JP2007239032A - 焼結容器、希土類磁石の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】成形体の焼結工程中における変形を抑制することのできる焼結容器及び希土類磁石の製造方法の提供を課題とする。
【解決手段】希土類磁石の焼結に用いられる焼結容器10であって、底床部11a及び底床部11aの周縁から立設する側壁11bを有して上方に開口する収容領域を有し、所定組成の合金粉末からなる複数の成形体を収容する容器本体11と、容器本体11の開口を着脱自在に塞ぐ蓋体12と、を備え、容器本体11は、その底床部11aから立設する仕切り11cを備えることを特徴とする焼結容器10。
【選択図】図2
【解決手段】希土類磁石の焼結に用いられる焼結容器10であって、底床部11a及び底床部11aの周縁から立設する側壁11bを有して上方に開口する収容領域を有し、所定組成の合金粉末からなる複数の成形体を収容する容器本体11と、容器本体11の開口を着脱自在に塞ぐ蓋体12と、を備え、容器本体11は、その底床部11aから立設する仕切り11cを備えることを特徴とする焼結容器10。
【選択図】図2
Description
本発明は、希土類磁石の焼結工程で用いる焼結容器、および希土類磁石の製造方法に関する。
希土類磁石の1種として知られているR−Fe−B系焼結磁石は、種々の永久磁石の中で最も高い磁気エネルギー積を示し、価格も比較的安いため、各種電子機器へ積極的に採用されている。ここで、Rは希土類元素の1種又は2種以上、Bはホウ素である。
希土類磁石は、希土類合金を粉砕して得た合金粉末を磁界中で加圧成形することによって成形体を作製し、この成形体を焼結炉において所定温度に所定時間保持することによって作製されている。しかし、焼結炉内に成形体を暴露した状態で焼結すると、炉内の酸素や水蒸気などの不純物ガスと成形体とが接触する。例えば、R−Fe−B系焼結磁石に含まれるNdなどの希土類元素が酸化すると、磁石の特性は大きく劣化する。したがって、密閉型の焼結容器内に収納された状態で焼結が施されている。
希土類磁石は、希土類合金を粉砕して得た合金粉末を磁界中で加圧成形することによって成形体を作製し、この成形体を焼結炉において所定温度に所定時間保持することによって作製されている。しかし、焼結炉内に成形体を暴露した状態で焼結すると、炉内の酸素や水蒸気などの不純物ガスと成形体とが接触する。例えば、R−Fe−B系焼結磁石に含まれるNdなどの希土類元素が酸化すると、磁石の特性は大きく劣化する。したがって、密閉型の焼結容器内に収納された状態で焼結が施されている。
成形体を焼結する際には、成形体を形成するときに用いるワックス(潤滑剤)を除去するため、一定条件下での熱処理が行われる(いわゆる脱ワックス処理)。この熱処理の際、成形体からワックスに含まれる炭素が放出され、この炭素が希土類金属と反応して炭化物を生成し、これが焼結体の変形やクラック等の原因となることが知られている。
特許文献1(特開平11−354362号公報)は、焼結容器について新規な提案を行っている。つまり、特許文献1は、焼結容器の外表面に、輻射率が高く、蒸気圧が低く標準生成自由エネルギーが小さく安定した酸化物、炭化物あるいは窒化物セラミックス材料をコーティングすることにより、焼結工程の短縮を図ることを可能としている。
また、特許文献2(特開2002−20803号公報)は、磁石用合金粉末を加圧成形して得られた成形体の収納を容易に行え、成形体の収納作業の自動化に適した焼結容器、この焼結容器を用いて希土類磁石を製造する方法、さらに成形体を上記の焼結容器内に自動的に収納する装置を提供する。
また、特許文献2(特開2002−20803号公報)は、磁石用合金粉末を加圧成形して得られた成形体の収納を容易に行え、成形体の収納作業の自動化に適した焼結容器、この焼結容器を用いて希土類磁石を製造する方法、さらに成形体を上記の焼結容器内に自動的に収納する装置を提供する。
図8及び図9は、焼結容器20内に成形体Gを置いた状態を示す図で、図8はその平面図、図9は図8のA−A矢視断面図である。焼結容器20は、底部21aと底部21aから立設する側壁21bとを備えた容器本体21と蓋22とから構成されている。なお、図9は蓋22を取り除いた状態を示している。成形体Gの断面形状によっては、成形体Gを図9に示すように縦置きにした状態で焼結を行う場合がある。なお、縦置きか否かは重心の位置によって判断することができる。同一物について、重心が相対的に高い状態で置かれている場合を縦置きといい、逆に重心が相対的に低い状態で置かれている場合を横置きということができる。成形体Gを縦置きにした状態で焼結を行うと、図9に示すように、焼結後に成形体(焼結体)Gの上端部が垂れる変形を起すことがあった。この変形は、焼結容器20の特定の部位に置かれた成形体Gに生じやすい。すなわち、図9に示すように、焼結容器20内に成形体Gを整列して置いているが、点線で囲まれている最外周に置かれた成形体Gに生じる変形が大きくなりやすい。
変形の生じた成形体(焼結体)Gは、変形の程度が大きいと製品として扱うことができず、歩留まりを低下させる。また、変形の程度が小さい場合には表面を加工することにより製品として扱うことができるが、加工能力の低下や加工工数の増加によって製品コストを上昇させる。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、成形体の焼結工程中における変形を抑制することのできる焼結容器及び希土類磁石の製造方法の提供を課題とする。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、成形体の焼結工程中における変形を抑制することのできる焼結容器及び希土類磁石の製造方法の提供を課題とする。
前述した特許文献1には、焼結容器20を用いることによって焼結容器20内に置かれた成形体Gを均一に加熱することができる旨開示している。しかし、金属製の焼結容器20は一般的に、焼結炉材からの熱輻射を吸収しやすく、焼結炉材に面した焼結容器20の側壁21bの温度が上昇しやすい。つまり、焼結工程中の昇温過程において、焼結容器20の最外周に置かれた成形体Gのしかも焼結容器20の側壁21bに対向する側面aが最も加熱温度が高くなる。このために、焼結容器20の側壁21b近傍に置かれた成形体Gは、特に焼結工程の初期に他の成形体Gと対比して不均一に加熱され、焼結変形の原因になるものと解される。このため、特許文献1のように輻射率の大きい材料で焼結容器20をコーティングすると、焼結変形を助長することになる。
ところで、焼結炉で用いるヒータで発生した熱は輻射で焼結容器に伝わり、焼結容器の熱伝導と輻射により成形体に伝わる。焼結容器に使用されるモリブデンなどの金属やカーボン部材は熱伝導度が高いため、焼結容器側壁の均熱度は高くなっている。そのため焼結容器側壁近傍の成形体は、直接焼結容器から熱が伝達し温度上昇が早い。しかしながら、周囲に成形体が配置されていると周囲の成形体が温度上昇しないと熱が伝わらず、温度上昇に時間がかかってしまう。これが焼結容器内の不均一な加熱の原因と解される。
そこで本発明者等は、焼結容器中心に位置する成形体に対しても焼結容器から熱が直接伝わる構造にすることが有効であろうと考え、焼結容器内に熱伝導度の高い金属で仕切りを形成したところ、焼結体の変形を低減できることを確認した。
本発明は以上の検討結果に基づくものであり、希土類磁石の焼結に用いられる焼結容器であって、底部及び底部の周縁から立設する側壁を有して上方に開口する収容領域を有し、所定組成の合金粉末からなる複数の成形体を収容する容器本体と、容器本体の開口を着脱自在に塞ぐ蓋体と、を備え、容器本体は、その底部から立設する仕切りを備えることを特徴とする。
本発明の焼結容器において、仕切りは、収容領域を平面方向に貫通する単数又は複数の板体から構成することが好ましい。
本発明は以上の検討結果に基づくものであり、希土類磁石の焼結に用いられる焼結容器であって、底部及び底部の周縁から立設する側壁を有して上方に開口する収容領域を有し、所定組成の合金粉末からなる複数の成形体を収容する容器本体と、容器本体の開口を着脱自在に塞ぐ蓋体と、を備え、容器本体は、その底部から立設する仕切りを備えることを特徴とする。
本発明の焼結容器において、仕切りは、収容領域を平面方向に貫通する単数又は複数の板体から構成することが好ましい。
本発明は、以上の焼結容器を用いた希土類磁石の製造方法を提供する。すなわち本発明は、所定組成の合金粉末からなる成形体を焼結することで希土類磁石を得る希土類磁石の製造方法であって、底部及び底部の周縁から立設する側壁を有して上方に開口する収容領域を有し、底部から立設する仕切りを備えた焼結容器内に複数の成形体を収容する工程と、焼結容器に収めた成形体を加熱し、成形体に含まれるワックスを除去する工程と、焼結容器に収めた成形体を焼結する工程と、を備えることを特徴とする。
本発明の希土類磁石の製造方法において、複数の成形体を収容領域に格子状に整列して収容し、成形体同士の所定の間隙毎に仕切りが位置することとすればよい。この場合、側壁及び仕切りに面する成形体の数の比率が75%以上であることが、変形量低減のために有効である。側壁及び仕切りに面する成形体の数の比率を上げるには、成形体における投影面積が他の面よりも小さい面に仕切りを面するようにすればよい。
本発明の希土類磁石の製造方法において、複数の成形体を収容領域に格子状に整列して収容し、成形体同士の所定の間隙毎に仕切りが位置することとすればよい。この場合、側壁及び仕切りに面する成形体の数の比率が75%以上であることが、変形量低減のために有効である。側壁及び仕切りに面する成形体の数の比率を上げるには、成形体における投影面積が他の面よりも小さい面に仕切りを面するようにすればよい。
本発明によれば、焼結容器内に収められた複数の成形体に対して加熱を均一にすることができる。これによって、成形体を焼結したときに、炭素や不純物との反応による成形体(成形体を焼結することで得られる焼結体)の変形を抑制することができ、歩留まりを向上させることが可能となる。
以下、本発明を適用したR−Fe−B系焼結磁石の製造方法について説明する。
R−Fe−B系焼結磁石は、通常、原料合金作製、原料合金の粉砕、粉砕された粉末の磁場中成形、成形体の焼結という基本的な工程を経て作製される。
R−Fe−B系焼結磁石は、通常、原料合金作製、原料合金の粉砕、粉砕された粉末の磁場中成形、成形体の焼結という基本的な工程を経て作製される。
原料合金は、真空又は不活性ガス、望ましくはAr雰囲気中でストリップキャスト法、その他公知の溶解法により作製することができる。ストリップキャスト法は、原料金属をArガス雰囲気などの非酸化性雰囲気中で溶解して得た溶湯を回転するロールの表面に噴出させる。ロールで急冷された溶湯は、薄板または薄片(鱗片)状に急冷凝固される。この急冷凝固された合金は、結晶粒径が1〜50μmの均質な組織を有している。原料合金は、ストリップキャスト法に限らず、高周波誘導溶解等の溶解法によって得ることができる。
原料合金は粉砕工程に供される。粉砕工程には、粗粉砕工程と微粉砕工程とがある。まず、原料合金を、粒径数百μm程度になるまで粗粉砕する。粗粉砕は、スタンプミル、ジョークラッシャー、ブラウンミル等を用い、不活性ガス雰囲気中にて行うことが望ましい。粗粉砕に先立って、原料合金に水素を吸蔵させた後に放出させることにより粉砕を行うことが効果的である。この水素粉砕を粗粉砕と位置付けて、機械的な粗粉砕を省略することもできる。
粗粉砕工程後、微粉砕工程に移る。微粉砕には主にジェットミルが用いられ、粒径数百μm程度の粗粉砕粉末を、平均粒径2.5〜6μm、好ましくは3〜5μmとする。ジェットミルは、高圧の不活性ガスを狭いノズルより開放して高速のガス流を発生させ、この高速のガス流により粗粉砕粉末を加速し、粗粉砕粉末同士の衝突やターゲットあるいは容器壁との衝突を発生させて粉砕する方法である。
微粉砕前後又はその両方にて、有機物を構成要素とするワックスを0.01〜0.5wt%程度添加することにより、次の磁場中成形時に配向性の高い微粉を得ることができる。また、微粉砕前にワックスを添加した場合には、微粉砕工程において所望の粒径の微粉末を効率よく製造することができる。このワックスとしては、脂肪酸又は脂肪酸の誘導体、例えばステアリン酸系やオレイン酸系であるステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等を用いることができる。
微粉砕前後又はその両方にて、有機物を構成要素とするワックスを0.01〜0.5wt%程度添加することにより、次の磁場中成形時に配向性の高い微粉を得ることができる。また、微粉砕前にワックスを添加した場合には、微粉砕工程において所望の粒径の微粉末を効率よく製造することができる。このワックスとしては、脂肪酸又は脂肪酸の誘導体、例えばステアリン酸系やオレイン酸系であるステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等を用いることができる。
以上のようにして得られた微粉末は磁場中成形に供される。この磁場中成形は、800〜1360kA/m(10〜17kOe)の磁場中で、50〜200MPa(0.5〜2ton/cm2)前後の圧力で行えばよい。
以上で得られた成形体は、次いで焼結工程に供される。
焼結工程は、その昇温過程においてワックス除去の熱処理(以下、これを脱ワックス処理と称することとする。)を行うことになる。つまり、焼結温度までの昇温過程において、所定温度に所定時間保持することによりワックスを除去することができる。この所定温度は、100〜600℃とすることが望ましい。100℃未満ではワックス除去の効果を十分得ることができないためであり、一方、600℃を超えると効果が飽和するためである。ここで、100〜600℃の温度範囲に保持する、とは当該温度範囲の一定温度に成形体を保持する場合に限らず、所定時間だけ当該温度範囲のいずれかの温度に成形体が加熱されていればよい。
焼結工程は、その昇温過程においてワックス除去の熱処理(以下、これを脱ワックス処理と称することとする。)を行うことになる。つまり、焼結温度までの昇温過程において、所定温度に所定時間保持することによりワックスを除去することができる。この所定温度は、100〜600℃とすることが望ましい。100℃未満ではワックス除去の効果を十分得ることができないためであり、一方、600℃を超えると効果が飽和するためである。ここで、100〜600℃の温度範囲に保持する、とは当該温度範囲の一定温度に成形体を保持する場合に限らず、所定時間だけ当該温度範囲のいずれかの温度に成形体が加熱されていればよい。
ワックス除去のための保持時間は、短いとワックス除去の効果が不十分であり、一方保持時間が長すぎてもワックス除去の効果が飽和してしまう。したがって、加熱処理の保持時間は、0.5〜10時間とすることが望ましく、さらには1〜3時間とすることが望ましい。
脱ワックス処理は、真空又は不活性ガス雰囲気にて行うことができる。不活性ガスとしては、Arガス、H2ガス、Heガスを用いることができる。
以上の脱ワックス処理が施された成形体は、焼結温度まで昇温される。焼結は、真空又は不活性ガス雰囲気中、望ましくは真空中で行われる。焼結条件は、組成、粉砕方法、平均粒径と粒度分布の違い等、諸条件により調整する必要があるが、1000〜1100℃の温度で1〜10時間程度保持すれば緻密な焼結体を得ることができる。
本発明は、この焼結工程で成形体を収容する焼結容器に特徴を有している。以下、この焼結容器について説明する。
図1は、焼結容器10を用いて焼結を行っている様子を示す図である。図1に示すように、焼結炉1には、例えば加熱ヒータ3が配設されており、この加熱ヒータ3により焼結容器10内に置かれた成形体を焼結温度まで加熱する。焼結容器10は、焼結炉1内に配設された架台4に載置された状態で焼結に供される。
図1は、焼結容器10を用いて焼結を行っている様子を示す図である。図1に示すように、焼結炉1には、例えば加熱ヒータ3が配設されており、この加熱ヒータ3により焼結容器10内に置かれた成形体を焼結温度まで加熱する。焼結容器10は、焼結炉1内に配設された架台4に載置された状態で焼結に供される。
図2は、焼結容器10の構成を示す図である。
この図2に示すように、焼結容器10は、有底状で上方に開口した容器本体11と、この容器本体11の開口を塞ぐ蓋12とから構成されている。
この図2に示すように、焼結容器10は、有底状で上方に開口した容器本体11と、この容器本体11の開口を塞ぐ蓋12とから構成されている。
容器本体11は、底床部11aと、底床部11aの周縁から立設する側壁11bとを有している。容器本体11内には、所定数の仕切り11cが整列して配置されている。この仕切り11cは、その底部が容器本体11の底床部11aと接触しており、容器本体11が受けた熱は底床部11aから仕切り11cへ伝導する。
蓋12は容器本体11に対して着脱自在にセットできるようになっている。蓋12は、例えば断面略コ字状をなし、容器本体11にセットした状態で、蓋12は、支持部12b、12bを例えば架台4上に接地させることで、上面部12aが容器本体11の上端と所定寸法の間隙を隔てた状態で対向するようになっている。
これら容器本体11(仕切り11cも含む)及び蓋12は、ステンレス鋼、モリブデン、カーボン等を用いて形成することができる。特に、容器本体11内の昇温を均一に行うためには、熱伝導性の良好な材料から構成することが好ましい。もちろん、焼結に伴う昇温に耐える耐熱性を有することが必要である。その観点からは、モリブデンが好ましい。
さて、図3には容器本体11に複数の成形体Gを配置した例を示している。複数の仕切り11cで仕切られた領域に成形体Gは配置される。後述する実施例から明らかなように、仕切り11cに面する成形体Gの数が多いほど焼結後の変形量は小さくなる。また、1つの成形体Gについてみると、1つの成形体Gが仕切り11cと面する数が多いほど焼結後の変形量は小さくなる。したがって、容器本体11への成形体Gの配置作業の効率を著しく害さない範囲で、仕切り11cの数を多くすることが焼結体の変形防止のために好ましい。
仕切り11cの数を少なくして、焼結体の変形量を小さくするためには、図4に示すように仕切り11cを容器本体11内に配置すればよい。つまり、図3は成形体Gの面積が大きい面に対向して仕切り11cを配置したが、図4のように成形体Gの面積が小さい面に対向して仕切り11cを配置すれば、1つの仕切り11cに対向する成形体Gの数が多くなる。図3、図4では、成形体Gの間の間隙毎に仕切り11cを設けたが、所定の間隙毎に仕切り11cを設けることもできる。
以上の例では仕切り11cを中実な板から構成しているが、本発明はこれに限定されない。仕切り11cの目的は容器本体11が有する熱を成形体Gに伝達することであり、この目的を達成することができるものであればその形態は問われない。例えば、金属製の網、パンチングメタルのように通気性のある部材を用いて仕切り11cを構成することもできる。脱ワックス処理の過程では、成形体Gから排出されるワックスが容器本体11内を容易に移動することが好ましいため、通気性のある部材を用いることが有効である。その観点からすると、図2〜図4の例では、仕切り11cが容器本体11内を貫通して配置されているが、間欠的に仕切りを設けることもできる。この一形態として、棒状の部材を所定間隔隔てて直線状に配置しても本発明の効果を得ることができる。また、仕切り11cの高さは任意であり、図2に示すように容器本体11の側壁11bと同等の高さに限るものではない。高さが低くても、容器本体11からの熱伝導が達成されれば良い。さらに、以上の例では仕切り11cを容器本体11に設けているが、蓋12の側に仕切りを設けることもできるし、容器本体11及び蓋12の両者に設けることもできる。
本発明はR−Fe−B(Rは希土類元素の1種又は2種以上)で示される焼結磁石について適用することができる。
R−Fe−B系焼結磁石は、希土類元素(R)を25〜37wt%含有する。ここで、RはYを含む概念を有しており、したがってY、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuの1種又は2種以上から選択される。Rの量が25wt%未満であると、R−Fe−B系焼結磁石の主相となるR2Fe14B相の生成が十分ではなく軟磁性を持つα−Feなどが析出し、保磁力が著しく低下する。一方、Rが37wt%を超えると主相であるR2Fe14B相の体積比率が低下し、残留磁束密度が低下する。またRが酸素と反応し、含有する酸素量が増え、これに伴い保磁力発生に有効なRリッチ相が減少し、保磁力の低下を招く。したがって、Rの量は25〜37wt%とする。望ましいRの量は28〜35wt%である。
R−Fe−B系焼結磁石は、希土類元素(R)を25〜37wt%含有する。ここで、RはYを含む概念を有しており、したがってY、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuの1種又は2種以上から選択される。Rの量が25wt%未満であると、R−Fe−B系焼結磁石の主相となるR2Fe14B相の生成が十分ではなく軟磁性を持つα−Feなどが析出し、保磁力が著しく低下する。一方、Rが37wt%を超えると主相であるR2Fe14B相の体積比率が低下し、残留磁束密度が低下する。またRが酸素と反応し、含有する酸素量が増え、これに伴い保磁力発生に有効なRリッチ相が減少し、保磁力の低下を招く。したがって、Rの量は25〜37wt%とする。望ましいRの量は28〜35wt%である。
また、本発明が適用されるR−Fe−B系焼結磁石は、ホウ素(B)を0.5〜4.5wt%含有する。Bが0.5wt%未満の場合には高い保磁力を得ることができない。一方で、Bが4.5wt%を超えると残留磁束密度が低下する傾向がある。したがって、Bの上限を4.5wt%とする。望ましいBの量は0.5〜1.5wt%、さらに望ましいBの量は0.8〜1.2wt%である。
本発明が適用されるR−Fe−B系焼結磁石は、Coを5.0wt%以下(0を含まず)、望ましくは0.1〜3.0wt%含有することができる。CoはFeと同様の相を形成するが、キュリー温度の向上、粒界相の耐食性向上などに効果がある。
本発明が適用されるR−Fe−B系焼結磁石は、Coを5.0wt%以下(0を含まず)、望ましくは0.1〜3.0wt%含有することができる。CoはFeと同様の相を形成するが、キュリー温度の向上、粒界相の耐食性向上などに効果がある。
本発明が適用されるR−Fe−B系焼結磁石は、他の元素の含有を許容する。例えば、Al、Cu、Zr、Ti、Bi、Sn、Ga、Nb、Ta、Si、V、Ag、Ge等の元素を適宜含有させることができる。一方で、酸素、窒素、炭素等の不純物元素を極力低減することが望ましい。特に磁気特性を害する酸素は、その量を8000ppm以下、さらには5000ppm以下とすることが望ましい。酸素量が多いと非磁性成分である希土類酸化物相が増大して、磁気特性を低下させるからである。
本発明は、以上のR−Fe−B系焼結磁石に限らず、Sm−Co系等の他の希土類焼結磁石に適用することができることはいうまでもない。
本発明は、以上のR−Fe−B系焼結磁石に限らず、Sm−Co系等の他の希土類焼結磁石に適用することができることはいうまでもない。
水素粉砕された原料合金にワックスとしてオレイン酸アミドを0.1wt%加え、ジェットミルを用いて粉砕した。なお、原料合金の組成は、25wt%Nd−6wt%Pr−0.25wt%Al−0.5wt%Co−0.07wt%Cu−1wt%B−残部Feである。粉砕粉を磁界中で配向成形し(磁界:1200kA/m、加圧力:150MPa)、幅40mm、長さ70mm、厚さ10mmの成形体を作製した。
得られた成形体G(合計64個)を、図5及び図6に示したように、4個×16列に整列して焼結容器10に収容し、真空中で焼結を行った。その際、図5及び図6に示したように仕切り11cを配設した。焼結容器10のサイズは、400(幅)×300(長さ)×100(高さ)mmである。仕切り11cは、モリブデン(熱伝導度:121W/m℃)、圧延鋼板(熱伝導度:48.6W/m℃)、ハステロイ(商品名、熱伝導度:13.4W/m℃)の3種類の材料を用いた。
得られた成形体G(合計64個)を、図5及び図6に示したように、4個×16列に整列して焼結容器10に収容し、真空中で焼結を行った。その際、図5及び図6に示したように仕切り11cを配設した。焼結容器10のサイズは、400(幅)×300(長さ)×100(高さ)mmである。仕切り11cは、モリブデン(熱伝導度:121W/m℃)、圧延鋼板(熱伝導度:48.6W/m℃)、ハステロイ(商品名、熱伝導度:13.4W/m℃)の3種類の材料を用いた。
焼結は、400℃まで80℃/分の速度で昇温し、その後1.5時間保持し、さらに1030℃まで80℃/分の速度で昇温して4時間保持するというパターンで行った。なお、ワックスを除去するために、400℃において1.5時間保持している。
以上のようにして得られた焼結体の幅方向と長さ方向を含む面の長さ方向40mmの長さにおいて中間部のふくらみを図7に示すように測定し、64個の最大値を変形量とした。その結果を表1に示した。なお、表1の番号は図5及び図6の番号に対応している。
仕切り11cの材質に係らず、仕切り11cの数が多いほどで変形が小さくなることがわかる。換言すると、焼結容器10の側壁11b又は仕切り11cに面している成形体数が多いほど変形が小さくなる。表1に、側壁11b又は仕切り11cに面している成形体Gの比率を示しているが、その比率が75%以上、さらには100%とすることが、変形量低減のために好ましい。また、成形体配置が1面のみ側壁11b又は仕切り11bに面しているよりは、2面以上面しているほうが変形は小さくなるといえる。
仕切り11cの材質について言えば、熱伝導度の大きいモリブデンの方が圧延鋼板、ハステロイより変形を小さくできることがわかった。
仕切り11cの材質について言えば、熱伝導度の大きいモリブデンの方が圧延鋼板、ハステロイより変形を小さくできることがわかった。
10…焼結容器、11…容器本体、11c…仕切り、12…蓋、G…成形体(焼結体)
Claims (6)
- 希土類磁石の焼結に用いられる焼結容器であって、
底部及び前記底部の周縁から立設する側壁を有して上方に開口する収容領域を有し、所定組成の合金粉末からなる複数の成形体を収容する容器本体と、
前記容器本体の前記開口を着脱自在に塞ぐ蓋体と、を備え、
前記容器本体は、その底部から立設する仕切りを備えることを特徴とする焼結容器。 - 前記仕切りは、前記収容領域を平面方向に貫通する単数又は複数の板体から構成されることを特徴とする請求項1に記載の焼結容器。
- 所定組成の合金粉末からなる成形体を焼結することで希土類磁石を得る希土類磁石の製造方法であって、
底部及び前記底部の周縁から立設する側壁を有して上方に開口する収容領域を有し、前記底部から立設する仕切りを備えた焼結容器内に複数の前記成形体を収容する工程と、
前記焼結容器に収めた前記成形体を加熱し、前記成形体に含まれるワックスを除去する工程と、
前記焼結容器に収めた前記成形体を焼結する工程と、
を備えることを特徴とする希土類磁石の製造方法。 - 複数の前記成形体を前記収容領域に格子状に整列して収容し、前記成形体同士の所定の間隙毎に前記仕切りが位置することを特徴とする請求項3に記載の希土類磁石の製造方法。
- 前記側壁及び前記仕切りに面する前記成形体の数の比率が75%以上であることを特徴とする請求項3又は4に記載の希土類磁石の製造方法。
- 前記成形体における投影面積が他の面よりも小さい面に前記仕切りが面していることを特徴とする請求項4に記載の希土類磁石の製造方法。
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