JP4605631B2 - アンジオテンシン変換酵素阻害剤 - Google Patents
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Description
本発明は、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤に関する。
従来より、特定の配列を有するペプチドが様々な生理活性を有することが知られている。例えば、特許文献１〜３及び非特許文献１〜３には、いくつかのペプチドがACE阻害活性を有することが記載されている。これらのペプチドは、強いACE阻害活性を有し、自然発症高血圧ラット(SHR)において強い高血圧抑制作用を有することや、高血圧患者に対する高血圧抑制効果があることが示されている。
しかしながら、従来提案されている特定の配列を有するACE阻害活性を有するペプチドは、主に酵素分解や、発酵により得られるが、その収率は極めて低く、また化学合成した場合には安全性が懸念される。従って、より簡便に製造することができ、より安全且つ容易に摂取することができ、高率で吸収されるACE阻害剤が求められている。
特開平４−２８２３９号公報
特開平６−４０９４４号公報
特開平６−１９７７８６号公報
J．Dairy Sci．1995，78：777−783
J．Dairy Sci．1995，78：1253−1257
Am．J．Clin．Nutr．1996，64：767−771
本発明の目的は、簡便に製造することができ、より安全且つ容易に摂取することができ、高率で吸収されるACE阻害剤を提供することにある。
本発明によれば、Ｌ−ヒスチジン又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする、抗高血圧剤の用途を除くアンジオテンシン変換酵素阻害剤が提供される。
本発明のACE阻害剤は、前記特定のアミノ酸成分を有効成分として含有するため、簡便に製造することができ、且つより安全且つ容易に摂取することができ、高率で吸収されるACE阻害剤として有用である。
以下本発明を更に詳細に説明する。
本発明のACE阻害剤は、L−ヒスチジン又はその塩を有効成分として含有する。L−ヒスチジン、その塩は、特に強いACE阻害活性を有するため好ましい。
既知のACE阻害ペプチドにはアミノ酸よりACE阻害活性が高いものも知られているが、アミノ酸は食経験が豊富であり、比較的大量に摂取しても生体に悪影響を与えないものと考えられるので、多くの量を摂取し安全にACE阻害活性を利用することができる。
本発明のACE阻害剤は、L−ヒスチジン又はその塩を有効成分として含有する。L−ヒスチジン、その塩は、特に強いACE阻害活性を有するため好ましい。
既知のACE阻害ペプチドにはアミノ酸よりACE阻害活性が高いものも知られているが、アミノ酸は食経験が豊富であり、比較的大量に摂取しても生体に悪影響を与えないものと考えられるので、多くの量を摂取し安全にACE阻害活性を利用することができる。
本発明のACE阻害剤中の前記特定のアミノ酸の含有割合は、通常１〜１００％(w／w)とすることができる。
本発明のACE阻害剤の形態は、特に限定されず、前記特定のアミノ酸からなる粉体、錠剤、若しくは適当な溶媒に溶解した液体等が挙げられる。また、有効成分としての前記特定のアミノ酸以外に、他のACE阻害剤や、本発明の効果を損なわない範囲で種々の栄養成分や、食品用又は医薬用の各種添加剤等を含んでいても良い。
本発明のACE阻害剤の形態は、特に限定されず、前記特定のアミノ酸からなる粉体、錠剤、若しくは適当な溶媒に溶解した液体等が挙げられる。また、有効成分としての前記特定のアミノ酸以外に、他のACE阻害剤や、本発明の効果を損なわない範囲で種々の栄養成分や、食品用又は医薬用の各種添加剤等を含んでいても良い。
本発明のACE阻害剤の投与対象は、ヒトを含む哺乳類等の動物とすることができる。投与経路は、特に限定されないが経口により好ましく投与することができる。
本発明のACE阻害剤の投与量は、有効成分を前記特定のアミノ酸のみとする場合、他のACE阻害剤を含む場合等、有効成分の種類、投与形態等に応じて適宜決定することができる。例えば、経口投与で、有効成分として前記特定のアミノ酸のみを含む場合は、特定のアミノ酸量として、１０ｍｇ〜１００００ｍｇ、好ましくは５０ｍｇ〜５０００ｍｇとすることができる。
本発明のACE阻害剤の投与量は、有効成分を前記特定のアミノ酸のみとする場合、他のACE阻害剤を含む場合等、有効成分の種類、投与形態等に応じて適宜決定することができる。例えば、経口投与で、有効成分として前記特定のアミノ酸のみを含む場合は、特定のアミノ酸量として、１０ｍｇ〜１００００ｍｇ、好ましくは５０ｍｇ〜５０００ｍｇとすることができる。
本発明のACE阻害剤の調製方法は、特に限定されないが、具体的には例えば、微生物発酵、タンパク質やペプチドの酵素分解、化学合成等により前記特定のアミノ酸を得、これをさらに必要に応じて他の成分と配合することにより調製することができる。
以下、実施例を参照して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例１
各種のアミノ酸(L体、和光純薬工業株式会社より購入)のACE阻害活性を、下記手順により測定した。
実施例１
各種のアミノ酸(L体、和光純薬工業株式会社より購入)のACE阻害活性を、下記手順により測定した。
(a)ウシ肺由来のACE(和光純薬工業株式会社製)を、０．１Uとなるように、ｐH８．３、０．１Mホウ酸緩衝液に溶解し、ACE溶液を得た。一方、ｐH８．３、０．１Mホウ酸緩衝液に２０種類のアミノ酸を１０mg／ml(最終濃度２．７mg／mlになるように溶解したものを各々用意した。各アミノ酸溶液を試験管に８０μｌ入れ、２００μｌのヒプリルヒスチジルロイシン(最終濃度５mM、NaCl３００mM含む)を添加し、さらに上記ACE溶液を２０μｌ添加し、３７℃で３０分間反応させた。その後、１N塩酸２５０μｌを添加して反応を停止させた後、１．７mlの酢酸エチルを加え、撹拌後、酢酸エチル層１．４mlを試験管に採取し、１２０℃で約６０分間蒸発乾固させた。乾固物に１mlの蒸留水を加え、酢酸エチル中に抽出されたヒプリル酸の２２８ｎｍでの吸光を測定した。
(b)対照として、(b−1)アミノ酸溶液を添加しなかった他は(a)と同様に操作したもの、(b−2)ACE溶液を添加しなかった他は(a)と同様に操作したもの及び(b−3)アミノ酸溶液及びACE溶液を添加しなかった他は(a)と同様に操作したものについて、吸光度を測定した。
(a)及び(b)で測定した吸光度から、ACE阻害活性を、下記式(1)により、阻害率(％)として求めた。結果を図１に示す。なお、本実施例の測定において、下記Aの値は０．３５であつた。
阻害率(％)＝(A−B)×１００／A (１)
A：((b−1)における吸光度)−((b−3)における吸光度)
B：((a)における吸光度)−((b−2)における吸光度)
阻害率(％)＝(A−B)×１００／A (１)
A：((b−1)における吸光度)−((b−3)における吸光度)
B：((a)における吸光度)−((b−2)における吸光度)
実施例２
アミノ酸溶液として、ｐＨ８．３、０．１μｌホウ酸緩衝液にL−システインを所定の濃度(１００、５０、２５、１０及び１．０μｇ／mｌ)又はL−ヒスチジンを所定の濃度(１０、５．０、２．５、１．０及び０．５ｍｇ／ｍｌ)溶解したものを調製した他は、実施例１と同様に操作し、これらについてACE阻害活性を測定した。これらの測定結果から、阻害率が５０％となる濃度を、IC50値として求めた。その結果、L−システインのIC50値は３３μMであり、L−ヒスチジンのIC50値は１０３０μMであった。
アミノ酸溶液として、ｐＨ８．３、０．１μｌホウ酸緩衝液にL−システインを所定の濃度(１００、５０、２５、１０及び１．０μｇ／mｌ)又はL−ヒスチジンを所定の濃度(１０、５．０、２．５、１．０及び０．５ｍｇ／ｍｌ)溶解したものを調製した他は、実施例１と同様に操作し、これらについてACE阻害活性を測定した。これらの測定結果から、阻害率が５０％となる濃度を、IC50値として求めた。その結果、L−システインのIC50値は３３μMであり、L−ヒスチジンのIC50値は１０３０μMであった。
Claims (1)
- Ｌ−ヒスチジン又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする、抗高血圧剤の用途を除くアンジオテンシン変換酵素阻害剤。
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