JP2005171348A - R−tm−b系焼結磁石の製造方法及び焼結方法 - Google Patents

R−tm−b系焼結磁石の製造方法及び焼結方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 縦置きされた成形体の焼結工程中における変形を抑制することのできるR−TM−B系焼結磁石の製造方法を提供する。
【解決手段】 原料組成物を磁場中にて加圧成形して成形体を得る成形工程と、成形体を所定温度にて所定時間保持する焼結工程と、を備え、原料組成物に含まれるC含有組成物に起因するC含有ガスが温度T(ただし、TはC含有ガス放出のピーク温度±20℃)で放出され、放出されたC含有ガス中のCと成形体中に含まれるRとが反応を開始する温度をt(ただし、T<t)とすると、温度Tに加熱された成形体と400℃以上に加熱された成形体の共存を回避するように焼結雰囲気の温度を制御して焼結工程を実行する。
【選択図】図6

Description

本発明は、R−TM−B系焼結磁石の製造方法に関し、特に焼結工程における成形体の変形を抑制する方法に関するものである。
希土類焼結磁石の一種として知られているR−TM−B系焼結磁石は、種々の永久磁石の中で最も高い磁気エネルギー積を示し、価格も比較的安いため、各種電子機器へ積極的に採用されている。ここで、Rは希土類元素の1種又は2種以上、TMはFe又はFe及びCoを必須とする遷移金属元素の1種又は2種以上、Bはホウ素である。
希土類焼結磁石は、希土類合金を粉砕して得た合金粉末を磁界中で加圧成形することによって成形体を作製し、この成形体を焼結炉において所定温度に所定時間保持することによって作製されている。しかし、焼結炉内に成形体を暴露した状態で焼結すると、炉内の酸素や水蒸気などの不純物ガスと成形体とが接触する。例えば、R−TM−B系焼結磁石に含まれるNdなどの希土類元素が酸化すると、磁石の特性は大きく劣化する。したがって、密閉型の焼結容器内に収納された状態で成形体に対して焼結が施されていた。
特許文献1は、この焼結工程に有用な焼結容器を開示している。より詳しくは、特許文献1は、磁石用合金粉末を加圧成形して得られた成形体の収納を容易に行え、成形体の収納作業の自動化に適した焼結容器、この焼結容器を用いて希土類焼結磁石を製造する方法、さらに成形体を上記の焼結容器内に自動的に収納する装置を提供する。
特開2002−20803号公報
図7及び図8は、焼結容器20内に成形体Gを置いた状態を示す図で、図7はその平面図、図8は図7のB−B矢視断面図である。焼結容器20は、底床21aと底床21aから立設する側壁21bとを備えたトレー21と蓋22とから構成されている。なお、図7は蓋22を取り除いた状態を示している。特許文献1に開示されている成形体(磁石)は矩形状の形態を有し、成形体を横置きにした状態で焼結をする例を示している。しかし、成形体Gの断面形状によっては、成形体Gを図8に示すように縦置きにした状態で焼結を行う場合がある。なお、縦置きか横置きかは重心の位置によって判断することができる。同一物について、重心が相対的に高い状態でおかれている場合を縦置きといい、逆に重心が相対的に低い状態で置かれている場合を横置きという。また、その長辺をトレー21の底床21aに対して垂直に置いた場合は縦置きといい、その長辺をトレー21の底床21aに対して水平においた場合は横置きということができる。成形体Gを縦置きにした状態で焼結を行うと、図8に示すように、焼結後に成形体(焼結体)Gの上端部が垂れる変形を起すことがあった。この変形は、焼結容器20の特定の部位に置かれた成形体Gに生じる。図7に示すように、焼結容器20内に成形体Gを整列して置いているが、点線で囲まれている最外周に置かれた成形体Gに変形が生じるのである。そして、その変形の方向は焼結容器20の中心に向かっている。
変形の生じた成形体(焼結体)Gは、変形の程度が大きいと製品として扱うことができず、歩留まりを低下させる。また、変形の程度が小さい場合には表面を加工することにより製品として扱うことができるが、加工能力の低下や加工工数の増加によって製品コストを上昇させる。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、縦置きされた成形体の焼結工程中における変形を抑制することのできるR−TM−B系焼結磁石の製造方法及び焼結方法の提供を課題とする。
成形体Gを縦置きした際に生じる変形の原因は明確にはなっていないが、本発明者等の検討によると以下の通りである。
R−TM−B系焼結磁石は、前述のようにNd、Dy等の活性度の高いRを30wt%程度含んでいる。この活性度の高いRが、焼結工程中に成形体G自身から放出されるC含有ガスと反応する。そのため、成形体Gの緻密化に必要なRが不足する部分が生じてしまい、当該部分が緻密化しにくくなり、変形が生じる。しかし、これだけでは焼結容器20の最外周に置かれた成形体Gのみに変形が生じることの理由付けとはならない。
前述した特許文献1には、焼結容器20を用いることによって焼結容器20内に置かれた成形体Gを均一に加熱することができる旨開示している。本発明者等もそのように考えていたが、焼結容器20の最外周に置かれた成形体Gのみに変形が生じることから、焼結容器20の内部における温度が不均一、特に焼結容器20の最外周とその内側部分とで加熱温度に差異があるものと考えた。そこで、焼結容器20内を加熱、昇温しながら温度分布を測定したところ、昇温過程において焼結容器20の最外周に置かれた成形体Gの温度がその内側に置かれた成形体Gに比べて高いことが確認された。ここで、R−TM−B系焼結磁石は、真空中で焼結されるため、焼結工程中に加わる熱は焼結容器20と接触していない部分については輻射熱のみとなる。図4はある時点における焼結容器20内の温度分布を示しているが、焼結工程中の昇温過程において、焼結容器20の最外周に置かれた成形体Gのしかも焼結容器20の側壁21bに対向する側面a(図8参照)が最も加熱温度が高くなる。
また、変形が生じた成形体(焼結体)Gの表層部のC量を測定したところ、収縮の少ない部分のC量が多く、収縮の多い部分のC量が少ないことを確認した。ここで、収縮の少ない部分とは成形体Gの側面aであり、逆に収縮の多い部分とは側面b(図8参照)である。収縮の多い側面bが本来の緻密化が行われているのに対して、収縮の少ない側面aは緻密化が十分に進行しなかったとみなすことができる。また、収縮量の多い部分のC量は、成形体Gの時に測定したC量以下となっており、一方、収縮量の少ない部分は焼結工程中にC量が増加している。
C量が増加する要因はいくつかあるが、焼結工程中に成形体G自身から放出されるCがその1つといえる。成形体Gには、成形時の潤滑及び配向性の向上を目的とした脂肪酸又は脂肪酸の誘導体、例えばステアリン酸系やオレイン酸系であるステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等のCを含有する助剤(組成物)が含まれており、助剤の構成元素であるCが焼結工程の昇温過程で成形体GからC含有ガスとして放出される。放出されたC含有ガスが成形体Gに含まれるRと反応することによりCとRの化合物が生成され、表層部のC量が増加したものと解される。焼結後においてC量が増加していることから、CとRの化合物は一度生成されると1000℃近傍の焼結温度では分解しない。
ここで、成形体GからC含有ガスが放出される温度と、RとCとが反応する温度は一致していない。したがって、焼結工程中のある時点において焼結容器20の内部に置かれた成形体Gに所定の温度差が生じていれば、特定の成形体GからはC含有ガスが発生している一方、他の成形体Gでは特定の成形体から放出されたC含有ガスと成形体GのRとが反応することになる。図5はこのことを示しており、成形体Gの加熱温度と放出されたC含有ガス放出量の関係を示すグラフである。C含有ガスの放出ピークが230℃近傍にあることがわかる。また、RとCの反応は400℃以上で促進することを確認した。焼結容器20の最外周に置かれた成形体Gの焼結容器20の側壁21bに対向する側面aがRとCとが反応する温度に加熱され、その一方で、内側に置かれた成形体GがC含有ガスの放出される温度に加熱されていると、内側に置かれた成形体GからC含有ガスが放出されつつ焼結容器20の最外周に置かれた成形体Gの側面aにおいてRとCが反応する。したがって、当該成形体Gの側面aは十分な緻密化に必要なRが不足してしまい、変形が発生する。
以上の通りであり、C含有ガスの放出温度に加熱された成形体と、CとRとの反応温度に加熱された成形体が共存しないように焼結雰囲気の温度を制御すれば縦置きした場合の変形を抑制することができるのである。
したがって本発明は、R(Rは希土類元素の1種又は2種以上)、TM(TMはFe又はFe及びCoを必須とする1種又は2種以上の遷移金属元素)及びB(ホウ素)を含むR−TM−B系焼結磁石の製造方法であって、所定組成の合金粉末及びC(炭素)含有組成物を含む原料組成物を磁場中にて加圧成形して成形体を得る成形工程と、成形体を所定温度にて所定時間保持する焼結工程と、を備え、原料組成物に含まれるC含有組成物に起因するC含有ガスが温度T(ただし、TはC含有ガス放出のピーク温度±30℃)で放出され、放出されたC含有ガス中のCと成形体中に含まれるRとが反応を開始する温度をt(ただし、T<t)とすると、温度Tに加熱された成形体と温度t以上に加熱された成形体の共存を回避するように焼結雰囲気の温度を制御して焼結工程を実行することを特徴とするR−TM−B系焼結磁石の製造方法を提供する。
上述したように、助剤を添加した場合には230℃近傍でC含有ガスの放出ピークを示し、かつtはおよそ400℃である。したがって、温度Tに加熱された成形体と温度t以上に加熱された成形体の共存を回避するためには、焼結雰囲気中における全ての成形体の加熱温度が400℃以下の時に、最も温度の低い成形体の加熱温度が250℃以上、望ましくは300℃以上となるように焼結雰囲気の温度を制御する。
また、捉え方を変えると、焼結雰囲気中における全ての成形体の加熱温度がt以下の時に、最も加熱温度の低い成形体の温度が250℃以上にするためには、焼結雰囲気中における全ての成形体の加熱温度差を150℃以下とすればよい。
通常は成形体を焼結容器中に収容した状態で焼結を行うことから、焼結の昇温過程において焼結容器内でTの温度領域とt以上の温度領域とが共存しないようにする必要がある。そこで本発明では、R(Rは希土類元素の1種又は2種以上)、TM(TMはFe又はFe及びCoを必須とする1種又は2種以上の遷移金属元素)及びB(ホウ素)を含むR−TM−B系焼結磁石用原料粉末からなる成形体を、底床と、底床から立設する側壁とを含む容器中に複数配列した状態で加熱保持する焼結方法であって、最外周に配列された成形体と側壁との間に、側壁からの輻射熱の一部又は全部を遮る遮蔽体を配置することを提案する。
前述したように、成形体への加熱は焼結容器からの輻射熱による。この輻射熱が最外周に置かれた成形体に直接輻射されることを防止するために、本発明の焼結方法は遮蔽体を配置する。昇温過程において、遮蔽体は焼結容器からの輻射熱を受けて焼結容器内の他の部分よりも温度が高くなるが、そのおかげで最外周に置かれた成形体の温度が他の位置にある成形体に比べて著しく高くなることはない。つまり、焼結容器内に置かれた成形体の温度差は是正され、焼結の昇温過程において焼結容器内でTの温度領域とt以上の温度領域との共存を回避することができる。
本発明の焼結方法において、遮蔽体は、配列された複数の成形体を取り囲むように配置することが、変形抑制にとって望ましい。
また、遮蔽体としては、焼結工程において、ガス発生量が少ないことやガスが成形体に影響を及ぼさない機能を果たす材質、形状の遮蔽体であればよいが、成形体を焼結して得られる焼結体と実質的に同一の材質を用いることが望ましい。焼結工程中に遮蔽体からC含有ガスが放出されたとしても、それは成形体から発生されるガスと同質であり、焼結に悪影響を与えないからである。
なお、本発明の焼結方法は、成形体が縦置きされている場合に有効である。横置きの場合には、変形発生の虞が少ないからである。
以上説明したように、本発明によれば、成形体を縦置きした場合に焼結工程で生じる変形を抑制することができる。
以下本発明を具体的な実施の形態に基づいて説明する。
本発明が適用されるR−TM−B系焼結磁石の組成は目的に応じ選択すればよいが、磁気特性に優れた磁石を得るためには、焼結後の磁石組成においてR:20〜40wt%、B:0.5〜4.5wt%、TM:残部、となるような配合組成とすることが望ましい。ここで、本発明におけるRはYを含む概念を有しており、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Lu及びYの1種又は2種以上から選択される。Rの量が20wt%未満であると、R−TM−B系焼結磁石の主相となるR2Fe14B相の生成が十分ではなく軟磁性を持つα−Feなどが析出し、保磁力が著しく低下する。一方、Rが40wt%を超えると主相であるR2Fe14B相の体積比率が低下し、残留磁束密度が低下する。またRが酸素と反応し、含有する酸素量が増え、これに伴い保磁力発生に有効なR−リッチ相が減少し、保磁力の低下を招くため、Rの量は20〜40wt%とする。Ndは資源的に豊富で比較的安価であることから、希土類元素Rとしての主成分をNdとすることが好ましい。
また、ホウ素Bが0.5wt%未満の場合には高い保磁力を得ることができない。ただし、ホウ素Bが4.5wt%を超えると残留磁束密度が低下する傾向がある。したがって、上限を4.5wt%とする。望ましいホウ素Bの量は0.5〜1.5wt%である。
さらに、保磁力を改善するために、Mを加えてR−TM−B−M系の希土類永久磁石とすることもできる。ここで、Mとしては、Al、Cr、Mn、Mg、Si、Cu、C、Nb、Sn、W、V、Zr、Ti、Mo、Bi、Ag及びGaなどの元素を1種又は2種以上添加することができる。
R−TM−B系焼結磁石を得るための原料合金は、例えば、ストリップキャスト法により得ることができる。ストリップキャスト法は、原料金属をArガス雰囲気などの非酸化雰囲気中で溶解して得た溶湯を回転するロールの表面に噴出させる。ロールで急冷された溶湯は、薄板または薄片(鱗片)状に急冷凝固される。この急冷凝固された合金は、結晶粒径が1〜50μmの均質な組織を有している。また、急冷凝固された合金は、後の粉砕粉末の粒度分布をシャープにし磁気特性を向上させるために、厚さが0.05〜3mm、Rリッチ相が5μm以下に微細分散した金属組織とすることが望ましい。
粉砕し難い金属間化合物(R2Fe14B)を含む原料合金は、水素吸蔵・脱水素処理を施して解砕を容易にする。
水素吸蔵は、原料合金を常温下で水素含有雰囲気に曝すことにより行うことができる。水素吸蔵反応は発熱反応であるため、温度上昇に伴って吸蔵水素量が低下することを防止するために、反応容器を冷却する等の手段を適用してもよい。
水素吸蔵が終了した後に、水素吸蔵が行われた原料合金を加熱保持する脱水素処理が施される。この処理は、永久磁石として不純物となる水素を減少させることを目的として行われる。加熱保持の温度は、200℃以上、望ましくは350℃以上とする。保持時間は、保持温度との関係、SC合金の厚さ等によって変わるが、少なくとも30分以上、望ましくは1時間以上とする。脱水素処理は、真空中又はArガスフローにて行う。なお、脱水素処理は必須の処理ではない。
水素吸蔵処理(さらには脱水素処理)された原料合金は、気流式粉砕機を用いて平均粒径1〜10μm程度まで微粉砕処理される。この微粉砕処理過程での酸素量増加を抑制するため、気流式粉砕機に用いる非酸化性ガス中に含まれる酸素量を5000ppm以下、望ましくは3000ppm以下とする。
次に、得られた微粉末は磁場中成形に供される。この磁場中成形は、12〜20kOe(960〜1600kA/m)前後の磁場中で、0.3〜3.0t/cm2(30〜300MPa)前後の圧力で行えばよい。
磁場中成形後、その成形体を真空又は非酸化性ガス雰囲気中で焼結する。焼結温度は、組成、粉砕方法、平均粒径と粒度分布の違い等、諸条件により調整する必要があるが、1000〜1100℃で1〜10時間程度焼結すればよい。この焼結工程の温度制御に本発明の特徴があるが、この点については後述する。
焼結後、得られた焼結体に時効処理を施すことができる。この工程は、保磁力を制御する重要な工程である。時効処理を2段に分けて行う場合には、800℃近傍、600℃近傍での所定時間の保持が有効である。800℃近傍での熱処理を焼結後に行うと、保磁力が増大する。また、600℃近傍の熱処理で保磁力が大きく増加するため、時効処理を1段で行う場合には、600℃近傍の時効処理を施すとよい。
焼結体を得た後に、保護膜を形成することが望ましい。R−TM−B系焼結磁石は耐食性が劣るからである。保護膜の形成は、保護膜の種類に応じて公知の手法に従って行えばよい。例えば、電解メッキの場合には、焼結体加工、バレル研磨、脱脂、水洗、酸エッチング、水洗、電解メッキによる成膜、水洗、乾燥という常法を採用することができる。
次に、焼結工程中における焼結温度の制御の内容について図6に基づいて説明する。図6は焼結工程中における保持時間を横軸に、また温度を縦軸にしたグラフである。図6において、400℃以上の温度域がCとRとの反応温度域であり、250℃近傍の帯状の温度領域がC含有ガス放出温度Tである。前述したように、焼結雰囲気内を完全に均一な温度に制御することは困難であるため、焼結過程において各成形体の加熱温度には差が生ずる。最も加熱温度の高い成形体の加熱履歴をmaxとして、また最も加熱温度の低い成形体の加熱履歴をmin1及びmin2として図6中に示している。
いま、最も加熱温度の高い成形体の加熱温度が400℃に達した時点(時間 h3)において、最も加熱温度の低い成形体の加熱履歴がmin1の場合は、加熱温度がC含有ガス放出温度Tを超えている。したがって、焼結雰囲気中に、C含有ガス放出温度Tに加熱された成形体と、CとRとの反応温度に加熱された成形体とは共存しない。しかし、最も加熱温度の低い成形体の加熱履歴がmin2の場合には、時間h3において加熱温度がC含有ガス放出温度Tの範囲にあるから、C含有ガス放出温度Tに加熱された成形体とCとRとの反応温度に加熱された成形体とが共存してしまう。つまり、min1の加熱履歴を境界として、それよりも昇温速度が速い場合にはC含有ガス放出温度Tに加熱された成形体と、CとRとの反応温度に加熱された成形体とは共存することがなく、本発明はこれにしたがって焼結を行うものである。逆に、min1の加熱履歴よりも昇温速度が遅い場合にはC含有ガス放出温度Tに加熱された成形体とCとRとの反応温度に加熱された成形体とが共存することになる。
本発明者等の検討によると、ガス放出のピークは230℃近傍にあった。しかし、このピーク温度の近傍においてもガス放出は相当程度行われている。したがって、本発明におけるC含有ガス放出温度Tは、このピーク温度Tp±30℃としている。また、焼結は通常真空下で行われるが、焼結容器内で放出されるガスは、ある程度の時間は焼結容器内に滞留する。したがって、CとRの反応が生じてしまう。
焼結過程における成形体の温度を以上のような条件にすれば成形体の焼結過程における変形を抑制することができることは以上の通りであるが、焼結容器中でこの制御を実現する具体的な方法について図1〜図3に基づいて以下説明する。
図1は、焼結容器20を用いて焼結を行っている様子を示す図である。図1に示すように、焼結炉1には、加熱ヒータ3が配設されており、この加熱ヒータ3により焼結容器20内に置かれた成形体を焼結温度まで加熱する。焼結容器20は、焼結炉1内に配設された架台4に載置された状態で焼結に供される。
図2は焼結容器20内に成形体(焼結体)Gを置いた状態を示す図、図3は図2のA−A矢視断面図である。
図2及び図3は各々図7及び図8に相当する図であり、図7及び図8と同一部分には同一の符号を付している。以下では図7及び図8との相違点を中心に説明する。
図2及び図3に示すように、本実施の形態においては、成形体Gとトレー21の側壁21bとの間に遮蔽体5を配設している。遮蔽体5は、成形体Gを取り囲むように配設してある。この遮蔽体5は、トレー21の側壁21bからの輻射熱を受けて加熱される。つまりこの遮蔽体5は、図7及び図8で示した従来の焼結法で最も加熱温度が高くなった最外周に置かれた成形体Gの代わりとなるものである。そのために遮蔽体5に取り囲まれた成形体Gの変形が抑制される。
遮蔽体5は上述のような機能を果たすものであれば、材質、サイズ等に何ら制限はない。もちろん、焼結雰囲気に曝されるものであるから、それに耐え得る耐熱性を備えている材料であることが必要である。例えば、ステンレス鋼を遮蔽体5として用いても、変形抑制の効果を得ることができることを確認している。ただし、焼結過程で焼結に悪影響を与えるガス等を放出するものの使用は避けるべきである。この点を考慮すると、成形体Gと実質的に同一の材質を遮蔽体5に用いるのが望ましい。ここで、実質的に同一の材質とは、化学組成が完全に一致することを意味しておらず、R−TM−B系焼結磁石と認められる組成であれば実質的に同一とする。また、遮蔽体5は成形体Gを用いることもできるし、焼結体を用いることもできる。
以下本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。
30.0wt%Nd−2.0wt%Dy−0.5wt%Co−0.2wt%Al−0.08wt%Cu−1.0wt%B−残部Feからなる厚さ500μmの合金をストリップキャスト法により作製した。
得られたストリップキャスト合金に室温で水素を吸蔵させた後に、500℃の温度下で脱水素する水素吸蔵・脱水素処理を行った。
水素吸蔵・脱水素処理がなされた合金をジェットミルで平均粒径が5μmになるまで微粉砕した。なお、微粉砕に先立って、ステアリン酸亜鉛(C含有組成物)を0.1wt%添加した。
微粉砕によって得られた微粉末を、磁場中で所定形状に成形した。なお、印加磁場は1300kA/m、成形圧力は98MPaであり、得られた成形体の重さは120gである。
次に、得られた成形体を、図2、図3に示すように遮蔽体5を配置した焼結容器20に配列して焼結を行った(実施例)。なお、焼結容器20の底床21aの寸法は300×420mmであり、そこに合計80個の成形体Gを配列した。比較例として、遮蔽体5を設けない以外は以上と同様にして焼結を行った。ただし、遮蔽体5が存在しないため10個だけ成形体Gを多く配置することができた。
成形体Gを配列した焼結容器20を図1に示すように焼結炉1中に設置した後に炉内を昇温して真空焼結を行った。焼結条件は、1050℃の温度で4時間保持するというものである。なお、昇温の過程で、焼結容器20の中心部及び最外周に置かれた成形体Gの温度を測定したところ、実施例は400℃における中心部と最外周部の温度差は50℃以下、比較例は400℃における中心部と最外周の温度差は200℃であった。焼結終了後に時効処理(550℃×1時間、900℃×1時間)を施して、R−TM−B系焼結磁石を得た。
焼結後に変形が生じた磁石の個数を数えた。その結果を表1に示す。表1に示すように、遮蔽体5を設けることにより、変形した焼結磁石の個数が大幅に減少し歩留まり向上に寄与することがわかる。
Figure 2005171348
次に、焼結磁石の磁気特性(残留磁束密度(Br)、保磁力(HcJ)、最大エネルギー積((BH)max)及び密度(D)を測定した。測定は、実施例(遮蔽体有)及び比較例(遮蔽体無)ともに、焼結容器20の中心部及び最外周に置かれた5つの焼結磁石について行った。その結果を表2に示すが、実施例及び比較例のいずれにおいても、最外周に置かれた焼結磁石の方が中央部に置かれた焼結磁石に比べて保磁力(HcJ)が低下する。また、遮蔽体5を設けていない比較例は、中央部及び最外周の保磁力(HcJ)の差が大きいことがわかる。
Figure 2005171348
焼結炉中に焼結容器を配設した様子を示す図である。 本実施の形態における焼結容器中に成形体を置いた様子を示す平面図である。 本実施の形態における焼結容器中に成形体を置いた様子を示す断面図である。 焼結容器中の温度分布を示す図である。 焼結温度とC含有ガスの発生との関係を示すグラフである。 本発明の焼結条件を説明するためのグラフである。 従来における焼結容器中に成形体を置いた様子を示す平面図である。 従来における焼結容器中に成形体を置いた様子を示す断面図である。
符号の説明
1…焼結炉、3…加熱ヒータ、4…架台、5…遮蔽体、20…焼結容器、21…トレー、21a…底床、21b…側壁、22…蓋、G…成形体(焼結体)

Claims (7)

  1. R(Rは希土類元素の1種又は2種以上)、TM(TMはFe又はFe及びCoを必須とする1種又は2種以上の遷移金属元素)及びB(ホウ素)を含むR−TM−B系焼結磁石の製造方法であって、
    所定組成の合金粉末及びC(炭素)含有組成物を含む原料組成物を磁場中にて加圧成形して成形体を得る成形工程と、
    前記成形体を所定温度にて所定時間保持する焼結工程と、を備え、
    前記原料組成物に含まれる前記C含有組成物に起因するC含有ガスが温度T(ただし、TはC含有ガス放出のピーク温度±30℃)で放出され、放出された前記C含有ガス中のCと前記成形体中に含まれるRとが反応を開始する温度をt(ただし、T<t)とすると、
    前記温度Tに加熱された成形体と前記温度t以上に加熱された成形体の共存を回避するように焼結雰囲気の温度を制御して前記焼結工程を実行することを特徴とするR−TM−B系焼結磁石の製造方法。
  2. 前記温度Tに加熱された前記成形体と前記温度t以上に加熱された前記成形体の共存を回避するために、焼結中における全ての前記成形体の加熱温度が400℃以下の時に、最も加熱温度の低い前記成形体の温度を250℃以上に制御することを特徴とする請求項1に記載のR−TM−B系焼結磁石の製造方法。
  3. 前記温度t以下の温度範囲において、焼結中における全ての前記成形体の加熱温度差を150℃以下に制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のR−TM−B系焼結磁石の製造方法。
  4. R(Rは希土類元素の1種又は2種以上)、TM(TMはFe又はFe及びCoを必須とする1種又は2種以上の遷移金属元素)及びB(ホウ素)を含むR−TM−B系焼結磁石用原料粉末からなる成形体を、底床と、前記底床から立設する側壁とを含む容器中に複数配列した状態で加熱保持する焼結方法であって、
    最外周に置かれた前記成形体と前記側壁との間に、前記側壁からの輻射熱の一部又は全部を遮る遮蔽体を配置することを特徴とするR−TM−B系焼結磁石の焼結方法。
  5. 前記遮蔽体は、置かれた複数の前記成形体を取り囲むように配置することを特徴とする請求項4に記載のR−TM−B系焼結磁石の焼結方法。
  6. 前記遮蔽体は、前記成形体を焼結して得られる焼結体と実質的に同一の材質を用いることを特徴とする請求項4又は5に記載のR−TM−B系焼結磁石の焼結方法。
  7. 前記成形体は、前記容器内に縦置きされた状態で焼結されることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のR−TM−B系焼結磁石の焼結方法。
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