JP4228425B2 - ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリブチレンテレフタレートと層間に存在する交換性陽イオンが有機オニウムイオンで交換された層状珪酸塩および無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸、無水アコニット酸、ポリ無水マレイン酸、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびオキシ安息香酸グリシジルエーテルエステルから選ばれる少なくとも1種からなる機械的性質の改良されたポリエステル樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、熱可塑性ポリエステル樹脂の機械的性質を改良するために、ガラス繊維や無機充填剤を樹脂に配合することが実施されている。しかし、これら無機フィラーを単純に溶融混練するだけでは、樹脂中の無機フィラーの分散や界面接着も悪く、耐衝撃性が低い、表面外観が悪いといった問題がある。そこで、熱可塑性樹脂と無機フィラーとの親和性または結合力を高める為に、無機フィラーの表面に有機シラン等のカップリング処理を施し、樹脂中のフィラー分散を改良する方法があるが、かかる方法では樹脂と無機フィラーとの間のなじみを良くする程度であり、十分な改良には到っていない。また、通常のフィラーでは、十分な強度を得るためには充填量を上げる必要があり、得られるポリエステル樹脂組成物が高比重になるといった問題も生じてくる。
【0003】
一方、無機層状化合物の一種である粘土鉱物は、フィラーとしての使用が古くから試みられているが、通常の混合、混練では、二次凝集が起こってしまい、ポリエステル樹脂中への均一な分散が困難であった。そこで特開平3−62846号公報には層状珪酸塩をホストとし有機オニウムイオンをゲストとする層間化合物とラクトン類、ラクタム類およびその重合体などの相溶化剤とを用いることで、均一な分散を得ようとする試みがなされており、引張弾性率の向上などが認められるものの、相溶化剤の添加による衝撃強度の低下の点で満足できるものではなかった。さらに、特開平7−166036号公報には、層状珪酸塩をホストとし、特定の4級アンモニウム塩をゲストとする層間化合物からなるポリエステル樹脂組成物が開示されているが、剛性の向上は認められるものの靭性の面で満足できるものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は上述の問題を解消すること即ち、剛性と靭性のバランスに優れ、また無機物添加量が少量のため軽量化が可能であるポリエステル樹脂組成物を得ることを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ポリブチレンテレフタレートと有機オニウムイオンを層間に挿入した層状珪酸塩に、さらに特定の有機化合物を用いることで、課題を解決できることを見出し本発明に至った。
【0006】
すなわち本発明は、(a)ポリブチレンテレフタレート、(b)層間に存在する交換性陽イオンが有機オニウムイオンで交換された層状珪酸塩および(c)無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸、無水アコニット酸、ポリ無水マレイン酸、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびオキシ安息香酸グリシジルエーテルエステルから選ばれる少なくとも1種を溶融混練してなるポリエステル樹脂組成物である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明で使用するポリブチレンテレフタレートの重合度には、制限はないが0.5%のo−クロロフェノール溶液中、25℃で測定した固有粘度が、0.80〜1.9の範囲、特に1.0〜1.5の範囲のものが好ましい
【0013】
本発明で使用する(B)層間に存在する交換性陽イオンが有機オニウムイオンで交換された層状珪酸塩とは、(b−1)交換性の陽イオンを層間に有する層状珪酸塩の交換性の陽イオンを、(b−2)有機オニウムイオンで置き換えた包接化合物である。
【0014】
(b−1)交換性の陽イオンを層間に有する層状珪酸塩は、幅0.05〜0.5μm、厚さ6〜15オングストロームの板状物が積層した構造を持ち、その板状物の層間に交換性の陽イオンを有している。そのカチオン交換容量は0.2〜3meq/gのものが挙げられ、好ましくはカチオン交換容量が0.8〜1.5meq/gのものである。
【0015】
層状珪酸塩の具体例としてはモンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、バーミキュライトなどのスメクタイト系粘土鉱物、ハロイサイト、カネマイト、ケニヤイト、燐酸ジルコニウム、燐酸チタニウムなどの各種粘土鉱物、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素雲母、Li型四珪素フッ素雲母等の膨潤性合成雲母等が挙げられ、天然のものであっても合成されたものであっても良い。これらのなかでもモンモリロナイト、ヘクトライトなどのスメクタイト系粘土鉱物やNa型四珪素フッ素雲母、Li型フッ素テニオライトなどの膨潤性合成雲母が好ましい。
【0016】
(b−2)有機オニウムイオンとしてはアンモニウムイオンやホスホニウムイオン、スルホニウムイオンなどが挙げられる。これらのなかではアンモニウムイオンとホスホニウムイオンが好ましく、特にアンモニウムイオンが好んで用いられる。アンモニウムイオンとしては、1級アンモニウム、2級アンモニウム、3級アンモニウム、4級アンモニウムのいずれでも良い。
【0017】
1級アンモニウムイオンとしてはデシルアンモニウム、ドデシルアンモニウム、オクタデシルアンモニウム、オレイルアンモニウム、ベンジルアンモニウムなどが挙げられる。
【0018】
2級アンモニウムイオンとしてはメチルドデシルアンモニウム、メチルオクタデシルアンモニウムなどが挙げられる。
【0019】
3級アンモニウムイオンとしてはジメチルドデシルアンモニウム、ジメチルオクタデシルアンモニウムなどが挙げられる。
【0020】
4級アンモニウムイオンとしてはベンジルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニウム、ベンジルトリブチルアンモニウム、ベンジルジメチルドデシルアンモニウム、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムなどのベンジルトリアルキルアンモニウムイオン、トリオクチルメチルアンモニウム、トリメチルオクチルアンモニウム、トリメチルドデシルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウムなどのアルキルトリメチルアンモニウムイオン、ジメチルジオクチルアンモニウム、ジメチルジドデシルアンモニウム、ジメチルジオクタデシルアンモニウムなどのジメチルジアルキルアンモニウムイオンなどが挙げられる。
【0021】
また、これらの他にもアニリン、p−フェニレンジアミン、α−ナフチルアミン、p−アミノジメチルアニリン、ベンジジン、ピリジン、ピペリジン、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などから誘導されるアンモニウムイオンなども挙げられる。
【0022】
これらのアンモニウムイオンの中でも、好ましい化合物としては、トリオクチルメチルアンモニウム、ベンジルジメチルドデシルアンモニウム、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウム、12−アミノドデカン酸から誘導されるアンモニウムイオンなどが挙げられる。
【0023】
本発明における(b)層間に存在する交換性陽イオンが有機オニウムイオンで交換された層状珪酸塩は(b−1)交換性の陽イオンを層間に有する層状珪酸塩と(b−2)有機オニウムイオンを公知の方法で反応させることにより製造することができる。具体的には、水、メタノール、エタノールなどの極性溶媒中でのイオン交換反応による方法か、層状珪酸塩に液状あるいは溶融させたアンモニウム塩を直接反応させることによる方法などが挙げられる。
【0024】
本発明において、層状珪酸塩に対する有機オニウムイオンの量は、層状珪酸塩の分散性、溶融時の熱安定性、成形時のガス、臭気の発生抑制などの点から、層状珪酸塩の陽イオン交換容量に対し通常、0.4〜2.0当量の範囲であるが、0.8〜1.2当量であることが好ましい。
【0025】
また、これら層間に存在する交換性陽イオンが有機オニウムイオンで交換された層状珪酸塩を、反応性官能基を有するカップリング剤で予備処理して使用することは、より優れた機械的強度を得るために好ましい。かかる反応性官能基を有するカップリング剤としては、イソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などが挙げられる。
【0026】
特に好ましいのは、有機シラン系化合物であり、その具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプト基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなどのイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合物、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリエトキシシランなどの水酸基含有アルコキシシラン化合物、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩等の炭素炭素不飽和基含有アルコキシシラン化合物などが挙げられる。特に、炭素炭素不飽和基含有アルコキシシラン化合物が好ましく用いられる。
【0027】
これらカップリング剤での層間に存在する交換性陽イオンが有機オニウムイオンで交換された層状珪酸塩の処理は、水、メタノール、エタノールなどの極性溶媒中、あるいはこれらの混合溶媒中でカップリング剤を層間に存在する交換性陽イオンが有機オニウムイオンで交換された層状珪酸塩に吸着させる方法か、ヘンシェルミキサー等の高速攪拌混合機の中に層間に存在する交換性陽イオンが有機オニウムイオンで交換された層状珪酸塩を添加し、攪拌しながらカップリング剤あるいは有機溶媒を含む水溶液の形で滴下して吸着させる方法、さらには層間に存在する交換性陽イオンが有機オニウムイオンで交換された層状珪酸塩に直接カップリング剤を添加して、乳鉢等で混合して吸着させることによる方法のどれを用いても良い。層間に存在する交換性陽イオンが有機オニウムイオンで交換された層状珪酸塩をカップリング剤で処理する場合には、カップリング剤のアルコキシ基の加水分解を促進するために水、酸性水、アルカリ性水等を同時に混合するのが好ましい。また、カップリング剤の反応効率を高めるため、水のほかにメタノールやエタノール等の水、カップリング剤両方を溶解する有機溶媒を混合してもかまわない。このようなカップリング剤で処理した層間に存在する交換性陽イオンが有機オニウムイオンで交換された層状珪酸塩を熱処理することによってさらに反応を促進させることも可能である。なお、予め層間に存在する交換性陽イオンが有機オニウムイオンで交換された層状珪酸塩のカップリング剤での処理を行わずに、層間に存在する交換性陽イオンが有機オニウムイオンで交換された層状珪酸塩ポリブチレンテレフタレートを溶融混練する際に、これらカップリング剤を添加するいわゆるインテグラルブレンド法を用いてもよい。
【0028】
換性の陽イオンを層間に有する層状珪酸塩は、交換性の陽イオンを有機オニウムイオンで交換した包接化合物とした後に、上記のカップリング処理を施すことが好ましい。
【0029】
本発明において(b)層間に存在する交換性陽イオンが有機オニウムイオンで交換された層状珪酸塩の含有量は本発明の組成物中の無機灰分量として0.1〜40重量%、好ましくは1〜30重量%、特に好ましくは3〜15重量%となる範囲である。灰分量が少なすぎると物性改良効果が小さく、灰分量が多すぎると靱性が低下する場合がある。無機灰分量は熱可塑性樹脂組成物2gを500℃の電気炉で3時間灰化させて求めた値である。
【0030】
本発明では、(c)成分として、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸、無水アコニット酸、ポリ無水マレイン酸、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびオキシ安息香酸グリシジルエーテルエステルから選ばれる少なくとも1種を使用する。これらの化合物は、ポリブチレンテレフタレートの末端基と化学的に反応することが可能な官能基を分子内に1個以上有する有機化合物ある。
【0031】
ポリ無水マレイン酸の重合体の重合度は2〜100が好ましく、2〜50がより好ましく、さらに2〜20が最も好ましい。(C)成分としては、無水マレイン酸、ポリ無水マレイン酸が最も好ましく用いられる。ポリ無水マレイン酸としては、例えばJ. Macromol. Sci.-Revs. Macromol. Chem., C13(2), 235(1975)等に記載のものを用いることができる。
【0032】
なお、ここで用いる無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸、無水アコニット酸、ポリ無水マレイン酸は実質的にポリブチレンテレフタレートと溶融混練する際に無水物の構造を取ればよく、これら無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸、無水アコニット酸、ポリ無水マレイン酸を加水分解してカルボン酸あるいはその水溶液の様な形態で溶融混練に供し、溶融混練の際の加熱により脱水反応させ、実質的に無水酸の形でポリブチレンテレフタレートと溶融混練してもかまわない。
【0033】
また、(c)成分として別の好ましい化合物として、エポキシ化合物が挙げられる
【0034】
具体例として、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、オキシ安息香酸グリシジルエーテルエステルが挙げられる。これらは、1種類で用いても、2種類以上を併用して用いても良い。
【0035】
本発明で用いられる(c)無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸、無水アコニット酸、ポリ無水マレイン酸、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびオキシ安息香酸グリシジルエーテルエステルから選ばれる少なくとも1種の添加量は(a)ポリブチレンテレフタレート100重量部に対して0.05〜10重量部が好ましく、さらに0.1〜5重量部の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜3重量部である。添加量が少なすぎると、靭性の改良効果が小さくなり、多すぎると成形性を悪化させる傾向がある。
【0036】
本発明において(a)ポリブチレンテレフタレート、(b)層間に存在する交換性陽イオンが有機オニウムイオンで交換された層状珪酸塩を溶融混練する方法には特に制限はなく、ポリブチレンテレフタレートの溶融状態下で機械的剪断を行うことができればよい。その処理方法もバッチ式または連続式のいずれでも良いが、連続的に製造できる連続式の方が作業効率の面から好ましい。また、(c)無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸、無水アコニット酸、ポリ無水マレイン酸、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびオキシ安息香酸グリシジルエーテルエステルから選ばれる少なくとも1種の添加方法に制限はなく、(a)ポリブチレンテレフタレートと(b)層間に存在する交換性陽イオンが有機オニウムイオンで交換された層状珪酸塩を溶融混練する前にプレブレンドしておく方法や、(a)と(b)を溶融混練している最中に添加する方法などが挙げられる。具体的な混練装置にも制限はないが、押出機、特に二軸押出機が生産性の面で好ましい。また、溶融混練時に発生する水分や、低分子量の揮発成分を除去する目的で、ベント口を設けることも好んで用いられる。
【0037】
本発明の樹脂組成物はいわゆるマスターバッチ法によって製造することも可能である。例えば(a)ポリブチレンテレフタレートの一部と(b)層間に存在する交換性陽イオンが有機オニウムイオンで交換された層状珪酸塩および(c)無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸、無水アコニット酸、ポリ無水マレイン酸、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびオキシ安息香酸グリシジルエーテルエステルから選ばれる少なくとも1種を予め溶融混練してマスターバッチペレットとなし、かかるマスターバッチペレットと残りの(a)ポリブチレンテレフタレートを溶融混練する方法が挙げられるが、その場合、上記マスターバッチペレットと残りの(a)ポリブチレンテレフタレートペレットを混合し、直接溶融成形に供してもよい。
【0038】
さらに、本発明のポリエステル樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で常用の各種添加成分、例えばガラス繊維、炭素繊維、針状ワラステナイトなどの針状無機充填材、各種エラストマー類などの衝撃性改良材、結晶核剤、着色防止剤、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミンなどの酸化防止剤、エチレンビスステアリルアミドや高級脂肪酸エステルなどの離型剤、可塑剤、熱安定剤、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤などの添加剤を添加することができる。
【0039】
本発明のポリエステル樹脂組成物は押出成形、射出成形など通常の加工方法で容易に成形品とすることができる。また、その際本発明のポリエステル樹脂組成物を得られた成形品は少ないフィラー量で、高い曲げ弾性率を示し、衝撃強度にも優れるため、種々のエンジニアリング部品、構造材料に適している。
【0040】
【実施例】
以下実施例により本発明をさらに詳述する。
【0041】
評価項目と測定方法
引張試験:厚さ1/8”のASTM1号ダンベル試験片を用い、ASTM D638に準じて評価した。
【0042】
曲げ試験:1/2”×5”×1/4”の棒状試験片を用い、ASTM D790に準じて評価した。
【0043】
衝撃試験:1/8”厚のアイゾット衝撃試験片を用い、ASTM D256に準じて評価した。
【0044】
参考例1
Na型モンモリロナイト(クニミネ工業:クニピアF、陽イオン交換容量120m当量/100g)100gを温水10リットルに攪拌分散し、ここにトリオクチルメチルアンモニウムクロライド48g(陽イオン交換容量と等量)を溶解させた温水2Lを添加して1時間攪拌した。生じた沈殿を濾別した後、温水で洗浄した。この洗浄と濾別の操作を3回行い、得られた固体を80℃で真空乾燥して乾燥した有機化層状珪酸塩を得た。
【0045】
参考例2
Na型合成雲母(コープケミカル:ME−100、陽イオン交換容量80m当量/100g)100gを温水10リットルに攪拌分散し、ここにベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムクロライド34g(陽イオン交換容量と等量)を溶解させた温水2Lを添加して1時間攪拌した。その後参考例1と同様に回収・洗浄・乾燥して、乾燥した有機化層状珪酸塩を得た。
【0046】
参考例3
参考例1と同じモンモリロナイト100gと12−アミノドデカン酸塩酸塩30.2g(陽イオン交換容量と等量)を原料として、参考例1と同様に有機化層状珪酸塩を製造した。
【0047】
参考例4
参考例2と同じNa型合成雲母100gとジメチルジオクタデシルアンモニウムクロライド47g(陽イオン交換容量と等量)を原料として、参考例1と同様に有機化層状珪酸塩を製造した。
【0048】
実施例1
o−クロロフェノール溶液中、濃度0.5%、25℃で測定した固有粘度が1.2のポリブチレンテレフタレート95.6重量部、参考例1で得られた有機化層状珪酸塩4.4重量部、無水マレイン酸0.2重量部を配合し、タンブラーミキサーでプレブレンドした後、シリンダ温度を250℃に設定したTEX−30型二軸押出機(日本製鋼所)で溶融混練し、樹脂組成物を得た。得られた組成物はペレタイズした後、110℃で8時間熱風乾燥し、シリンダ温度250℃、金型温度80℃で射出成形を行い、試験片を得た。試験片2gを500℃の電気炉で3時間灰化させて無機灰分量を求めたところ、3.0wt%であった。機械物性の評価結果を表1に示した。
【0049】
実施例2
実施例1で無水マレイン酸のかわりに平均分子量8のポリ無水マレイン酸を用いた以外は実施例1と同様にして溶融混練を行い組成物を得、射出成形の後、物性を評価した。
【0050】
実施例3
実施例1で無水マレイン酸のかわりにビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ:エピコート819)を用いた以外は実施例1と同様にして溶融混練を行い組成物を得、射出成形の後、物性を評価した。
【0051】
実施例4
実施例1で無水マレイン酸のかわりにオキシ安息香酸ジエポキシ(上野製薬:U−QUICK−103)を用いた以外は実施例1と同様にして溶融混練を行い組成物を得、射出成形の後、物性を評価した。
【0052】
実施例5〜7
実施例1で用いたものと同じポリブチレンテレフタレート、参考例2〜4で製造した層状珪酸塩、および(c)成分に相当する化合物を表1に示した処方で配合し、実施例1と同様に溶融混練で組成物を得た後、成形評価を行った。
【0053】
比較例1
実施例1で無水マレイン酸を用いない以外は同様にして溶融混練を行い組成物を得、射出成形の後、物性を評価した。
【0054】
比較例2
実施例1で層状珪酸塩として参考例1で用いた未処理のモンモリロナイトをそのまま用いる以外は同様にして溶融混練を行い組成物を得、射出成形の後、物性を評価した。
【0055】
比較例3
実施例6でオキシ安息香酸ジエポキシのかわりにポリカプロラクトン(ダイセル化学:プラクセルH1P)を用いる以外は実施例6と同様にして溶融混練し、組成物を得た後、成形評価を行った。
【0056】
比較例4
実施例7でポリ無水マレイン酸を用いない以外は同様にして溶融混練し、組成物を得た後、成形評価を行った。
【0057】
【表1】
Figure 0004228425
【0058】
【表2】
Figure 0004228425
【0059】
比較例5
実施例1で用いたものと同じPBT、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランで表面処理した平均粒径0.8μmの焼成カオリン(アミノシラン処理カオリン)、無水マレイン酸を表3に示した配合処方で混合し、実施例1と同様に溶融混練して組成物を得、成形評価を行った。
【0060】
比較例6
実施例1で用いたものと同じPBT、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランで表面処理した平均粒径0.8μmの焼成カオリン(メタクリロキシシラン処理カオリン)、無水マレイン酸を表3に示した配合処方で混合し、実施例1と同様に溶融混練して組成物を得、成形評価を行った。
【0061】
比較例7、8
無水マレイン酸を用いない以外は比較例5、6と同様にして組成物を得、成形評価を行った。
【0062】
【表3】
Figure 0004228425
【0063】
【発明の効果】
本発明のポリエステル樹脂組成物は、優れた剛性と靭性を合わせ持ち、また、無機灰分量が少なくても曲げ弾性率や強度など剛性に優れ、衝撃強度とのバランスにも優れるので、自動車部品、電機・電子部品、建材、家具、日用雑貨品などの成形品用に適している。

Claims (5)

  1. (a)ポリブチレンテレフタレート、(b)層間に存在する交換性陽イオンが有機オニウムイオンで交換された層状珪酸塩および(c)無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸、無水アコニット酸、ポリ無水マレイン酸、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびオキシ安息香酸グリシジルエーテルエステルから選ばれる少なくとも1種を溶融混練してなるポリエステル樹脂組成物。
  2. (b)層間に存在する交換性陽イオンが有機オニウムイオンで交換された層状珪酸塩を組成物中の無機灰分量で0.1〜40重量%含有することを特徴とする請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物。
  3. (c)無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸、無水アコニット酸、ポリ無水マレイン酸、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびオキシ安息香酸グリシジルエーテルエステルから選ばれる少なくとも1種の配合量が(a)ポリブチレンテレフタレート100重量部に対して0.05〜10重量部であることを特徴とする請求項1または2記載のポリエステル樹脂組成物。
  4. (b)層間に存在する交換性陽イオンが有機オニウムイオンで交換された層状珪酸塩が反応性官能基を有するカップリング剤で処理されていることを特徴とする請求項1〜いずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. 有機オニウムイオンが、トリオクチルメチルアンモニウム、ベンジルジメチルドデシルアンモニウム、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウム、および12−アミノドデカン酸から選ばれる化合物から誘導されるアンモニウムイオンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のポリエステル樹脂組成物。
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