JP2019094271A - アンジオテンシン変換酵素阻害剤、食品、飲料、およびサプリメント - Google Patents

アンジオテンシン変換酵素阻害剤、食品、飲料、およびサプリメント Download PDF

Info

Publication number
JP2019094271A
JP2019094271A JP2017222435A JP2017222435A JP2019094271A JP 2019094271 A JP2019094271 A JP 2019094271A JP 2017222435 A JP2017222435 A JP 2017222435A JP 2017222435 A JP2017222435 A JP 2017222435A JP 2019094271 A JP2019094271 A JP 2019094271A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gly
hyp
pro
ace
val
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017222435A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7048270B2 (ja
Inventor
祐喜 多賀
Sukeyoshi Taga
祐喜 多賀
治 林田
Osamu Hayashida
治 林田
くみ子 桑葉
Kumiko KUWABA
くみ子 桑葉
雅 楠畑
Masashi Kusubata
雅 楠畑
俊治 服部
Toshiharu Hattori
俊治 服部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippi Inc
Original Assignee
Nippi Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippi Inc filed Critical Nippi Inc
Priority to JP2017222435A priority Critical patent/JP7048270B2/ja
Publication of JP2019094271A publication Critical patent/JP2019094271A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7048270B2 publication Critical patent/JP7048270B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】トリペプチドからなるACE阻害剤、前記ACE阻害剤を含有する食品、飲料およびサプリメントを提供する。【解決手段】Ile−Hyp−Gly、Leu−Hyp−Gly、Val−Hyp−Gly、およびこれらの塩からなる群から選択される1以上のトリペプチドを含む、ACE阻害剤である。このACE阻害剤は、食品や飲料に混合して摂取することができ、サプリメントとして利用することもできる。【選択図】なし

Description

本発明は、トリペプチドを含むアンジオテンシン変換酵素阻害剤、食品、飲料、およびサプリメントに関する。
アンジオテンシンIは肝臓で合成されたアンジオテンシノーゲンが酵素レニンにより分解されて生じる10アミノ酸のポリペプチドであり、さらにアンジオテンシン変換酵素(angiotensin-converting enzyme:以下ACEとも称する)の作用によりC末端からジペプチドが切り出されることでアンジオテンシンIIに変換される。アンジオテンシンIには血圧を上昇させる効果は無いが、アンジオテンシンIIは血管平滑筋を収縮させ、副腎皮質からアルドステロンを分泌させることにより血圧を上昇させる昇圧効果がある。したがってACEの作用を阻害し、昇圧作用のあるアンジオテンシンIIの生成を抑制すると血圧を下げることができる。また、ACEは血圧降下作用を持つブラジキニンを分解して不活性化するため、この経路からもACE阻害による効果が期待できる。塩分や酒類の過剰摂取、喫煙習慣、ストレスなどで高血圧者数が増加している現在、カプトプリルなど種々のACE阻害薬が高血圧治療薬として利用されており、近年では様々なタンパク質由来ペプチドのACE阻害作用にも注目が集まっている。
例えば、小腸粗酵素による消化で得られた鶏胸肉エキス酵素処理物由来のACE阻害活性を持つペプチドであって、Gly−Phe−Pro−Gly−Thr−Pro−Gly−Leu−Pro−Gly−Phe、またはGly−Phe−Pro−Gly−Thr−Pro−Gly−Leu−Pro−Glyで表されるペプチドがある(特許文献1)。上記アミノ酸配列の1以上のプロリン(Pro)をヒドロキシプロリン(Hyp)に置換してもよく、これによりACE阻害活性が増加するという。これは、ヒトACEの活性中心の1089番目にはヒスチジンが存在し、これによってアルカリ性側で酵素活性が高くなると推定し、Proの水酸化により活性部位の環境を酸性にすることでACE阻害活性を高めるというものである。
また、鶏又は豚由来コラーゲンのプロテアーゼ分解物もある(特許文献2)。ACE阻害作用・血管保全作用を有するペプチドとして、Gly−Ala−Hyp−Gly−Leu−Hyp−Gly−Pro、Gly−Ala−Hyp−Gly−Pro−Ala−Gly−Pro−Gly−Gly−Ile−Hyp−Gly−Glu−Arg−Gly、Gly−Leu−Hyp−Gly−Ser−Arg−Gly−Glu−Arg−Gly−Leu−Hyp−Gly、Gly−Ile−Hyp−Gly−Glu−Arg−Gly−Glu−Hyp−Gly−Pro−Val−Gly−Pro−Ser−Glyが記載されている。血圧上昇抑制作用を有するアミノ酸数8以上のペプチドである。
また、Val−Pro−Proを含有し、アミノ酸残基数が3〜10のペプチドを有効成分とするACE阻害剤もある(特許文献3)。前記ペプチドは、Val−Pro−Pro、Val−Val−Pro−Pro、Val−Val−Val−Pro−Pro、Pro−Val−Val−Val−Pro−Pro、Leu−Thr−Gln−Thr−Pro−Val−Val−Val−Pro−Pro、Leu−Val−Pro−Pro、Phe−Leu−Val−Pro−Pro、Pro−Val−Pro−Pro、及びAla−Pro−Val−Pro−Proからなる群より選択される1種又は2種以上のペプチドである。これらペプチドは、獣乳の全乳、脱脂乳、カゼイン等の乳タンパク質成分;とうもろこし、コーンタンパク、小麦、小麦タンパク、大豆、脱脂大豆、大豆タンパク等を酵素加水分解処理する方法、または通常の有機化学的合成法等によって製造することができるという。更に、Val−Pro−Proを構成成分とするペプチドを含む食品素材を乳酸菌により発酵処理して製造することもできるという。実施例では、脱脂粉乳を乳酸菌などで発酵し、発酵物を精製してVal:Pro=1.00:2.08であり、N末端の配列がVal−Pro−Proのペプチドを得ている。このペプチドのACE阻害活性をヒプリルヒスチジルロイシンを基質として吸光度法で評価したところ、IC50は14μMであったという。
更に、Ile−Ala、Gly−Pro−Arg、Ala−Arg、Val−ArgおよびVal−Arg−Glyで表されるアミノ酸配列からなるペプチド(塩)を有効成分とする、アンジオテンシンI変換酵素阻害剤もある(特許文献4)。コラーゲンやゼラチンをプロテアーゼ処理、醗酵処理して得たペプチドである。Gly−Pro−ArgのIC50は460μmol/Lであり、Val−Arg−Glyは210μmol/Lであるという。
また、獣乳カゼインを所定の酵素群を用いて分解してなるACE阻害剤であって、Ile−Pro、Glu−Pro、Arg−Pro、Gln−Pro、Met−Pro及びTyr−ProなどのXaa−Pro配列を有するジペプチドとIle−Pro−Pro及びVal−Pro−ProなどのXaa−Pro−Pro配列を有するトリペプチドからなるACE阻害剤もある(特許文献5)。プロリンを含むジペプチドとトリペプチドとを混合して使用する点に特徴がある。
一方、鶏コラーゲン加水分解物を経口摂取した後に血中で検出されるHyp含有ペプチドについてACE阻害効果を評価し、Pro−Hyp、Hyp−Gly、Ala−Hyp、Phe−Hyp、Pro−Hyp−Gly、Glu−Hyp−Gly、Ala−Hyp−Gly、Ser−Hyp−GlyなどがACE阻害活性を有するとの報告がある(非特許文献1)。ジペプチドやトリペプチドが、単に栄養成分としてのみ使用されるものでないことを示唆するものである。なお、Ala−Hyp−GlyのACE阻害活性のIC50は、0.711mmol/Lと記載されている。
特許第3943459号公報 国際公開2007/108554号 特許第2782142号公報 特開2003−284551号公報 特開2011−102327号公報 国際公開2014/017474号
岩井浩二等、"鶏コラーゲン加水分解物摂取後のヒト血中ペプチドの動態とACE阻害作用"、日本食品化学工学会誌、第56巻、第6号、p326−330、(2009) Taga Y, et al., "Efficient absorption of X-hydroxyproline (Hyp)-Gly after oral administration of a novel gelatin hydrolysate prepared using ginger protease", J. Agric. Food Chem., (2016) 64(14):2962-2970
コラーゲンは、バクテリアコラゲナーゼで分解されるとその基質特異性によってN末端がグリシン(Gly)のペプチドを多く生成する。また、特許文献1、特許文献2記載のペプチドはコラーゲンを複数のプロテアーゼで分解したものであり、いずれもN末端がGlyであり、かつアミノ酸数8以上のペプチドである。一方、特許文献4に記載されるように、コラーゲンの分解方法によってはN末端がGly以外のペプチドが生成する。更に多くのACE阻害剤を開発すべく、N末端がGly以外のペプチドや、ACE阻害活性の高いペプチドの検索が望まれる。
特許文献3〜5、非特許文献1に記載されるように、トリペプチドには高いACE阻害活性が期待される。コラーゲンは−(Gly−アミノ酸X−アミノ酸Y)n−(Yに位置するProはほとんどがHypへと水酸化される)で示される繰り返しアミノ酸配列から構成されているため、コラーゲンから生成されうるトリペプチドとしては、Gly−X−Y、Y−Gly−X、およびX−Y−Glyが考えられる。コラーゲンからのY−Gly−X型トリペプチドの製造はこれまで達成されていないが、Gly−X−Y型トリペプチドはバクテリアコラゲナーゼを使用することで効率的に生成することが出来る。また、コラーゲンやゼラチンにショウガ根茎由来酵素を添加してX−Hyp−Gly(式中、Xは、Gly、HypおよびPro以外のアミノ酸残基を示す。)で示されるペプチドを製造する方法がある(特許文献6)。この方法によれば、特許文献4のように複数工程でコラーゲンを分解することなく、ショウガ根茎由来酵素を添加して一段階でN末端がGly以外のトリペプチドを製造することができ、安定供給が可能である。したがって、安定供給可能なペプチドであって、よりACE阻害活性に優れるトリペプチドを含むACE阻害剤の開発が希求される。
また、X−Hyp−Gly型トリペプチドはその高いプロテアーゼ耐性により、経口摂取後に他の食物タンパク質由来ペプチドに比べ非常に高濃度で血中へと移行する(非特許文献2)。したがって、実際に体内においてACE阻害作用を発揮することが期待され、このような血中移行率に優れるペプチドであって、よりACE阻害活性に優れるトリペプチドを含むACE阻害剤の開発が希求される。
更に、トリペプチドがコラーゲン由来であれば安全性が高く、サプリメント等として利用することもできる。このようなACE阻害活性を有するACE阻害剤やサプリメントの開発が希求される。
上記現状に鑑み、本発明は、トリペプチドからなるACE阻害剤を提供することを目的とする。
また本発明は、前記ACE阻害剤を含む食品、飲料、サプリメントを提供することを目的とする。
本発明者等は、コラーゲン由来のトリペプチドについて詳細に検討した結果、N末端およびC末端のアミノ酸残基が同一でも、N末端から2番目のアミノ酸がProかHypかによってACE阻害活性が著しく異なること、およびC末端がGlyであり、N末端がイソロイシン(Ile)、ロイシン(Leu)、またはバリン(Val)であるトリペプチドは、特にACE阻害活性が高いことを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、Ile−Hyp−Gly、Leu−Hyp−Gly、Val−Hyp−Gly、およびこれらの塩からなる群から選択される1以上のトリペプチドを含む、ACE阻害剤を提供するものである。
また本発明は、前記ACE阻害剤を含む食品を提供するものである。
また本発明は、前記ACE阻害剤を含む飲料を提供するものである。
また本発明は、前記ACE阻害剤を含むサプリメントを提供するものである。
本発明によれば、トリペプチドからなるACE阻害剤等が提供される。
実施例において、Val−Hyp−Gly(VOG)のACE阻害曲線を示す図である。 実施例において、Val−Pro−Gly(VPG)のACE阻害曲線を示す図である。
本発明の第1は、Ile−Hyp−Gly、Leu−Hyp−Gly、Val−Hyp−Gly、およびこれらの塩からなる群から選択される1以上のトリペプチドを含む、ACE阻害剤である。以下、本発明を詳細に説明する。
(1)トリペプチド
本発明のACE阻害剤を構成するトリペプチドは、Ile−Hyp−Gly、Leu−Hyp−Gly、Val−Hyp−Gly、またはこれらの塩である。C末端がGlyであるトリペプチドのACE阻害活性を評価したところ、N末端から2番目のアミノ酸残基がHypの場合にはProの場合よりもACE阻害活性が著しく高いことが判明した。例えば、後記する実施例に示すように、N末端がAlaの場合、Ala−Pro−GlyのIC50は985.7μMであるが、Ala−Hyp−GlyのIC50は159.2μMと、ACE阻害活性が6倍も相違した。特に、N末端がValの場合は約9倍、Leuの場合は約90倍もACE阻害活性が高い。非特許文献1では、Hip−HL(ヒプリルヒスチジルロイシン)を用いてAla−Hyp−GlyのACE阻害活性を測定し、そのIC50を711μMと記載している。そこで、Ala−Hyp−Glyを陽性対照として種々トリペプチドのACE阻害活性を評価したところ、前記N末端がValやLeu、IleであるトリペプチドがAla−Hyp−Glyに比べて10〜40倍ものACE阻害活性を有することが判明した。これら3つのN末端アミノ酸は全て脂肪族かつ疎水性度の高いアミノ酸であり、その性質がACE阻害活性に寄与していると考えられる。本発明では、Ile−Hyp−Gly、Leu−Hyp−Gly、Val−Hyp−Glyおよびこれらの塩の中から選択される1種のトリペプチドを使用する場合であってもよく、2種以上を混合して使用する場合であってもよい。
本発明で使用するトリペプチドの塩としては、製剤学上許容されうる酸付加塩および塩基付加塩等が好ましい。酸付加塩としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸との塩;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等の有機酸との塩等が挙げられる。また、製剤学上許容されうる塩基付加塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム、エタノールアミン、トリエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のアミン類との塩等がある。トリペプチドの製造方法やACE阻害剤の製剤方法、その他に応じて適宜選択することができる。
本発明で使用するトリペプチドは、コラーゲンやゼラチン、その他エラスチンなどのHypを含有するタンパク質をタンパク質分解酵素で加水分解して製造することができる。また、化学合成によって製造するものであってもよい。好ましくは、安定供給できる点で、入手容易なコラーゲンやゼラチンなどを酵素分解する方法である。コラーゲンは、真皮、靱帯、腱、骨、軟骨などを構成するタンパク質のひとつであり、ゼラチンはコラーゲンの熱変性・分解物である。コラーゲンとしては、ウシ、ブタ、ニワトリ、魚類、その他、何れの動物種であってもよい。
本発明で使用するトリペプチドはいずれもC末端がGlyであり、N末端から2番目のアミノ酸残基がHypである。従来、コラーゲン分解に一般的に使用されるクロストリジウム由来コラゲナーゼを使用してコラーゲンを分解した場合、C末端がGlyのトリペプチドの生産率は極めて低い。一方、例えば、特許文献6記載の方法に準じてゼラチン溶液にショウガ根茎由来酵素と共にSH基含有還元剤を添加して分解すると、前記トリペプチドを含むペプチド組成物を得ることができ、これを精製すれば所定のトリペプチドを単離することができる。使用するゼラチン溶液としては、前記コラーゲンを熱変性して得たゼラチンの溶液を好適に用いることができる。
(2)ACE阻害剤
本発明のACE阻害剤は、Ile−Hyp−Gly、Leu−Hyp−Gly、Val−Hyp−Gly、およびこれらの塩のいずれか1以上のトリペプチドを含む。例えば、前記した特許文献6記載の方法に準じて、Ile−Hyp−Gly、Leu−Hyp−Gly、Val−Hyp−Gly、およびこれらの塩を含むペプチド組成物を調製し、このペプチド組成物をそのままACE阻害剤として使用することができる。一方、単離したIle−Hyp−Gly、Leu−Hyp−Gly、Val−Hyp−Gly、およびこれらの塩のいずれか1以上、または前記ペプチド組成物に更に、賦形剤、希釈剤、乳化分散剤、矯味剤、矯臭剤などを添加してACE阻害剤としてもよい。このような賦形剤や希釈剤として、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、ラクトースなどを例示することができる。これらは、ACE阻害活性を損なわない範囲で適宜混合することができる。なお、ACE阻害剤として投与する場合の投与量は、被投与者の血圧の程度、患者の年齢、体重、または投与方法などに応じて適宜調整することができる。好ましくは0.001〜100mg/kg/日、より好ましくは0.1〜20mg/kg/日である。
ACE阻害剤の剤型にも限定はなく、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン剤、シロップ剤、粉剤等の経口剤などの形態とすることができる。
本発明では、前記ACE阻害剤を食品や飲料に添加することもできる。高血圧などの生活習慣病は、食習慣との関わりが指摘されている。前記ACE阻害剤を含む食品や飲料を、機能性食品・飲料、特定保健用食品・飲料、美容健康食品・飲料、栄養補助食品・飲料などとすることができる。食品としては、キャンディー、ゼリーなどの菓子類、かまぼこ、ソーセージなどの練り製品、チーズ、バターなどの乳製品その他がある。また、飲料としては、オレンジ、グレープなどの果汁飲料、ヨーグルト飲料その他がある。
前記ACE阻害剤は、血圧降下を目的としたサプリメントとして利用することもできる。Ile−Hyp−Gly、Leu−Hyp−Gly、Val−Hyp−Gly、およびこれらの塩のいずれか1以上のトリペプチドを含むサプリメントを摂取することで、高血圧を予防し、または改善することができる。
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
(1)ACE阻害率の測定方法
0.35mUのブタ腎臓由来ACE(シグマアルドリッチ社製)を含む75mM Tris−HCl緩衝液(pH8.3)275μlに被検物質の水溶液25μlを加え全量300μlとした後、予め37℃、10分間加温した。同じ緩衝液に溶解し、同様に37℃としたHip−His−Leu(HHL;株式会社ペプチド研究所社製)溶液(0.7μmol/ml)50μlをこれに添加し反応を開始した。反応開始後5分、10分、20分および30分時点で反応液70μlを取り、反応停止液(内部標準として4ng/mlのN−benzoyl−d5−glycine(d5Hip;CDN Isotopes社製)を含む1%ギ酸溶液)70μlと混合して反応を停止し、LC/MS測定用サンプルとした。同様に、被検物質無添加の対照サンプルを調製した。ACEの作用によりHHLから遊離したHipおよび内部標準として添加したd5Hipを下記LC/MS測定条件で測定した後、d5Hipで補正して定量したHip量を反応時間に対してプロットし、Hipの生成曲線を求めた。同曲線から1分間あたりのHip生成量を算出してACE活性とした。検量線は0.5〜50ng/mlのHip(シグマアルドリッチ社製)溶液を75mM Tris−HCl緩衝液(pH8.3)で調製後、70μlを取り、反応液と同様70μlの反応停止液を混合して調製した。被検物質を含まない対照の活性と被検物質を加えたサンプルの活性を比較し、以下の式により阻害率を算出した。
阻害率(%)=100×(対照の活性−サンプルの活性)/対照の活性
(2)IC50値の測定方法
IC50値(対照の活性を50%阻害するのに要する被検物質量)は、縦軸に阻害率、横軸に被検物質濃度をプロットして阻害曲線の式を求めた後、50%阻害に対応する被検物質の濃度を算出して求めた。
(3)LC/MS測定条件
高速液体クロマトグラフ:1200Series(アジレント・テクノロジー株式会社製)、
質量分析装置:3200 QTRAP(株式会社エービー・サイエックス社製)、
分析カラム:Ascentis Express C18 5μm, 2.1mmi.d.×150mm(SUPLECO社製)、
カラム温度:25℃
移動相:A液;0.1%ギ酸、B液;100%アセトニトリル、
グラジエント条件:
0〜2分:A液100%、
2〜6分:A液100〜30%;B液0〜70%、
6〜8分:A液10%;B液90%、
8〜10分:A液100%、
流速:0.5mL/min、
イオン化:ESI、ポジティブ、
分析モード:Multiple Reaction Monitoring(MRM)モード、
イオンスプレー電圧:5.5kV、
イオンソース温度:500℃
(製造例1)
pH4.0の0.1M酢酸ナトリウムバッファーにウシ由来ゼラチンを溶解して2質量%溶液を調製し、この溶液にショウガ根茎をアセトン中で粉砕して作製したショウガ粉末をウシ由来ゼラチンに対して質量換算で1/10倍量、ジチオスレイトール(和光純薬工業株式会社製)を最終濃度2mMとなるように加え、50℃で振盪、攪拌しながら16h反応させた。反応終了後静置し、上清を回収してペプチド溶液を得た。得られたペプチド溶液を下記LC/MS測定条件で測定した。結果を表1に示す。コラーゲンをショウガ根茎由来酵素で分解することで、Val−Hyp−Gly(VOG)、Val−Pro−Gly(VPG)、Ala−Hyp−Gly(AOG)、Ala−Pro−Gly(APG)、Leu−Hyp−Gly(LOG)、Leu−Pro−Gly(LPG)、およびIle−Hyp−Gly(IOG)が生成されることが確認された。
LC/MS測定条件
高速液体クロマトグラフ:1200Series(アジレント・テクノロジー株式会社製)、
質量分析装置:3200 QTRAP(株式会社エービー・サイエックス社製)、
分析カラム:Ascentis Express F5 5μm, 4.6mmi.d.×250mm(SUPELCO社製)、
カラム温度:40℃
移動相:A液;0.1%ギ酸、B液;100%アセトニトリル、
グラジエント条件:
0〜7.5分:A液100%、
7.5〜20分:A液100〜10%;B液0〜90%、
20〜25分:A液10%;B液90%、
25〜30分:A液100%、
流速:0.4mL/min、
イオン化:ESI、ポジティブ、
分析モード:MRMモード、
イオンスプレー電圧:3kV、
イオンソース温度:500℃
(実施例1〜3、比較例1〜4)
製造例1でショウガ粉末によるコラーゲンの分解により生成が確認されたトリペプチドについて、Anygen社のカスタム合成サービスにより化学合成(VOG、VPG、AOG、LOG、LPGおよびIOG)、またはBachem社より市販品を購入(APG)し、上記測定法にてそのACE阻害活性を測定した。結果を表2に示す。
表2に示すように、トリペプチドについて、N末端から2番目のアミノ酸残基がProまたはHypであり、C末端がGlyの3組のトリペプチドついてACE阻害活性を評価したところ、実施例1と比較例1、比較例2と比較例3、実施例2と比較例4の組み合わせに示すように、いずれもProよりもHypの場合にIC50が低値となり、ACE阻害活性に優れた。図1にVOGのACE阻害曲線を示し、図2にVPGのACE阻害曲線を示す。
比較例2のAOGは非特許文献1に開示され、そのIC50は711μMと記載されている。AOGを陽性対照として、製造例1で生成の確認された種々のトリペプチドを本願のACE阻害活性の測定方法によって測定したところ、VOG(実施例1)、LOG(実施例2)、およびIOG(実施例3)は、AOG(比較例2)より極めて高いACE阻害活性を有することが判明した。

Claims (4)

  1. Ile−Hyp−Gly、Leu−Hyp−Gly、Val−Hyp−Gly、およびこれらの塩からなる群から選択される1以上のトリペプチドを含む、アンジオテンシン変換酵素阻害剤。
  2. 請求項1記載のアンジオテンシン変換酵素阻害剤を含む食品。
  3. 請求項1記載のアンジオテンシン変換酵素阻害剤を含む飲料。
  4. 請求項1記載のアンジオテンシン変換酵素阻害剤を含むサプリメント。
JP2017222435A 2017-11-20 2017-11-20 アンジオテンシン変換酵素阻害剤、食品、飲料、およびサプリメント Active JP7048270B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017222435A JP7048270B2 (ja) 2017-11-20 2017-11-20 アンジオテンシン変換酵素阻害剤、食品、飲料、およびサプリメント

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017222435A JP7048270B2 (ja) 2017-11-20 2017-11-20 アンジオテンシン変換酵素阻害剤、食品、飲料、およびサプリメント

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019094271A true JP2019094271A (ja) 2019-06-20
JP7048270B2 JP7048270B2 (ja) 2022-04-05

Family

ID=66970889

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017222435A Active JP7048270B2 (ja) 2017-11-20 2017-11-20 アンジオテンシン変換酵素阻害剤、食品、飲料、およびサプリメント

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7048270B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021143164A (ja) * 2020-03-13 2021-09-24 フォーデイズ株式会社 トリペプチドrprを含有する抗肥満薬並びに健康食品

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003267994A (ja) * 2002-03-11 2003-09-25 Suetsuna Yoko 新規なペプチドおよびアンジオテンシン変換酵素阻害剤
JP2004067519A (ja) * 2002-08-01 2004-03-04 Nippon Meat Packers Inc アンジオテンシン変換酵素阻害ペプチド
WO2009035169A1 (ja) * 2007-09-14 2009-03-19 Nippon Meat Packers, Inc. 血圧上昇抑制作用を有するぺプチド
JPWO2007108554A1 (ja) * 2006-03-17 2009-08-06 日本ハム株式会社 血圧上昇抑制作用を有するペプチド
WO2014017474A1 (ja) * 2012-07-25 2014-01-30 株式会社ニッピ コラーゲンペプチド組成物の製造方法、dpp-4阻害剤および血糖値上昇抑制剤

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007108554A (ja) 2005-10-17 2007-04-26 Epson Imaging Devices Corp 電気光学装置、電気光学装置の製造方法、及び電子機器

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003267994A (ja) * 2002-03-11 2003-09-25 Suetsuna Yoko 新規なペプチドおよびアンジオテンシン変換酵素阻害剤
JP2004067519A (ja) * 2002-08-01 2004-03-04 Nippon Meat Packers Inc アンジオテンシン変換酵素阻害ペプチド
JPWO2007108554A1 (ja) * 2006-03-17 2009-08-06 日本ハム株式会社 血圧上昇抑制作用を有するペプチド
WO2009035169A1 (ja) * 2007-09-14 2009-03-19 Nippon Meat Packers, Inc. 血圧上昇抑制作用を有するぺプチド
WO2014017474A1 (ja) * 2012-07-25 2014-01-30 株式会社ニッピ コラーゲンペプチド組成物の製造方法、dpp-4阻害剤および血糖値上昇抑制剤

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
岩井 浩二ほか: "鶏コラーゲン加水分解物摂取後のヒト血中ペプチドの動態とACE阻害作用", 日本食品科学工学会誌, vol. 56, no. 6, JPN6021034274, 2009, pages 326 - 330, ISSN: 0004648854 *
桐生智恵ほか: "アンジオテンシン変換酵素阻害薬の脂質・糖代謝への影響と臨床的有用性", 医療薬学, vol. 29, no. 6, JPN6021034275, 2003, pages 750 - 755, ISSN: 0004648855 *

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021143164A (ja) * 2020-03-13 2021-09-24 フォーデイズ株式会社 トリペプチドrprを含有する抗肥満薬並びに健康食品
JP7291917B2 (ja) 2020-03-13 2023-06-16 フォーデイズ株式会社 トリペプチドrprを含有する抗肥満薬並びに健康食品

Also Published As

Publication number Publication date
JP7048270B2 (ja) 2022-04-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Lee et al. Antihypertensive peptides from animal products, marine organisms, and plants
Sánchez et al. Bioactive peptides: A review
Kaur et al. Recently isolated food-derived antihypertensive hydrolysates and peptides: A review
Aluko Antihypertensive peptides from food proteins
Xue et al. Activity and bioavailability of food protein‐derived angiotensin‐I‐converting enzyme–inhibitory peptides
Iwaniak et al. Food‐originating ACE inhibitors, including antihypertensive peptides, as preventive food components in blood pressure reduction
Tavares et al. Novel whey-derived peptides with inhibitory effect against angiotensin-converting enzyme: In vitro effect and stability to gastrointestinal enzymes
Hong et al. The antihypertensive effect of peptides: a novel alternative to drugs?
Manikkam et al. A review of potential marine-derived hypotensive and anti-obesity peptides
Meisel Biochemical properties of peptides encrypted in bovine milk proteins
Salampessy et al. Functional and potential therapeutic ACE-inhibitory peptides derived from bromelain hydrolysis of trevally proteins
Saleh et al. Recent research in antihypertensive activity of food protein-derived hydrolyzates and peptides
CN101305017B (zh) 奶酪蛋白的酶水解产物中鉴定的生物活性肽及其生产方法
JP2009500404A (ja) アンギオテンシン変換酵素を阻害するペプチド
US20100166859A1 (en) Novel nutraceutical compositions and use thereof
Bernabucci et al. In vitro ACE-inhibitory activity and in vivo antihypertensive effects of water-soluble extract by Parmigiano Reggiano and Grana Padano cheeses
TW201716079A (zh) Glp-2分泌促進用組成物
JP3592593B2 (ja) アンギオテンシン変換酵素阻害剤
Anusha et al. Bioactive peptides from milk
JP7048270B2 (ja) アンジオテンシン変換酵素阻害剤、食品、飲料、およびサプリメント
López-Fandiño et al. Egg-protein-derived peptides with antihypertensive activity
KR101048663B1 (ko) 동맥경화 예방제, 혈관 내막의 비후 억제제 및 혈관 내피 기능 개선제
JP2006513716A (ja) アンギオテンシス変換酵素(ace)阻害剤の調製のためのプロセスおよびその使用
Solanki et al. Food derived bioactive peptides and its application on health benefits
Mustafa et al. Bioactive peptides and their natural sources

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201104

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210818

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20210713

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210907

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211020

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211130

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211227

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220322

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220324

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7048270

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150