JP4590798B2 - 射出成形用金型 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、良好な外観を有する大型成形体や薄肉成形体を作製するに好適な射出成形用金型に関する。
【0002】
【従来の技術】
射出成形用金型として、成形空間に連なるスプル、ランナー、ゲートを固定側金型に形成し、成形体を離型するためのエジェクター板及びエジェクターピンを可動側金型に形成したものが広く採用されているが、この射出成形用金型では、エジェクターピンにより成形体を突き出すときに、成形体の表面に打痕が形成され、またゲートに対応する位置には、ゲート内で固化したゲート部を成形体から切り離すときにゲート跡が形成され、成形体の外観が低下するという問題があった。このため、成形体のうちの外部に露出しない裏面側を成形する金型にエジェクターピンを配置して、エジェクターピンによる打痕が外部に露出しないように構成するとともに、成形空間のうちの成形体の外縁部等を成形する部分にゲートを開口させ、ゲート跡が目立たないように構成している。
【0003】
一方、大型成形体や薄肉成形体においては、成形空間に対する溶融樹脂の充填時間が長くなったり、成形空間内においける溶融樹脂の流通抵抗が大きくなることから、1つの成形空間に対して複数のゲートを開口させ、これら複数のゲートから成形空間内へ溶融樹脂を充填するように構成しているが、ゲートの個数が増えると、成形体の目立つ位置に対してもゲートを配置することが必要となり、成形体の外観が低下するという問題があった。
【0004】
そこで、本出願人は、特開平6−320579号において、図6に示す射出成形金型100のように、可動側金型101と固定側金型102とを有し、両型101,102により形成される成形空間103へ溶融樹脂を供給するためのスプル104、ランナー105、ゲート106と、成形体を突き出すためのエジェクター機構とを成形体裏面側に配置される固定側金型102にそれぞれ設け、成形体の裏面側にゲート跡が形成されるようにして、ゲートのレイアウトに対する自由度を高め、大型成形体や薄肉成形体を成形するために多点ゲートを採用した場合でも、ゲート跡が成形体の表面側に形成されないように構成した射出成形用金型を提案した。
【0005】
また、この射出成形用金型で100は、エジェクター機構として、コア110が挿通する貫通孔111を形成したストリッパープレート112を設け、このストリッパープレート112をコア110に対して相対的に可動側金型101側へ移動させることで、外周部を突き出して成形体をコア110から離型できるように構成し、またストリッパープレート112を設けない場合には、エジェクター板及びエジェクターピンを固定側金型に設け、エジェクター板にスプルブッシュ挿通用の貫通孔を形成し、スプルブッシュとして射出ノズルが挿通可能な筒状のスプルブッシュを用い、このスプルブッシュの奧部に射出ノズルを密接させて、溶融樹脂を供給するように構成している。尚、符号113はコア110を固定した固定側型板であり、符号114は可動側型板である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記公報に記載の射出成形金型において、エジェクター機構としてストリッパープレートを用いた場合には、ストリッパープレートの内周面とコアの外周面とが離型の度に摺動するため、摺動部におけるかじりの発生が懸念される。そこで、図7に示すように、コア110の製品成形面115をストリッパープレート112に対するコア110の摺動面116よりもその全周にわたって一定距離T(例えばT=0.5〜1mm)だけ内側に配置させて、ストリッパープレート112がコア110の製品成形面115上を摺動しないように構成したり、コア110の抜き勾配を3〜10゜に設定して、摺動距離を極力短く設定する必要があった。しかし、前者の場合には、ストリッパープレート112に対するコア110の摺動面116が摩耗して、成形体に摺動面116に沿った縦バリが全周にわたって形成されるので、後工程としてバリ除去工程が必要となり、また後者の場合には、成形体の側面の傾斜角度が制約されて、デザイン面に対する設計上の自由度が制約される。
【0007】
また、エジェクターピンにて離型する場合には、スプルブッシュとして射出ノズルが挿通可能な筒状のスプルブッシュを用い、スプルブッシュの奧部に射出ノズルを密接させる関係上、金型だけでなく射出ノズルの構成を変更する必要があり、射出成形装置の設計変更も必要となることから安価に実施することが困難であった。また、エジェクター板の中央部にはスプルブッシュが挿通する大きな貫通孔が形成されることから、エジェクターピンのレイアウトが制約され、円滑な離型が困難になることも懸念される。
【0008】
本発明の目的は、大型成形体や薄肉成形体の外観を向上でき、離型手段に起因する縦バリの発生やデザイン面での制約を解消できるとともに、射出成形装置自体の設計変更を行うことなく安価に実施可能で、しかも金型の寿命を延ばし得る射出成形用金型を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段及びその作用】
本発明に係る第1の射出成形用金型は、成形空間に対して溶融樹脂を供給するためのスプル、ランナー、ゲートを成形体裏面側を成形する固定側金型に設けるとともに、前記ゲートを1つの成形空間に対して2つ以上形成した多点ゲートで構成し、固定側金型から成形体を離型するための離型手段として、固定側金型に型開閉方向に移動可能なエジェクター板及びエジェクターピンを設け、エジェクター板を貫通して型開閉方向に延びる材料供給パイプによりゲート及びランナーの下流部を構成し、前記材料供給パイプを耐摩耗性に優れた鋼材で構成したものである。
本発明に係る第2の射出成形用金型は、成形空間に対して溶融樹脂を供給するためのスプル、ランナー、ゲートを成形体裏面側を成形する固定側金型に設けるとともに、前記ゲートを1つの成形空間に対して2つ以上形成した多点ゲートで構成し、固定側金型から成形体を離型するための離型手段として、固定側金型に型開閉方向に移動可能なエジェクター板及びエジェクターピンを設け、エジェクター板を貫通して型開閉方向に延びる材料供給パイプによりゲート及びランナーの下流部を構成し、前記固定側金型に、一端がエジェクター板に連結され、他端が成形空間まで延びる、アンダーカット部成形用の傾斜ピンを設けたものである。
本発明に係る第3の射出成形用金型は、成形空間に対して溶融樹脂を供給するためのスプル、ランナー、ゲートを成形体裏面側を成形する固定側金型に設けるとともに、前記ゲートを1つの成形空間に対して2つ以上形成した多点ゲートで構成し、固定側金型から成形体を離型するための離型手段として、固定側金型に型開閉方向に移動可能なエジェクター板及びエジェクターピンを設け、エジェクター板を貫通して型開閉方向に延びる材料供給パイプによりゲート及びランナーの下流部を構成し、前記複数のゲートから成形空間内に流入する溶融樹脂の会合部に多孔質なエア抜き部材を成形空間に臨ませて少なくとも一方の金型に設け、この金型にエア抜き部材に流入したエアを外部へ排出するエアベント孔を形成したものである。
【0010】
この射出成形用金型においては、1つの成形空間に対して2つ以上のゲートを開口させているので、成形体の外面に複数のゲート跡が形成され、また離型手段としてエジェクター板及びエジェクターピンを採用しているので、成形体の外面にエジェクターピンの突き出しによる複数の打痕が形成されるが、スプル、ランナー、ゲートと、離型手段としてのエジェクター板及びエジェクターピンとを成形体裏面側を成形する固定側金型に設けているので、ゲート跡やエジェクターピンの打痕は成形体の裏面側に形成されることになり、成形体の外観が低下することが確実に防止される。つまり、多点ゲートで成形した大型成形体や薄肉成形体でありながら、ゲート跡やエジェクターピンの打痕のない表面美麗な成形体を作製できる。
【0011】
また、成形体の裏面側であれば外観を低下させることなく任意の位置にゲートを配置できるので、複数のゲートを成形空間内における樹脂流動を考慮した最適な位置にそれぞれ配置させることが可能となり、成形空間内における溶融樹脂の圧力変化を少なくして、成形体内の残留応力等の歪を減少せしめ、精度の良い高品位な成形体を製作できる。しかも、エジェクターピンにより成形体を離型するので、ストリッパープレートを用いて成形体を離型する場合とは異なり、成形体の外縁部に縦バリが形成されることもないし、抜き勾配を大きく設定することによるデザイン面での制約を受けることもない。
【0012】
更に、エジェクター板を貫通して型開閉方向に延びる材料供給パイプによりゲート及びランナーの下流部を構成しているので、従来通りスプルブッシュを固定側取付板に設けることが可能となり、射出ノズルの形状を変更することなく、射出ノズルの先端部をスプルブッシュに密接させて、金型内へ溶融樹脂を供給できる。このため、射出成形装置として既存のものをそのまま採用することが可能となり、容易に且つ安価に実施できる。しかも、エジェクター板を迂回して湯道を形成する必要がないので、湯道を極力短尺に構成して、溶融樹脂の流通抵抗を低減できるとともに、無駄になる樹脂材料を極力少なくできる。
【0013】
更にまた、材料供給パイプはゲート及びランナーの下流部を構成するものなので、比較的小径に構成することが可能で、エジェクター板を挿通するように複数本設けることにはなるが、エジェクターピンの配設位置に対する自由度をほとんど阻害することはない。このため、エジェクターピンを無理なく適正な位置に設けて、成形体の離型性を十分に確保することが可能となる。
【0014】
また、薄肉成形体においては、成形体の剛性を保つため、ガラス繊維などのフィラーを混入した溶融樹脂を使用することが多く、樹脂流動を高める関係上、ゲートの摩耗速度が速くなるが、この射出成形用金型では、ゲート及びランナーの下流部を材料供給パイプで構成しているので、材料供給パイプを交換することでゲートの摩耗に容易に対応でき、しかも摩耗速度の速いゲートを交換できるので、金型全体の寿命を延ばすことが可能となる。
【0015】
ここで、前記第1の射出成形用金型においては、前記材料供給パイプを耐摩耗性に優れた鋼材で構成しているので、ゲートの摩耗によるゲート切れ不良や成形条件の経年変化を防止できる。即ち、前述したように、ガラス繊維などのフィラーを溶融樹脂に混入した場合には、ゲートの摩耗速度が速くなるので、耐摩耗性に優れた鋼材で材料供給パイプを構成することで、ゲートの摩耗を極力抑制して、ゲートの摩耗によるゲート切れ不良や成形条件の経年変化を防止できる。
【0016】
前記第2の射出成形用金型においては、前記固定側金型に、一端がエジェクター板に連結され、他端が成形空間まで延びる、アンダーカット部成形用の傾斜ピンを設けているので、成形体に対してアンダーカット部を形成できるとともに、エジェクターピンとともに傾斜ピンを型開閉方向に対して斜めに突き出して、傾斜ピンの先端部を成形体のアンダーカット部から抜き取るとともに、傾斜ピンの先端部で成形体を突き出すことが可能となる。
【0017】
前記第3の射出成形用金型においては、前記複数のゲートから成形空間内に流入する溶融樹脂の会合部に多孔質なエア抜き部材を成形空間に臨ませて少なくとも一方の金型に設け、この金型にエア抜き部材に流入したエアを外部へ排出するエアベント孔を形成しているので、会合部において溶融樹脂が焼けるという不具合を防止できる。即ち、多点ゲートでは成形空間内への溶融樹脂の充填時に、異なるゲートから成形空間に流入した溶融樹脂の会合部に空気溜まりが形成され、この空気が断熱圧縮されて高温となり、会合部における溶融樹脂が焼けることがあるが、この発明のように構成すると、会合部に集まる空気をエア抜き部材及びエアベント孔を介して外部に排出して、空気溜まりが形成されることを防止できるので、会合部において溶融樹脂が焼けるという不具合を防止できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、射出成形用金型1は、横型射出成形装置の金型で、開閉可能に組み合わされる固定側金型2と可動側金型3とを左右に備え、次のように構成されている。
【0021】
可動側金型3について説明すると、略平板状の可動側取付板4が設けられ、可動側取付板4の左面側には可動側型板5が設けられ、可動側型板5の中央部には成形体M(図5参照)の外部に露出する表面側の形状に沿った成形面6が形成されている。
【0022】
固定側金型2について説明すると、略平板状の固定側取付板10が設けられ、固定側取付板10の左面側の中央部には凹部11が形成され、凹部11の中央部にはスプルブッシュ12が固定側取付板10を貫通して右方へ突出状に組み付けられ、固定側取付板10の左面には凹部11の口縁に沿って射出成形機のノズルの位置合わせの為のロケートリング13が取付けられ、スプルブッシュ12とロケートリング13とは同心状に固定側取付板10に組付けられている。
【0023】
固定側取付板10の右面側にはランナー払い板14が設けられ、このランナー払い板14は固定側取付板10に固定した図示外のガイドピンを介して左右移動自在に支持され、ランナー払い板14の右面側には固定側金型本体16が設けられ、ランナー払い板14と固定側金型本体16とは固定側取付板10に対してそれぞれ独立に或いは連動して左右方向に駆動できるように構成されている。
【0024】
固定側金型本体16について説明すると、ランナー払い板14の右面側には枠状のスペーサブロック17が設けられ、スペーサブロック17の左部内にはランナー払い板14の右面に密接される左部固定側型板18がスペーサブロック17の開口を閉鎖するように固定されている。
【0025】
スペーサブロック17の右面側には右部固定側型板19が固定され、右部固定側型板19の右面側の中央部には成形体Mの外部に露出しない裏面に沿った形状の成形面20を有するコア21が固定され、固定側金型2と可動側金型3とを型閉じした状態で、右部固定側型板19及びコア21と可動側型板5とで成形体Mを成形するための成形空間22が形成され、固定側金型2により成形体Mの裏面側が成形され、可動側金型3により成形体Mの表面側が成形されるように構成されている。
【0026】
固定側金型本体16には成形体Mを離型するための離型手段が設けられ、この離型手段について説明すると、スペーサブロック17の内側において左部固定側型板18の下側にはエジェクター板24が左右方向(型開閉方向)に移動自在に装着され、エジェクター板24には右部固定側型板19及びコア21を左右方向に貫通して成形空間22内へ出没可能に右方へ延びるエジェクターピン25が固定されるとともに、右部固定側型板19及びコア21を左右方向に対して傾斜状に貫通して成形空間22まで延びる傾斜ピン26が設けられ、傾斜ピン26の先端部には成形体Mにアンダーカット部U(図5参照)を形成するためのスライドコア27が一体的に設けられている。尚、エジェクターピン25及び傾斜ピン26の個数や配置は、成形体Mのサイズや形状に応じて適宜に設定可能である。また、傾斜ピン26は必須の構成ではなく、アンダーカット部Uを有しない成形体Mを作製する場合には省略することになる。
【0027】
エジェクター板24の左右方向への駆動は、図示外のチェーンやリンクなどの引張り機構を用いて、可動側金型3による型開閉動作に連動して行ってもよいし、油圧シリンダー等の駆動機構により直接的に行ってもよい。
【0028】
この離型手段では固定側金型本体16にエジェクターピン25及び傾斜ピン26を設けて、エジェクターピン25及び傾斜ピン26により成形体Mをその裏面側から突き出して離型するように構成しているので、エジェクターピン25や傾斜ピン26の打痕は成形体Mの裏面側に形成されることになり、これにより成形体Mの外観低下が防止される。
【0029】
射出ノズル(図示略)から供給される溶融樹脂を成形空間22へ導くため、スプルブッシュ12内にはスプル30が形成され、左部固定側型板18とランナー払い板14との合わせ面間にはスプル30に連なる複数のランナー上流部31が形成され、左部固定側型板18にはエジェクター板24と右部固定側型板19とコア21とを貫通して成形空間22内に開口する複数の材料供給パイプ32がランナー上流部31に対応させて取付けられ、材料供給パイプ32内にはランナー上流部31に連なるランナー下流部33と成形空間22に開口するゲート34とが形成されている。そして、射出ノズルから供給される溶融樹脂は、スプル30とランナー上流部31とランナー下流部33とゲート34を経て成形空間22内に供給される。尚、ランナー31,33及びゲート34の個数は、成形体Mのサイズ等に応じて適宜に設定可能であり、配設位置は、成形空間22内における樹脂流動を考慮した最適な位置に設定することになる。
【0030】
このように、この射出成形用金型1では、1つの成形空間22に対してランナー31,33及びゲート34を複数組み設けた多点ゲートを採用しているので、大型成形体や薄肉成形体を精度良く成形できる。また、成形体Mの裏面側を成形する固定側金型2にゲート34を設けているので、ゲート跡により成形体Mの外観が低下することを防止できるとともに、外観低下を考慮する必要がないので、ゲート34の配設位置に対する設計自由度を大幅に拡大でき、樹脂流動を考慮した最適な位置にゲート34を配設できる。
【0031】
材料供給パイプ32は、左部固定側型板18に対して着脱可能に設けられ、溶融樹脂との接触によりゲート34が摩耗した際には、新しいものと交換できるように構成されている。つまり、樹脂流速が速く、最も摩耗し易いゲート34を交換可能となすことで、金型寿命を全体的に長くできる。
【0032】
材料供給パイプ32の素材としては、ゲート34の摩耗を極力抑制するため、耐摩耗性に優れた材料を採用することが好ましい。具体的には、ロックウェルCスケールで35以上に調整された鋼材、例えばJIS規格におけるSKD61、SKH51等が好適である。また、摩耗性を向上させる為、熱処理等を施したり、溶融樹脂が流れる材料供給パイプ32の内面に表面処理を施して、耐摩耗性を向上してもよい。特に、薄肉成形体を成形する場合には、成形体Mの剛性を十分に確保するため、ガラス繊維等のフィラーを混入した溶融樹脂、例えばガラス繊維を45Wt%混入して補強したポリエステル系樹脂を使用するので、ゲート34の摩耗を抑制するため、材料供給パイプ32を耐摩耗性に優れた素材で構成することが好ましい。
【0033】
また、射出成形用金型1では多点ゲートを採用しているので、ゲート34から成形空間22内に流入した溶融樹脂はゲート34を中心に広がって、異なるゲート34から流入した溶融樹脂と会合することになるが、このとき成形空間22の形状やゲート34の配設位置によっては、成形空間22内における溶融樹脂の会合部に空気溜まりが形成されることがあり、この空気が断熱圧縮されて高温となり、会合部において溶融樹脂が焼け付くことがある。これを防止するため、コア21の会合部に対応する位置には多孔質なエア抜き部材35が設けられ、コア21及び右部固定側型板19にはエア抜き部材35に流入した空気をスペーサブロック17内の空間へ排出するエアベント孔36が形成されている。但し、エア抜き部材35及びエアベント孔36は可動側型板5に形成してもよいが、エア抜き部材35により成形される製品表面と他の部分間において表面性に差異が発生するので、可動側型板5に設ける場合には、シールを貼り付けるなどして外部に露出しない部分に対面させて、エア抜き部材35を設けることが好ましい。
【0034】
エア抜き部材35としては、任意の素材からなるものを採用できるが、コア21との熱膨張差の少ない多孔質鋼材、例えば新東工業製ポーセラックス22等を好適に利用できる。
【0035】
次に、この射出成形用金型1を用いた成形体Mの成形方法について説明する。
先ず、図1に示すように、可動側金型3と固定側金型2とを型閉じして、射出ノズルの先端をスプルブッシュ12に密接させから、射出ノズルから溶融樹脂を押し出して、スプル30、ランナー31,33、ゲート34を通って成形空間22内に溶融樹脂を充填する。
【0036】
次に、成形空間22内に充填した溶融樹脂が固化してから、図2に示すように、固定側金型本体16及び可動側金型3を右方へ移動させて固定側取付板10及びランナー払い板14から離間させる。このとき、ランナー31,33により成形されたランナー部Rは、引張ピン15の先端部との係合により固定側取付板10及びランナー払い板14側に保持され、ゲート34に対応する部分において成形体Mから切り離される。
【0037】
次に、図3に示すように、ランナー払い板14を右方へ移動させて固定側取付け板1から離間させ、ランナー部R及びスプル30により成形されたスプル部Sをランナー払い板14から離型させ、外部へ排出する。
【0038】
次に、図4に示すように、可動側金型3を右方へ移動させて固定側金型本体16から離間させて型開きする。このとき、成形体Mは固定側金型本体16側に保持された状態となる。
【0039】
次に、図5に示すように、エジェクター板24を右方へ駆動し、傾斜ピン26の型開閉方向に対する傾斜動きに応じて、成形体Mのアンダーカット部Uからスライドコア27を抜き取るとともに、成形体Mをエジェクターピン25と傾斜ピン26とで右方へ突き出して離型する。
【0040】
このようにして成形した成形体Mは、裏面にのみ複数のゲート跡とエジェクターピン27及び傾斜ピン26の打痕が形成されているので、外部に露出する表面の外観を向上できる。また、多点ゲートを採用の射出成形用金型1を用いて成形したものなので、精度の良い高品位な成形体となる。しかも、エジェクターピン27及び傾斜ピン26により成形体Mを離型するので、ストリッパープレートを用いて成形品Mを離型する場合とは異なり、縦バリが形成されることもないので、その除去作業が不要となり、しかも抜き勾配を大きく設定する必要もないので、デザイン面に対する設計自由度が大きくなる。
【0041】
尚、本実施例では、コールドランナー方式の射出成形用金型1に本発明を適用したが、ホットランナ一方式の射出成形用金型においては、ランナー下流部33を構成するトピード部を交換可能とすることで本発明を同様に適用できる。
【0042】
【発明の効果】
本発明に係る第1〜第3の射出成形用金型によれば、スプル、ランナー、ゲートと、離型手段としてのエジェクター板及びエジェクターピンとを成形体裏面側を成形する固定側金型に設けているので、ゲート跡やエジェクターピンの打痕は成形体の裏面側に形成されることになり、成形体の外観が低下することはない。したがって、多点ゲートで成形した大型成形体や薄肉成形体でありながら、ゲート跡やエジェクターピンの打痕のない表面美麗な成形体を作製できる。
【0043】
また、樹脂流動を考慮した最適な位置にゲートを配置できるので、精度の良い高品位な成形体を製作できる。しかも、エジェクターピンにより成形体を離型するので、ストリッパープレートを用いて成形体を離型する場合とは異なり、成形体の外縁部に縦バリが形成されることもないし、コアの抜き勾配を大きく設定することによるデザイン面での制約を受けることもない。
【0044】
更に、材料供給パイプによりゲート及びランナーの下流部を構成することで、従来通りスプルを固定側取付板に設けることが可能となるので、射出成形装置として既存のものをそのまま採用でき、容易に且つ安価に実施できる。
【0045】
更にまた、材料供給パイプはエジェクター板を挿通するように複数本設けることにはなるが、比較的小径でエジェクターピンの配設位置に対する自由度をほとんど阻害しないので、エジェクターピンを無理なく適正な位置に設けて、成形体の離型性を十分に確保することが可能となる。しかも、エジェクター板を迂回して湯道を形成する必要がないので、湯道を極力短尺に構成して、溶融樹脂の流通抵抗を低減できるとともに、無駄になる樹脂材料を極力少なくできる。
【0046】
また、ガラス繊維などのフィラーを混入した溶融樹脂を使用して、ゲートの摩耗速度が速くなった場合でも、材料供給パイプを交換することでゲートの摩耗に容易に対応できる。また、最も摩耗し易いゲートを交換できることから、金型全体の寿命を延ばすことが可能となる。
【0047】
加えて、第1の射出成形用金型によれば、材料供給パイプを耐摩耗性に優れた鋼材で構成しているので、ゲートの摩耗によるゲート切れ不良や成形条件の経年変化を効果的に防止できる。また、このような耐摩耗性に優れた鋼材は高価なものではあるが、材料供給パイプだけをこのような耐摩耗性に優れた鋼材で構成できるので、金型の製作コストの上昇を抑制できる。
【0048】
また、第2の射出成形用金型によれば、固定側金型に、一端がエジェクター板に連結され、他端が成形空間まで延びる、アンダーカット部成形用の傾斜ピンを設けているので、成形体に対してアンダーカット部を形成できるとともに、傾斜ピンを型開閉方向に対して斜めに突き出して、傾斜ピンの先端部を成形体から抜き取るとともに、傾斜ピンの先端部で成形体を突き出すことが可能となる。しかも、この傾斜ピンによる成形体の離型は、エジェクターピンを用いた離型と同様に、ストリッパープレートを用いて成形体を離型する場合とは異なり、成形体の外縁部に縦バリが形成されることもないし、コアの抜き勾配を大きく設定することによるデザイン面での制約を受けることもない。
【0049】
更に、第3の射出成形用金型によれば、一方の金型にエア抜き部材とエアベント孔とを形成しているので、会合部における溶融樹脂の焼けを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る射出成形用金型の横断面図
【図2】同射出成形用金型のランナー部型開き状態を示す説明図
【図3】同射出成形用金型のランナー部をはらった状態を示す説明図
【図4】同射出成形用金型の型開き状態を示す説明図
【図5】同射出成形用金型の成形体の離型時の説明図
【図6】従来の射出成形用金型の横断面図
【図7】同射出成形用金型の要部横断面図
【符号の説明】
1 射出成形用金型 2 固定側金型
3 可動側金型 4 可動側取付板
5 可動側型板 6 成形面
10 固定側取付板 11 凹部
12 スプルブッシュ 13 ロケートリング
14 ランナー払い板 15 引張ピン
16 固定側金型本体 17 スペーサブロック
18 左部固定側型板 19 右部固定側型板
20 成形面 21 コア
22 成形空間
24 エジェクター板 25 エジェクターピン
26 傾斜ピン 27 スライドコア
30 スプル 31 ランナー上流部
32 材料供給パイプ 33 ランナー下流部
34 ゲート 35 エア抜き部材
36 エアベント孔
M 成形体 R ランナー部
S スプル部 U アンダーカット部

Claims (3)

  1. 成形空間に対して溶融樹脂を供給するためのスプル、ランナー、ゲートを成形体裏面側を成形する固定側金型に設けるとともに、前記ゲートを1つの成形空間に対して2つ以上形成した多点ゲートで構成し、固定側金型から成形体を離型するための離型手段として、固定側金型に型開閉方向に移動可能なエジェクター板及びエジェクターピンを設け、エジェクター板を貫通して型開閉方向に延びる材料供給パイプによりゲート及びランナーの下流部を構成し、前記材料供給パイプを耐摩耗性に優れた鋼材で構成した
    ことを特微とする射出成形用金型。
  2. 成形空間に対して溶融樹脂を供給するためのスプル、ランナー、ゲートを成形体裏面側を成形する固定側金型に設けるとともに、前記ゲートを1つの成形空間に対して2つ以上形成した多点ゲートで構成し、固定側金型から成形体を離型するための離型手段として、固定側金型に型開閉方向に移動可能なエジェクター板及びエジェクターピンを設け、エジェクター板を貫通して型開閉方向に延びる材料供給パイプによりゲート及びランナーの下流部を構成し、前記固定側金型に、一端がエジェクター板に連結され、他端が成形空間まで延びる、アンダーカット部成形用の傾斜ピンを設けた
    ことを特微とする射出成形用金型。
  3. 成形空間に対して溶融樹脂を供給するためのスプル、ランナー、ゲートを成形体裏面側を成形する固定側金型に設けるとともに、前記ゲートを1つの成形空間に対して2つ以上形成した多点ゲートで構成し、固定側金型から成形体を離型するための離型手段として、固定側金型に型開閉方向に移動可能なエジェクター板及びエジェクターピンを設け、エジェクター板を貫通して型開閉方向に延びる材料供給パイプによりゲート及びランナーの下流部を構成し、前記複数のゲートから成形空間内に流入する溶融樹脂の会合部に多孔質なエア抜き部材を成形空間に臨ませて少なくとも一方の金型に設け、この金型にエア抜き部材に流入したエアを外部へ排出するエアベント孔を形成した
    ことを特微とする射出成形用金型。
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