JP2001347546A - 熱可塑性樹脂の射出成形用金型と成形方法並びに熱可塑性樹脂成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂の射出成形用金型と成形方法並びに熱可塑性樹脂成形品

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JP2001347546A
JP2001347546A JP2000171025A JP2000171025A JP2001347546A JP 2001347546 A JP2001347546 A JP 2001347546A JP 2000171025 A JP2000171025 A JP 2000171025A JP 2000171025 A JP2000171025 A JP 2000171025A JP 2001347546 A JP2001347546 A JP 2001347546A
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resin
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thermoplastic resin
molding
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Koichi Tezuka
康一 手塚
Seizo Fujii
誠三 藤井
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷却時間の延長化による生産性の低下等を伴
うことなく、ウェルドラインの形成や充填材の浮き出し
がなく、外観の優れた樹脂成形品を得る。 【解決手段】 固定側金型1は、固定側取付板2とスペ
ーサブロック3と固定側型板4と固定側型板4のキャビ
ティ4aに連通するスプルーブッシュ5とを備え、スペ
ーサブロック3の内側にキャビティ4a内に突出可能な
エジェクターピン7を有するエジェクタープレート8が
設けられている。可動側金型9は、可動側取付板10と
キャビティ11aを有する可動側型板11とを備えてい
る。金型(射出成形用金型)K1aが型開き状態のと
き、固定側金型1と可動側金型9との間に加熱装置の加
熱源を挿入して、外観面となる可動側金型9のキャビテ
ィ11a部のみを加熱した後に、射出成形機からスプル
ーブッシュ5を介して溶融樹脂を金型キャビティ14に
射出して樹脂成形品(熱可塑性樹脂成形品)を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、外観が良好な熱可
塑性樹脂成形品を得るための手法である金型表面加熱法
に用いられる射出成形用金型と、該金型を用いて熱可塑
性樹脂成形品を得るための成形方法並びに該成形方法に
より得られた熱可塑性樹脂成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂は、その加工のし易さか
ら、車両、電機、機器、雑貨などの外観部品や機構部品
といった様々な分野で利用されている。これらの部品の
加工法としても、様々な方法が用いられているが、生産
性の良さから射出成形によって成形されることが多い。
特に外観部品では、溶融樹脂の合流によるウエルドライ
ン等の外観不良を極力目立たないようにすることが要求
されるが、一般の射出成形ではそれらの発生は避けられ
ないという問題がある。また、成形部品の形状の自由度
を優先し過ぎると形状によっては樹脂の流動挙動に起因
するフローマーク、ジェッティングなどの外観不良を生
じ易い。更に、充填剤入り樹脂の場合では、成形品表面
上への充填剤の浮き出しによる外観の悪さが避けられな
いという問題点がある。
【0003】これらの問題点を解決する手法として、樹
脂を充填する直前に金型表面を高温に加熱する成形方法
が提案されている。その加熱法の違いにより、例えば、
特公平7−61670号公報並びに登録実用新案第30
13428号公報にはハロゲンランプの輻射熱を利用す
る方法が、特開昭62−58286号公報には高周波発
信装置のインダクターを固定側金型と可動側金型とで挟
み込み、高周波誘導加熱で金型の表面温度を昇温する方
法が、特開昭63−95919号公報には金型の加熱し
ようとする部分に高周波誘導コイルを埋め込んでいて誘
導加熱による昇温を行う方法等がそれぞれ開示されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、一般的な金型
は、固定側部分にキャビティ及び/又はコアである外観
面と、ゲート、スプルー、ランナーなどの樹脂流路の双
方を有している。良好な外観を得るために前述の加熱法
を使用すると、キャビティ及び/又はコアである外観面
のみならず、ゲート、スプルー、ランナーなどの樹脂流
路も加熱される。通常は、スプルー、ランナーなどの樹
脂流路は成形部品に比べて厚肉に設計されているため、
これらの部分が冷却固化するのに余分な時間を要し、生
産性が低下するという問題がある。この点に対し、成形
面に限定した加熱を行うために、高周波誘導加熱の場合
ではインダクター形状の精度を向上させたり、ハロゲン
ランプ加熱の場合ではランプ配列の工夫、遮蔽板の取り
付けなどを行ったりすることが提案されているが、金型
表面部での熱の伝搬があるため効果が不十分であり、ま
た、ピンゲートのような外観面に直接ゲートが設置され
ているような場合には、加熱装置側の工夫では何ら対処
ができないのが現状である。
【0005】また、スプルーやランナーを作ることなく
成形品を得る目的でホットランナーが使用されている
が、ゲート、スプルー、ランナーなどの金型内での樹脂
流路がホットランナー構造であり、外観面にピンゲート
が直接設置されているような場合では、外観面を加熱す
る際にゲート並びにゲート部付近の溶融樹脂も加熱され
るため、ゲート部からの樹脂漏れや成形時にゲート部付
近の樹脂が加熱分解することによる焼け、シルバーなど
の外観不良を、並びに機械的にゲートを塞ぐような構造
を有するバルブ式ゲートではゲートピンのかじりなどを
生じてしまう問題点がある。
【0006】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、冷却時間の延長化による生産性の低下等を伴うこと
なく、ウェルドラインの形成や充填材の浮き出し等がな
く、外観の優れた成形品を得ることができる射出成形用
金型と成形方法並びに熱可塑性樹脂成形品を提供するこ
とを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、以下の点を特徴としている。すなわち、
請求項1に係る射出成形用金型は、外観面となる金型表
面を高温に加熱した後、金型内に溶融樹脂を充填する熱
可塑性樹脂の射出成形法に用いられる金型であり、且
つ、加熱される外観面であるキャビティおよび/又はコ
ア部分を可動側に有し、ゲート、スプルー、ランナーな
どの樹脂流路並びに突き出し機構を固定側に有すること
を特徴とする。この射出成形用金型によれば、射出成形
に際して加熱装置により外観面が加熱されるとき、ゲー
ト、スプルー、ランナーなどの樹脂流路は加熱されない
ので、樹脂成形品の冷却時間の延長化や外観面に不良を
起こすことがない。また、外観面と反対側に突き出し機
構が設けられているので、突き出しピンの痕跡等による
外観面不良の発生も防止される。
【0008】請求項2に係る射出成形用金型は、請求項
1に記載の金型において、樹脂流路がホットランナー構
造であることを特徴とする。この射出成形用金型によれ
ば、射出成形に際して加熱装置により外観面が加熱され
るとき、ゲートやその付近の溶融樹脂が加熱されないの
で、ゲート部からの樹脂漏れやゲート部付近の樹脂の加
熱分解による焼け等の外観面不良を起こすことがない。
【0009】請求項3に係る成形方法は、請求項1また
は2に記載の射出成形用金型を用いて、外観面となる金
型表面を高温に加熱した後に、金型内に溶融樹脂を充填
し、冷却固化させ、金型からの取り出しを行うことによ
り熱可塑性樹脂成形品を得ることを特徴とする。この成
形方法によれば、冷却時間の延長化等による生産性の低
下を伴うことなく、外観面のウェルドラインの形成や、
充填剤の浮き出しを改善できると共に、突き出しピンに
よる痕跡をなくして成形外観の優れる良質の熱可塑性樹
脂成形品が得られる。
【0010】請求項4に係る熱可塑性樹脂成形品は、請
求項3に記載の成形方法を用いて得られた樹脂成形品で
あって、外観面のウエルドラインが実質的に目立たな
く、且つ、外観面にゲートや突き出しピンなどの痕跡を
有さないことを特徴とする。請求項5に係る熱可塑性樹
脂成形品は、請求項3に記載の成形方法を用いて得られ
た材質が充填材入りの熱可塑性樹脂からなる樹脂成形品
であって、外観面の光沢度が60%以上であり、且つ、
外観面にゲートや突き出しピンなどの痕跡を有さないこ
とを特徴とする。これらの熱可塑性樹脂成形品によれ
ば、種々の用途に幅広く利用することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係る射出成形用金
型の実施の形態について図1〜図5にもとづいて説明す
る。図1は本発明に係る射出成形用金型の第1の実施の
形態の一部を断面で示した正面図である。図1におい
て、符号1は、射出成形機(図示せず)の固定盤A(図
6参照)に取り付けられる固定側金型であり、前記固定
盤Aに一側面を当接して固定される固定側取付板2と、
該固定側取付板2の他側面にスペーサブロック3を介し
て固定された固定側型板4と、該固定側型板4と前記固
定側取付板2とに跨って取り付けられており、一端部に
前記射出成形機の射出ノズルが当接するスプルーブッシ
ュ5と、前記固定側取付板2の一側面に固定されている
ロケートリング6とを備えている。前記固定側型板4の
他側面には、スプルーブッシュ5の樹脂流路R1に連通
する非外観面側を形成するキャビティ4aが設けられて
いる。
【0012】また、前記固定側型板4には、その板面に
垂直な方向に沿ってあけた複数のピン孔4b(図では1
つのみ図示)にそれぞれエジェクターピン(突き出しピ
ン)7が挿通されており、該エジェクターピン7の一端
は、前記スペーサブロック3の内側に設けられたエジェ
クタープレート8に固定されている。該エジェクタープ
レート8がシリンダ等の作動機構(図示せず)で駆動さ
れることにより、前記エジェクターピン7が軸方向に移
動されてその他端部を前記キャビティ4a内に出没させ
るようになっている。前記エジェクターピン7、エジェ
クタープレート8、作動機構、スペーサブロック3等
は、樹脂成形品(熱可塑性樹脂成形品)の突き出し機構
Eを構成している。
【0013】また、符号9は、前記射出成形機の可動盤
Bに取り付けられる可動側金型であり、前記射出成形機
の可動盤B(図6参照)に他側面を当接して固定される
可動側取付板10と、該可動側取付板10の一側面に固
定された可動側型板11とを備えている。該可動側型板
11は、樹脂成形品の外観面を形成するキャビティ11
aおよび/又はコア(図示せず)を有している。前記固
定側金型1と前記可動側型板11との間にキャビティ4
a,11aによって形成される金型キャビティ14は、
図2に示すように正方形状のもので、キャビティ側面の
2個所にサイドゲート(ゲート)15,15が形成され
ており、該サイドゲート15,15はランナー16を介
してスプルー17に接続されている。キャビティの表面
は鏡面仕上げが施されている。さらに、前記固定側型板
4と前記可動側型板11とには、キャビティ4a、キャ
ビティ11aおよび/又はコアの周辺に熱媒体流路1
2,13がそれぞれ設けられており、該熱媒体流路1
2,13には、熱媒体供給装置から温調機で温度調節さ
れた熱媒体が温調配管を介して供給されるようになって
いる。
【0014】前記固定側金型1と可動側金型9とからな
る金型(射出成形用金型)K1aは、前記キャビティ1
1aおよび/又はコアである外観面を可動側に有し、ゲ
ート15、スプルー17、ランナー16などの樹脂流路
R1ならびに突き出し機構Eを固定側に有する金型構造
である以外は、従来周知の金型と同じ構造や機構を適用
することができる。例えば、一般的な射出成形用金型と
同様に固定側と可動側に2分割する以外に、3分割もし
くはそれ以上に分割されたものとしても構わない。図3
には、前記固定側取付板2と前記スペーサブロック3と
の間にストリッパープレート18とランナープレート1
9とが設けられた固定側に分割構造を有する金型(射出
成形用金型)K1b(第2の実施の形態)が示されてい
る。
【0015】この金型K1bでは、固定側取付板2とス
トリッパープレート18にわたってスプルーブッシュ5
が固定され、ランナープレート19と前記固定側型板4
とに跨って、前記エジェクタープレート8を貫通する第
2スプルーブッシュ20が取り付けられていると共に、
前記ランナープレート19に前記スプルーブッシュ5と
第2スプルーブッシュ20の樹脂通路20aに連通する
樹脂通路19aが設けられている。この金型K1bのキ
ャビティ14は、図4に示すように、正方形状のもの
で、キャビティ平面の2個所に樹脂流路R2に接続され
るピンゲート(ゲート)15,15が形成されている。
この金型K1bにも、第1の実施の形態の金型K1aと
同様に、固定側型板4と可動側型板11とに熱媒体を流
す熱媒体流路12,13が設けられている。
【0016】また、ゲート15の形状についても、特に
サイドゲートやピンゲートに制約されるものではなく、
タブゲート、オーバーラップゲート、フィルムゲート、
ディスクゲート、サブマリンゲート、ダイレクトゲート
などの1種類もしくは2種類以上を組み合わせたものな
ど一般的な構造のものが用いられるほか、その寸法およ
び径、設定位置、数などについて特に制約されるもので
はない。ランナー16は、金型構造において固定側型板
4に設置すること以外は、設定位置、寸法などについて
特に制約されるものではない。その他の金型構造とし
て、成形部品の形状に応じて、スライドコア、スライド
ピンなどの構造を有しても構わない。
【0017】図5には、固定側にゲート15,15(図
4参照)、スプルー17,17、ランナー16等の樹脂
流路R3にホットランナー構造を採用した金型(射出成
形用金型)K1c(第3の実施の形態)が示されてい
る。この金型K1cでは、固定側取付板2とスペーサブ
ロック3との間に第2スペーサブロック21が設けら
れ、図3に示すスプルーブッシュ5と樹脂通路19aと
第2スプルーブッシュ20に代えて、固定側金型4のキ
ャビティ4aに連通するホットチップ22を有するホッ
トランナー用マニホールド23が、固定側取付板2から
固定側型板4にわたって取り付けられている。
【0018】前記ホットランナー用マニホールド23の
構造は、特に制約されるものではなく一般的なものが使
用され、例えば、世紀製「スピアシステム」、ユーシン
精機製「サモコンゲートシステム」、青江電気製「RA
MAホットランナーシステム」、石原プラスチック工業
製「エビコンホットランナーシステム」、ゴウセイ製
「インコホットランナーシステム」、十王製「614ホ
ットランナーシステム」、東洋瓦斯機工製「TGKホッ
トランナーシステム」、日本ディー・エム・イー製「D
MEホットランナーシステム」、日本ビクター製「メナ
ーバルブゲートシステム」、フィーサ製「プラゲートシ
ステム」などが挙げられる。
【0019】なお、前記金型K1cの固定側金型1と前
記可動側型板11との間にキャビティ4a,11aによ
って形成される金型キャビティ14も、図4に示すよう
に正方形状のもので、キャビティ表面の2箇所にピンゲ
ート(ゲート)15,15が形成されており、該ピンゲ
ート15,15はランナー16とスプルー17,17と
を有する樹脂通路R3に接続されている。前記金型K1
cにも、第1の実施の形態の金型K1aと同様に、固定
側型板4と可動側型板11とに熱媒体を流す熱媒体流路
12,13が設けられている。
【0020】前記金型K1a,K1b,K1cは金属製
金型、特に鉄製金型が用いられる。ここで言う鉄製金型
とは、鉄製金型の表面にクロムめっきや窒化処理などの
表面処理を行っているものも含まれるほか、外観面とな
る金型表面が鏡面、並びにエッチングまたはブラストに
よって形成されたシボ面の一方、または併用でも構わな
い。
【0021】本発明の金型は、一般には可動側にあるエ
ジェクタープレート、エジェクターピン、スペーサブロ
ックなどの突き出し機構を固定側に有する金型構造と
し、外観面に突き出しピン等の痕跡が残らないようにす
る必要がある。そうでなければ、外観面に突き出しピン
の痕跡が残り外観が悪くなる。また、固定側に突き出し
機構を有しているため、固定側の型板が厚く、スプルー
ブッシュが一般の金型よりも長い構造となるため、ラン
ナー取り出しスペースであるランナープレートとストリ
ッパープレート間の開き量を一般の金型より大きく設計
することが望ましい。
【0022】次に、本発明に係る成形方法の一実施の形
態について図6等を参照して説明する。本発明の成形方
法は、前記金型(射出成形用金型)K1(K1a,K1
b,K1c)を用いて外観面となる金型表面を高温に加
熱した後に、金型内に溶融樹脂を充填し、冷却固化さ
せ、金型からの取り出しを行うことにより実施される。
まず、固定側金型1の固定側取付板2を射出成形機にお
ける型締装置の固定盤Aに固定すると共に、可動側金型
9の可動側取付板10を前記型締装置の可動盤Bに固定
することにより金型K1を前記型締装置に装着する。可
動盤Bを矢印イ方向に後退移動して金型K1が型開き状
態にあるときに、ランプユニット(加熱源)Wを備えた
加熱装置Hを矢印ハ方向に移動させて固定側金型1と可
動側金型9の間に挿入して、該加熱装置Hによって樹脂
成形品の外観面となる可動側金型9のキャビティ11a
および/又はコアの表面f1、もしくはその一部を加熱
する。
【0023】前記キャビティおよび/又はコア表面f1
の表面温度の具体的な好適な温度は、使用する熱可塑性
樹脂の種類により異なり、例えばABS樹脂の場合では
90℃以上、PC樹脂の場合では140℃以上の温度で
あることが望ましい。金型K1のキャビティ及び/又は
コア表面温度が所定の温度未満の場合には、後述の射出
成形で得られる樹脂成形品(熱可塑性樹脂成形品)に発
生するウエルドラインや充填剤の浮き出しによる不良が
目立つ傾向にある。また、金型K1のキャビティ及び/
又はコア表面f1の表面温度が80℃以上であるとき
に、金型K1内に溶融樹脂を充填開始するためには、加
熱後の加熱装置Hにおける加熱源Wの離脱、型閉じなど
に要する時間により、金型K1の表面f1の温度が熱伝
導や放熱で低下することを考慮して、金型K1の表面f
1の加熱温度を設定することが必要である。
【0024】前記可動側金型9のキャビティ11aおよ
び/又はコアの表面f等を加熱する金型表面加熱法は、
特に、ハロゲンランプ(加熱源)Wを有する加熱装置H
による加熱方式に制約されるものではなく、公知の方法
が適用される。例えば、、高周波誘導加熱方式、赤外線
ヒーターによる加熱方式、電気抵抗体による加熱方式な
どが挙げられる。加熱装置Hとしては、ランプユニット
(加熱源)Wのほかに金型K1が開いている状態のとき
に、ランプユニットWを所定の位置に挿入し、金型K1
が型閉じする前に、金型K1の外に後退移動させるため
の駆動装置D、所定の表面温度に設定するための温度制
御装置(図示せず)等を具備して構成される。金型K1
の温度を測定し、加熱装置Hの駆動を制御する駆動制御
装置やランプユニットWの加熱温度を制御する温度制御
装置としては、周知一般のものを利用できる。
【0025】こうした加熱装置Hの構成の概要として
は、具体的には、例えばハロゲンランプを用いた加熱方
式の場合では、特公平7−61670号公報ならびに登
録実用新案第3013428号公報、高周波誘導加熱を
用いた加熱方式の場合では、特開昭62−58286号
公報に記載されている装置が例示される。また、射出成
形時に外観が問われる部分の金型表面の温度を高くする
という目的に採用されている方式であれば、その方式に
関係なく、本発明の金型K1を用いて冷却時間の延長に
よる生産性の低下を伴うことなく、外観面のウェルドラ
インの形成や、充填剤の浮き出しを改善できる。例え
ば、金型表面に断熱層を施すような方式などが例示され
る。
【0026】次に、上記のようにして金型K1における
可動金型9のキャビティおよび/又はコア表面f等の加
熱が終了すると、加熱装置Hの駆動装置Dが作動してラ
ンプユニットWが矢印ニ方向に後退移動された後に、型
締装置の可動盤Bが型締め動作をすることにより、可動
側金型9が固定金型1に当接して金型K1の型閉じ、型
締めが行われる。この後に、射出装置の射出ノズル(図
示せず)から前記スプルーブッシュ5および/又はホッ
トランナー用マニホールド23等を経て加熱溶融された
熱可塑性樹脂が前記キャビティ4a,11aおよび/又
はコアに射出される。この溶融樹脂が前記キャビティ4
a,11aおよび/又はコア内に成形されて固化される
と、型締装置の可動盤Bが型開き動作をすることによ
り、可動側金型9が固定金型1から離れて金型K1が型
開きされる。このとき、固定側金型1に設けた突き出し
機構Eが作動してエジェクタープレート8が前進しエジ
ェクターピン7を可動側金型9側に突き出すので、前記
キャビティ4a,11a等内に成形されて固化された樹
脂成形品24が該キャビティ4a,11a等内から突き
出されて成形が終了される。
【0027】前記射出成形方法では、一般に、熱可塑性
樹脂を100〜320℃、好ましくは150〜280℃
の温度に加熱溶融して射出を行う。溶融した熱可塑性樹
脂を金型K1内に充填する時間は、5秒以内であること
が好ましい。ここで言う充填時間とは、射出成形機の射
出スクリューが前進を始めてから溶融樹脂がキャビティ
4a,11a内の殆どを占めるショートショット状態に
至るまでの充填時間のことである。充填時間が5秒を超
える場合には、前記加熱装置Hのランプユニット(加熱
源)Wにより加熱された金型K1の外観面となる表面f
の温度が低下してしまい、目的とする成形外観の樹脂成
形品が得られにくくなる。充填時間を決定する射出成形
条件として、射出圧力、射出速度、温調機により調整さ
れる金型K1の温度等があり、これらの条件を適宜調整
することで充填時間を5秒以内にすることができる。そ
の他の成形条件として、保圧力、射出成形品の冷却時間
などがあるが、特に制限されるものではなく、使用され
る熱可塑性樹脂に対する一般的な条件が用いられる。
【0028】なお、前記温調機により調整される金型K
1の温度については、樹脂成形品24の反りを防止する
ために固定側金型1と可動側金型9とで各々異なる温度
に調整しても構わない。特に、本発明のように可動側金
型9のキャビティ11aおよび/又はコアの一方をラン
プユニット(加熱源)Wにより加熱する場合には、温調
機により調整される金型K1の温度を同じにすると、樹
脂成形品の取り出し時の固定側金型1のキャビティ4a
又はコアの表面f2と可動側金型9のキャビティ11a
又はコアの表面f1に温度差が生じ、反りが発生し易く
なる。従って、ランプユニットWにより加熱する側の可
動側金型9では、温調機により調整される金型の温度を
他方の固定側金型1より低めに調整することが好まし
い。
【0029】以上のような金型K1を用いた熱可塑性樹
脂の成形方法によれば、外観面となる金型表面f1を高
温に加熱した後に、金型K1内に溶融樹脂を充填し、冷
却固化させ、固定側金型1に設けたエジェクターピン7
で金型K1からの取り出しを行うことにより、実質的に
ウエルドラインL(図2、図4参照)が目立たなく、光
沢度60%以上を有し、更には、外観面にゲート、エジ
ェクターピン7などの痕跡のない良好な外観を有する樹
脂成形品を得ることができる。一般に、射出成形等にお
いて、ウエルドラインLは、溶融樹脂の合流点に発生す
る合流ラインであり、該部分を表面粗さ計で測定する
と、幅10μm以上、深さ3μm以上の凹部を形成して
いる。本発明の樹脂成形品で実質的にウエルドラインL
が目立たないとは、幅5μm以下、深さ1μm以下の凹
部でライン状外観が見えないことである。
【0030】以上、充填剤の入っていない熱可塑性樹脂
の成形方法について説明したが、本発明の成形方法にお
いては、充填剤入り熱可塑性樹脂を用いた射出成形をも
好適に行うことができる。通常、充填剤入り熱可塑性樹
脂を用いた射出成形においては、充填剤の浮き出しが充
填圧力の加わりにくい部分等、例えば、樹脂流動末端部
分に発生し、その部分は、光沢度計で測定すると60%
未満の光沢度しか有していない。本発明の成形方法によ
れば、充填剤入り熱可塑性樹脂の成形品で60%以上の
光沢度を有しており、成形品の表面に充填剤の浮きだし
が認められず、平滑な成形外観を有する結果が得られる
ことが特徴である。本発明の成形方法を用いることによ
って、外観面にフローマーク、ジェティング、シルバー
ストリーク等の外観不良現象がない良質の樹脂成形品を
得ることもできる。
【0031】本発明の金型K1を用いて成形される熱可
塑性樹脂としては、特に制約されるものはなく、一般的
な種々のものが使用される。例えば、スチレン−アクリ
ロニトリル共重合体(AS樹脂)、ポリスチレン、ハイ
インパクトポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエ
ン系ゴム−スチレンからなるグラフト共重合体(ABS
樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン系ゴム−スチレ
ン−α-メチルスチレンからなるグラフト共重合体(耐
熱ABS樹脂)、アクリロニトリル−アクリレート系ゴ
ム−スチレンからなるグラフト重合体(ASA樹脂)、
アクリロニトリル−エチレン・プロピレン系ゴム−スチ
レン及び/又はメタクリル酸メチルからなるグラフト共
重合体(AES樹脂)、アクリロニトリル−シリコーン
系ゴム−スチレンからなるグラフト共重合体、アクリロ
ニトリル−(シリコーン−アクリル)複合ゴム−スチレ
ンからなるグラフト共重合体、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリカーボネート(PC樹脂)、ポリエチレン
テレフタレート(PET樹脂)、ポリブチレンテレフタ
レート(PBT樹脂)、ポリフェニレンエーテル(PP
E樹脂)、ポリオキシメチレン(POM樹脂)、結晶性
及び/又は非晶性ポリアミド、メタクリル酸メチル系重
合体(PMMA樹脂)、ポリエーテルスルホン、ポリア
リレート、ポリフェニレンサルファイド(PPS樹
脂)、液晶ポリマー(LCP樹脂)、塩化ビニル(PV
C樹脂)、マレイミド化合物−スチレン及び/又はアク
リロニトリル及び/又はα-メチルスチレンからなる共
重合体、ゴム状重合体−マレイミド化合物−スチレン及
び/又はアクリロニトリル及び/又はα-メチルスチレ
ンからなるグラフト共重合体、PC樹脂とABS樹脂及
び/又はASA樹脂やPBT樹脂とABS樹脂及び/又
はASA樹脂のような上記の樹脂を2種類以上組み合わ
せたポリマーアロイ等、及びこれらに充填材を添加した
樹脂が挙げられる。
【0032】また、充填材としては、ガラス繊維、ガラ
スビーズ、ガラスフレーク、カーボン繊維、マイカ、タ
ルク、ウォラストナイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネ
シウム、カーボンブラック、ケッチエンブラック等の無
機物や鉄、銅、亜鉛、アルミニウム等の金属、合金およ
びそれらの酸化物の繊維、粉末やガラス繊維、カーボン
繊維に金属コーティングしたもの等が挙げられる。さら
に、本発明に用いられる熱可塑性樹脂には、難燃剤や熱
安定剤、光安定剤などの各種安定剤、抗菌剤、帯電防止
剤などを添加したものも使用することができる。
【0033】本発明の金型K1を用いて成形される樹脂
成形品としては、例えば、各種ハウジング、スポーツ用
製品、遊具、車両用製品、家具用製品、サニタリー製
品、建材用製品、厨房用製品が挙げられる。これらの各
成形品には、メッキ、スパッタ、蒸着、塗装、あるいは
レーザマーキング等が適用され得る。より具体的には、
ハウジングとしては、パソコン(ノート型パソコンを含
む)、クーラーボックス、TV、オーディオ機器、プリ
ンタ、FAX、複写機、ゲーム機、洗濯機、エアコンデ
ィショナ、冷蔵庫、掃除機、アタッシュケース、楽器ケ
ース、工具箱、コンテナ、カメラ(ビデオカメラ、デジ
タルカメラ等を含む)、モバイル機器(電子手帳、PD
A等)、照明機器、電話(携帯電話を含む)等を例示で
きる。
【0034】スポーツ用製品としては、スイミングボー
ド、サーフボード、ウインドサーフィン、スキー、スノ
ーボード、スケートボード、アイスホッケースティッ
ク、カーリングボール、ゲートボールラケット、テニス
ラケット、カヌー、ボート等を例示できる。遊具として
は、バット、ブロック、積木、釣具ケース、パチンコ台
枠等を例示できる。車両用製品としては、ドアミラ、ド
アハンドル、フロントグリル、エアスポイラ、ドア、バ
ンパ、フェンダ、ボンネット、サンルーフ、リアゲー
ト、ホイールキャップ、インスツルメントパネル、グロ
ーブボックス、コンソールボックス、アームレスト、ヘ
ッドレスト、燃料タンク、運転席カバー、トランク工具
ボックス、バイク、バス、トラック等の内・外装部品等
を例示できる。
【0035】家具用製品としては、引出し、机天板、ベ
ッド天板・底板、鏡台枠板、下駄箱板・前扉、椅子背板
・底板、盆・トレー、傘立て、花瓶、薬箱、ハンガ、化
粧箱、収納箱板、本立て、事務机天板、OA机天板、O
Aラック等を例示できる。サニタリー製品としては、シ
ャワーヘッド、便座、便板、排水パン、貯水槽蓋、洗面
化粧台扉、浴室ドア等を例示できる。建材用製品として
は、手摺り、天井板、床板、壁板、窓枠、ドア、ベンチ
等を例示できる。厨房用製品としては、まな板、キッチ
ン扉等を例示できる。メッキ、スパッタ、蒸着、塗装さ
れた成形品として、特に好適なものとして、車両外装部
品、電子機器ハウジング等を例示できる。なお、これら
は例示であり、これら以外の樹脂成形品も好適に成形さ
れ得る。
【0036】以下、本発明の金型K1を用いて熱可塑性
樹脂の射出成形を行った場合(実施例)と、従来の金型
K2を用いて熱可塑性樹脂の射出成形を行った場合(比
較例)とについて、樹脂成形品の生産性として、最低限
必要な冷却時間での評価を、また、外観性として、ウェ
ルド外観と光沢度の評価を、それぞれ比較した結果を示
す。なお、前記冷却時間については、スプルー、ランナ
ー、ゲート部において金型から取り出す際に変形や離型
不良などを起こさない最低限必要な冷却時間を測定して
判定した。前記ウエルド外観については、樹脂成形品に
ついて、図2中キャビティの部位に対応する位置にお
いて、目視による観察にて行った。結果は、ウエルドラ
インLが目立つものを×、ウエルドラインが少し目立つ
ものを△、ウエルドラインが目立たないものを○、ウエ
ルドラインが完全に消失しているものを◎として表記し
た。
【0037】前記光沢度については、熱可塑性樹脂を使
用して得られた成形品表面を評価した。観察位置は、キ
ャビティの部位に対応する位置とした。光沢度は、光
沢度計(日本電色工業(株)製 VGS−300A)を
用い、ASTM D523法に準拠した方法で入射角6
0°で測定した値により判定した。光沢度の値は大きく
なるほど表面平滑性が増すことを意味し、一般に充填材
を添加した材料では、光沢度60%以上である場合に表
面平滑性が優れるとされている。
【0038】各実施例、比較例で使用した熱可塑性樹脂
は、以下に示す材料であり、いずれもカーボンブラック
を1.0部添加して黒色に着色されたものである。 ・ABS樹脂:三菱レイヨン(株)製「ダイヤペット
3001M」 ・ASA樹脂:三菱レイヨン(株)製「ダイヤラック
S510」 ・PBT樹脂:三菱レイヨン(株)製「タフペット N
1000」 ・PC/ABS樹脂:三菱レイヨン(株)製「ダイヤア
ロイ TC−5」 ・カーボン繊維10重量%添加PC/ASA樹脂:三菱
レイヨン(株)製「ダイヤアロイ FA−420CA」 ・PC樹脂:三菱エンプラ(株)製「ノバレクス 70
22A」 ・PMMA樹脂:三菱レイヨン(株)製「アクリペット
VH」 ・PA6樹脂:東レ(株)製「TLP1061」 ・PPS樹脂:東レ(株)製「トレリナ A633−X
02」
【0039】(1) 図1に示す本発明の前記金型K1
aを用いた場合の実施例1と、図7に示すような、固定
側金型1にキャビティ4aである外観面とゲート、スプ
ルー、ランナーなどの樹脂流路R1の双方を設け、可動
側金型9に突き出し機構Eを設けた構造を有する従来の
金型K2a(図1に示す金型K1aの構成部分と同一の
構成部分には同一の符号を付して示されている)を用い
た場合の比較例1との評価結果については、表1に示す
通りである。なお、射出成形にあたっては、加熱装置H
として、ハロゲンランプ方式のランプユニットを有する
加熱装置(サーモテック(株)製「金型急温装置 KC
H−130」)を用い、型開きの状態で、該ランプユニ
ットを可動側金型9(従来の金型K2aの場合は固定側
金型1)の表面から15mmの距離で金型の表面に平行
に挿入し、ハロゲンランプの照射出力を75%(60k
W)、照射時間を4秒として可動側金型9(従来の金型
K2aの場合は固定側金型1)のみに照射を行った。金
型K1a,K2aは、温調機により60℃に調整した。
その後直ちにランプユニットを後退させ、金型K1a,
K2aを閉じた。直ちに200℃で溶融されたABS樹
脂を、射出圧力を39.2MPaで金型K1a,K2a
内に充填した。この時、充填時間は2秒であった。ま
た、保圧力を24.5MPaで10秒間かけ、射出成形
を実施した。
【0040】
【表1】
【0041】表1からも明らかなように、実施例1の金
型による成形であると、冷却時間10sに設定しても成
形に問題は発生しなかった。これに対して、スプルー、
ランナー、ゲートなどの樹脂流路R1も加熱されるよう
な比較例1の金型K2aによる成形であると、冷却時間
20sに設定しなければ離型不良が発生してしまい、実
施例1より冷却時間を長く設定する必要があった。ま
た、得られた樹脂成形品は、実施例1と比較例1のいず
れも良好な成形外観であった。
【0042】(2) 図3に示す本発明の前記金型K1
bを用いた場合の実施例2と、図8に示すような、固定
側金型1にキャビティである外観面とゲート、スプル
ー、ランナーなどの樹脂流路R2の双方を設け、可動側
金型9に突き出し機構Eを設けた構造を有する従来の金
型K2b(図3に示す金型K1bの構成部分と同一の構
成部分には同一の符号を付して示されている)を用いた
場合の比較例2との評価結果については、表2に示す通
りである。なお、金型を変更した以外は、実施例1(比
較例1)と同じ操作を行って成形した。
【0043】
【表2】
【0044】表2からも明らかなように、実施例2の金
型K1bによる成形であると、冷却時間8sに設定して
も成形に問題は発生しなかった。これに対して、スプル
ー、ランナー、ゲートなどの樹脂流路R2も加熱される
ような比較例2の金型K2bによる成形であると、冷却
時間12sに設定しなければ離型不良が発生してしま
い、実施例2より冷却時間を長く設定する必要があっ
た。
【0045】(3) 図5に示す本発明の前記金型K1
cを用いた場合の実施例3と、図9に示すような、固定
側金型1にキャビティである外観面とホットランナー用
マニホールド23aなどによる樹脂流路R3の双方を設
け、可動側金型9に突き出し機構Eを設けた構造を有す
る従来の金型K2c(図5に示す金型K1cの構成部分
と同一の構成部分には同一の符号を付して示されてい
る)を用いた場合の比較例3との評価結果については、
表2に示す通りである。なお、金型を変更した以外は、
実施例1(比較例1)と同じ操作を行って成形した。表
2からも明らかなように、実施例3の金型K1cによる
成形面での問題は発生しなかった。これに対して、ホッ
トランナーのゲート部ならびにゲート付近が加熱される
ような比較例3の金型K2cによる成形であると、加熱
装置Hの加熱源Wによる加熱の際に白煙を発し、樹脂成
形品のゲート部に焼けスジが発生した。
【0046】(4) 種々の熱可塑性樹脂を用いて、同
様の成形を実施した(実施例4〜11)の評価結果につ
いては表3に示す通りである。表3に記載の加熱条件お
よび成形条件にした以外は、実施例1と同じ操作で実施
した。
【0047】
【表3】
【0048】何れの材料も、冷却時間を10sに設定し
ても成形に問題は発生しなかった。また、得られた樹脂
成形品はいずれも良好な成形外観であった。これによ
り、本発明の成形方法によれば、種々の熱可塑性樹脂材
料に対して品質の良い樹脂成形品を得る成形を行えるこ
とが明らかになった。
【0049】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、ゲ
ート、スプルー、ランナーなどの樹脂流路が加熱される
ことがないので、冷却時間の延長化等による生産性の低
下を伴うことなく、外観面でのウエルドラインの形成
や、樹脂の加熱分解による焼け等、充填剤の浮きだしを
改善できる。従って、本発明により、成形外観の優れる
熱可塑性樹脂射出成形品を得ることが可能となり、種々
の用途に幅広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る射出成形用金型の第1の実施の
形態における一部を断面で示した正面図である。
【図2】 第1の実施の形態における射出成形用金型の
キャビティの平面図である。
【図3】 本発明に係る射出成形用金型の第2の実施の
形態における一部を断面で示した正面図である。
【図4】 第2の実施の形態における射出成形用金型の
キャビティの平面図である。
【図5】 本発明に係る射出成形用金型の第3の実施の
形態における一部を断面で示した正面図である。
【図6】 本発明に係る成形方法の一実施の形態を示す
正面図である。
【図7】 従来の射出成形用金型の第1例の一部を断面
で示した正面図である。
【図8】 同じく第2例の一部を断面で示した正面図で
ある。
【図9】 同じく第3例の一部を断面で示した正面図で
ある。
【符号の説明】
1 固定側金型 2 固定側取
付板 3 スペーサブロック 4 固定側型
板 4a,11a キャビティ 5 スプルー
ブッシュ 7 エジェクターピン(突き出しピン) 8 エジェク
タープレート 9 可動側金型 10 可動側
取付板 11 可動側型板 12、13
熱媒体流路 14 金型キャビティ 15 ゲート 16 ランナー 17 スプル
ー 18 ストリッパープレート 19 ランナ
ープレート 20 第2スプルーブッシュ 21 第2ス
ペーサブロック 23,23a ホットランナー用マニホールド A 固定盤 B 可動盤 D 駆動装置 E 突き出し
機構 H 加熱装置 K1a,K1b,K1c,K2a,K2b,K2c 金
型(樹脂成形金型) L ウェルドライン R1,R2,
R3 樹脂流路 W ランプユニット(加熱源)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F202 AF14 AK01 AM36 AR13 CA11 CB01 CK03 CK06 CK11 CK90 CL01 CM02 CN01 CN12

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外観面となる金型表面を高温に加熱した
    後、金型内に溶融樹脂を充填する熱可塑性樹脂の射出成
    形法に用いられる金型であり、且つ、加熱される外観面
    であるキャビティおよび/又はコア部分を可動側に有
    し、ゲート、スプルー、ランナーなどの樹脂流路並びに
    突き出し機構を固定側に有することを特徴とする射出成
    形用金型。
  2. 【請求項2】 前記樹脂流路がホットランナー構造であ
    ることを特徴とする請求項1の射出成形用金型。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の射出成形用金
    型を用いて、外観面となる金型表面を高温に加熱した後
    に、金型内に溶融樹脂を充填し、冷却固化させ、金型か
    らの取り出しを行うことにより熱可塑性樹脂成形品を得
    る成形方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の成形方法を用いて得ら
    れた樹脂成形品であって、外観面のウエルドラインが実
    質的に目立たなく、且つ、外観面にゲートや突き出しピ
    ンなどの痕跡を有さないことを特徴とする熱可塑性樹脂
    成形品。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載の成形方法を用いて得ら
    れた材質が充填剤入りの熱可塑性樹脂からなる樹脂成形
    品であって、外観面の光沢度が60%以上であり、且
    つ、外観面にゲートや突き出しピンなどの痕跡を有さな
    いことを特徴とする充填剤入り熱可塑性樹脂成形品。
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