JP4651215B2 - インチング用油圧クラッチの制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインチング作業時にエンジンの駆動力を駆動輪に伝達するインチング用油圧クラッチを制御するインチング用油圧クラッチの制御装置に関するものであり、インチング用油圧クラッチの圧力変化率を補正するものである。
【0002】
【従来の技術】
建設機械ではインチングによって作業が行われる。インチングとは、インチングクラッチと呼ばれる油圧クラッチを半クラッチ状態にしてエンジンから駆動輪へ動力を伝達し、車両を微速走行させるという操作方法である。
【0003】
インチングクラッチは、ペダルの踏み込み操作に応じて、インチングクラッチに作用する油圧が漸減して係合状態から半クラッチ状態を経て解放状態とされ、ペダルの踏み戻し操作に応じて、インチングクラッチに作用する油圧が漸増して解放状態から半クラッチ係合を経て元の係合状態とされる。
【0004】
具体的には、ペダルを踏み込んでペダル操作量θを大きくするほど、インチングクラッチに与えられる指令油圧Pが減少する。指令油圧Pが減少すると、インチングクラッチのピストン作動圧油室内の実際の油圧P′が減少し、クラッチ作動ピストンに作用する圧力が減少し、クラッチ摩擦板に作用する圧力が減少する。するとインチングクラッチの係合力が減少するため、半クラッチ状態になる。こうして車両が微速走行する。ペダル操作量θをストロークエンドにすると、インチングクラッチのクラッチ摩擦板が解放される。
【0005】
またペダルを戻してペダル操作量θを小さくするほど、インチングクラッチに与えられる指令油圧Pが増加する。指令油圧Pが増加するとインチングクラッチのピストン作動圧油室内の実際の油圧P′が増加し、クラッチ作動ピストンに作用する圧力が増加し、クラッチ摩擦板に作用する圧力が増加して、インチングクラッチのクラッチ摩擦板が係合される。
【0006】
本明細書では、インチングクラッチに与えられる指令油圧をPとし、インチングクラッチの圧油室内の実際の油圧をP′であるとして説明する。
【0007】
ここで従来のペダル操作に対する指令油圧Pと車速Sとの変化について図2を用いて説明する。
【0008】
図2(a)は時間tの経過に応じて変化するペダル操作量θを示す図である。
図2(b)は時間tの経過に応じて変化する指令油圧Pを示す図である。図2(c)は時間tの経過に応じて変化する車速Sを示す図である。図2(a)、(b)、(c)の横軸の時間tはそれぞれ対応している。
【0009】
これら図2に示すように、ペダル操作量θが最小値θ1のときに、指令油圧Pは最大値P1となる。またペダル操作量θが最大値θ2のときに、指令油圧Pは最小値P2となる。またペダル操作量θが最小値θ1のときに、車速Sは最大値S1となる。図2(a)に示す一点鎖線32は、通常作業時にペダルを急操作させた場合のペダル操作量θの変化を示している。図2(b)に示す一点鎖線34は、通常作業時にペダルを急操作させた場合の指令油圧Pの変化を示している。図2(c)に示す一点鎖線37は、通常作業時にペダルを急操作させた場合の車速Sの変化を示している。
【0010】
インチングクラッチを解放する場合の動作について以下説明する
図2(a)の一点鎖線32で示すように、作業者が時刻t1でペダルを踏み込むと、ペダル操作量θが最小値θ1から増加し始め、時刻t3で最大値θ2に達する。
【0011】
これに対応して図2(b)の一点鎖線34で示すように、指令油圧Pは時刻t1の最大値P1から減少し始め、時刻t3で最小値P2に達する。指令油圧Pの減少に応じてインチングクラッチの油圧係合力が減少しクラッチが滑り、エンジンから駆動輪へ伝達される動力が減少する。
【0012】
このため図2(c)の一点鎖線37で示すように、車速Sは、時刻t1における最大値S1から減少し始め、時刻t3″(>時刻t3)で車速0に達する。車速Sが、指令油圧Pが最小値P2に達する時刻t3で0にならないのは、慣性のためである。時刻t3″と時刻t3の差は微小である。
【0013】
インチングクラッチを係合する場合の動作について以下説明する
図2(a)の一点鎖線32で示すように、作業者が時刻t4でペダルを戻すと、ペダル操作量θは最大値θ2から減少し始め、時刻t6で最小値θ1に達する。
【0014】
これに対応して図2(b)の一点鎖線34で示すように、指令油圧Pは時刻t4の最小値P2から増加し始め、時刻t6で最大値P1に達する。指令油圧Pの増加に応じてインチングクラッチの油圧係合力が増加し、エンジンから駆動輪へ伝達される動力が増加する。
【0015】
このため図2(c)の一点鎖線37で示すように、車速Sは時刻t4の車速0から増加し始め、時刻t6で最大値S1に達する。
【0016】
図2(a)の一点鎖線32の傾きは、ペダルの操作速度V(=dθ/dt)を表しており、その大きさをV1とする。図2(b)の一点鎖線34の傾きは、圧力変化率A(=dP/dt)を表しており、その大きさをA1とする。
【0017】
図5は操作速度Vと圧力変化率Aとの関係を示している。
【0018】
同図5の実線51で示すように、操作速度Vと圧力変化率Aとは比例関係にある。操作速度Vが大きくなるほど圧力変化率Aは大きくなる。
【0019】
実線51の傾きdA/dVは、ペダル操作に対する指令油圧の応答性つまりペダル操作に対する車速の応答性を示している。
【0020】
従来は実線51の傾きdA/dVは一定であり、ペダル操作に対する指令油圧の応答性つまりペダル操作に対する車速の応答性は一義的に設定されていた。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらペダル操作に対して車速の応答性が一義的に設定されているとすると、以下のような問題が生じる。
【0022】
すなわちインチングによる作業時には、作業者としては、インチングペダルを操作することによって車速Sを調整する。この場合車速Sが車速0にならなようにインチングペダルを滑らかに操作することが作業者に求められる。
【0023】
しかしながらインチングペダルの操作力が軽く、急操作が可能なものが建設機械に装着されていることが多い。このようにインチングペダルの操作力が軽く、急操作が可能であるとすると、作業者の意思に反して、たとえば不用意なペダルのふらつきにも敏感に反応するため、図5に示すように操作速度VはV1に達して、圧力変化率AはA1に達する。このため図2(a)に一点鎖線32で示す操作速度V1で、ペダルが急操作され、図2(b)に一点鎖線34で示す圧力変化率A1で、指令油圧Pが急激に変化し、図2(c)に一点鎖線37で示す車速変化率で、車速Sが急激に変化し、車速が0になってしまうことがある。つまり作業者が車両を停止させたくないにもかかわらず、車両が停止することがある。
【0024】
たとえばグレーダによって道路を精密整地作業している途中で、このように不用意なペダルの急操作によって車両を停止させてしまうと、初めから作業をやり直さなければならなくなる。これは作業効率の低下を招く。
【0025】
同様にペダルを戻して車速Sを増加させる場合に、ペダルを不用意に急操作してしまうと、作業者の意思に反して車速Sが急激に増加し、やはり同様に作業効率の低下を招く。
【0026】
またペダルを不用意に急操作しないようにするには、作業者に相当の熟練を要求することになり、また実際上そのようにペダルを操作することは熟練者といえども容易ではない。
【0027】
このようにペダル操作に対して車速の応答性が一義的に設定され、急激なペダル操作に対して車速が急激に変化すると、車速が0になったり車速が急激に増加して作業効率を招くとともに、ペダル操作に熟練を課すことになっていた。
【0028】
一方で危険を回避するときなど、作業者の急操作の意思が明確であるときには、ペダル操作に応じて応答性よく車速を増減させてやり、作業者の意思とおりの急な動きをさせることが、安全性の確保等の上で必要である。
【0029】
本発明はこうした実状に鑑みてなされたものであり、建設機械等の作業車両でインチング操作を行う場合に、ペダル等の操作手段が通常の操作速度範囲内で操作されている場合には操作に対して車速の応答性を遅らせることによって、車速が0になったり車速が急激に増加することのないようにして、作業効率を向上させるとともに、危険回避等するためにペダル等が明確に急操作されている場合には操作に対して車速の応答性を高めて安全性を確保するようにし、さらに、操作に熟練を要せずにペダル操作を容易に行えるようにすることを解決課題とするものである。
【0030】
【課題を解決するための手段および作用、効果】
そこで本発明の第1発明は、
エンジンと駆動輪との間に介在され、両回転板が係合することにより前記エンジンの駆動力を前記駆動輪に伝達するインチング用油圧クラッチと、前記インチング用油圧クラッチに、操作速度に応じた通常の圧力変化率で圧力が変化するように圧油を供給することにより、前記インチング用油圧クラッチを係合または解放させる操作手段とを備えたインチング用油圧クラッチの制御装置において、
前記操作手段の操作速度が、前記しきい値以下の速度で操作された場合に、前記インチング用油圧クラッチに供給される圧油の圧力変化率が通常の圧力変化率よりも小さくなるように圧油の圧力変化率を補正して、前記操作手段の操作に対する車速の応答性を遅らせること
を特徴とする。
【0031】
第1発明を図2(a)、(b)、(c)を用いて説明する。
【0032】
第1発明によれば、操作手段20の操作速度Vがしきい値Vth2以下の速度V1で操作された場合に、インチング用の油圧クラッチ12に供給される圧油の圧力変化率Aが通常の圧力変化率A1よりも小さくなる値A2となるように圧油の圧力変化率Aが補正され、操作手段20の操作に対する車速Sの応答性が遅らされる。
【0033】
第2発明は、
エンジンと駆動輪との間に介在され、両回転板が係合することにより前記エンジンの駆動力を前記駆動輪に伝達するインチング用油圧クラッチと、前記インチング用油圧クラッチに、操作速度に応じた通常の圧力変化率で圧力が変化するように圧油を供給することにより、前記インチング用油圧クラッチを係合または解放させる操作手段とを備えたインチング用油圧クラッチの制御装置において、
前記操作手段の操作速度が第1のしきい値以上でかつ前記第1のしきい値よりも大きい第2のしきい値以下の速度で操作された場合に、前記インチング用油圧クラッチに供給される圧油の圧力変化率が通常の圧力変化率よりも小さくなるように圧油の圧力変化率を補正して、前記操作手段の操作に対する車速の応答性を遅らせること
を特徴とする。
【0034】
第2発明を図2(a)、(b)、(c)を用いて説明する。
【0035】
第2発明によれば、操作手段20の操作速度Vが第1のしきい値Vth1以上でかつ第1のしきい値Vth1よりも大きい第2のしきい値Vth2以下の速度V1で操作された場合に、インチング用の油圧クラッチ12に供給される圧油の圧力変化率Aが通常の圧力変化率A1よりも小さくなる値A2となるように圧油の圧力変化率Aが補正され、操作手段20の操作に対する車速Sの応答性が遅らされる。
このため図2(a)に一点鎖線32で示すように、しきい値Vth2以下の操作速度V1で、操作手段20が操作された場合には、図2(b)に破線35で示すように、通常の圧力変化率A1よりも小さな圧力変化率A2で、指令油圧Pが緩やかに減少し、図2(c)に破線38で示す緩やかな車速変化率で、車速Sが緩やかに減少し、車速が0になることはなくなる。
【0036】
同様に操作手段20を戻したときも車速Sが緩やかに増加し車速が急上昇することがなくなる。
【0037】
一方で危険回避等するために、図2(a)に実線31で示すように、しきい値Vth2よりも大きい操作速度V3で、操作手段20が操作された場合には、図2(b)に実線33で示す通常の圧力変化率A3で、指令油圧Pが急激に減少し、図2(c)に実線36で示す急激な車速変化率で、車速Sが急激に減少し、車速が0に達する。
【0038】
同様に危険回避時に操作手段20を急激に戻したときも車速Sが急激に増加し車速は急上昇する。
【0039】
本発明によれば、建設機械でインチング操作を行う場合に、ペダル等の操作手段が通常の操作速度範囲内で操作されている場合には操作に対して車速の応答性を遅らすようにしたので、車速が0になったり車速が急上昇することがなくなる。このため作業効率が向上し、操作に熟練を要せずにペダル操作を容易に行えるようになる。一方で、危険回避等するためにペダル等が明確に急操作されている場合には操作に対して車速の応答性を高めるようにしたので、安全性が確保される。
【0040】
第3発明は、第1発明または第2発明において、
前記インチング用油圧クラッチに供給される圧油の圧力変化率を、車両が停止しない程度に補正すること
を特徴とする。
【0041】
第3発明によれば、図2(c)に破線38で示す緩やかな車速変化率で、車速Sが緩やかに減少するが、車速Sが0になることはない。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下本発明に係る油圧クラッチの制御装置の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0043】
図1はインチングを行う作業車両に搭載された動力伝達装置を示す図である。
【0044】
同図1に示すようにエンジン11と駆動輪15との間には、回転クラッチであるインチングクラッチ12、ギヤトレイン13、ディファレンシャル14が順に設けられている。なおエンジン11とインチングクラッチ12との間にトルクコンバータを設けるとともに、エンジン11の出力軸とインチングクラッチ12の入力軸とを直結にするロックアップクラッチを設けるようにしてもよい。
インチングクラッチ12は、クラッチ摩擦板としてのクラッチディスク12aとクラッチプレート12bとからなる。
【0045】
ギヤトレイン13内には複数の変速クラッチが設けられている。
【0046】
クラッチディスク12aとクラッチプレート12bとの係合操作および解放(係合解除)操作はインチングペダル20によって行われる。インチングペダル20の基準位置からの操作量θは、ポテンショメータ21で検出され検出信号がコントローラ19に入力される。インチングペダル20が戻されており(基準位置にあり)操作量θが最小値θ1のときには、インチングクラッチ12は係合している。インチングペダル20が踏み込まれており操作量θが最大値θ2のときには、インチングクラッチ12は解放している。
【0047】
コントローラ19は、ポテンショメータ21で検出された操作量θに基づいて、圧力制御弁22に対して指令信号を出力する。圧力制御弁22は入力された指令信号に応じた指令油圧Pを生成し、インチングクラッチ12に出力する。
【0048】
コントローラ19ではポテンショメータ21から入力されるペダル操作量θを1階微分し操作速度V(=dθ/dt)を演算する処理が実行される。コントローラ19には操作速度Vの2つのしきい値Vth1、Vth2(Vth1<Vth2)が設定されている。ここで、しきい値Vth1〜Vth2の範囲は、インチング操作時に通常想定される操作速度の範囲に設定されている。しきい値Vth2より大きい範囲は、インチング操作時に危険回避するときの操作速度の範囲に設定されている。
【0049】
コントローラ19には、操作速度Vと圧力変化率Aとの関係が、図4に示すように、危険回避時の応答特性51と、通常時の応答特性52として設定されている。危険回避時の応答特性51の傾きは、通常時の応答特性52の傾きよりも大きく設定されている。危険回避時の応答特性51は、図5で説明した従来の通常時の応答特性51に相当する。
【0050】
コントローラ19では、演算された操作速度Vがしきい値Vth1以上であってしきい値Vth2以下である場合に、図4の通常時の応答特性52を選択し、演算された操作速度V1に対応する圧力変化率A2を、この通常時の応答特性52にしたがって求める。また演算された操作速度Vがしきい値Vth1よりも小さいか、しきい値Vth2よりも大きい場合に、図4の危険回避時の応答特性51を選択し、演算された操作速度V3に対応する圧力変化率A3を、この危険回避時の応答特性51にしたがって求める。
【0051】
図4に示すように同じ操作速度V1(しきい値Vth2以下)でインチングペダル20が操作されたとしても、通常時の応答特性52のときには圧力変化率がA2と小さく、危険回避時の応答特性51のときには圧力変化率がA1と大きくなる。同様に、同じ操作速度V3(しきい値Vth2より大)でインチングペダル20が操作されたとしても、通常時の応答特性52のときには圧力変化率がA4と小さく、危険回避時の応答特性51のときには圧力変化率がA3と大きくなる。
【0052】
図3はコントローラ19で実行される処理の手順をフローチャートで示している。
【0053】
すなわちコントローラ19では、ポテンショメータ21から入力されるペダル操作量θを1階微分しインチングペダル20の操作速度V(=dθ/dt)が演算される(ステップ301)。つぎに演算された操作速度VがVth1≦V≦Vth2の範囲内にあるか否かが判断される(ステップ302)。この結果操作速度VがVth1≦V≦Vth2の範囲にある場合、つまりインチングペダル20が通常想定される範囲内の操作速度で操作されている場合には(ステップ302の判断YES)、図4の通常時の応答特性52が選択され、演算された操作速度V1に対応する圧力変化率A2が、この通常時の応答特性52にしたがって求められる(ステップ303)。これに対して操作速度VがV<Vth1の場合あるいはV>Vth2の場合、つまりインチングペダル20がきわめて緩やかに操作されているか、危険回避するときの操作速度で操作されている場合には(ステップ302の判断NO)、図4の危険回避時の応答特性51が選択され、演算された操作速度V3に対応する圧力変化率A3が、この危険回避時の応答特性51にしたがって求められる(ステップ304)。
【0054】
つぎに図3の処理内容を、図2(a)、(b)、(c)を併せ参照して説明する。
【0055】
インチングクラッチ12を解放する場合の動作について以下説明する。
【0056】
図2(a)の一点鎖線32で示すように、作業者が時刻t1でインチングペダル20を踏み込むと、ペダル操作量θは最小値θ1から増加し始める。操作速度V1でペダル操作量θが増加する。そしてペダル操作量θは時刻t3で最大値θ2に達する。
【0057】
これに対応して図2(b)の破線35で示すように、指令油圧Pは時刻t1の最大値P1から減少し始める。圧力変化率A2で指令油圧Pが減少する。そして指令油圧Pは時刻t3′(>時刻t3)で最小値P2に達する。指令油圧Pの減少に応じてインチングクラッチの油圧係合力が減少しクラッチが滑り、エンジン11から駆動輪15へ伝達される動力が減少する。このように従来と同じ操作速度V1でインチングペダル20を踏み込んだとしても、従来の一点鎖線34で示される圧力変化率A1と比較して緩やかな圧力変化率A2で指令油圧Pが減少する。
【0058】
これに対応して図2(c)の破線38で示すように、車速Sは時刻t1における最大値S1から減少し始める。従来と同じ操作速度V1でインチングペダル20が踏み込まれているが、従来の一点鎖線37で示される車速変化率と比較して緩やかな車速変化率で車速が減少する。このため車速は0には到達しない。
【0059】
インチングクラッチ12を係合する場合の動作について以下説明する。
【0060】
図2(a)の一点鎖線32で示すように、作業者が時刻t4でインチングペダル20を戻すと、ペダル操作量θは最大値θ2から減少し始める。操作速度V1でペダル操作量θが減少する。そしてペダル操作量θは時刻t6で最小値θ1に達する。
【0061】
これに対応して図2(b)の破線35で示すように、指令油圧Pは時刻t4の最小値P2から増加し始める。圧力変化率A2で指令油圧Pが増加する。そして指令油圧Pは時刻t6′(>時刻t6)で最大値P1に達する。指令油圧Pの増加に応じてエンジンから駆動輪へ伝達される動力が増加する。このように従来と同じ操作速度V1でインチングペダル20を戻したとしても、従来の一点鎖線34で示される圧力変化率A1と比較して緩やかな圧力変化率A2で指令油圧Pが増加する。
【0062】
これに対応して図2(c)の破線38で示すように、車速Sは時刻t4の最小速度から増加し始め、時刻t6″(>時刻t6、t6′)で最大値S1に達する。つまり従来と同じ操作速度V1でインチングペダル20を戻したとしても、従来の一点鎖線37で示される車速変化率と比較して緩やかな車速変化率で車速が増加する。
【0063】
つぎに危険回避するためにインチングペダル20が通常想定される操作速度よりも大きな速度で操作された場合について説明する。たとえばインチング操作を行っているときに車両の前方に障害物を発見した場合には、インチングペダル20を急激に踏み込みインチングクラッチ12を即座に解放し車両を緊急停止させる必要がある。このような場合インチングペダル20の操作速度Vは、しきい値Vth2よりも大きくなる。
【0064】
すなわち図2(a)の実線31で示すように、作業者が時刻t1でインチングペダル20を踏み込むと、ペダル操作量θは最小値θ1から増加し始める。操作速度V3は通常時の操作速度V1よりも大きく、しきい値Vth2よりも大きな速度である。そしてペダル操作量θは時刻t2(<時刻t3)で最大値θ2に達する。
【0065】
これに対応して図2(b)の実線33で示すように、指令油圧Pは時刻t1における最大値P1から減少し始める。圧力変化率A3で指令油圧Pが減少する。そして指令油圧Pは時刻t2(<時刻t3)で最小値P2に達する。指令油圧Pの減少に応じてエンジン11から駆動輪15へ伝達される動力が減少する。このように、しきい値Vth2を越えた大きな操作速度V3でインチングペダル20を踏み込んだとすると、従来と同様に通常時の応答特性51(図4)に応じた圧力変化率A3で指令油圧Pが減少する。
【0066】
これに対応して図2(c)の実線36で示すように、車速Sは時刻t1における最大値S1から減少し始める。車速Sは圧力変化率A3に応じた大きな車速変化率で減少する。車速Sは時刻t2′(>時刻t2)で0に到達する。
【0067】
危険回避時にインチングクラッチ12を係合する場合も同様である。
【0068】
すなわち図2(a)の実線31で示すように、作業者が時刻t4でインチングペダル20を戻すと、ペダル操作量θは最大値θ2から減少し始める。操作速度V3でペダル操作量θが減少する。そしてペダル操作量θは時刻t5(<時刻t6)で最小値θ1に達する。
【0069】
これに対応して図2(b)の実線33で示すように、指令油圧Pは時刻t4における最小値P2から増加し始める。圧力変化率A3で指令油圧Pが増加する。そして指令油圧Pは時刻t5(<時刻t6)で最大値P1に達する。指令油圧Pの増加に応じてエンジンから駆動輪へ伝達される動力が増加する。このように、しきい値Vth2を越えた大きな操作速度V3でインチングペダル20を戻したとすると、従来と同様に通常時の応答特性51(図4)に応じた圧力変化率A3で指令油圧Pが増加する。
【0070】
これに対応して図2(c)の実線36で示すように、車速Sは時刻t4における最小速度から増加し始める。車速Sは圧力変化率A3に応じた大きな車速変化率で増加する。車速Sは時刻t5で最大値S1に達する。
【0071】
なおインチングペダル20がしきい値Vth1よりも小さい操作速度Vで操作されている場合にも、上述した危険回避時の動作と同様に、図4の通常時の応答特性51(図4)に応じた圧力変化率で指令油圧Pが変化することとなり、作業者の意思通りに敏感に車両が動作する。
【0072】
以上説明したように本実施形態によれば、作業車両でインチング操作を行う場合に、インチングペダル20が通常の操作速度範囲内(Vth1〜Vth2)で操作されている場合には操作に対して車速の応答性を遅らすようにしたので、車速が0になったり車速が急激に増加することがなくなる。このため作業効率が向上し、操作に熟練を要せずにペダル操作を容易に行えるようになる。一方で、危険回避等するためにペダル20が明確に急操作されている場合には操作に対して車速の応答性を高めるようにしたので、安全性が確保される。
【0073】
なお本実施形態では、操作速度Vに2つのしきい値Vth1、Vth2を設定して、操作速度Vが、しきい値Vth1以上でかつしきい値Vth2以下の範囲内であるか否かに応じて、操作に対する車速(指令油圧)の応答性を異ならせる補正をしている。
【0074】
しかし、操作速度Vに1つのしきい値Vth2のみを設定して、操作速度Vが、しきい値Vth2以下であるか否かに応じて、操作に対する車速(指令油圧)の応答性を異ならせる補正をしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は建設機械の動力伝達装置を示す図である。
【図2】図2(a)は時間の経過に応じて変化するペダル操作量を示す図であり、図2(b)は時間の経過に応じて変化する指令油圧を示す図であり、図2(c)は時間の経過に応じて変化する車速を示す図である。
【図3】図3は本実施形態の処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】図4は本実施形態による操作速度と圧力変化率との関係を示す図である。
【図5】図5は操作速度と圧力変化率との関係を示す図である。
【符号の説明】
11 エンジン
12 インチングクラッチ
15 駆動輪
19 コントローラ
20 インチングペダル
21 ポテンショメータ
22 圧力制御弁

Claims (1)

  1. エンジンと駆動輪との間に介在され、両回転板が係合することにより前記エンジンの駆動力を前記駆動輪に伝達するインチング用油圧クラッチと、前記インチング用油圧クラッチに、操作速度に応じた通常の圧力変化率で圧力が変化するように圧油を供給することにより、前記インチング用油圧クラッチを係合または解放させる操作手段とを備えたインチング用油圧クラッチの制御装置において、
    前記操作手段の操作量が増加するに応じて、前記インチング用油圧クラッチに供給される圧油の圧力が減少するとともに、前記操作手段の操作量が減少するに応じて、前記インチング用油圧クラッチに供給される圧油の圧力が増加するように、前記インチング用油圧クラッチに供給される圧油の圧力を制御するものであり、
    前記操作手段の操作速度が大きくなるに伴い前記インチング用油圧クラッチに供給される圧油の圧力変化率が大きくなる特性として、同じ操作速度に対して圧力変化率が小さくなる通常時の応答特性と、圧力変化率が大きくなる危険回避時の応答特性を予め用意し、
    前記操作手段の操作速度が第1のしきい値以上で前記第1のしきい値よりも大きい第2のしきい値以下の操作速度で操作された場合には、前記通常時の応答特性を選択して、当該選択した通常時の応答特性に対応する圧力変化率で圧力が変化するように、前記インチング用油圧クラッチに供給される圧油の圧力を制御し、
    前記操作手段の操作速度が前記第2のしきい値よりも大きい操作速度で操作された場合または前記操作手段の操作速度が前記第1のしきい値よりも小さい操作速度で操作された場合には、前記危険回避時の応答特性を選択して、当該選択した危険回避時の応答特性に対応する圧力変化率で圧力が変化するように、前記インチング用油圧クラッチに供給される圧油の圧力を制御すること
    を特徴とするインチング用油圧クラッチの制御装置。
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