JP5210585B2 - 焼結体の製造方法及びこの焼結体の製造方法により製造されるネオジム鉄ボロン系焼結磁石 - Google Patents

焼結体の製造方法及びこの焼結体の製造方法により製造されるネオジム鉄ボロン系焼結磁石 Download PDF

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本発明は、焼結体の製造方法に関し、より詳しくは、ネオジウム鉄ボロン系(Nd−Fe−B系)の焼結磁石から先ず希土類元素を優先的に蒸発させ、次に、主相の結晶磁気異方性を大きく向上させるジスプロシウム(Dy)やテルビウム(Tb)をその結晶粒界相に拡散させることで超高性能磁石を作製するための焼結体の製造方法に関する。
ネオジウム鉄ボロン系の焼結磁石(所謂、ネオジム磁石)は、鉄と、安価であって資源的に豊富で安定供給が可能なNd、Bの元素の組み合わせからなることで安価に製造できると共に、高磁気特性(最大エネルギー積はフェライト系磁石の10倍程度)を有することから、電子機器など種々の製品に利用され、ハイブリッドカー用のモーターや発電機などにも採用され、使用量が増えている。
ネオジウム鉄ボロン系の磁石は主に粉末冶金法で生産されており、この方法では、先ず、Nd、Fe、Bを所定の組成比で配合し、溶解、鋳造して合金原料を作製し、例えば水素粉砕工程により一旦粗粉砕し、引き続き、例えばジェットミル微粉砕工程により微粉砕して、合金原料粉末を得る。次いで、得られた合金原料粉末を磁界中で配向(磁場配向)させ、磁場を印加した状態で圧縮成形して成形体を得る。そして、この成形体を所定の条件下で焼結させて焼結磁石が作製される(特許文献1参照)。
特開2004−6761号公報
ところで、Nd−Fe−B系の焼結磁石の磁性を担うR14B相(主相成分)は、平衡状態では液相から直接生成せず、先ず初相としてγ鉄が生成し、液相とその鉄との反応(包晶反応)で生成する(γ鉄は温度低下と共にα鉄に変態する)。この場合、例えば、凝固冷却速度の速い急冷法であるストリップキャスティング法(SC法)により合金原料を溶解、鋳造したとしても、Ndの含有量を28.5%以下にすれば、α鉄の生成の抑制が難しく、合金中にデンドライト状に生成することが知られている。
α鉄が合金中にデンドライト状に生成し、立体的に繋がっていると、その後の粉砕工程での合金の粉砕性を著しく害する。つまり、粉砕性が悪いと、水素粉砕工程により一旦粗粉砕し、引き続き、ジェットミル微粉砕工程により微粉砕しようとしても、高磁気特性の焼結磁石を作製することに適した粒形の揃った微細な粉末粒子の粉末を得ることが困難となる。その上、ジェットミル中に粗大粒(デンドライト状に生成したα鉄に起因する)が残留したり、バッグフィルターで回収される微粉の量が増えることによって組成ずれが起こり易く、品質管理が困難であるという問題がある。
他方で、Ndの含有量を28.5%より多くすれば、α鉄が生成しないインゴットの製造が可能であるものの、Rリッチ相が増えて、磁性を担うR14B相の体積比が減少するため、磁気特性を示す最大エネルギー積((BH)max)及び残留磁束密度(Br)の大きな高性能磁石の製造が難しくなるといった問題が生じる。
また、この種の磁石においては、保磁力をさらに高めれば、磁石自体の厚みの薄くしても強い磁力を持ったものが得られるので、この種の磁石利用製品自体の小型、軽量化や小電力化を図ることができる。このことから、従来技術のものと比較して一層高い保磁力を有する超高性能磁石の開発が望まれている。
そこで、本発明の目的は、上記点に鑑み、例えば永久磁石の磁気特性の向上などの製品機能を改善できる焼結体の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の焼結体の製造方法は、液相焼結により一次焼結体を得た後、この一次焼結体を、液相成分のうち蒸気圧の高い特定元素を優先的に蒸発させることができる温度より高く、かつ、焼結温度より低い温度にて真空雰囲気中で加熱することにより、液相の体積比を減少あるいは消滅させて二次焼結体を得る第一工程と、前記二次焼結体を焼結温度より低い温度にて真空雰囲気中で加熱すると共に、真空雰囲気中で、ジスプロシウム、テルビウムまたはこれらのいずれか一方を含む合金で構成される金属蒸発材料を加熱して蒸発させ、この蒸発した金属原子を二次焼結体表面に付着させ、この付着した金属原子を二次焼結体の結晶粒界相に拡散させる第二工程とを含み、前記一次焼結体は、ストリップキャスティング法あるいは遠心鋳造法で原料合金を製造し、その後、粉砕、磁場成形、焼結の各工程を経て得たものであり、この原料合金は、ネオジウム、プラセオジウム及びテルビウムのうち少なくとも1つを含む希土類元素を有するネオジウム鉄ボロン系焼結磁石用のものであり、希土類元素の含有量を28.5重量%以上30重量%以下とし、第一工程で蒸発させる特定元素を希土類元素としたことを特徴とする。
本発明によれば、二次焼結体を得る工程の実施により、焼結促進に寄与する液相成分のうち、蒸気圧の高い元素を優先的に蒸発させて液相の体積比を減少させ、主相本来の特性を発揮させることができる。特に、焼結体がR14B相系磁石の場合、希土類元素を効率良く蒸発させて、Rリッチ相の体積比を減少させ、磁性を担うR14B相(主相成分)の体積比を増大させることにより、磁気特性を示す最大エネルギー積((BH)max)及び残留磁束密度(Br)を向上することができる。
次いで、所定の金属原子を二次焼結体の結晶粒界相に拡散させる工程を実施することで、主相の特性を向上させる金属原子をその結晶粒界相に拡散させ、主相本来の特性をより一層向上させることができる。特に、磁性を担うR14B相の体積比を増大させることにより、磁気特性を示す最大エネルギー積((BH)max)及び残留磁束密度(Br)を向上したものに対し、主相の結晶磁気異方性を大きく向上させるDyやTbをその結晶粒界相に拡散させることで、ニュークリエーション型の保磁力発生機構を強化し、その結果、最大エネルギー積がほとんど損なわれることなく、保磁力が飛躍的に向上し、その結果、超高性能磁石が得られる。
この場合、前記第二工程の際、前記付着した金属原子を、二次焼結体表面に金属蒸発材料からなる薄膜が形成される前に二次焼結体の結晶粒界相に拡散させることがよい。これによれば、第二工程の際に磁石表面が劣化することが防止され、仕上げ加工が不要な生産性に優れた磁石が得られる。
これによれば、前記一次焼結体が、例えば主相成分がR14B相で構成され、Rが、Ndを主とする少なくとも1種の希土類元素、Tが、Feを主とする遷移金属であり、R14B相化学量論組成より過剰のRがRリッチ相として、特に焼結時に液相となって焼結の促進に役立つ焼結磁石である場合に、例えば、合金原料を溶解、鋳造するとき、合金中にデンドライト状のα鉄が生成しないように、希土類元素の含有量を多く設定し、α鉄が生成しないインゴットを製造し、公知の工程で焼結磁石を得た後、Rリッチ相の希土類元素のみを蒸発させることで、Ndリッチ相の体積比を減少させ、その結果、磁気特性を示す最大エネルギー積((BH)max)及び残留磁束密度(Br)を向上でき、高性能磁石となる。そして、DyやTbをその結晶粒界相に拡散させることで、保磁力を向上でき、超高性能磁石が得られる。尚、上記原料合金には、後工程で拡散させるDyが含まれていないことが好ましい。
この場合、前記希土類元素の蒸発によって、希土類元素の含有量を28.5%未満に減らすか、または、希土類元素の平均濃度の減少量を0.5重量%以上とすればよい。
前記真空雰囲気中で加熱するときの加熱温度を、900℃以上に設定することが好ましい。900℃より低い温度では、一次焼結体が上記焼結磁石であるときに希土類元素を優先的に蒸発させることができず、また、焼結温度以上の温度では、異常粒成長が起こり、磁気特性が大きく低下する。
前記真空雰囲気の圧力を、10−3Pa以下に設定することが好ましい。10−3Paより高い圧力では、一次焼結体が上記焼結磁石であるときに希土類元素を優先的に効率よく蒸発させることができない。
また、前記蒸発した希土類元素をトラップする機構を設け、回収することが好ましい。これにより、特にTb等の高価な希土類元素を蒸発させる場合に、その希土類元素が回収できて良い。
本発明においては、前記金属蒸発材料は、ジスプロシウム、テルビウムまたはこれらのいずれか一方を含む合金である。
ここで、蒸発した金属原子を二次焼結体表面に供給する工程を実施するに際して、溶けたDy等の金属蒸発材料が、表面Ndリッチ相が溶けた磁石表面に直接付着することを防止する必要がある。このため、前記二次焼結体と金属蒸発材料とを相互に離間して配置することが望ましい。
また、付着した金属原子を二次焼結体表面に金属蒸発材料からなる薄膜が形成される前にその結晶粒界相に拡散させるために、当該金属蒸発材料の比表面積を変化させて一定温度下における蒸発量を増減し、前記蒸発した金属原子の二次焼結体表面への供給量を調節する構成を採用するのがよい。
他方で、当該金属蒸発材料の蒸気圧を変化させて前記蒸発した金属原子の二次焼結体表面への供給量を調節してもよい。
なお、請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の方法によって製造される焼結体は、例えばネオジウム鉄ボロン系焼結磁石である。
図1を参照して説明すれば、1は、本発明の焼結体の製造方法のうち、液相焼結により得た一次焼結体S1を焼結温度より低い温度にて真空雰囲気中で加熱することにより、液相成分中の蒸気圧の高い元素を優先的に蒸発させて、液相の体積比を減少あるいは消滅させて二次焼結体S2を得る工程(蒸発処理工程)を実施することに適した真空蒸発装置である。
真空蒸発装置1は、ターボ分子ポンプ、クライオポンプ、拡散ポンプなどの真空排気手段2を介して所定圧力(例えば10−5Pa)まで減圧して保持できる真空チャンバ3を有する。真空チャンバ内3には、上面を開口した円筒形状の焼結体ケース4が設置され、この焼結体ケース4で囲まれた空間が処理室4aを構成する。焼結体ケース4は、後述するように、加熱手段により加熱したときに、一次焼結体S1から、液相成分を優先的に蒸発させたとき、その蒸発した元素Rと反応しない材料から構成されている。
即ち、一次焼結体S1が、ネオジウム、プラセオジウムやテルビウムなどの希土類元素Rを含むネオジウム鉄ボロン系の焼結磁石であるとき、蒸発させた希土類元素が焼結体ケース4の表面に付着してその表面に反応生成物を形成したのでは、希土類元素の回収が困難になる場合がある。このため、焼結体ケース4を、表面に付着した希土類元素Rの剥離が容易なMoやSUSから製作するか、またはMo等を他の断熱材の表面に内張膜として成膜したものから構成している。また、処理室4aには、焼結体ケース4の底面から上面に向かって相互に所定の間隔を置いて、例えばMo製の皿状の載置部4bが複数個配置され、載置部4bには、直方体など所定形状に成形した後、焼結してなる一次焼結体(例えば、ネオジウム鉄ボロン系の焼結磁石)S1が並べて載置できる。
また、真空チャンバ3には、焼結体ケース4の周囲を囲うように加熱手段5が設けられている。加熱手段5は、焼結体ケース4の周囲を囲うようにその全長に亘って列設した複数本の環状のフィラメントから構成される電気ヒータ(図示せず)であり、各フィラメントは、真空チャンバ3内に設けた支持片(図示せず)で支持されている。この場合、フィラメントもまた、蒸発させて元素Rと反応しないMo等から構成されている。そして、減圧下で、加熱手段5によって焼結体ケース4を加熱することで、焼結体ケース4を介して間接的に処理室4a、ひいては、載置部4bに載置した一次焼結体S1を略均等に加熱できる。
焼結体ケース2の上方には、その開口した上面を覆うようにトラップ板6が配置されている。トラップ板6もまた、蒸発させた元素Rと反応せず、かつ、表面に付着したものが剥離し易い材料、例えば、蒸発したものが希土類元素であればMoから構成される。この場合、処理室4aの容積は、蒸発させた液相成分元素の平均自由行程を考慮して、蒸発した元素が直接または焼結体ケース4の内壁への衝突を繰返して上面開口を通って外側に排出されるように設定され、また、焼結体ケース4の上端からトラップ板6までの間隔は、排出された元素Rの大部分が付着するように設定されている。この場合、焼結体ケース4に、例えば冷媒の循環による冷却手段を付設し、温度差によって蒸発した元素Rがトラップ板6に付着して堆積するように構成してもよい。
次に、図2を参照して説明すれば、10は、本発明の焼結体の製造方法のうち、二次焼結体S2を焼結温度より低い温度にて真空雰囲気中で加熱すると共に、真空雰囲気中で所定の金属蒸発材料を加熱して蒸発させ、この蒸発した金属原子を二次焼結体表面に付着させ、この付着した金属原子を、二次焼結体S2表面に金属蒸発材料Vからなる薄膜が形成される前に二次焼結体S2の結晶粒界相に拡散させる工程(真空蒸気処理工程)を実施することに適した真空蒸気処理装置である。
真空蒸気処理装置10は、ターボ分子ポンプ、クライオポンプ、拡散ポンプなどの真空排気手段11を介して所定圧力(例えば1×10−5Pa)まで減圧して保持できる真空チャンバ12を有する。 真空チャンバ12内には加熱手段13が設けられている。加熱手段13は、特に図示しないが、例えば後述する処理箱の周囲を囲う断熱材とその内側に配置した発熱体とから構成され、発熱体は、複数本の環状フィラメントを有する電気ヒータである。
また、真空チャンバ内12には、断熱材の内側に位置させて、上面を開口した直方体形状の箱部14と、開口した箱部14の上面に着脱自在な蓋部15とからなる処理箱16が少なくとも1個設置される。蓋部15の外周縁部には下方に屈曲させたフランジ15aがその全周に亘って形成され、箱部14の上面に蓋部15を装着すると、フランジ15aが箱部14の外壁に嵌合して(この場合、メタルシールなどの真空シールは設けていない)、真空チャンバ11と隔絶された処理室16aが画成される。そして、真空排気手段11を介して真空チャンバ12を所定圧力(例えば、1×10−5Pa)まで減圧すると、処理室16aが真空チャンバ12より略半桁高い圧力(例えば、5×10−4Pa)まで減圧されるようになっている。
処理室16aの容積は、後述する蒸発金属材料Vの平均自由行程を考慮して蒸気雰囲気中の金属原子が直接または衝突を繰返して複数の方向から二次焼結体S2に供給されるように設定されている。また、箱部14及び蓋部15の壁面の肉厚は、加熱手段を作動させて加熱されたとき、熱変形しないように設定されている。処理室16a内で底面から所定の高さ位置には、複数本の線材(例えばφ0.1〜10mm)を格子状に配置することで載置部17が形成され、この載置部17に複数個の二次焼結体S2を並べて載置できるようになっている。他方、金属蒸発材料Vは、処理室20の底面、側面または上面等に適宜配置される。
これにより、金属蒸発材料Vを箱部13の底面に設置するだけで二次焼結体S2と金属蒸発材料Vとが離間して配置でき、しかも、二次焼結体S2の下側に位置する金属蒸発材料Vから蒸発した金属原子が直接または衝突を繰返して複数の方向から二次焼結体S2の略全面に亘って供給されるため、処理箱16を回転させたりする必要はない。また、処理箱16を、箱部14と蓋部15とから構成したため、処理箱16自体の構造もまた簡単になり、蓋部15が取外すと、上面が開口することで箱部14への金属蒸発材料Vと二次焼結体S2との出し入れが容易にできる。
このように本実施の形態の真空蒸気処理装置10によれば、真空チャンバ12内に、金属蒸発材料Vと二次焼結体S2とを収納した少なくとも1個の処理箱16を出し入れして行うバッチ式としたため、真空チャンバ12内で処理箱16内に二次焼結体S2等を出し入れする機構等が不要になり、真空蒸気処理装置10自体を簡単な構造にでき、その上、複数の処理箱16を収納可能にしておけば、大量の二次焼結体S2に対し同時処理できるため、高い生産性を達成できる。
ところで、焼結体S1、S2が、ネオジウム鉄ボロン系の焼結磁石であり、金属蒸発材料VとしてDyやTbを用いる場合、処理箱16として、例えば一般の真空装置でよく用いられるAlを用いると、蒸気雰囲気中のDyとAlが反応してその表面に反応生成物を形成すると共に、Al原子がDy蒸気雰囲気中に侵入する虞がある。また、DyやTbを蒸発させるには真空下で900℃以上の温度に加熱する必要があることから、従来の電気炉のようにフィラメントとしてカーボンを用いたのでは、カーボンの昇華によって炉内が汚染されたり、Dy、TbやSi等の金属蒸発材料Vがカーボンと反応しまたは被処理物Sからでる水や水素がカーボンと反応し、急速にヒータ自体の痩せ細りに起因して到達温度の再現性が悪くなる等の問題が生じる。
このため、真空チャンバ12内に存在する、載置部17を含む処理箱16を構成する部品及び加熱手段13を構成する断熱材やフィラメンなどの部品をMo製とした。これにより、処理箱16を加熱してこの処理箱16内で金属蒸発材料Vを蒸発させたときに他の原子が侵入することが防止できる。他方、処理箱16を箱部14の上面に蓋部15を装着した構造(略密閉構造)であるため、蒸発した原子の一部が箱部14と蓋部15との間隙を通って外部に流出する虞があるが、断熱材もMo製であるため、金属蒸発材料Vと反応しないことから、断熱材等に付着した金属蒸発材料Vの回収が容易になり、特に資源的に乏しく、安定供給が望めないDyやTbが金属蒸発材料であるとき特に有効となる。
さらに、加熱手段13のフィラメントをMo製としたことで、処理室16aを1000℃以上の高温に加熱するときでも、到達温度の高い再現性を有し、真空チャンバ11を減圧した後に加熱手段13を作動させて処理箱16を加熱することで、熱効率が大きくなること、及び処理箱16の壁面を介して間接的に処理室16aを加熱することとが相俟って、処理室内16aを略均等かつ再現性よく短時間で加熱できる。
尚、本実施の形態では、Moで構成部品を作製したが、処理箱16を再現性よく加熱でき、かつ、金属蒸発材料Vと反応しない材料であればよく、例えば、ステンレス、V、TaまたはMo、V、Taの少なくとも1種を含有する合金(希土類添加型Mo合金、Ti添加型Mo合金などを含む)やCaO、Y、或いは希土類酸化物から製作してもよい。また、これらの材料を他の断熱材の表面に内張膜として成膜したものから構成してもよい。
次に、本発明の焼結体の製造方法によるネオジウム鉄ボロン系焼結磁石(永久磁石)の作製について説明する。先ず、原料合金粉末は次のように作製される。即ち、Fe、Nd、Bが所定の組成比となるように、工業用純鉄、金属ネオジウム、低炭素フェロボロンを配合して真空誘導炉を用いて溶解し、急冷法、例えばストリップキャスト法により0.05mm〜0.5mmの原料合金を先ず作製する。あるいは、遠心鋳造法で5〜10mm程度の厚さの原料合金を作製してもよく、配合の際に、Dy、Tb、Co、Cu、Nb、Zr、Al、Ga等を添加しても良い。この場合、希土類元素の合計含有量を28.5%より多くし、α鉄が生成しないインゴットとする。
次いで、作製した原料合金を、公知の水素粉砕工程により粗粉砕し、引き続き、ジェットミル微粉砕工程により窒素ガス雰囲気中で微粉砕し、平均粒径3〜10μmの原料合金粉末を得る。次いで、原料合金粉末を、公知の圧縮成形機を用いて磁界中で所定形状に圧縮成形する。次いで、圧縮成形機から取出した成形体を、図示しない焼結炉内に収納し、真空中で所定温度(例えば、1050℃)で所定時間焼結(焼結工程)し、さらに所定温度(500℃)、焼結磁石たる一次焼結体S1を得る。
次に、図1に示す真空蒸発装置1を用い、真空蒸発工程により二次焼結体S2を得る。先ず、上記のように作製した一次焼結体S1を、真空蒸発装置1の載置部4b上に載置した後、真空排気手段2を作動させて、所定圧力(例えば10−5Pa)に到達するまで真空チャンバ3を減圧する。真空チャンバ3内が所定圧力に到達した後、加熱手段4を作動させて処理室4a、ひいては焼結磁石Sを加熱し、所定温度に到達した後、この状態で所定時間保持する(真空蒸発処理工程)。
この場合、処理室4a、ひいては焼結磁石Sの加熱温度を900℃以上で、焼結温度未満の温度に設定する。900℃より低い温度では、希土類元素Rの蒸発速度が遅く、また、焼結温度を超えると、異常粒成長が起こり、磁気特性が大きく低下する。併せて、真空チャンバ3と真空排気手段2とを連結する排気通路(排気管)7に開度調整自在な開閉バルブ8を設け、この開閉バルブ8の開度を調節して、真空チャンバ8、ひいては処理室4a内の圧力を10−3Pa以下の圧力に設定する。10−3Paより高い圧力では、希土類元素Rを効率よく蒸発させることができない。
これにより、一定温度下での蒸気圧の相違により(例えば、1000℃において、Ndの蒸気圧は10−3Pa、Feの蒸気圧は10−5Pa、Bの蒸気圧は10−13Pa)、Rリッチ相中の希土類元素Rのみが蒸発する。その結果、Ndリッチ相の割合が減少して、磁気特性を示す最大エネルギー積((BH)max)及び残留磁束密度(Br)が向上し、高性能なものとなる。この場合、二次焼結体S2たる焼結磁石の希土類元素Rの含有量を28.5wt%未満、または、希土類元素Rの平均濃度の減少量を0.5重量%以上となるまで加熱処理する。
そして、上記真空蒸発処理を実施した後、加熱手段5の作動を一旦停止すると共に、開閉バルブ8を全開して真空チャンバ3を排気しつつ冷却し、処理室4a内の温度を例えば500℃まで一旦下げる。引き続き、加熱手段4を再度作動させ、処理室20内の温度を550℃〜650℃の範囲に設定し、一層磁気特性を向上させるための熱処理を施す。最後に、略室温まで冷却し、二次焼結体S2を取り出す。
次に、図2に示す真空蒸気処理装置10を用い、二次焼結体S2への真空蒸気処理工程により焼結体たる永久磁石を得る。先ず、箱部14の載置部17に二次焼結体S2を載置すると共に、箱部14の底面に金属蒸発材料Vを設置する(これにより、処理室16a内で二次焼結体S2と金属蒸発材料Vとが離間して配置される)。
金属蒸発材料Vとしては、主相の結晶磁気異方性を大きく向上させるDy、Tbまたはこれらの少なくとも一方を含む合金が用いられ、その際、保磁力を一層高めるために、Nd、Pr、Al、Cu及びGa等を含めてもよい。この場合、金属蒸発材料Vは、所定の混合割合で配合し、例えばアーク溶解炉を用いてバルク状の合金を得て、処理室16aに配置される。
次いで、箱部14の開口した上面に蓋部15を装着した後、この処理箱16を、真空チャンバ12内の所定位置に収納する(図2参照)。そして、真空排気手段11を介して真空チャンバ12を所定圧力(例えば、1×10−5Pa)まで真空排気して減圧し、(処理室16aは略半桁高い圧力まで真空排気される)、所定圧力に達すると、加熱手段13を作動させて処理箱16を加熱する。減圧下で処理室16a内の温度が所定温度に達すると、処理箱16の底面に設置した金属蒸発材料Vが、処理室16aと略同温まで加熱されて蒸発を開始し、処理室40内に蒸気雰囲気が形成される。金属蒸発材料Vが蒸発を開始した場合、二次焼結体S2と金属蒸発材料Vとが離間して配置しているため、溶けたDyなどの金属蒸発材料Vが直接焼結磁石Sに付着することはない。そして、蒸気雰囲気中のDy原子などが、直接または衝突を繰返して複数の方向から、金属蒸発材料Vと略同温まで加熱された焼結磁石S表面に向かって供給されて付着し、この付着した金属原子が二次焼結体たるS2の結晶粒界相に拡散されて永久磁石Mが得られる。
真空蒸気処理に際しては、より磁気特性を高めつつ生産効率を高めるために、二次焼結体S2表面に金属蒸発材料Vからなる薄膜が形成される前に、蒸発した金属原子を二次焼結体S2の結晶粒界相に拡散させて均一に行き渡らせることがよい。このため、二次焼結体S2の1〜10重量%の割合で、単位体積当たりの表面積(比表面積)が小さいバルク状(略球状)の金属蒸発材料Vを処理箱16の底面に配置し、一定温度下における蒸発量を減少させることが好ましい。それに加えて、金属蒸発材料Vが例えばDyからなる場合には、加熱手段13の作動を制御して処理室16a内の温度を800℃〜1050℃、好ましくは900℃〜1000℃の範囲に設定することが好ましい(例えば、処理室内温度が900℃〜1000℃のとき、Dyの飽和蒸気圧は約1×10−2〜1×10−1Paとなる)。
処理室16a内の温度(ひいては、二次焼結体S2の加熱温度)が800℃より低いと、二次焼結体S2表面に付着したDy原子の結晶粒界層への拡散速度が遅くなり、二次焼結体S2表面に薄膜が形成される前にその結晶粒界相に拡散させて均一に行き渡らせることができない。他方、1050℃を超えた温度では、Dyの蒸気圧が高くなって蒸気雰囲気中のDy原子が二次焼結体S2表面に過剰に供給される。また、Dyが結晶粒内に拡散する虞があり、Dyが結晶粒内に拡散すると、結晶粒内の磁化を大きく下げるため、最大エネルギー積及び残留磁束密度が低下することになる。
また、二次焼結体S2表面にDyの薄膜が形成される前にDyをその結晶粒界相に拡散させるために、二次焼結体S2の表面積の総和に対するバルク状のDyの表面積の総和の比率が、1×10−4〜2×10の範囲になるように設定する。1×10−4〜2×10の範囲以外の比率では、焼結磁石S表面にDyなどの金属蒸発材料Vからなる薄膜が形成される場合があり、また、高い磁気特性の永久磁石が得られない。この場合、上記比率が1×10−3から1×10の範囲が好ましく、また、上記比率が1×10−2から1×10の範囲がより好ましい。
これにより、蒸気圧を低くすると共にDyの蒸発量を減少させることで、二次焼結体S2へのDy原子の供給量が抑制されることと、二次焼結体S2を所定温度範囲で加熱することによって拡散速度が早くなることとが相俟って、二次焼結体S2表面に付着したDy原子を、二次焼結体S2表面で堆積してDy層(薄膜)を形成する前に二次焼結体S2の結晶粒界相に効率よく拡散させて均一に行き渡らせることができる(図3参照)。その結果、永久磁石Mの表面が劣化することが防止され、また、二次焼結体S2表面に近い領域の粒界内にDyが過剰に拡散することが抑制され、結晶粒界相にDyリッチ相(Dyを5〜80%の範囲で含む相)を有する磁化および保磁力が効果的に向上した高磁気特性を有し、その上、仕上げ加工が不要な生産性に優れた永久磁石Mが得られる。
ところで、上記二次焼結体S2を作製した後、ワイヤーカット等により所望形状に加工する場合がある。その際、上記加工によって、二次焼結体S2表面の主相である結晶粒にクラックが生じて磁気特性が著しく劣化する場合がある。ところが、上記真空蒸気処理工程を実施すると、表面付近の結晶粒のクラックの内側にDyリッチ相が形成されることで、磁化および保磁力が回復できる。
また、従来のネオジム磁石では防錆対策が必要になることからCoを添加していたが、Ndと比較して極めて高い耐食性、耐候性を有するDyのリッチ相が結晶粒界相に存することで、Coを用いることなく、極めて強い耐食性、耐候性を有する永久磁石となる。尚、焼結磁石の表面に付着したDyを拡散させる場合、焼結磁石Sの結晶粒界にCoを含む金属層化合物がないため、焼結磁石S表面に付着したDyなどの金属原子はさらに効率よく拡散される。
最後に、上記処理を所定時間(例えば、4〜48時間)だけ実施した後、加熱手段13の作動を停止すると共に、真空チャンバ12に接続したガス導入手段(図示せず)を介して真空チャンバ12内に10KPaのArガスを導入し、金属蒸発材料Vの蒸発を停止させ、処理室16aの温度を例えば500℃まで一旦下げる。引き続き、加熱手段13を再度作動させ、処理室16a内の温度を450℃〜650℃の範囲に設定し、一層保磁力を向上させるために熱処理を施す。最後に、略室温まで冷却し、真空チャンバ12をベントした後、処理箱16を取り出す。
尚、本実施の形態では、金属蒸発材料VとしてDyを用いるものを例として説明したが、最適な拡散速度を早くできる二次焼結体S2の加熱温度範囲(900℃〜1000℃の範囲)で、蒸気圧が低いTbを用いてもよい。金属蒸発材料VがTbである場合、処理室16aを900℃〜1150℃の範囲で加熱すればよい。900℃より低い温度では、二次焼結体S2表面にTb原子を供給できる蒸気圧に達しない。他方、1150℃を超えた温度では、Tbが結晶粒内に過剰に拡散してしまい、最大エネルギー積及び残留磁束密度を低下させる。
また、本実施の形態では、焼結した後の一次焼結体S1に対し、真空蒸発処理を実施する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、焼結後に、焼結磁石Sをワイヤーカット等により所望形状に加工した後、上記真空蒸発処理を実施してもよい。
さらに、本実施の形態では、焼結磁石Sの製造を例として説明したが、焼結体から特定物質を蒸発させ、特定の金属元素をその結晶粒界相に拡散させて焼結体の機能を向上できるものであれば、本発明の焼結体の製造方法を適用できる。例えば、銅系AlNセラミック等の熱伝導性の向上、またはSiC等の超硬材料、硬質材料やセラミックス材料の強度や靭性の向上に利用できる。
SiCの超硬材料を例に説明すれば、炭化珪素(SiC)粉末に金属シリコン粉末を焼結助剤(液相成分)として混合した状態で粉砕して原料粉末とし、公知の成形法により原料粉末を成形した後、焼結する。次いで、上記真空蒸発装置を用いた真空蒸発処理により、シリコンの融点以上で焼結助剤を優先的に蒸発させてその体積比を減少させる。次いで、上記真空蒸気処理装置1を用いて真空蒸発処理により液相成分たるシリコンを供給する。
これによれば、真空蒸発処理により焼結助剤を蒸発させることで焼結体を緻密化でき、真空蒸気処理により液相成分をさらに供給することで、粒界相に高濃度に偏析させる等、特殊な粒界相成分を作り出すことができる。その結果、機械的強度、特に、高い靭性値を有する超硬材料が作製できる。
また、銅系AlNにおいては、焼結助剤としてYやCaOを用いる場合に、本発明の焼結体の製造方法が適用でき、低温焼結技術によらず、高熱伝導率を有するAlNセラミックスが得られる。
実施例1では、図1に示す真空蒸発装置1及び図2に示す真空蒸気処理装置10を用い、永久磁石を得た。まず、工業用純鉄、金属ネオジウム、低炭素フェロボロン、電解コバルト、純銅を原料として、配合組成で29Nd−1B−0.1Cu−1Co−Bal Fe(重量%)となるようにして、真空誘導溶解を行い、ストリップキャスティング法で厚さ約0.3mmの薄片状インゴットを得た。次に、水素粉砕工程により一旦粗粉砕し、引き続き、例えばジェットミル微粉砕工程により微粉砕して、合金原料粉末を得た。
次に、公知の構造を有する横磁場圧縮成形装置を用いて、成形体を得て、次いで真空焼結炉にて1050℃の温度下で2時間焼結させて一次焼結体S1を得た。そして、ワイヤカットにより一次焼結体をφ10×5mmの形状に加工した後、表面粗さが10μm以下となるように仕上げ加工した後、希硝酸によって表面をエッチングした。
次に、図1に示す真空蒸発装置1を用い、処理室4a内の載置部4bに100個の上記一次焼結体S1を配置した後、真空チャンバ3の圧力が10−5Paに到達するまで真空排気した。真空チャンバ3内の圧力が所定位置に達した後、加熱手段5を作動させて処理室4aを加熱した。この場合、加熱温度を975℃に設定すると共に、開閉バルブ8の開度を調節して真空チャンバ3内の圧力を5×10−5Paに設定した。次いで、保磁力を向上するための熱処理を行った。この場合、熱処理温度を530℃、処理時間を60分に設定した。そして、二次焼結体S2を得た。
次に、上記真空蒸気処理装置10を用い、上記真空蒸気処理によって永久磁石Mを得た。この場合、処理箱4としてMo製のものを用い、載置部17上に、上記により作製した100個の二次焼結体S2を等間隔で配置すると共に、処理箱4の底面に、金属蒸発材料Vとして、純度99.9%で塊状のDy(約φ1mm)を30gの総量で配置した。
次いで、二次焼結体S2と金属蒸発材料Vとをセットした処理箱16を真空チャンバ12の所定位置に収納した後、真空排気手段11を作動させて真空チャンバを1×10−4Pa(処理室16a内の圧力は約5×10−3Pa)まで減圧し、加熱手段13を作動させた。この場合、処理室16aの加熱温度を900℃に設定した。そして、処理室16aの温度が900℃に達した後、この状態で6時間、上記真空蒸気処理を行い、永久磁石Mを得た(試料#1)。
他方で、真空蒸気処理に際し、金属蒸発材料Vとして、純度99.9%で塊状のTb(約φ1mm)を用い、永久磁石Mも作製した(試料#2)。この場合、処理室16aの加熱温度を975℃、真空蒸気処理時間を8時間に設定した。
図4は、実施例1で作製した永久磁石Mの磁気特性(BHカーブトレーサーにより測定)の平均値を示す表である。これによれば、真空蒸発処理を施す前の磁石の磁気特性を示す最大エネルギー積は51.8MG0eで、残留磁束密度は14.52kGであり、真空蒸発処理のみを施すと(試料#3:二次焼結体)、最大エネルギー積は54.8MG0eで、残留磁束密度は14.85kGであり、さらに、この二次焼結体S2に真空蒸気処理を施すと、最大エネルギー積及び残留磁束密度を殆ど損なうことなく、保磁力が倍以上になり、試料#1では、20.3kOe、試料#2では25.9kOeであり、超高性能の永久磁石が得られることが判る。
本発明の製造方法を実施する真空蒸発装置を概略的に説明する図。 本発明の製造方法を実施する真空蒸気処理装置を概略的に説明する図。 真空蒸気処理を施すときの磁石の断面を模式的に説明する図。 実施例1で作製した焼結磁石の磁気特性を示す表。
符号の説明
1 真空蒸発装置
3 真空チャンバ
4 焼結体ケース
4a 処理室
5 加熱手段
6 トラップ板
S1 一次焼結体(焼結磁石)
R (希土類)元素
10 真空蒸気処理装置
12 真空チャンバ
13 加熱手段
16 処理箱
16a 処理室
S2 二次焼結体(焼結磁石)
V 金属蒸発材料(Dy、Tb)

Claims (8)

  1. 液相焼結により一次焼結体を得た後、この一次焼結体を、液相成分のうち蒸気圧の高い特定元素を優先的に蒸発させることができる温度より高く、かつ、焼結温度より低い温度にて真空雰囲気中で加熱することにより、液相の体積比を減少あるいは消滅させて二次焼結体を得る第一工程と、
    前記二次焼結体を焼結温度より低い温度にて真空雰囲気中で加熱すると共に、真空雰囲気中で、ジスプロシウム、テルビウムまたはこれらのいずれか一方を含む合金で構成される金属蒸発材料を加熱して蒸発させ、この蒸発した金属原子を二次焼結体表面に付着させ、この付着した金属原子を二次焼結体の結晶粒界相に拡散させる第二工程とを含み、
    前記一次焼結体は、ストリップキャスティング法あるいは遠心鋳造法で原料合金を製造し、その後、粉砕、磁場成形、焼結の各工程を経て得たものであり、この原料合金は、ネオジム、プラセオジム及びテルビウムのうち少なくとも1つを含む希土類元素を有するネオジム鉄ボロン系焼結磁石用のものであり、希土類元素の含有量を28.5重量%以上30重量%以下とし、第一工程で蒸発させる特定元素を希土類元素とし、
    前記第一工程での希土類元素の蒸発によって、希土類元素の含有量を28.5%未満に減らすか、または、希土類元素の平均濃度の減少量を0.5重量%以上とし、
    前記第二工程の際、前記付着した金属原子を、二次焼結体表面に金属蒸発材料からなる薄膜が形成される前に二次焼結体の結晶粒界相に拡散させることを特徴とする焼結体の製造方法。
  2. 前記一次焼結体の加熱温度を、900℃以上に設定することを特徴とする請求項記載の焼結体の製造方法。
  3. 前記真空雰囲気の圧力を、10−3Pa以下に設定することを特徴とする請求項1または請求項2記載の焼結体の製造方法。
  4. 前記第一工程にて蒸発した希土類元素をトラップする機構を設け、回収することを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の焼結体の製造方法。
  5. 前記二次焼結体と金属蒸発材料とを相互に離間して配置することを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の焼結体の製造方法。
  6. 前記第二工程にて、加熱前の金属蒸発材料の比表面積を変化させて一定温度下における蒸発量を増減して、蒸発した金属原子の二次焼結体表面への供給量を調節して当該二次焼結体に金属蒸発材料を付着させることを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の焼結体の製造方法。
  7. 前記第二工程にて、金属蒸発材料を蒸発させるときの蒸気圧を変化させて、蒸発した金属原子の二次焼結体表面への供給量を調節して当該二次焼結体に金属蒸発材料を付着させることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の焼結体の製造方法。
  8. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の方法によって製造されることを特徴とするネオジム鉄ボロン系焼結磁石。
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