JP2019209947A - 四輪駆動車両の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】スリップ停車状態において車両を発進させるための駆動力の確保と制御カップリングの過熱の抑制とを行うことができる四輪駆動車両の制御装置を提供する。【解決手段】スリップ停車状態のときに一対の前輪14のうちスリップ側の前輪14にブレーキがかけられ、そのブレーキの強さに伴って非スリップ側の後輪16に設けられた電磁カップリングの締結力が増加させられることにより、スリップ側の前輪14が制動し差動装置により非スリップ側の前輪14に駆動トルクTeが伝達される。また、非スリップ側の前輪14に駆動トルクTeが伝達されることにより非スリップ側の後輪16に伝達されていたトルクが低減される一方で、非スリップ側の後輪16に設けられた電磁カップリングの締結力が前記ブレーキの強さに関係なく増加させることがなくなり、前記制御カップリングが過熱させられることを好適に抑制することができる。【選択図】図3

Description

本発明は、駆動力源から左右一対の主駆動輪および左右一対の副駆動輪へ駆動力を伝達する四輪駆動車両において、発進時に前記左右一対の主駆動輪および副駆動輪のうちの、左側主駆動輪および左側副駆動輪または右側主駆動輪および右側副駆動輪が共にスリップしたときにおける、車両を発進させるための駆動力の確保と前記副駆動輪に設けられた制御カップリングの過熱の抑制とを行う技術に関する。
駆動力源から差動装置を介して左右一対の主駆動輪へ駆動力を伝達する二輪駆動状態と、前記駆動力源から左右一対の制御カップリングを介して左右一対の副駆動輪へも駆動力を伝達する四輪駆動状態と、を選択的に切り替える四輪駆動車両が知られている。例えば、特許文献1に記載された四輪駆動車両がそれである。特許文献1の四輪駆動車両では、前記左右一対の制御カップリングの締結力が変化させられることにより、左右一対の副駆動輪(後輪)に配分されるトルクが変化するようになっている。そして、その特許文献1の四輪駆動車両では、左右前後の車輪の車輪速度の少なくとも1つが予め定められた停車判定速度である所定速度を下回る停車状態すなわちスリップ停車状態であると判定されると、前記左右一対のカップリングの締結力を補正することが記載されている。
特開2006−56444号公報
ところで、特許文献1のような四輪駆動車両は、例えば左右で摩擦係数(μ)が異なる路面で発進することが考えられるが、その路面の摩擦係数が低い低μ側の路面で例えば左側主駆動輪および左側副駆動輪が共にスリップし且つ他の車輪のうちの少なくとも1つの車輪速度が所定速度を下回るスリップ停車状態になることがある。この場合には、前記左側主駆動輪がスリップすることにより前記差動装置によって右側主駆動輪が回らなくなりさらに前記左側副駆動輪もスリップするので、車両を発進させるための駆動力(駆動トルク)を確保することが困難になる問題があった。これに対して、前記左側主駆動輪のスリップや前記左側副駆動輪のスリップがトラクションコントロール(TRC制御)によって制動されることで抑制され、右側主駆動輪への駆動トルクが増加させられる場合があるが、前記制御カップリングの伝達トルクとトラクションコントロールによる制動トルクとが独立であるため、車両の駆動力が充分に得られず、同時に前記制御カップリングが過熱させられるという問題もあった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、スリップ停車状態において車両を発進させるための駆動力の確保と制御カップリングの過熱の抑制とを行うことができる四輪駆動車両の制御装置を提供することにある。
第1発明の要旨とするところは、(a)駆動力源から差動装置を介して左右一対の主駆動輪へ駆動力を伝達する二輪駆動状態と、前記駆動力源から左右一対の制御カップリングを介して左右一対の副駆動輪へも駆動力を伝達する四輪駆動状態と、を選択的に切り替える四輪駆動車両の制御装置であって、(b)前記四輪駆動状態において、前記左右の主駆動輪および副駆動輪のうちの、左側主駆動輪および左側副駆動輪または右側主駆動輪および右側副駆動輪が共にスリップし且つ他の車輪のうちの少なくとも1つの車輪速度が所定速度を下回るスリップ停車状態である場合には、前記左右の主駆動輪のうちのスリップ側の主駆動輪にブレーキをかけ、そのブレーキの強さに応じて、前記左右一対の制御カップリングのうちの非スリップ側の副駆動輪に設けられた制御カップリングの締結力を増加させることにある。
第1発明によれば、前記四輪駆動状態において、前記左右の主駆動輪および副駆動輪のうちの、左側主駆動輪および左側副駆動輪または右側主駆動輪および右側副駆動輪が共にスリップし且つ他の車輪のうちの少なくとも1つの車輪速度が所定速度を下回るスリップ停車状態である場合には、前記左右の主駆動輪のうちのスリップ側の主駆動輪にブレーキをかけ、そのブレーキの強さに応じて、前記左右一対の制御カップリングのうちの非スリップ側の副駆動輪に設けられた制御カップリングの締結力を増加させる。このため、前記スリップ停車状態のときに前記左右の主駆動輪のうちスリップ側の主駆動輪にブレーキがかけられることおよび、そのブレーキの強さに伴って前記制御カップリングの締結力が増加させられることによって、前記スリップ側の主駆動輪が制動し前記差動装置により非スリップ側の主駆動輪に駆動力が伝達され、車両を発進させるための駆動力を確保することができる。さらに、前記非スリップ側の主駆動輪に駆動力が伝達されることによって、前記非スリップ側の副駆動輪に伝達されていた駆動力が低減される一方で、前記非スリップ側の副駆動輪に設けられた制御カップリングの締結力が前記ブレーキの強さに関係なく増加させることがなくなり、前記制御カップリングが過熱させられることを好適に抑制することができる。
本発明が好適に適用された四輪駆動車両の構成を概略的に説明する骨子図である。 図1の四輪駆動車両の電子制御装置に備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。 図1の四輪駆動車両の四輪駆動状態において左右で摩擦係数が異なる路面での車両発進時にその路面の摩擦係数が比較的低い低μ側の路面により左側前輪および左側後輪が共にスリップしている状態を示す図である。 図1の電子制御装置において、四輪駆動状態において左側前輪および左側後輪が共にスリップしているときにおける制動装置と左右一対の制御カップリングとの作動の一例を説明するフローチャートである。
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明が好適に適用された四輪駆動車両10の構成を概略的に説明する骨子図である。図1において、四輪駆動車両10は、エンジン12を駆動力源とし、エンジン12の駆動力(駆動トルク)を主駆動輪に対応する左右一対の左側前輪(左側主駆動輪)14Lおよび右側前輪(右側主駆動輪)14R(特に区別しない場合には、前輪14という)に伝達する第1の動力伝達経路と、エンジン12の駆動力を副駆動輪に対応する左右一対の左側後輪(左側副駆動輪)16Lおよび右側後輪(右側副駆動輪)16R(特に区別しない場合には、後輪16という)に伝達する第2の動力伝達経路と、を備えているFFベースの四輪駆動装置を有している。この四輪駆動車両10の二輪駆動状態では、エンジン12から自動変速機18を介して伝達された駆動力が、差動装置である前輪用駆動力分配ユニット20および左右の前輪車軸22L、22Rを通して左右一対の左側前輪14Lおよび右側前輪14Rへ伝達される。この二輪駆動状態では、少なくとも第1クラッチ24が解放され、トランスファ26、プロペラシャフト28、および、後輪用駆動力分配ユニット30および後輪16へは駆動力が伝達されない。しかし、四輪駆動状態では、上記二輪駆動状態に加えて、第1クラッチ24および第2クラッチ32が共に係合されるとともに、左電磁カップリング(制御カップリング)34Lにより後輪車軸36Lおよび左側後輪16Lへの伝達トルクが制御され、且つ右電磁カップリング(制御カップリング)34Rにより後輪車軸36Rおよび右側後輪16Rへの伝達トルクが制御されるようになっている。
差動装置である前輪用駆動力配分ユニット20は、図1に示すように、第1回転軸線C1まわりに回転可能に設けられ自動変速機18の出力歯車18aに噛み合うリングギヤ20rと、リングギヤ20rが固定されたデフケース20cと、デフケース20c内に収容された差動歯車機構20dと、を備えており、左右の前輪車軸22L、22Rにそれらの差回転を許容しつつエンジン12からの駆動力を伝達する。なお、デフケース20cには、トランスファ26に設けられた第1回転部材38において左側前輪14L側の端部に形成された外周噛合歯38aに噛み合う内周噛合歯20aが形成されている。
トランスファ26は、図1に示すように、前述した第1回転部材38と、プロペラシャフト28の前輪14側の端部に形成されたドリブンピニオン28aに噛み合うリングギヤ40aが形成された第2回転部材40と、それら第1回転部材38と第2回転部材40との動力伝達を選択的に断接する噛合式のドグクラッチである第1クラッチ24と、を備えており、第1クラッチ24により第1回転部材38と第2回転部材40とが動力伝達可能に接続されることによって、エンジン12から出力される駆動力の一部が後輪16すなわちプロペラシャフト28へ伝達される。
第1クラッチ24は、図1に示すように、第1回転部材38の右側前輪14R側の端部に形成された第1クラッチ歯38bと、第2回転部材40の左側前輪14L側の端部に形成された第2クラッチ歯40bと、第1クラッチ歯38bと第1回転軸線C1方向の相対移動可能に常時噛み合い且つ第2クラッチ歯40bにも噛合可能な内周歯42aが形成された第1可動スリーブ42と、第1可動スリーブ42を、第2クラッチ歯40bに噛み合う第1噛合位置と第2クラッチ歯40bに噛み合わない第1非噛合位置とに第1回転軸線C1方向に移動させる第1アクチュエータ44と、を備えている。
後輪用駆動力配分ユニット30は、図1に示すように、左右の後輪車軸36L、36Rにそれらの差回転を許容しつつプロペラシャフト28に伝達された駆動力を左側後輪16Lおよび右側後輪16Rに伝達するデファレンシャル機構46と、デファレンシャル機構46とプロペラシャフト28との間の動力伝達を選択的に断接する第2クラッチ32と、を備えている。
デファレンシャル機構46は、図1に示すように、左側後輪16Lに伝達する駆動力を調整する左電磁カップリング34Lと、右側後輪16Rに伝達する駆動力を調整する右電磁カップリング34Rと、それら左電磁カップリング34Lと右電磁カップリング34Rとが両端部に連結された中央車軸48と、を有している。なお、左電磁カップリング34Lおよび右電磁カップリング34Rには、図示しないが、電磁コイルおよびボールカムを含み電気的に制御可能なアクチュエータと、そのアクチュエータによってクラッチドラムCdに設けられた第1摩擦板(図示しない)とクラッチハブChに設けられた第2摩擦板(図示しない)との摩擦力すなわち締結力が調節される湿式多板クラッチと、がそれぞれ備えられており、後述する電子制御装置(制御装置)100から前記電磁コイルに供給される駆動電流により発生する磁力によって、前記第1摩擦板と前記第2摩擦板との締結力が増加させられ左側後輪16Lおよび右側後輪16Rに伝達する駆動力すなわち駆動トルクが調整されるようになっている。また、左電磁カップリング34Lおよび右電磁カップリング34Rにそれぞれ設けられたクラッチドラムCdはそれぞれ中央車軸48に動力伝達可能に連結されており、左電磁カップリング34Lに設けられたクラッチハブChは後輪車軸36Lを介して左側後輪16Lに動力伝達可能に連結されており、右電磁カップリング34Rに設けられたクラッチハブChは後輪車軸36Rを介して右側後輪16Rに動力伝達可能に連結されている。
また、後輪用駆動力分配ユニット30には、図1に示すように、第2回転軸線C2まわりに回転可能に設けられ、プロペラシャフト28に動力伝達可能に連結された第1回転部材50と、第2回転軸線C2まわりに回転可能に設けられ、中央車軸48に一体的に固定された第2回転部材52と、が備えられている。なお、第2クラッチ32は、それら第1回転部材50と第2回転部材52との間の動力伝達を選択的に断接する噛合式のドグクラッチである。また、第1回転部材50の左側後輪16L側の端部には、プロペラシャフト28の後輪16側の端部に形成されたドライブピニオン28bに噛み合うリングギヤ50bが形成されている。
第2クラッチ32は、図1に示すように、第1回転部材50に形成された第1クラッチ歯50aと、第2回転部材52に形成された第2クラッチ歯52aと、第2クラッチ歯52aと第2回転軸線C2方向の相対移動可能に常時噛み合い且つ第1クラッチ歯50aにも噛合可能な内周歯54aが形成された第2可動スリーブ54と、第2可動スリーブ54を、第1クラッチ歯50aに噛み合う第2噛合位置と第1クラッチ歯50aに噛み合わない第2非噛合位置とに第2回転軸線C2方向に移動させる第2アクチュエータ56と、を備えている。
以上のように構成された四輪駆動車両10では、電子制御装置100で例えば四輪駆動走行モードが選択されると、第1クラッチ24、第2クラッチ32、左電磁カップリング34L、および右電磁カップリング34Rがそれぞれ係合させられ、エンジン12から前輪用駆動力配分ユニット20等を介して左右の左側前輪14L、右側前輪14Rへ駆動力を伝達し且つエンジン12から左右一対の左電磁カップリング34Lおよび右電磁カップリング34Rを介して左右の左側後輪16L、右側後輪16Rへも駆動力を伝達する四輪駆動状態が形成される。また、電子制御装置100で例えば二輪駆動走行モードが選択されると、第1クラッチ24、第2クラッチ32、左電磁カップリング34L、および右電磁カップリング34Rがそれぞれ解放させられ、エンジン12から前輪用駆動力配分ユニット20を介して左右の左側前輪14Lおよび右側前輪14Rへ駆動力を伝達する二輪駆動状態が形成される。なお、第1クラッチ24では、第1可動スリーブ42が前記第1噛合位置に移動すると第1クラッチ24が係合し、第1可動スリーブ42が前記第1非噛合位置に移動すると第1クラッチ24が解放する。また、第2クラッチ32では、第2可動スリーブ54が前記第2噛合位置に移動すると第2クラッチ32が係合し、第2可動スリーブ32が前記第2非噛合位置に移動すると第2クラッチ32が解放する。
なお、四輪駆動車両10は、四輪駆動状態において、後輪16側に設けられたリングギヤ50bの回転速度が前輪14側に設けられたリングギヤ40aの回転速度より僅かに速くなるように、プロペラシャフト28に設けられたドリブンピニオン28aとリングギヤ40aとのギヤ比と、プロペラシャフト28に設けられたドライブピニオン28bとリングギヤ50bとのギヤ比と、に差が設けられている。これによって、四輪駆動状態で走行中の時には、左電磁カップリング34Lおよび右電磁カップリング34Rにおいて前記第1摩擦板と前記第2摩擦板とが滑る。
また、図1に戻って、四輪駆動車両10には、常用ブレーキとして良く知られた所謂ディスクブレーキである、左側前輪14L、右側前輪14Rおよび左側後輪16L、右側後輪16Rに制動力(制動トルク)を発生させる制動装置58が備えられている。制動装置58は、図1に示すように、前輪車軸22L、22Rおよび後輪車軸36L、36Rにそれぞれ固設され、左側前輪14L、右側前輪14Rおよび左側後輪16L、右側後輪16Rのそれぞれの車輪と共に回転するディスク60と、車体に連結されたサスペンションを構成する部材等に配設され、ブレーキペダル62の操作量に応じてマスターシリンダー64等からブレーキ油圧Br(Mpa)が供給されることによりブレーキパッド(図示しない)を介してディスク60を挟圧するキャリパ66と、ブレーキアクチュエータ68等と、を備えている。なお、ブレーキアクチュエータ68は、例えば、ブレーキ油圧Brの元圧を発生させる油圧ポンプやアキュムレータ、および各車輪に備えられたキャリパ66のブレーキ油圧Brを調圧する複数個のソレノイドバルブ70等を備え、電子制御装置100からの指令に従って各車輪のキャリパ66へブレーキ油圧Brを供給するとともにその供給されるブレーキ油圧Brを調圧制御する装置である。
図2は、図1の四輪駆動車両10に設けられた電子制御装置100に備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。電子制御装置100は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより四輪駆動車両10の各種制御を実行する。図2に示すように、電子制御装置100は、四輪駆動車両10に設けられた各センサにより検出された各種入力信号が供給されるようになっている。例えば、第1ポジションセンサ72により検出される第1クラッチ24が係合しているか否かを表すON、OFF信号、すなわち第1可動スリーブ42が前記第1噛合位置にいるか否かを表すON、OFF信号と、第2ポジションセンサ74により検出される第2クラッチ32が係合しているか否かを表すON、OFF信号、すなわち第2可動スリーブ54が前記第2噛合位置にいるか否かを表すON、OFF信号と、車輪速センサ76により検出される左側前輪14L、右側前輪14Rおよび左側後輪16L、右側後輪16Rの車輪速度Wfl、Wfr、Wrl、Wrr(rpm)を表す信号と、車速センサ78により検出される車速V(km/h)を表す信号と、回転速度センサ80により検出される中央車軸48の回転速度Sc(rpm)を表す信号と、ESC/TRC解除スイッチ82により検出される運転者からの横滑り防止制御(Electronic Stability Control)およびトラクションコントロール(Traction Control)の両方の制御の解除を表す解除信号ESC/TRCoffと、セレクトスイッチ84により検出される運転者からのオフロード以外の例えばアスファルト等の舗装路面を好適に走行する舗装路面走行モードの選択を表す信号等と、が電子制御装置100に入力される。
また、電子制御装置100から、四輪駆動車両10に設けられた各装置に各種出力信号が供給されるようになっている。例えば、左側後輪16Lと中央車軸48との間で伝達する伝達トルクを制御するためにすなわち前記第1摩擦板と前記第2摩擦板との締結力を制御するために左電磁カップリング34Lに設けられたアクチュエータの電磁コイルに供給される第1電流I1と、右側後輪16Rと中央車軸48との間で伝達する伝達トルクを制御するためにすなわち前記第1摩擦板と前記第2摩擦板との締結力を制御するために右電磁カップリング34Rに設けられたアクチュエータの電磁コイルに供給される第2電流I2と、キャリパ66のブレーキ油圧Br(Mpa)を制御するためにブレーキアクチュエータ68に設けられたソレノイドバルブ70に供給される指令信号Ssと、が電子制御装置100から各部へ供給される。
図2に示すように、電子制御装置100には、例えば、4WD判定部86と、カップリング温度推定部88と、前輪スリップ判定部90と、後輪スリップ判定部92と、カップリング制御部94と、タイヤ空転防止制御停止判定部96と、カップリング保護判定部98と、ブレーキ制御部102と、が備えられている。
4WD判定部86は、エンジン12からの駆動力を左右一対の左側前輪14L、右側前輪14Rおよび左側後輪16L、右側後輪16Rに伝達する四輪駆動状態であるか否かを判定する。例えば、4WD判定部86は、第1ポジションセンサ72によって第1可動スリーブ42が前記第1噛合位置にあると検出され、且つ第2ポジションセンサ74により第2可動スリーブ54が前記第2噛合位置にあると検出されると、四輪駆動状態であると判定する。
カップリング温度推定部88は、4WD判定部86で四輪駆動状態であると判定されると、左電磁カップリング34Lの温度Tcl(℃)すなわち左電磁カップリング34Lに設けられた前記第1摩擦板および前記第2摩擦板の温度Tcl(℃)と、右電磁カップリング34Rの温度Tcr(℃)すなわち右電磁カップリング34Rに設けられた前記第1摩擦板および第2摩擦板の温度Tcr(℃)と、を推定する。なお、カップリング温度推定部88は、例えば左電磁カップリング34Lにおいて、車輪速センサ76から検出される左側後輪16Lの車輪速度Wrl(rpm)と回転速度センサ80から検出される中央車軸48の回転速度Sc(rpm)との差回転から求められる左電磁カップリング34Lにおける前記第1摩擦板と前記第2摩擦板とのスリップ量と、左電磁カップリング34Lにおける前記第1摩擦板と前記第2摩擦板との締結力と、から、左電磁カップリング34Lにおいて前記第1摩擦板と前記第2摩擦板との間で発生する発熱量Qlを推定して、その推定した発熱量Qlから左電磁カップリング34Lの温度Tcl(℃)を推定する。また、カップリング温度推定部88は、例えば右電磁カップリング34Rにおいて、車輪速センサ76から検出される右側後輪16Rの車輪速度Wrr(rpm)と回転速度センサ80から検出される中央車軸48の回転速度Sc(rpm)との差回転から求められる右電磁カップリング34Rにおける前記第1摩擦板と前記第2摩擦板とのスリップ量と、右電磁カップリング34Rにおける前記第1摩擦板と前記第2摩擦板との締結力と、から、右電磁カップリング34Rにおいて前記第1摩擦板と前記第2摩擦板との間で発生する発熱量Qrを推定して、その推定した発熱量Qrから右電磁カップリング34Rの温度Tcr(℃)を推定する。
前輪スリップ判定部90は、4WD判定部86で四輪駆動状態であると判定されると、左右一対の左側前輪14Lおよび右側前輪14Rのうちの一方の車輪にスリップが発生しているか否かを判定する。例えば、前輪スリップ判定部90は、車輪速センサ76から検出される左側前輪14Lの車輪速度Wfl(rpm)と右側前輪14Rの車輪速度Wfr(rpm)との差が、予め設定されたスリップ判定値Dsf(rpm)より大きくなると、左右一対の左側前輪14Lおよび右側前輪14Rのうちの一方の車輪にスリップが発生していると判定する。
後輪スリップ判定部92は、前輪スリップ判定部90で左右一対の左側前輪14Lおよび右側前輪14Rのうちの一方の車輪にスリップが発生していると判定されると、左右一対の左側後輪16Lおよび右側後輪16Rのうちの一方の車輪にスリップが発生しているか否かを判定する。例えば、後輪スリップ判定部92は、車輪速センサ76から検出される左側後輪16Lの車輪速度Wrl(rpm)と右側後輪16Rの車輪速度Wrr(rpm)との差が、予め設定されたスリップ判定値Dsr(rpm)より大きくなると、左右一対の左側後輪16Lおよび右側後輪16Rのうちの一方の車輪にスリップが発生していると判定する。
カップリング制御部94は、4WD判定部86で四輪駆動状態であると判定されると、左右一対の左電磁カップリング34Lおよび右電磁カップリング34Rに設けられた前記第1摩擦板と前記第2摩擦板との締結力を制御、すなわち左電磁カップリング34Lにおいて左側後輪16Lと中央車軸48との間で伝達する伝達トルクおよび右電磁カップリング34Rにおいて右側後輪16Rと中央車軸48との間で伝達する伝達トルクを制御する。なお、カップリング制御部94は、前輪14に伝達される前輪駆動トルクと後輪16に伝達される後輪駆動トルクとのトルク配分比が、例えば、前後加速度センサから検出される車両前後方向の加速度と路面勾配センサから検出される路面の勾配とから推定された目標前後輪分担荷重比となるように、左右一対の左電磁カップリング34Lおよび右電磁カップリング34Rの前記伝達トルクを制御する。また、本実施例の四輪駆動車両10は、四輪駆動走行中において左電磁カップリング34Lおよび右電磁カップリング34Rの前記伝達トルクを制御することによって、前記前輪駆動トルクと前記後輪駆動トルクとのトルク配分比を100:0〜50:50の間で連続的に変更することができる。
また、カップリング制御部94は、4WD判定部86で四輪駆動状態であると判定され、且つ、前輪スリップ判定部90で左右一対の左側前輪14Lおよび右側前輪14Rのうちの一方の車輪にスリップが発生していると判定されると、後輪16に伝達する後輪駆動トルクが増加するように左右一対の左電磁カップリング34Lおよび右電磁カップリング34Rの前記伝達トルクを増加させる駆動トルク配分制御を実行する。
タイヤ空転防止制御停止判定部96は、車両走行中において左右一対の左側前輪14L、右側前輪14Rおよび左側後輪16Lおよび右側後輪16Rの車輪(タイヤ)が空転した際にその車輪にブレーキを自動的にかけるタイヤ空転防止制御が停止しているか否かを判定する。例えば、タイヤ空転防止制御停止判定部96は、運転者がESC/TRC解除スイッチ82を操作して前記横滑り防止制御および前記トラクションコントロールの両方の制御を解除し、且つ、運転者がセレクトスイッチ84を操作して前記舗装路面走行モードを選択すると、前記タイヤ空転防止制御が停止していると判定する。
カップリング保護判定部98に備えられたスリップ停車状態判定部98aは、前輪スリップ判定部90で左右一対の左側前輪14Lおよび右側前輪14Rのうちの一方の車輪にスリップが発生していると判定され、且つ、後輪スリップ判定部92で左右一対の左側後輪16Lおよび右側後輪16Rのうちの一方の車輪にスリップが発生していると判定されると、車両発進時において、左右一対の前輪14および後輪16のうち、左側前輪14Lおよび左側後輪16Lまたは右側前輪14Rおよび右側後輪16Rが共にスリップし且つ他の車輪の車輪速度が予め定められた停車判定速度(所定車速)Wc(rpm)を下回るスリップ停車状態であるか否かを判定する。例えば、スリップ停車状態判定部98aは、図3に示すように、左右一対の前輪14において路面に対してスリップしているスリップ側の前輪14が左側前輪14Lであり、且つ、左右一対の後輪16において路面に対してスリップしているスリップ側の後輪16が左側後輪16Lであり、且つ、その他の車輪の車輪速度、すなわち非スリップ側の前輪14である右側前輪14Rの車輪速度Wfr(rpm)および非スリップ側の後輪16である右側後輪16Rの車輪速度Wrr(rpm)が停車判定速度Wc(rpm)をそれぞれ下回る(Wfr<Wc、Wrr<Wc)場合に、スリップ停車状態であると判定する。また、スリップ停車状態判定部98aは、左右一対の前輪14において路面に対してスリップしているスリップ側の前輪14が右側前輪14Rであり、且つ、左右一対の後輪16において路面に対してスリップしているスリップ側の後輪16が右側後輪16Rであり、且つ、その他の車輪の車輪速度、すなわち非スリップ側の前輪14である左側前輪14Lの車輪速度Wfl(rpm)および非スリップ側の後輪16である左側後輪16Lの車輪速度Wrl(rpm)が停車判定速度Wc(rpm)をそれぞれ下回る(Wfl<Wc、Wrl<Wc)場合に、スリップ停車状態であると判定する。なお、スリップ停車状態判定部98aでは、前輪スリップ判定部90において車輪速度Wfl、Wfrが大きい側の前輪14をスリップ側の前輪14と判定し、車輪速度Wfl、Wfrが小さい側の前輪14を非スリップ側の前輪14と判定する。また、スリップ停車状態判定部98aでは、後輪スリップ判定部92において車輪速度Wrl、Wrrが大きい側の後輪16をスリップ側の後輪16と判定し、車輪速度Wrl、Wrrが小さい側の後輪16を非スリップ側の後輪16と判定する。
カップリング保護判定部98は、スリップ停車状態判定部98aでスリップ停車状態であると判定されると、左電磁カップリング34Lおよび右電磁カップリング34Rのうちの非スリップ側の後輪16に設けられた電磁カップリングにおいて、前記第1摩擦板と前記第2摩擦板との摩擦により発生する熱によって前記第1摩擦板および前記第2摩擦板が過熱されて前記非スリップ側の後輪16に設けられた電磁カップリングを保護する必要があるか否かを判定する。例えば、カップリング保護判定部98は、タイヤ空転防止制御停止判定部96でタイヤ空転防止制御が停止していると判定され、且つ、カップリング温度推定部88で推定された、前記非スリップ側の後輪16に設けられた電磁カップリングの温度Tcl、Tcr(℃)が予め定められた所定温度Tc(℃)より高いときに、前記非スリップ側の後輪16に設けられた電磁カップリングを保護する必要があると判定する。なお、所定温度Tc(℃)は、左電磁カップリング34Lおよび右電磁カップリング34Rに設けられた前記第1摩擦板および前記第2摩擦板の耐久性が低下する可能性が高くなる温度Tcl、Tcr(℃)である。
ブレーキ制御部102は、カップリング保護判定部98で前記非スリップ側の後輪16に設けられた電磁カップリングを保護する必要があると判定されると、左右一対の前輪14のうちのスリップ側の前輪14にブレーキをかける。例えば、ブレーキ制御部102は、左右一対の前輪14のうちのスリップ側の前輪14に設けられたキャリパ66のブレーキ油圧Br(Mpa)を、スリップ側の前輪14と路面との摩擦係数(μ)が高くなるようにつまりスリップ側の前輪14と非スリップ側の前輪14との差回転(スリップ量)が所定範囲になるように、高める。
カップリング制御部94には、駆動トルク演算部94aと、上限トルク演算部94bと、が備えられている。駆動トルク演算部94aは、ブレーキ制御部102で左右一対の前輪14のうちスリップ側の前輪14にブレーキをかけて、そのブレーキが作動していると判定すると、そのブレーキにより発生する駆動トルクTe(Nm)を演算する。例えば、駆動トルク演算部94aは、ブレーキ制御部102において左右一対の前輪14のうちのスリップ側の前輪14に設けられたキャリパ66に供給されているブレーキ油圧Br(Mpa)から例えば予め求められた関係を示すマップ等を用いて左右一対の前輪14のうちのスリップ側の前輪14に作用する制動トルクTbr(Nm)を演算して、その演算された制動トルクTbrの大きさと同じ且つ制動トルクTbrの力の向きとは反対のトルクを駆動トルクTeとして演算する。例えば、制動トルクTbrが−50(Nm)であれば駆動トルクTeは50(Nm)になる。
上限トルク演算部94bは、駆動トルク演算部94aで前記ブレーキにより発生する駆動トルクTe(Nm)が演算されると、左右一対の左電磁カップリング34Lおよび右電磁カップリング34Rのうちの非スリップ側の後輪16に設けられた電磁カップリングを介して中央車軸48から非スリップ側の後輪16に伝達する伝達トルクの上限トルクTdmax(Nm)を演算する。例えば、上限トルク演算部94bは、駆動トルク演算部94aで演算された駆動トルクTeの半分を上限トルクTdmax(Te/2)として演算する。
カップリング制御部94は、駆動トルク演算部94aで前記ブレーキにより発生する駆動トルクTe(Nm)が演算され、且つ、上限トルク演算部94bで伝達トルクの上限トルクTdmax(Nm)が演算されると、ブレーキ制御部102によってスリップ側の前輪14にかけたブレーキの強さに応じて、左右一対の左電磁カップリング34Lおよび右電磁カップリング34Rのうちの非スリップ側の後輪16に設けられた電磁カップリングの締結力すなわち電磁カップリングの伝達トルクを増加する。例えば、カップリング制御部94は、スリップ側の前輪14に作用する制動トルクTbr(Nm)の大きさつまり車両に発生する駆動トルクTe(Nm)の大きさに応じて、左右一対の左電磁カップリング34Lおよび右電磁カップリング34Rのうちの非スリップ側の後輪16に設けられた電磁カップリングの伝達トルクを上限トルクTdmaxまで増加する。なお、カップリング制御部94は、駆動トルク演算部94aで前記ブレーキにより発生する駆動トルクTe(Nm)が演算され、且つ、上限トルク演算部94bで伝達トルクの上限トルクTdmax(Nm)が演算されると、左右一対の左電磁カップリング34Lおよび右電磁カップリング34Rのうちのスリップ側の後輪16に設けられた電磁カップリングの締結力すなわち伝達トルクをゼロ(Nm)にするが、例えば、左右一対の左電磁カップリング34Lおよび右電磁カップリング34Rのうちのスリップ側の後輪16に設けられた電磁カップリングの締結力すなわち伝達トルクを、上限トルクTdmaxまで増加しても、すなわち非スリップ側の後輪16に設けられた電磁カップリングの伝達トルクと同じにしても良い。
図4は、電子制御装置100において、四輪駆動状態において例えば図3に示すように左右で摩擦係数(μ)が異なる路面での車両発進時にその路面の摩擦係数が比較的低い低μ側の路面RSにより左側前輪14Lおよび左側後輪16Lが共にスリップしているときにおける制動装置58と左右一対の左電磁ブレーキ34Lおよび右電磁カップリング34Rとの作動の一例を説明するフローチャートである。なお、図4のフローチャートのスタート時点では、左側前輪14Lがスリップしていることによって、カップリング制御部94で後輪16に伝達される後輪駆動トルクが増加するように左右一対の左電磁カップリング34Lおよび右電磁カップリング34Rの伝達トルクを増加させる駆動トルク配分制御が実行されている。
先ず、タイヤ空転防止制御停止判定部96の機能に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S1において、前記タイヤ空転防止制御が停止しているか否かが判定される。S1の判定が肯定される場合にはスリップ停車状態判定部98aの機能に対応するS2が実行され、S1の判定が否定される場合にはカップリング制御部94の機能に対応するS3が実行される。S2では、非スリップ側の車輪の車輪速度すなわち右側前輪14Rの車輪速度Wfrおよび右側後輪16Rの車輪速度Wrrが、予め定められた停車状態を判定するための停車判定速度Wcをそれぞれ下回っているか否かが判定される。S2の判定が肯定される場合にはカップリング温度推定部88およびカップリング保護判定部98の機能に対応するS4が実行され、S2の判定が否定される場合にはS3が実行される。S3では、前記駆動トルク配分制御の実行が継続される。
S4では、右側後輪16Rに設けられた右電磁カップリング34Rの温度Tcr(℃)が所定温度Tc(℃)より高いか否かが判定される。S4の判定が肯定される場合にはブレーキ制御部102の機能に対応するS5が実行され、S4の判定が否定される場合にはS3が実行される。S5では、左側前輪14Lにブレーキがかけられる。次に、駆動トルク演算部94aの機能に対応するS6では、上記S5でかけられたブレーキが作動しているか否かが判定される。S6の判定が肯定される場合には駆動トルク演算部94aの機能に対応するS7が実行され、S6の判定が否定される場合にはS3が実行される。S7では、左側前輪14Lに設けられたキャリパ66に供給したブレーキ油圧Br(Mpa)から左側前輪14Lに作用する制動トルクTbr(Nm)が演算され、その演算された制動トルクTbrから駆動トルクTeが演算される。
次に、上限トルク演算部94bの機能に対応するS8において、右電磁カップリング34Rを介して中央車軸48から左側後輪16Rに伝達する伝達トルクの上限トルクTdmax(Nm)が演算される。また、次に、カップリング制御部94の機能に対応するS9において、左側前輪14Lに作用する制動トルクTbr(Nm)の大きさに応じて右電磁カップリング34Rの伝達トルクが上限トルクTdmaxまで増加させられる。
上述のように、本実施例の四輪駆動車両10の電子制御装置100によれば、四輪駆動状態において、左右一対の前輪14および後輪16のうちの、左側前輪14Lおよび左側後輪16Lまたは右側前輪14Rおよび右側後輪16Rが共にスリップし且つその他の車輪の車輪速度が停車判定速度Wcを下回るスリップ停車状態である場合には、左右一対の前輪14のうちのスリップ側の前輪14にブレーキをかけ、そのブレーキの強さに応じて、左右一対の左電磁カップリング34Lおよび右電磁カップリング34Rのうちの非スリップ側の後輪16に設けられた電磁カップリングの締結力を増加させる。このため、前記スリップ停車状態のときに左右一対の前輪14のうちスリップ側の前輪14にブレーキがかけられることおよび、そのブレーキの強さに伴って非スリップ側の後輪16に設けられた電磁カップリングの締結力が増加させられることによって、前記スリップ側の前輪14が制動し差動装置である前輪用駆動力配分ユニット20により非スリップ側の前輪14に駆動トルクTeが伝達され、車両を発進させるための駆動トルクTeを確保することができる。さらに、前記非スリップ側の前輪14に駆動トルクTeが伝達されることによって、前記非スリップ側の後輪16に伝達されていた後輪駆動トルクが低減される一方で、前記非スリップ側の後輪16に設けられた電磁カップリングの締結力が前記ブレーキの強さに関係なく増加させることがなくなり、前記制御カップリングが過熱させられることを好適に抑制することができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例1の四輪駆動車両10において、前輪14に差動装置である前輪用駆動力配分ユニット20が備えられ、後輪16に左右一対の左電磁カップリング34Lおよび右電磁カップリング34Rが備えられていたが、例えば、前輪14に左右一対の左電磁カップリング34Lおよび右電磁カップリング34Rが備えられ、後輪16に前記差動装置が備えられるように、四輪駆動車両10の構造を変更しても良い。
また、前述の実施例1の電子制御装置100のスリップ停車状態判定部98aでは、左右一対の前輪14および後輪16のうち、左側前輪14Lおよび左側後輪16Lまたは右側前輪14Rおよび右側後輪16Rが共にスリップしているときにおいて、他の車輪の車輪速度が、すなわち非スリップ側の前輪14の車輪速度および非スリップ側の後輪16の車輪速度のそれぞれが、予め定められた停車判定速度Wc(rpm)を下回るとスリップ停車状態であると判定していた。例えば、非スリップ側の前輪14の車輪速度と非スリップ側の後輪16の車輪速度との一方の車輪速度が、停車判定速度Wc(rpm)を下回る場合でもスリップ停車状態であると判定しても良い。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:四輪駆動車両
12:エンジン(駆動力源)
14:前輪(主駆動輪)
14L:左側前輪(左側主駆動輪)
14R:右側前輪(右側主駆動輪)
16:後輪(副駆動輪)
16L:左側後輪(左側副駆動輪)
16R:右側後輪(右側副駆動輪)
20:前輪用駆動力配分ユニット(差動装置)
34L:左電磁カップリング(制御カップリング)
34R:右電磁カップリング(制御カップリング)
86:4WD判定部
94:カップリング制御部
94b:上限トルク演算部
98a:スリップ停車状態判定部
100:電子制御装置(制御装置)
102:ブレーキ制御部
Wc:停車判定速度(所定車速)

Claims (1)

  1. 駆動力源から差動装置を介して左右一対の主駆動輪へ駆動力を伝達する二輪駆動状態と、前記駆動力源から左右一対の制御カップリングを介して左右一対の副駆動輪へも駆動力を伝達する四輪駆動状態と、を選択的に切り替える四輪駆動車両の制御装置であって、
    前記四輪駆動状態において、前記左右の主駆動輪および副駆動輪のうちの、左側主駆動輪および左側副駆動輪または右側主駆動輪および右側副駆動輪が共にスリップし且つ他の車輪のうちの少なくとも1つの車輪速度が所定速度を下回るスリップ停車状態である場合には、前記左右の主駆動輪のうちのスリップ側の主駆動輪にブレーキをかけ、そのブレーキの強さに応じて、前記左右一対の制御カップリングのうちの非スリップ側の副駆動輪に設けられた制御カップリングの締結力を増加させることを特徴とする四輪駆動車両の制御装置。
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