JP2008248265A - 希土類焼結磁石の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】焼結容器内の加熱温度を均一にすることにより、焼結体の変形を効果的に抑制する。
【解決手段】焼結容器内10に所定組成の合金粉末からなる複数の成形体Gを配列した状態で焼結する希土類焼結磁石の製造方法であって、焼結容器10は、外側容器11と、外側容器11の内部に配設され、成形体Gを収容する内側容器12と、から構成され、外側容器11と内側容器12との間に第1の熱遮蔽体13を配設し、かつ、内側容器12内であって、複数配列された成形体Gの外周を取り囲む第2の熱遮蔽体14を配設することを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、希土類焼結磁石の製造方法に関し、特に成形体を焼結する工程において得られる焼結体の変形を抑制する方法に関するものである。
希土類焼結磁石の1種として知られているR−Fe−B系焼結磁石は、種々の永久磁石の中で最も高い磁気特性を示し、価格も比較的安いため、各種電子機器へ積極的に採用されている。ここで、Rは希土類元素の1種又は2種以上、Bはホウ素である。希土類焼結磁石は、希土類合金を粉砕して得た合金粉末を磁界中で加圧成形することによって成形体を作製し、この成形体を焼結炉において所定温度に所定時間保持することによって作製されている。焼結炉内に成形体を暴露した状態で焼結すると、炉内の酸素や水蒸気などの不純物ガスと成形体とが接触する。例えば、R−Fe−B系焼結磁石に含まれるNdなどの希土類元素が酸化すると、磁石の特性は大きく劣化する。したがって、成形体を焼結容器内に収納した状態で焼結が施されている。
この焼結容器に関して、種々の提案がなされている(例えば、特許文献1〜特許文献4)。これらの提案は、焼結が終了した際に、得られた焼結体に変形が生ずることを防止することを目的の一つとしている。この焼結体の変形について説明する。
図6、図7は、焼結容器20内に成形体Gを置いた状態を示す図で、図6はその平面図、図7は図6のB−B矢視断面図である。焼結容器20は、底床211と底床211から立設する側壁212とを備えたトレー21と蓋22とから構成されている。なお、図6は蓋22を取り除いた状態を示している。成形体Gの断面形状によっては、成形体Gを図7に示すように縦置きにした状態で焼結を行う場合がある。焼結容器20内により多くの成形体Gを収容するためである。なお、縦置きか否かは重心の位置によって判断することができる。同一物について、重心が相対的に高い状態で置かれている場合を縦置きといい、逆に重心が相対的に低い状態で置かれている場合を横置きということができる。成形体Gを縦置きにした状態で焼結を行うと、図7に示すように、焼結後に成形体(焼結体)Gの上端部が垂れる変形を起すことがあった。この変形は、焼結容器20の特定の部位に置かれた成形体Gに生じる。すなわち、図6に示すように、焼結容器20内に成形体Gを整列して置いているが、点線で囲まれている最外周に置かれた成形体Gに専ら変形が生じるのである。変形の生じた成形体(焼結体)Gは、変形の程度が大きいと製品として扱うことができず、歩留まりを低下させる。また、変形の程度が小さい場合には表面を加工することにより製品として扱うことができるが、加工能力の低下や加工工数の増加によって製品コストを上昇させる。
特開2005−171348号公報 特開2006−249547号公報 特開2006−66827号公報 特開2006−265601号公報
特許文献1は、この焼結工程において変形が生ずるのは、焼結容器内の温度が不均一であることが原因としている。つまり、焼結容器20の最外周の近傍が最も加熱温度が高くなることを特許文献1は述べている。そこで、特許文献1は、焼結容器内の最外周に置かれた成形体と焼結容器の側壁との間に、熱遮蔽体を配設することを提案している。ところが、特許文献1の提案においても、依然として変形が生じている。
そこで本発明は、焼結体の変形をより効果的に抑制することのできる技術を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成するために、焼結容器を、外側容器と、外側容器の内部に配設される内側容器とからなる二重の容器とし、さらに外側容器と内側容器との間、さらに内側容器と最外周に配列されている成形体との間に熱遮蔽体を配設することにより、焼結後の変形を小さくできることを知見し本発明をなすに到った。すなわち本発明は、焼結容器内に所定組成の合金粉末からなる複数の成形体を配列した状態で焼結する希土類焼結磁石の製造方法であって、焼結容器は、外側容器と、外側容器の内部に配設され、成形体を収容する内側容器と、から構成され、外側容器と内側容器との間に第1の熱遮蔽体を配設し、かつ、内側容器内であって、複数配列された成形体の外周を取り囲む第2の熱遮蔽体を配設することを特徴とする希土類焼結磁石の製造方法である。
本発明の希土類焼結磁石の製造方法において、第1の熱遮蔽体及び第2の熱遮蔽体の少なくとも一方が、ゲッター機能を有する熱遮蔽体であることが好ましく、さらに、第1の熱遮蔽体がゲッター機能を有する熱遮蔽体であることが好ましい。
また、本発明の希土類焼結磁石の製造方法において、第1の熱遮蔽体が希土類焼結磁石と実質的に同一の焼結体から構成され、第2の熱遮蔽体がステンレス鋼からなることが好ましい。
本発明によれば、焼結体の変形をより効果的に抑制し、変形が生じても変形量を小さくすることができる。
本発明の希土類焼結磁石の製造方法は、焼結時に用いられる焼結容器に特徴を有する。そこで、まず、この焼結容器について説明する。
図1は、焼結容器10を用いて焼結を行っている様子を示す図である。図1に示すように、焼結炉1には、例えば加熱ヒータ3が配設されており、この加熱ヒータ3により焼結容器10内に置かれた成形体を焼結温度まで加熱する。焼結容器10は、焼結炉1内に配設された架台4に載置された状態で焼結に供される。
図2は成形体(焼結体)Gを置いた焼結容器10の内部を示す平面図、図3は図2のA−A矢視断面図である。
図2及び図3に示すように、焼結容器10は、外側容器11と、外側容器11の内部に配設される内側容器12とから構成される。
外側容器11は、底床111と底床111から立設する側壁112とを備えた箱状のトレー11aと蓋11bとから構成される。蓋11bはトレー11aの上部開口を覆う。ただし、蓋11bは外側容器11を密閉するものではなく、外側容器11の内部と外部とは、通気が可能である。
内側容器12は、底床121と底床121から立設する側壁122とを備えた箱状のトレー12aと蓋12bとから構成される。蓋12bもトレー12aの上部開口を覆うが、内側容器12の内部と外部とは、通気が可能である。なお、図2は、蓋11b、12bを取り除いた状態を示している。
内側容器12の内部には、成形体Gが複数配列されている。成形体Gは、前述した縦置きされて、内側容器12の内部に配列されている。
本実施の形態の焼結容器10は、外側容器11と内側容器12の二重構造としている。二重構造とすることにより、以下説明する効果を奏することができる。
特許文献1にも示されているが、希土類焼結磁石の代表例であるNd−Fe−B系焼結磁石は、その焼結過程で炭素(C)が成形体Gと接触し、かつ反応することを嫌う。これは、CとNdとが反応することにより、焼結に必要なNdが消費されることを回避するためである。このNdが消費された部分は、消費されていない部分と焼結による縮率が異なるため、焼結後の変形の原因となる。このCは焼結工程中に成形体G自身から放出されるCに由来する。成形には乾式成形と湿式成形がある。乾式成形の場合、成形体Gには、成形時の潤滑及び配向性の向上を目的とした脂肪酸又は脂肪酸の誘導体、例えばステアリン酸系やオレイン酸系であるステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等のCを含有する助剤(組成物)が含まれており、助剤の構成元素であるCが焼結の昇温過程で成形体GからC含有ガスとして放出されるのである。また成形時に溶媒や油と混合・スラリー化し、成形する湿式成形では溶媒や油に起因するCが放出される。このCは、焼結工程中に成形体G自身から放出され、その一部は焼結終了後に焼結炉1の内壁などに付着し、残留する。焼結炉1内に残留したCは、焼結のために再度加熱されると焼結炉1の内壁から遊離して、焼結容器10内に侵入することがある。本実施の形態による焼結容器10は二重構造となっているため、Cは外側容器11及び内側容器12を通過しなければ、成形体Gまで到達できない。つまり、本実施の形態によれば、成形体GまでのCの侵入経路上に、外側容器11の他にさらに内側容器12という障壁があるため、遊離したCと成形体Gとが接触する可能性が低い。なお、Nd−Fe−B系焼結磁石については、追って詳述する。
また、Nd−Fe−B系焼結磁石は、焼結過程でNdの一部が気化する。Nd−Fe−B系焼結磁石は、焼結を真空中で行うが、気化したNdは焼結容器10の内部に漂うことが好ましい。成形体GからNdが気化することによりその含有量が少なくなると焼結が円滑に進まなくなるが、焼結容器10内部に気化したNdが漂っていると、成形体GからのNdの気化が進まなくなるからである。本実施の形態による焼結容器10は、二重構造となっている。したがって、気化されたNdは焼結容器10の外に排出されにくくなり、焼結を阻害することがない。
次に、焼結容器10は、外側容器11と内側容器12との間に第1の熱遮蔽体13が配設されている。この例では、第1の熱遮蔽体13は、外側容器11と内側容器12との間に隙間なく配設されている。ただし、隙間がないことは本発明の必須の構成ではない。
また、焼結容器10は、成形体Gと内側容器12の側壁122との間に第2の熱遮蔽体14を配設する。第2の熱遮蔽体14は、成形体Gを取り囲むように配設してある。
第1の熱遮蔽体13及び第2の熱遮蔽体14は、内側容器12の側壁122から最外周に置かれた成形体Gが輻射熱により他の成形体Gよりも優先的に加熱されるのを防止するために配設される。つまり、第1の熱遮蔽体13は外側容器11の側壁112から内側容器12の側壁122が輻射熱を直接照射されるのを阻止する。また、第2の熱遮蔽体14は、内側容器12の側壁122から成形体Gが輻射熱を直接照射されるのを阻止する。こうすることにより、従来の焼結法で最も加熱温度が高くなった最外周に置かれた成形体Gの温度上昇を回避することができる。かくして、焼結工程中において、焼結容器10、より具体的には内側容器12の内部の温度の均一化に寄与する。
外側容器11及び内側容器12を構成する材質は特に限定されず、基本的には、焼結に耐え得る材料で構成されていればよい。セラミックス焼結体、例えばジルコニア(ZrO)セラミックス焼結体、窒化珪素(Si)セラミックス焼結体を用いることができるし、炭素繊維強化炭素複合材で構成することもできる。炭素繊維強化炭素複合材とは、出発材料として炭素繊維不織布を用いて製造されるものであり、炭素繊維不織布に樹脂を含浸させてプリプレグとした後、プリプレグを所定の形状に成形して成形体を得、次に成形体を炭素化及び黒鉛化して得ることができる。また、外側容器11及び内側容器12は、高融点金属で構成することもできる。本発明における高融点金属としては、タングステン(W,融点:3410℃,熱伝導度:174W/(m・℃))、モリブデン(Mo,融点:2620℃,熱伝導度:150W/(m・℃))、レニウム(Re,融点:3100℃,熱伝導度:
47.9W/(m・℃))、これら元素を主成分とする合金を包含する。この中では、価格の点をも考慮すると、モリブデンを用いることが好ましい。
外側容器11及び内側容器12は、同一の材料で構成してもよいし、異種の材料で構成してもよい。
この中で、外側容器11を内側容器12よりも熱伝導度の低い材料で構成すると以下のような効果を奏することができる。焼結炉1内に焼結容器10が置かれた状態で、加熱ヒータ3により加熱された場合、外側容器11の熱伝導度が低いことにより、熱遮蔽のため外側容器11内部への輻射熱が少なくなり、外側容器11の内部の温度差は小さくなる。このことは、外側容器11の内部に配設される内側容器12の内部についても同様に当てはまる。したがって、内側容器12の内部に配設されている各成形体Gの加熱温度はより均一になる。一方で、外側容器11の内部に配設されている内側容器12は熱伝導度が高いため、加熱ヒータ3に面していない側面にも熱が伝達されることにより、内側容器12内部の位置に関係なく加熱される。したがって、外側容器11及び内側容器12ともに熱伝導度が低い材料で構成するよりも、焼結時間を短縮することができる。
以上の効果を得るための好ましい組み合わせとして、外側容器11を炭素繊維強化炭素複合部材から構成し、内側容器12を高融点金属から構成する。炭素繊維強化炭素複合材の熱伝導度は、30W/(m・℃)以下、例えば20W/(m・℃)程度である。したがって、上述した外側容器11としての機能、つまり内部の温度均一化にとって好適である。また、炭素繊維強化炭素複合材は、モリブデン等の金属材料に比べて軽量である。したがって、焼結容器10を外側容器11と内側容器12との二重構造にしても、焼結容器10全体の重量の増加を最小限に抑えることができる。さらに、炭素繊維強化炭素複合材は、従来の焼結容器の一般的な材料であるモリブデンに比べ、1000〜1300℃程度の高温に加熱された場合であっても変形量が小さいという利点もある。そのため、外側容器11に炭素繊維強化炭素複合材を使用した場合には、ハンドリング装置等の機械的手段により焼結容器10(外側容器11)を自動で取り扱うことが容易である。
次に、第1の熱遮蔽体13及び第2の熱遮蔽体14について、より具体的に説明する。
第1の熱遮蔽体13及び第2の熱遮蔽体14は、上述のような熱遮蔽機能を果たすものであれば、材質、サイズ等に何ら制限はない。もちろん、焼結雰囲気に曝されるものであるから、それに耐え得る耐熱性を備えている材料であることが必要である。ただし、焼結過程で焼結に悪影響を与えるガス等を放出するものの使用は避けるべきである。例えば、ステンレス鋼、モリブデン等の溶製の金属材料を第1の熱遮蔽体13及び第2の熱遮蔽体14として用いることができる。また、上述したセラミックス焼結体を第1の熱遮蔽体13及び第2の熱遮蔽体14として用いることもできる。さらに、成形体Gを焼結して得られる希土類焼結磁石と実質的に同一の焼結体を第1の熱遮蔽体13及び第2の熱遮蔽体14として用いることが好ましい。この場合、被焼結体である成形体Gが焼結過程で反応するガス成分と同一のガス成分を捕捉できる可能性が高いからである。ここで、「実質的に同一」とは、化学組成が一致していなくても、組成系として一致している場合を包含する。例えば、R(Nd)−Fe−B系焼結磁石の場合、後述する組成範囲に含まれるものであれば、実質的に同一に包含されるものとする。なお、第1の熱遮蔽体13、第2の熱遮蔽体14という区分は、配設される位置を特定するものであり、材質を区分するものでない。
本実施の形態において、第1の熱遮蔽体13及び第2の熱遮蔽体14のいずれか一方が、ゲッターの機能を有することが好ましい。ここで、ゲッターとは、成形体Gを焼結するに当って不純物となるガス成分を捕捉する部材をいう。たとえば、成形体Gの焼結に嫌われるCを、第1の熱遮蔽体13及び/又は第2の熱遮蔽体14と反応させることができれば、Cが成形体Gと接触するのを防止又は低減できる。ゲッターが捕捉するのは、主にCであるが、Cに限定されず、例えばO、HO、有機物質等の焼結炉1内に存在する不純物となるガス成分を捕捉することも勿論できる。
ゲッター機能を有するためには、焼結温度においてCと反応し、捕捉することが少なくとも必要である。ゲッター機能を有する部材としては、成形体Gを焼結して得られる希土類焼結磁石と実質的に同一の焼結体が最も好ましい。他には、スポンジ状のTi又はTi合金部材を、ゲッター機能を有する第1の熱遮蔽体13及び/又は第2の熱遮蔽体14とすることもできる。
ゲッター機能は第1の熱遮蔽体13が有していることが好ましい。成形体Gの焼結に嫌われるCを、外側容器11と内側容器12との間で捕捉することができれば、Cが内側容器12の内部に侵入するのを阻止できるからである。もちろん、第2の熱遮蔽体14もゲッター機能を有することが好ましい。変形防止の観点からは、第1の熱遮蔽体13及び第2の熱遮蔽体14の両者がゲッター機能を有することが最も好ましい。ただし、ゲッターによるCの捕捉効果は、焼結の回数を重ねると低減する。したがって、ゲッター機能を有する熱遮蔽体は、その効果が得られる使用回数が比較的少ない。
第1の熱遮蔽体13及び第2の熱遮蔽体14は、図2及び図3に示すように枠状に配列されることが最も好ましい。このとき、第1の熱遮蔽体13及び第2の熱遮蔽体14を一体物として構成することができるが、図2及び図3に示したように、複数に分割して作製することもできる。なお、第1の熱遮蔽体13及び/又は第2の熱遮蔽体14を焼結体で構成する場合は、長尺のものを得ることは容易ではない。したがって、焼結体で第1の熱遮蔽体13及び/又は第2の熱遮蔽体14を構成する場合、ブロック状の焼結体を用いることになる。図2及び図3に示す例では、第1の熱遮蔽体13が焼結体で構成され、第2の熱遮蔽体14は溶製の金属材料で構成されることを想定している。
ブロック状の焼結体からなる熱遮蔽体の場合、それを焼結容器10内に所定の個数を配設する作業が必要である。また、ブロック状の焼結体の場合、配設後に転倒しやすい。第1の熱遮蔽体13は、外側容器11と内側容器12との間に配設されるから、転倒の問題は基本的に生じない。これに対して、第2の熱遮蔽体14は、配設後に転倒すると、成形体Gをも転倒させかねない。これらの観点を考慮すると、第2の熱遮蔽体14は、溶製金属材料からなる長尺の第2の熱遮蔽体14とすることが好ましい。第2の熱遮蔽体14の材質はコスト面からはステンレス鋼等が好ましいが、希土類焼結磁石がR−Fe−B系焼結磁石の場合、フェライト系ステンレス鋼あるいはマルテンサイト系ステンレス鋼がより好ましい。例えばJIS SUS403、SUS430等がある。
本発明は希土類焼結磁石、具体的にはR−Fe−B(Rは希土類元素の1種又は2種以上)で示される焼結磁石について適用することができる。
R−Fe−B系焼結磁石は、希土類元素(R)を25〜37wt%含有する。ここで、RはYを含む概念を有しており、したがってY、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuの1種又は2種以上から選択される。Rは、典型的にはNdである。Rの量が25wt%未満であると、R−Fe−B系焼結磁石の主相となるRFe14B相の生成が十分ではなく軟磁性を持つα−Feなどが析出し、保磁力が著しく低下する。一方、Rが37wt%を超えると主相であるRFe14B相の体積比率が低下し、残留磁束密度が低下する。またRが酸素と反応し、含有する酸素量が増え、これに伴い保磁力発生に有効なRリッチ相が減少し、保磁力の低下を招く。したがって、Rの量は25〜37wt%とする。望ましいRの量は28〜35wt%である。
また、本発明が適用されるR−Fe−B系焼結磁石は、ホウ素(B)を0.5〜4.5wt%含有する。Bが0.5wt%未満の場合には高い保磁力を得ることができない。一方で、Bが4.5wt%を超えると残留磁束密度が低下する傾向がある。したがって、Bの上限を4.5wt%とする。望ましいBの量は0.5〜1.5wt%、さらに望ましいBの量は0.8〜1.2wt%である。
本発明が適用されるR−Fe−B系焼結磁石は、Coを5.0wt%以下(0を含まず)、望ましくは0.1〜3.0wt%含有することができる。CoはFeと同様の相を形成するが、キュリー温度の向上、粒界相の耐食性向上などに効果がある。
本発明が適用されるR−Fe−B系焼結磁石は、他の元素の含有を許容する。例えば、Al、Cu、Zr、Ti、Bi、Sn、Ga、Nb、Ta、Si、V、Ag、Ge等の元素を適宜含有させることができる。一方で、酸素、窒素、炭素等の不純物元素を極力低減することが望ましい。本発明は、以上のR−Fe−B系焼結磁石に限らず、Sm−Co系等の他の希土類焼結磁石に適用することができることはいうまでもない。
R−Fe−B系焼結磁石は、通常、原料合金作製、原料合金の粉砕、粉砕された粉末の磁場中成形、成形体の焼結という基本的な工程を経て作製される。
原料合金は、真空又は不活性ガス、望ましくはAr雰囲気中でストリップキャスト法、その他公知の溶解法により作製することができる。ストリップキャスト法は、原料金属をArガス雰囲気などの非酸化性雰囲気中で溶解して得た溶湯を回転するロールの表面に噴出させる。ロールで急冷された溶湯は、薄板または薄片(鱗片)状に急冷凝固される。この急冷凝固された合金は、結晶粒径が1〜50μmの均質な組織を有している。原料合金は、ストリップキャスト法に限らず、高周波誘導溶解等の溶解法によって得ることができる。
原料合金は粉砕工程に供される。粉砕工程には、粗粉砕工程と微粉砕工程とがある。まず、原料合金を、粒径数百μm程度になるまで粗粉砕する。粗粉砕は、スタンプミル、ジョークラッシャー、ブラウンミル等を用い、不活性ガス雰囲気中にて行なうことが望ましい。粗粉砕に先立って、原料合金に水素を吸蔵させた後に放出させることにより粉砕を行なうことが効果的である。この水素粉砕を粗粉砕と位置付けて、機械的な粗粉砕を省略することもできる。
粗粉砕工程後、微粉砕工程に移る。微粉砕には主にジェットミルが用いられ、粒径数百μm程度の粗粉砕粉末を、平均粒径2.5〜6μm、好ましくは3〜5μmとする。ジェットミルは、高圧の不活性ガスを狭いノズルより開放して高速のガス流を発生させ、この高速のガス流により粗粉砕粉末を加速し、粗粉砕粉末同士の衝突やターゲットあるいは容器壁との衝突を発生させて粉砕する方法である。
微粉砕前後又はその両方にて、有機物を構成要素とする潤滑剤を0.01〜0.5wt%程度添加することにより、次の磁場中成形(乾式成形)時に配向性の高い微粉を得ることができる。また、微粉砕前に潤滑剤を添加した場合には、微粉砕工程において所望の粒径の微粉末を効率よく製造することができる。この潤滑剤としては、脂肪酸又は脂肪酸の誘導体、例えばステアリン酸系やオレイン酸系であるステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等を用いることができる。
以上のようにして得られた微粉末は磁場中成形に供される。この磁場中成形は、800〜1360kA/m(10〜17kOe)の磁場中で、50〜200MPa(0.5〜2ton/cm2)前後の圧力で行なえばよい。
以上で得られた成形体は、次いで焼結工程に供される。この焼結工程に、上述した焼結容器10を用いる。
焼結工程は、その昇温過程において脱脂熱処理を行う。脱脂熱処理は、乾式成形に用いられる潤滑剤、湿式成形に用いられる溶媒・油を除去するために行われる。つまり、焼結温度までの昇温過程において、所定温度に所定時間保持することにより潤滑剤や溶媒・油を除去することができる。この所定温度は、100〜600℃とすることが望ましい。100℃未満では脱脂の効果を十分得ることができないためであり、一方、600℃を超えると効果が飽和するためである。ここで、100〜600℃の温度範囲に保持するとは、当該温度範囲の一定温度に成形体を保持する場合に限らず、所定時間だけ当該温度範囲のいずれかの温度に成形体が加熱されていればよい。
脱脂熱処理の保持時間は、短いと脱脂除去の効果が不十分であり、一方保持時間が長すぎても脱脂の効果が飽和してしまう。したがって、加熱処理の保持時間は、0.5〜10時間とすることが望ましく、さらには1〜3時間とすることが望ましい。この潤滑剤が、焼結炉1内におけるC発生源の一つである。
潤滑剤や溶媒・油除去のための脱脂処理は、真空又は不活性ガス雰囲気にて行うことができる。不活性ガスとしては、Arガス、H2ガス、Heガスを用いることができる。以上の脱脂熱処理が施された成形体は、焼結温度まで昇温される。焼結は、真空又は不活性ガス雰囲気中、望ましくは真空中で行われる。焼結条件は、組成、粉砕方法、平均粒径と粒度分布の違い等、諸条件により調整する必要があるが、1000〜1100℃の温度で1〜10時間程度保持すれば緻密な焼結体を得ることができる。
以下本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。
水素粉砕された原料合金に潤滑剤としてオレイン酸アミドを0.1wt%加え、ジェットミルを用いて粉砕した。なお、原料合金の組成は、32wt%Nd−0.25wt%Al−0.5wt%Co−0.07wt%Cu−1.0wt%B−残部Feである。粉砕粉を磁界中で配向成形し(磁界:1200kA/m、加圧力:150MPa)、長さ40mm、高さ60mm、厚さ6mmの直方体状の成形体を作製した。
得られた成形体60個を、表1に示す種々の焼結容器に収容し、真空中で焼結を行った。なお、成形体は4列×15列に配列して焼結容器内に収容した。また、焼結は、400℃まで80℃/分の速度で昇温し、その後1.5時間保持し、さらに1030℃まで8℃/分の速度で昇温して4時間保持するというパターンで行った。なお、潤滑剤を除去するために、400℃において1.5時間保持している。
得られた焼結体の幅方向と長さ方向を含む面の長さ方向40mmの長さにおいて中間部のふくらみを図4に示すように測定し、その値を変形量とした。60個の焼結体のうち変形が最大であったものの変形量を表1に示す。
表1において、焼結容器が「一重」とは、図5に示すように、1つのトレー111及び1つの蓋112からなる焼結容器100を用いて焼結を行ったことを意味する。この場合、トレー111の外側に配置される熱遮蔽体13を第1の熱遮蔽体と表記し、トレー111の内側に配置される熱遮蔽体14を第2の熱遮蔽体と表記する。
また、表1において、焼結容器が「二重」とは、図2及び図3に示すように、外側容器11の中に内側容器12を配置した二重構造の焼結容器10を用いたことを意味する。この場合、外側容器11と内側容器12との間に第1の熱遮蔽体13を配置し、かつ、内側容器12の内部に第2の熱遮蔽体14を配置する。ただし、成形体Gの形状、サイズ、個数は、上記の通りである。
表1において、「SUS」と表記されている第1の熱遮蔽体及び第2の熱遮蔽体は、JIS SUS430から構成されていることを意味する。この場合の第1の熱遮蔽体及び第2の熱遮蔽体のサイズは、焼結容器10の長手方向に沿って配置される方が、長さ270mm、高さ60mm、厚さ10mmであり、焼結容器10の短手方向に沿って配置される方が、長さ210mm、高さ60mm、厚さ10mmである。また、第1の熱遮蔽体及び第2の熱遮蔽体が「焼結体」と表記されているのは、第1の熱遮蔽体及び第2の熱遮蔽体が、上記原料合金の組成と一致する組成の焼結体ブロック(長さ40mm、高さ60mm、厚さ6mm)から構成されていることを意味する。なお、第2の熱遮蔽体14から最外周に置かれた成形体Gまでの距離は、いずれの焼結容器10においても等しく設定した。
Figure 2008248265
表1より以下のことが判る。
(1)熱遮蔽体の条件(材質、数)が同じ場合、焼結容器を二重にすることにより、最大変形量を小さくすることができる。
(2)熱遮蔽体を、第1の熱遮蔽体及び第2の熱遮蔽体と二つ設けることにより、最大変形量を小さくすることができる。
(3)熱遮蔽体としては、「SUS」よりも「焼結体」の方が、最大変形量低減に効果がある。熱遮蔽体としての「焼結体」は、第2の熱遮蔽体として用いるよりも第1の熱遮蔽体に用いることにより、最大変形量低減の効果が大きい。
焼結炉中に焼結容器を配設した様子を示す図である。 本実施の形態における焼結容器中に成形体を置いた様子を示す平面図である。 本実施の形態における焼結容器中に成形体を置いた様子を示す側断面図である。 焼結体の変形量を測定する方法を説明する図である。 一重の焼結容器の例を示す側断面図である。 従来の焼結容器中に成形体を置いた様子を示す平面図である。 従来の焼結容器中に成形体を置いた様子を示す部分側断面図である。
符号の説明
1…焼結炉、10…焼結容器、11…外側容器、12…内側容器、13…第1の熱遮蔽体、14…第2の熱遮蔽体、G…成形体

Claims (4)

  1. 焼結容器内に所定組成の合金粉末からなる複数の成形体を配列した状態で焼結する希土類焼結磁石の製造方法であって、
    前記焼結容器は、外側容器と、前記外側容器の内部に配設され、前記成形体を収容する内側容器と、から構成され、
    前記外側容器と前記内側容器との間に第1の熱遮蔽体を配設し、
    かつ、前記内側容器内であって、複数配列された前記成形体の外周を取り囲む第2の熱遮蔽体を配設することを特徴とする希土類焼結磁石の製造方法。
  2. 前記第1の熱遮蔽体及び前記第2の熱遮蔽体の少なくとも一方が、ゲッター機能を有する熱遮蔽体であることを特徴とする請求項1に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
  3. 前記第1の熱遮蔽体がゲッター機能を有する熱遮蔽体であることを特徴とする請求項2に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
  4. 前記第1の熱遮蔽体が前記希土類焼結磁石と実質的に同一の焼結体から構成され、
    前記第2の熱遮蔽体がステンレス鋼からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の希土類焼結磁石の製造方法。
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CN111872383A (zh) * 2020-06-29 2020-11-03 哈尔滨鼎智瑞光科技有限公司 一种均匀受热的粉末状稀土金属多层烧结装置及烧结方法

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