以下、本発明に係るICハンドラーの一実施の形態を図1ないし図13によって詳細に説明する。
図1は本発明に係るICハンドラーの平面図である。同図においては、トレイ支持装置やストッカーをこれらの上にトレイが載置されていない状態で描いてある。図2は図1におけるII−II線断面図、図3は部品移動装置の構成を説明するための斜視図、図4はヘッドユニットの斜視図、図5は単位ユニットの動作方向を説明するための斜視図で、同図は二つの単位ユニットのみが描いてある。図6は単位ユニットの側面図で、同図においては構成部材の連結部分を破断して示す。この破断位置を図1中にVI−VI線によって示す。
図7は第2の支持装置の構成を示す図で、同図(a)は側面図、同図(b)は正面図である。図8はトレイ移載装置とトレイ支持装置の動作を説明するための平面図、図9ないし図12はトレイ移載装置とストッカーの動作を説明するための正面図、図13はICハンドラーの概略構成を示す斜視図である。
これらの図において、符号1で示すものは、この実施の形態によるICハンドラーを示す。
このICハンドラー1は、図1および図2に示すように、基台2の後端部(図1においては上端部であって、図2においては右側の端部)に位置する検査領域Aと、前記基台2の前後方向の略中央部に位置する部品領域Bとの間において後述する部品移動装置3,4によって電子部品5(図2および図6参照)を移動させるものである。なお、本明細書中においては、図1において上下方向を装置の前後方向としてY方向といい、図1において左右方向を装置の左右方向としてX方向といい、紙面に直交する方向を単にZ方向という。
前記基台2の検査領域Aには開口2aが設けられ、被検査用の電子部品5が載置される検査用ソケット6が複数配設されたテストヘッド8が、この開口2aの下方において基台2に着脱可能に固着されている。前記検査用ソケット6は、基台2内においてICハンドラー1とは独立に床に載置される検査装置本体7(図2参照)に、テストヘッド8を介してあるいは直接に、不図示の検査用電流ケーブルを介して連結されている。また、この検査用ソケット6は、上方から電子部品5(図2および図6参照)が装填される構成が採られ、基台2のX方向の略中央部に配設されている。この実施の形態においては、4個の検査用ソケット6が設けられている。これらの検査用ソケット6は、X方向に並ぶ2個の検査用ソケット6,6がY方向に2組並ぶように設けられている。電子部品5の検査は、検査用ソケット6に電子部品5が載置された状態で、電子部品5と検査装置本体7との間で検査用電流を入出力することにより実施される。前記検査用電流ケーブルのいずれか一方の端部あるいは中間部には、脱着可能なコネクタが配置されている。
前記検査領域Bを含む基台2上には、この基台2の前端部に位置する複数のストッカー11,11‥‥と、これらのストッカー11と前記部品領域Bとの間でトレイT(図2参照)を移動させるとともに部品領域BにおいてX方向に並ぶように複数のトレイを支持するトレイ支持装置12と、基台2のX方向の両端部に位置する固定レール13によって支持された第1の部品移動装置3および第2の部品移動装置4と、これらの部品移動装置3,4によって吸着されて移動する電子部品5を下方から撮像するための複数の基台側撮像装置14とが設けられている。これらの基台側撮像装置14は、検査用ソケット6とトレイ支持装置12との間において基台2のX方向の中央に対して左側と右側とに振り分けられるような位置にそれぞれX方向に並ぶ状態で2個ずつ設けられている。
前記ストッカー11は、図2に示すように、複数のトレイTを上下方向に重ねた状態で収容する構造のもので、図1に示すように、X方向に並ぶ状態で複数設けられている。前記トレイTは、図8に示すように、プラスチックによって平面視においてY方向に長い長方形の皿状に形成されている。このトレイTには、図示してはいないが、電子部品5を収納するための凹陥部が上方に向けて開口する状態で多数形成されている。
前記ストッカー11は、図1、図2および図13に示すように、最下部に位置する平面視四角形状の枠体21と、この枠体21の後端部に立設された断面L字状の後側支柱22と、前記枠体21の前端部に立設された断面L字状の前側支柱23と、前記枠体21に設けられたトレイ支持用のフック24(図9〜図12参照)などを備えている。図13においては、複数のストッカーのうちX方向の両端部に位置するストッカーのみが描いてある。
このストッカー11は、図2に示すように、前記基台2の前端部上に設けられたストッカー用フレーム25の上に搭載されている。このストッカー用フレーム25は、図1には図示していない。このストッカー用フレーム25における前記ストッカー11の枠体21の下方となる部位には、トレイ出し入れ口26(図2参照)が形成されている。
ストッカー11の前記枠体21は、内部の開口部分に水平状態のトレイTを上下方向に装填することができるように形成されている。
前記後側支柱22と前側支柱23は、長方形状のトレイTの四隅を嵌合状態で保持するように位置付けられている。前側支柱23は、図2に示すように、後側支柱22より低くなるように形成されている。
前記フック24は、ストッカー11内のトレイTを支えるためのもので、平面視において前記枠体21の開口部分内に先端部が臨む前進位置と、この先端部が開口部分の外に出る後退位置との間で往復可能に枠体21に支持されている。また、各フック24には、前進位置と後退位置とのいずれか一方にフック24を移動させるアクチュエータ(図示せず)が接続されている。
このフック24の前記先端部は、図示してはいないが、トレイTの側部に側方へ向けて開口するように形成された凹陥部内に係入するように形成されている。なお、図9〜図12に図示したフック24は、トレイTを支持している状態と放した状態とを容易に判別することができるように、前記先端部によってトレイTの下端を支承する構造として描いてある。また、このフック24は、上述したように平行移動する構造の他に、平面視において先端部が前記開口部分内に臨む横状態と、先端部が下方を指向するようにフック全体が約90°回り、先端部が前記開口部分の外に出る縦状態との間で回動する構造を採ることもできる。
前記トレイ支持装置12は、図1、図2および図8に示すように、前記ストッカー11の下方に位置する第1の支持装置30と、前記部品領域Bに位置する第2の支持装置31と、これらの支持装置30,31との間に位置する中継用コンベア32を有し両装置30,31間でトレイを搬送する移送手段33とから構成されている。
前記第1の支持装置30は、図1、図2、図8〜図12に示すように、基台2上でX方向に延びる固定レール34と、この固定レール34にX方向に移動自在に支持されたスライダ35と、このスライダ35をX方向に所定量だけ移動させるボールねじ式の駆動装置36と、前記スライダ35の上に固定された支持板37と、この支持板37の上に設けられた2組の第1のトレイ保持部38,38とによって構成されている。
前記2組の第1のトレイ保持部38は、上述したストッカー11に下方からトレイTを搬入したりストッカー11の下端部からトレイTを搬出するためのもので、複数のストッカー11の並設ピッチと同一のピッチとなるようにX方向に並べられている。
これらの第1のトレイ保持部38は、前記支持板37の上にY方向に並ぶ状態で固定された第1のシリンダ41および第2のシリンダ42と、これらのシリンダ41,42のX方向の両側において前記支持板37に立設された一対の縦板43,43とによって構成されている。これらの縦板43の内側には、前記移送手段33の一部を構成する一対のベルトコンベア44,44が設けられている。
前記第1および第2のシリンダ41,42は、ピストンロッド41a,42aが上下方向に移動するように前記支持板37に固定され、ピストンロッド41a,42aによって後述するトレイ支承部材45を昇降させる。このトレイ支承部材45と第1および第2のシリンダ41,42によって本発明でいう第1の昇降装置が構成されている。
これらの第1および第2のシリンダ41,42のうち装置後側(図2においては右側)に位置する第1のシリンダ41のピストンロッド41aの移動ストロークは、第2のシリンダ42のピストンロッド42aの移動ストロークより長くなるように形成されている。このように移動ストロークが異なる2種類のシリンダ41,42を装備しているのは、後述するようにトレイ支承部材45の上昇位置を相対的に高い位置と相対的に低い位置との2段階に切換えるためである。
前記トレイ支承部材45は、トレイTの下面を支承するためのもので、平面視においてY方向に長くなる長方形状に形成されており、前記支持板37または縦板43に設けられた昇降ガイド(図示せず)によって昇降自在に支持されている。また、このトレイ支承部材45は、図9〜図12に示すように、後述する一対のベルトコンベア44,44の間にこれらのベルトコンベア44に対して接触することがないように挿入されている。なお、図9〜図12においては、第1の支持装置30の動作を理解し易いように、トレイ支承部材45は模式的に描いてある。
さらに、このトレイ支承部材45の平面視における大きさは、例えば図9(b)に示すように、第1のトレイ保持部38が前記ストッカー11の直下に位置決めされている状態でトレイ支承部材45が上昇することによって、このトレイ支承部材45がストッカー用フレーム25のトレイ出し入れ口26内に入ることができるような大きさに形成されている。
このように形成されたトレイ支承部材45は、第1のシリンダ41と第2のシリンダ42の駆動により、ベルトコンベア44の搬送面より低くなるような待機位置(図2参照)と、前記搬送面より高い位置であってストッカー11の下端部近傍の後述する上昇位置との間で昇降する。
第1のシリンダ41によってトレイ支承部材45を上昇させた場合のトレイ支承部材45の上昇位置は、例えば図12(a)に示すように、ストッカー11内の最も下に位置するトレイTがトレイ支承部材45によって前記フック24より上に押し上げられるような位置に設定されている。一方、第2のシリンダ42によってトレイ支承部材45を上昇させた場合のトレイ支承部材45の上昇位置は、図10(a)に示すように、フック24に支持されたストッカー11内の最も下に位置するトレイTに、トレイ支承部材45に載せられたトレイTが下から重ねられるような位置に設定されている。
前記第1の支持装置30側のベルトコンベア44は、トレイTの両側部を支承しながらトレイTをY方向に搬送する構造が採られており、図2に示すように、搬送面が水平になるように前記縦板43に装着されている。
前記第2の支持装置31は、図1および図8に示すように、X方向に並ぶ3組の第2のトレイ保持部51と、これらの第2のトレイ保持部51をX方向に移動させる部品領域移動装置52とから構成されている。前記第2の支持装置31の基台2上のX方向の位置は、前記複数のストッカー11,11‥‥のうちX方向一方の端から他方の端に至る領域内であって、かつ部品移動装置3あるいは部品移動装置4のいずれかの吸着ノズルが到達可能な領域内に位置付けられている。このX方向領域内に検査用ソケット6も位置付けられている。
前記3組の第2の支持装置31には、未検査の電子部品5が収納された未検査品用トレイT1と、検査後に良品であると判定された電子部品5を収納する良品用トレイT2と、検査後に不良品であると判定された電子部品5を収納する不良品用トレイT3とが支持されている。なお、この第2のトレイ保持部51の台数は3台に限定されることはなく、必要に応じて増加したり減少させたりすることができる。
各第2のトレイ保持部51は、図1、図2、図7および図8に示すように、後述する部品領域移動装置52の板状支持台53の上に設けられたトレイ昇降用シリンダ54と、X方向に間隔をおいて互いに対向するように前記板状支持台53の上に立設された一対の縦板55と、前記2枚の縦板55,55の上端部どうしの間に横架された前側受圧板56および後側受圧板57と、前記縦板55のY方向の途中の部位に設けられた一対の側部ガイド部材58,58と、装置後側の端部に設けられたトレイ用ストッパー59{図7(a)参照}などによって構成されている。前記縦板55の内側には、前記移送手段33の一部を構成するベルトコンベア60が設けられている。
前記トレイ昇降用シリンダ54は、ピストンロッド54aが上下方向に移動するように板状支持台53の上に固定され、ピストンロッド54aによって後述するトレイ昇降用プレート61を昇降させる。なお、図7はシリンダ54を支持する部材を省略して描いてある。
前記トレイ昇降用プレート61は、トレイTの下面を支承するためのもので、平面視においてY方向に長くなる長方形状に形成されており、前記板状支持台53に昇降ガイド62によって昇降自在に支持されている。このトレイ昇降用プレート61は、前記一対のベルトコンベア60,60の間にこれらのベルトコンベア60に対して接触することがないように挿入されている。
このように形成されたトレイ昇降用プレート61は、前記シリンダ54の駆動により、ベルトコンベア60の搬送面より低くなるような待機位置(図2参照)と、前記搬送面より高い位置であってトレイTが後述する前側受圧板56と後側受圧板57とに押付けられるような上昇位置との間で昇降する。
前記縦板55は、ベルトコンベア60を前端部から後端部にわたって側方から囲むような長さに形成されている。
前記ベルトコンベア60は、トレイTの両側部を支承しながらトレイTをY方向に搬送し、第2のトレイ保持部51内へのトレイTの搬入と第2のトレイ保持部51からのトレイTの搬出とを行うためのものである。このベルトコンベア60の駆動軸63は、3組の第2のトレイ保持部51をX方向に貫通するように形成され、これらの第2のトレイ保持部51の全てのベルトコンベア60を同時に駆動する。なお、ベルトコンベア60の搬送面の高さは、第1の支持装置30側に位置するベルトコンベア44の搬送面の高さと等しくなるように形成されている。
前記前側受圧板56と後側受圧板57は、トレイTの上下方向の位置を決めるともにトレイTの歪みを矯正するためのものである。これらの前側受圧板56と後側受圧板57の下面は、前記シリンダ54とトレイ昇降用プレート61とによって上昇させられたトレイTの上面が下方から当接するように平坦に形成されている。前記前側受圧板56には、図7(a)に示すように、ベルトコンベア60によって搬入されたトレイTの端部を検出するための光学式センサ64が設けられている。
前記側部ガイド部材58は、トレイTのX方向の位置を決めるためのもので、図1に示すように、平面視において縦板55の上端部からベルトコンベア60の上方へ延びるように形成されている。この側部ガイド部材58の延在部分の下面は、図示してはいないが、上方に向かうにしたがって次第に側部ガイド部材58の先端に向かうように傾斜している。すなわち、ベルトコンベア60によって第2のトレイ保持部51内に搬入されたトレイTが前記シリンダ54とトレイ昇降用プレート61とによって上昇させられることにより、このトレイTは、側部ガイド部材58の前記下面に両側部が下方から接触し、一対の側部ガイド部材58によってX方向に位置決めされる。
前記トレイ用ストッパー59は、ベルトコンベア60によって第2のトレイ保持部51内に搬送されたトレイTの搬送方向の位置を決めるためのもので、図7(a)に示すように、トレイTの後端面(第2のトレイ保持部51内に搬入されるトレイTの進行方向前側の端面)が当接する縦面が形成されている。このトレイ用ストッパー59は、前記板状支持台53または縦板55にブラケット(図示せず)を介して支持されている。
前記部品領域移動装置52は、図1、図2、図7(b)および図8に示すように、基台2上でX方向に延びる一対の固定レール65と、これらの固定レール65にX方向に移動自在に支持されたスライダ66と、このスライダ66に支持された前記板状支持台53と、この板状支持台53と前記スライダ66とをX方向に移動させるボールねじ式の駆動装置67(図8参照)とから構成されている。このボールねじ式の駆動装置67は、図1および図2に示すように、前記両固定レール65,65どうしの間でX方向に延びるボールねじ軸67aを回転させ、このボールねじ軸67aに螺合するとともに板状支持台53に一体的に設けられたナット部材67bを移動させる。
前記移送手段33は、図1および図2に示すように、前記第1の支持装置30に装備された前記ベルトコンベア44,44と、前記第2の支持装置31に装備された前記ベルトコンベア60,60と、前記両装置30,31の間に位置する中継用コンベア32とから構成されている。
この中継用コンベア32は、基台2に支持された一対の縦板68,68を有するフレーム69と、前記縦板68の内側に設けられた一対のベルトコンベア70,70とから構成されている。このベルトコンベア70は、トレイTの両側部を支承しながらトレイTをY方向に搬送するように構成されている。この中継用コンベア32は、上述した第1のトレイ保持部38のベルトコンベア44と、第2のトレイ保持部51のベルトコンベア60との間でトレイTの受け渡しを行うように構成されている。また、この中継用コンベア32のベルトコンベア70は、前記両ベルトコンベア44,60とトレイTの搬送方向が一致するように動作する。
前記第1の部品移動装置3と第2の部品移動装置4は、基台2のY方向に延びる中心線に対して線対称となるように形成されている。このため、ここにおいては、図1において左側に位置する第1の部品移動装置3について説明し、第2の部品移動装置4については、第1の部品移動装置3と同一符号を付して詳細な説明は省略する。
第1の部品移動装置3は、図1〜図6に示すように、基台2のX方向の端部上でY方向に延びる一対の固定レール14,14と、これらの固定レール14にY方向に移動自在に支持されたY方向移動部材71と、このY方向移動部材71をY方向に移動させるボールねじ式の第1のY方向駆動装置72と、前記Y方向移動部材71にX方向に移動自在に支持された支持部材73(図3参照)と、この支持部材73を前記Y方向移動部材71に対してX方向に移動させるボールねじ式の第1のX方向駆動装置74(図3参照)と、前記支持部材73に設けられたヘッドユニット75などによって構成されている。この第1の部品移動装置3と第2の部品移動装置4の前記駆動装置72,74と、後述するヘッドユニット75内の各装置の動作は、後述する制御手段200によって制御される。
前記固定レール14は、図1に示すように、基台2上に複数設けられたストッカー11のうち最も外側に位置するストッカー11とX方向の同一位置であって、かつ前記最も外側に位置するストッカー11から装置の後方に離間するような位置に配設されている。
前記Y方向移動部材71は、図3に示すように、前記固定レール14,14にスライド部材(図示せず)を介して接続された基部71aと、この基部71bの上端部から側方(図3においては右方)に突出する一対の腕部71bとを備えている。これらの腕部71bは、Y方向に間隔をおいて並ぶように設けられており、ガイド部材71cを介して前記支持部材73をX方向に移動自在に支持している。前記ガイド部材71cは、支持部材73に設けられたレール73aを上方から支える構造が採られている。
前記Y方向移動部材71をY方向に駆動する第1のY方向駆動装置72は、図1に示すように、Y方向に延びる状態で前記固定レール14に対して回転自在に支持されたボールねじ軸76と、このボールねじ軸76の途中に螺合しかつY方向移動部材71に固着したナット部材(図示せず)と、前記ボールねじ軸76における装置後側の端部に接続されたモータ79などによって構成されている。
前記支持部材73は、図3に示すように、開口73bを有する平面視長方形の板状に形成されており、Y方向の両端部が前記レール73aを介して前記Y方向移動部材71に支持されている。
この支持部材73をX方向に駆動する第1のX方向駆動装置74は、図3に示すように、Y方向移動部材71の上部に設けられたモータブロック81と、このモータブロック81に回転自在に支持されたボールねじ軸82と、このボールねじ軸82に螺合しかつ支持部材73に固着したナット部材82aと、前記ボールねじ軸82の一端部(第1の部品移動装置3においては左側の端部)に接続されたモータ83などによって構成されている。前記ナット部材82aは、支持部材73における開口73bを有する枠状部84とは反対側の端部に取付けられている。
前記ヘッドユニット75は、図1および図4に示すように、前記枠状部84のX方向延在部分84aに取付けられた4個の単位ユニット85によって構成されている。
これらの4個の単位ユニット85は、図1に示すように、平面視において前記4個の検査用ソケット6と同様にX方向とY方向とに並べられている。この実施の形態によるヘッドユニット75には、前記検査用ソケット6を上方から撮像するためのヘッド側撮像装置86,87が設けられている。ヘッド側撮像装置86は検査ソケット6の撮像に用いられ、ヘッド側撮像装置87は第2の支持装置31に搬送されるトレイTの撮像に用いられる。所定のタイミングで撮像されるトレイTの所定の凹陥部あるいはフィデューシャルマークの位置から、ベルトコンベア60の搬送誤差、ボールねじ式駆動装置67の駆動量の補正量が算出される。これら補正量が加味されて、部品領域移動装置52上の各トレイTは、電子部品5の吸着、載置に際して正しい位置に配置される。
これらの撮像装置86,87は、前記枠状部84のY方向の両端部に設けられている。
前記各単位ユニット85は、図6に示すように、前記枠状部84の前記X方向延在部分84aに取付けられたX方向支持部材91と、このX方向支持部材91の下部にX方向に移動自在に装着されたX方向スライダ92と、このX方向スライダ92をX方向に駆動するボールねじ式の第2のX方向駆動装置93と、前記X方向スライダ92の下部に一体に形成されたY方向支持部材94と、このY方向支持部材94の下部にY方向に移動自在に装着されたY方向スライダ95と、このY方向スライダ95をY方向に駆動するボールねじ式の第2のY方向駆動装置96と、前記Y方向スライダ95の下部にブラケット97を介して取付けられたZ方向支持部材98と、このZ方向支持部材98にZ方向に移動可能に支持された吸着ヘッド99と、この吸着ヘッド99を昇降させるZ方向駆動装置100などによって構成されている。この単位ユニット85によって、本発明でいう吸着ノズル移動装置が構成されている。
前記X方向支持部材91とX方向スライダ92との間と、Y方向支持部材94とY方向スライダ95との間には、いわゆるクロスローラガイドなどの直動案内用の部材101が介装されている。前記第2のX方向駆動装置93は、X方向支持部材91にX方向に延びる状態で回転自在に支持されたボールねじ軸102と、このボールねじ軸102の一端部に接続されたモータ103(図4〜図6参照)と、ボールねじ軸102の途中に螺合しかつX方向スライダ92に固着したナット部材104とから構成されている。この第2のX方向駆動装置93のモータ103は、図4に示すように、前記枠状部84のX方向延在部分84aに沿うように装備されている。
前記第2のY方向駆動装置96は、図6に示すように、Y方向に延びる状態で前記Y方向支持部材73に回転自在に支持されたボールねじ軸110と、このボールねじ軸110の一端部に接続されたモータ111と、前記ボールねじ軸110の途中に螺合しかつY方向スライダ95に固着したナット部材112とから構成されている。この第2のY方向駆動装置96のモータ111は、図4に示すように、前記枠状部84からY方向の両側に突出するように装備されている。
この第2のY方向駆動装置96と前記第2のX方向駆動装置93は、上述した第1のY方向駆動装置72と第1のX方向駆動装置74に較べてナット部材104,112の移動量が少なくなり、またナット部材104,112の位置(従動側の部材の位置)を決める際の分解能が高くなるように構成されている。
前記Z方向支持部材98は、図6に示すように、Z方向に延びる筒状に形成されており、内部に後述するZ方向駆動装置100のボールねじ軸113と、後述する吸着ヘッド99を昇降自在に支持するガイド部材(図示せず)などを収容している。
Z方向駆動装置100は、図6に示すように、Z方向に延びる状態で前記Z方向支持部材98に回転自在に支持された前記ボールねじ軸113と、Z方向支持部材98の上端部に支持されかつ前記ボールねじ軸113の上端部に接続されたモータ114と、前記ボールねじ軸113の途中に螺合しかつ後述する吸着ヘッド99に結合されたナット部材115とから構成されている。
前記吸着ヘッド99は、図6に示すように、前記Z方向支持部材98のガイド部材に嵌合するとともにZ方向駆動装置100のナット部材115に結合されたハウジング121と、Z方向に延びる状態で前記ハウジング121の内部に回転自在に支持されたシャフト122と、このシャフト122を回転させるモータ123を有する回転駆動装置124と、前記シャフト122の下端部に着脱可能に取付けられた吸着ノズル125とを備えている。前記シャフト122は、中空状に形成されており、空気吸引装置(図示せず)に接続されている。
前記吸着ノズル125は、下端に吸着面が形成され、前記シャフト122ともに前記ハウジング121に対してZ方向の軸線回りに回動できるように構成されている。
すなわち、この単位ユニット85は、図5に示すように、支持部材73に対してX方向と、Y方向と、Z方向とに吸着ノズル125を移動させるとともに、Z方向の軸線回りに吸着ノズル125を回動させる。
この吸着ノズル125を含めこのICハンドラー1の動作を制御する制御手段(図示せず)は、検査装置本体7内の制御装置と不図示の連係用ケーブルで結ばれ、複数の検査用ソケット6への各電子部品5の各吸着ノズル125による装着が終了した情報を検査装置本体7内の制御装置に伝達し、検査装置本体7内の制御装置は検査が終わったことと検査結果の情報を、前記制御手段へ伝達する。
また、ICハンドラー1の制御手段は、検査が終わったことと検査結果の情報を受けて、検査済みの電子部品5が良品である場合には良品用トレイT2へ、不良品である場合には不良品用トレイT3にそれぞれ電子部品5を移載するように、ヘッドユニット75を制御する。
次に、上述したように構成されたICハンドラー1の動作について説明する。このICハンドラー1によって、電子部品5を検査用ソケット6に装填するためには、先ず、ストッカー11から第1の支持装置30と第2の支持装置31とによって未検査品用トレイT1を部品領域Bに搬送し、第1または第2の部品移動装置3,4によって前記トレイT1の上の電子部品5を検査用ソケット6に移動させる。
ストッカー11から未検査品用トレイT1を第1の支持装置30に移載するためには、先ず、図9(a)に示すように、所望のストッカー11の下方に第1のトレイ保持部38を移動させ、第1のシリンダ41によってトレイ支承部材45を上昇位置に上昇させるとともに、第2のシリンダ42を伸長状態とする。このとき、前記トレイ支承部材45はストッカー11内の最も下に位置するトレイT1に接触する。次に、同図(b)に示すように、ストッカー11のフック24を後退させ、同図(c)に示すように、第1のシリンダ41のピストンロッド41aを下降させる。
このピストンロッド41aの下降により、トレイ支承部材45とストッカー11内の多数のトレイTが下降し、第2のシリンダ42のピストンロッド42aによって支承されるようになる。その後、図10(a)に示すように、前記フック24を前進させ、同図(b)に示すように、第2のシリンダ42のピストンロッド42aを下降させる。このようにピストンロッド42aが下降することにより、トレイ支承部材45とトレイT1とが下がり、トレイT1がベルトコンベア44上に支承される。
次に、このベルトコンベア44と、中継用コンベア32のベルトコンベア70と、第2のトレイ保持部51のベルトコンベア60とを同一方向に動作させる。これらのベルトコンベア45,60,70が動作することにより、前記トレイT1は、ストッカー11の下方から中継用コンベア32を通って第2の支持装置31内に搬送される。なお、このとき、第2の支持装置31においては、第2のトレイ保持部51のトレイ昇降用プレート61を待機位置に位置付けておく。
3組の第2のトレイ保持部51のうち他の2組の第2のトレイ保持部51には、良品用トレイT2と不良品用トレイT3とを上述した動作と同様の動作により搬送する。このときには、部品領域移動装置52によって第2のトレイ保持部51をX方向に移動させ、良品用トレイT2または不良品用トレイT3を搬入する第2のトレイ保持部51を中継用コンベア32の搬送方向の下流側に位置付ける。
トレイT1が第2のトレイ保持部51内に搬入され、センサ64によってトレイT1の搬送方向後側の端部が検出されることにより、前記ベルトコンベアが停止する。また、このときには、トレイT1の搬送方向前側の端部がストッパー59に当接することによって、トレイT1が搬送方向(Y方向)に位置決めされる。このようにベルトコンベア60が停止した後、第2のトレイ保持部51のシリンダ54によってトレイ昇降用プレート61とともにトレイT1を上昇させる。
このようにトレイT1が上昇すると、このトレイT1は、一対の側部ガイド部材58,38によってX方向に位置決めされ、前側受圧板56および後側受圧板57とトレイ昇降用プレート61とによって挟圧されることにより歪みが矯正される。このため、トレイT1は、第2のトレイ保持部51にX方向とY方向とに位置決めされた状態で保持される。
このように第2の支持装置31によってトレイTがストッカー11から検査用ソケット6側に移動することにより、トレイTは検査用ソケット6にY方向に移動し検査用ソケット6に接近することになる。特に、X方向に並ぶ複数のストッカー11のうち、例えばX方向の両端に位置するストッカー11のトレイは、X方向のみならずY方向においても検査用ソケット6に接近することになる。
トレイT1が第2のトレイ保持部51に保持された後、第1の部品移動装置3または第2の部品移動装置4の第1のX方向駆動装置74と第1のY方向駆動装置72との駆動によりヘッドユニット75がトレイT1の上方に移動する。その後、Z方向駆動装置100の駆動により各吸着ヘッド99が下降して4個の吸着ノズル125によってトレイT1上の4個の電子部品5を吸着する。このとき、ヘッドユニット75は、吸着ノズル125の位置(X方向とY方向のピッチ)がトレイT1の部品収納用凹陥部の位置(X方向とY方向のピッチ)と一致するように第2のX方向駆動装置93と第2のY方向移動装置96とを動作させる。そして、いずれかの基準とする吸着ノズル125が、この吸着ノズル125に対応することになる基準となる部品収納用凹陥部の真上に来るように、第1のY軸方向駆動装置72および第1のX軸方向駆動装置74を動作させて、ヘッドユニット75を移動制御する。
吸着ノズル125が電子部品5を吸着した後、第1のX方向駆動装置74と第1のY方向駆動装置72の駆動により、ヘッドユニット75は基台側撮像装置14の上方を通過してから検査用ソケット6の上方に移動する。
基台側撮像装置14の上方をヘッドユニット75が通過することにより、この基台側撮像装置14によって電子部品5が下方から撮像され、このICハンドラー1の図示していない制御装置によって、吸着ノズル125に対する電子部品5の位置が検出される。
ヘッドユニット75は、前記検出結果に基づいて電子部品5の位置を検査用ソケット6の位置と一致するように第2のX方向駆動装置93と第2のY方向駆動装置96とによって吸着ノズル125をX方向とY方向とに移動させる。また、このとき、ヘッドユニット75は、回転駆動装置124によって、Z方向の軸線回りの電子部品5の角度を検査用ソケット6の角度と一致するように調整する。
この吸着ノズル125の位置の修正は、ヘッドユニット75が検査用ソケット6の上方に移動するまでの間に実施される。なお、検査用ソケット6の位置は、ヘッドユニット75に設けられたヘッド側撮像装置86により検査用ソケット6を撮像することによって検出する。この撮像と検査用ソケット6の位置検出は、例えば検査用ソケット6の交換時に行う。
しかる後、ヘッドユニット75は、吸着ヘッド99を下降させて4個の電子部品5を同時に検査用ソケット6に装填する。このように検査用ソケット6に電子部品5が装填されることにより、部品検査装置7によって電子部品5に対して所定の検査が行われる。検査中には、他方の部品移動装置4が前記同様にトレイT1上の電子部品5を吸着し、検査用ソケット6の近傍に移動して前記検査が終了するまで待機する。
検査終了後、ヘッドユニット75は、検査用ソケット6から電子部品5を上昇させ、3個ある第2のトレイ保持部51のうち良品用トレイT2または不良品用トレイT3が位置する第2のトレイ保持部51の上方に移動し、これらのトレイT2,T3に電子部品5を移載する。この移載時にヘッドユニット75は、前記トレイT2またはトレイT3の部品収納用凹陥部の位置と現在の電子部品5の位置とが一致していない場合は、これが一致するように第2のX方向駆動装置93、第2のY方向駆動装置96および回転駆動装置124を動作させ、電子部品5の位置を修正する。そして、いずれかの基準とする吸着ノズル125が、この吸着ノズル125に対応することになる基準となる部品収納用凹陥部の真上に来るように、第1のY軸方向駆動装置72および第1のX軸方向駆動装置74を動作させて、ヘッドユニット75を移動制御する。
第2のトレイ保持部51に保持されている未検査品用トレイT1上の電子部品5が全て取出されこのトレイT1が空になったり、良品用トレイT2または不良品用トレイT3が検査後の電子部品5で満たされたときは、図8(a)に示すように、これらの返却用のトレイT4を一つずつ第2のトレイ保持部51から中継用コンベア32を介して2組の第1のトレイ保持部38のうち一方に移動させる。
次に、同図(b)に示すように、第1の支持装置30を動作させて2組の第1のトレイ保持部38をX方向に移動させ、他方の第1のトレイ保持部38を中継用コンベア32と対向させる。そして、同図(c)に示すように、前記他方の第1のトレイ保持部38に予め載せておいた新たなトレイT5を中継用コンベア32経由で前記第2のトレイ保持部51に搬送する。このように前記他方の第1のトレイ保持部38上から前記新たなトレイT5が搬出された後、前記一方の第1のトレイ保持部38を所定のストッカー11の下方に移動させ、返却用のトレイT4をストッカー11内に収納する。
返却用のトレイT4のストッカー11への収納は、図11および図12に示すように行う。すなわち、先ず、図11(a),(b)に示すように、第1の支持装置30の第2のシリンダ42によって返却用のトレイT4をストッカー11の最下端に位置する他のトレイTに下方から接触させ、ストッカー11のフック24を後退させる。この後、同図(c)に示すように、第1のシリンダ41によって、返却用のトレイT4とともに前記他のトレイTを含むストッカー11内の全てのトレイTをトレイ1枚分押上げ、図12(a)に示すように、フック24を前進させる。このようにフック24が前進した後に第1および第2のシリンダ41,42のピストンロッド41a,42aを下降させる。
このように構成されたICハンドラー1においては、ストッカー11のトレイTをトレイ支持装置12によって検査用ソケット6に近接するような位置(部品受け渡し位置)まで移動させることができる。また、このICハンドラー1においては、検査用ソケット6に近接する位置(部品受け渡し位置)にあるトレイTをトレイ支持装置12によって検査用ソケット6とはY方向の反対側に位置するストッカー11に移動させることができる。トレイTの交換のための移動は必要ではあるが頻度は少なく、一方、検査毎に必要となる電子部品の移動は距離を短くしている。したがって、このICハンドラー11によれば、従来のICハンドラーに較べて部品移動装置の移動する距離が短くなり、タクトタイムを短縮することができる。また、トレイTと検査用ソケット6との間の電子部品5の移動は、第1および第2の部品移動装置3,4のみで実施しており、複数の部品装置を使うものに較べて電子部品5の損傷が起き難い。
この実施の形態によるICハンドラー1においては、部品移動装置3,4が電子部品5を吸着、載置する複数のトレイTは、検査用ソケット6とストッカー11との間にX方向に並ぶ状態で配設されている。このため、このICハンドラー1では、これらの全てのトレイTと検査用ソケット6との距離を略同一とすることができる。したがって、この実施の形態によるICハンドラー1によれば、前記吸着、載置を行うためにトレイTを越えて検査用ソケット6とは反対側へ部品移動装置の吸着ノズルが移動するような構成の従来のICハンドラーに較べて、電子部品5の吸着→移動→検査→載置という一連の検査動作を行う際のタクトタイムを短縮することができる。
また、この実施の形態によるICハンドラー1によれば、第1の支持装置30のストッカー11へのトレイTの出入れ動作と、第2の支持装置31のトレイT上での部品移動装置3,4の電子部品5の吸着、載置動作とを同時に行うことができる。したがって、第2の支持装置31上でトレイTに対して電子部品5の吸着または載置が行われているときに動作の対象ではないトレイTをストッカー11に対して出し入れすることができる。このため、トレイTを交換するために電子部品5の吸着、載置を行う動作を停止させる必要がないから、より一層タクトタイムを短縮することができる。
この実施の形態によるICハンドラー1においては、第1の部品移動装置3と第2の部品移動装置4とを備え、これらの第1、第2の部品移動装置3,4は、電子部品5を検査用ソケット6に交互に装填するように対称に配設されている。このため、この実施の形態によるICハンドラー1によれば、一方の部品移動装置によって電子部品5を検査用ソケット6に装填し保持している間に(検査中に)他方の部品移動装置によって次の電子部品5を準備しておくことができる。
この実施の形態によるICハンドラー1において、第1の部品移動装置3および第2の部品移動装置4は、吸着ノズル125を昇降させるとともに回動させる吸着ヘッド99と、この吸着ヘッド99を複数支持するヘッドユニット75と、このヘッドユニット75を水平方向に移動させるヘッドユニット75用の移動装置(第1のX方向駆動装置74と第1のY方向駆動装置72など)とを備えている。このため、この実施の形態によるICハンドラー1においては、複数の電子部品5,5を複数の検査用ソケット6,6に一度に装填することができるから、電子部品を一つずつ検査用ソケットに装填する構成のICハンドラーに較べて検査の能率が高くなる。
本発明に係るICハンドラーは、図14ないし図19に示すように構成することができる。図14はICハンドラーの他の形態を示す平面図、図15は図14におけるXV−XV線断面図、図16〜図19はICハンドラーの他の形態を示す平面図である。これらの図において、前記図1〜図13によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図14と図15に示すICハンドラー1は、基台側撮像装置14の構成が異なるだけで他の部材は図1〜図13に示すICハンドラー1と同等の構成が採られている。図14と図15に示すICハンドラー1は、基台側撮像装置14を1台のみ備えている。この基台側撮像装置14は、ボールねじ式の駆動装置201によってX方向に移動するように構成されている。
この構成を採ることにより、基台側撮像装置14をヘッドユニット75に接近するように移動させることができるから、部品吸着後にヘッドユニット75を検査用ソケット6に向けて一直線状に移動させることができる。このため、このICハンドラー1によれば、タクトタイムをより一層短縮することができる。
図16〜図19に示すICハンドラー1は、部品移動装置を一台のみ備えている。図16に示す部品移動装置202は、図1〜図13に示すICハンドラー1に用いられている第1の部品移動装置3と同一の構造のものである。
図17に示す部品移動装置203は、基台2のX方向の両端部に固定レール204が設けられ、これらの固定レール204上に横架されるように支持部材205が設けられている。この支持部材205は、固定レール204にY方向に移動自在に支持されるとともに、ボールねじ式の第1のY方向駆動装置206によってY方向に移動する。この支持部材205は、X方向に延びるレール207を備え、このレール207によってヘッドユニット75をX方向に移動自在に支持している。
このヘッドユニット75は、支持部材205に設けられたボールねじ式の第1のX方向駆動装置208によってX方向に移動する。この実施の形態によるヘッドユニット75は、レール207にX方向に移動自在に支持されかつ支持部材205から装置前方に延出するように形成された移動部材209に支持されており、支持部材205のY方向への移動によりY方向に移動し、移動部材209のX方向への移動により支持部材205の上でX方向に移動する。このため、この実施の形態においては、図1〜図17で示した形態を採るときに使用した支持部材73は使用されておらず、単位ユニット85は移動部材209に直接取付けられている。
図18と図19に示すICハンドラー1は、図1〜図17で示す各ICハンドラー1で用いられている中継用コンベア32を装備しておらず、第1の支持装置30と第2の支持装置31との間でトレイTが直接移動するように構成されている。図18に示すICハンドラー1の部品移動装置210は、ストッカー11と第2のトレイ保持部51との間と、基台2の後端部とに固定レール211が設けられ、この固定レール211に支持部材212がX方向に移動自在に支持されている。この支持部材212は、ボールねじ式の第1のX方向駆動装置213によってX方向に移動する。また、この支持部材212は、Y方向に延びるレール214を備え、このレール214によってヘッドユニット75をY方向に移動自在に支持している。ヘッドユニット75は、前記支持部材212に設けられた第1のY方向駆動装置215によってY方向に移動する。
この実施の形態によるヘッドユニット75は、レール214にY方向に移動自在に支持されかつ支持部材212から装置左側に延出するように形成された移動部材216に支持されており、支持部材212のX方向への移動によりX方向に移動し、移動部材216のY方向への移動により支持部材212の上でY方向に移動する。このため、この実施の形態においては、図1〜図17で示した形態を採るときに使用した支持部材73は使用されておらず、単位ユニット85は移動部材216に直接取付けられている。
図19に示すICハンドラー1の部品移動装置220は、ヘッドユニット75の延びる方向が異なる他は図17に示した部品移動装置203と同等の構成が採られている。このため、ここでは同一符号を付して詳細な説明は省略する。図19に示すヘッドユニット75は、支持部材205から装置前方に延出するように形成されている。
上記各実施の形態においては、ICハンドラーは、テストヘッド8が基台2に脱可能に固着されている。このため、テストヘッド8を基台2に装着して部品検査をすれば、基台が載置される床に基台から遊離してテストヘッドを載置するICハンドラーに較べ、外部環境の振動が床に伝達される場合であっても検査用ソケット6への吸着ノズル125の位置合わせを正確に実施できる。
ICハンドラー1内の制御装置と検査装置本体7とは、不図示の信号線で連結され、ICハンドラー1は、電子部品5の検査時、検査装置本体7と連係して動作するので、検査装置本体7をICハンドラー1の一部としても良い。この場合、動作プログラムを一つで構成したり、制御装置を一つにまとめることが有効である。また、検査装置本体7を床に載置するのではなく、基台2の不図示の下部構造部材に載置させるようにしても良い。これにより、部品検査装置としての動作検査を、ICハンドラー1の生産向上で実施することもできる。また、一体としての運搬もできる。
テストヘッド8は、基台2に脱可能に固着され、検査用ソケット6と検査装置本体7とを結ぶ不図示の検査用ケーブルはいずれか一端あるいは中間部に不図示のコネクタが配置されるので、検査対象の電子部品5が変更されるに対応して、検査用プログラムの変更を除けば、交換検査装置本体7に影響を与えることなく簡単にテストヘッド8の交換により、部品検査を実施することができる。ICハンドラー1内の制御装置と検査装置本体7の制御装置とは、不図示の信号線で情報の受け渡しを行い、それぞれの部品移載プログラムと部品検査プログラムを連係は取りながら並列実施しても良いが、ICハンドラー1内の制御装置で、部品移載制御と、部品検査制御の両方を実施させるようにしても良い。
1…ICハンドラー、3…第1の部品移動装置、4…第2の部品移動装置、5…電子部品、6…検査用ソケット、11…ストッカー、12…トレイ支持装置、30…第1の支持装置、31…第2の支持装置、32…中継用コンベア、33…移送手段、75…ヘッドユニット、99…吸着ヘッド、125…吸着ノズル、202,203,210,220…部品移動装置、A…検査領域、B…部品領域、T,T1〜T5…トレイ。