JP4596131B2 - 希土類焼結磁石の製造方法及び焼結容器 - Google Patents

希土類焼結磁石の製造方法及び焼結容器 Download PDF

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本発明は、希土類焼結磁石の製造方法に関し、特に焼結工程における成形体の変形を抑制する方法に関するものである。
希土類焼結磁石の1種として知られているR−Fe−B系焼結磁石は、種々の永久磁石の中で最も高い磁気エネルギー積を示し、価格も比較的安いため、各種電子機器へ積極的に採用されている。ここで、Rは希土類元素の1種又は2種以上、Bはホウ素である。
希土類焼結磁石は、希土類合金を粉砕して得た合金粉末を磁界中で加圧成形することによって成形体を作製し、この成形体を焼結炉において所定温度に所定時間保持することによって作製されている。しかし、焼結炉内に成形体を暴露した状態で焼結すると、炉内の酸素や水蒸気などの不純物ガスと成形体とが接触する。例えば、R−Fe−B系焼結磁石に含まれるNdなどの希土類元素が酸化すると、磁石の特性は大きく劣化する。したがって、密閉型の焼結容器内に収納された状態で焼結が施されている。
特許文献1(特開平11−354362号公報)は、焼結容器について新規な提案を行っている。つまり、特許文献1は、焼結容器の外表面に、輻射率が高く、蒸気圧が低く標準生成自由エネルギーが小さく安定した酸化物、炭化物あるいは窒化物セラミックス材料をコーティングすることにより、焼結工程の短縮を図ることを可能としている。
特開平11−354362号公報
図5及び図6は、焼結容器10内に成形体Gを置いた状態を示す図で、図5はその平面図、図6は図5のA−A矢視断面図である。焼結容器10は、底床11aと底床11aから立設する側壁11bとを備えたトレー11と蓋12とから構成されている。なお、図5は蓋12を取り除いた状態を示している。成形体Gの断面形状によっては、成形体Gを図6に示すように縦置きにした状態で焼結を行う場合がある。なお、縦置きか否かは重心の位置によって判断することができる。同一物について、重心が相対的に高い状態で置かれている場合を縦置きといい、逆に重心が相対的に低い状態で置かれている場合を横置きということができる。成形体Gを縦置きにした状態で焼結を行うと、図6に示すように、焼結後に成形体(焼結体)Gの上端部が垂れる変形を起すことがあった。この変形は、焼結容器10の特定の部位に置かれた成形体Gに生じる。すなわち、図5に示すように、焼結容器10内に成形体Gを整列して置いているが、点線で囲まれている最外周に置かれた成形体Gに変形が生じるのである。そして、その変形の方向は焼結容器10の中心に向かっている。
変形の生じた成形体(焼結体)Gは、変形の程度が大きいと製品として扱うことができず、歩留まりを低下させる。また、変形の程度が小さい場合には表面を加工することにより製品として扱うことができるが、加工能力の低下や加工工数の増加によって製品コストを上昇させる。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、成形体の焼結工程中における変形を抑制することのできるR−Fe−B系焼結磁石の製造方法及び焼結容器の提供を課題とする。
金属製の焼結容器10は一般的に、焼結炉材からの熱輻射を吸収しやすく、焼結炉材に面した焼結容器10の側壁11bの温度が急上昇することがあった。このために、焼結容器10の側壁11b近傍に置かれた成形体Gが、特に焼結工程の初期に不均一に加熱され、焼結変形の原因となっていた。このため、特許文献1のように輻射率の大きい材料で焼結容器10をコーティングすると、焼結変形を助長することになる。
そこで本発明は、焼結容器が輻射熱、つまり赤外線を反射することにより、焼結初期に生じる成形体の急激な昇温を抑制するとの観点に立って、焼結容器の外表面の粗度を小さくしてみた。その結果、焼結容器の最外周に置かれた成形体の焼結変形を抑制できることを知見した。
したがって、本発明は、所定組成の金属粉末を磁場中にて加圧成形して成形体を得る工程と、その外表面の50%以上の領域が1.0μm以下の表面粗度Raを有する焼結容器内に成形体を収容した状態で焼結する工程と、を備え、焼結容器は、底床と底床から立設する側壁とを備えたトレーと、蓋とから構成され、蓋をトレーにかぶせた状態で成形体を収容することを特徴とする希土類焼結磁石の製造方法を提供する。
本発明において、外表面の50%以上の領域を1.0μm以下の表面粗度Raとするためには、焼結容器自体の外表面の50%以上の領域を1.0μm以下の表面粗度Raとすればよい。また、焼結容器を、焼結容器本体と、焼結容器本体の周囲に形成されたコーティング層とを備え、コーティング層の外表面の50%以上の領域を1.0μm以下の表面粗度Raとすればよい。さらに、焼結容器を、焼結容器本体と、焼結容器本体の周囲を覆う被覆体とを備え、被覆体の外表面の50%以上の領域を1.0μm以下の表面粗度Raとしてもよい。
上記領域において、表面粗度Raは0.5μm以下が望ましく、0.1μm以下であることがより望ましい。
本発明はまた、所定組成の金属粉末からなる加圧成形体を収容した状態で焼結する焼結容器であって、この焼結容器は、底床と底床から立設する側壁とを備えたトレーと、蓋とから構成され、蓋をトレーにかぶせた状態で成形体を収容し、その外表面の50%以上の領域が1.0μm以下の表面粗度Raを有することを特徴とする焼結容器を提供する。この焼結容器について、上述した要件を適用できることは言うまでもない。
本発明によれば、焼結容器内部の成形体を均一に加熱することができるため、焼結による変形が抑制され、焼結歩留まりの向上が図れる。また変形が少ないので、焼結後の加工を省略できるか、加工したとしても加工量を少なくすることができる。したがって、加工コストの低減、材料歩留まりの向上を図ることもできる。
以下、本発明を適用したR−Fe−B系焼結磁石の製造方法について説明する。
R−Fe−B系焼結磁石は、通常、原料合金作製、原料合金の粉砕、粉砕された粉末の磁場中成形、成形体の焼結という基本的な工程を経て作製される。
原料合金は、真空又は不活性ガス、望ましくはAr雰囲気中でストリップキャスト法、その他公知の溶解法により作製することができる。ストリップキャスト法は、原料金属をArガス雰囲気などの非酸化性雰囲気中で溶解して得た溶湯を回転するロールの表面に噴出させる。ロールで急冷された溶湯は、薄板または薄片(鱗片)状に急冷凝固される。この急冷凝固された合金は、結晶粒径が1〜50μmの均質な組織を有している。原料合金は、ストリップキャスト法に限らず、高周波誘導溶解等の溶解法によって得ることができる。
原料合金は粉砕工程に供される。粉砕工程には、粗粉砕工程と微粉砕工程とがある。まず、原料合金を、粒径数百μm程度になるまで粗粉砕する。粗粉砕は、スタンプミル、ジョークラッシャー、ブラウンミル等を用い、不活性ガス雰囲気中にて行なうことが望ましい。粗粉砕に先立って、原料合金に水素を吸蔵させた後に放出させることにより粉砕を行なうことが効果的である。この水素粉砕を粗粉砕と位置付けて、機械的な粗粉砕を省略することもできる。
粗粉砕工程後、微粉砕工程に移る。微粉砕には主にジェットミルが用いられ、粒径数百μm程度の粗粉砕粉末を、平均粒径2.5〜6μm、好ましくは3〜5μmとする。ジェットミルは、高圧の不活性ガスを狭いノズルより開放して高速のガス流を発生させ、この高速のガス流により粗粉砕粉末を加速し、粗粉砕粉末同士の衝突やターゲットあるいは容器壁との衝突を発生させて粉砕する方法である。
微粉砕前後又はその両方にて、有機物を構成要素とする潤滑剤を0.01〜0.5wt%程度添加することにより、次の磁場中成形時に配向性の高い微粉を得ることができる。また、微粉砕前に潤滑剤を添加した場合には、微粉砕工程において所望の粒径の微粉末を効率よく製造することができる。この潤滑剤としては、脂肪酸又は脂肪酸の誘導体、例えばステアリン酸系やオレイン酸系であるステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等を用いることができる。
以上のようにして得られた微粉末は磁場中成形に供される。この磁場中成形は、800〜1360kA/m(10〜17kOe)の磁場中で、50〜200MPa(0.5〜2t/cm2)前後の圧力で行なえばよい。
以上で得られた成形体は、次いで焼結工程に供される。
焼結工程は、その昇温過程において前述した潤滑剤除去の熱処理を行うことになる。図1は、この焼結工程の温度プロファイルを示している。
図1に示すように、焼結温度までの昇温過程において、所定温度に所定時間保持することにより潤滑剤を除去することができる。この所定温度は、200〜600℃とすることが望ましい。200℃未満では潤滑剤除去の効果を十分得ることができないためであり、一方、600℃を超えると効果が飽和するためである。ここで、200〜600℃の温度範囲に保持する、とは当該温度範囲の一定温度に成形体を保持する場合に限らず、所定時間だけ当該温度範囲のいずれかの温度に成形体が加熱されていればよい。
潤滑剤除去のための保持時間は、短いと潤滑剤除去の効果が不十分であり、一方保持時間が長すぎても潤滑剤除去の効果が飽和してしまう。したがって、加熱処理の保持時間は、0.5〜10時間とすることが望ましく、さらには1〜3時間とすることが望ましい。
潤滑剤除去のための加熱処理は、真空又は不活性ガス雰囲気にて行うことができる。不活性ガスとしては、Arガス、N2ガスを用いることができる。
以上の潤滑剤除去処理が施された成形体は、図1に示すように、焼結温度まで昇温される。焼結は、真空又は不活性ガス雰囲気中、望ましくは真空中で行われる。焼結条件は、組成、粉砕方法、平均粒径と粒度分布の違い等、諸条件により調整する必要があるが、1000〜1100℃の温度で1〜10時間程度保持すれば緻密な焼結体を得ることができる。
本発明は、この焼結工程で成形体を収容する容器(焼結容器)に特徴を有している。以下、この焼結容器について説明する。
本発明による焼結容器は、その外表面の50%以上の領域が1.0μm以下の表面粗度Raを有する。表面粗度Raを1.0μm以下とするのは、焼結炉内で発生している輻射熱源である赤外線を焼結容器から効率よく反射させることにより、焼結工程、特に潤滑剤除去の工程における成形体の急激な温度上昇に伴う変形を防止するためである。赤外線の波長は780nm〜100μmの範囲にあり、波長の短い方が近赤外線、波長の長い方が遠赤外線と呼ばれている。近赤外線と遠赤外線の境界は種々定義されているが、本発明のように焼結容器の外表面の表面粗度Raを1.0μm以下とすることにより、少なくとも1.0μm以上の波長の赤外線、つまり遠赤外線を本発明の焼結容器は反射することができる。本発明において望ましい表面粗度Raは0.5μm以下、さらに望ましい表面粗度Raは0.1μm以下である。
本発明による焼結容器は、その外表面の全ての領域の表面粗度Raを1.0μm以下とすることが最も望ましいが、外表面の50%程度の領域を1.0μm以下の表面粗度Raとすることにより所定の効果を得ることができる。望ましくは外表面の70%以上の領域を1.0μm以下の表面粗度Raとし、さらに望ましくは外表面の90%以上の領域を1.0μm以下の表面粗度Raとする。なお、外表面の面積は、図6に示すように蓋12をトレー11にかぶせた状態で判断する。
焼結容器の外表面の50%以上の領域を1.0μm以下の表面粗度Raとする本発明は、少なくとも3つの形態を含んでいる。
1つ目の形態は、焼結容器自体の外表面の50%以上の領域を1.0μm以下の表面粗度Raとするものである。この形態は、焼結容器を金属で作製することができる。金属としては、Mo、W等の高融点純金属、ステンレス鋼、Ni基超合金、Co基超合金等の高融点合金を用いることができる。ただし本発明は、ここで例示した金属材料以外の材料を用いることを否定するものではない。この形態では、表面粗度Raが1.0μm以下に加工された部材で焼結容器を作製し、あるいは焼結容器を作製した後に所定領域の表面粗度Raを1.0μm以下に加工することができる。
2つ目の形態は、焼結容器本体にコーティング層を形成することにより、その外表面の50%以上の領域を1.0μm以下の表面粗度Raとするものである。コーティング層を構成する材料としては、金属材料又はセラミックス材料を用いることができる。
コーティング層を構成する金属としては、上述したMo、W等の高融点純金属、ステンレス鋼、Ni基超合金、Co基超合金等の高融点合金を用いることができる。この場合、焼結容器本体は、コーティング層を構成する材料と同じであってもよいが、異なる材料を用いることもできる。例えば、焼結容器本体をステンレス鋼から構成し、コーティング層をMoから構成することができる。
コーティング層を構成するセラミックス材料としては、Y23、ZrO2、SiC、Dy23、Si34、TiC、TiN等を用いることができる。この場合、例えば、焼結容器本体をNi基超合金から構成し、その表面にY23からなるコーティング層を形成することができる。ただし、焼結容器の昇温、降温の過程でコーティング層にクラックが発生したり、焼結容器本体から剥離したりすることを防止するために、焼結容器本体とコーティング層を構成する材料との熱膨張係数が近似することが望ましい。この観点からすると、例えば、焼結容器本体をWから構成し、コーティング層をSiCから構成することが望ましい。
コーティング層を形成する方法は特に限定されず、溶射法、CVD法、PVD法等の公知の方法を広く適用することができる。
コーティング層を形成する形態において外表面の50%以上の領域を1.0μm以下の表面粗度Raとする方法はいくつかの形態を含んでいる。焼結容器本体の外表面を50%以上の領域を1.0μm以下の表面粗度Raとし、その上に当該表面粗度Raを維持するようにコーティング層を形成する方法、本発明の範囲外の表面粗度Raを有する焼結容器本体に外表面の50%以上の領域が1.0μm以下の表面粗度Raとなるようにコーティング層を形成する方法、及びコーティング層を形成した後にその外表面の50%以上の領域を1.0μm以下の表面粗度Raになるように加工する方法を、本発明は少なくとも含んでいる。
3つ目の形態は、焼結容器本体と、焼結容器本体の周囲を覆う被覆体とを備え、被覆体の外表面の50%以上の領域が1.0μm以下の表面粗度Raとするものである。
被覆体としては、金属箔、金属材料又はセラミックス材料から構成される板体を用いることができる。取り扱いの容易性から、金属箔を用いることが望ましい。これらの金属箔、板体は所定領域の表面粗度Raを1.0μm以下とし、当該表面粗度Raを有する面を外表面となるように、焼結容器本体を覆うように配設する。
金属箔又は板体の材質としては、Mo、W等の高融点純金属、ステンレス鋼、Ni基超合金、Co基超合金等の高融点合金を用いることができる。
以上の本発明による焼結容器を用いて焼結を行った後、得られた焼結体に時効処理を施すことができる。この工程は、保磁力を制御する重要な工程である。時効処理を2段に分けて行なう場合には、800℃近傍、600℃近傍での所定時間の保持が有効である。また、600℃近傍の熱処理で保磁力が大きく増加するため、時効処理を1段で行なう場合には600℃近傍の時効処理を施すとよい。
本発明はR−Fe−B(Rは希土類元素の1種又は2種以上)で示される焼結磁石について適用することができる。
R−Fe−B系焼結磁石は、希土類元素(R)を25〜37wt%含有する。ここで、RはYを含む概念を有しており、したがってY、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuの1種又は2種以上から選択される。Rの量が25wt%未満であると、R−Fe−B系焼結磁石の主相となるR2Fe14B相の生成が十分ではなく軟磁性を持つα−Feなどが析出し、保磁力が著しく低下する。一方、Rが37wt%を超えると主相であるR2Fe14B相の体積比率が低下し、残留磁束密度が低下する。またRが酸素と反応し、含有する酸素量が増え、これに伴い保磁力発生に有効なRリッチ相が減少し、保磁力の低下を招く。したがって、Rの量は25〜37wt%とする。望ましいRの量は28〜35wt%である。
また、本発明が適用されるR−Fe−B系焼結磁石は、ホウ素(B)を0.5〜4.5wt%含有する。Bが0.5wt%未満の場合には高い保磁力を得ることができない。一方で、Bが4.5wt%を超えると残留磁束密度が低下する傾向がある。したがって、Bの上限を4.5wt%とする。望ましいBの量は0.5〜1.5wt%、さらに望ましいBの量は0.8〜1.2wt%である。
本発明が適用されるR−Fe−B系焼結磁石は、Coを5.0wt%以下(0を含まず)、望ましくは0.1〜3.0wt%含有することができる。CoはFeと同様の相を形成するが、キュリー温度の向上、粒界相の耐食性向上などに効果がある。
本発明が適用されるR−Fe−B系焼結磁石は、他の元素の含有を許容する。例えば、Al、Cu、Zr、Ti、Bi、Sn、Ga、Nb、Ta、Si、V、Ag、Ge等の元素を適宜含有させることができる。一方で、酸素、窒素、炭素等の不純物元素を極力低減することが望ましい。特に磁気特性を害する酸素は、その量を8000ppm以下、さらには5000ppm以下とすることが望ましい。酸素量が多いと非磁性成分である希土類酸化物相が増大して、磁気特性を低下させるからである。
本発明は、以上のR−Fe−B系焼結磁石に限らず、Sm−Co系等の他の希土類焼結磁石に適用することができることはいうまでもない。
水素粉砕された原料合金に潤滑剤としてオレイン酸アミドを0.1wt%加え、ジェットミルを用いて粉砕した。なお、原料合金の組成は、31wt%Nd−0.2wt%Al−0.5wt%Co−0.07wt%Cu−1.0wt%B−残部Feである。粉砕粉を磁界中で配向成形し(磁界:1200kA/m、加圧力:150MPa)、幅40mm、長さ70mm、厚さ10mmの成形体を作製した。
得られた成形体9個を、表面粗度Raが0.06μmであるステンレス鋼製箔で内面及び外面を覆った焼結容器本体に収容した状態で、真空中で焼結を行った。焼結容器本体は、マトリックス強化型のNi基超合金ハステロイ(商品名)から構成され、その外表面の表面粗度Raは1.11μmである。なお、成形体は3列×3列に整列して焼結容器内に収容した。また、焼結は、400℃まで80℃/分の速度で昇温し、その後1.5時間保持し、さらに1030℃まで80℃/分の速度で昇温して4時間保持するという図1に示すパターンで行った。なお、潤滑剤を除去するために、400℃において1.5時間保持している。
9個の成形体の内、焼結容器の最外周に置かれた成形体の潤滑剤除去中の表面(焼結容器の側壁に対向する面)及び裏面の温度と表裏面温度差を図2に示す。
得られた焼結体の幅方向と長さ方向を含む面の長さ方向40mmの長さにおいて中間部のふくらみを図3に示すように測定し、その値を変形量とした。9個の焼結体のうち変形が最大であったものの変形量を表1に示す。
また、上述した焼結容器本体の外表面を研磨加工するとこにより、表面粗度Raを0.05μmとして、以上と同様にして成形体の焼結を行った。得られた9個の焼結体のうち変形が最大であったもの変形量を表1に示す。
比較のため、ステンレス鋼箔で焼結容器本体を覆わない以外は上記と同様にして焼結を行った。焼結容器本体の最外周部に置かれた成形体の表裏面温度と表裏面温度差を図4に、9個の焼結体のうち変形が最大であったものの変形量を表1に示す。
Figure 0004596131
表1に示すように、表面粗度の小さいステンレス鋼製の箔で覆った焼結容器で焼結された焼結体の変形量が小さいことがわかる。
水素粉砕された原料合金にラウリン酸アミドを0.1重量%加えてジェットミル粉砕した粉砕粉を用いて15個の成形体を得た以外は、実施例1と同様にして焼結体を作製した。なお、成形体は5列×3列に整列して焼結容器内に収容した。得られた焼結体について、実施例1と同様に変形量を測定した。その結果を表2に示す。
Figure 0004596131
表2に示すように、表面粗度の小さいステンレス鋼製の箔で覆った焼結容器で焼結された焼結体の変形量が小さいことがわかる。
実施例1で用いた焼結容器本体の外表面にY23からなるコーティング層を蒸着により形成した。コーティング層の表面粗度Raが0.1μm、1.25μmとなるようにコーティング層を加工することにより、2つの焼結容器を作製した。以上の焼結容器を用いた以外は、実施例1と同様にして15個の成形体を焼結した。各々の焼結容器で得られた焼結体について、実施例1と同様に変形量を測定した。15個の焼結体のうち変形が最大であったものの変形量を表3に示す。
Figure 0004596131
表3に示すように、表面粗度の小さいコーティング層を備えた焼結容器で焼結された焼結体の最大変形量が小さいことがわかる。
焼結工程の温度プロファイルを示す図である。 本発明による焼結容器内の端部に置かれた成形体の潤滑剤除去中の表面及び裏面の温度と表裏面温度差を示すグラフである。 実施例における焼結体変形量の測定方法を示す図である。 比較例による焼結容器内の端部に置かれた成形体の潤滑剤除去中の表面及び裏面の温度と表裏面温度差を示すグラフである。 焼結容器内に成形体を置いた状態を示す図である。 図5のA−A矢視断面図である。
符号の説明
10…焼結容器、11…トレー、12…蓋、11a…底床、11b…側壁、G…成形体

Claims (10)

  1. 希土類焼結磁石の製造方法であって、
    所定組成の金属粉末を磁場中にて加圧成形して成形体を得る工程と、
    その外表面の50%以上の領域が1.0μm以下の表面粗度Raを有する焼結容器内に前記成形体を収容した状態で焼結する工程と、
    を備え、
    前記焼結容器は、底床と前記底床から立設する側壁とを備えたトレーと、蓋とから構成され、前記蓋を前記トレーにかぶせた状態で前記成形体を収容することを特徴とする希土類焼結磁石の製造方法。
  2. 前記焼結容器自体の外表面の50%以上の領域が1.0μm以下の表面粗度Raを有することを特徴とする請求項1に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
  3. 前記焼結容器は、焼結容器本体と、前記焼結容器本体の周囲に形成されたコーティング層とを備え、前記コーティング層の外表面の50%以上の領域が1.0μm以下の表面粗度Raを有することを特徴とする請求項1に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
  4. 前記焼結容器は、焼結容器本体と、前記焼結容器本体の周囲を覆う被覆体とを備え、前記被覆体の外表面の50%以上の領域が1.0μm以下の表面粗度Raを有することを特徴とする請求項1に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
  5. 前記表面粗度Raが0.5μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の希土類焼結磁石の製造方法。
  6. 所定組成の金属粉末からなる加圧成形体を収容した状態で焼結する焼結容器であって、
    前記焼結容器は、底床と前記底床から立設する側壁とを備えたトレーと、蓋とから構成され、前記蓋を前記トレーにかぶせた状態で前記成形体を収容し、
    前記焼結容器の外表面の50%以上の領域が1.0μm以下の表面粗度Raを有することを特徴とする焼結容器。
  7. 前記焼結容器自体の外表面の50%以上の領域が1.0μm以下の表面粗度Raを有することを特徴とする請求項6に記載の焼結容器。
  8. 前記焼結容器は、焼結容器本体と、前記焼結容器本体の周囲に形成されたコーティング層とを備え、前記コーティング層の外表面の50%以上の領域が1.0μm以下の表面粗度Raを有することを特徴とする請求項6に記載の焼結容器。
  9. 前記焼結容器は、焼結容器本体と、前記焼結容器本体の周囲を覆う被覆体とを備え、前記被覆体の外表面の50%以上の領域が1.0μm以下の表面粗度Raを有することを特徴とする請求項6に記載の焼結容器。
  10. 前記表面粗度Raが0.1μm以下であることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の焼結容器。
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