JP4154761B2 - ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性ポリエステルと層状珪酸塩からなる機械的性質の改良されたポリエステル樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、熱可塑性ポリエステル樹脂の機械的性質を改良するために、ガラス繊維や無機充填剤を樹脂に配合することが実施されている。しかし、これら無機フィラーを単純に溶融混練するだけでは、樹脂中の無機フィラーの分散や界面接着も悪く、耐衝撃性が低い、表面外観が悪いといった問題がある。そこで、熱可塑性樹脂と無機フィラーとの親和性または結合力を高める為に、無機フィラーの表面に有機シラン等のカップリング処理を施し、樹脂中のフィラー分散を改良する方法があるが、かかる方法では樹脂と無機フィラーとの間のなじみを良くする程度であり、十分な改良には到っていない。また、通常のフィラーでは、十分な強度を得るためには充填量を上げる必要があり、得られるポリエステル樹脂組成物が高比重になるといった問題も生じてくる。
【0003】
一方、無機層状化合物の一種である粘土鉱物は、フィラーとしての使用が古くから試みられているが、通常の混合、混練では、二次凝集が起こってしまい、ポリエステル樹脂中への均一な分散が困難であった。そこで特開平3−62846号公報には層状珪酸塩をホストとし有機オニウムイオンをゲストとする層間化合物と相溶化剤とを用いることで、均一な分散を得ようとする試みがなされており、引張弾性率の向上などが認められるものの、相溶化剤の添加による衝撃強度の低下の点で満足できるものではなかった。さらに、特開平7−166036号公報には、層状珪酸塩をホストとし、特定の4級アンモニウム塩をゲストとする層間化合物からなるポリエステル樹脂組成物が開示されているが、剛性の向上は認められるものの靭性の面で満足できるものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は上述の問題を解消すること即ち、剛性と靭性のバランスに優れ、かつ無機物添加量が少量のため軽量化が可能であるポリエステル樹脂組成物を得ることを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定の末端基量を有する熱可塑性ポリエステルと有機オニウムイオンを層間に挿入した層状珪酸塩を用いることで、課題を解決できることを見出し本発明に至った。
【0006】
すなわち本発明は、
(a)熱可塑性ポリエステル(b)層間に存在する交換性陽イオンがフェニル基を有する有機アンモニウムイオンで交換された層状珪酸塩、および(c)熱可塑性ポリエステルと反応性を有する官能基を分子内に1個以上有する有機化合物を(a)熱可塑性ポリエステル100重量部に対して0.05〜10重量部配合し、溶融混練してなるポリエステル樹脂組成物であって、(a)熱可塑性ポリエステルのカルボキシル末端基量が10〜80eq/tであることを特徴とするポリエステル樹脂組成物である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
【0008】
(a)熱可塑性ポリエステル樹脂としては、芳香環を重合体の連鎖単位に有する熱可塑性のポリエステルが挙げられ、通常、芳香族ジカルボン酸(あるいはそのエステル形成性誘導体)とジオール(あるいはそのエステル形成性誘導体)および/またはヒドロキシカルボン酸とを主成分とする縮合反応により得られる重合体ないしは共重合体が挙げられる。これらは液晶性のものであっても非液晶性のものであってもよい。
【0009】
本発明において好ましいポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリへキシレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリブチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレートのほか、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレート、ポリエチレン−4,4’−ジカルボキシレート/テレフタレート、ポリ(エチレンテレフタレート/シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)などの非液晶性ポリエステルが挙げられる。
【0010】
また、液晶性のポリエステルとしては、芳香族オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族ジカルボニル単位、エチレンジオキシ単位などから選ばれた構造単位からなる異方性溶融相を形成するポリエステルを挙げることができる。
【0011】
芳香族オキシカルボニル単位としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位、芳香族ジオキシ単位としては、例えば、4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノンから生成した構造単位、芳香族ジカルボニル単位としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸から生成した構造単位、芳香族イミノオキシ単位としては、例えば、4−アミノフェノールから生成した構造単位が挙げられる。具体的には、p−オキシ安息香酸/ポリエチレンテレフタレート、p−オキシ安息香酸/6−オキシ−2−ナフトエ酸などの液晶性ポリエステルが挙げられる。
【0012】
とりわけ好ましいものとしては、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが挙げられ、これらのポリエステル樹脂を成形性、耐熱性、靱性、表面性などの必要特性に応じて混合物として用いることも実用上好適である。
【0013】
これら熱可塑性ポリエステルの重合度には、制限はないがポリブチレンテレフタレートは0.5%のo−クロロフェノール溶液中、25℃で測定した固有粘度が、0.80〜1.9の範囲、特に1.0〜1.5の範囲のものが好ましく、また、ポリエチレンテレフタレートの場合は上記と同条件で測定した固有粘度が0.36〜1.60、特に0.52〜1.35の範囲のものが好ましい。
【0014】
これらの熱可塑性ポリエステルのカルボキシル末端基量は10〜80eq/t(ポリマ1トン当りの末端基量)の範囲にあるものが好ましく使用でき、より好ましくは20〜50eq/tの範囲のものである。カルボキシル末端基量の定量は公知の方法で行われるが、例えばo−クレゾール溶液をアルカリ溶液で電位差滴定して求められる。カルボキシル末端基量が少なすぎると層状珪酸塩の分散性が充分でなくなり、また多すぎると衝撃強度の低下が顕著になるためいずれも好ましくない。
【0015】
本発明における(b)層間に存在する交換性陽イオンがフェニル基を有する有機アンモニウムイオンで交換された層状珪酸塩とは、(bー1)交換性の陽イオンを層間に有する層状珪酸塩の交換性の陽イオンを、(bー2)フェニル基を有する有機アンモニウムイオンで置き換えた包接化合物である。
【0016】
(b−1)交換性の陽イオンを層間に有する層状珪酸塩は、幅0.05〜0.5μm、厚さ6〜15オングストロームの板状物が積層した構造を持ち、その板状物の層間に交換性の陽イオンを有している。そのカチオン交換容量は0.2〜3meq/gのものが挙げられ、好ましくはカチオン交換容量が0.8〜1.5meq/gのものである。
【0017】
層状珪酸塩の具体例としてはモンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、バーミキュライトなどのスメクタイト系粘土鉱物、ハロイサイト、カネマイト、ケニヤイト、燐酸ジルコニウム、燐酸チタニウムなどの各種粘土鉱物、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素雲母、Li型四珪素フッ素雲母等の膨潤性合成雲母等が挙げられ、天然のものであっても合成されたものであっても良い。これらのなかでもモンモリロナイト、ヘクトライトなどのスメクタイト系粘土鉱物やNa型四珪素フッ素雲母、Li型フッ素テニオライトなどの膨潤性合成雲母が好ましい。
【0018】
(b−2)フェニル基を有する有機アンモニウムイオンとしては1級アンモニウム、2級アンモニウム、3級アンモニウム、4級アンモニウムのいずれでも良い。
【0019】
1級アンモニウムイオンとしてはベンジルアンモニウムなどが挙げられる。
【0022】
4級アンモニウムイオンとしてはベンジルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニウム、ベンジルトリブチルアンモニウム、ベンジルジメチルドデシルアンモニウム、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムなどのベンジルトリアルキルアンモニウムイオンなどが挙げられる。
【0023】
また、これらの他にもアニリン、p−フェニレンジアミン、α−ナフチルアミン、p−アミノジメチルアニリン、ベンジジン、ピリジン、ピペリジン、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などから誘導されるアンモニウムイオンなども挙げられる。
【0024】
これらのアンモニウムイオンの中でも、フェニル基を有するアンモニウムイオンが特に好適である。具体的には、ベンジルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニウム、ベンジルトリブチルアンモニウム、ベンジルジメチルドデシルアンモニウム、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムなどであり、これらの中でもベンジルジメチルドデシルアンモニウム、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムが好ましい。
【0025】
本発明における(b)層間に存在する交換性陽イオンがフェニル基を有する有機アンモニウムイオンで交換された層状珪酸塩は(b−1)交換性の陽イオンを層間に有する層状珪酸塩と(b−2)フェニル基を有する有機アンモニウムイオンを公知の方法で反応させることにより製造することができる。具体的には、水、メタノール、エタノールなどの極性溶媒中でのイオン交換反応による方法か、層状珪酸塩に液状あるいは溶融させたアンモニウム塩を直接反応させることによる方法などが挙げられる。
【0026】
本発明において、層状珪酸塩に対するフェニル基を有する有機アンモニウムイオンの量は、層状珪酸塩の分散性、溶融時の熱安定性、成形時のガス、臭気の発生抑制などの点から、層状珪酸塩の陽イオン交換容量に対し通常、0.4〜2.0当量の範囲であるが、0.8〜1.2当量であることが好ましい。
【0027】
また、これら層状珪酸塩は上記のフェニル基を有する有機アンモニウムイオンに加え、反応性官能基を有するカップリング剤で予備処理して使用することは、より優れた機械的強度を得るために好ましい。かかるカップリング剤としてはイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのが挙げられる。
【0028】
特に好ましいのは、有機シラン系化合物であり、その具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプト基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなどのイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合物、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリエトキシシランなどの水酸基含有アルコキシシラン化合物、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩等の炭素炭素不飽和基含有アルコキシシラン化合物などが挙げられる。特に、炭素炭素不飽和基含有アルコキシシラン化合物が好ましく用いられる。これらシランカップリング剤での層状珪酸塩の処理は、水、メタノール、エタノールなどの極性溶媒中、あるいはこれらの混合溶媒中でシランカップリング剤を層状珪酸塩に吸着させる方法か、ヘンシェルミキサー等の高速攪拌混合機の中に層状珪酸塩を添加し、攪拌しながらシランカップリング剤あるいは有機溶媒を含む水溶液の形で滴下して吸着させる方法、さらには層状珪酸塩に直接シランカップリング剤を添加して、乳鉢等で混合して吸着させることによる方法のどれを用いても良い。層状珪酸塩をシランカップリング剤で処理する場合には、シランカップリング剤のアルコキシ基の加水分解を促進するために水、酸性水、アルカリ性水等を同時に混合するのが好ましい。また、シランカップリング剤の反応効率を高めるため、水のほかにメタノールやエタノール等の水、シランカップリング剤両方を溶解する有機溶媒を混合してもかまわない。このようなシランカップリング剤で処理した層状珪酸塩を熱処理することによってさらに反応を促進させることも可能である。なお、予め層状珪酸塩のカップリング剤での処理を行わずに、層状珪酸塩と熱可塑性ポリエステルを溶融混練する際に、これらカップリング剤を添加するいわゆるインテグラルブレンド法を用いてもよい。
【0029】
本発明において(b)層間に存在する交換性陽イオンがフェニル基を有する有機アンモニウムイオンで交換された層状珪酸塩の含有量は本発明の組成物中の無機灰分量として0.1〜40重量%、好ましくは1〜30重量%、特に好ましくは3〜15重量%となる範囲である。灰分量が少なすぎると物性改良効果が小さく、灰分量が多すぎると靱性が低下する場合がある。無機灰分量は熱可塑性樹脂組成物2gを500℃の電気炉で3時間灰化させて求めた値である。
【0030】
本発明で使用される(c)熱可塑性ポリエステルと反応性を有する官能基を分子内に1個以上有する有機化合物とは、熱可塑性ポリエステルの末端基と化学的に反応することが可能な官能基を分子内に1個以上有する有機化合物のことである。その官能基としては、熱可塑性ポリエステルの末端基であるカルボキシル基やヒドロキシル基と反応性のものであれば特に制限がないが、好ましい例としてカルボン酸無水物基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボジイミド基、オキサゾリン基などが挙げられる。これらの官能基を分子内に1個以上有する化合物についても、カルボン酸無水物基を分子内に有するオレフィン化合物、またはこれらオレフィン化合物の重合体、モノエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、ポリエポキシ化合物、イソシアネート化合物、ジイソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、ポリカルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、ビスオキサゾリン化合物などが挙げられる。
【0031】
これらの中でも好ましい化合物として、カルボン酸無水物基を分子内に有するオレフィン化合物またはこれらオレフィン化合物の重合体が挙げられる。その具体例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸、無水アコニット酸、またはこれら置換オレフィン化合物の重合体などが挙げられる。なお、オレフィン化合物の重合体にはスチレン、イソブチレン、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルなど、カルボン酸無水物基を分子内に有するオレフィン化合物以外のオレフィンが本発明の効果を損なわない範囲で共重合されていても差し支えないが、実質的にカルボン酸無水物基を分子内に有するオレフィン化合物の重合体からなることが好ましい。オレフィン化合物の重合体の重合度は2〜100が好ましく、2〜50がより好ましく、さらに2〜20が最も好ましい。これらの中で、無水マレイン酸、ポリ無水マレイン酸が最も好ましく用いられる。ポリ無水マレイン酸としては、例えばJ. Macromol. Sci.-Revs. Macromol. Chem., C13(2), 235(1975)等に記載のものを用いることができる。
【0032】
なお、ここで用いるカルボン酸無水物基を分子内に有するオレフィン化合物またはこれらオレフィン化合物の重合体は実質的に熱可塑性ポリエステルと溶融混練する際に無水物の構造を取ればよく、これらオレフィン化合物またはオレフィン化合物の重合体を加水分解してカルボン酸あるいはその水溶液の様な形態で溶融混練に供し、溶融混練の際の加熱により脱水反応させ、実質的に無水酸の形で熱可塑性ポリエステルと溶融混練してもかまわない。
【0033】
また、(c)成分として別の好ましい化合物として、エポキシ化合物が挙げられる。その具体例としては、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、安息香酸グリシジルエステル、グリシジルメタクリレート、などのモノエポキシ化合物、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フタル酸ジグリシジルエステル、シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルエステル、オキシ安息香酸グリシジルエーテルエステル、などのジグリシジル化合物、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ソルビトールジグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート/エチレン共重合体などのポリエポキシ化合物などが挙げられる。
【0034】
これらのなかでも、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、オキシ安息香酸グリシジルエーテルエステルなどが好ましい。これらは、1種類で用いても、2種類以上を併用して用いても良い。
【0035】
本発明で(c)熱可塑性ポリエステルと反応性を有する官能基を分子内に1個以上有する有機化合物を添加する場合の添加量は(a)熱可塑性ポリエステル100重量部に対して0.05〜10重量部が衝撃強度の向上効果、組成物の流動性の点から好ましく、さらに0.1〜5重量部の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜3重量部である。
【0036】
本発明において(a)熱可塑性ポリエステル(b)層間に存在する交換性陽イオンがフェニル基を有する有機アンモニウムイオンで交換された層状珪酸塩を溶融混練する方法には特に制限はなく、熱可塑性ポリエステルの溶融状態下で機械的剪断を行うことができればよい。その処理方法もバッチ式または連続式のいずれでも良いが、連続的に製造できる連続式の方が作業効率の面から好ましい。また、必要に応じ(c)熱可塑性ポリエステルと反応性を有する官能基を分子内に1個以上有する有機化合物を配合する場合でも、その添加方法に制限はなく、(a)熱可塑性ポリエステルと(b)層状珪酸塩を溶融混練する前にプレブレンドしておく方法や、(a)と(b)を溶融混練している最中に添加する方法などが挙げられる。具体的な混練装置にも制限はないが、押出機、特に二軸押出機が生産性の面で好ましい。また、溶融混練時に発生する水分や、低分子量の揮発成分を除去する目的で、ベント口を設けることも好んで用いられる。
【0037】
さらに、本発明のポリエステル樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で常用の各種添加成分、例えばガラス繊維、炭素繊維、針状ワラステナイトなどの針状無機充填材、ガラスフレーク、タルク、カオリン、マイカなどの板状無機充填材、各種エラストマー類などの衝撃性改良材、結晶核剤、着色防止剤、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミンなどの酸化防止剤、エチレンビスステアリルアミドや高級脂肪酸エステルなどの離型剤、可塑剤、熱安定剤、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤などの添加剤を添加することができる。
【0038】
本発明のポリエステル樹脂組成物は押出成形、射出成形など通常の加工方法で容易に成形品とすることができる。得られた成形品は少ないフィラー量で、高い曲げ弾性率を示し、衝撃強度にも優れるため、種々のエンジニアリング部品、構造材料に適している。
【0039】
【実施例】
以下実施例により本発明をさらに詳述する。
【0040】
評価項目と測定方法
引張試験:厚さ1/8”のASTM1号ダンベル試験片を用い、ASTM D638に準じて評価した。
【0041】
曲げ試験:1/2”×5”×1/4”の棒状試験片を用い、ASTM D790に準じて評価した。
【0042】
衝撃試験:1/8”厚のアイゾット衝撃試験片を用い、ASTM D256に準じて評価した。
【0043】
参考例1
Na型モンモリロナイト(クニミネ工業:クニピアF、陽イオン交換容量120m当量/100g)100gを温水10リットルに攪拌分散し、ここにベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムクロライド51g(陽イオン交換容量と等量)を溶解させた温水2Lを添加して1時間攪拌した。生じた沈殿を濾別した後、温水で洗浄した。この洗浄と濾別の操作を3回行い、得られた固体を80℃で真空乾燥して乾燥した有機化層状珪酸塩を得た。
【0044】
参考例2
Na型合成雲母(コープケミカル:ME−100、陽イオン交換容量80m当量/100g)100gを温水10リットルに攪拌分散し、ここにベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムクロライド34g(陽イオン交換容量と等量)を溶解させた温水2Lを添加して1時間攪拌した。その後参考例1と同様に回収・洗浄・乾燥して、乾燥した有機化層状珪酸塩を得た。
【0045】
参考例3
参考例1と同じモンモリロナイト100gと12−アミノドデカン酸塩酸塩30.2g(陽イオン交換容量と等量)を原料として、参考例1と同様に有機化層状珪酸塩を製造した。
【0046】
参考例4
参考例1と同じモンモリロナイト100gとジメチルジオクタデシルアンモニウムクロライド70g(陽イオン交換容量と等量)を原料として、参考例1と同様に有機化層状珪酸塩を製造した。
比較例1
o−クロロフェノール溶液中、濃度0.5%、25℃で測定した固有粘度が1.2、o−クレゾール溶液で電位差滴定して求めたカルボキシル末端基量が43eq/tのポリブチレンテレフタレート(PBT−1)95.7重量部と参考例1で得られた層状珪酸塩を4.3重量部を配合し、タンブラーミキサーでプレブレンドした後、シリンダ温度を250℃に設定したTEX−30型二軸押出機(日本製鋼所)で溶融混練し、樹脂組成物を得た。得られた組成物はペレタイズした後、110℃で8時間熱風乾燥し、シリンダ温度250℃、金型温度80℃で射出成形を行い、試験片を得た。試験片2gを500℃の電気炉で3時間灰化させて無機灰分量を求めたところ、3.0wt%であった。機械物性の評価結果を表1に示した。
【0047】
比較例2
比較例1で用いたものと同じポリブチレンテレフタレート(PBT−1)、参考例2で得られた層状珪酸塩を表1に示した処方で配合し、比較例1と同様に溶融混練して組成物を得、射出成形の後、物性を評価した。
【0048】
実施例
比較例1で用いたものと同じポリブチレンテレフタレート(PBT−1)、参考例1で得られた層状珪酸塩、さらに無水マレイン酸を表1に示した処方で配合し、タンブラーミキサーでブレンド後、比較例1と同様に溶融混練し、射出成形後、物性を評価した。
【0049】
実施例
比較例1で用いたものと同じポリブチレンテレフタレート(PBT−1)、参考例1で得られた層状珪酸塩、さらにポリ無水マレイン酸(平均重合度8)を表1に示した処方で配合し、タンブラーミキサーでブレンド後、比較例1と同様に溶融混練し、射出成形後、物性を評価した。
【0050】
比較例3,4
比較例1で用いたものと同じポリブチレンテレフタレート(PBT−1)と参考例3または4で製造した有機化層状珪酸塩を用いて表1に示した配合処方で、比較例1と同様に溶融混練で組成物を得た後、成形評価を行った。
【0051】
比較例
o−クロロフェノール溶液中、濃度0.5%、25℃で測定した固有粘度が1.2、o−クレゾール溶液で電位差滴定して求めたカルボキシル末端基量が9eq/tのポリブチレンテレフタレート(PBT−2)95.7重量部、参考例1で得られた層状珪酸塩を4.3重量部配合し、比較例1と同様に組成物を得、成形の後物性を評価した。また、比較例1と同様にして組成物の無機灰分量を測定したところ3.0wt%であった。
【0052】
比較例
o−クロロフェノール溶液中、濃度0.5%、25℃で測定した固有粘度が1.0、o−クレゾール溶液で電位差滴定して求めたカルボキシル末端基量が90eq/tのポリブチレンテレフタレート(PBT−3)、参考例1で得られた層状珪酸塩を表2に示した処方で配合し、比較例1と同様に組成物を得、成形の後物性を評価した。
【0053】
比較例
比較例1で用いたものと同じポリブチレンテレフタレートと参考例1で原料として用いたモンモリロナイトを表2に示した配合処方で、比較例1と同様の方法で溶融混練し、組成物を得た後、成形評価を行った。
【0054】
比較例
比較例1で用いたものと同じポリブチレンテレフタレートを比較例1と同様に射出成形して物性を評価した。
【0055】
【表1】
Figure 0004154761
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、無機灰分量が少なくても曲げ弾性率や強度など剛性に優れ、また衝撃強度とのバランスにも優れる樹脂組成物が得られるので、自動車部品、電機・電子部品、建材、家具、日用雑貨品などの成形品用に適している。

Claims (5)

  1. (a)熱可塑性ポリエステル(b)層間に存在する交換性陽イオンがフェニル基を有する有機アンモニウムイオンで交換された層状珪酸塩、および(c)熱可塑性ポリエステルと反応性を有する官能基を分子内に1個以上有する有機化合物を(a)熱可塑性ポリエステル100重量部に対して0.05〜10重量部配合し、溶融混練してなるポリエステル樹脂組成物であって、(a)熱可塑性ポリエステルのカルボキシル末端基量が10〜80eq/tであることを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
  2. (b)層間に存在する交換性陽イオンがフェニル基を有する有機アンモニウムイオンで交換された層状珪酸塩を組成物中の無機灰分量で0.1〜40重量%含有することを特徴とする請求項1記載のポリエステル樹脂組成物。
  3. (a)熱可塑性ポリエステルがポリアルキレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1または2記載のポリエステル樹脂組成物。
  4. (c)熱可塑性ポリエステルと反応性を有する官能基を分子内に1個以上有する有機化合物の官能基が、カルボン酸無水物基および/またはエポキシ基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. (c)熱可塑性ポリエステルと反応性を有する官能基を分子内に1個以上有する有機化合物が、カルボン酸無水物基を分子内に有するオレフィン化合物または該オレフィン化合物の重合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のポリエステル樹脂組成物。
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