JP2020083136A - 四輪駆動車両の制御装置 - Google Patents

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【課題】ブレーキ性能が低下することを抑制でき、且つ、前輪側動力伝達部材の耐久性が低下することを抑制できる四輪駆動車両の制御装置を提供する。【解決手段】四輪駆動走行中であり且つ前輪14L、14Rが空転中であるときにおいて、急ブレーキ操作が行われると、噛合式クラッチ36または前輪駆動用クラッチ56の断接状態を切り替え、トランスファ22と前輪14L、14Rとの間の動力伝達経路を切断する。これにより、トランスファ22に伝達された駆動力の一部を前輪14L、14Rに伝達する前輪側動力伝達部材が、エンジン12およびエンジン12からの駆動力をトランスファ22から後輪16L、16Rに伝達する後輪側動力伝達部材から切り離され、前記後輪側動力伝達部材が回転する慣性力が、前記前輪側動力伝達部材に作用されなくので、急ブレーキ操作が行われたときに前記前輪側動力伝達部材に発生するトルクを低減することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、後輪を駆動輪とした二輪駆動走行と、前輪および後輪をそれぞれ駆動輪とした四輪駆動走行と、が切り替えられる四輪駆動車両に関し、四輪駆動走行中の急ブレーキ操作時において、前輪に動力伝達可能に連結された前輪側動力伝達部材の耐久性の低下を抑制させる技術に関する。
(a)駆動力源からの駆動力をトランスファから後輪に伝達する一方、前記トランスファに伝達された駆動力の一部を断接装置を介して前輪に伝達する動力伝達装置を備え、(b)前記断接装置の断接状態が切り替えられることにより、前記後輪を駆動輪とした二輪駆動走行と、前記前輪および前記後輪をそれぞれ駆動輪とした四輪駆動走行と、が切り替えられる四輪駆動車両が知られている。例えば、特許文献1に記載された四輪駆動車両がそれである。
特許文献1に示すような後輪駆動をベースとしたパートタイム式の四輪駆動車両においては、前記トランスファに伝達された駆動力の一部を前記前輪に伝達する前輪側動力伝達部材は、四輪駆動走行のときにしか使用されないため、一般的に、前記駆動力源からの駆動力を前記トランスファから前記後輪に伝達する後輪側動力伝達部材よりも小さなサイズとなっている。また、一般的に、ブレーキ操作による前記前輪の制動力は、例えば制動時の減速度による荷重変化に応じて前記後輪の制動力を有効に活用できるように、前記後輪の制動力に比べて大きくされている。このため、各車輪に大きな駆動トルクが伝達される四輪駆動走行中であり且つ車輪が空転中であるときにおいて、急ブレーキ操作が行われると、前記前輪側動力伝達部材および前記後輪側動力伝達部材に大きなトルクが発生するが、特に、前記前輪側動力伝達部材には前記後輪側動力伝達部材よりも大きなトルクが発生し易く、前記前輪側動力伝達部材は前記後輪側動力伝達部材よりも強度が弱いので、前記前輪側動力伝達部材の耐久性が低下する問題がある。これに対して、特許文献1では、ブレーキ操作によって前記前輪に付与される制動力を低減することにより、前記前輪側動力伝達部材の耐久性の低下を抑制することが提案されている。
特開2001−122095号公報
しかしながら、特許文献1の四輪駆動車両のように、前記前輪側動力伝達部材の耐久性の低下を抑制するためにブレーキ操作によって前記前輪に付与される制動力を低減させると、例えばブレーキ操作が行われてから車両が停止するまでの制動距離が延びるといったブレーキ性能の低下につながってしまうという問題があった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、ブレーキ性能が低下することを抑制でき、且つ、前輪側動力伝達部材の耐久性が低下することを抑制できる四輪駆動車両の制御装置を提供することにある。
第1発明の要旨とするところは、(a)駆動力源からの駆動力をトランスファから後輪に伝達する一方、前記トランスファに伝達された駆動力の一部を断接装置を介して前輪に伝達する動力伝達装置を備えた四輪駆動車両に関して、前記断接装置の断接状態を切り替えることにより、前記後輪を駆動輪とした二輪駆動走行と、前記前輪および前記後輪をそれぞれ駆動輪とした四輪駆動走行と、を切り替える四輪駆動車両の制御装置であって、(b)前記四輪駆動走行中であり且つ前記前輪および前記後輪の少なくとも1つの車輪が空転中であるときにおいて、所定速度以上の急ブレーキ操作が行われると、前記断接装置の断接状態を切り替え、前記トランスファと前記前輪との間の動力伝達経路を切断することにある。
第1発明によれば、前記四輪駆動走行中であり且つ前記前輪および前記後輪の少なくとも1つの車輪が空転中であるときにおいて、所定速度以上の急ブレーキ操作が行われると、前記断接装置の断接状態が切り替えられ、前記トランスファと前記前輪との間の動力伝達経路が切断される。これにより、前記トランスファに伝達された駆動力の一部を前記前輪に伝達する前輪側動力伝達部材が、前記駆動力源と前記駆動力源からの駆動力を前記トランスファから前記後輪に伝達する後輪側動力伝達部材とから切り離され、前記後輪側動力伝達部材が回転する慣性力が、前記前輪側動力伝達部材に作用されなくなるので、前記急ブレーキ操作が行われたときに前記前輪側動力伝達部材に発生するトルクを、例えば前記前輪側動力伝達部材に前記駆動力源と前記後輪側動力伝達部材とが連結されている場合に比較して、好適に低減することができる。また、前記急ブレーキ操作時に前記前輪の制動力を低減させないので、前記急ブレーキ操作が行われてから車両が停止するまでの制動距離が延びるといったブレーキ性能の低下を好適に抑制することができる。これによって、ブレーキ性能が低下することを抑制でき、且つ、前記前輪側動力伝達部材の耐久性が低下することを抑制できる。
本発明が好適に適用された四輪駆動車両の構成を概略的に説明する骨子図である。 図1の四輪駆動車両に設けられたトランスファの構成を説明する骨子図である。 図1の電子制御装置において、四輪駆動走行中に前輪がスリップしたときにおける前輪駆動用クラッチ、噛合式クラッチのクラッチ制御の作動の一例を説明するフローチャートである。
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明が適用された四輪駆動車両10の概略構成を説明する図である。図1に示すように、四輪駆動車両10は、駆動力源としてのエンジン12と、左右一対の前輪14L、14Rと、左右一対の後輪16L、16Rと、エンジン12からの駆動力を前輪14L、14Rと後輪16L、16Rとへそれぞれ伝達する動力伝達装置18等と、を備えている。なお、後輪16L、16Rは、二輪駆動走行中のときと四輪駆動走行中のときとに、共に駆動輪となる主駆動輪である。また、前輪14L、14Rは、二輪駆動走行中のときに従動輪となり且つ四輪駆動走行中のときに駆動輪となる副駆動輪である。四輪駆動車両10は、前置エンジン後輪駆動(FR)をベースとする四輪駆動車両である。
動力伝達装置18は、図1に示すように、自動変速機20と、トランスファ22と、フロントプロペラシャフト24およびリヤプロペラシャフト26と、前輪用差動歯車装置28と、後輪用差動歯車装置30と、左右一対の前輪車軸32L、32Rと、左右一対の後輪車軸34L、34R等と、を備えている。動力伝達装置18では、自動変速機20を介して伝達されたエンジン12からの駆動力を、トランスファ22から、例えば、リヤプロペラシャフト26、後輪用差動歯車装置30、後輪車軸34L、34R等を順次介して後輪16L、16Rへ伝達する。また、動力伝達装置18では、トランスファ22に伝達されたエンジン12からの駆動力の一部が前輪14側へ分配されると、その分配された駆動力を、例えば、フロントプロペラシャフト24、前輪用差動歯車装置28、前輪車軸32L、32R等を順次介して前輪14L、14Rへ伝達する。なお、動力伝達装置18には、前輪用差動歯車装置28と前輪車軸32Rとの間の動力伝達経路を選択的に切断または接続する噛合式クラッチ(断接装置)36が備えられている。また、自動変速機20では、例えば、複数の油圧式摩擦係合装置が選択的に作動させられることによって、複数段の前進ギヤ段、および1段の後進ギヤ段が成立するようになっている。
噛合式クラッチ36は、図1に示すように、第1回転部材38と、第2回転部材40と、可動スリーブ42と、アクチュエータ44と、を備えている。第1回転部材38は、前輪用差動歯車装置28に設けられたサイドギヤ28aに動力伝達可能に連結されている。第2回転部材40は、前輪車軸32Rに動力伝達可能に連結されている。可動スリーブ42には、第2回転部材40の外周面に形成された第2クラッチ歯40aと前進車軸32L、32Rの回転軸線C方向において相対移動可能に常時噛み合い且つ第1回転部材38の外周面に形成された第1クラッチ歯38aにも噛み合い可能な内周歯42aが形成されている。アクチュエータ44は、可動スリーブ42を、その可動スリーブ42の内周歯42aが第1クラッチ歯38aに噛み合う噛合位置と、第1クラッチ歯38aに噛み合わない非噛合位置と、に回転軸線C方向に移動させる。なお、アクチュエータ44は、後述する電子制御装置(制御装置)100から供給される第1駆動電流I1によって、可動スリーブ42を前記噛合位置と前記非噛合位置とに選択的に移動させる。
図2はトランスファ22の概略構成を説明する骨子図である。図2に示すように、トランスファ22は、非回転部材としてのトランスファケース46を備えている。トランスファ22は、トランスファケース46内において、入力軸48と、後輪側出力軸50と、前輪駆動用ドライブスプロケット52と、ハイロー切替機構54と、前輪駆動用クラッチ(断接装置)56と、を共通の第1回転軸線C1まわりに備えている。入力軸48は、自動変速機20を介してエンジン12に動力伝達可能に連結されている。後輪側出力軸50は、リヤプロペラシャフト26に動力伝達可能に連結されており、後輪側出力軸50は、エンジン12から入力軸48に伝達される駆動力を後輪16L、16Rへ出力する。前輪駆動用ドライブスプロケット52は、後輪側出力軸50に対して相対回転可能に後輪側出力軸50に支持されており、前輪駆動用ドライブスプロケット52は、例えば前輪駆動用クラッチ56によって前輪駆動用ドライブスプロケット52にエンジン12からの駆動力の一部が伝達されると、そのエンジン12からの駆動力の一部をフロントプロペラシャフト24に出力する。ハイロー切替機構54は、入力軸48の回転を変速して後輪側出力軸50へ伝達する副変速機として機能する。前輪駆動用クラッチ56は、多板の湿式クラッチであり、前輪駆動用クラッチ56は、後輪側出力軸50に伝達された駆動力の一部を前輪駆動用ドライブスプロケット52に伝達、すなわち後輪側出力軸50から前輪駆動用ドライブスプロケット52へ伝達する伝達トルクを調整する。すなわち、前輪駆動用クラッチ56は、後輪側出力軸50と前輪駆動用トライブスプロケット52との間の動力伝達経路を選択的に切断または接続する断接装置として機能する。
また、トランスファ22は、トランスファケース46内において、前輪側出力軸58と、前輪駆動用ドリブンスプロケット60と、を共通の第2回転軸線C2回りに備えている。さらに、トランスファ22は、前輪駆動用チェーン62と、デフロック機構(断接装置)64と、を備えている。前輪側出力軸58は、フロントプロペラシャフト24に動力伝達可能に連結されている。前輪駆動用ドリブンスプロケット60は、前輪側出力軸58に一体的に設けられている。前輪駆動用チェーン62は、前輪駆動用ドライブスプロケット52と前輪駆動用ドリブンスプロケット60とにそれぞれ掛けられ、前輪駆動用ドライブスプロケット52と前輪駆動用ドリブンスプロケット60とを動力伝達可能に連結する。デフロック機構64は、後輪側出力軸50と前輪駆動用ドライブスプロケット52とを選択的に連結するドグクラッチであり、デフロック機構64は、リヤプロペラシャフト26とフロントプロペラシャフト24との間の回転差動が制限されない差動状態と、それらの間の回転差動が制限された非差動状態と、を選択的に切り替える。すなわち、デフロック機構64は、後輪側出力軸50と前輪駆動用トライブスプロケット52との間の動力伝達経路を選択的に切断または接続する断接装置として機能する。
ハイロー切替機構54は、図2に示すように、シングルピニオン型の遊星歯車装置66と、ハイロースリーブ68と、を備えている。遊星歯車装置66は、入力軸48に動力伝達可能に連結されたサンギヤSと、トランスファケース46に第1回転軸線C1まわりの回転が不能に連結されたリングギヤRと、これらサンギヤSおよびリングギヤRに噛み合う複数のピニオンギヤPを自転可能且つ第1回転軸線C1まわりの公転可能に支持するキャリアCAと、を有している。このため、ハイロー切替機構54において、サンギヤSの回転速度は、入力軸48に対して等速であり、キャリアCAの回転速度は、入力軸48に対して減速する。なお、図2に示すように、サンギヤSの内周面には、ハイ側ギヤ歯70が形成されており、キャリアCAには、ハイ側ギヤ歯70と同径のロー側ギヤ歯72が形成されている。
ハイロースリーブ68は、後輪側出力軸50に対して第1回転軸線C1方向に相対移動可能且つ後輪側出力軸50に対して相対回転不能に、後輪側出力軸50にスプライン嵌合されている。ハイロースリーブ68には、フォーク連結部68aと、フォーク連結部68aに隣接して一体的に設けられた外周歯68bと、が備えられている。なお、ハイロー切替機構54では、ハイロースリーブ68が後輪側出力軸50に対して第1回転軸線C1方向に移動させられて、ハイロースリーブ68の外周歯68bがハイ側ギヤ歯70に噛み合うと、入力軸48の回転と等速の回転を後輪側出力軸50へ伝達する高速側ギヤ段Hが形成される。また、ハイロー切替機構54では、ハイロースリーブ68が後輪側出力軸50に対して第1回転軸線C1方向に移動させられて、ハイロースリーブ68の外周歯68bがロー側ギヤ歯72に噛み合うと、入力軸48の回転に対して減速された回転を後輪側出力軸50へ伝達する低速側ギヤ段Lが形成される。
デフロック機構64は、図2に示すように、前輪駆動用ドライブスプロケット52の内周面に形成されたロック歯74と、後輪側出力軸50に対して第1回転軸線C1方向に相対移動可能且つ後輪側出力軸50に対して相対回転不能に、後輪側出力軸50にスプライン嵌合されたロックスリーブ76と、を備えている。ロックスリーブ76には、ロック歯74に噛合可能な外周歯76aが形成されている。なお、デフロック機構64では、ロックスリーブ76が後輪側出力軸50に対して第1回転軸線C1方向に移動させられて、ロックスリーブ76の外周歯76aがロック歯74に噛み合うと、後輪側出力軸50と前輪駆動用ドライブスプロケット52とが一体的に回転する。
トランスファ22は、図2に示すように、コイル状の第1スプリング78と、コイル状の第2スプリング80と、を備えている。第1スプリング78は、ハイロースリーブ68とロックスリーブ76との間に圧縮された状態で配設されており、ハイロースリーブ68とロックスリーブ76とを相互に離間させる方向へ付勢する。第2スプリング80は、後輪側出力軸50に形成された凸部50aとロックスリーブ76との間に圧縮された状態で配設されており、ロックスリーブ76をロック歯74から離間する方向へ付勢する。なお、トランスファ22では、ハイロースリーブ68の外周歯68bがロー側ギヤ歯72に噛み合うと、ロックスリーブ76が第1スプリング78の付勢力によってロック歯74に接近する方向に第2スプリング80の付勢力に抗して移動して、ロックスリーブ76の外周歯76aがロック歯74に噛み合うようになっている。また、トランスファ22では、ハイロースリーブ68の外周歯68bがハイ側ギヤ歯70に噛み合うと、ロックスリーブ76が第2スプリング80の付勢力によってロック歯74から離間する方向に第1スプリング78の付勢力に抗して移動して、ロックスリーブ76の外周歯76aがロック歯74から離れる。
前輪駆動用クラッチ56は、図2に示すように、クラッチハブ82と、クラッチドラム84と、摩擦係合要素86と、ピストン88と、を備えている。クラッチハブ82は、後輪側出力軸50に動力伝達可能に連結されている。クラッチドラム84は、前輪駆動用ドライブスプロケット52に動力伝達可能に連結されている。摩擦係合要素86は、クラッチハブ82に対して第1回転軸線C1方向に移動可能且つクラッチハブ82に対して動力伝達可能に設けられた複数枚の第1摩擦板86aと、クラッチドラム84に対して第1回転軸線C1方向に移動可能且つクラッチドラム84に対して動力伝達可能に設けられた複数枚の第2摩擦板86bと、を有している。ピストン88は、摩擦係合要素86に当接して第1摩擦板86aと第2摩擦板86bとを挟圧する。
トランスファ22は、前輪駆動用クラッチ56が解放状態であり且つデフロック機構64においてロックスリーブ76の外周歯76aとロック歯74とが噛み合っていない解放状態である場合には、後輪側出力軸50と前輪駆動用ドライブスプロケット52との間の動力伝達経路が切断されるので、エンジン12から自動変速機20を介して伝達された駆動力を後輪16L、16Rのみへすなわちリヤプロペラシャフト26へ伝達する。また、トランスファ22は、前輪駆動用クラッチ56がスリップ係合状態または完全係合状態である場合、または、デフロック機構64においてロックスリーブ76の外周歯76aとロック歯74とが噛み合っている係合状態である場合には、後輪側出力軸50と前輪駆動用ドライブスプロケット52との間の動力伝達経路が接続されるので、エンジン12から自動変速機20を介して伝達された駆動力を前輪14L、14Rおよび後輪16L、16Rにすなわちフロントプロペラシャフト24およびリヤプロペラシャフト26にそれぞれに分配する。
トランスファ22は、ハイロー切替機構54、前輪駆動用クラッチ56、およびデフロック機構64を作動させる装置として、図2に示すように、電動モータ90と、電動モータ90の回転運動を直線運動に変換するねじ機構92と、ねじ機構92で変換された直線運動する力をハイロー切替機構54、前輪駆動用クラッチ56、およびデフロック機構64へそれぞれ伝達する伝達機構94と、を備えている。
ねじ機構92は、後輪側出力軸50と同じ軸心である第1回転軸線C1上に配置されており、ねじ軸部材96とナット部材98とを備えている。ねじ軸部材96は、ウォームギヤ102を介して電動モータ90に間接的に連結されている。ナット部材98は、ねじ軸部材96が第1回転軸線C1まわりに回転することによってねじ軸部材96に対して第1回転軸線C1方向に移動可能に、ねじ軸部材96に螺合されている。また、ウォームギヤ102は、電動モータ90のモータシャフトと一体的に形成されたウォーム104と、ねじ軸部材96に一体的に形成されたウォームホイール106と、を備えた歯車対である。このように構成されることによって、ねじ機構92は、ウォームギヤ102を介してねじ軸部材96に伝達された電動モータ90から回転を、ナット部材98の第1回転軸線C1方向の直線運動に変換する。
伝達機構94は、図2に示すように、フォークシャフト108と、フォーク110と、を備えている。フォークシャフト108は、第1回転軸線C1と平行な第3回転軸線C3上に配設されており、フォークシャフト108は、ナット部材98に動力伝達可能に連結されている。フォーク110は、フォークシャフト108に固設されており、フォーク110は、ハイロースリーブ68のフォーク連結部68aに連結されている。このため、伝達機構94は、ねじ機構92においてナット部材98が直線運動する力を、フォークシャフト108およびフォーク110を介してハイロー切替機構54のハイロースリーブ68へ伝達する。なお、伝達機構94は、ねじ機構92においてナット部材98が直線運動する力を、ハイロースリーブ68へ伝達すると共に、第1スプリング78および第2スプリング80によってデフロック機構64のロックスリーブ76へ伝達する。
図2に示すように、前輪駆動用クラッチ56のピストン88は、ねじ機構92のナット部材98に対して第1回転軸線C1まわりの相対回転が可能且つナット部材98に対して第1回転軸線C1方向の相対移動が不能に、ナット部材98に連結されている。これによって、ねじ機構92においてナット部材98が直線運動する力は、ピストン88を介して前輪駆動用クラッチ56の摩擦係合要素86に伝達される。
また、図1に戻って、四輪駆動車両10には、常用ブレーキとして良く知られた所謂ディスクブレーキである、左右一対の前輪14L、14Rおよび左右一対の後輪16L、16Rに制動力(制動トルク)を発生させる制動装置112が備えられている。制動装置112は、図1に示すように、前輪車軸32L、32Rおよび後輪車軸34L、34Rにそれぞれ固設され、左右一対の前輪14L、14Rおよび左右一対の後輪16L、16Rのそれぞれの車輪と共に回転するディスク114と、車体に連結されたサスペンションを構成する部材等に配設され、ブレーキペダル116の操作量に応じてマスターシリンダ118等からブレーキ油圧Br(MPa)が供給されることによりブレーキパッド(図示しない)を介してディスク114を挟圧するキャリパ120と、ブレーキアクチュエータ122等と、を備えている。なお、ブレーキアクチュエータ122は、例えば、ブレーキ油圧Brの元圧を発生させる油圧ポンプやアキュムレータ、および各車輪に備えられたキャリパ120のブレーキ油圧Brを調圧する複数個のソレノイドバルブ124等を備え、電子制御装置100からの指令信号に従って各車輪のキャリパ120へブレーキ油圧Brを供給するとともにその供給されるブレーキ油圧Brを調圧制御する装置である。
以上のように構成された四輪駆動車両10では、電子制御装置100から電動モータ90に供給される第2駆動電流I2によって電動モータ90のモータシャフトの回転量が制御され且つ電子制御装置100から噛合式クラッチ36のアクチュエータ44に供給される第1駆動電流I1によって可動スリープ42の位置が制御されることより、すなわち、噛合式クラッチ36の断接状態、前輪駆動用クラッチ56の断接状態、およびデフロック機構64の断接状態がそれぞれ切り替えられることにより、二輪駆動走行と四輪駆動走行とが選択的に切り替えられる。なお、上記した噛合式クラッチ36の断接状態とは、噛合式クラッチ36によって前輪車軸32Rと前輪用差動歯車装置30との間の動力伝達経路が切断されている状態と、噛合式クラッチ36によって前輪車軸32Rと前輪用差動歯車装置30との間の動力伝達経路が接続されている状態と、を意味している。また、上記した前輪駆動用クラッチ56の断接状態とは、前輪駆動用クラッチ56によって後輪側出力軸50と前輪駆動用ドライブスプロケット52との間の動力伝達経路が切断されている状態と、前輪駆動用クラッチ56によって後輪側出力軸50と前輪駆動用ドライブスプロケット52との間の動力伝達経路が接続されている状態と、を意味している。また、上記したデフロック機構64の断接状態とは、デフロック機構64によって後輪側出力軸50と前輪駆動用ドライブスプロケット52との間の動力伝達経路が切断されている状態と、デフロック機構64によって後輪側出力軸50と前輪駆動用ドライブスプロケット52との間の動力伝達経路が接続されている状態と、を意味している。
たとえば、電子制御装置100でH2走行モード(二輪駆動走行モード)が選択されると、前記モータシャフトの回転量が制御されることによって、前記モータシャフトの回転によって移動させられるナット部材98の移動位置が、ピストン88が前輪駆動用クラッチ56の摩擦係合要素86から離間させられ且つハイロースリーブ68の外周歯68bがハイ側ギヤ歯70に噛み合うH2位置に移動させられる。そして、電子制御装置100でH2走行モードが選択されているときには、電子制御装置100から噛合式クラッチ36のアクチュエータ44に供給される第1駆動電流I1によって可動スリーブ42が前記非噛合位置に移動させられる。これによって、ハイロー切替機構54で高速側ギヤ段Hが形成され且つエンジン12の駆動力が後輪16L、16Rのみに伝達されるH2走行すなわち二輪駆動走行が行われる。
また、電子制御装置100でH4走行モード(四輪駆動走行モード)が選択されると、前記モータシャフトの回転量が制御されることによって、前記モータシャフトの回転によって移動させられるナット部材98の移動位置が、ピストン88が前輪駆動用クラッチ56の摩擦係合要素86を押圧し且つハイロースリーブ68の外周歯68bがハイ側ギヤ歯70に噛み合うH4位置に移動させられる。そして、電子制御装置100でH4走行モードが選択されているときには、電子制御装置100から噛合式クラッチ36のアクチュエータ44に供給される第1駆動電流I1によって可動スリーブ42が前記噛合位置に移動させられる。これによって、ハイロー切替機構54で高速側ギヤ段Hが形成され且つエンジン12の駆動力が後輪16L、16Rだけでなくエンジン12の駆動力の一部が前輪14L、14Rにも伝達されるH4走行すなわち四輪駆動走行が行われる。
また、電子制御装置100でL4走行モード(四輪駆動走行モード)が選択されると、前記モータシャフトの回転量が制御されることによって、前記モータシャフトの回転によって移動させられるナット部材98の移動位置が、ハイロースリーブ68の外周歯68bがロー側ギヤ歯72に噛み合うL4位置に移動させられる。そして、電子制御装置100でL4走行モードが選択されているときには、電子制御装置100から噛合式クラッチ36のアクチュエータ44に供給される第1駆動電流I1によって可動スリーブ42が前記噛合位置に移動させられる。これによって、ハイロー切替機構54で低速側ギヤ段Lが形成され且つエンジン12の駆動力が後輪16L、16Rだけでなくそのエンジン12の駆動力の一部が前輪14L、14Rにも伝達されるL4走行すなわち四輪駆動走行が行われる。なお、前述したように、ハイロースリーブ68の外周歯68bがロー側ギヤ歯72に噛み合うと、第1スプリング78および第2スプリング80の付勢力によって、ロックスリーブ76の外周歯76aがロック歯74に噛み合うようになっている。
図1に示すように、電子制御装置100は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより四輪駆動車両10の各種制御を実行する。電子制御装置100は、四輪駆動車両10に設けられた各センサにより検出された各種入力信号が供給されるようになっている。例えば、エンジン回転速度センサ130により検出されるエンジン回転速度Ne(rpm)を表す信号と、車輪速センサ132により検出される車輪速度W(rpm)すなわち前輪14L、前輪14Rおよび後輪16L、後輪16Rの車輪速度Wfl、Wfr、Wrl、Wrr(rpm)を表す信号と、シフトセンサ134によって検出される図示しないシフトレバーのシフト操作位置Pshを表す信号と、4WD切替スイッチ136により検出される運転者からの4輪駆動走行への切替要求を表す4WD切替信号4WDonと、モータ回転角度センサ138により検出される電動モータ90のモータシャフトの回転角度θ(deg)を表す信号と、ローギヤ位置検出スイッチ140により検出されるフォークシャフト108がローギヤ位置であるか否かを表すON、OFF信号、すなわち、ローギヤ位置検出スイッチ140により検出されるナット部材98の移動位置が前記L4位置であるか否かを表すON,OFF信号と、ブレーキスイッチ142により検出されるブレーキペダル116が運転者によって踏込操作すなわちブレーキ操作が行われているか否かを表すON、OFF信号と、油圧センサ144により検出されるマスターシリンダ118内のブレーキ油圧Br(MPa)を表す信号と、が電子制御装置100に入力される。
また、電子制御装置100から、四輪駆動車両10に設けられた各装置に各種出力信号が供給されるようになっている。例えば、噛合式クラッチ36を制御するために、すなわち噛合式クラッチ36の可動スリーブ42を前記噛合位置と前記非噛合位置とに移動するために、アクチュエータ44に供給される第1駆動電流I1(A)と、前輪駆動用クラッチ56およびデフロック機構64をそれぞれ制御するために、すなわちナット部材98の移動位置を制御するために、電動モータ90に供給される第2駆動電流I2(A)等と、が電子制御装置100から各部へ供給される。
図1に示すように、電子制御装置100には、過大トルク発生条件成立判定部150と、急ブレーキ操作判定部152と、走行モード判定部154と、クラッチ制御部156と、4WD復帰条件成立判定部158と、が備えられている。
過大トルク発生条件成立判定部150は、急なブレーキ操作が行われたときに、例えば前輪車軸32L、32R等の前輪側動力伝達部材に過大なトルクが発生する過大トルク発生条件が成立しているか否かを判定する。例えば、過大トルク発生条件成立判定部150は、エンジン回転速度Neが4500(rpm)以上である第1条件と、自動変速機20のギヤ段が第1速ギヤ段(1st)または後進ギヤ段(Rev)である第2条件と、四輪駆動車両10が四輪駆動走行中である第3条件と、前輪14L、14Rがスリップ中すなわち前輪14L、14Rが空転中である第4条件と、がそれぞれ満たされているときに、前記過大トルク発生条件が成立していると判定する。なお、前記第2条件では、例えば、自動変速機20に設けられた複数の油圧式摩擦係合装置のうちの係合している油圧式摩擦係合装置の組み合わせと、シフトセンサ134から検出されるシフト操作位置Pshと、から、自動変速機20において第1速ギヤ段または後進ギヤ段が成立しているかを判定する。また、前記第3条件では、例えば、運転者が4WD切替スイッチ136を操作しているか否かによって、四輪駆動走行中であるかを判定する。また、前記第4条件では、例えば、車輪速センサ132から検出される前輪14Lの車輪速度Wfl(rpm)と前輪14Rの車輪速度Wfr(rpm)との差が予め設定された所定値以上であると、前輪14L、14Rがスリップ中(空転中)であると判定する。
急ブレーキ操作判定部152は、過大トルク発生条件成立判定部150で前記過大トルク発生条件が成立していると判定されると、ブレーキペダル116の急な踏み込み操作すなわち急ブレーキ操作が行われているか否かを判定する。例えば、急ブレーキ操作判定部152は、ブレーキペダル116が踏み込まれて、マスターシリンダ118内のブレーキ油圧Br(MPa)が予め設定された所定速度VB(MPa/sec)以上すなわち30MPa/sec以上で上昇しているときに、急ブレーキ操作が行われていると判定する。
走行モード判定部154は、過大トルク発生条件成立判定部150で前記過大トルク発生条件が成立していると判定され、且つ、急ブレーキ操作判定部152で急ブレーキ操作が行われていると判定されると、四輪駆動走行中においてH4走行モードが選択されているか、またはL4走行モードが選択されているかを判定する。すなわち、走行モード判定部154は、四輪駆動走行中においてH4走行モードが選択されているか否かを判定する。例えば、走行モード判定部154は、ローギヤ位置検出スイッチ140によってナット部材98の移動位置が前記L4位置でないと検出されると、H4走行モードが選択されていると判定する。また、走行モード判定部154は、ローギヤ位置検出スイッチ140によってナット部材98の移動位置が前記L4位置であると検出されると、H4走行モードが選択されていないすなわちL4走行モードが選択されていると判定する。
クラッチ制御部156は、走行モード判定部154でH4走行モードが選択されていると判定されると、前輪駆動用クラッチ56において摩擦係合要素86を押圧しているピストン88が摩擦係合要素86から離間するように、電動モータ90に供給される第2駆動電流I2(A)を制御し、前輪駆動用クラッチ56の断接状態を切り替える。これにより、トランスファ22と前輪14L、14Rとの間の動力伝達経路、すなわち後輪側出力軸50と前輪駆動用ドライブスプロケット52との間の動力伝達経路が切断される。
また、クラッチ制御部156は、走行モード判定部154でH4走行モードが選択されていないと判定、すなわち走行モード判定部154でL4走行モードが選択されていると判定されると、噛合式クラッチ36において前記噛合位置に配置されている可動スリーブ42が前記噛合位置から前記非噛合位置に移動するように、アクチュエータ44に供給される第1駆動電流I1(A)を制御し、噛合式クラッチ36の断接状態を切り替える。これにより、トランスファ22と前輪14L、14Rとの間の動力伝達経路、すなわち前輪用差動歯車装置28と前輪車軸32Rとの間の動力伝達経路が切断される。
4WD復帰条件成立判定部158は、クラッチ制御部156で前輪駆動用クラッチ56または噛合式クラッチ36によってトランスファ22と前輪14L、14Rとの間の動力伝達経路が切断されると、そのトランスファ22と前輪14L、14Rとの間の動力伝達経路を再度接続する条件すなわち4WD復帰条件が成立したか否かを判定する。例えば、4WD復帰条件成立判定部158は、ブレーキスイッチ142によってブレーキペダル116が解放されたと検出されると、前記4WD復帰条件が成立したと判定する。
クラッチ制御部156は、前輪駆動用クラッチ56によって後輪側出力軸50と前輪駆動用ドライブスプロケット52との間の動力伝達経路を切断し、4WD復帰条件成立判定部158で前記4WD復帰条件が成立したと判定されると、前輪駆動用クラッチ56において摩擦係合要素86から離間しているピストン88が摩擦係合要素86を押圧するように、電動モータ90に供給される第2駆動電流I2(A)を制御し、前輪駆動用クラッチ56の断接状態を切り替える。これにより、後輪側出力軸50と前輪駆動用ドライブスプロケット52との間の動力伝達経路が接続される。
また、クラッチ制御部156は、噛合式クラッチ36によって前輪用差動歯車装置28と前輪車軸32Rとの間の動力伝達経路を切断し、4WD復帰条件成立判定部158で前記4WD復帰条件が成立したと判定されると、噛合式クラッチ36において前記非噛合位置に配置されている可動スリーブ42が前記非噛合位置から前記噛合位置に移動するように、アクチュエータ44に供給される第1駆動電流I1(A)を制御し、噛合式クラッチ36の断接状態を切り替える。これにより、前輪用差動歯車装置28と前輪車軸32Rとの間の動力伝達経路が接続される。
図3は、電子制御装置100において、四輪駆動走行中に前輪14L、14Rがスリップしたときにおける前輪駆動用クラッチ56、噛合式クラッチ36のクラッチ制御の作動の一例を説明するフローチャートである。
先ず、過大トルク発生条件成立判定部150の機能に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S1において、前記過大トルク発生条件が成立したか否かが判定される。S1の判定が肯定されると、急ブレーキ操作判定部152の機能に対応するS2が実行されるが、S1の判定が否定されると再度S1が実行される。S2では、ブレーキペダル116の急な踏み込み操作すなわち急ブレーキ操作が行われているか否かが判定される。S2の判定が肯定されると、走行モード判定部154の機能に対応するS3が実行されるが、S2の判定が否定されるとS1が実行される。
S3では、四輪駆動走行中においてH4走行モードが選択されているか否かが判定される。S3の判定が肯定されると、すなわちH4走行モードが選択されていると、クラッチ制御部156の機能に対応するS4が実行されるが、S3の判定が否定されると、すなわちL4走行モードが選択されていると、クラッチ制御部156の機能に対応するS5が実行される。S4では、前輪駆動用クラッチ56が解放させられる。S5では、噛合式クラッチ36が解放させられる。
次に、4WD復帰条件成立判定部158の機能に対応するS6では、ブレーキペダル116が解放されて前記4WD復帰条件が成立したか否かが判定される。S6の判定が肯定されると、クラッチ制御部156の機能に対応するS7が実行されるが、S6の判定が否定されると、再度S6が実行させられる。S7では、解放されたクラッチ、すなわち前輪駆動用クラッチ56または噛合式クラッチ36が再係合させられる。
上述のように、本実施例の四輪駆動車両10の制御装置100によれば、四輪駆動走行中であり且つ前輪14L、14Rが空転中であるときにおいて、ブレーキ油圧Br(MPa)が所定速度VB(MPa/sec)以上で上昇する急ブレーキ操作が行われると、噛合式クラッチ36または前輪駆動用クラッチ56の断接状態を切り替えられ、トランスファ22と前輪14L、14Rとの間の動力伝達経路が切断される。これにより、トランスファ22に伝達された駆動力の一部を前輪14L、14Rに伝達する前輪側動力伝達部材例えば前輪車軸32L、32R等が、エンジン12とエンジン12からの駆動力をトランスファ22から後輪16L、16Rに伝達する後輪側動力伝達部材例えば後輪車軸34L、34R、リヤプロペラシャフト26等とから切り離され、例えば、後輪車軸34L、34R、リヤプロペラシャフト26等が回転する慣性力が、前輪車軸32L、32Rに作用されなくなるので、前記急ブレーキ操作が行われたときに前輪車軸32L、32Rに発生するトルクを、例えば前輪車軸32L、32Rにエンジン12と後輪車軸34L、34R、リヤプロペラシャフト26等とが連結されている場合に比較して、好適に低減することができる。また、前記急ブレーキ操作時に前輪14L、14Rの制動力を低減させないので、前記急ブレーキ操作が行われてから車両が停止するまでの制動距離が延びるといったブレーキ性能の低下を好適に抑制することができる。これによって、ブレーキ性能が低下することを抑制でき、且つ、前輪車軸32L、32Rの耐久性が低下することを抑制できる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例1において、トランスファ22には、前輪駆動用クラッチ56とデフロック機構64とが備えられていたが、どちらか1つを取り外しても良い。さらに、四輪駆動車両10には、噛合式クラッチ36が設けられていたが、噛合式クラッチ36を取り外しても良い。すなわち、前輪駆動用クラッチ56とデフロック機構64とのどちらか一方の断接装置によって、後輪側出力軸50と前輪駆動用ドライブスプロケット52との間の動力伝達経路が選択的に切断または接続されることにより、二輪駆動走行と四輪駆動走行とを切り替えるようにしても良い。このような四輪駆動車両では、前記過大トルク発生条件が成立して急ブレーキ操作が行われると、前記一方の断接装置の断接状態が切り替えられ、後輪側出力軸50と前輪駆動用ドライブスプロケット52との間の動力伝達経路が切断される。
また、前述の実施例1において、走行モード判定部154でH4走行モードが選択されていると判定されると、前輪駆動用クラッチ56を解放したが、例えば前輪駆動用クラッチ56にかえて噛合式クラッチ36を解放させても良い。なお、前輪駆動用クラッチ56においてピストン88が摩擦係合要素86を押圧している状態からピストン88を摩擦係合要素86から離間させるまでに必要とするピストン88のストロークは、噛合式クラッチ36において可動スリーブ42が前記噛合位置から前記非噛合位置に移動するまでに必要とする可動スリーブ42のストロークより短いので、前輪駆動用クラッチ56を使用すると、急ブレーキ操作が行われてからトランスファ22と前輪14L、14Rとの間の動力伝達経路を切断するまでにかかる時間が好適に短くなる。また、前輪駆動用クラッチ56は、湿式多板クラッチであるので、噛合式クラッチ36に比較して再係合性が良い。
また、前述の実施例1において、走行モード判定部154でL4走行モードが選択されていると判定されると、噛合式クラッチ36を解放したが、例えば噛合式クラッチ36にかえてデフロック機構64でトランスファ22と前輪14L、14Rとの間の動力伝達経路を切断しても良い。なお、噛合式クラッチ36において可動スリーブ42が前記噛合位置から前記非噛合位置に移動するまでに必要とする可動スリーブ42のストロークは、デフロック機構64においてロックスリーブ76の外周歯76aがロック歯74に噛み合っている状態からその外周歯76aがロック歯74から離間させるまでに必要とするロックスリーブ76のストロークより短いので、噛合式クラッチ36を使用すると、急ブレーキ操作が行われてからトランスファ22と前輪14L、14Rとの間の動力伝達経路を切断するまでにかかる時間が好適に短くなる。
また、前述の実施例1の過大トルク発生条件成立判定部150において、前記過大トルク発生条件の1つの前記第4条件は、前輪14L、14Rがスリップ中であるという条件であったが、例えば前輪14L、14Rおよび後輪16L、16Rの少なくとも1つの車輪がスリップ中(空転中)であるという条件に変更しても良い。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:四輪駆動車両
12:エンジン(駆動力源)
14L、14R:前輪
16L、16R:後輪
18:動力伝達装置
22:トランスファ
36:噛合式クラッチ(断接装置)
56:前輪駆動用クラッチ(断接装置)
64:デフロック機構(断接装置)
100:電子制御装置(制御装置)
150:過大トルク発生条件成立判定部
152:急ブレーキ操作判定部
156:クラッチ制御部
VB:所定速度

Claims (1)

  1. 駆動力源からの駆動力をトランスファから後輪に伝達する一方、前記トランスファに伝達された駆動力の一部を断接装置を介して前輪に伝達する動力伝達装置を備えた四輪駆動車両に関して、前記断接装置の断接状態を切り替えることにより、前記後輪を駆動輪とした二輪駆動走行と、前記前輪および前記後輪をそれぞれ駆動輪とした四輪駆動走行と、を切り替える四輪駆動車両の制御装置であって、
    前記四輪駆動走行中であり且つ前記前輪および前記後輪の少なくとも1つの車輪が空転中であるときにおいて、所定速度以上の急ブレーキ操作が行われると、前記断接装置の断接状態を切り替え、前記トランスファと前記前輪との間の動力伝達経路を切断する
    ことを特徴とする四輪駆動車両の制御装置。
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