JP4590875B2 - 画像形成装置及び画像形成支援装置 - Google Patents

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Description

本発明は、画像形成装置及び画像形成支援装置に係り、例えばカラー複写機、ファクシミリ、またはプリンタ等、記録媒体上に画像を形成する所謂印刷機能を有する画像形成装置、及び画像形成装置へデータを出力する画像形成支援装置に関する。
従来の印刷(例えばオフセット印刷)では、写植等の紙焼き(印画紙)、版下、網ネガ、網ポジ、PS版(刷版)等の中間成果物を生成し、これら中間成果物を元に印刷や製本等を行っていた。近年、DTP(DeskTop Publishing /Prepress)の普及によって、DTPデータから直接印刷する「ダイレクト印刷」または「オンデマンド印刷」が知られている。DTPでは、ページレイアウトをコンピュータ上で処理して得た印刷データを印画紙や製版フィルム等に形成し、これに基づいて刷版を作成して印刷する処理が普及している。また、中間成果物を生成せずに電子データにより直接刷版を形成するCTP(Computer To Plate)も注目されている。このような印刷処理に用いることが可能なものとして、プリンタ装置や複写装置等の印刷機能を備えた画像形成装置が知られている。近年の画像形成装置は、画質向上が高まると共にカラー化され、例えば、電子写真プロセス(ゼログラフィ)を用いたカラープリンタ装置は、高品質かつ高速な画像形成が可能である。この画像形成装置では、印刷データを受け取り刷版等を生成せずに印刷物を出力することができる。
図8は、従来の画像形成システムの概略図である。図8(A)に全体構成図を示すように、画像形成システムは、画像形成装置11と、画像形成装置11に印刷データを渡し印刷指示をするDFE(Digital Front End Processor)装置とから構成されている。また、図8(B)にはデータの流れを示した。
DFE装置は、描画機能とプリンタコントローラ(印刷制御装置)機能とを備えており、例えばページ記述言語(PDL:Page Description Language)で記述された印刷データをクライアント端末から順次受け取り、この印刷データをラスターイメージに変換(RIP処理;Raster Image Process)し、さらにRIP処理済みのイメージデータ及び印刷枚数や用紙サイズ等の印刷制御情報(ジョブチケット)を画像形成装置11に送り、画像形成装置11のプリントエンジンや用紙搬送系を制御して、画像形成装置11に印刷処理を実行させる。すなわち、画像形成装置11の印刷動作は、DFE装置によるプリンタコントローラによって制御される。印刷データは、カラー印刷用の基本色の、イエロ(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)の3色と、ブラック(K)とを合わせた4色(YMCK)分が画像形成装置11に送られる。
画像形成装置11は、電子写真プロセスを利用して画像を印刷用紙に記録するもので、IOT(Image Output Terminal)モジュール12、IOTモジュール12に連結されたフィードモジュール(FM;Feeder Module;給紙モジュール)15、出力モジュール17、タッチパネル等を含んで各種データの入力支援をするためのユーザインターフェース装置18、を備えている。IOTモジュール12は、YMCK分のトナーカートリッジ24が搭載されたトナー供給部22と、IOTコア部20とを有する。IOTコア部20は、光走査装置や感光体ドラム等を有するプリントエンジン(印字ユニット)30を色毎でかつベルト回転方向に一列に配置した所謂タンデム構成になっており、プリントエンジン30を制御する電気回路等を収容する電気系制御収納部39を備えている。IOTコア部20では、感光体ドラム上のトナー像を中間転写ベルト43に転写(1次転写)した後、トナー像を印刷用紙に転写(2次転写)することにより、YMCKの各色トナー像が多重転写される。中間転写ベルト43上に転写された画像(トナー像)は、所定のタイミングでフィードモジュール15から搬送されてきた印刷用紙上に転写され、定着器(Fuser)70によりトナー像が用紙上に溶融定着される。その後、排紙処理装置72を経由して機外へ排出される。また、両面印刷時には、片面に印刷済みの用紙が排紙トレイ(スタッカ)74に一時的に保持され、排紙トレイ74から引き出され、反転搬送路49を介して反転されて再度IOTコア部20に渡される。
このシステムを用いた場合、画像形成処理(プリント処理)の高性能化や高速化の要求(例えば、100枚〜200枚/分以上のカラー印刷)を実現するためには、画像形成装置の対応のみならず、RIP処理や出力側の画像記録部に対する印刷制御部分であるプリンタコントローラ(DFE装置)も高速・高性能化が必要である。
ところが、DFE装置は、クライアント端末からのPDLデータに対するRIP処理だけでなく、印刷ジョブに従ったページ再配置(昇順/降順の並び替え、両面印刷時の処理ページ順決定、フィニッシャ対応の位置づらし等)や、プリントエンジンや定着器等の出力側の処理特性に応じたデータ変換(例えばグレイバランスや色ズレ校正等)等の、付加処理も実行するようになっている。付加処理を実行するためには画像形成装置の特性に合わせた高度な処理が必要となるが、該処理を実行しつつ高速・高性能化を実現するために、従来はDFE装置と画像形成装置11との間を専用の通信プロトコルで接続した専用かつ独立の装置構成を採用していた。
しかしながら、専用の装置を個別に用意する必要があり、システム全体がコスト高になるとともに、汎用性にかけていた。
そこで、近年、出力側に依存した制御をするプリンタコントローラ機能を備えた画像形成支援装置(バックエンドプロセッサ)をDFE装置(フロントエンドプロセッサ)及び画像形成装置の間に設け、該画像形成支援装置がフロントエンドプロセッサから送られたイメージデータを受け取ると、出力側の処理特性に応じて順次イメージデータを画像形成装置へ送るとともに、画像形成装置を制御して印刷処理をさせるシステムも提案されている。これにより、クライアントからの要求に基づく出力形態に適合した処理やリカバリ処理などをする際には、フロントエンドプロセッサと無関係に、対応することができる。
ところで、上述した電子写真プロセスを用いた画像形成装置では、一般的にイメージとテキストが混在するカラー原稿に対して、該カラー原稿の文字や線画部分の層(以下、文字・線画層)と背景部や写真等の中間調部分の層(以下、中間調層)とを識別し、各々の層の画像信号に対して、それぞれ最適な再現結果が得られるように精細度処理や階調補正などの画像処理を施して、文字・線画層及び中間調層それぞれでトナー濃度を切換えて印刷するようにしている。
しかしながら、出力される画像の、低濃度の中間調層と高濃度の文字・線画層とが隣接している部分では、該文字・線画層と接する中間調層の境界部分の濃度が低下して色味が変わったり白抜けしてしまう場合がある。
例えば、図9(A)に示すように、(K+C+M+Y)の高濃度の黒色で形成された文字・線画層のトナー像90tから、(M+Y)で構成された低濃度の中間調層のトナー像90iへの切替位置(図中B)では、高濃度の文字・線画層のトナー濃度(トナーパイルハイト)と、低濃度の中間調層とのトナー濃度の差(すなわち、トナーパイルハイトの差)が大きくなってしまう。これにより、転写材と感光体間に空隙が形成され、中間調層のトナー像90iの文字・線画層のトナー像90t側端部(図中A)が転写材上に十分転写されなくなる(転写不良)。
このため、図9(B)の円Pで囲まれた部分に示されるように、中間調層のトナー像90iの文字・線画層のトナー像90t側端部が白抜けしたり、図9(C)の円Qで囲まれた部分に示されるように色味が変化してしまう。
このような問題を解決するための装置としては、入力画像データにより出力される画像が低濃度の色背景部中に高濃度の文字線画部を有するとき、色背景部の文字線画部と接するエッジ画素、および文字線画部の色背景部と接するエッジ画素を検出し、その検出されたエッジ画素が有する位置情報および画素値情報に基づいて、入力画像データの低濃度の色背景部画素部分の画素値を補正する画像形成装置及び画像処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−065918号公報
しかしながら、従来の、低濃度の色背景部画素部分の画素値を補正する画像形成装置及び画像処理装置では、転写不良による白抜け等は防止できるが、補正により文字線画部周辺に連続階調部が発生してしまうため、文字や線がぼやけた感じになってしまい鮮明さに欠ける、という問題がある。
また、従来の画像形成支援装置に、上記低濃度の色背景部画素部分の画素値を補正する手法を採用したとしても、同様の問題は発生する。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、中間調部分の文字または線画部分に接する境界部分が白抜けを起こしたり色変わりすることを、文字または線画部分を鮮明な状態に保ちながら防止できる画像形成装置及び画像形成支援装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明の画像形成装置は、複数の色材を重ねて画像を形成する画像形成装置であって、文字または線画を表す第1の部分と背景または写真を表す第2の部分とが隣接して形成される画像の前記第1の部分と前記第2の部分との境界部分において、前記第1の部分の画像を形成する色材の濃度と、前記第2の部分の画像を形成する色材の濃度との差が所定値以上の場合に、前記第1の部分を形成するために重ねられる複数の色材の各々の境界位置のうち、最上層に重ねられる色材を除く色材の境界位置を、前記第2の部分側にずらして画像を形成することを特徴とする。
また、本発明の画像形成支援装置は、印刷ジョブを処理して画像データを生成し出力するフロントエンドプロセッサと、入力された画像データに基づいて複数の色材を重ねて画像を形成する画像形成装置との間に設けられた画像形成支援装置であって、前記フロントエンドプロセッサから入力した画像データが表す、文字または線画を表す第1の部分と背景または写真を表す第2の部分とが隣接して形成される画像の前記第1の部分と前記第2の部分との境界部分において、前記第1の部分の画像を形成する色材の濃度と、前記第2の部分の画像を形成する色材の濃度との差が所定値以上の場合に、前記第1の部分を形成するために重ねられる複数の色材の各々の境界位置のうち、最上層に重ねられる色材を除く色材の境界位置が、前記第2の部分側にずれるように前記画像データを処理して前記画像形成装置に入力するすることを特徴とする。
すなわち、本発明では、画像が複数の色材を重ねて形成される
画像形成の際には、文字または線画を表す第1の部分と背景または写真を表す第2の部分とが隣接して形成される画像の第1の部分と第2の部分との境界部分において、第1の部分の画像を形成する色材の濃度と、前記第2の部分の画像を形成する色材の濃度との差が所定値以上の場合に、第1の部分を形成するために重ねられる複数の色材の各々の境界位置のうち、最上層に重ねられる色材を除く色材の境界位置を、第2の部分側にずらして画像を形成する。すなわち、文字または線画部分を構成する第1の部分を形成するために重ねられる複数の色材のうち、最上層の色材については境界位置を変更せず、最上層に重ねられる色材を除く色材については境界位置を第2の部分側にずらして画像を形成する。
文字または線画を表す第1の部分の画像は、比較的高濃度である場合が多く、背景または写真を表す第2の部分の画像は、連続階調で構成され、かつ比較的低濃度である場合が多い。従って、第1の部分と第2の部分の境界では、色材の濃度差が大きくなってしまい、これにより白抜けや色味の変化の発生してしまうことがあるが、本発明のように最上層に重ねられる色材を除く色材の境界位置をずらすことにより、色材の濃度差が大きいときに発生する転写不良による白抜けや色味の変化の発生を防止することができる。
なお、最上層の色材を除く色材の境界位置は、白抜けが発生したり色味が変化するような領域までずらすことが好適であり、予め実験などにより最適な値を求めておいてもよいし、形成された潜像をセンシングすることにより画像形成装置の状態(特性や経時的変化)を判断し、適宜変更するようにしてもよい。
第1の部分と第2の部分とで色材の濃度差が小さい場合には、転写不良は発生せず、境界位置を変更しなくても良好に画像を形成することができる。従って、予め濃度差が白抜けや色味の変化が発生する程度に大きい場合のみ、境界位置をずらす処理を行うようにすれば、効率的に処理することができる。
また、文字または線画部分は、黒色で形成されることが多いため、前記第1の部分を形成する複数の色材の最上層の色材は、K色の色材とすることができる。例えば、黒文字は、YMC色の上にK色が積層されて形成されることが多いため、K色を除くYMC色のみを第2の部分側にずらすことによって、第1の部分のエッジを黒色に維持したまま、第1の部分と第2の部分との境界位置の色材の濃度差を小さくすることができる。
以上のように、本発明によれば、背景または写真を表す部分の文字または線画部分に接する境界部分が白抜けを起こしたり色変わりすることを、文字または線画部分を鮮明な状態に保ちながら防止できる、という優れた効果を有する
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
〔画像形成システム〕
図1は、本実施の形態に係る画像形成システムの全体概略構成を示す図である。画像形成システムは、汎用の通信プロトコルによる高速LAN(Local Area Network)を備えており、高速LANには例えばページ記述言語(PDL)で記述された電子データ(印刷データ)を入力するためのクライアント端末400,402が接続されている。クライアント端末400,402は、異なるオペレーティングシステム(OS)下で各種アプリケーションプログラムを実行可能なコンピュータである。この高速LANには、原稿の画像を読み取りその画像データを出力するスキャナ装置410も接続されている。また、高速LANには、DFE装置500,502,504,506,508、詳細を後述する本発明の画像形成支援装置としてのBEP(Back End Processor:バックエンドプロセッサ)装置600,602,604、電子データで直接刷版を作成するCTP装置702が接続されている。
CTP装置702で作成された刷版を用いてプレス装置710において印刷がなされる。また、このCTP装置702に並列的に(高速LANに)BEP装置600が接続される。このBEP装置600には画像形成装置11と同様の高速プリンタ746が接続される。
また、高速LANに接続されたBEP装置604の出力側には、出力機730、同様の構成の高速プリンター740,742、CTP装置700が接続されている。出力機730、高速プリンター740、742からはプリント出力がなされ、CTP装置700では刷版が作成される。また、DFE装置502は、BEP装置602を介して同様の構成のプリンタプルーファ720,722に接続されている。プリンタプルーファ720,722は印刷のための出力確認用のものであり、画像形成装置一例として機能する場合がある。
また、DFE装置504は高速プリンター744に接続され、DFE装置504と高速プリンター744とはオンデマンド印刷処理を担当する部門を担っている。DFE装置506は出力機732に接続され、DFE装置508は大型出力機750に接続されている。DFE装置506と出力機732からなる構成及びDFE装置508と大型出力機750からなる構成は、従来の画像形成装置の構成と同様である。
本実施の形態の画像形成システムでは、CTPと、POD(プリントオンデマンド)の機能を有する装置を同一のシステム内に混在可能な構成である。これは、本実施の形態にかかるBEP装置が、クライアントからの印刷データがラスタデータに変換(RIP処理)された後のデータを、各種処理する機能を備えているためである。
〔構成例〕
上記構成による画像形成システムにおいて、本発明の実施形態について説明を簡単にするために、刷版を作成して印刷する構成と、刷版作成なしに印刷する構成との代表例を、一実施形態として説明する。すなわち、クライアント端末400、DFE装置500、CTP装置700、及びプレス装置710の装置を利用して画像を形成する場合の構成A、クライアント端末400、DFE装置500、BEP装置600、及び高速プリンタ746(画像形成装置11)の装置を利用して画像を形成する場合の構成B、について説明する。
なお、DFE装置500は、クライアント端末400からのデータをラスタデータに変換(RIP処理)し、その変換後のラスタ画像を圧縮処理する機能を備えるが、本実施の形態では、画像形成装置11に依存した印刷制御機能を果たすプリンタコントローラ機能を要求しない。すなわち、DFE装置500は、主にRIP処理の機能のみを有する構成でよい。
図2は、本発明に係る画像形成システムの一実施形態を示す図である。すなわち、クライアント端末400で印刷指示した画像をDFE装置500でRIPして、CTP装置702で刷版を作成した後にプレス装置710で印刷する構成Aと、RIPされた画像をBEP装置600を介して高速プリンタ746(画像形成装置11)で印刷する構成Bとを本発明に係る画像形成システムの一実施形態として説明する。図2(A)は本実施形態で構成Aと構成Bからなるシステム構成の概略を示し、図2(B)は、構成Bによる接続例を示している。
〔構成A〕
構成Aは、刷版を作成するCTP装置702と、このCTP装置702に印刷データを出力し刷版作成の指示をするDFE装置500と、CTP装置702で作成された刷版を用いて印刷するプレス装置710と、からシステムを構成する。
この構成Aは、従来の印刷処理と同様のため、詳細な説明を省略するが、DFE装置500は、フロントエンドプロセッサ(FEP:Front End Processor)部や、フロントエンジンによるROP(Raster OPeration)処理によりクライアント端末400からのデータをラスタデータに変換(RIP処理)し、その変換後のラスタ画像を圧縮処理する機能を備える。そして、DFE装置500では、刷版を作成するために、主にRIP処理のみを実行する。このRIP処理されたラスタ画像(圧縮)のラスタデータにより、CTP装置702で刷版が作成される。このCTP装置702で作成された刷版を用いてプレス装置710で印刷媒体に画像がプレスされ、印刷がなされる。
なお、上記構成Aでは、高速LANに、CTP装置702を接続し、DFE装置500からの印刷データで刷版を作成する場合を説明したが、CTP装置702をBEP装置600を介して接続してもよい(図1のBEP装置604と、CTP装置700の構成)。この場合には、以下の構成Bで説明するように、DFE装置500からの印刷データによりBEP装置600において画像形成装置11などの下流側装置に依存する処理を行ってデータ出力する。この下流側装置として、CTP装置700を採用したときに、BEP装置600は、そのCTP装置700に依存する処理を行ってデータ出力する。
〔構成B〕
次に、構成Bは、画像形成装置11と、この画像形成装置11に印刷データを渡し印刷指示をするDFE装置500と、画像形成装置11とDFE装置500との間に設けられるBEP装置600からシステムを構成する。
画像形成装置11は、IOTモジュール(IOT本体)12と、フィード(給紙)モジュール(FM;Feeder Module)15と、出力モジュール17と、パソコン(PC)等のユーザインターフェース装置18とを備える。なお、フィードモジュール15は、多段構成としてもよい。また、必要に応じて、各モジュール間を連結する連結モジュールを設けてもよい。また、出力モジュール17の後段に、フィニッシャ(Finisher:後処理装置)モジュールを接続してもよい。フィニッシャモジュールとしては、例えば、用紙をスタック処理し、1個所以上を綴じるステープラを備えたもの、またはパンチ孔を穿設するパンチング機構を備えたもの等がある。
DFE装置500は、クライアント端末400からのデータをラスタデータに変換(RIP処理)し、その変換後のラスタ画像を圧縮処理する機能を備えて、主にRIP処理をする。このデータは、BEP装置600により処理されて画像形成装置11へ出力される。
BEP装置600は、画像形成装置11に依存した処理の制御機能を有するが、この制御機能は、ユーザインターフェース装置18により指示してもよく、予め定めておいてもよい。ユーザインターフェース装置18により指示する場合、ユーザインターフェース装置18は、キーボード等の入力デバイスやユーザに画像を提示しつつ指示入力を受け付けるGUI(Graphic User Interface)機能を有し、画像形成装置11に依存した処理を指示するように構成すればよい。
BEP装置600は、DFE装置に保持しておいたRIP処理済みのデータを利用することで、効率的な高速出力を可能としている。すなわち、BEP装置600は、DFE装置500から受け取った印刷制御情報に基づいてコマンドコード(Command Code)を生成し、画像形成装置11内の各部の処理タイミングをエンジン特性に応じて制御する。また、BEP装置600は、IOTモジュール12やフィードモジュール15または出力モジュール17等のエンジン特性に適合するようにスプール(Spool)処理を完結させてからIOTモジュール12に画像データを渡す。
例えば、DFE装置500からBEP装置600には、RIP処理が施されたラスタベース画像を含むデータが送られる。このデータとしては、TIFF(Tagged Image File Format)フォーマット等の圧縮されたラスタベースの画像ファイルデータの他、印刷部数、両面/片面、カラー/白黒、合成印刷、ソートの有無、ステープラの有無等印刷制御情報等が含まれる。
なお、回転(Rotation)、1枚の用紙内へのページ割付(N−UP)、リピート処理、用紙サイズ合わせ、デバイス差を補正するCMS(Colour Management System ; カラー管理システム)、解像度変換、コントラスト調整、圧縮率指定(低/中/高)等のRIP処理と関わりのある処理は、DFE装置500にて処理し、その制御コマンドをBEP装置600へは通知しない(非通知)。
また、コレーション(帳合い)、両面印刷、スタンプ・パンチ・ステープラ等のフィニッシャ装置または用紙トレーと関わりのある位置合わせ処理、排出面(上下)合わせ、グレーバランスや色ズレ補正等のキャリブレーション処理、スクリーン指定処理等、画像形成装置11の処理特性と関わりの強いもの(IOT依存の処理)に関しては、その制御コマンドをDFE装置500がスルーすることで、BEP装置600にて処理する。
このように、本実施形態のDFE装置側は1つのジョブ(JOB)をエンジン特性に依存せずRIP処理した順にBEP装置側へ一方的に転送し、BEP装置側で印刷用にページ再配置をする。
図3は、DFE装置500と画像形成装置11との間にBEP装置600を介在させたときのデータの流れに着目した概念ブロック図である。
DFE装置500は、クライアント端末400からPDLで記述された印刷データ(以下PDLデータという)を受け取り、該PDLデータを解釈しページ単位のイメージデータ(ラスタデータ)を生成(ラスタライズ)する。更に生成したイメージデータを所定のフォーマットにしたがって圧縮し、図示しないインターフェース部を介してBEP装置600に転送する。
なお、DFE装置500は、ラスタライズの際、カラーのPDLデータを、ページ単位で文字や線画部分の層(以下、文字・線画層)と背景部や写真等の中間調部分の層(以下、中間調層)の2つの層に分けてラスタライズし、更に各層の位置や形状に関する情報を含む層情報を作成する。2つの層毎に別々に生成されたイメージデータは圧縮され、別途生成された層情報と共にBEP装置600に転送される。
一方、BEP装置600は、DFE装置500にて印刷ジョブやプリントエンジン30の処理特性に無関係に処理された(例えばプリントエンジン30の処理速度に非同期で処理された)圧縮済のイメージデータを受け取り保持する図示しない画像記憶部と、画像記憶部から圧縮済のイメージデータを読み出して、DFE装置500側の圧縮処理に対応する伸張処理をし、この伸張処理済のイメージデータに対して属性(文字・線画、或いは中間調)に合った最適な画像処理(精細度処理や階調補正など)を施してIOTコア部20側に送出する画像処理部610を備える。BEP装置600には、更に、DFE装置500からイメージデータを含む各種データを受信するための図示しないデータ受信部が設けられ、画像処理部610の後段には、イメージデータを画像記録部(IOTコア部20)に送出するための図示しないインターフェース部が設けられている。
画像処理部610は、第1画像処理部612と、第2画像処理部614と、画像合成部616とを含んで構成されている。第1画像処理部612は、DFE装置500から受信し画像記憶部に記憶された文字・線画層のイメージデータを伸長して文字・線画層に最適な画像処理を施す。第2画像処理部614は、DFE装置500から受信し画像記憶部に記憶された中間調層のイメージデータを伸長して中間調層に最適な画像処理を施す。画像合成部616は、第1画像処理部612で画像処理された文字・線画層のイメージデータと、第2画像処理部614で画像処理された中間調層のイメージデータとを、後述する層情報編集部620で編集された層情報に基づいて合成する。
また、BEP装置600は、更に層情報編集部620を備える。層情報編集部620は、DFE装置500から受信した層情報を編集する。なお、層情報編集部620は、IOTコア部20の処理性能に依存してBEP装置600の各部やIOTコア部20を制御する、マイクロコンピュータで構成されたプリンタコントローラの機能の一部として構成されている。
さらにまた、BEP装置600からイメージデータを受け取る画像形成装置11(IOTコア部20)は、複数色のトナー層を切換えて文字・線画層と中間調層とを別々の複数の層として形成することができる。すなわち、複数色のトナー層が積層されて構成される文字・線画層と中間調層の境界で、各色トナー層を切替えることにより、画像を形成するものである。
〔動作〕
以上のように構成された画像形成システムにおいて、各構成部は次のように動作する。
図4はDFE装置500の動作を説明するフローチャートである。ステップ800では、クライアント端末400から印刷データ(PDLデータ)をネットワークを介して入力する。ステップ802では、入力したPDLデータを解釈し、ページ単位で文字・線画層のイメージデータ、及び中間調層のイメージデータを作成する。ステップ804では、文字・線画層と中間調層の層情報を作成する。該層情報は、BEP装置600で行われる画像処理に用いられる。
図5は、BEP装置600の層情報編集部620の動作を説明するフローチャートである。なお、以下の動作は、ページ単位で行われる。ステップ810では、DFE装置500から入力した層情報に基づいて、複数の属性が存在するか否かを判断する。すなわち、文字・線画層及び中間調層の双方によりページが構成されていれば肯定判断され、文字・線画層及び中間調層のいずれか一方のみで構成されていれば否定判断される。
ステップ810で、複数の属性が存在すると判断された場合には、ステップ812で、各属性のイメージデータから、属性の境界部分のトナー濃度(トナーパイルハイト)の差が閾値n以上か否かを判断する。境界部分が複数ある場合には、各境界毎に判断する。
この判断について、図7の説明図を参照しながら詳細に説明する。図7(A)に示される例では、文字・線画の文字・線画層100tと、中間調の中間調層100iとが隣接して配置されている。文字・線画層100tは、(K+C+M+Y)の順に各色トナー層が積層されて構成される高濃度の黒色層である。中間調層100iは、(M+Y)の順に各色トナー層が積層されて構成される比較的低濃度の中間調層である。イメージデータが入力された時点では、文字・線画層100tを構成する各色トナー層の、文字・線画層100tから中間調層100iへの切替位置(境界位置)は、K色及びYMC色で同一(図中のBの位置)である。
層情報編集部620は、文字・線画層100tのイメーデータと中間調層100iのイメージデータとに基づいて、文字・線画層100tのトナー濃度(トナーパイルハイト)と、中間調層100iのトナー濃度を導出し、両者のトナー濃度の差Hを算出する。更に、算出したHと、閾値nとを比較して、差Hが閾値n以上であるか否かを判断する。閾値nは、図7(A)のAで示される、文字・線画層100tの周辺部分(すなわち、中間調層100iの文字・線画層100t側端部)に白抜けや色味の変化が発生してしまう値として、予め、前述したマイクロコンピュータの図示しないROMに記憶されている。なお、閾値nは出力側の特性に応じて可変とすることもできる。
ステップ812で、属性の境界部分のトナー濃度(トナーパイルハイト)の差が閾値n以上であると判断された場合には、ステップ814で、層情報を、CMYのトナー層における文字・線画層100tが中間調層100i側にm画素広がるように、すなわち切替位置が中間調層100i側にm画素ずれるように編集する。このとき、最上層のK色については、切替位置の変更は行わない。これにより、図7(B)に示されるように、最上層のK色のトナー層の切替位置はBの位置のまま変わらず、YMC色のトナー層の切替位置はB0に変更される。このように、文字・線画層100tと中間調層100iとの切替位置が、K色のトナー層とYMC色のトナー層とで異なる状態となる。
なお、文字・線画層100tをどの程度広げるか、すなわち画素数mは、前述したマイクロコンピュータの図示しないROMに濃度差毎に記憶されている。画素数mは、予め実験などにより適切な値を求めておくことができる。また、どの程度白抜けするかは、濃度差だけでなく出力側(IOTコア部20側)の特性やIOTコア部20の経時的変化にも依存するため、画素数mをIOTコア部20に応じて可変とすることもできる。
ステップ814では、文字・線画層100tのエリアを拡大するように画像処理部610を制御する。具体的には、編集された層情報の通りに、CMY色のトナー層の切替位置がB0となるように、文字・線画層100tのCMY色のトナー層を中間調層100i側にm画素広げるように制御する。また、K色のトナー層は広げずに中間調層100iとの切替位置がBの位置のままとなるように制御する。
なお、ステップ810で否定判断された場合には、属性が複数存在しないため、ステップ814、816の処理は行われない。また、ステップ812で否定判断された場合には、白抜けや色味の変化が発生するほどの差は無いと判断され、同様に、ステップ814、816の処理は行われない。
図6は、BEP装置600の画像処理部610の動作を説明するフローチャートである。ステップ820では、層情報編集部620から文字・線画層100tのエリア拡大指示を受信したか否か判断し、拡大指示を受信した場合には、ステップ822で、第1画像処理部612及び第2画像処理部614は、文字・線画層100tのイメージデータ及び中間調層100iのイメージデータを変更する。具体的には、編集された層情報の通りに、CMY色のトナー層の切替位置がB0となるように、文字・線画層100tのYMC色のトナー層を中間調層100i側にm画素広げるようにイメージデータを処理する。また、K色のトナー層は広げずに中間調層100iとの切替位置がBの位置のままとなるようにイメージデータを処理する。
ステップ824では、文字・線画層100t、中間調層100iの各属性に合った画像処理(階調補正)を各イメージデータに対して行う。すなわち、第1画像処理部612は、文字・線画層100tに最適な画像処理を文字・線画層100tのイメージデータに対して行い、第2画像処理部614は、中間調層100iに最適な画像処理を中間調層100iのイメージデータに対して行う。
ステップ826では、画像合成部616が、文字・線画層100t、中間調層100iのイメージデータを層情報を基に合成する。上述したように、CMY色のトナー層における文字・線画層100tが中間調層100i側にm画素広がるように層情報が編集されていれば、該編集された層情報に従って、各トナー層の切替位置が調整されて合成される。なお、層情報が編集されていなければ、DEF装置500で生成された層情報に従って、各トナー層の切替位置は元のままの状態で合成される。
ステップ828では、画像合成部616は、合成したイメージデータをIOTコア部20に出力する。IOTコア部20は、BEP装置600から入力したイメージデータに基づいて印刷処理する。
このように各構成部が動作することにより、図7(A)に示される、文字・線画層100tのトナー濃度と中間調層100iのトナー濃度の差Hが、図7(B)に示されるように、K色のトナー層のトナー濃度H1分だけ小さくなって、H2となる。すなわち、文字・線画層100tと中間調層100iのトナー濃度差が縮小されるため、転写不良の発生を防止でき、白抜けや色味変化などの画質不良が発生を防止することができる。なお、切替位置の変更により形成されたBからB0の領域の文字・線画層100tにおいて、各色のトナー濃度自体は低減されていないため、連続階調にはならない。このため、文字・線画層100tのエッジがぼやけた状態とはならず、鮮明な状態が維持される。
上述した実施の形態では、BEP装置600が、属性を判断して、文字・線画層100tと中間調層100iの切替位置をずらす処理を行う例について説明したが、画像形成装置11のIOTコア部20自体に、そのような処理を行う機能を設けることもできる。これにより、画像形成装置11単体でクライアント端末から印刷指示を受けた場合であっても、同様の効果が得られる。この場合には、一般的なIOTコア部20の構成に、上述の図3で示したBEP装置600の構成を加えればよい。
また、上述した実施の形態では、最上層K色を除いたCMY色のトナー層の切替位置をずらす例について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、文字・線画層100tがK色を含まない、CMY色のトナー層で構成されたこげ茶色の層である場合には、最上層C色を除いたMY色のトナー層の切替位置をずらすように処理することもできる。
さらにまた、文字・線画層100tをどの程度広げるか、すなわち画素数mは、上述したように、予め実験などにより適切な値を求めておくこともできるが、IOTコア部20における潜像の状態をセンシングして、該状態から、どの程度白抜けを起こすかを算出し、適宜画素数mの値を変更することもできる。これにより、IOTコア部20の経時的な変化に応じて、適切な画素数だけずらして処理することができる。
本実施の形態に係る画像形成システムの全体構成を示す概略図である。 画像形成システムの一実施形態を示す図である。 DFE装置およびBEP装置の一実施形態を示すブロック図である。 DEF装置の動作を説明するフローチャートである。 BEP装置の層情報編集部の動作を説明するフローチャートである。 BEP装置の画像処理部の動作を説明するフローチャートである。 切替位置をずらす処理を説明する説明図である。 従来の画像形成システムの概略を示す図である。 従来の問題点を説明する説明図である。
符号の説明
11…画像形成装置
400…クライアント端末
500…DFE装置
600…BEP装置
610…層情報編集部
620…画像処理部
700…CTP装置
710…プレス装置
720…プリンタプルーファ
730…出力機
740…高速プリンター
750…大型出力機

Claims (4)

  1. 複数の色材を重ねて画像を形成する画像形成装置であって、
    文字または線画を表す第1の部分と背景または写真を表す第2の部分とが隣接して形成される画像の前記第1の部分と前記第2の部分との境界部分において、前記第1の部分の画像を形成する色材の濃度と、前記第2の部分の画像を形成する色材の濃度との差が所定値以上の場合に、前記第1の部分を形成するために重ねられる複数の色材の各々の境界位置のうち、最上層に重ねられる色材を除く色材の境界位置を、前記第2の部分側にずらして画像を形成する画像形成装置。
  2. 前記第1の部分を形成する複数の色材の最上層の色材は、K色の色材である請求項1記載の画像形成装置。
  3. 印刷ジョブを処理して画像データを生成し出力するフロントエンドプロセッサと、入力された画像データに基づいて複数の色材を重ねて画像を形成する画像形成装置との間に設けられた画像形成支援装置であって、
    前記フロントエンドプロセッサから入力した画像データが表す、文字または線画を表す第1の部分と背景または写真を表す第2の部分とが隣接して形成される画像の前記第1の部分と前記第2の部分との境界部分において、前記第1の部分の画像を形成する色材の濃度と、前記第2の部分の画像を形成する色材の濃度との差が所定値以上の場合に、前記第1の部分を形成するために重ねられる複数の色材の各々の境界位置のうち、最上層に重ねられる色材を除く色材の境界位置が、前記第2の部分側にずれるように前記画像データを処理して前記画像形成装置に入力する画像形成支援装置。
  4. 前記第1の部分を形成する複数の色材の最上層の色材は、K色の色材である請求項3記載の画像形成支援装置。
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