JP4592786B2 - アンテナ装置及びレーダ - Google Patents
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Description
このものの場合、周縁部をネジやリベット等の締結部材で締結したとき、この締結部材の締結力により、各積層板間に隙間が生じてしまい、積層板を積層して形成された導波管部の隙間から電磁波が漏洩し、伝送損失が増えるばかりでなく、他の導波管部とのアイソレーションが悪化する等の不具合が発生する。
また、隙間から電磁波が漏洩することで、励振位相誤差が生じ、アンテナの指向特性が低下するという問題点もあった。
電磁波の導通を確保する手段として、特許文献1には導電性ゴムによる接合、特許文献2には導電性接着剤によるもの、特許文献3には接着シートや接着剤に導電性バンプを組み合わせるものが記載されている。
また、特許文献4には、間隙を生じたとしても近接部のチョーク構造によって擬似的にショートして高周波信号を漏洩させない手段が記載されている。
また、バンプ構造によるものは、バンプ部以外の個所で導通が確保できないという問題点や、ミリ波帯で使用される場合、小型の導波管部に対してはバンプを形成できない等の問題点があった。
また、チョーク構造によるものは、経年変化や温度特性の工作面では有利であるが、導波管部に近接してチョーク溝を構成する場所を確保しなければならず小型化が困難である問題や、微小チョーク溝を非常に高いコストで実現しなければならないといった問題点もあった。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1のパッチアンテナ装置を示す平面図、図2は図1のA―A線に沿った矢視断面図、図3は図2の分解図である。
このパッチアンテナ装置は、ベース用伝送線路部3bを有するベース1と、このベース1上に載置された複数の矩形形状の積層板2を積層するとともにベース用伝送線路部3bと導通した積層体用伝送線路部3aを有する積層体4と、この積層体4に載置され、電磁波を放出し、または受け取るアンテナ本体5と、アンテナ本体5及び積層体4の両端部に全領域にわたって延びた平面部材7と、四隅にそれぞれ設けられベース1、積層体4及びアンテナ本体5を結合した締結手段である結合ネジ8とを備えている。なお、この結合ネジ8については、リベット等の他の締結部材を用いてもよい。
この矩形状の曲面板12は、長手方向に沿って曲面形状であり、短手方向に沿っては直線状であるが、矩形状の曲面板は、短手方向に沿って曲面形状であり、長手方向に沿っては直線状であってもよい。
上記平面部材7は、片側が折曲した折曲部13及び前後に折曲された折曲部14を有しており、この折曲部13,14により、ベース1、積層体4及びアンテナ本体5の左右及び前後の両端面の位置決めされる。
なお、ベース1、積層板2、アンテナ素子板6、曲面板12は、導体で構成されているが、誘電体基板の外表面に導電体の薄板を貼り付けたものでもよい。
なお、外部からの電磁波をアンテナ素子が受け取るパッチアンテナ装置であってもよい。
Y=16YmaxX(X3−2LX2+L3)/(5L4)・・・(1)
但し、Y:曲面板12の撓み量、X:曲面板12の2つの固定点を結んだ線上における片方の固定点からの距離、Ymax:曲面板12の最大撓み量、L:曲面板12の両固定点間の距離。
このために、平面部材7を用いた結合力は、一辺当たり、次式(2)で求められる値に設定されている。
192Ebh3Ymax/(60L3)・・・・・(2)
但し、E:平面部材7の縦弾性係数、b:曲面板12の直線辺の長さ、h:平面部材7の厚み、Ymax:曲面板12の最大撓み量、L:曲面板12の両固定点間の距離。
従って、このパッチアンテナ装置は、簡単な構造で、ベース1と積層板2との間、各積層板2間、積層板2とアンテナ素子板6との間、アンテナ素子板6と曲面板12との間の各隙間の発生が防止され、低コスト、小型でかつ長期にわたって信頼性が確保される。
図4はこの発明の実施の形態2のスロットアンテナ装置を示す平面図、図5は図4の正断面図、図6は図4の部分側断面図である。
このスロットアンテナ装置は、ベース用導波管部20bを有するベース1と、このベース1に載置された複数の積層板2が積層されてベース用導波管部20bと連通した積層体用導波管部20aが形成された積層体4と、この積層体4に載置され、電磁波を放出し、または受け取るスロット23を有するアンテナ素子板22とを備え、ベース1、各積層板2及びアンテナ素子板22が互いに面接触により結合されている。
このアンテナ素子板22は、組立前の状態ではベース1側に突出した、長手方向に沿って曲面の弧状の弾性板状部材で構成されている。
この他の構成は、実施の形態1のパッチアンテナと同じである。
このものの場合、アンテナ素子板22の弾性力に各積層板24の撓み変形による弾性力も加わり、それだけ各板状部材間の面接触の結合力がより増大し、各板状部材間での隙間の発生がより確実に防止され、各板状部材間の導通がより確実に確保される。
また、このアンテナ素子板22、積層板24は、長手方向に沿って曲面形状であり、短手方向に沿っては直線状であるが、矩形状のアンテナ素子板、積層板は、短手方向に沿って曲面形状であり、長手方向に沿っては直線状であってもよい。
また、各積層板のみ弧状の弾性板状部材で構成してもよい。
図9はこの発明の実施の形態3のスロットアンテナ装置を示す要部分解斜視図である。
この実施の形態では、アンテナ素子板25及び各積層板2は、組立前の状態ではベース1側に突出した弾性変形する複数の切り起こし片26を有している。
このものの場合、結合ネジ8により、ベース1、各積層板2及びアンテナ素子板25が結合されたときには、切り起こし片26の撓み変形による弾性力が生じ、この弾性力がアンテナ素子板25、各積層板2及びベース1の各板状部材間の面接触の結合力として寄与し、板状部材間で隙間が生じるのが防止され、各板状部材間の導通が確保される。
なお、この実施の形態では、切り起こし片26による接触面の面圧を等分布にするために、次式(3)の関係が成立する曲面を有する切り起こし片26が形成されている。
但し、Y:切り起こし片26の撓み量、X:切り起こし片26の基点から積層板2の平面に沿った方向における距離、Ymax:切り起こし片26の最大撓み量、L:切り起こし片26の全長。
図10はこの発明の実施の形態4のスロットアンテナ装置を示す平面図、図11は図10の部分正断面図、図12は図11の分解図である。
この実施の形態では、中間層の積層板27は、組立前の状態では、山部と谷部とが交互に繰り返された波形形状である弾性板状部材で構成されている。重なった積層板27同士は、一方の積層板27の山部と他方の積層板27の谷部とが当接し、この当接した部位間に、積層体用導波管部20aが形成されている。
矩形状の積層板27の両短辺側に、それぞれ平面部材7が設けられている。この平面部材7の両端部には、ベース1、積層板2,27及びアンテナ素子板22を結合する結合ネジ8が螺着されている。
この他の構成は、実施の形態2と同じである。
また、積層板27の波の山部と谷部とが当接した当接部間に、積層体用導波管部20aが形成されているので、隣接した積層体用導波管部20a間で電磁波が漏洩するのをより確実に防止することができる。
図13はこの発明の実施の形態5の導波管給電アンテナ装置を示す斜視図である。
この導波管給電アンテナ装置は、ベース用導波路部(図示せず)を有するベース30と、このベース30に載置されベース用導波路部と接続された導波路本体用導波路部31を有する導波路本体38と、この導波路本体38に載置され、電磁波を放出し、または受け取るアンテナ素子板32を有するアンテナ本体とを備えている。
アンテナ素子板32は、等分間隔で複数のスロット33が形成されている。このアンテナ素子板32は、組立前の状態ではベース30側に突出した、長手方向に沿って曲面の弧状の弾性材で構成されている。
図示されていないが、図7に示した平面部材7、結合ネジ8と同様の部材、結合手段を用いて、ベース30、導波路本体36及びアンテナ本体は、一体に結合されている。
また、各部材間の接触面の結合力を増大させる手段として、実施の形態3で用いた切り起こし片26を用いてもよい。
このものの場合、導波路本体である同軸線路34上に載置されたアンテナ素子板32は、弧状の弾性板状部材で構成されている。図示されていないが、図7に示した平面部材7、結合ネジ8と同様の部材、結合手段を用いて、ベース30、同軸線路34及びアンテナ素子板32は、一体に結合されており、導波管給電アンテナ装置と同様の作用、効果を有する。
このものの場合、ベース30上に、導波路本体、電磁波を放出し、また受け取るアンテナ本体35が載置されている。アンテナ本体35は、弧状の弾性板状部材で構成され、図示されていないが、図7に示した平面部材7、結合ネジ8と同様の部材、結合手段を用いて、ベース30、アンテナ本体35は、一体に結合されており、導波管給電アンテナ装置と同様の作用、効果を有する。
図16はこの発明の実施の形態6のレーダを示す斜視図である。
このレーダは、図15に示した平面回路給電アンテナ装置が、導電性のリアケース37の側面に取り付けられた絶縁性のフロントカバー36内に収納されている。
なお、フロントカバー36内には、実施の形態1〜5の各アンテナ装置を収納して、レーダを構成してもよい。
Claims (10)
- ベース用伝送線路部を有するベースと、このベースに載置された複数の積層板が積層されているとともにベース用伝送線路部と導通した積層体用伝送線路部を有する積層体と、この積層体に載置され、電磁波を放出し、または受け取るアンテナ素子板を有するアンテナ本体とを備え、前記ベース、各前記積層板及び前記アンテナ素子板が互いに面接触により結合されたアンテナ装置において、
前記アンテナ本体は、組立前の状態では前記ベース側に突出した弧状の弾性板状部材で構成された曲面板を有しており、この曲面板の弾性力が前記面接触の結合に寄与しており、
矩形形状の前記弾性板状部材は、長手方向に沿って曲面形状であり、
前記弾性板状部材の辺が直線である対向した両端部は、それぞれ全領域にわたって延び、前記ベース、前記積層体及び前記アンテナ本体の各端面を位置決めする平面部材を用いて結合されていることを特徴とするアンテナ装置。 - ベース用導波管部を有するベースと、このベースに載置された複数の積層板が積層されて前記ベース用導波管部と連通した積層体用導波管部が形成された積層体と、この積層体に載置され、電磁波を放出し、または受け取るアンテナ素子板とを備え、前記ベース、各前記積層板及び前記アンテナ素子板が互いに面接触により結合されたアンテナ装置において、
前記積層板及び前記アンテナ素子板の少なくとも一方は、組立前の状態では前記ベース側に突出した弧状の弾性板状部材で構成され、この弾性板状部材の弾性力が前記面接触の結合に寄与しており、
矩形形状の前記弾性板状部材は、長手方向に沿って曲面形状であり、
前記弾性板状部材の辺が直線である対向した両端部は、それぞれ全領域にわたって延び、前記ベース、前記積層体及び前記アンテナ素子板の各端面を位置決めする平面部材を用いて結合されていることを特徴とするアンテナ装置。 - ベース用伝送線路部を有するベースと、このベースに載置された複数の積層板が積層されているとともにベース用伝送線路部と導通した積層体用伝送線路部を有する積層体と、この積層体に載置され、電磁波を放出し、または受け取るアンテナ素子板を有するアンテナ本体とを備え、前記ベース、各前記積層板及び前記アンテナ素子板が互いに面接触により結合されたアンテナ装置において、
前記アンテナ本体は、組立前の状態では前記ベース側に突出した弧状の弾性板状部材で構成された曲面板を有しており、この曲面板の弾性力が前記面接触の結合に寄与しており、
矩形形状の前記弾性板状部材は、短手方向に沿って曲面形状であり、
前記弾性板状部材の辺が直線である対向した両端部は、それぞれ全領域にわたって延び、前記ベース、前記積層体及び前記アンテナ本体の各端面を位置決めする平面部材を用いて結合されていることを特徴とするアンテナ装置。 - ベース用導波管部を有するベースと、このベースに載置された複数の積層板が積層されて前記ベース用導波管部と連通した積層体用導波管部が形成された積層体と、この積層体に載置され、電磁波を放出し、または受け取るアンテナ素子板とを備え、前記ベース、各前記積層板及び前記アンテナ素子板が互いに面接触により結合されたアンテナ装置において、
前記積層板及び前記アンテナ素子板の少なくとも一方は、組立前の状態では前記ベース側に突出した弧状の弾性板状部材で構成され、この弾性板状部材の弾性力が前記面接触の結合に寄与しており、
矩形形状の前記弾性板状部材は、短手方向に沿って曲面形状であり、
前記弾性板状部材の辺が直線である対向した両端部は、それぞれ全領域にわたって延び、前記ベース、前記積層体及び前記アンテナ素子板の各端面を位置決めする平面部材を用いて結合されていることを特徴とするアンテナ装置。 - ベース用導波管部を有するベースと、このベースに載置された複数の積層板が積層されて前記ベース用導波管部と連通した積層体用導波管部が形成された積層体と、この積層体上に載置され、電磁波を放出し、または受け取るアンテナ素子板とを備え、前記ベース、各前記積層板及び前記アンテナ素子板が互いに面接触により結合されたアンテナ装置において、
前記積層板及び前記アンテナ素子板の少なくとも一方は、組立前の状態では前記ベース側に突出した弾性変形する複数の切り起こし片を有し、この切り起こし片の弾性力が前記面接触の結合に寄与していることを特徴とするアンテナ装置。 - ベース用導波管部を有するベースと、このベースに載置された複数の積層板が積層されて前記ベース用導波管部と連通した積層体用導波管部が形成された積層体と、この積層体に載置され、電磁波を放出し、または受け取るアンテナ素子板とを備え、前記ベース、各前記積層板及び前記アンテナ素子板が互いに面接触により結合されたアンテナ装置において、
前記積層板及び前記アンテナ素子板の少なくとも一方は、組立前の状態では前記ベース側に突出した弧状の弾性板状部材で構成され、この弾性板状部材の弾性力が前記面接触の結合に寄与しており、
矩形形状の前記弾性板状部材は、山部と谷部とが交互に繰り返された波形形状であり、重なった前記積層板同士は、一方の積層板の前記山部と他方の積層板の前記谷部とが当接し、この当接した部位間に、前記積層体用導波管部が形成されていることを特徴とするアンテナ装置。 - 前記弾性板状部材の曲面は、次式により求められることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のアンテナ装置。
Y=16YmaxX(X3−2LX2+L3)/(5L4)
但し、Y:前記弾性板状部材の撓み量、X:前記弾性板状部材の2つの固定点を結んだ線上における片方の固定点からの位置、Ymax:前記弾性板状部材の最大撓み量、L:前記弾性板状部材の両固定点間の距離。 - 各前記平面部材の結合力は、次式で求められることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のアンテナ装置。
192Ebh3Ymax/(60L3)
但し、E:前記平面部材の縦弾性係数、b:前記弾性板状部材の辺が直線である直線辺の長さ、h:前記平面部材の厚み、Ymax:前記弾性板状部材の最大撓み量、L:前記弾性板状部材の両固定点間の距離。 - 前記切り起こし片の曲面は、次式により求められることを特徴とする請求項5に記載のアンテナ装置。
Y=Ymax(X4−4XL3+3L4)/(3L4)
但し、Y:前記切り起こし片の撓み量、X:前記切り起こし片の基点から積層板の平面に沿った方向における距離、Ymax:前記切り起こし片の最大撓み量、L:前記切り起こし片の全長。 - 請求項1〜9の何れか1項に記載のアンテナ装置がケース内に収められていることを特徴とするレーダ。
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