JP2009143415A - 車両の駆動力配分装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】駆動力の移動制御および制動力の制御とを並行して行なう期間において車輪の前後力の変化を滑らかにする。
【解決手段】車両の駆動力配分装置は、車速センサ162と、ヨーレートセンサ164と、操舵角センサ166と、ブレーキストロークセンサ168と、ブレーキアクチュエータ170と、油圧ポンプ180と、駆動トルクの移動制御および制動力の制御を実行するECU160と、油圧ポンプ18による駆動力の移動とブレーキアクチュエータ170による制動力の発生とが並行する期間において車両の前後方向における駆動力と制動力との和の変化率の符号が変化しないように左右の車輪34,36のそれぞれにおいて駆動力の変化と制動力の変化とを機械的に連動するための連動機構80,90とを含む。
【選択図】図7
【解決手段】車両の駆動力配分装置は、車速センサ162と、ヨーレートセンサ164と、操舵角センサ166と、ブレーキストロークセンサ168と、ブレーキアクチュエータ170と、油圧ポンプ180と、駆動トルクの移動制御および制動力の制御を実行するECU160と、油圧ポンプ18による駆動力の移動とブレーキアクチュエータ170による制動力の発生とが並行する期間において車両の前後方向における駆動力と制動力との和の変化率の符号が変化しないように左右の車輪34,36のそれぞれにおいて駆動力の変化と制動力の変化とを機械的に連動するための連動機構80,90とを含む。
【選択図】図7
Description
本発明は、車両の駆動力配分装置に関し、特に、車両の左右輪における前後力の変化を滑らかにする技術に関する。
従来、車両の走行状態(たとえば、旋回時および低摩擦係数の路面走行時)に応じて左右の車輪のうちのいずれか一方に駆動力を移動する制御や車両の走行状態に応じて各車輪に発生する制動力を独立して制御する技術が公知である。
たとえば、特開平10−338114号公報(特許文献1)は、ヨーレート制御と駆動力左右配分制御の制御対象となる車輪を前後輪に分けることによって、車両の走行性能の向上を図りつつ、構成の簡素化、装置全体の小型化、およびエネルギー効率の向上を図ることができる車両の制御装置を開示する。この車両の制御装置は、車両の左右の後輪に対する駆動力の配分を変更可能な駆動力配分変更手段と、左右の前輪に対して制動力を個別に付与可能な制動力付与手段と、車両の走行状態を検出する検出手段と、検出手段の検出結果に基づいて、駆動力配分変更手段と制動力付与手段とを関連的に制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
この車両の制御装置によると、車両の走行性能の向上を図りつつ、前後輪の全てに対する制動力の個別制御との組合せの場合に比して構成の簡素化、装置全体の小型化、およびエネルギー効率の向上を図ることができる。
特開平10−338114号公報
しかしながら、駆動力の移動制御と制動力の制御とが並行して行なわれる場合において、車両の挙動が不安定になるという問題がある。たとえば、左右の車輪のうちの一方の車輪の前後力に着目する。駆動力の移動制御による他方の車輪への駆動力の移動量の減少と制動力の制御による制動力の増加とが異なるタイミングで行なわれると、一方の車輪において制動力の増加と駆動力の移動量の減少による駆動力の増加とが異なるタイミングで行なわれるため、一方の車輪の前後力が変動することとなる。一方の車輪でこのような前後力の変動が生じると、左右の車輪の前後力差にも変動が生じる。そのため、車両の旋回方向の変化に変動が生じて、車両の挙動が不安定になる可能性がある。
上述した公報に開示された車両の制御装置においては、上述したように左右の車輪のうち少なくとも一方の車輪において駆動力の移動制御と制動力の制御とが並行して行なわれる場合についての問題について何ら考慮されていないため、このような問題を解決することができない。
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであって、その目的は、駆動力の移動制御および制動力の制御とを並行して行なう期間において車輪の前後力の変化を滑らかにする車両の駆動力配分装置を提供することである。
第1の発明に係る車両の駆動力配分装置は、車両に搭載された駆動源からの駆動力を左右の車輪に配分する。この駆動力配分装置は、車両の走行状態を検出するための検出手段と、検出された車両の走行状態に応じて左右の車輪の間に駆動力差が生じるように左右の車輪のいずれか一方に駆動力を移動するための駆動力移動手段と、車両の運転者の制動操作の有無に関連せずに検出された車両の走行状態に応じて左右の車輪のうちの少なくともいずれか一方において制動力を発生する制動力発生手段と、駆動力移動手段による駆動力の移動と制動力発生手段による制動力の発生とが並行する期間において車両の前後方向における駆動力と制動力との和の変化率の符号が変化しないように、左右の車輪のそれぞれにおいて駆動力の変化と制動力の変化とを連動するための連動手段とを含む。
第1の発明によると、駆動力と制動力との和の変化率の符号が変化しないように、左右の車輪のそれぞれにおいて駆動力の変化と制動力の変化とを連動することにより、駆動力の変化の時点と制動力の変化の時点とが予め定められる。そのため、たとえば、駆動力の変化の時点と制動力の変化の時点とが一致し、かつ、制動力の変動を駆動力の変化により相殺するように連動するようにすると、駆動力と制動力との和の変化率の符号を変化しないようにすることができる。駆動力と制動力との和の変化率の符号が変化しないようにすることにより、車輪の前後力が大きく変動することが抑制される。これにより、車輪の前後力の変化を滑らかにすることができる。したがって、駆動力の移動制御および制動力の制御とを並行して行なう期間において車両の前後力の変化を滑らかにする車両の駆動力配分装置を提供することができる。
第2の発明に係る車両の駆動力配分装置においては、第1の発明の構成に加えて、連動手段は、駆動力の増加と制動力の増加とを連動し、駆動力の減少と制動力の減少とを連動するための手段を含む。
第2の発明によると、駆動力の増加と制動力の増加とを連動し、駆動力の減少と制動力の減少とを連動することにより、制動力が急激な変動が生じた場合においても駆動力の連動により変動分を相殺して車輪の前後力の急激な変動を抑制することができる。左右の車輪のそれぞれにおいて車輪の前後力の急激な変動を抑制することができるため、車輪の前後力差に基づく旋回方向のモーメントの変化を滑らかにすることができる。
第3の発明に係る車両の駆動力配分装置においては、第1または2の発明の構成に加えて、連動手段は、駆動力の変化の時点と制動力の変化の時点とが一致するように連動するための手段を含む。
第3の発明によると、駆動力の変化の時点と制動力の変化の時点とが一致するように連動することにより、制動力の変動に対して駆動力を応答性よく変化するため、車輪の前後力の急激な変動を抑制することができる。そのため、車輪の前後力差に基づく旋回方向のモーメントの変化を滑らかにすることができる。
第4の発明に係る車両の駆動力配分装置においては、第1〜3のいずれかの発明の構成に加えて、連動手段は、駆動力と制動力との和の変化率の大きさが予め定められた値以下になるように定められた駆動力の変化の度合と制動力の変化の度合との関係に基づいて駆動力の変化と制動力の変化とを連動するための手段を含む。
第4の発明によると、駆動力と制動力との和の変化率の大きさを予め定められた値以下になるように駆動力の変化の度合と制動力の変化の度合との関係が定められ、その関係に基づいて駆動力の変化と制動力の変化とを連動する。これにより、制動力の変動に対して駆動力の変化により変動分を相殺して前後力の変化率の大きさを予め定められた値以下になるようにすることができるため、車輪の前後力を滑らかに変化することができる。
第5の発明に係る車両の駆動力配分装置は、第1〜4のいずれかの発明の構成に加えて、制動操作に応じた、連動手段による連動を抑制するための抑制手段をさらに含む。
第5の発明によると、運転者の制動操作に応じて連動を抑制することにより、運転者の制動操作による制動力の増大に起因した駆動力の移動制御における移動の度合の変化を抑制することができる。
第6の発明に係る車両の駆動力配分装置においては、第1〜5のいずれかの発明の構成に加えて、駆動力移動手段は、第1の油圧源から供給される油圧の増加により係合する摩擦係合要素の係合状態に応じて左右の車輪のうちのいずれか一方から他方に駆動力を増速して伝達する機構である。制動力発生手段は、第2の油圧源から供給される油圧の増加により一方の車輪の回転を抑制することにより制動力を発生する機構である。連動手段は、第2の油圧源から供給される油圧の増加により摩擦係合要素を解放するように連動するための手段を含む。
第6の発明によると、たとえば、第1の油圧源から供給される油圧の増加により摩擦係合要素が係合している場合においては、一方の車輪から他方の車輪に駆動力が増速して伝達されると作用、反作用により一方の車輪における駆動力は摩擦係合要素の係合前よりも低下した状態になる。また、制動力発生手段により、第2の油圧源から供給される油圧の増加により一方の車輪の回転が抑制されると制動力が発生する。このとき、第2の油圧源から供給される油圧の増加に伴なって摩擦係合要素の係合が解放されるように連動することにより、駆動力の伝達の度合が減少することから一方の車輪の駆動力は摩擦係合要素の係合前の状態に戻るように増加する。このように、制動力の増加に応じて駆動力が連動して増加することにより、駆動力の配分と制動力の発生分との和の変化を滑らかにすることができる。
第7の発明に係る車両の駆動力配分装置においては、第6の発明の構成に加えて、摩擦係合要素には、第1の油圧源から供給される作動油を貯留する第1の油室と、油室内の油圧の増加により駆動側の回転要素と被駆動側の回転要素との係合の度合を増加するピストンとが設けられる。連動手段は、第2の油圧源に一方端が接続される油路と、油路の他方端に接続され、第1の油室とピストンを挟んで反対側にピストンに隣接して設けられる第2の油室とを含む。
第7の発明によると、第2の油圧源から供給される作動油が増加すると制動力の増加とともに第2の油室内の油圧が増加する。そのため、たとえば、第1の油圧源から供給される油圧の増加により第1の油室内の油圧が増加してピストンが駆動側の回転要素と被駆動側の回転要素とを係合している場合に、第2の油室内の油圧が増加することによりピストンが駆動側の回転要素と被駆動側の回転要素との係合の度合が低下するように移動する。そのため、一方の車輪から他方の車輪への駆動力の伝達の度合が減少する。したがって、制動力の増加に応じて一方の車輪の駆動力が連動して増加するため、駆動力と制動力との和の変化を滑らかにすることができる。
第8の発明に係る車両の駆動力配分装置においては、第7の発明の構成に加えて、抑制手段は、第2の油圧源と第2の油室とを遮断状態にする遮断弁である。
第8の発明によると、第2の油圧源と第2の油室とを遮断することにより、運転者の制動操作により制動力が増大する際に駆動力が連動して変化することを抑制することができる。これにより、運転者の制動操作による制動力の増大に起因した駆動力の移動制御時の移動の度合の変化を抑制することができる。
第9の発明に係る車両の駆動力配分装置は、第8の発明の構成に加えて、検出された車両の走行状態に基づいて第2の油圧源と第2の油室とが連通状態および遮断状態のうちのいずれか一方の状態になるように遮断弁を制御するための制御手段をさらに含む。
第9の発明によると、検出された車両の走行状態に基づいて、たとえば、駆動力の移動制御中であって、制動力の制御が行なわれていない場合に、第2の油圧源と第2の油室とを遮断することにより、運転者の制動操作による制動力の増大に起因した駆動力の移動の度合の変化を抑制することができる。また、少なくとも制動力の制御が行なわれるときに第2の油圧源と第2の油室とを連通することにより、駆動力の移動制御から制動力の制御に移行する際に左右の車輪の前後力および前後力差の変化を滑らかにすることができる。
第10の発明に係る車両の駆動力配分装置においては、第9の発明の構成に加えて、制御手段は、駆動力移動手段による駆動力の移動中であって、検出された車両の走行状態が限界走行状態に対応する走行状態でないと、第2の油圧源と第2の油室とが遮断状態になるように遮断弁を制御するための手段と、少なくとも検出された車両の走行状態が限界走行状態に対応する走行状態であると第2の油圧源と第2の油室とが連通状態になるように遮断弁を制御するための手段とを含む。
第10の発明によると、駆動力の移動中であって、限界走行状態でないと第2の油圧源と第2の油室とを遮断することにより、運転者の制動操作による制動力の増大に起因した駆動力の移動の度合の変化を抑制することができる。また、少なくとも限界走行状態になると第2の油圧源と第2の油室とを連通することにより、駆動力の移動制御から制動力の制御に移行する際に左右の車輪の前後力および前後力差の変化を滑らかにすることができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
<第1の実施の形態>
図1に示す車両は、入力シャフト10と、差動機構20と、左側の車輪34と、右側の車輪36と、左右のドライブシャフト30,32と、トルク移動機構100と、左右の制動装置40,50と、ECU(Electronic Control Unit)160と、ブレーキアクチュエータ170と、油圧ポンプ180とから構成される。なお、以下の説明において本発明が適用される車両は、後輪駆動車を一例として説明するが、特に駆動形式は限定されるものではない。たとえば、本発明を前輪駆動車あるいは4輪駆動車に適用するようにしてもよい。
図1に示す車両は、入力シャフト10と、差動機構20と、左側の車輪34と、右側の車輪36と、左右のドライブシャフト30,32と、トルク移動機構100と、左右の制動装置40,50と、ECU(Electronic Control Unit)160と、ブレーキアクチュエータ170と、油圧ポンプ180とから構成される。なお、以下の説明において本発明が適用される車両は、後輪駆動車を一例として説明するが、特に駆動形式は限定されるものではない。たとえば、本発明を前輪駆動車あるいは4輪駆動車に適用するようにしてもよい。
入力シャフト10の一方端には、ファイナルインプットギヤ12が設けられる。入力シャフト10の他方端は、駆動源側の構成部品に連結される。なお、本実施の形態において、駆動源は、エンジンであってもよいし、回転電機であってもよいし、エンジンおよび回転電機を組み合わせたものであってもよい。
差動機構20は、リングギヤ22とデフケース24と、一組のサイドギヤ26と、一組のピニオンギヤ28とから構成される。差動機構20は、ドライブシャフト30,32の一方端と連結し、車両の旋回時に生じるドライブシャフト30,32の回転差を吸収する機能を有する。
リングギヤ22は、デフケース24に固定されるかさ歯車であって、ファイナルインプットギヤ12と噛み合う。ファイナルインプットギヤ12の回転によりリングギヤ22は、車両の前後方向に対応する方向にデフケース24を回転する。
デフケース24は、ドライブシャフト30,32にスプライン嵌合等により連結され、互いに対向するように設けられるサイドギヤ26と、デフケース22の内部に回転自在に支持され、互いに対向するように設けられるピニオンギヤ28とを収納する。
ピニオンギヤ28は、ドライブシャフト30,32と嵌合するサイドギヤ26にそれぞれ噛み合い、ドライブシャフト30,32のうちのいずれか一方からの回転力を回転方向を逆方向に変換して他方に伝達する。
サイドギヤ26は、入力シャフト10からリングギヤ22、デフケース24およびピニオンギヤ28を経由して伝達される駆動力をドライブシャフト30,32に伝達する。
このように構成される差動機構20の作動によりリングギヤ22の回転数は、ドライブシャフト30,32の回転数の平均値となる。
ドライブシャフト30,32の他方端は、車輪34,36とそれぞれ連結する。ドライブシャフト30,32の途中にはそれぞれ制動装置40,50が設けられる。
制動装置40は、ドライブシャフト30と一体的に回転するブレーキディスク42と、ブレーキディスク42の回転軸方向の両端面を挟み込むように設けられる一組のブレーキパッド48と、一組のブレーキパッド48のうちの差動機構20側の一方のブレーキパッドに隣接して設けられるホイールシリンダ44と、ブレーキパッド48およびホイールシリンダ44を保持するブレーキキャリパ46と、ブレーキキャリパ46に接続され、内部にブレーキフルードが充填されるブレーキ配管60とから構成される。
ホイールシリンダ44は、ブレーキキャリパ46によりブレーキディスク42の回転軸と略平行な方向に摺動可能に保持される。また、ブレーキキャリパ46は、ブレーキディスク42の回転軸と略平行な方向の移動が可能となるようにナックル等の車輪34の回転支持部材に固定される。
ブレーキキャリパ46の内部には、ブレーキ配管60に接続される油室62がホイールシリンダ44に隣接して設けられる。油室62は、ホイールシリンダ44を挟んで一方のブレーキパッド48の反対側に設けられる。
ブレーキ配管60内のブレーキフルードの油圧(液圧)の上昇に応じて油室62内の油圧が上昇すると、油室62内の油圧がホイールシリンダ44に作用する。そのため、ホイールシリンダ44が、隣接する一方のブレーキパッド48をブレーキディスク42に押し付ける力が増加する。
また、油室62内の油圧が上昇すると、油室62内の油圧がブレーキキャリパ46に作用する。そのため、ブレーキキャリパ46が、他方のブレーキパッド48をブレーキディスク42に押し付ける力が増加する。これにより、ブレーキパッド48のブレーキディスク42に対する挟圧力が増加するため、ブレーキパッド48とブレーキディスク42との摩擦により車輪34の回転が抑制される。これにより、車輪34に制動力が発生する。
制動装置50は、ドライブシャフト32と一体的に回転するブレーキディスク52と、ブレーキディスク52の回転軸方向の両端面を挟み込むように設けられる一組のブレーキパッド58と、一組のブレーキパッド58のうちの差動機構20側の一方のブレーキパッドに隣接して設けられるホイールシリンダ54と、ブレーキパッド58およびホイールシリンダ54を保持するブレーキキャリパ56と、ブレーキキャリパ56に接続され、内部にブレーキフルードが充填されるブレーキ配管70とから構成される。
制動装置50の構成およびその動作は、制動装置40の構成およびその動作と同様であるため、その詳細な説明は繰返さない。なお、本実施の形態において制動装置40,50は、ディスクブレーキを一例として説明したが、特にこれに限定されるものではなく、たとえば、ドラムブレーキであってもよい。
ブレーキアクチュエータ170は、モータポンプとソレノイドバルブとから構成される。ブレーキアクチュエータ170は、ECU160からの制御信号に基づいて各車輪のブレーキ配管60,70の油圧を独立して変化する。以下の説明において、ブレーキ配管60,70内の油圧を「ブレーキ制御油圧」と記載する。
トルク移動機構100は、増減速機構120と、クラッチ130,140とから構成される。トルク移動機構100は、ドライブシャフト30,32に連結される。トルク移動機構100は、入力シャフト10からドライブシャフト30,32を経由して車輪34,36に伝達される駆動トルクを、ドライブシャフト30,32間で移動することにより車輪34,36で生じる駆動力を移動する。
クラッチ130は、クラッチシリンダ132と、駆動側および被駆動側の回転要素である一組のクラッチプレート134と、クラッチシリンダ132に隣接し、作動油で充填された油室136と、リターンスプリング(図示せず)とから構成される。油室136には、作動油で充填されたオイル配管64が接続される。
オイル配管64内の油圧が増加すると油室136内の油圧が増加する。そのため、クラッチシリンダ132は、駆動側のクラッチプレートと被駆動側のクラッチプレートとの係合の度合を増加するように(クラッチ130が係合するように)移動する。
オイル配管64内の油圧が減少すると油室136内の油圧が減少する。そのため、リターンスプリングの力がクラッチシリンダ132に作用する。これにより、クラッチシリンダ132は、駆動側のクラッチプレートと被駆動側のクラッチプレートとの係合の度合が低下するように(クラッチ130が解放するように)移動する。
クラッチ140は、クラッチシリンダ142と、駆動側および被駆動側の回転要素である一組のクラッチプレート144と、クラッチシリンダ142に隣接し、作動油で充填された油室146と、リターンスプリング(図示せず)とから構成される。油室146には、作動油で充填されたオイル配管66が接続される。なお、クラッチ140の動作は、クラッチ130の動作と同様であるため、その詳細な説明は繰返さない。
油圧ポンプ180は、ECU160からの制御信号に基づいてクラッチ130,140のうちのいずれか一方が係合したり、少なくとも一方が解放したりするように、オイル配管64,66の油圧を変化する。油圧ポンプ180は、たとえば、オイル配管64,66への作動油の供給量を変化することによりオイル配管64,66の油圧を変化する。油圧ポンプ180は、電動式であってもよいし機械式であってもよいし、ブレーキアクチュエータ170と同様の構成であってもよい。以下の説明においてオイル配管64,66における油圧を「トルク制御油圧」と記載する。
増減速機構120は、クラッチ130が係合状態になると、ドライブシャフト30の駆動トルクの一部をドライブシャフト32に伝達し、クラッチ140が係合状態になると、ドライブシャフト32の駆動トルクの一部をドライブシャフト30に伝達する。
具体的には、増減速機構120は、たとえば、遊星歯車機構等から構成され、クラッチ130が係合状態になると、ドライブシャフト30側の回転軸の回転数を増速してドライブシャフト32側の回転軸に伝達する。
回転数の増速およびトルク移動機構100によるドライブシャフト30,32に対する回転トルクの作用および反作用によりドライブシャフト30の駆動トルクが減少し、ドライブシャフト32の駆動トルクが増加することにより駆動トルクの移動が行なわれる。
同様に、増減速機構120は、クラッチ140が係合状態になると、ドライブシャフト32側の回転軸の回転数を増速してドライブシャフト30側の回転軸に伝達する。
回転数の増速およびトルク移動機構100によるドライブシャフト30,32に対する回転トルクの作用および反作用によりドライブシャフト30の駆動トルクが増加し、ドライブシャフト32の駆動トルクが減少することにより駆動トルクの移動が行なわれる。
ECU160は、車両の走行状態に関連する物理量に基づいてブレーキアクチュエータ170によるブレーキ配管60,70内の油圧を制御したり、油圧ポンプ180によるオイル配管64,66内の作動油の油圧を制御したりする。
ECU160には、車速センサ162と、ヨーレートセンサ164と、操舵角センサ166と、ブレーキストロークセンサ168とが接続される。
車速センサ162は、車速を検出する。車速センサ162は、車速に関連する物理量を検出できれば特に限定されるものではなく、たとえば、車両の複数の車輪のうちの少なくともいずれか一つの車輪の回転速度を検出することにより車速を検出するようにしてもよいし、変速機の出力軸の回転数を検出するようにしてもよい。
ヨーレートセンサ164は、車両のヨー(旋回)方向の角速度を検出する。ヨーレートセンサ164は、検出されたヨー方向の角速度に対応する信号をECU160に送信する。なお、ヨーレートセンサ164は、周知の技術を用いて車両のヨー方向の角速度を検出すればよく、特に詳細な説明はここでは行なわない。
操舵角センサ166は、操舵輪の操舵角に関連する物理量を検出する。操舵角センサ166は、たとえば、ステアリングホイールの回転量を検出するようにしてもよいし、回転電機の回転力を用いて操舵輪の舵角を変える電動パワーステアリング機構が搭載されている場合は、回転電機の回転量を検出するようにしてもよい。操舵角センサ166は、検出された操舵輪の操舵角に対応する信号をECU160に送信する。
ブレーキストロークセンサ168は、ブレーキペダルの操作量を検出する。なお、ブレーキペダルの操作の有無を判定することができれば、特にブレーキペダルの操作量を検出することに特に限定されるものではない。たとえば、ブレーキストロークセンサ168に代えてマスターシリンダ圧センサを用いてもよいし、ストップランプスイッチを用いても良い。ブレーキストロークセンサ168は、検出したブレーキペダルの操作量に対応する信号をECU160に送信する。
上述のように車両の走行状態は、本実施の形態においては、車速、ヨー方向の角速度、操舵角およびブレーキストローク量に基づいて検出されるものとして説明するが特にこれらの物理量に限定して検出されるものではない。
ECU160は、車両の走行状態に応じてドライブシャフト30,32間で駆動トルクを移動する制御を実行したり、運転者の制動操作に関連せずに左右の車輪のうちの少なくともいずれか一方の車輪に制動力を発生する制御を実行したりする。
以上のような車両の構成において、図2および図3を用いて駆動トルクの移動制御と制動力の制御とが行なわれる場合の車輪34の前後力の変化について説明する。なお、車輪34の前後力は、車輪34の駆動力と制動力との和により算出される。車輪34の前後力が大きいほど車輪34における車両を推進する度合が大きくなる。
また、駆動トルクの移動制御と制動力の制御とが行なわれる場合とは、たとえば、車両の旋回時において旋回方向外側の後輪の車輪の駆動力が増加するように駆動トルクを移動しているときに、アンダーステアが発生するなどして旋回方向内側の後輪の車輪に制動力を発生させる場合などである。
図2に示すように、車両の走行状態に応じてECU160から油圧ポンプ180に制御信号が送信されて、送信された制御信号に基づいて油圧ポンプ180が作動してトルク制御油圧がPa(0)に増加した状態である場合を想定する。このとき、ブレーキ制御油圧は、略ゼロの状態であるとする。
トルク制御油圧がPa(0)に増加した状態においてクラッチ130は、係合状態になる。そのため、車輪34から車輪36にA(0)だけ駆動トルクが移動している状態となる。
時間Ta(0)において、車両の走行状態に応じて駆動トルクの移動制御から制動力の制御に移行する際にトルク制御油圧が減少するとクラッチ130の係合力は減少を開始する。そのため、駆動トルクの移動量もA(0)から減少を開始する。
このとき、ドライブシャフト30からドライブシャフト32に伝達された駆動トルクの度合が減少するため、車輪36において駆動力は減少し、車輪34において駆動力は増加する。
ブレーキ制御油圧は、略ゼロであるため、制動力は発生しない。そのため、車輪34の前後力は増加する。
時間Ta(1)において、車両の走行状態に応じてECU160からブレーキアクチュエータ170に制御信号が送信されて、送信された制御信号に基づいてアクチュエータ170が作動してブレーキ制御油圧の増加が開始されると、車輪34の回転が制動装置40により抑制されて制動力が発生する。制動力の増加により、車輪34の前後力は減少する。
時間Ta(2)において、駆動トルクの移動量が略ゼロになるまでトルク制御油圧が減少すると、車輪34における駆動力は駆動トルクの移動制御の前の状態に戻る。すなわち、車輪34,36の駆動力が同一となる。
一方、ブレーキアクチュエータ170の作動によりブレーキ制御油圧は時間とともに増加していく。そのため、車輪34の前後力は、ブレーキ制御油圧の増加に対応して減少する。そのため、車輪34の前後力は減少する。
このように、駆動トルクの移動制御によるトルク制御油圧の変化の時点とブレーキ制御油圧の変化の時点とが異なると車輪34の前後力は、一旦増加した後に減少するように変化する。
また、図3に示すように、トルク制御油圧がPa(0)に増加した状態である場合を想定する。なお、時間Ta(3)までは、上述の図2の時間Ta(0)までと同様であるため、その詳細な説明は繰返さない。
時間Ta(3)において、車両の走行状態に応じて駆動トルクの移動制御から制動力の制御に移行する際にトルク制御油圧が減少するとクラッチ130の係合力は減少を開始する。そのため、駆動トルクの移動量もA(0)から減少を開始する。
このとき、ドライブシャフト30からドライブシャフト32に伝達された駆動トルクの度合が減少するため、車輪36において駆動力は減少し、車輪34において駆動力は増加する。
また、トルク制御油圧の増加とともにブレーキ制御油圧が増加するため車輪34において制動力が発生する。そのため、時間Ta(3)以降において、車輪34の前後力は減少する。
時間Ta(3)〜時間Ta(4)において、駆動トルクの移動量が一定の変化率で減少するのに対してブレーキ制御油圧が変動すると車輪34の前後力は、制動力の変動に対応して変動する。
次に、図4を用いて、制動力の制御から駆動トルクの移動制御に切り換わる際の車輪34の前後力の変化について説明する。
トルク制御油圧および駆動トルクの移動量はいずれも略ゼロであって、ブレーキ制御油圧が一定の変化率で減少している場合を想定する。制動力の減少により車輪34の前後力は一定の変化率で増加している。
時間Ta(5)において、トルク制御油圧の増加が遅れて略ゼロのままであると、ブレーキ制御油圧の減少により車輪34の前後力は、図4の破線に示す前後力の理想の変化よりも増加するように変化する。
時間Ta(6)〜時間Ta(7)において、トルク制御油圧の増加を開始すると車輪34の駆動力は減少するため車輪34の前後力の増加の度合は小さくなる。
時間Ta(7)において、ブレーキ制御油圧が略ゼロになると制動力も略ゼロとなる。そのため、時間Ta(7)以降においては、駆動トルクの移動量に対応して車輪34の駆動力は減少する。そのため、車輪34の前後力は減少する。
このように、駆動トルクの移動制御によるトルク制御油圧の変化の時点と制動力制御によるブレーキ制御油圧の変化の時点とが異なると、車輪34の前後力は、増加と減少とが連続して発生する期間があるため変動する。そのため、車両の挙動が不安定になる場合がある。
次に、車輪34の前後力の変動に基づく車輪34,36の前後力差の変化について図5および図6を用いて説明する。
図5に示すように、クラッチ130の係合によりドライブシャフト30からドライブシャフト32に駆動トルクが移動されて、車輪34の駆動力が減少し、車輪36の駆動力が増加している場合を想定する。このとき、車輪34,36におけるブレーキ制御油圧はいずれも略ゼロであるため、車輪34,36の制動力は略ゼロである。そのため、車輪34,36間の前後力差は、駆動力差に対応して拡大した状態となる。
なお、図5および図6において車輪36の前後力が車輪34の前後力よりも大きいときに、前後力差が正の値になるものとする。
時間Ta(8)において、トルク制御油圧の減少が開始するとクラッチ130の係合力が減少するため、駆動側と被駆動側のクラッチプレートに滑りが生じて駆動トルクの移動量が減少する。そのため、車輪36の駆動力は減少し、車輪34の駆動力は増加するため車輪34の前後力差は、駆動力差の変化に対応して縮小する。
時間Ta(9)において、クラッチ130が解放されると駆動トルクの移動量は略ゼロになる。そのため、車輪34の前後力差は、略ゼロになる。
時間Ta(10)において、車輪34におけるブレーキ制御油圧が上昇すると制動力が発生するため、車輪34の前後力が減少する。一方、車輪36の前後力は変化しないため車輪34におけるブレーキ制御油圧が上昇するほど、車輪34,36間の前後力差が拡大する。
次に、図6に示すように、クラッチ130の係合によりドライブシャフト30からドライブシャフト32に駆動トルクが移動されて、車輪34の駆動力が減少し、車輪36の駆動力が増加している場合を想定する。なお、時間Ta(11)までは、図5の時間Ta(8)までと同様のため、その詳細な説明は繰返さない。
時間Ta(11)において、車輪34のブレーキ制御油圧が上昇すると制動力が発生するため、車輪34の前後力は減少する。一方、車輪36の前後力は変化しないため、車輪34,36間の前後力差は、車輪34におけるブレーキ制御油圧が上昇するほど拡大する。
時間Ta(12)において、トルク制御油圧の減少が開始するとクラッチ130の係合力が減少するため駆動トルクの移動量が減少する。そのため、車輪36の駆動力は減少し、車輪34の駆動力は増加する。これにより、車輪34,36間の前後力差は縮小する。
時間Ta(13)において、クラッチ130が解放されると駆動トルクの移動量は略ゼロになる。そのため、時間Ta(13)以降においては、車輪34のブレーキ制御油圧が上昇するほど車輪34,36間の前後力差が拡大する。
図5および図6を用いて説明したように、トルク制御油圧の変化とブレーキ制御油圧の変化とが異なる時点で行なわれると、車輪34,36間の前後力差に拡大と縮小とが連続する期間が発生する。そのため、駆動トルクの移動制御と制動力の制御とが並行して行なわれる場合において、車両の旋回方向(ヨー方向)の角速度に変動が生じることとなり、車両の挙動が不安定になる場合がある。
そこで、本発明は、駆動トルクの移動制御と制動力の制御とが並行して行なわれる期間において車両の前後方向における駆動力と制動力との和の変化率の符号が変化しないように、左右の車輪のそれぞれにおいて駆動力の変化と制動力の変化とを連動する点に特徴を有する。
具体的には、図7に示すように、本実施の形態に係る駆動力配分装置には、図1の車両の構成に加えて、車輪34における駆動力の増加と制動力の増加とを連動し、駆動力の減少と制動力の減少とを連動する連動機構80と、車輪36における駆動力の増加と制動力の増加とを連動し、駆動力の減少と制動力の減少とを連動する連動機構90とが設けられる。
連動機構80は、ブレーキアクチュエータ170の作動によりブレーキ配管60内のブレーキ制御油圧が上昇すると、ブレーキアクチュエータ170から供給される油圧を用いてクラッチ130を解放するように作動する。
また、連動機構80は、ブレーキ配管60内のブレーキ制御油圧の変化の時点とクラッチ130の解放による駆動力の変化の時点とが一致するように作動する。
具体的には、連動機構80は、一方端がブレーキ配管60に接続されるオイル配管82と、オイル配管82の他方端に接続され、クラッチ130に設けられる油室84とから構成される。
油室84は、クラッチシリンダ132において油室136の反対側に、クラッチシリンダ132に隣接して設けられる。油室84内の油圧が上昇すると、油室84内の油圧は、クラッチシリンダ132に対してクラッチプレート134の係合が減少する方向に作用する。
また、油室84および油室136のそれぞれにおいてクラッチシリンダ132の移動方向に直交する断面の面積は、制動力の変化の時点とクラッチ130の解放による駆動力の変化の時点とが一致するように実験的あるいは設計的に適合される。
連動機構90は、ブレーキアクチュエータ170の作動によりブレーキ配管70内のブレーキ制御油圧が上昇すると、ブレーキアクチュエータ170から供給される油圧を用いてクラッチ140を解放するように作動する。
また、連動機構90は、ブレーキ配管70内のブレーキ制御油圧の変化の時点とクラッチ140の解放による駆動力の変化の時点とが一致するように作動する。
具体的には、連動機構90は、一方端がブレーキ配管70に接続されるオイル配管92と、オイル配管92の他方端に接続され、クラッチ140に設けられる油室94とから構成される。
油室94は、クラッチシリンダ142において油室146の反対側に、クラッチシリンダ142に隣接して設けられる。油室94内の油圧が上昇すると、油室94内の油圧は、クラッチシリンダ142に対してクラッチプレート144の係合が減少する方向に作用する。
また、油室94および油室146のそれぞれにおいてクラッチシリンダ142の移動方向に直交する断面の面積は、制動力の変化の時点とクラッチ140の解放による駆動力の変化の時点とが一致するように実験的あるいは設計的に適合される。また、ブレーキ制御油圧が予め定められた圧力Pb(1)になるとクラッチ130,140が完全に解放されるとする。
また、連動機構80,90は、好ましくは、駆動力と制動力との和の変化率の大きさが予め定められた値以下になるように定められた駆動力の変化の度合と制動力の変化の度合との関係に基づいて駆動力の変化と制動力の変化とを連動することが望ましい。
以上のような構成を有する本実施の形態に係る車両の駆動力配分装置の動作について図8〜図14を用いて説明する。
図8に示すように、車両の走行状態に応じてECU160から油圧ポンプ180に制御信号が送信されて、送信された制御信号に基づいて油圧ポンプ180が作動してトルク制御油圧がPa(0)に増加した状態である場合を想定する。このとき、ブレーキ制御油圧は、略ゼロの状態であるとする。
トルク制御油圧がPa(0)に増加した状態においてクラッチ130は、係合状態になる。そのため、車輪34から車輪36にA(0)だけ駆動トルクが移動している状態となる。
時間Tb(0)において、車両の走行状態に応じて駆動トルクの移動制御から制動力の制御に移行する際に、ブレーキ制御油圧の増加が開始されると、車輪34の制動力は増加を開始する。
車輪34におけるブレーキ制御油圧が増加することにより、油室84内の油圧が増加して、クラッチシリンダ132がクラッチ130を解放する方向に移動するため、クラッチプレート134に滑りが生じて駆動トルクの移動量がA(0)から減少を開始する。
ブレーキ制御油圧の略線形の増加に対応して制動力も略線形に増加し、駆動トルクの移動量は略線形に減少する。移動量の減少により車輪34における駆動力は略線形に増加する。そのため、車輪34の前後力は略線形に減少していく。
時間Tb(1)において、トルク制御油圧がPa(0)に増加した状態であっても、ブレーキ制御油圧がPb(1)よりも大きくなることによりクラッチ130は完全に解放される。そのため、駆動トルクの移動量は略ゼロになる。
時間Tb(1)以降において、ブレーキ制御油圧は時間とともに略線形に増加していく。そのため、車輪34の前後力は略線形に減少していく。
時間Tb(1)以降の車輪34の前後力の変化率の大きさは、時間Tb(0)〜時間Tb(1)までの前後力の変化率の大きさよりも大きい。また、駆動トルクの移動量と制動力との連動により、時間Tb(0)以降において、車輪34の前後力の変化率の符号は変化しない。
時間Tb(1)よりも後においては、たとえば、図8の破線に示すように時間Tb(2)において、ECU160による油圧ポンプ180の制御により駆動トルクの移動量が略ゼロになるまで減少を開始するようにしてもよいし、トルク制御油圧をPa(0)の状態で維持するようにしてもよい。なお、トルク制御油圧の減少のタイミングは、時間Tb(1)よりも後であれば、特に限定されるものではない。
また、図9に示すように、トルク制御油圧がPa(0)に増加した状態である場合を想定する。なお、時間Tb(3)までは、上述の図8の時間Tb(0)までと同様であるため、その詳細な説明は繰返さない。
時間Tb(3)において、車両の走行状態に応じて駆動トルクの移動制御から制動力の制御に移行する際に、ブレーキ制御油圧の増加が開始されると、車輪34の制動力は増加を開始する。
車輪34におけるブレーキ制御油圧が増加することにより、油室84内の油圧が増加して、クラッチシリンダ132がクラッチ130を解放する方向に移動するため、駆動トルクの移動量がA(0)から減少を開始する。
時間Tb(3)〜時間Tb(4)の期間において、ブレーキ制御油圧が増加と減少を繰返すように変動すると、駆動トルクの移動量は、ブレーキ制御油圧の増加とともに減少し、ブレーキ制御油圧の減少とともに増加する。
したがって、車輪34において、制動力が増加するとともに移動量の減少により駆動力が増加し、制動力が減少するとともに移動量の増加により駆動力が減少する。そのため、制動力の変動分が駆動力の変動分により相殺されて車輪34の前後力は略線形に減少する。
時間Tb(4)において、トルク制御油圧がPa(0)に増加した状態であっても、ブレーキ制御油圧がPb(1)よりも大きくなることによりクラッチ130は完全に解放される。そのため、駆動トルクの移動量は略ゼロになる。
時間Tb(4)以降において、ブレーキ制御油圧は時間とともに略線形に増加していく。そのため、車輪34の前後力は略線形に減少していく。
時間Tb(4)以降の車輪34の前後力の変化率の大きさは、時間Tb(3)〜時間Tb(4)の期間の前後力の変化率の大きさよりも大きい。また、駆動トルクの移動量と制動力との連動により、時間Tb(3)以降において、車輪34の前後力の変化率の符号は変化しない。
時間Tb(4)よりも後においては、たとえば、図9の破線に示すように時間Tb(5)において、ECU160による油圧ポンプ180の制御により駆動トルクの移動量が略ゼロになるまで減少を開始するようにしてもよいし、トルク制御油圧をPa(0)の状態で維持するようにしてもよい。なお、トルク制御油圧の減少のタイミングは、時間Tb(1)よりも後であれば、特に限定されるものではない。
次に、図10を用いて、制動力の制御から駆動トルクの移動制御に切り換わる際の車輪34の前後力の変化について説明する。
少なくとも予め定められた圧力Pb(1)よりも大きいブレーキ制御油圧が一定の変化率で減少している場合を想定する。また、トルク制御油圧は、少なくともブレーキ制御油圧が予め定められた圧力Pb(1)以下となる時間Tb(7)よりも前に、Pa(0)に増加しておくようにすればよく、たとえば、図10の破線に示すように時間Tb(6)において、ECU160による油圧ポンプ180の制御によりトルク制御油圧をPa(0)になるまで増加するようにしてもよいし、図10の実線に示すように、制動力の制御中は、トルク制御油圧がPa(0)となる状態を維持するようにしてもよい。
時間Tb(7)までにおいて、ブレーキ制御油圧が一定の変化率で減少しており、駆動トルクの移動量は略ゼロであるため、車輪34の前後力は線形に増加していく。
時間Tb(7)以降において、油室136内の油圧に基づくクラッチシリンダ136をクラッチプレート134に押し付ける方向の力が油室84内の油圧に基づくクラッチシリンダ136をクラッチプレート134から離隔する方向の力を上回るとクラッチ130が係合を開始する。そのため、駆動トルクの移動量が増加を開始する。
時間Tb(7)〜時間Tb(8)の期間においては、駆動トルクの移動量の増加に応じて車輪34における駆動力が減少する。そのため、車輪34の前後力の増加の度合が小さくなる。
時間Tb(8)においては、車輪34におけるブレーキ制御油圧が略ゼロとなるため、制動力も略ゼロとなる。また、駆動トルクの移動量は一定の状態となるため、車輪34の前後力は略一定の状態となる。
時間Tb(8)以降の車輪34の前後力の変化率の大きさは、時間Tb(7)〜時間Tb(8)の期間の車輪34の前後力の変化率の大きさよりも小さい。また、時間Tb(7)以降において、車輪34の前後力の変化率の符号は変化しない。
また、図11に示すように、少なくとも予め定められた圧力Pb(1)よりも大きいブレーキ制御油圧が一定の変化率で減少している場合を想定する。なお、Tb(9)までは、上述の図10の時間Tb(7)までと同様であるため、その詳細な説明は繰返さない。
時間Tb(9)以降において、油室136内の油圧に基づくクラッチシリンダ136をクラッチプレート134に押し付ける方向の力が油室84内の油圧に基づくクラッチシリンダ136をクラッチプレート134から離隔する方向の力を上回るとクラッチ130が係合を開始する。そのため、駆動トルクの移動量が増加を開始する。
時間Tb(9)〜時間Tb(10)の期間において、ブレーキ制御油圧が増加と減少を繰返すように変動すると、駆動トルクの移動量は、ブレーキ制御油圧の増加とともに減少し、ブレーキ制御油圧の減少とともに増加する。
したがって、車輪34において、制動力が増加するとともに移動量の減少により駆動力が増加し、制動力が減少するとともに移動量の増加により駆動力が減少する。そのため、制動力の変動分が駆動力の変動分により相殺されて車輪34の前後力は略線形に減少する。
時間Tb(10)においては、車輪34におけるブレーキ制御油圧が略ゼロとなるため、制動力も略ゼロとなる。また、駆動トルクの移動量は一定の状態となるため、車輪34の前後力は略一定の状態となる。
時間Tb(10)以降の車輪34の前後力の変化率の大きさは、時間Tb(9)〜時間Tb(10)の期間の車輪34の前後力の変化率の大きさよりも小さい。また、時間Tb(9)以降において、車輪34の前後力の変化率の符号は変化しない。
次に、車輪34,36における前後力差の変化に基づく車両の挙動について図12〜図14を用いて説明する。
図12に示すように、ECU160による油圧ポンプ180の制御によりオイル配管64内のトルク制御油圧が増加すると、油室136内の油圧が上昇する。そのため、クラッチ130が係合するように作動する。クラッチ130が係合すると、増減速機構120を経由してドライブシャフト30側からドライブシャフト32側へと駆動トルクが伝達される。そのため、車輪34,36間の駆動力差は拡大する。
図13に示すように、ECU160によるブレーキアクチュエータ170の制御によりブレーキ配管60内のブレーキ制御油圧が上昇すると、油室84内の油圧が上昇する。これにより、クラッチ130の係合の度合が減少するため、駆動トルクの移動量が減少する。そのため、車輪36の駆動力はトルク移動制御の前の状態に対応する駆動力になるまで減少し、車輪34の駆動力は、トルク移動制御の前の状態に対応する駆動力になるまで増加する。車輪34には制動力が発生しているため図12における車両の前後力差に対する変化は小さい。
より具体的には、車輪34におけるブレーキ制御油圧は略ゼロであって、図14の二点鎖線に示すように、車輪34の制動力は略ゼロであるとする。また、クラッチ130の係合して車輪34の駆動力が減少して車輪36の駆動力が増加することにより、図14の破線に示す車輪36の前後力と図14の実線に示す車輪34の前後力との間で図14の一点鎖線に示すように前後力差が発生している場合を想定する。
時間Tb(11)において、車両の走行状態に応じて車輪34におけるブレーキ制御油圧が増加すると、クラッチ130が解放側に作動するため、ブレーキ制御油圧の増加に連動して、駆動トルクの移動量が減少する。これにより、車輪34,36間の駆動力差は縮小する。一方、車輪34におけるブレーキ制御油圧が上昇すると制動力が増加する。そのため、車輪34の前後力は、時間とともに低下していく。したがって、図14の一点鎖線に示すように、時間Tb(11)以降において、車輪34,36間の前後力差は、略一定の変化率で拡大していく。
時間Tb(12)において、車輪34におけるブレーキ制御油圧の上昇により、クラッチ130が完全に解放されると、駆動力の移動量が略ゼロになる。そのため、車輪34,36間の駆動力差は略ゼロになる。一方、車輪34におけるブレーキ制御油圧は時間とともに上昇するため、車輪34の前後力は、車輪34の制動力の増加により時間とともにさらに減少していく。そのため、車輪34,36間の前後力差は制動力の変化に対応するように拡大する。時間Tb(12)以降の前後力差の変化率の大きさは、時間Tb(11)〜時間Tb(12)間の前後力差の変化率の大きさよりも大きい。前後力差の拡大により車両の旋回方向にヨーモーメントが発生する。また、時間Tb(11)以降において、車輪34の前後力および前後力差の変化率の符号は変化しない。
以上のようにして、本実施の形態に係る車両の駆動力配分装置によると、駆動力と制動力との和の変化率の符号が変化しないように左右の車輪のそれぞれにおいて駆動力の変化と制動力の変化とを連動することにより、駆動力の変化の時点と制動力の変化の時点とが予め定められる。そのため、たとえば、駆動力の変化の時点と制動力の変化の時点とが一致し、かつ、制動力の変動を駆動力の変化により相殺するように連動するようにすると、駆動力と制動力との和の変化率の符号を変化しないようにすることができる。駆動力の制動力との和の変化率の符号が変化しないようにすることにより、車輪の前後力が大きく変動することが抑制される。これにより、車輪の前後力の変化を滑らかにすることができる。したがって、駆動力の移動制御および制動力の制御とを並行して行なう期間において車両の前後力の変化を滑らかにする車両の駆動力配分装置を提供することができる。
さらに、駆動力の増加と制動力の増加とを連動し、駆動力の減少と制動力の減少とを連動することにより、制動力が急激な変動が生じた場合においても駆動力の連動により変動分を相殺して車輪の前後力の急激な変動を抑制することができる。左右の車輪のそれぞれにおいて車輪の前後力の急激な変動を抑制することができるため、車輪の前後力差に基づく旋回方向のモーメントの変化を滑らかにすることができる。
また、駆動力の変化の時点と制動力の変化の時点とが一致するように連動することにより、制動力の変動に対して駆動力を応答性よく変化するため、車輪の前後力の急激な変動を抑制することができる。そのため、車輪の前後力差に基づく旋回方向のモーメントの変化を滑らかにすることができる。
さらに、駆動力と制動力との和の変化率の大きさを予め定められた値以下になるように駆動力の変化の度合と制動力の変化の度合との関係が定められ、その関係に基づいて駆動力の変化と制動力の変化とを連動する。これにより、制動力の変動に対して駆動力の変化により変動分を相殺して前後力の変化率の大きさを予め定められた値以下になるようにすることができるため、車輪の前後力を滑らかに変化することができる。
なお、駆動力と制動力との連動の態様は、上述したような機械的な連動であってもよいし、ブレーキアクチュエータおよび油圧ポンプを用いた制御的な連動であってもよい。
<第1の実施の形態の変形例>
以下、第1の実施の形態の変形例に係る車両の駆動力配分装置について説明する。本変形例に係る車両の駆動力配分装置は、上述の第1の実施の形態に係る車両の駆動力配分装置の構成と比較して、差動機構20およびトルク移動機構100に代えて差動機構230およびトルク移動機構200を含む点が異なる。それ以外の構成は、上述の第1の実施の形態に係る車両の駆動力配分装置の構成と同じ構成である。それらについては同じ参照符号が付してある。それらの機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
以下、第1の実施の形態の変形例に係る車両の駆動力配分装置について説明する。本変形例に係る車両の駆動力配分装置は、上述の第1の実施の形態に係る車両の駆動力配分装置の構成と比較して、差動機構20およびトルク移動機構100に代えて差動機構230およびトルク移動機構200を含む点が異なる。それ以外の構成は、上述の第1の実施の形態に係る車両の駆動力配分装置の構成と同じ構成である。それらについては同じ参照符号が付してある。それらの機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
本変形例に係る車両の駆動力配分装置におけるトルク移動機構200は、増減速機構220とクラッチ202,204とから構成される。
クラッチ202,204は、油圧により係合状態および解放状態のうちのいずれかの状態になる。クラッチ202,204は、上述の第1の実施の形態において図7を用いて説明した駆動力配分装置におけるクラッチ130,132の構成と同様の構成である。そのため、その詳細な説明は繰返さない。
クラッチ202の被駆動側のクラッチプレートはドライブシャフト32に固定される。また、クラッチ202の駆動側のクラッチプレートは、クラッチ204の駆動側のクラッチプレートとともに後述する増減速機構220のライトサンギヤ222に連結される。
クラッチ204の被駆動側のクラッチプレートは、後述する差動機構230を構成する遊星歯車機構のキャリア234に連結される。
増減速機構220は、ドライブシャフト30,32の回転軸を回転中心とするライトサンギヤ222とレフトサンギヤ224と、ライトサンギヤ222に噛み合うライトピニオンギヤ226と、レフトサンギヤ224に噛み合うレフトピニオンギヤ228と、ライトピニオンギヤ226およびレフトピニオンギヤ228を保持し、ドライブシャフト30,32の回転軸を回転中心するキャリア210と、キャリア210の回転を抑制および解放するブレーキ212とから構成される。
ライトピニオンギヤ226は、ドライブシャフト30,32の回転軸と平行な回転軸を回転中心とする。また、レフトピニオンギヤ228は、ライトピニオンギヤ226と同一の回転軸を回転中心として回転する。ライトサンギヤ222は、クラッチ202,204の駆動側のクラッチプレートに連結して一体的に回転する。レフトサンギヤ224は、後述する差動機構230を構成する遊星歯車機構のリングギヤ236に連結される。
なお、ライトピニオンギヤ226とレフトピニオンギヤ228とキャリア210との組合せは、周方向に沿って複数組設けられるようにしてもよい。
差動機構230は、車輪34,36の回転軸を回転中心とする、サンギヤ232とキャリア234とリングギヤ236とからなる遊星歯車機構により構成される。サンギヤ232は、ドライブシャフト32に連結される。キャリア234は、クラッチ204の被駆動側のクラッチプレートに連結され、一体的に回転する。また、キャリア234は、さらに、ドライブシャフト30に連結される。リングギヤ236は、レフトサンギヤ224に連結される。リングギヤ236の外周側には、かさ歯車のリングギヤ22が固定される。なお、差動機構230の機能は上述の第1の実施の形態における車両の駆動力配分装置の差動機構20と実質的に同様の機能を有する。そのため、その詳細な説明は繰返さない。
増減速機構220は、ブレーキ212およびクラッチ202が係合されるとドライブシャフト30からドライブシャフト32に駆動力を移動する。すなわち、増減速機構220は、ブレーキ212およびクラッチ202が係合されると入力シャフト10から伝達される駆動トルクの一部を増速してドライブシャフト32に伝達する。
より具体的には、図15の破線矢印に示すように入力シャフト10からの駆動トルクの一部は、差動機構230のリングギヤ236からレフトサンギヤ224、レフトピニオンギヤ228、ライトピニオンギヤ226、ライトサンギヤ222およびクラッチ202を経由してドライブシャフト32に伝達される。
また、増減速機構220は、ブレーキ212およびクラッチ204が係合されると、ドライブシャフト32からドライブシャフト30に駆動力を移動する。すなわち、増減速機構220は、ブレーキ212およびクラッチ202が係合されると入力シャフト10から伝達される駆動トルクの一部を増速してドライブシャフト30に伝達する。
より具体的には、入力シャフト10からの駆動トルクの一部は、差動機構230のリングギヤ236からレフトサンギヤ224、レフトピニオンギヤ228、ライトピニオンギヤ226およびライトサンギヤ222、クラッチ204および差動機構230のキャリア234を経由してドライブシャフト32に伝達される。
以上のようなトルク移動機構200および差動機構230が搭載される車両に対して、トルク移動機構200と制動装置40,50との間にそれぞれ連動機構80,90を設けることにより上述の第1の実施の形態に係る車両の駆動力配分装置と同様の動作をするため、同様の作用効果を発現する。
<第2の実施の形態>
以下、第2の実施の形態に係る車両の駆動力配分装置について説明する。本実施の形態に係る車両の駆動力配分装置は、上述の第1の実施の形態に係る車両の駆動力配分装置の構成と比較して、オイル配管82の途中に遮断弁150が設けられる点およびオイル配管92の途中に遮断弁152が設けられる点が異なる。それ以外の構成は、上述の第1の実施の形態に係る車両の駆動力配分装置の構成と同じ構成である。それらについては同じ参照符号が付してある。それらの機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
以下、第2の実施の形態に係る車両の駆動力配分装置について説明する。本実施の形態に係る車両の駆動力配分装置は、上述の第1の実施の形態に係る車両の駆動力配分装置の構成と比較して、オイル配管82の途中に遮断弁150が設けられる点およびオイル配管92の途中に遮断弁152が設けられる点が異なる。それ以外の構成は、上述の第1の実施の形態に係る車両の駆動力配分装置の構成と同じ構成である。それらについては同じ参照符号が付してある。それらの機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
図16の破線矢印に示すように、第1の実施の形態に係る車両の駆動力配分装置の構成において、クラッチ130の係合により駆動力差が生じている場合を想定する。このとき、運転者がブレーキペダルを操作するなどしてブレーキ制御油圧が上昇するとクラッチシリンダ136がブレーキ制御油圧によりクラッチプレート134から離隔する方向に押し戻される。そのため、クラッチ130が解放されて、図16の実線矢印に示すように、車輪34,36間の駆動トルクの移動量が減少する場合がある。
すなわち、図17に示すように、時間Tc(0)までにおいてクラッチ130の係合により駆動力差が生じている場合を想定する。時間Tc(0)において、運転者がブレーキペダルを操作することにより左右の車輪34,36の制動力がいずれも増加する。そのため、クラッチ130が解放側に作動することにより、左右の車輪34,36間の駆動力差が減少する。そのため、左右の車輪34,36間の前後力差も縮小する。この場合、前後力差の縮小によりヨー方向のモーメントの度合が減少するため旋回能力の向上が図れない場合がある。
そこで、本実施の形態に係る車両の駆動力配分装置においては、制動操作に応じた、駆動力と制動力との連動を抑制する点に特徴を有する。具体的には、本実施の形態に係る車両の駆動力配分装置は、図18に示すように、上述の第1の実施の形態に係る車両の駆動力配分装置の構成に加えて、オイル配管82の途中に設けられる遮断弁150とオイル配管92の途中に設けられる遮断弁152とをさらに含む。
遮断弁150は、ECU160からの制御信号に基づいてブレーキアクチュエータ170と油室84とが遮断状態になるようにオイル配管82を遮断したり、ブレーキアクチュエータ170と油室84とが連通状態になるようにオイル配管82を連通したりする。
遮断弁152は、ECU160からの制御信号に基づいてブレーキアクチュエータ170と油室94とが遮断状態になるようにオイル配管92を遮断したり、ブレーキアクチュエータ170と油室94とが連通状態になるようにオイル配管92を連通したりする。
ECUは、駆動トルクの移動制御中であって、車両が限界走行状態でないと、ブレーキアクチュエータ170と油室84,94とが遮断状態になるように遮断弁150,152を制御し、少なくとも車両が限界走行状態であるとブレーキアクチュエータ170と油室84,94とが連通状態になるように遮断弁150,152を制御する。
以上のような構成において、本実施の形態においてECU160は、車速、操舵角、ヨー方向の角速度およびブレーキペダルの操作量等の車両の走行状態に関連する物理量に基づいて遮断弁150,152を制御する。
図19に示すように、本実施の形態に係る車両の駆動力配分装置におけるECU160の機能ブロック図を示す。ECU160は、入力インターフェース(以下、入力I/Fと記載する)300と、演算処理部400と、記憶部500と、出力インターフェース(以下、出力I/Fと記載する)600とを含む。
入力I/F300は、車速センサ162からの車速信号と、ヨーレートセンサ164からのヨーレート信号と、操舵角センサ166からの操舵角信号と、ブレーキストロークセンサ168からのブレーキストローク信号とを受信して、演算処理部400に送信する。
演算処理部400は、トルク移動制御判定部402と、限界走行判定部404と、遮断弁制御部506とを含む。
トルク移動制御判定部402は、車両の走行状態に基づいて駆動トルクの移動制御中であるか否かを判定する。トルク移動制御判定部402は、たとえば、車速信号とヨーレート信号と操舵角信号とから駆動トルクの移動制御中であるか否かを判定する。
たとえば、駆動トルクの移動制御は、検出されたヨー方向の角速度が、車両の速度と操舵角とから算出されるヨー方向の角速度の規範値から予め定められた値(1)以上に乖離している場合に、ヨー方向の角速度が増加あるいは低下するように実行される。
したがって、トルク移動制御判定部402は、検出されたヨー方向の角速度が規範値から予め定められた値(1)以上乖離している場合に、駆動トルクの移動制御中であることを判定するようにしてもよいし、駆動トルクの移動制御中であることを示すフラグがオンされていると駆動トルクの移動制御中であることを判定するようにしてもよい。なお、トルク移動制御判定部402は、たとえば、車両の走行状態に基づいて駆動のトルクの移動制御中であることを判定すると、トルク移動制御判定フラグをオンするようにしてもよい。
限界走行判定部404は、車両の走行状態に基づいて車両が限界走行状態であるか否かを判定する。たとえば、検出されたヨー方向の角速度が規範値よりも予め定められた値(1)よりも大きい予め定められた値(2)以上乖離していると、車両の走行状態が限界走行状態であることを判定するようにしてもよいし、制動力の制御が実行されていることを示すフラグがオンであると車両が限界走行状態であることを判定するようにしてもよい。なお、限界走行判定部404は、たとえば、車両の走行状態に基づいて車両が限界走行状態であることを判定すると限界走行判定フラグをオンするようにしてもよい。
遮断弁制御部406は、駆動トルクの移動制御中であって、車両が限界走行状態でないと、ブレーキアクチュエータ170と油室84とが遮断状態になるように遮断弁150を制御し、ブレーキアクチュエータ170と油室94とが遮断状態になるように遮断弁152を制御する。遮断弁制御部406は、遮断弁150,152の状態に対応した制御信号を生成して、出力I/F600を経由して遮断弁150,152に送信する。
また、遮断弁制御部406は、駆動トルクの移動制御中でなかったり、車両が限界走行状態であったりすると、オイル配管82,92がいずれも連通状態になるように遮断弁150,152を制御する。
なお、遮断弁制御部406は、たとえば、トルク移動制御判定フラグがオンであって、限界走行判定フラグがオフであると、オイル配管82,92が遮断状態になるように遮断弁150,152を制御し、トルク移動制御判定フラグがオフであったり、限界走行判定フラグがオンであったりすると、オイル配管82,92が連通状態になるように遮断弁150,152を制御するようにしてもよい。
また、本実施の形態において、トルク移動制御判定部402と、限界走行判定部404と、遮断弁制御部406とは、いずれも演算処理部400であるCPUが記憶部500に記憶されたプログラムを実行することにより実現される、ソフトウェアとして機能するものとして説明するが、ハードウェアにより実現されるようにしてもよい。なお、このようなプログラムは記憶媒体に記録されて車両に搭載される。
記憶部500には、各種情報、プログラム、しきい値、マップ等が記憶され、必要に応じて演算処理部400からデータが読み出されたり、格納されたりする。
以下、図20を参照して、本実施の形態に係る車両の駆動力配分装置のECU160で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
ステップ(以下、ステップをSと記載する)100にて、ECU160は、駆動トルクの移動制御中であるか否かを判定する。駆動トルクの移動制御中であると(S100にてYES)、処理はS102に移される。もしそうでないと(S100にてNO)、処理はS106に移される。
S102にて、ECU160は、車両が限界走行状態であるか否かを判定する。車両が限界走行状態であると(S102にてYES)、処理はS106に移される。もしそうでないと(S102にてNO)、処理はS104に移される。
S104にて、ECU160は、遮断弁150,152をオンして、オイル配管82,92が遮断状態になるように制御する。
S106にて、ECU160は、遮断弁150,152をオフして、オイル配管82,92が連通状態になるように制御する。
以上のような構造およびフローチャートに基づく本実施の形態に係る車両の駆動力配分装置の動作について図21および図22を用いて説明する。
たとえば、車両の旋回中においてヨー方向の角速度が車速と操舵角とに基づく規範値から予め定められた値(1)以上に乖離した場合にトルク移動制御が実行される。駆動トルクの移動制御は、車両が限界走行状態になるまで継続される。
駆動トルクの移動制御中であって(S100にてYES)、車両が限界走行状態でないと(S102にてNO)、遮断弁150,152はオンされて、オイル配管82,92は、連通状態となる(S106)。
そのため、図21に示すように、たとえば、運転者によりブレーキペダルが操作された場合においても、ブレーキペダルの操作に基づいてブレーキ配管60,70においてブレーキ制御油圧が上昇した場合においても、クラッチシリンダ136,146の解放が抑制される。駆動トルクの移動制御中であって、車両が限界走行状態でない場合には、連動機構80,90の作動を抑制することにより、運転者のブレーキペダルの操作により駆動トルクの移動量が低下することを抑制することができる。
すなわち、図22に示すように、時間Tc(2)まで、駆動トルクの移動制御が実施されていた場合において、車両が限界走行状態でないと、遮断弁150および遮断弁152がオンされるため、駆動トルクの移動制御中に運転者がブレーキペダルを操作するなどしてブレーキ制御油圧が上昇しても、ブレーキ制御油圧に連動してトルク移動量が低下することが抑制される。そのため、運転者のブレーキペダルの操作により車両に制動力が発生している場合においても駆動力差が維持されるため、車輪34,36の前後力差が維持した状態で、車輪34,36の前後力が制動力の発生に応じて減少する。そのため、運転者がブレーキペダルを操作した場合においても、駆動トルクの移動制御による旋回方向のモーメントが継続して生じるため、車両の旋回性能が維持される。
一方、駆動トルクの移動制御中であって(S100にてYES)、たとえば、車両が左旋回中においてアンダーステアが発生するなどしてヨー方向の角速度が規範値から予め定められた値(2)以上乖離して、車両が限界走行状態になると(S102にてYES)、ECU160により、左後輪の車輪34のブレーキ制御油圧を上昇するようにブレーキアクチュエータ170が制御される。
このとき、遮断弁150,152は、いずれもオフされるため、オイル配管82,92は、連通状態になる。そのため、車輪34におけるブレーキ制御油圧の上昇に応じて、クラッチ130が解放されて、駆動トルクの移動量の低下と制動トルクの増加とが連動する。車輪34における駆動トルクの移動量の低下と制動トルクの増加との連動の態様については、上述した第1の実施の形態に係る駆動力配分装置による連動の態様と同様である。そのため、その詳細な説明は繰返さない。
以上のようにして、本実施の形態に係る車両の駆動力配分装置によると、上述の第1の実施の形態に係る車両の駆動力配分装置による作用効果に加えて、運転者の制動操作に応じて連動を抑制することにより、運転者の制動操作による制動力の増大に起因した駆動力の移動制御における移動の度合の変化を抑制することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 入力シャフト、12 ファイナルインプットギヤ、20,230 差動機構、22,236 リングギヤ、24 デフケース、26 サイドギヤ、28 ピニオンギヤ、30,32 ドライブシャフト、34,36 車輪、40,50 制動装置、42,52 ブレーキディスク、44,54 ホイールシリンダ、46,56 ブレーキキャリパ、48,58 ブレーキパッド、60,70 ブレーキ配管、62,134,146 油室、64,66 オイル配管、100,200 トルク移動機構、120,220 増減速機構、130,140,202,204 クラッチ、132,142 クラッチシリンダ、134,144 クラッチプレート、150,152 遮断弁、160 ECU、162 車速センサ、164 ヨーレートセンサ、166 操舵角センサ、168 ブレーキストロークセンサ、170 ブレーキアクチュエータ、180 油圧ポンプ、212 ブレーキ、222 ライトサンギヤ、224 レフトサンギヤ、226 ライトピニオンギヤ、228 レフトピニオンギヤ、232 サンギヤ、210,234 キャリア、300 入力I/F、400 演算処理部、402 トルク移動制御判定部、404 限界走行判定部、406 遮断弁制御部、500 記憶部、600 出力I/F。
Claims (10)
- 車両に搭載された駆動源からの駆動力を左右の車輪に配分する車両の駆動力配分装置であって、
前記車両の走行状態を検出するための検出手段と、
前記検出された車両の走行状態に応じて左右の車輪の間に駆動力差が生じるように左右の車輪のいずれか一方に駆動力を移動するための駆動力移動手段と、
前記車両の運転者の制動操作の有無に関連せずに前記検出された車両の走行状態に応じて左右の車輪のうちの少なくともいずれか一方において制動力を発生する制動力発生手段と、
前記駆動力移動手段による駆動力の移動と前記制動力発生手段による制動力の発生とが並行する期間において前記車両の前後方向における駆動力と制動力との和の変化率の符号が変化しないように、前記左右の車輪のそれぞれにおいて前記駆動力の変化と前記制動力の変化とを連動するための連動手段とを含む、車両の駆動力配分装置。 - 前記連動手段は、前記左右の車輪のいずれか一方において前記駆動力の増加と前記制動力の増加とを連動し、前記駆動力の減少と前記制動力の減少とを連動するための手段を含む、請求項1に記載の車両の駆動力配分装置。
- 前記連動手段は、前記駆動力の変化の時点と前記制動力の変化の時点とが一致するように連動するための手段を含む、請求項1または2に記載の車両の駆動力配分装置。
- 前記連動手段は、前記駆動力と前記制動力との和の変化率の大きさが予め定められた値以下になるように定められた駆動力の変化の度合と制動力の変化の度合との関係に基づいて前記駆動力の変化と前記制動力の変化とを連動するための手段を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の車両の駆動力配分装置。
- 前記駆動力配分装置は、前記制動操作に応じた、前記連動手段による連動を抑制するための抑制手段をさらに含む、請求項1〜4のいずれかに記載の車両の駆動力配分装置。
- 前記駆動力移動手段は、第1の油圧源から供給される油圧の増加により係合する摩擦係合要素の係合状態に応じて前記左右の車輪のうちのいずれか一方から他方に駆動力を増速して伝達する機構であって、
前記制動力発生手段は、第2の油圧源から供給される油圧の増加により前記一方の車輪の回転を抑制することにより制動力を発生する機構であって、
前記連動手段は、前記第2の油圧源から供給される油圧の増加により前記摩擦係合要素を解放するように連動するための手段を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の車両の駆動力配分装置。 - 前記摩擦係合要素には、前記第1の油圧源から供給される作動油を貯留する第1の油室と、前記油室内の油圧の増加により駆動側の回転要素と被駆動側の回転要素との係合の度合を増加するピストンとが設けられ、
前記連動手段は、
前記第2の油圧源に一方端が接続される油路と、
前記油路の他方端に接続され、前記第1の油室と前記ピストンを挟んで反対側に前記ピストンに隣接して設けられる第2の油室とを含む、請求項6に記載の車両の駆動力配分装置。 - 前記抑制手段は、前記第2の油圧源と前記第2の油室とを遮断状態にする遮断弁である、請求項7に記載の車両の駆動力配分装置。
- 前記駆動力配分装置は、前記検出された車両の走行状態に基づいて前記第2の油圧源と前記第2の油室とが連通状態および遮断状態のうちのいずれか一方の状態になるように前記遮断弁を制御するための制御手段をさらに含む、請求項8に記載の車両の駆動力配分装置。
- 前記制御手段は、
前記駆動力移動手段による駆動力の移動中であって、前記検出された車両の走行状態が限界走行状態に対応する走行状態でないと、前記第2の油圧源と前記第2の油室とが遮断状態になるように前記遮断弁を制御するための手段と、
少なくとも前記検出された車両の走行状態が前記限界走行状態に対応する走行状態であると前記第2の油圧源と前記第2の油室とが連通状態になるように前記遮断弁を制御するための手段とを含む、請求項9に記載の車両の駆動力配分装置。
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CN103318172A (zh) * | 2013-06-24 | 2013-09-25 | 昆山思达软件集成有限公司 | 一种车辆稳定控制系统 |
CN103786722A (zh) * | 2014-02-20 | 2014-05-14 | 奇瑞汽车股份有限公司 | 一种车辆安全驾驶系统 |
-
2007
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