッチに与えることにより、前記インチング用油圧クラッチの圧油室内では、指令油圧に対応する実際の油圧が発生するものであり、
    前記インチング用油圧クラッチの両回転板のうち前記圧油室と共に回転する前記一方の回転板の回転数であるクラッチ回転数を検出するクラッチ回転数検出手段を備え、
    前記特性のうち、前記操作手段の操作量が所定のしきい値以上となる領域において、同じ操作量に対して前記クラッチ回転数が大きくなるほど指令油圧が小さくなる補正特性を離散的にあるいは連続的に予め用意しておき、
    前記操作手段の操作量が所定のしきい値以上になっている場合には、前記クラッチ回転数検出手段で検出されたクラッチ回転数に対応する補正特性を選択して、当該選択した補正特性にしたがい指令油圧を、前記インチング用油圧クラッチに与えること
    を特徴とするインチング用油圧クラッチの制御装置。
  2. 前記補正特性は、前記クラッチ回転数が大きくなるほど、前記操作量の増加量に対する指令油圧の減少量が大きくなる特性であること
    を特徴とする請求項1記載のインチング用油圧クラッチの制御装置。
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