JP4596438B2 - ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリアミド樹脂と層状珪酸塩からなる機械的性質の改良されたポリアミド樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ポリアミド樹脂の機械的性質を改良するために、ガラス繊維や無機充填剤を樹脂に配合することが実施されている。しかし、これら無機フィラーを単純に溶融混練するだけでは、樹脂中の無機フィラーの分散や界面接着も悪く、耐衝撃性が低い、表面外観が悪いといった問題がある。そこで、熱可塑性樹脂と無機フィラーとの親和性または結合力を高める為に、無機フィラーの表面に有機シラン等のカップリング処理を施し、樹脂中のフィラー分散を改良する方法があるが、かかる方法では樹脂と無機フィラーとの間のなじみを良くする程度であり、十分な改良には到っていない。また、通常のフィラーでは、十分な強度を得るためには充填量を上げる必要があり、得られる樹脂組成物が高比重になるといった問題も生じてくる。
【0003】
一方、無機層状化合物の一種である粘土鉱物は、フィラーとしての使用が古くから試みられているが、通常の混合、混練では、二次凝集が起こってしまい、樹脂中への均一な分散が困難であった。そこで特開平8−12881号公報には層状珪酸塩をホストとし特定の4級アンモニウムイオンゲストとする層間化合物を用いることで、均一な分散を得ようとする試みがなされており、強度や剛性面での改良は認められるが、靭性や延性が低いという問題があった。
【0004】
また、特開平8−151449号公報や特開平9−48856号公報には粘土鉱物を溶媒で膨潤させた後に樹脂と溶融混練し、押出機に設けたベント口を減圧に保持することで溶媒を除去することで均一な分散を得ようとする試みが開示されているが、溶媒を用いるために工程が複雑になるといった問題があり、やはり、靭性や延性の面で改良が求められていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は上述の問題を解消すること即ち、剛性と延性という相反する特性を同時に改良し、優れたポリアミド樹脂組成物を得ることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定の末端基濃度を有するポリアミド樹脂と層状珪酸塩を溶融混練することにより強度や剛性と靭性や延性のバランスに優れたポリアミド樹脂組成物を容易に得ることができることを見出し本発明に至った。
【0007】
すなわち本発明は、
(a)ポリアミド樹脂および(b)層間に存在する交換性陽イオンの陽イオン交換容量に対し、0.8〜1.2当量のトリオクチルメチルアンモニウムイオンまたはベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムイオンで交換された層状珪酸塩を溶融混練してなるポリアミド樹脂組成物であって、(a)ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度をA、末端カルボキシル基濃度をBとしたとき、Aが5×10 -5 〜10×10 -5 mol/g、A/Bの値が0.9以上であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
【0009】
(a)ポリアミド樹脂とは、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸を主たる原料とするポリアミドである。その原料の代表例としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε−アミノカプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、テトラメチレンジアミン、ヘキサメレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、メタキシレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂肪族、脂環族、芳香族のジアミン、およびアジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族のジカルボン酸が挙げられ、本発明においては、これらの原料から誘導されるポリアミドホモポリマーまたはコポリマーを各々単独または混合物の形で用いることができる。
【0010】
本発明において、とくに有用なポリアミド樹脂は、200℃以上の融点を有する耐熱性や強度に優れたポリアミド樹脂であり、具体的な例としてはポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T/6I)、ポリキシリレンアジパミド(ナイロンXD6)およびこれらの混合物ないし共重合体などが挙げられる。
【0011】
とりわけ好ましいものとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン6/66コポリマー、ナイロン6/12コポリマーなどの例を挙げることができ、更にこれらのナイロン樹脂を成形性、耐熱性、靱性、表面性などの必要特性に応じて混合物として用いることも実用上好適である。
【0012】
これらナイロン樹脂の重合度にはとくに制限がないが、1%の濃硫酸溶液中、25℃で測定した相対粘度が、2.0〜4.0の範囲のものが好ましい。
【0013】
本発明で用いられる(a)ポリアミド樹脂は、その末端アミノ基濃度をA、末端カルボキシル基濃度をBとしたときに、両者の比A/Bの値が0.9以上、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.5以上、さらに好ましくは3.0以上であることが特徴である。このA/Bの値が小さすぎると層状珪酸塩の分散性が悪くなり、結果として機械物性の低下を招くので好ましくない。
【0014】
なお、ポリアミド樹脂の末端アミノ基およびカルボキシル基濃度の測定には公知の方法が用いられる。具体例を示せば、アミノ基はポリアミド樹脂をm−クレゾールやフェノール/エタノール混液(フェノール83.5%)に溶解させ、塩酸で中和滴定あるいは電位差滴定する方法で、また、カルボキシル基はポリアミド樹脂をベンジルアルコールに溶解させ、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムで中和滴定する方法で測定される。
【0015】
本発明で用いられるポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度は5×10 -5 〜10×10 -5 mol/gである。末端アミノ基濃度が低すぎると、層状珪酸塩の分散性が十分でなくなり、また、高すぎると、溶融滞留安定性が悪くなるためいずれも好ましくない。
【0016】
本発明における(b)層間に存在する交換性陽イオンがトリオクチルメチルアンモニウムイオンまたはベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムイオンで交換された層状珪酸塩とは(b−1)交換性の陽イオンを層間に有する層状珪酸塩の交換性の陽イオンを、(b−2)トリオクチルメチルアンモニウムイオンまたはベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムイオンで置き換えた包接化合物である。
【0017】
(b−1)交換性の陽イオンを層間に有する層状珪酸塩は、幅0.05〜0.5μm、厚さ6〜15オングストロームの板状物が積層した構造を持ち、その板状物の層間に交換性の陽イオンを有している。そのカチオン交換容量は0.2〜3meq/gのものが挙げられ、好ましくはカチオン交換容量が0.8〜1.5meq/gのものである。
【0018】
層状珪酸塩の具体例としてはモンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、バーミキュライトなどのスメクタイト系粘土鉱物、ハロイサイト、カネマイト、ケニヤイト、燐酸ジルコニウム、燐酸チタニウムなどの各種粘土鉱物、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素雲母、Li型四珪素フッ素雲母等の膨潤性合成雲母等が挙げられ、天然のものであっても合成されたものであっても良い。これらのなかでもモンモリロナイト、ヘクトライトなどのスメクタイト系粘土鉱物やNa型四珪素フッ素雲母、Li型フッ素テニオライトなどの膨潤性合成雲母が好ましい。
【0026】
本発明における(b)層間に存在する交換性陽イオンがトリオクチルメチルアンモニウムイオンまたはベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムイオンで交換された層状珪酸塩は(b−1)交換性の陽イオンを層間に有する層状珪酸塩と(b−2)トリオクチルメチルアンモニウムイオンまたはベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムイオンを公知の方法で反応させることにより製造することができる。具体的には、水、メタノール、エタノールなどの極性溶媒中でのイオン交換反応による方法か、層状珪酸塩に液状あるいは溶融させたアンモニウム塩を直接反応させることによる方法などが挙げられる。
【0027】
本発明において、層状珪酸塩に対するトリオクチルメチルアンモニウムイオンまたはベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムイオンの量は、層状珪酸塩の分散性、溶融時の熱安定性、成形時のガス、臭気の発生抑制などの点から、層状珪酸塩の陽イオン交換容量に対し、0.8〜1.2当量であることが必要である。
【0028】
また、これら層状珪酸塩はトリオクチルメチルアンモニウムイオンまたはベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムイオンに加え、反応性官能基を有するカップリング剤で予備処理して使用することは、より優れた機械的強度を得るために好ましい。かかるカップリング剤としてはイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などが挙げられる。
【0029】
特に好ましいのは、有機シラン系化合物であり、その具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプト基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなどのイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合物、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリエトキシシランなどの水酸基含有アルコキシシラン化合物、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩等の炭素炭素不飽和基含有アルコキシシラン化合物などが挙げられる。特に、炭素炭素不飽和基含有アルコキシシラン化合物が好ましく用いられる。これらシランカップリング剤での層状珪酸塩の処理は、水、メタノール、エタノールなどの極性溶媒中、あるいはこれらの混合溶媒中でシランカップリング剤を層状珪酸塩に吸着させる方法か、ヘンシェルミキサー等の高速攪拌混合機の中に層状珪酸塩を添加し、攪拌しながらシランカップリング剤あるいは有機溶媒を含む水溶液の形で滴下して吸着させる方法、さらには層状珪酸塩に直接シランカップリング剤を添加して、乳鉢等で混合して吸着させることによる方法のどれを用いても良い。層状珪酸塩をシランカップリング剤で処理する場合には、シランカップリング剤のアルコキシ基の加水分解を促進するために水、酸性水、アルカリ性水等を同時に混合するのが好ましい。また、シランカップリング剤の反応効率を高めるため、水のほかにメタノールやエタノール等の水、シランカップリング剤両方を溶解する有機溶媒を混合してもかまわない。このようなシランカップリング剤で処理した層状珪酸塩を熱処理することによってさらに反応を促進させることも可能である。なお、予め層状珪酸塩のカップリング剤での処理を行わずに、層状珪酸塩と熱可塑性ポリエステルを溶融混練する際に、これらカップリング剤を添加するいわゆるインテグラルブレンド法を用いてもよい。
【0030】
本発明において(b)層間に存在する交換性陽イオンがトリオクチルメチルアンモニウムイオンまたはベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムイオンで交換された層状珪酸塩の含有量は本発明の組成物中の無機灰分量として0.1〜40重量%、好ましくは1〜30重量%、特に好ましくは3〜15重量%となる範囲である。灰分量が少なすぎると物性改良効果が小さく、灰分量が多すぎると靱性が低下する場合がある。無機灰分量はポリアミド樹脂組成物2gを500℃の電気炉で3時間灰化させて求めた値である。
【0031】
本発明で必要に応じて配合される(c)成分は、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸、無水アコニット酸、およびポリ無水マレイン酸から選ばれた少なくとも1種である。ポリ無水マレイン酸の重合度は2〜100が好ましく、2〜50がより好ましく、さらに2〜20が最も好ましい。これらの中で、無水マレイン酸、ポリ無水マレイン酸が最も好ましく用いられる。ポリ無水マレイン酸としては、例えばJ. Macromol. Sci.-Revs. Macromol. Chem., C13(2), 235(1975)等に記載のものを用いることができる。
【0032】
これら無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸、無水アコニット酸、およびポリ無水マレイン酸から選ばれた少なくとも1種の添加量は(a)ポリアミド樹脂100重量部に対して0.05〜10重量部が衝撃強度の向上効果、組成物の流動性の点から好ましく、さらに0.1〜5重量部の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜3重量部である。
【0033】
なお、ここで用いる無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸、無水アコニット酸、およびポリ無水マレイン酸から選ばれた少なくとも1種は実質的にポリアミド樹脂と溶融混練する際に無水物の構造を取ればよく、これら無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸、無水アコニット酸、およびポリ無水マレイン酸から選ばれた少なくとも1種を加水分解してカルボン酸あるいはその水溶液の様な形態で溶融混練に供し、溶融混練の際の加熱により脱水反応させ、実質的に無水酸の形でポリアミド樹脂と溶融混練してもかまわない。
【0034】
本発明において(a)ポリアミド樹脂(b)層間に存在する交換性陽イオンがトリオクチルメチルアンモニウムイオンまたはベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムイオンで交換された層状珪酸塩を溶融混練する方法には特に制限はなく、ポリアミド樹脂の溶融状態下で機械的剪断を行うことができればよい。その処理方法もバッチ式または連続式のいずれでも良いが、連続的に製造できる連続式の方が作業効率の面から好ましい。また、必要に応じ(c)無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸、無水アコニット酸、およびポリ無水マレイン酸から選ばれた少なくとも1種を配合する場合でも、その添加方法に制限はなく、(a)ポリアミド樹脂と(b)層状珪酸塩を溶融混練する前にプレブレンドしておく方法や、(a)と(b)を溶融混練している最中に添加する方法などが挙げられる。具体的な混練装置にも制限はないが、押出機、特に二軸押出機が生産性の面で好ましい。また、溶融混練時に発生する水分や、低分子量の揮発成分を除去する目的で、ベント口を設けることも好んで用いられる。
【0035】
さらに、本発明のポリアミド樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で常用の各種添加成分、例えばガラス繊維、炭素繊維、針状ワラステナイトなどの針状無機充填材、ガラスフレーク、タルク、カオリン、マイカなどの板状無機充填材、各種エラストマー類などの衝撃性改良材、結晶核剤、着色防止剤、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミンなどの酸化防止剤、エチレンビスステアリルアミドや高級脂肪酸エステルなどの離型剤、エポキシ化合物、可塑剤、熱安定剤、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤などの添加剤を添加することができる。
【0036】
本発明のポリアミド樹脂組成物は押出成形、射出成形など通常の加工方法で容易に成形品とすることができる。得られた成形品は少ないフィラー量で、高い曲げ弾性率を示し、衝撃強度にも優れるため、種々のエンジニアリング部品、構造材料に適している。
【0037】
【実施例】
以下実施例により本発明をさらに詳述する。
【0038】
評価項目と測定方法
ポリアミド樹脂の溶液粘度:濃硫酸中、25℃、濃度1%で測定した相対粘度。
【0039】
ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度:フェノール/エタノール溶液(フェノール83.5%)をチモールブルーを指示薬として用い、塩酸で中和滴定した。
【0040】
ポリアミド樹脂の末端カルボキシル基濃度:ベンジルアルコール溶液をフェノールフタレインを指示薬として用い、水酸化カリウムで中和滴定した。
【0041】
引張試験:厚さ1/8”のASTM1号ダンベル試験片を用い、ASTM D638に準じて評価した。
【0042】
曲げ試験:1/2”×5”×1/4”の棒状試験片を用い、ASTM D790に準じて評価した。
【0043】
衝撃試験:1/8”厚のアイゾット衝撃試験片を用い、ASTM D256に準じて評価した。
【0044】
参考例1
Na型モンモリロナイト(クニミネ工業:クニピアF、陽イオン交換容量120m当量/100g)100gを温水10リットルに攪拌分散し、ここにトリオクチルメチルアンモニウムクロライド48g(陽イオン交換容量と等量)を溶解させた温水2Lを添加して1時間攪拌した。生じた沈殿を濾別した後、温水で洗浄した。この洗浄と濾別の操作を3回行い、得られた固体を80℃で真空乾燥して乾燥した有機化層状珪酸塩を得た。
【0045】
参考例2
参考例1と同じNa型モンモリロナイト100gとベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムクロライド51g(陽イオン交換容量と等量)を原料として、参考例1と同様にして有機化層状珪酸塩を得た。
【0046】
参考例3
参考例1と同じモンモリロナイト100gと12−アミノドデカン酸塩酸塩30.2g(陽イオン交換容量と等量)を原料として、参考例1と同様にして有機化層状珪酸塩を得た。
【0047】
参考例4
Na型合成雲母(コープケミカル:ME−100、陽イオン交換容量80m当量/100g)100gと、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロライド47g(陽イオン交換容量と等量)を原料として、参考例1と同様にして有機化層状珪酸塩を製造した。
実施例1
相対粘度が2.74、末端アミノ基濃度6.0×10-5mol/g、末端カルボキシル基濃度6.0×10-5mol/gのナイロン6(N6−1)を96.3重量部、参考例1で得られた有機化層状珪酸塩3.7重量部を配合し、タンブラーミキサーでプレブレンドした後、シリンダ温度を250℃に設定したPCM30型二軸押出機(池貝鉄鋼)で溶融混練し、樹脂組成物を得た。得られた組成物はペレタイズした後、80℃で10時間真空乾燥し、シリンダ温度250℃、金型温度80℃で射出成形を行い、試験片を得た。試験片2gを500℃の電気炉で3時間灰化させて無機灰分量を求めたところ、2.5wt%であった。機械物性の評価結果を表1に示した。
【0048】
実施例2
相対粘度が2.70、末端アミノ基濃度6.3×10-5mol/g、末端カルボキシル基濃度4.1×10-5mol/gのナイロン6(N6−2)を95.7重量部、参考例2で得られた有機化層状珪酸塩4.3重量部を配合し、後は実施例1と同様にして樹脂組成物を得、射出成形の後、物性評価を行った。
【0049】
実施例3
相対粘度が2.30、末端アミノ基濃度9.0×10-5mol/g、末端カルボキシル基濃度2.5×10-5mol/gのナイロン6(N6−3)を95.7重量部、参考例2で得られた有機化層状珪酸塩4.3重量部を配合し、後は実施例1と同様にして樹脂組成物を得、射出成形の後、物性評価を行った。
【0050】
実施例4
実施例3で用いたものと同じナイロン6と、参考例1で得られた有機化層状珪酸塩、無水マレイン酸を表1の処方で配合しプレブレンドし、後は実施例1と同様にして樹脂組成物を得、射出成形の後、物性評価を行った。
【0051】
比較例1
実施例2で用いたものと同じナイロン6と、参考例3で得られた有機化層状珪酸塩を表1の処方で配合し、後は実施例1と同様にして樹脂組成物を得、射出成形の後、物性評価を行った。
【0052】
比較例2
実施例3で用いたものと同じナイロン6と、参考例4で得られた有機化層状珪酸塩を表1の処方で配合し、後は実施例1と同様にして樹脂組成物を得、射出成形の後、物性評価を行った。
【0053】
比較例3
ナイロン樹脂として、相対粘度が2.35、末端アミノ基濃度4.3×10-5mol/g、末端カルボキシル基濃度7.3×10-5mol/gのナイロン6(N6−4)を用いた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を得、射出成形の後、物性評価を行った。
【0054】
比較例4
ナイロン樹脂として、相対粘度が2.65、末端アミノ基濃度0.4×10-5mol/g、末端カルボキシル基濃度8.1×10-5mol/gのナイロン6(N6−5)を用いた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を得、射出成形の後、物性評価を行った。
【0055】
比較例5
層状珪酸塩として参考例1で原料として用いたモンモリロナイトをそのまま用いる以外は実施例3と同様にして樹脂組成物を得、射出成形の後、物性評価を行った。
【0056】
比較例6
実施例3で用いたナイロン6(N6−3)をそのまま射出成形し、物性評価を行った。
【0057】
【表1】
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、機械的性質に優れた樹脂組成物が容易に得られ、特に無機灰分量が少なくても曲げ弾性率など剛性に優れ、靭性や延性も兼ね備えた樹脂組成物が得られるので、自動車部品、電機・電子部品、建材、家具、日用雑貨品などの成形品用に適している。
Claims (4)
- (a)ポリアミド樹脂および(b)層間に存在する交換性陽イオンの陽イオン交換容量に対し、0.8〜1.2当量のトリオクチルメチルアンモニウムイオンまたはベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムイオンで交換された層状珪酸塩を溶融混練してなるポリアミド樹脂組成物であって、(a)ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度をA、末端カルボキシル基濃度をBとしたとき、Aが5×10 -5 〜10×10 -5 mol/g、A/Bの値が0.9以上であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
- (b)層間に存在する交換性陽イオンの陽イオン交換容量に対し、0.8〜1.2当量のトリオクチルメチルアンモニウムイオンまたはベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムイオンで交換された層状珪酸塩を組成物中の無機灰分量で0.1〜40重量%含有することを特徴とする請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
- さらに(c)無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸、無水アコニット酸、およびポリ無水マレイン酸から選ばれた少なくとも1種を(a)ポリアミド樹脂100重量部に対して0.05〜10重量部配合し、溶融混練してなる請求項1または2記載のポリアミド樹脂組成物。
- (b)層間に存在する交換性陽イオンの陽イオン交換容量に対し、0.8〜1.2当量のトリオクチルメチルアンモニウムイオンまたはベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムイオンで交換された層状珪酸塩が、さらに反応性官能基を有するカップリング剤で処理された層状珪酸塩であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のポリアミド樹脂組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22503798A JP4596438B2 (ja) | 1998-08-07 | 1998-08-07 | ポリアミド樹脂組成物 |
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JP22503798A JP4596438B2 (ja) | 1998-08-07 | 1998-08-07 | ポリアミド樹脂組成物 |
Publications (2)
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